ビルの屋上から、何の変哲もない町を見つめている女性が一人。彼女はミス・バタフライ、螺旋忍軍の一人だ。
その元に、2つの影が控える。
彼女がピンと弾いたカードが、輪を描いて手元に戻った。
「あなた達に使命を与えます。この町に、同人マンガ作家という、プロのマンガ家とは別に、アマチュアで絵や言葉を動的に描写してストーリーを作ることを生業としている人間が居るようです。その人間と接触し、仕事内容を確認、可能ならば習得した後、殺害しなさい。グラビティ・チェインは略奪してもしなくても構わないわ」
それを受け、2つの影は身を低くする。
「了解しました、ミス・バタフライ。一見、意味の無いこの事件も、巡り巡って、地球の支配権を大きく揺るがす事になるのでしょう」
その意味深な言葉と影は、風と共に消えた。
言之葉・万寿(高齢ヘリオライダー・en0207)が説明を始める。
「漫画大国日本ならではの事件でございますぞ」
この事件は、先を見越した話となる。
ミス・バタフライが起こそうとしている事件は、直接的には大した事は無いのだが、巡り巡って大きな影響が出るかもしれないという、厄介な事件だ。
「今回は、オリジナルのマンガ作品を描いて生活をしている、中堅レベルの同人作家が狙われておるようですな。その仕事の情報を得る、或いは、習得した後に殺そうとする事件がおきようとしております」
この事件を阻止しないと、まるで、風が吹けば桶屋が儲かるかのように、ケルベロスに不利な状況が発生してしまう可能性が高い。
勿論、それがなくても、デウスエクスに殺される一般人を見逃すことは出来ない。
「皆様には、この一般人の保護と、ミス・バタフライ配下の螺旋忍軍の撃破をお願いしたいのです」
詳細はこうだ。
基本は、狙われる一般人を警護し、現れた螺旋忍軍と戦う事になる。
だが、ターゲットを事前に避難させた場合、敵が別の対象に切り替えてしまう恐れが非常に高いため、その作戦をとる事ができない。
「その問題となる対象の人物ですが、ペンネーム・厚木ケンシロー様、28歳。アクション漫画を主体とした、マニアックなストーリーを中心に描かれている方のようです」
この依頼では、事件の3日程前から、対象の一般人に接触する事ができる。事情を話すなどして仕事を教えてもらうことができれば、螺旋忍軍の狙いを自分達に変えさせることができるかもしれない。
「自分達が囮になるためには、見習い程度の力量が必要でございます。かなり頑張って修行し、その技を教えてもらって下さい」
狙われているケンシローは『魂一発入魂』タイプの作家らしく、かなりハートを重んじるらしい。
修行は『締め切りまでラスト3日をどう乗り切るか』を考えつつ、ハート重視な作家のアシスタントをすることになりそうだ。
作業内容としては、アナログ作業で『消しゴム』『ベタ』『トーン貼り』あたりとなるだろう。
「ただ『がんばる』だけではなく、『何をどうがんばるのか』明確なビジョンがあれば、修行もしやすいでしょう」
敵は2体。
武器は螺旋手裏剣を使用し、螺旋忍者と同じグラビティを使用する。
囮となることに成功した場合は、螺旋忍軍に技術を教える修行と称して、有利な状態で戦闘を始める事が可能となるだろう。
「マンガ家は、室内に閉じこもってのカンヅメ業務でございます。敵と接触するのが難しい。ただ、入稿日となる3日後の当日にファンとのオフ会を企画しているそうなので、それを利用するのがよろしいかと」
戦闘場所は注意してほしい。オフ会会場が駅前のスペイン料理店なので、被害が広がらぬようにうまく陽動して闘ってもらいたい。
300メートルほど先にあるビルの地下に、防音完備が完璧なデスメタル御用達のライブハウスがある。戦闘場所としては広さもほどよいので、そこまで引き入れるのがよいだろう。ただ、携帯の電波状況は悪いので注意してもらいたい。
「今回は、かなり忍耐力との戦いになりそうでございますな。まあ、未然に防いでしまえば良い精神修行で終わることとなりましょう。厚木様をどうかよろしくお願いしますぞ」
がんばろう。
参加者 | |
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クリス・クレール(盾・e01180) |
眞山・弘幸(業火拳乱・e03070) |
リュセフィー・オルソン(オラトリオのウィッチドクター・e08996) |
ルイス・メルクリオ(みかん消費マシーン・e12907) |
穂村・華乃子(お誕生日席の貴腐人・e20475) |
ミスル・トゥ(本体は攻性植物・e34587) |
シーナ・ハインケル(怨嗟を操りし者・e35331) |
天喰・雨生(雨渡り・e36450) |
●ただいま絶賛シュラバ中
アパートの表札には聞き覚えのない女性の名前が書かれていたが、ここは紛れもなく同人マンガ作家『厚木ケンシロー』が住む一室。
敵がケンシローを襲うまで、あと3日。今日ここに訪れたのは、この期間でケンシローからアマチュアマンガ家の技をたたき込んでもらうためだ。
チャイムを鳴らしてから、しばし待つ。
唇を噛んだ穂村・華乃子(お誕生日席の貴腐人・e20475)が、神妙な表情でアパートのドアをにらみつけていた。
「同業者の危機とあらば必ず助けないと……。締め切りは3日後……十分な時間よ! あ、違った、敵からしっかり守るわよ!」
それを受けたクリス・クレール(盾・e01180)が少し考える。
「敵の標的基準がわからん……が、うむ。阻止せねば」
チェーンのかけた扉が少し開き、クタクタというより、ヨレヨレの女性が芋ジャージ姿で顔を見せた。
「ど、どなた……さまです?」
カッと力強い眼が三人分並んでこちらを熱視しているオーラは、睡眠不足・運動不足・栄養不足の3Fには手厳しい。ひぃ、と身を引こうとするケンシローに、リュセフィー・オルソン(オラトリオのウィッチドクター・e08996)が慌てて声をかけた。
「ケンシローさんが螺旋忍軍に狙われてるので、ご協力お願いします!」
連日の原稿で抵抗力が著しく低下しているマンガ家を落ち着け、事情を軽く説明してやる。
が。
「ム、ムリですぅ、私には、ひ、ひ、人様に教える技術もないですし……何か今、ボロボロすぎて……そそそんな余裕ないですぅ!」
閉まろうとする扉に手をかけ、華乃子が顔面を近づける。
「お姉さんもサークルやってるの! だから入稿3日前がどんな状況なのかも知ってるわ!」
そして、ケンシローの濁りきった瞳を覗き込み、『印刷所に泣いて頂く』もしくは『落とす』という選択肢が濃厚なのだと悟ると、哀れみで目頭にツーンとした痛みを覚えた。
「この人数がいれば、3日もあれば入稿できるわ! だから手伝わせてほしいの!」
それがケンシロー自信を守るということにもつながる。……あと印刷所も……読者も……巡り巡ると、色々と守ることができるのだ!
華乃子の顔の下に、ルイス・メルクリオ(みかん消費マシーン・e12907)が入り込んで言った。そして隙間から、最も新しい原稿を見せながら懇願する。
「俺、デッサン力はそれなりに有るのに、描線に力が無いため動きが死んでいると言われるんです! 独学練習と書籍からの知識だけでは、描線の勢いは学べません! どうか間近で先生の作業を観察させてください!」
「そ、そんな、アマチュアだから、先生だなんて……ちち違いますしぃ」
「ゴムかけ・ベタ塗り・トーン貼りの作業は引き受けます! ペット様が居るなら、そちらのケアもいたします! お邪魔にはなりません! ただ、観察させてくれれば良いんです!」
用意周到、持参した猫じゃらしを振り回しながら秒速で頭を下げるルイスを見ているうち、寝てないマンガ家はある種の催眠状態に陥ったらしい。
そしてとどめに、バトル漫画ばりの勢いで、屈託のない笑顔で輝いたクリスの一言。
「大丈夫だ、俺達に任せてくれ!」
今までひとりぼっちの籠城戦でボロボロになっていたアマチュアマンガ家なのだ、根拠があろうがなかろうが、この勢いで『大丈夫だ』と言われれば、突然現れた援軍に激しく胸を打たれるのは当たり前。
チェーンの外れる音の後、心身共に荒れ果てたケンシローが泣きながら扉を開けた。
●命がけアシスタント
のんびりやっていては日が足りない。
ケンシローを落ち着かせ、まずはこちらのできることをあげていく。
次に現在の原稿状況を把握し、スケジュールと体調管理を徹底することに。
そのあたりは百戦錬磨だろう、華乃子が並べて提案をする。
「睡眠不足は効率低下。限界者から3時間の睡眠を回しつつ作業の効率を上げる。満腹は敵、食事量は腹六分目。栄養剤は最終日のみ使用。オーケー?」
「買い付けの役目、やります」
リュセフィーが手を上げ、これで一通り生活面での流れは確認ができた。
「さあ、指示を頂戴!」
原稿を目の前に出され、1枚の書き込み量を目にした瞬間、どっしりと重みのある主線と影にかかる斜線に、その場のメンバーの顔が一気に濃くなる。これは時間がかかりそうな作風だ。
とりあえず、下書きを消さねばベタも入れられない。クリスが巨大な消しゴムを手に取った。
積極的に技術を盗んでいく方向でゴムかけをはじめたが、ケンシローのものすごい筆圧にペンが走った部分の紙が逆立っている。その上、しっかり描かれた下書きがなかなか消えない。60枚近くある原稿に全部消しゴムかけるとすれば、かなりの労力となろう。意外に地味な作業に見えて、汗だくになるほど大変なのだ。
余計な線が消されてきた原稿にベタを施す。ケンシローの指示を受けながら、バツ印のついた上を華乃子とルイスが丁寧に塗りつぶしていくのであるが、さすがアクション熱血マンガともあり、ベタの箇所が尋常ではない。塗れば塗るほど1枚にかかる重量が増す気持ちさえした。
乾いたベタにはトーンだ。ここまで1枚絵が真っ黒ならば、ほぼ貼る必要がないと思うのだが、劇画作家は『白い部分が目について仕方がない病』にかかりやすい。
「以前から憧れていた職業なので、頑張ります」
そう言ってリュセフィーが慎重に貼り始めたが、更に原稿は重くなっていく……。
そのまま順調に一日目が過ぎ、二日目となるが、部屋の構図的には動きがない。
長時間の集中力を延々と持続させ、ほとんど寝ずに、ただ黙々と利き手が動いて作業を続けている。
この拷問じみた空間……。
それでも1枚、また1枚と仕上がりを見せていく原稿に、達成感が少しずつ蓄積していくのである。
ケンシローの肩と背中の筋肉は張るだけ張り、ノリにノッた優勝決定戦前の相撲取りのような形に固まってしまっている。その切実な状況の彼女に気づいたクリスが声をかけた。
「先生、マッサージするか?」
「あ、ありがとうございまふ……指、ツボに入るかしら……」
明日の12時からオフ会。3時間寝るとして、用意に1時間。移動で1時間。朝の7時までに原稿が仕上がっていれば良いのだ。
明け方に近づくにつれ、一人、また一人、妙なテンションに入り込んでいく。
完全に劇画マンガの芸風につられ、見るからに濃い顔になってしまった華乃子がポツリとつぶやいた。
「この子とこの子、カプはどっちかしら……」
「えっ……?」
何かしらのアレが不足したらしい。
「脳の栄養に萌えトークが必要なの!」
修羅場中のよくある風景、幻覚幻聴に襲われた人間の発作が始まったようだ。自分ににじりより始めた華乃子に鼓舞を入れるクリスも必死だ。
「もうちょっとだぞ! 頑張れ!」
「カワイイボーイ!!! カワイイボーイ!!!」
入稿まであと1時間。
●情熱の大陸
アシスタント業務に専念していた囮チームとは別に、現場の裏方に徹していたメンバー達が集まってきた。
コンビニで情報交換をしているのは、眞山・弘幸(業火拳乱・e03070)とミスル・トゥ(本体は攻性植物・e34587)。
事前に店と掛け合い、当日の状況を伝えておいたので、囮がうまくやってくれさえすれば、被害は店内だけですむだろう。
「やれやれ、今日以外は通常営業をしても大丈夫だと念を押したが、おっかなびっくり営業されてたんじゃ、いつ敵に勘づかれるかと思ってヒヤヒヤしたぜ。まあ、この雰囲気だと大丈夫そうだな」
弘幸のため息に、ミスルがチラリと視線を投げる。
「戦闘となる場所に誰も入れないよう指示してきた。そっちは?」
「潜伏しやすい場所は確保してあります」
缶コーヒーを手にしていた弘幸であったが、潜伏先で匂いを辿られることを考慮し、渋々ミネラルウォーターと交換をする。
「廻りまわって後々に大きな影響を……か。バタフライエフェクトをその名の通り体現しようって事か。させねぇぜ」
一方、オフ会会場のスペイン料理店『ラ・マンチャ』。
三日間の睡眠時間が3時間であろうが、栄養ドリンクをキメて、差し入れで頂いた入浴剤入りの風呂に入り、ビシッとオフ会に現れるのが作家先生のお仕事。
最後の1食は栄養ドリンクだけという状況、お腹グーグーの囮チームは、赤と黄色の濃厚なラインにもめげず、睡眠不足の妙なテンションのまま会場入りしていた。
劇画顔から一転、メイクも服装も完璧な貴婦人に擬態した華乃子が店内を見渡すと、長椅子に腰掛けたシーナ・ハインケル(怨嗟を操りし者・e35331)が一人震えているのに気がついた。
「大丈夫?」
「ファンのフリして料理店で待ち構えるつもりが……」
その手にはケンシローの同人誌が。
「興味本位で読んでみたら、うっかり面白くて、流れが分かってるのに感動して泣きそう……!」
このシーンはあーだ、こっちのシーンはこーだと熱く語り合っていると、ひょろ長い男が話しに割り込んできた。
「わかるぞ! ケンシロー先生の作品は最高だあ!」
見覚えがない。今、この店にいるのはケルベロスだけだ。要するに、こいつは敵だ。螺旋忍軍の片方が食いついてきたということだ。
フードを深く被り、人と話すのが苦手なように装っていた天喰・雨生(雨渡り・e36450)が、会場の隅からひっそりとルイスに目配せし、作戦が始まる。
敵の肩にポンと手を置いたルイスが、大げさにはしゃぎだした。
「今、そこで先生とすれ違ったのだが、ファンに見せたい秘蔵の作品が有るって言ってたぞ、取りに行こう!」
マジカー! と、まんまと応え、螺旋忍軍の一人がのこのこ彼の後ろをついて店から退出していった。
この店の中にもう一人螺旋忍軍がいる。
ルイスがライヴハウスに到着する頃、戦闘を始めれば分断は成功だ。
螺旋忍軍の見極めは簡単。ケルベロスじゃない者が、この部屋に一人だけ紛れ込んでいる。
●叫べ、熱き魂!
地下に続くライヴハウス『シャウト』の扉を開けてルイスが足を止めると、背後の螺旋忍軍が不審に思い、声をかけてきた。
「オイ? 誰もいねーじゃんかよ」
「いますよ」
どこからか少女の声が響き、突然ライトが消えて周囲が真っ暗闇に包まれる。
敵が息を呑むと同時、足下に鋭い痛みを覚えて背後に倒れ込んだ。
螺旋隠れを用いて潜伏していたミスルのストラグルヴァインで命中された後は、構える前に前面から雨生の【氷結の槍騎兵】を直撃し、氷結を喰らってドアの方向に転がり進む。
「くそっ、罠か!」
頭上からカチカチカチカチとせわしなく爪の音が聞こえ、誰か居ると悟ったが、振り向く前にルイスの足の裏が顔面にめり込んだ。
「世界の至宝、同人作家様に何かが有ってみろ!! 桶屋がどうのって話じゃねぇ!! 俺が即死するわ!!!」
2台のスマホを手にものすごい憤慨したかと思った直後、何故か敵の身体が激しく燃え上がる。今頃どこかでどこかのサイトが炎上し、W炎上撃が繰り広げられているのだろう。
退路はふさがれている。そのまま転がり逃げた時に丁度ライトがつき、ちゃっかりインフェルノファクターで攻撃力を底上げしているしたたかな弘幸が目に入った。
「ふ、ふざけんな……!」
そう威嚇したものの、完全に相手の間合いだ。
「避けられるもんなら避けてみな」
至近距離から地獄の業火を纏った左脚で零距離業火を喰らうと、目の前が暗くなる。
またライトが消えた訳でもないのにこのダメージ。怒りにまかせて闇雲にシュリケンスコールを放った敵の攻撃が後衛に降り注ぐ。
分担したこちらにディフェンダーがいない。そのまま直撃をくらったスナイパーたちは痛みに顔をしかめ、体制を整えた。
ここでカッときたのが、睡眠不足で妙なテンションになっているルイスだ。
「許さんもう許さん絶対許さん決して許さん……! 前衛出たのは初めてだが、直接ぶん殴らんと気が済まん……!」
どう見ても次の攻撃は『物理で殴る』だろう。
「萌えの為なら神をも殺すと言われた戦士の力、身をもって思い知るが良い……!!」
渦巻くオーラが風で途切れた時、スマホの角が敵の脳天にヒット。ズンと音を最後に、こちら側の螺旋忍軍が床に沈んだ。
一方その頃、ラ・マンチャでもう片方と戦闘中の料理店チームも佳境を迎えていた。
長引いている分で察すると、こちらはクラウンだった様子。若干火力が偏った編成で中々削れずにいた。
合流したシャウトチームが加わり、準備万端。
扉をぶち抜いて流れ込んでくるホーミングが敵にヒットすると、雨が乾いた香りと蒸気が立ち込める向こうから、第壱帖丗肆之節・塵核を打ち終わった直後の雨生の姿が見えた。
「後は、お前一人倒せばおしまいだよ」
粉々になった扉の破片を全身で受け止めたクリスと華乃子の背後、風圧が過ぎた隙をシーナが狙った。
「あんないいモノかき上げる厚木ケンシロー先生殺ろうってなら、逆に殺ってやんよ!」
怨殺・爆吐魂撃呪砕衝。
1本のラインが水平に流れ、それが消えていく頃、螺旋忍軍の身体も上下で分かれた姿で消滅した。
この後はオフ会だ。念入りに店のヒールをしつつ、ケンシローの安全を確認する。
「ケンシローさん、ご協力ありがとうございます」
リュセフィーが気遣って声をかけると、寝てないテンションもあってか、ケンシローが感涙して大いに震えていた。
「しゅしゅしゅごい……! 熱いバトル! ああ、ケルベロスって素晴らしい!! これが夢にまで見たガチバトル……! 狙われて良かったですぅぅ!!」
その発想は危険だが、勤勉なのだろうということで、リュセフィーがクスリと柔らかく微笑んでやる。
「これからも、素敵な漫画を描き続けて下さいね」
元螺旋忍軍のミスルが割れた花瓶を修復し、その花の1本を手に取った。元同族のよしみであろう、倒した螺旋忍軍の供養をしてやっている。
それを気づかぬ素振りで視線の端に置いてやっていた弘幸だが、視界にシーナが入り込んで顔を戻した。
「おい?」
妙な位置に直立して動かないシーナに声をかけると、彼女はニッと笑って八重歯を見せる。
「整理券一番!」
ビッと丸1の数字を見せられ、察した。
この後始まるオフ会で、ファンに混ざってちゃっかりと厚木ケンシロー先生の新刊を買うつもりだ……。
違う風が吹けば、そちらの桶屋が儲かるようで。
みなさま、今日もおつとめご苦労様です。
作者:荒雲ニンザ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年4月9日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 8
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