ミッション破壊作戦~モザイクに支配された地へ

作者:なちゅい

●強襲型魔空回廊破壊作戦
 新たなるミッション破壊作戦。
 それを聞きつけたケルベロス達はヘリポートへとやってきた。
「ミッションの破壊だね。ドリームイーターの巣食う場所に向かうけど、大丈夫かな」
 その場にいたリーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)は、ケルベロスへと問う。
 相手は、ドリームイーター。その答えを確認した彼女は、作戦概要を説明し始める……のだが。リーゼリットは先に、長さ70cm程の光る小剣型を参加する1人1人へと差し出した。
「これが、『グラディウス』だよ」
 グラディウスは、通常の兵器としては使用できない。しかしながら、『強襲型魔空回廊』を破壊する力を持っている為、デウスエクスの地上侵攻に大きな楔を打ちこむことができる。
 ただ、グラディウスには欠点がある。一度使用すると、グラビティ・チェインを吸収して再び使用可能とするのにかなりの時間を要してしまうのだ。
「だから、現状を踏まえて、攻撃するミッションの決定は皆に任せたいんだ」
 現場で戦うケルベロスであれば、最優先での攻略対象をうまく判断してくれると、リーゼリットは絶対の信頼を置いているのだ。
 破壊すべき強襲型魔空回廊は、ミッション地域の中枢。通常の方法で辿りつくのは困難だ。
「だから、ボクのヘリオンから降下して……そのまま目標へと攻撃してほしい」
 強襲型魔空回廊の周囲は半径30mドーム型のバリアで覆われている。まずは、グラディウスを触れさせてこのバリアを破壊したい。
 1チーム、8人のケルベロスが極限までグラビティを高めてから、グラディウスを使用する。そうして、攻撃を集中できたなら……。
「うまくいけば、一撃で強襲型魔空回廊を破壊することも可能だよ」
 たとえ今作戦で破壊できずとも、強襲型魔空回廊にダメージは蓄積する。最大でも10回程降下作戦を行えば、確実に破壊できるということだ。
「強襲型魔空回廊の周囲には強力な護衛戦力が配備されているよ。さすがに、高高度からの降下攻撃は想定していないのか、敵も攻撃を防ぐことが出来ないようだね」
 グラディウスは攻撃時に、雷光と爆炎を発生させる。これらはグラディウスを所持している者以外に無差別に襲いかかるので、強襲型魔空回廊の防衛を担う精鋭部隊であっても防ぐ手段はない。
「とはいえ、慢心は禁物だよ。降下後は雷光と爆炎によって周囲にスモークが発生するから、これを利用してすぐに撤退して欲しい」
 貴重なグラディウスを、敵に奪われるわけにはいかない。この兵器を持ち帰る事も、今回の作戦の重要な目的なのだ。
 魔空回廊の護衛部隊は、グラディウスの攻撃の余波である程度無力化できるものの、完全にとはいかない為、強力な敵との戦いは免れない。
「どうやら、混乱する敵は連携が取れないようだから、強敵のみ撃破してから撤退して離脱を速やかに行いたいね」
 この戦いに時間を掛け過ぎると、脱出する前に敵が態勢を整えてしまう可能性がある。最悪の場合は、降伏するか暴走して撤退するしか手が無くなるかもしれない。
「攻撃するミッション地域ごとに現れる敵も違うからね。攻略場所の参考にするよ良いよ」
 これから現地へと向かうことになるのだが、リーゼリットはその前にケルベロス達へと意気込みを聞く。
「うん、その気持ちを全て強襲型魔空回廊にぶつけてきて欲しい」
 皆の健闘を祈っているよと、彼女は作戦に臨むメンバーを激励するのだった。


参加者
八代・社(ヴァンガード・e00037)
クロノ・アルザスター(彩雲のサーブルダンサー・e00110)
クロハ・ラーヴァ(熾火・e00621)
クーゼ・ヴァリアス(竜狩り・e08881)
村雨・柚月(黒髪藍眼・e09239)
カティア・アスティ(憂いの拳士・e12838)
小花衣・雅(星謐・e22451)
バジル・サラザール(猛毒系女士・e24095)

■リプレイ

●ヘリオン内にて
 ヘリオンは乗せたケルベロスの要望に応え、現地へと向かう。
 目的地は、秋田県大館市にある高校だ。
 ケルベロスがこの地のミッション破壊作戦に臨むのは、2度目である。
「相手も警戒はしているでしょうし、油断なくいきましょう」
 可能であれば、ここで砕いてしまいたい。顔に傷を持つドラゴニアン、クロハ・ラーヴァ(熾火・e00621)が仲間達へと呼びかける。
「今回はドリームイーターが相手か」
 魔空回廊の存在を考え、村雨・柚月(黒髪藍眼・e09239)はどの種族もグラディウスのような攻撃手段を持つだろうかと推察する。もしそうなら、各勢力はどこからそれを入手しているのか……。
「……今度こそ」
 カティア・アスティ(憂いの拳士・e12838)は一度目の作戦の戦利品であるキューティクルウィッグを握りしめ、決意を固める。丁度、ヘリオンが現地へと到着したところだった。
「うっわー。こっから飛び降りんの?」
 いつも以上に高いヘリオンからの眺めにクロノ・アルザスター(彩雲のサーブルダンサー・e00110)は驚くが、あっさりそれを受け入れ、手にするグラディウスに想いを込める。
「さぁ、行きましょうか!」
 クロノにとっては初めての作戦。それでも、なんとかなると信じて彼女は仲間と共に降下していく。

●魂の叫びを
 上空から飛び降りたケルベロス達の手には、それぞれ小剣が握られている。
(「一撃入れて、速やかに帰還」)
 柚月が思考するように作戦内容はシンプルだが。眼前に見えていたバリア内の高校には、倒すべき夢喰いがいるはずだ。
「お前さんには、お前さんのあり方があるんだろうさ」
 まず、その夢喰いへ、クーゼ・ヴァリアス(竜狩り・e08881)が最初に呼びかける。
「俺達の想いとお前さんの妄執(想い)……、どちらが強いか勝負といこうじゃあないかッ!」
 クーゼの突き出す小剣がバリアに触れると、それはガラスのように割れ、消えていく。小剣はさらに、その中にある魔空回廊へと突き刺さる。
 それにより、周囲にスモークが噴出し始める中へ、クロハが飛び込む。
「どの種族だろうと関係ありません。地球に、我々に仇なす者に容赦はしません」
 夢は終わるもの。だからこそ、自分達が終わらせると、クロハはクールに己の考えをぶつけた。
「我々は死、デウスエクスに須く死を齎す者です」
 クロハの突き出したグラディウスがさらに、濃いスモークを噴出す。周囲には強烈な雷光と、大きな爆炎が巻き起こる。
 そこへ落ちてきたのは、美しい髪を狙うと聞いて思うことがあった女性メンバー達だ。
「昔は自分の天パって、気に食わなかったのよね」
 くるくるした髪が嫌で、クロノはストレートロングに憧れていたと言う。
 しかし、22年もこの髪質だと愛着も沸き、むしろ強みだと思ったりもしている。髪もまた、自分。その人の積み重ねの証であり、歴史なのだ。
「それを奪う? 許すわけ無いでしょ。そんなもん」
 その傍では、緑髪のバジル・サラザール(猛毒系女士・e24095)も真下にある魔空回廊へと呼びかけている。
「人、特に女性は、髪の手入れにすごく気を遣ってるわ」
 日によって、髪型を変え、小まめに手入れし、日々接した結果が髪に現れる。まさに、髪は女の命なのだ。
「その大切なものを奪われるってことがどんなことか、分かってる?」
 グラディウスを構えるバジルに合わせ、小花衣・雅(星謐・e22451)も小剣に力を込めていく。
「たとえ髪を奪って美しくなれたとしても、血で染まったあなた自身が醜いから何も意味ないわね」
 その夢喰いは雅の想像通り、たくさんの返り血を浴びているに違いない。
 クロノ、バジル、雅の3人は同時に、刃を突き出す。
「あんたが奪ってきたもの全て、今、ここで返してもらうから!!」
「……もう二度と、奪わせてなるものですか」
「髪が欲しい? 持っていけばいいじゃない。対価は、貴方の命だけれど」
 刃が刺さるごとに、魔空回廊から眩い光が発せられる。敵も混乱しているのか、姿をケルベロスの前に見せようとはしない。
 さらに、八代・社(ヴァンガード・e00037)は両腕に這う魔術回路へと魔力を通し、グラディウスの力を増幅する。
「人が磨いた大事なものを奪い取って、自分の空隙を埋めるだと? ふざけるのも大概にしろよ、てめえ」
 この場にいるであろう夢喰いに、社は叫びかける。失う辛さも、怖さも、恐ろしさも。奪われる側の気持ちなど、分からないのだろうと。
「奪い取り吸い上げて作り上げたお前の領域を、今、おれたちがブッ壊して奪い返す!」
「お前らはいつも人々から色んなものを奪っているようだが、それがどういうものか考えたことあるのかよ」
 柚月もまた、小剣を構えた。
 夢喰いの奪う髪は、黙っていれば生えるというものではない。その美しい髪の持ち主が手間暇かけ、維持してきた大切な物だ。
「大切な物を奪われる怒り、悲しみ……それを今から教えてやる。お前が大切に守っているこの地を、俺らケルベロスが奪還する!」
 柄を強く握り締める柚月はそれを真下に突き出して。
「吼えろ、グラディウス!! ここでヤツを叩き潰して、終わりにしてやれ!」
「これもここに住んでいた人々から奪ったものだろ!? 文句はねぇよな!」
 突き刺さる2本のグラディウス。巻き起こる爆炎へと、もう1人飛び込む。
「人から、奪った、偽りの、美しさで、飾って……。何が、楽しいんですか……!?」
 幼き日、この地にいる夢喰いに奪われた髪を地獄化させたカティア。誰かの髪を奪うその敵を、彼女は汚いと厭う。
「髪だけ、じゃない……。貴女は、何もかも、奪っていく……! あんな思い、もう、たくさんです……!」
 全ての思いを、グラディウスに込めて。
「ここを、壊して、私は、前に、進むんです……!」
 カティアは力の限り、小剣の刃を突き当てる。魔空回廊に斬撃痕が残り、一層強いスモークが立ち込めた。
 メンバー達は次々に着地し、状況を確認するが。
 …………。
 魔空回廊が破壊される様子は見られない。
「悪夢は終わらせられなかったか……。ま、仕方ない」
 想いが足りなかったのか、それとも運が悪かったのか。
 ともあれ、この場から撤収せねばならない。メンバーは撤収準備を整えつつ、手にするグラディウス保持に務める。
「あなた達の髪、私に頂戴……?」
 全員の状況を確認し、帰還を目指すが……、煙の中からモザイクの髪の持ち主、キューティクルハンター・セシカがゆっくり姿を現す。
「貴方の夢を終わらせに来ましたよ」
 鍵を手に近づくセシカの出現に、クロハが愛用のナイフを取り出す。
 クロノも身構え、社はすでに詠唱を完了させ、魔力を両腕に集中させていく。
「奪ったら奪われる、きっとそんな当然の摂理さえ、不死のお前らは理解できないんだろうねぇ」
 嘆息したクーゼも、眼光鋭く敵を睨みつけた。
「悪いが、うちの仲間の為に、あんたには脇役になってもらおうか!」
 クーゼが敵へと呼びかけると、セシカはケルベロスの髪を狙って襲い掛かってくる。
 カティアは複雑な思いを胸に秘め、仲間と共に応戦するのだった。

●髪を羨む夢喰い
 スモークが立ち込める中、離脱の障害となるドリームイーター・セシカ。ケルベロス達はまず、その討伐に当たる。
 クロノはまず敵の火力を削ぐ為に精神を極限まで集中させ、敵の体に爆発を起こす。爆発に煽られる敵へ、クロハが迫った。
「夢喰い、本当に貴方達は哀れな種族だ。……そのモザイク、晴らさせはしませんよ」
 惨殺ナイフ「victoria」に炎を纏わせたクロハ。いつまでも満たされず、終わらない夢を食らい続ける哀れな生き物だと彼女は断じ、刃を一閃させた敵に炎を走らせていく。
 さらに、社が手に持ったリボルバーを各都市、白蒼の砲塔を形成する。
「歪め。――おれの魔弾をくれてやる!」
 彼はトリガーを引くと、その砲塔から青白い光条が迸る。「幻想砲弾」――ファントム・シェルと呼称される魔弾だ。
 柚月もまた、仲間の傷口を斬り広げるように愛用の日本刀で緩やかに弧を描く。メンバー達はそうして連携攻撃を行うことで、敵を速攻で叩き伏せようと試みる。
 仲間の回復を考えるバジルも、敵の初動が鈍いことを見て攻撃に乗り出す。彼女は敵へとカプセルを投擲し、その身体に回復阻害のウイルスを感染させた。
「ふふっ、効いてる」
 猛毒系女士としての姿を見せ、バジルは不敵に微笑む。
「髪、髪を……」
「そんなに髪が大事なら、サクッと斬り落としてやろうか?」
 全身が黒いボクスドラゴンのシュバルツがブレスを吐きかけたのに続き、クーゼは硬化させた爪で殴りかかる。
「案外、お前さんの執着も一緒になくなるかも、な!」
 苛烈なる猛撃。ただ、目の前の夢喰いは悠然と立ちはだかり、手にする鍵を振るう。
 その前に飛び出たのは、カティアだ。鍵を受け止め刹那過去の古傷を抉られた彼女は反撃を行うも、想定していたグラビティが活性化していたものと異なる事に気づく。
 止むを得ず、彼女は重力を宿した蹴りを繰り出すが……、敵はさらりと避けて見せた。
 しかし、吸い込まれそうな瞳を持つ雅が敵を捉える。ウイングキャットのアステルに仲間の回復を任せ、雅自身は敵の頭上へと跳び上がり、光り輝くルーンアックスを振り下ろす。
「短期決戦あるのみ、素早く終わらせるわ」
 その一撃で服を破かれたセシカへ、ケルベロス達はなおも攻め立てていく。
「自信があるなら、受けて立ちなさい。もろとも蹴り砕いてあげるわ」
 ゆらりと蝶のように舞うクロノは跳躍し、その足にオーラを集中させる。そして、それを一閃させた彼女は青白い軌道を描き、流星のように夢喰いの体を蹴りかかった。
 凍りつく夢喰いの腰へ、冷静に敵の状態を見定めたクロハも電光石火の蹴りを浴びせかける。
「やめろ、と言って、やめるわけないよな。ならば、潰すまでだ」
 柚月は日本刀の刃を流体のように変化させ、鞭のようにしならせた。
 これぞ、彼の決め技である「鋼斬亜銀」。トリッキーな動きで敵を攻め立てていく。
 ただ、セシカは大きく目を見開き、モザイク塗れの髪から刃を現し、ケルベロスへと投げつけてくる。
「大丈夫!? あまり無理しないでね」
 それに耐える前列メンバーを、バジルが気遣い、気力を撃ち出す。
 順調に攻めているように見えるケルベロスの攻め。ただ、セシカは笑みすら浮かべ、繰り出されるグラビティを受け止めていた。

●激しい攻防の中で……
 ケルベロス達はなかなか攻め落とせぬ夢喰いに対し、徐々に焦りを見せ始めた。
「千剣穿て、瞬華瞬刀」
 クーゼは「宵月 -離天-」より神速の斬撃を夢喰いへ見舞い、同時に魔力で複製した斬撃をランダムに配置し、敵へと更に攻め立てる。
 雅が継いで鋭い刺突を指で食らわせた。ドレスを纏うセシカの右ひじが石のように固まる。
「あなた達の髪も素敵ね……」
 だが、敵はなおもメンバーの髪に視線を走らせ、モザイクの刃を飛ばす。一生懸命に戦場を飛び回るアステルがそれを受け止め、さらに翼を羽ばたかせて自らの傷を癒していた。
 しかし、髪に執着するドリームイーターの攻撃は、想像以上に重い。とりわけ、敵の盾となるカティアには明らかに異変が起きていた。
 幼き日、目の前に忽然と現れたセシカ。次の瞬間、そいつの高笑いと共に、カティアは自らの髪が地獄化していたことに気づく。
「い、いや……」
 敵の鍵を叩き込まれた彼女は幻覚を見ていた。トラウマを発症した彼女は花びらを模したエネルギー体をいくつも撃ち出していくが、射抜いたのは幻覚だけ。
 それを見たバジルが救急箱を取り出して緊急手術を施すが、その間に社がセシカの鍵を受けてしまっていて。
「悪い、回復を……」
 想定していた回復グラビティの活性がないことに気づいた社が仲間へと要請するも、回復グラビティを用意していたケルベロスは少数で、そのフォローに回ることができない。
 隙を逃さず、セシカはモザイクの刃を飛ばし……、社の体を真っ赤に染めてしまう。
「うっ……」
 彼は小さく呻き、スモークの立ち込める地面へ落ちていく。
「髪を……頂戴」
 次なる敵を見定めるセシカへ、クロノは手早い殲滅をと燃え上がり蹴りを放ち、クロハは最も威力を見込める地獄の炎をのせた刃を見舞う。
 カティアも両手の戦籠手でセシカの体へと連打を浴びせていったが、ケルベロスの猛攻にもセシカは倒れない。
「何なのその汚い髪。……目が腐ってしまいそうだわ」
 セシカはなおも、盾となるカティアへと鍵を叩きつけてくる。
「貴女なんか……、大っきら、い……」
 動きに精彩さを欠いていたカティアはその殴打を受け止められず、意識が途絶えてしまう。
 仲間が倒れども、ケルベロス達は敵を倒すのが先決と判断し、なおも攻勢を強める。
「儚き夢は幻想の中へ散れ!」
 柚月は指輪から光の剣を具現化させ、夢喰いの体を切り裂く。零れ落ちるモザイク。手応えは十分だ。
「ここで終われよ、妄執狂。冥土の土産は、くれてやらないけどな?」
 クーゼが再び斬撃を繰り出し、それらを戦場にいくつも配置していく。
 それらはセシカの体に重なり、彼女の体からモザイクを噴き出させた。
「ふ、ふふふ……」
 全身を切り裂かれたセシカはなすすべなく、その全身を徐々にモザイクと化し、消えていった。
 敵の討伐を察し、1つ息をついた雅が空を仰いで祈祷する。
 一方、倒れるカティアの手には、セシカの髪の一部がしっかりと握られていたのだった。

●攻撃の爪跡こそ残したが……
 魔空回廊が消えていない以上、完全にセシカを討伐したわけではないのだろうが、新手の出現を考えれば、ぼやぼやしていられない。
「8本全てあるな……?」
 バジルに介抱される社が呟くと、皆、自身の持つグラディウスを確認する。今だ意識が戻らぬカティアもまた、小剣を持っていたようだ。
「戻るとしましょう。我々はここで終われませんから」
 クロハの撤収提案に、柚月が頷く。ここで、グラディウスを危険に晒すわけには行かない。
 双剣を軽く払い、鞘に収めたクーゼが煙の晴れかけた高校の校舎へと告げる。
「またいずれ、俺たちの誰かがお前を殺しに来るぞ。だから、『また』な」
 おそらくまたこの地へと別のチームが訪れる。クーゼはそれを示し、踵を返した。

 ミッションに臨む別チームが乗ってきたヘリオンに、ケルベロス達は乗り込んでいく。魔空回廊の破壊ができなかったことに歯痒さを覚えながらも、彼らは大館の地を後にしていくのだった。

作者:なちゅい 重傷:八代・社(ヴァンガード・e00037) カティア・アスティ(憂いの拳士・e12838) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年4月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 9/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
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