●弩級ダモクレス載霊機ドレッドノート
「みんな、『弩級兵装回収作戦』お疲れ様だったな。だけど、まだダモクレスの作戦は終わっていない。引き続きみんなには、頑張ってもらいたい。……悪いな」
大淀・雄大(太陽の花のヘリオライダー・en0056)は、ケルベロスに労いの言葉をかけると、すぐに資料を開き説明を始める。
「弩級兵装回収作戦の結果、『シールド』と『ウィング』の破壊には成功したんだけど、コマンダー・レジーナは生存、ダメージは与えたものの『ユニット』と『エンジン』が回収されてしまった。回収された弩級兵装なんだけど、載霊機ドレッドノートを警戒していた黒住・舞彩(我竜拳士・e04871)を始めとしたケルベロス達の調査で、載霊機ドレッドノートに転送された事が分かった。この事から、指揮官型ダモクレスの目的が、弩級兵装を載霊機ドレッドノートに組み込むことにより、載霊機ドレッドノートを再び起動させる事だと想定された。『ドレッドノート』が動き出せば、地球側はケルベロス・ウォーを発動する事でしか対抗出来ない」
『ケルベロス・ウォー』既に数度発令されているが、少なくない被害が出る、まさしく地球の運命をかけた戦争だ。
「みんなが『弩級兵装回収作戦』を頑張ってくれたお陰で、残る兵装は2つ。どちらも大きなダメージを与えているから、載霊機ドレッドノートがすぐに動き出す事はない。だけど、『弩級超頭脳神経伝達ユニット』を修復可能なコマンダー・レジーナを撃破出来なかった為、時間を与えれば『載霊機ドレッドノート』は本来の力を取り戻してしまう。現在、指揮官型ダモクレス6基は、その全力をもってドレッドノートを守り、復活させようと動いている。そこで、ドレッドノートへの強襲作戦を行う事が決まった。いずれ直面するダモクレスとのケルベロス・ウォーによる決戦の前に、ドレッドノートを守るダモクレス達に、どの程度の打撃を与えられるか……今後の戦いに大きな影響を与える作戦になる」
弩級ダモクレス『ドレッドノート』の復活を企む、ダモクレス指揮官機6基との全面対決……心してかからなければ、戦果を上げる事が難しい作戦なのは間違いない。
「現在、ドレッドノートは、ダモクレス軍団によって制圧されていて、周辺には『マザー・アイリス』の量産型ダモクレスの軍勢が展開しているから、ケルベロス・ウォーを発動しなければ地上から攻め込む事は出来ないだろう。だから、ヘリオンからの降下作戦を行う必要があるんだけど、こっちは『踏破王クビアラ』が対ケルベロスの作戦として、ドレッドノートの周囲に『ヘリオン撃破用の砲台』を設置し、強力なダモクレスがその守備と砲台の操作を行っているから、この砲台及び護衛戦力の撃破が必要になる。砲台を撃破出来れば、強襲降下作戦が実行出来、ドレッドノートへの潜入が可能になる。潜入後の攻撃目標は4つ。1つ目は、ドレッドノートの歩行ユニットの修復を行っている『ジュモー・エレクトリシアン』とその配下達の部隊。ここを攻略出来れば、ドレッドノートの動きを阻害する事が出来る。 2つ目は『ディザスター・キング』が守る『弩級外燃機関エンジン』。ディザスター・キングの軍団は、自らが『弩級外燃機関エンジン』の一部となる事で、必要な出力を確保しようとしている。この部隊を殲滅出来れば、ドレッドノートの出力を引き下げる事が出来る」
ジュモー・エレクトリシアンの部隊を全滅させれば移動自体が、ディザスターキングの軍団を全滅させれば『弩級外燃機関エンジン』の出力を大幅に下げることすら、出来てしまうらしい。
「3つ目の攻撃目標は『弩級超頭脳神経伝達ユニット』の修復を行っている、コマンダー・レジーナとその軍団だ。『弩級超頭脳神経伝達ユニット』が修復されれば、ドレッドノート自身が巨体を制御してケルベロス達に攻撃できるようになるから、危険度は更に大きくなる。ドレッドノート級の攻撃であれば、ただのパンチだけで巨大なクレーターを作るのも楽勝だろうな……。4つ目の目標は、弩級兵装回収作戦で動きの無かった指揮官型ダモクレス『イマジネイター』イマジネイターは、ドレッドノートと一つとなり、自らがドレッドノートの意志となるべく融合しようとしている。現時点での危険度は低いけど、万が一、ケルベロス・ウォーに敗北するような事になれば、『イマジネイター』の意志を持つ弩級ダモクレスが生まれるから、出来る事ならこの融合も阻止しておきたい」
レジーナ軍団が担っているのが、ドレッドノートの兵器としての復元であるとするなら、イマジネイターが行おとしている事は、意志ある弩級ダモクレス『ドレッドノート』を生み出す事だろう。
「載霊機ドレッドノートと戦うには、ケルベロス・ウォーを発動する必要がある。ケルベロス・ウォーは、文字通りの戦争。勝利する為には、今回のドレッドノートへの攻撃でダモクレスの戦力を少しでも弱体させなければ、厳しい。今回派遣できるのは、40程度のチームだ。全ての目標を完遂する事は難しいと思う。各チームが協力し1つの軍団を全滅させる事や、最低限抑えなければならない目標を数部隊が狙うと言ったことも必要になると思う。チーム単位で動く本作戦だけど、それぞれが何を目的とするかを明確に意識して、全てのチームが『ドレッドノート』が万全な力を発揮出来ないように頑張ってほしい。俺達ヘリオライダーは、みんなに賭けるしかないけど……信じてる。頼んだぜ、みんな!」
強く言う雄大の瞳には、ケルベロス達への熱い信頼が込められていた。
参加者 | |
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陶・流石(撃鉄歯・e00001) |
草火部・あぽろ(超太陽砲・e01028) |
ジューン・プラチナム(エーデルワイス・e01458) |
星野・光(放浪のガンスリンガー・e01805) |
コロッサス・ロードス(金剛神将・e01986) |
ジョー・ブラウン(ウェアライダーの降魔拳士・e20179) |
レイン・プラング(解析屋・e23893) |
リティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710) |
●修復阻止ドレッドノート潜入
「対ヘリオン砲台、全て破壊できたみたいだな。今度は俺達の番だぜ」
先程、上がった8つの信号弾……草火部・あぽろ(超太陽砲・e01028)達の目に飛び込んできたのは、全ての砲台の破壊を知らせるものだった。
「今度は俺達の番だな……っと、やっぱり通信は不可能だな。ダモクレスが妨害電波でも発してんのか?」
少しでも戦況報告が出来ればと、あぽろが用意した情報端末もノイズが入り、役に立ちそうに無い。
「……ミッション、ドレッドノートの再起動阻止。……これ以上、ダモクレス達の思い通りにはさせない。……けれど、アイズフォンも使用不可……ドレッドノートの内部はダンジョン構造。こうして潜り込んでみたけれど、信号弾での連絡も無理。『智の門番』達と一度会敵したら、他チームと連絡が取れない可能性は……高い」
リティ・ニクソン(沈黙の魔女・e29710)もダモクレス側の通信阻害能力に頭を悩ませている。
「まあ、ヘリオン降下中に脚部修復を行っている『智の門番』部隊の居場所にはあたりを付けられたんだ。さっさとアゾートって奴を倒して、撤退すれば問題無いんじゃねえの?」
ヘリオン降下中にも、ドレッドノートの観察を続けていた、陶・流石(撃鉄歯・e00001)が言う。
少しの間走ると、ドレッドノート入り口付近で『智の門番』部隊をターゲットとする3チームは、無事に合流を果たすことに成功した。
だが、これから先は各チームでの作戦になる……同時作戦とは言え、各チームがそれぞれの役割を完遂しなければならない。
既にドレッドノートのあちらこちらで、ケルベロスと指揮官機率いるダモクレス達の戦闘も始まっている。
自分達も急がなければならない……その思いで3チーム24人はドレッドノート内を駆ける。
「雰囲気が、変わったね」
陽菜の言葉に、他のケルベロス達も辺りを見回す。
「機械で出来た神殿と言ったところか……」
コロッサス・ロードス(金剛神将・e01986)がそう口にする。
握り締めた掌の中には、オラトリオの少女から渡されたお守りが握られており、彼女が居ない寂しさを感じつつも、彼女の祈りを素直にコロッサスは感じ取れた。
一同に緊張が走る中、コロッサスが重く静かな声で皆に注意を促す。
「……どうやら我々の相手のお出ましのようだな」
3つに仕切られたエリア、それぞれに一つずつの人影……いや、倒すべきダモクレスがいるようだ。
ユアンが仕切られたエリアの1つを指で示す。
「こちらの敵はお任せください、私達が参ります」
「コロッサス様、ユアン様。では我々は、こちらの御仁を相手にいたしますが、大丈夫でしょうか?」
ちらりと二人を見るラギッド。
「任せな。手強い相手だろうが、俺達は俺達の役目をきっちり果たすからさっ!」
威勢よく強気に、あぽろが答える。
「どんな相手だろうと蹴り飛ばしてやるからよっ。あまり俺達を舐めるなよ!」
ジョー・ブラウン(ウェアライダーの降魔拳士・e20179)が黒の瞳に闘争心を乗せてエリアに侵入すれば、薄影の中から現れたのは、紅き装甲を基調にしたダモクレス……データによれば『ブレイン・ハンター』の筈だ。
ジョーの相棒であるビハインドの『マリア』が金縛りのグラビティを高めた時だった。
空間を明るい光が照らした……。
薄闇に目が慣れていたケルベロス達が、もう一度光の元を見ると、もう一つの影が姿を現していた。
「……ブレイン、呼びもしないのに客人が来たのですね」
ブレインの背後から、落ち着いた女性の声が聞こえる。
「アゾート様、侵入を許したこと誠に申し訳ありません」
「構いません。あなただけのミスとも言えないでしょう。ですが……私達には、ジュモー様から仰せつかった役目があります。侵入者……ケルベロスの排除後、お役目を続けます。すぐに、お帰り頂きましょう」
言うと、智の門番アゾートは、ブレインに攻撃的グラビティの加護を与える。
「チッ! 智の門番アゾートってのまで、お出ましか」
舌打ちしながら、星野・光(放浪のガンスリンガー・e01805)が『FerriSeptentrion』をアゾートに向け、更に言葉を続ける。
「智の門番、か。大層な名前じゃないの。……是非何かご教授願いたいもんだね?」
言葉と共に瞬時に爆烈弾を撃ち放つ光。
だが、その弾丸はブレインの巨大な盾によって防がれる。
「これだけの兵器が動けば、それだけで多くの被害が出る……あなた達は分かっていますか?」
あくまで確認するように、レイン・プラング(解析屋・e23893)がアゾートに尋ねる。
「それが、ジュモー様の御意志です」
「完全にといかなくとも、少しでもその動きを遅らせさせてもらいます!」
一気にブレインとの距離を詰めると、レインは自身の腕をドリルのように回転させ、装甲を削りに行く。
「先人は言ったものだよ『大きい戦の前迄に費やした時間こそが戦争の行末を左右する』ってね。だから、ドレッドノートの修復はさせないよ!」
言うと、ジューン・プラチナム(エーデルワイス・e01458)は、纏っていたケルベロスコートを脱ぎ捨て、 ヒロイックなフィルムスーツへと姿を変える。
「鎧装天使エーデルワイス、いっきまーす!」
空を滑空しながら、ジューンは流星の如き蹴りをブレインに決める。
「絶対に負けないんだからねっ!」
強く言うジューンを前にブレインは、目にあたる部分を光らせるとシールドを中心に癒しと護りのグラビティを広げていく。
「ケルベロス、私達にも時間が無いのです……お帰り願いましょうか」
穏やかな口調と共に、アゾートは振りかざした手から夥しい雷光を放った。
●智の門番アゾート&ブレイン・ハンター
「敵戦力確認……データベース照合……火器管制システム、アップデート完了。最新パッチ、配信します」
集中力を高める癒しのドローンを飛ばしながら、リティは戦況の正確な把握に努める。
「この巨体に歩かれたらメーワクなんだよッ! ……文字通り『足止め作戦』ってワケだ! 俺達でキッチリ役目を果たさせてもらおうじゃねーかッ!」
『GODLIGHT』で月弧を描き、あぽろがブレインを袈裟に斬る。
だがすぐに、アゾートが癒しのグラビティをブレインに注ぎ込めば、ブレインの機械で出来た矛の様な武器に輝きが増す。
あぽろに振るわれるその矛を寸前でコロッサスが身を呈して受けるが、ジョーが与えていた黒鎖の護りの力ごと打ち砕かれる。
「金剛神将の名に懸けて、仲間を傷つけることなど許さぬ! 我、神魂気魄の剛撃を以て獣心を断つ――」
闇を纏う雷の神剣を手にコロッスサスがブレインを薙げば、破邪の神雷と八雷の輝きがブレインの装甲を裂く……だが、予想よりも傷が浅い。
「ヒールに防護アップのグラビティも秘められている……おそらく、アゾートの回復には攻撃力アップ。なら、私が……」
戦闘開始時からのデータを解析しつつ、自身の最適解を弾き出し、レインはブレインに与えた傷口を大きく広げようとナイフを突き刺す。
ケルベロス達とアゾート&ブレインの戦闘は5分が経過していた。
この5分……ケルベロス達は冷静に、勝機となる攻撃を取捨選択し果敢に攻めていたが、相手である精鋭ダモクレス2体に――しかも連携に長けた2体だ――苦戦を強いられていた。
可能な限り戦闘を早く終わらせ、他のチームの救援に向かうというのがこのチームの基本方針だったが、皮肉にも自分達に課せられたのは真逆である、『仲間達が救援に駆けつけてくれるまでの持久戦』になっていたのだ。
コロッサスを中心に乱戦も視野に入れた作戦も考えていたので、攻撃手順を迷うことは無かった……アゾートの盾となっているブレインに先に攻撃を集中させ、ダメージを蓄積させている。
だが、その間……頑なに守られているアゾートが完全にフリーになってしまっているのだ。
5分と言う時間での、こちらのダメージ蓄積量、グラビティチェインの乱れ、敵の動き、最後衛から観察し続けたリティが考えるに、アゾートがジャマー、ブレインがディフェンダーなのは間違いない。
だからこそ時間をかけることが、自分達の不利に働くことも分かっていた。
ダモクレス2体は回復する度に力を増していくのだ。
頼みの綱は、竜の爪を振るう流石だった。
「どんな因縁があるか知ったこっちゃねぇし、運が良ければてめぇの手で始末が付けれるかもしれねぇ。全ては可能性の話になっけど、それにチップ張んのも悪くはねぇ!」
流石の爪が守りの力を、矛の威力を弱められる……だが、連発すれば見切られる。
ギリギリの判断で攻撃手段を変える必要があった。
「リティ! ジョーのダメージが酷いよ! ボクが気を引くから回復を! この一撃を受けてみろ!」
英雄の力を最大限に身に宿し、ジューンがブレインを急襲する。
「魔術施術……ミッションセット!」
リティは冷静に機械的魔術施術のグラビティを高めていく。
(「人は……小さくて脆いけど、だからこそ今を精一杯生きる。そんな命を、これ以上散らすわけにはいかない。……だからわたしは、今出来ることを冷静に」)
「こっちも護りを固めるしかねえか。いくらぶっ壊されても、張り続けてやるだけだ!」(「……先は長いんでな。何時までも、お前らの相手はしてやれん。テメー等を倒したら次は俺達すらも飲み込んじまうような、このデカブツだ!」)
強い思いを胸に秘め、脚に溜め込んでいたグラビティを黒鎖に注ぎ込むと、ジョーは大きく黒鎖を振り回し円を描く。
「とにかく、ドレッドノートをそう気軽に動かしてもらっちゃ困るんだ。……悪いけどその目的、何としても阻ませてもらうよ!」
漆黒の長い髪を靡かせながら光は、アームドフォートの主砲を一斉発射し叫ぶ。
「そちらにはそちらの事情……こちらにはこちらの事情がありますので……」
憐れむように言うと、アゾートは小さく唇を動かす。
瞬間、前を固める者達を強力な冷気が襲った。
「マリア!」
ジョーが叫ぶ中、マリアはグラビティ・チェインの枯渇により、霞のように消えていった……。
●機械神殿持久戦
「くそがあっ! そこで震えて止まってな!!」
強く床面を踏みしめたジョーの右足から強力な振動エネルギーがブレインにダメージを与える。
だが……ブレインの前進は止まらず、ブレインのレーザーがコロッサスや流石を巻き込むと、ジョーのグラビティ・チェインを燃やし尽くした。
「リティさん……ジョーさん―――回復不能。私も他の方の回復を支援します。―――解析完了、データリンクします」
心の中の動揺を表面には出さず、冷静に的確な行動が出来るように、静かに戦況を見ながらレインは、仲間達の身体・思考データを解析し、癒しの力としてグラビティを放つ。
戦闘開始から8分……ブレインのHP残量は20から30パーセントと言ったところだろうか。
しかし、後ろに控えているアゾートは殆ど無傷と言っていい……ケルベロス側は、既に盾となれる仲間がコロッサスしかいない……そして、そのコロッサスの負傷もけして軽い訳ではない。
それでも、コロッサスに頼る他無いと……リティのデータベースが明確に言っている。
「……データベース照合。……コロッサス・ロードス優先ヒール展開」
リティのヒールグラビティがコロッサスに今一度、剣を振るう力を与える。
(「六軍団による犠牲者は千人を優に超えるが……ドレッドノートが、その力を完全に取り戻せば被害は桁違いに増えるだろう……。それを許す訳にはいかぬ。如何なる強敵が相手であろうとも、悪しき終焉、悲しき未来は……我らの武と意地を以て打ち砕く。何より、俺は……」)
「彼女の元へ帰らねばならぬのだ!」
コロッサスの渾身の一撃がブレインの盾ごと、ブレインの装甲を砕いた……にも関わらず、ブレインの右手は無慈悲にも動き、コロッサス目掛けて振り下ろされようとする。
「させねえぜ! 喰らって消し飛べ! 『超太陽砲』ッ!!」
轟音と共に放った、あぽろの最大火力がブレインを呑み込む。
「まだ立ってるよ! ボクが狙い撃つよ! あぽろ、下がって!」
冷気の光線をブレインに放ちながら、ジューンが叫ぶ。
その時、光の瞳に映ったのは炎に呑み込まれた筈のブレインにヒールを飛ばす、アゾート。
「アゾート! こっちを向くんだね!」
精神力の爆発を起こし、少しでもアゾートの気を引こうとする光。
時間にして十数秒の駆け引き……だが、ブレインの矛は重く、コロッサスの真紅の聖鎧『金剛不壊』に大きな亀裂を作った。
倒れ伏すコロッサス。
「仕方ねぇ! 男2人の回復は後だ! 攻撃で畳みかけるしか、勝機はねえ! 行くぜ、てめぇら!!」
(「運は、自分の手で掴み取るしかねぇんだ!」)
一人の女性として……そして、ケルベロスとして吠えると、流石は鋭い蹴りをブレインの首に決めた。
●撤退……再戦の誓い
『ズガァァン!』
アゾートの雷光が、光に放たれるとテンガロンハットが飛び、光が膝を付く。
「……レイン。……撤退よ」
数度目のドローンを放ちながら、リティがレインに悔しげに呟く。
「……ですね。……ジューンさんとあぽろさんで、どうにか戦闘の体は成しているけれど、光さんと流石さんはこれ以上……戦えない。全力攻勢で行ったとしたとしても、倒せるのはブレインだけ。アゾートには勝てない……こちらの被害を増やすだけです」
作戦を成功させたい気持ちは、当然二人にもある。
だが、このまま戦場に居続ければ、コロッサスとジョーの命が危なく、他のメンバーの負傷も、ただただ大きくなってしまう……連携の取れたダモクレス2体が相手では、どうしても戦力不足が否めなかったとしか言いようがない。
なら、どのタイミングで撤退するのがベストか……レインが考えを巡らせていた時だ。
突如、アゾートとブレインに向け、数発のグラビティが放たれた。
エリアを別った別チームが、救援に来てくれたのだ……そこからの彼女達の判断は早かった。
足元のおぼつかない、流石と光をあぽろとジューンが支え、一番負傷度の低いレインとリティが牽制の為だけにグラビティを放つ。
意識の無い、コロッサスとジョーを救援に来てくれたチームに任せ、一刻も早いドレッドノートからの脱出をはかる。
追撃の様子は無い。
遠くなっていく、アゾートとブレイン。
大きなダメージを与えた『ブレイン』だけでも倒しておきたかった……。
彼女達の本心だ。
だが、それは大きな犠牲を出すことになるかもしれない……リスクのある賭け。
彼女達は唇を噛み締めながら、機械神殿を後にした。
ケルベロス・ウォーでの再戦を胸に誓って……。
作者:陸野蛍 |
重傷:コロッサス・ロードス(金剛神将・e01986) ジョー・ブラウン(ウェアライダーの降魔拳士・e20179) 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年4月14日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 0
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