載霊機ドレッドノートの戦い~暴虐の歯車

作者:つじ

●強襲作戦
「大変ですよ皆さん! 何かすごいことになってます!!」
 ハンドスピーカーを手に、白鳥沢・慧斗(オラトリオのヘリオライダー・en0250)がケルベロス達へと呼び掛ける。何がそんなに大変なのか、最近起きた出来事と言えば、コマンダー・レジーナをはじめとするダモクレス達の弩級兵装回収作戦だが……。
「警戒に当たっていた方々により、回収された弩級兵装が、載霊機ドレッドノートに転送された事が分かりました! このままでは載霊機ドレッドノートが再起動してしまいますよ!!」
 館花・詩月(咲杜の巫女・e03451)達の警戒の成果と呼ぶべきか、とにかくこれを事前に察知できた功績は大きい。
 先日のケルベロス達の活躍により、載霊機ドレッドノートがすぐに動き出す事は無いようだ。しかしコマンダー・レジーナが健在である以上、時間を与えれば載霊機ドレッドノートは本来の力を取り戻してしまうだろう。
「ということで強襲作戦です! 指揮官型の守護する載霊機ドレッドノートにきつい一撃を加えてやってください!!」
 この先制の一撃の成否は、間違いなく今後の趨勢に関わってくるだろう。拳を強く握りしめ、慧斗はそう力説した。

「それでは作戦の概要を説明します!」
 その言葉と共に、画面に資料映像が表示される。
「まず大前提として、ドレッドノート周辺に設置された『ヘリオン撃破用の砲台』の排除が必要です! そしてこれが成功次第、ヘリオンでドレッドノートに接近、降下し、その後それぞれ四ヶ所の攻撃目標へ仕掛ける、という流れになります!」
 大まかなところは慧斗の説明の通りだ。踏破王クビアラの設置した砲台の破壊、そして降下班の場合はその後の四つの攻撃目標へのアタック、ここに集まったメンバーもその内のどれかを担う事になるだろう。

 まずは前提となるのが『砲台破壊』。ここでは、砲台直上まで突入したヘリオンからケルベロスが降下、ヘリオンはそのまま離脱する作戦を実施する。降下するケルベロスは、空中でヘリオンへの攻撃を防ぎつつ、砲台に取り付き、砲台を守るダモクレスを撃破、そして砲台の破壊が目的となる。
 そして、その後の降下班が目指す四つの攻撃目標。
 1つ目の攻撃目標はジュモー・エレクトリシアンとその配下。ドレッドノートの歩行ユニットの修復を担っているため、攻撃する事で、ドレッドノートの動きの阻害が見込めるだろう。修復作業の指揮を執っているのはドクターD、智の門番アゾート、ネジクレス、ジュモー・エレクトリシアンの4体。それぞれ護衛部隊を引き連れている彼等を、複数チームで攻略する形になるだろう。
 2つ目はディザスター・キングが守る『弩級外燃機関エンジン』だ。ディザスター・キングの軍団は、自らが『弩級外燃機関エンジン』の一部となる事で、必要な出力を確保しようとしている。ここではディザスター・キングを中心に布陣しているダモクレス達を、外側から順に撃破していく形になると予想される。
 3つ目は、ドレッドノートの脊髄部にて『弩級超頭脳神経伝達ユニット』の修復を行っている、コマンダー・レジーナとその軍団だ。このユニットは修復されれば、ドレッドノート自身が巨体を制御してケルベロス達に攻撃できるようになってしまう。
 最後の4つ目は、弩級兵装回収作戦で動きのなかった指揮官型ダモクレス、イマジネイター。イマジネイターは、ドレッドノートと一つとなり、自らがドレッドノートの意志となるべく融合しようとしているようだ。戦力的な影響は小さいので優先度は他より低いと見られるが、今後の展開次第では脅威となり得る。可能ならば阻止しておきたいところだろう。融合中であるイマジネイターを撃破する事は難しくない。だがそこに至るためにはイマジネイターの配下を全て排除しなくてはならない。敵の数の多さも考えると、1チームでの連戦も視野に入れる必要があるだろう。
「――と、まぁこんな感じになります!」
 ひとしきり説明を終えて、慧斗が緊張と疲労を吐き出す。そうして一拍置いた後、一同を改めて見渡した。
「今回の作戦は、重要な拠点をピンポイントで攻撃する奇襲作戦となっています。役目を果たしてもそこは敵のド真ん中です、素早く撤退してください。
 僕は皆さんの活躍を信じています。けれど、どうかご無事で」
 珍しく神妙な顔でそう言って、慧斗はケルベロス達を送り出した。


参加者
メリルディ・ファーレン(陽だまりのふわふわ綿菓子・e00015)
毒島・漆(魂操術師・e01815)
レギオス・ゼロ(可変攻撃型機動兵器・e03453)
夜陣・碧人(昼寝仔竜の護り人・e05022)
ジェノバイド・ドラグロア(覇龍の称を求める狂紫焔龍・e06599)
リサ・ギャラッハ(悪魔は月を夢見て微睡む・e18759)
櫻木・乙女(サクライロの復讐者・e27488)

■リプレイ

●ドレッドノート強襲
 先行したケルベロス達の手により、クビアラの配備した砲台が沈黙する。ヘリオンの進行を阻むものは消え、後続の者達がそれぞれの目標へと降下した。
「大規模な作戦ですね」
 同時に降下する部隊の数を確認し、レギオス・ゼロ(可変攻撃型機動兵器・e03453)は改めてそんな感想を抱く。ケルベロス・ウォーに次ぐ規模、と見ても良いだろう。それもそのはず、この作戦はその戦争の前哨戦である。
「ここで勝利して、優位な状況に持ち込みましょう」
 突入するチームの数と同様、敵の数も多い。ここでの成果が後の戦いに響くことを考えると、責任は重大だが。
「やる事は何時もと変わりません……違いは敵が少し強力ってだけです」
 毒島・漆(魂操術師・e01815)は状況をそう断じる。
「それはまぁ、そうですけど」
 確かに、チーム単位で考えれば、『敵を倒し、生還する』という目標は普段と変わらない。それに頷いて笑う櫻木・乙女(サクライロの復讐者・e27488)に、リサ・ギャラッハ(悪魔は月を夢見て微睡む・e18759)も同調する。
「みんなでそろって、帰りましょう」
 無事の帰還を誓い、彼等は現場へと降り立った。
「行きますよ」
 これは強襲作戦だ、暢気にしゃべっている暇はない。そう仲間達を促す夜陣・碧人(昼寝仔竜の護り人・e05022)にメリルディ・ファーレン(陽だまりのふわふわ綿菓子・e00015)が続く。
 このチームの目標はドレッドノートの脊髄部分。破損した弩級超頭脳神経伝達ユニットを修復しているコマンダー・レジーナだ。
「やれ、随分とその大きな玩具にこだわるのですね」
 標的と、その前に立ち塞がるレジーナ旗下のダモクレス達を認め、メルカダンテ・ステンテレッロ(茨の王・e02283)が呟く。この『弩級』兵器の動作に関わるのだから当然と言えば当然か、防衛体制はしっかりと整っていた。
「あれは――」
 そんな中にある姿を見つけ、乙女が目の色を変える。

●魔導機装カルナ
「故郷を逐われた悲しみは、怒りは、やがて殺意へと変わり牙を剥く。反撃の狼煙をあげろ。奴等に、死という名の罰を与えるために―――!!」
 言葉と共に、乙女の背の翼が血の色に染まる。彼女の睨む相手は、結晶を纏った女性のような姿のダモクレス。
 因縁の相手を前に、激情を滲ませた乙女が鎖を放った。
「乙女……!?」
 メリルディが急ぎ魔導書を繰って彼女を援護し、その横でメルカダンテも自らの得物を構える。
「復讐か。良いだろう、わたくし達はこの女を相手取ります」
 周りに向けた宣言と共に、彼女はカードから槍騎兵を現出させた。
「……」
 絡み付く鎖、そして迫る騎兵の一撃を受け、ダモクレス『魔導機装カルナ』は熱の無い目でそちらを一瞥。戦闘態勢に移行したか、その背から結晶状の機構が四本の腕を形作る。
「データがまだ揃っていないんですが……」
「後でもいいだろ、行くぜ!」
 攻撃を受けそうになった仲間のためにレギオスが飛び出し、ジェノバイド・ドラグロア(覇龍の称を求める狂紫焔龍・e06599)が続いて突撃をかけた。
 火花を散らす脚部ローラー、それによって付いた炎をジェノバイドの斧が煽り立てる。そんな中、揺らめく炎を映した結晶体が煌めき、放たれた光線が前衛を薙ぎ払った。
 庇いに入ったボクスドラゴンのフレア、テレビウムのフィオナを盾に漆がスターゲイザーで牽制。そのまま反撃を読んで飛び退った彼は、乙女の横に着地した。
「ひとまず、落ち着いてください」
 漆の言葉に、乙女が頷いて返す。いつもの余裕も、軽口も消えている。それが良い傾向なのか、それともその逆かを測りつつ、彼は敵へと視線を注ぐ。
 その表情、そして張り詰めた空気にフレアが低く鳴き声を上げた。
「間違いないんですね?」
 それを宥めつつ問う碧人に、乙女はもう一度頷き、耐えかねたように地を蹴る。
 リサの放出したオウガ粒子を纏わせつつ、彼女は空中で大きく斧を振りかぶった。
「間違えるわけない、あれは父さまと、母さまの――!」
 巨大な刃がカルナの結晶の腕と衝突し、硬質な音色を響かせる。

「冬の鎖、地と水を従える精。鍛冶師は氷刀を振るう」
 碧人によって呼び出された精霊が乙女に続き、氷の刃を振るう。メルカダンテが跳躍して追い打ちの一撃を放つのを確認しつつ、碧人は周りの状況を探っていた。見る限り、同時に突入したケルベロス達は、それぞれに相手をするダモクレスを定めたようだ。
「援軍は無さそうですね」
 奇襲が成功したためか、挟み撃ちを狙ってくる敵も居ない。ならば目の前の敵に集中してしまって問題ないだろう。
 そう判断したところに、跳びこんできたカルナが結晶腕を突き出す。確たる威力を持ったその一撃を、レギオスが割り込み、受け止めた。
 軋みを上げる腕部装甲を交差させ、レギオスはその場に踏み止まり――。
「トレッド!」
 そこを駆け抜けたライドキャリバー、トレッドがカルナの身体に轍を刻む。
 ケルベロスとダモクレス、離れた両者はそれぞれ体勢を立て直し、また刃を交錯させる。今回のケルベロス側の陣容は、前線に重きを置いた形だ。サーヴァントを交えたディフェンダーが攻撃を防ぎ、クラッシャー二人がスナイパーと共に敵の装甲を削り落としにかかっていく。
「お前だけは……この私が殺す! 必ず!!」
「……出来るの? ……貴女に」
 大斧と結晶腕、ぶつかり合うそれらを挟んで乙女とカルナが言葉を交わし、二人が離れたところをジェノバイドが仕掛けた。
「好きにさせるかよ無機物野郎!」
 地獄を纏った斧が閃き、カルナの装甲に刃が喰らい付く。至近距離で互いの動きを探る両者の視線は、自然と互いのそれを捉えるが……。
「……気に食わねぇな、てめぇからは生気を感じねぇ」
 やる気を見せろと言わんばかりの表情で、さらなる一撃と共にジェノバイドは翼を打ち振るい、宙を舞った。
「乙女、熱くなってる?」
「そうですね……」
 味方をオラトリオヴェールで包みながら、メリルディが口にした懸念に、同じく視線を送っていた碧人が頷いて返す。因縁の相手であることから心境を窺い知る事はできるが、鬼気迫るその様子には危うさを感じずには居られない。
 かと言って、止めるわけにもいかないだろう。そんな懊悩を共有しつつも、リサは二人に微笑んで返した。
「……大丈夫ですよ。誰も倒れさせません、私が守りますから」
 月結び。刻まれた傷を癒し、彼女はもう一人の仲間に視線を向ける。
「……毒島さん」
「……分かっています。せいぜい掻き乱してやりますよ」
 応えた漆が目を細め、敵の足元に意識を集中、サイコフォースでの爆発を生じさせた。

「勝手は許さん、おまえはそこに居ろ」
 空中からメルカダンテが仕掛け、カルナを釘付けにする間に、碧人がバールで以ってその装甲を剝がしにかかる。
「硬いですね……!」
 敵の体力を削るのに重点を置いた者達に対し、彼等はその動きを制限する事を重視している。派手さはないが、その成果は徐々に明らかになっていくことだろう。
「ケルス、捕まえて!」
 そして続く戦闘の中、探り当てた隙を突いて、メリルディが攻性植物を放つ。絡み付くそれに抵抗しつつ、カルナはしかし明後日の方に意識を逸らした。
「どこを見ている、お前の相手は私だ!」
 乙女が斧を振り下ろす。迫り来るそれを腕の一つで受け止め、カルナは忌々し気に眉根を寄せた。
 ここまで一切情動の見られなかった敵の微かな陰り。それに気付いたメルカダンテが敵の視線を追いかける。
「……ほう?」
 同様に、戦いと並行してデータを集めていたレギオスもある違和感に行き当たっていた。
(「これは――」)
 乱戦の様相を呈するこの戦場だが、基本的には1体多の、ケルベロスが数で勝る戦闘が繰り広げられている。
 敵の分断は大成功、強襲作戦が見事に決まったと見る事もできるが……何より大きな要因は、この場に対処すべき『指揮官』が機能を果たせていないことだろう。
 他よりも強力な『指揮官』に対して、そのチームは臆する事無く向かっていた。ともすれば拙速とも言えるその仕掛けにより、コマンダー・レジーナは他に気を回せないでいる。
「これは、負けられませんね」
「もとより、そのつもりだろう?」
 気を入れなおした二人は、もう一度カルナへと挑みかかっていった。

 決着へと向けて、戦いは加速していく。結晶の腕で以ってケルベロスを捌いていたカルナだが……。
「邪魔なんだよ……とっとと刻まれろ!」
 Demonvyde・肆式、ジェノバイドの腕の黒い獣が、防御に回った結晶腕を食い破った。
「覇を唱えるならこれくらいはしてやらねぇとな」
 砕けた結晶の雨の中で笑うジェノバイドに、残りの腕が向けられる。光が収束し、放たれる三条の光線、そこに身を躍らせたのは、ボクスドラゴンのフレアだった。
「ギャウッ!」
 集中砲火に耐え切れず、倒れるその姿に、目の色を変える者が一人。
「――死にたいようですね」
 普段とさして変わらぬ表情で、しかし憤怒の気配を漂わせながら碧人が得物を振るう。影から伸びた斬撃は、目にも止まらぬ速さで敵の脚部を引き裂いた。
「終わりが見えてきたか?」
 がくりと膝をつく敵に、メルカダンテが高圧的に問う。繰り返される攻撃で凍り付き、さらにその上から傷付けられた足は、本来の力を発揮するには程遠い状態にある。それは攻撃手段を選び、堅実に攻めてきたケルベロス達の狙い通りの展開だ。
 それでもなお、カルナの実力を鑑みれば油断する事は出来ない。ケルベロス等がさらに攻撃を加えていく中、鋭い反撃を向けられた乙女を、リサがその背に庇った。
「……行ってください」
 その身を灼く光の束に身を晒しつつ、リサは後ろの親友に声をかける。
「ナノマシン散布!」
「乙女! おまえの敵だろう!」
 急ぎ回復の手を回すレギオスに続き、敵の傷口をさらに斬り広げ、決定的な隙を作りだしたメルカダンテが声を上げる。
「大丈夫、漆?」
「もちろんですよ、リル」
 メリルディの脳髄の賦活を受けた漆が、グラビティ・チェインを操作して手刀を硬質化。
「……!」
 乙女のスカルブレイカーと共に、漆の指極・玻璃絶刀刺がカルナの身を貫き、打ち倒した。

●復讐の幕
 倒れ伏したカルナに、乙女が一歩ずつ歩みを進める。戦闘中とは違う、一方的に縮む距離に、彼女は浅く息を吐いた。
 最後の一歩が刻まれたところで、カルナが乙女へと目を向ける。
「復讐の連鎖は終わらないわ……さあ……殺しなさい……次は……貴女の番……」
「……ッ」
 仇敵の言葉を受け、自然と斧を握る手に力がこもる。……だが、そこまでだった。
「乙女さん……」
 そうして強張った彼女の肩に、リサが手を触れる。
「仇が憎いなら、何度だって手伝いますが、それだけを追い求めないでくださいね」
 気遣うようなその言葉に、一度きつく目を瞑る。その裡にどのような思考が巡ったのか、それを他者が知る術は無いだろう。
 だが目を開いた乙女は、もう一度しっかりと敵を見た。
「私は独りじゃないから……どんなに辛くても、悲しくても、私は前に進む……皆の声が、想いが、私たちの導になる!」
 躊躇いを振り切り、決意を新たに斧を掲げる。
「折れぬ心は、朽ちぬ魂は、深淵をも伐ち祓う無限の勇気。勇敢なる魂よ、今此処に集いし戦士達の導となれ」
 詠唱と共に斧が輝き出し、血色に染まっていた翼が、純白へと戻っていった。
「ふふ……楽しみね……貴女達の……未来が……」
 刃が振り下ろされ、ダモクレスの笑みが断ち切られる。
 こうして、一つの戦いは決着を迎えた。

「父さま、母さま……私は、皆を守れましたか……?」
「……物思いに耽るのは後で。まずは生き残ることです」
 天を仰ぐ乙女に、様子を見ていた碧人が告げる。
「……行きましょうか」
 ぎこちない笑顔でそれに応え、視線を移した先には――。

●そして、この戦場の終わり
「まだ壊したりねぇな!」
 余裕とはいかないまでも、まだ戦えるだけの余力はある。周りの戦闘が終息していく中、一つ吼えたジェノバイドが次に定めた敵は、コマンダー・レジーナである。
 果敢にも、彼女に立ち向かっていた班は皆力尽き、倒れ伏している。それは退くことなく挑んだゆえの結果だ。その成果がカルナとの戦闘にも表れていたのは言うまでもない。
「私は最後まで任務を遂行する。……私が私である限り」
 それぞれの戦いを終え、複数の班のケルベロス達が駆け付ける。既に満身創痍のコマンダー・レジーナは、それでもなお敵を迎え撃つ構えを取った。
「望みを絶たれても、姿勢は変わらんか」
「彼等の戦果、無駄にはしません」
 興味深げに言ったメルカダンテがカードを選び取り、レギオスもまた戦意を漲らせる。ジェノバイドをはじめ、詰めへと動く者達に先んじ、遠距離攻撃手段を持ったケルベロス達が各々の銃口を上げていく。
「……ブチ抜けぇええッ!
 誰かの叫びと共に、辺りを光が舞う。ケルベロス達ならば、それがオウガ粒子の光であることがすぐに分かっただろう。
「さあ、最後の一押しですの!」
 そして、もう一人のケルベロスの声が、攻撃の口火を切る合図となった。メルカダンテは氷騎兵を突撃させ、レギオスはグラインドファイアの一撃を見舞う。漆のサイコフォース、メリルディの熾炎業炎砲もそれに続き、二十を超える数のケルベロスによる一斉攻撃がコマンダー・レジーナを塗り潰し、蹂躙した。
「……もはや、ここまで……か」
 近接戦に入るまでもなく、嵐のような攻撃に晒されたレジーナが膝をつく。
「――笑ったまま倒れやがったか」
 結果的に仕掛け時を失ったジェノバイドが、残念そうに、だがどこか満足気に呟いた。

 弩級超頭脳神経伝達ユニットの修復は阻止され、護衛と共にコマンダー・レジーナの撃破に成功。この場所に限れば、ケルベロス側の完全勝利と言って良いだろう。
 掴んだ勝利を確信し、戦士達の勝鬨が上がった。

作者:つじ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年4月14日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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