「弩級兵装回収作戦、みんなお疲れさんやったで」
集まったケルベロス達の前で、宮元・絹(レプリカントのヘリオライダー・en0084)が新たな作戦の説明を開始していた。
「その作戦のうち、『弩級超頭脳神経伝達ユニット』と『弩級外燃機関エンジン』にダメージを負わせることは出来たけど、回収はされてしもたんは、知ってる通りや。んで、その回収先が、黒住・舞彩(我竜拳士・e04871)ちゃんとかの調査のおかげで分かったんや」
行き先は分からないものだと思っていた、絹の目の前にいるケルベロスが驚きの表情を見せる。
「この弩級兵装は、ダンジョン、載霊機ドレッドノートへ転送されたそうや」
何人かは予想をしていたようで、納得の表情で頷いた。
「ちゅうことはや、指揮官型ダモクレスの目的は、弩級兵装を載霊機ドレッドノートに組み込んで、再び起動させる事やろう。こんなん動いてしもたら、ケルベロス・ウォーを発動して対処するしかなくなる。
幸い、さっき言ったように与えたダメージのおかげで、直ぐに動くことはないやろけど、コマンダー・レジーナが『弩級超頭脳神経伝達ユニット』を修復できるっちゅう能力をもってるらしいから、ほっといたら折角与えたダメージも水の泡や。
そこでや、載霊機ドレッドノートへの強襲作戦が行われる事になったで。今回はケルベロス・ウォーによる決戦の前に、載霊機ドレッドノートを守るダモクレス達を減らす。これが任務や」
絹の話を聞いたケルベロス達は、やってやるぞといわんばかりの表情で頷く。
「こっからが話長ぉなるんやけど、しっかり聞いてな、作戦の概要や。
まず、載霊機ドレッドノートは今ダモクレス軍団に制圧されてる状態や。その周りにはマザー・アイリスの量産型ダモクレスが展開しとって、ケルベロス・ウォーを発動せんと、攻め込むのは難しいねん。まだケルベロス・ウォーの前やから、そんなんできへんから、ヘリオンからの降下作戦を行うで」
降下作戦というと、ミッション破壊を思い出すケルベロス。その事を絹に問う。
「んー。実はちょい状況がちゃうねん。実はな、踏破王クビアラが対ケルベロスの作戦で、ドレッドノートの周りに『ヘリオン撃破用の砲台』を設置しよったわけや。せやから、まずはこの砲台を潰さなあかん。
その砲台が潰せて初めて降下作戦ができるっちゅうことやな」
成る程と頷くケルベロス達。絹はその様子を見て、説明を続ける。
「潜入後の攻撃目標は4つや。
一個目は、ドレッドノートの歩行ユニットの修復を行っている、ジュモー・エレクトリシアンとその配下。この部隊を攻撃するとドレッドノートの動きを阻害する事が出来る。
二個目は、ディザスター・キングが守る『弩級外燃機関エンジン』。こいつらは足りない出力を補うべく、自分達がこのエンジンの一部になろうとしとる。それを止める事ができれば、レッドノートの出力を引き下げる事が出来る。
三個目は、『弩級超頭脳神経伝達ユニット』の修復を行っている、コマンダー・レジーナとその軍団。まあ、本体やな。この修復作業が完了してしまうと、レッドノート自身が巨体を制御してケルベロス達に攻撃できるようになってしまう。弩級の名の通り、殴りつけるだけで巨大なクレーターが出来るくらいの攻撃力を持つみたいや。これは、なんとしてでも止めたいな。
んで四個目が、弩級兵装回収作戦で動きのなかった指揮官型ダモクレス、イマジネイターや。こいつらは、自らがドレッドノートの意志となるべく融合しようとしているらしい。今んところ危険は少ないけど、もし、ケルベロス・ウォーに負けてしもたら、自ら意志を持つ弩級ダモクレスが出現する事になる。言わばリスク回避やな」
要点を把握したケルベロスが、で、我々は何処に向かえばいいんだ、と問う。
「何処に向かうかは、今回みんなで決めて欲しいっていう作戦やねん。今回この作戦は40チームで行う事になってるから、そっちの皆と相談してもええし、ここだけで決めてもええ。ただ、今回の成否が、ケルベロス・ウォーを含めた今後に大きく関わってくる。気ぃ引き締めてな。そんで、絶対帰ってくるんやで! 頼んだ!」
参加者 | |
---|---|
燈家・陽葉(光響射て・e02459) |
神崎・晟(忠勇義烈・e02896) |
黒住・舞彩(狂竜拳士・e04871) |
アゼル・グリゴール(アームドトルーパー・e06528) |
笹ヶ根・鐐(白壁の護熊・e10049) |
黒鉄・鋼(黒鉄の要塞・e13471) |
餓鬼堂・ラギッド(探求の奇食調理師・e15298) |
ラーヴァ・バケット(地獄入り鎧・e33869) |
●突入
「動くドレッドノートとか、見てみたくはあるけれど、実際に動くと迷惑どころの話じゃないしね。せいぜいダモクレスの企みを潰させてもらうとしよっか」
燈家・陽葉(光響射て・e02459)が周囲を見渡しながら、独り言のように呟く。
八つの信号弾を確認したケルベロス達は、ドレッドノートの入り口で他の二つのチームと合流し、ダンジョンの奥へと進んで行っていた。
「アゼル。エアシューズはどう?」
黒住・舞彩(狂竜拳士・e04871)が隣を歩くアゼル・グリゴール(アームドトルーパー・e06528)に尋ねる。
「思ったより違和感が無いといったところでしょうか。動力を組み込めれば使い勝手はよいのかもしれません」
アゼルはそう言って、装備しているエアシューズのつま先でトンと金属の床を叩く。
「砲台は全部つぶせたみたいだけど、まだまだ予断は許さないわ。もしもの時は任せなさい。ダンジョンは死ぬほど入っているから。宮元くらい抱えて三日三晩は走り通せるわよきっと。なんてね。……なんか、燃えてきたわ」
舞彩がそういって地獄化した身体の部位から軽く炎を上げる。それを見たラーヴァ・バケット(地獄入り鎧・e33869)も同意する。
「ふふ……戦争前に我々の力をいま一度お見せ致しましょう」
ラーヴァの頭である鉛色のバケツヘルムから、地獄の炎がちらちらと揺れ、熱量を放ち始めた。
「生きて帰ることも大切です。ええ。黒鉄様は古本様に謝る為に生きて帰りましょうね!」
餓鬼堂・ラギッド(探求の奇食調理師・e15298)がいつものように軽口を叩く。その相手はいつものように黒鉄・鋼(黒鉄の要塞・e13471)である。
「五月蝿いぞ餓鬼堂。作戦中だ」
勿論、この受け答えもいつもの事だ。
「ふふふ……照れなくても良いんですよ」
二人はそう言いながら、お互いに地獄の炎を身体から上げ始める。その様子を見ながら、白熊のウェアライダー、笹ヶ根・鐐(白壁の護熊・e10049)が片手をぱたぱたとやりながら、汗をぬぐう。
「今回は地獄炎持ちが多いな……。ぬぉわっ!?」
「おっ、着火したか……やはり体毛があると不便だな。……これ、水で消火できるのか? とりあえず、ヒールしておこうか。あ、キュアは持ってきていなかったか、すまんな」
神崎・晟(忠勇義烈・e02896)の声にあわあわしながら、自ら気力溜めを行う鐐。
辺りを注意深く探っていた陽葉が、はっとメンバーを振り返った時の様子がそれだった。
「……で、皆なにやってんの?」
同じ箇所に向かっているのは全部で3チームであった。周りで剣戟、爆音が響く。
「いやぁ悪い機会が蠢いているようですねぇ。ホースで塩水を大量に撒いたら錆びて死にませんかね?」
とはラギッドの談だが、どうやら他のチームの戦闘が開始されているようだった。ケルベロス達はそれには構わず、自分達の標的の下へと更にダンジョンを進む。目標は、ドレッドノートの腰から下半身部分だ。始めは軽く冗談を話すくらいの余裕があったのだが、徐々に口数が少なくなっていく。
そして、暫くすると、機械神殿のような不思議な空間に出た。
「雰囲気が、変わったね」
陽葉の声に、一同の緊張が走る。そして、別チームのコロッサス・ロードが低い声で注意を飛ばす。
「……どうやら我々の相手のお出ましのようだな」
コロッサスの注意を促す声に続いて、ユアン・アーディヴォルフが分かれた部屋の1つを指で示す。
「こちらの敵はお任せください、私達が参ります」
「コロッサス様、ユアン様。では我々は、こちらの御仁を相手にいたしますが、大丈夫でしょうか?」
ちらりと二人を見るラギッド。
「任せな。手強い相手だろうが、俺達は俺たちの役目をきっちり果たすからさっ!」
草火部・あぽろがこれからの戦闘を楽しむかの様に言い、志藤・巌が笑みを浮かべながら続ける。
「おう、こっちは任せときな。さっさと倒して合流するから、やられんなよ」
その笑みの奥に浮かぶ瞳には、決意の表情があった。ラギッドは、それを頷きで返す。
「私達も仕事をしてみせるわ。任せて。なんてね」
舞彩の言葉を聞いた一行は、それぞれの敵と向き合った。
すると、黒ずくめの鎧を纏ったダモクレスが、一歩前に出る。
「良いだろう。お前たちの相手は私が受け持とう。……そら、挨拶代わりだ!」
黒のダモクレスは、体の半分を超える盾を構え、そして光る剣を抜き放ち、そのまま目の前の晟に切りかかった。
ギィン!
「いきなりとは、行儀が悪いな……!」
晟は竜の手甲でその剣を弾く。
「さあ、私を倒してみろ!」
黒ずくめのダモクレス、ウェポン・ハンターはそのままダンジョンの奥へと下がっていく。
このままでは他チームと引き剥がされる。しかし、ウェポン・ハンターをこのままにしては置けない。意を決したケルベロス達は、標的を追って行く。最後に残ったラギッドが他のチームに叫んだ。
「必ず戻ります!」
どうかご無事で。ラギッドはそう思いながら、前を向いた。
●分断
「私とラグナルから後ろには行かせん!」
晟がオウガメタルからオウガ粒子を放ち、ボクスドラゴンの『ラグナル』と前衛に纏わせていく。
「盾はな、己も含めて守ってこそ盾なのだ。壊れては次の脅威に対応出来んからな」
鐐とボクスドラゴンの『明燦』も、あわせて前に出る。そして、超重の一撃をドラゴニックハンマーで打ち下ろす。
「行きます!」
その鐐の攻撃にあわせ、アゼルがエアシューズから重力を纏わせた飛び蹴りを放つ。しかし、ウェポン・ハンターはその攻撃を軽々避ける。
「早い!? それなら!」
舞彩がエアシューズ『レッグギロチン』の蹴りを、狙い済ませて放つ。まずは機動力を奪う事だ。
ドゴン!
その蹴りを食らったウェポン・ハンターが、壁に打ち付けられる。
『こちら、陽葉。二つ隣の部屋で戦闘中だよ』
陽葉が振り返り、来た道へと割り込みヴォイスを投げかける。当然、返事は帰ってこないが、聞こえればそれで良い。中央のメンバーは明らかに人員が足りていない。少しでも持ちこたえる事が出来るようにと、出来るだけこちらの状況は伝えておきたかったからだ。
「早くこの敵にケリをつけて、支援に参りましょう!」
ラギッドが如意棒をヌンチャク型に分離させ、そのまま追撃にかかる。
しかし、素早く立ち上がったウェポン・ハンターは、軽く反動をつけて残像を残しながら消える。
「何処を見ている!?」
そして、ラギッドの背後をとり、光らせた剣を振りぬいた。
「ぐっ……」
その痛みに耐えながら、ラギッドはその場から素早く離脱する。その腹部からは血が滴り落ち、晟のオウガ粒子ごと切り裂かれていた。
「そこだ!」
鋼が高速演算で見えた構造的弱点へと、チェーンソー剣を振りぬく。狙いは、その鎧の継ぎ目であった。
ギン!
しかし、聞こえてきたのは金属音であった。狙いを外したとは思えなかった。だが、鋼の剣は現に弾かれたのだ。
「その足を止めていただきますよ!」
ラーヴァが頭部から炎を上げながら、ウェポン・ハンターの懐に入り、蹴り上げる。その蹴りがウェポン・ハンターのバランスを崩させる。
「硬いですね……」
ラーヴァはその手ごたえに、思わず呻いた。バランスを崩させる事には成功したが、まるでダメージが入った様子が無いのだ。
「少し、予想以上……でしょうか? ここは、集中。撃破優先で行かないと……」
アゼルがその攻撃への反応に、気を引き締める。
「私がこの場所を受け持った限り、そう簡単に行くと思うな」
ウェポン・ハンターはその大きな盾を前に構え、光る剣をゆらりと動かした。
●覚悟
ケルベロス達の想像した以上にウェポン・ハンターの守りは堅かった。何度も攻撃を仕掛け、漸く攻撃がヒットするようにはなったが、その黒い盾や鎧がケルベロス達の攻撃を弾くのだ。
「どうした? こんなものか!?」
ゆっくりとした動作で、ウェポン・ハンターがにじり寄り、鋼の頭部へと切りつける。
ガツン!!
鈍い音を上げて鋼がのけぞる。鋼の仮面は傷一つ付いていないが、その中、即ち頭部そのものへとダメージが直撃する。
「ぐぉ……! まずい、すまないが一旦下がる」
鋼は頭を振りながら、鐐と明燦の隣まで後退する。
「……倒れさせはしないよ。それが僕の役目だからね」
陽葉が妖精の祝福と癒やしを宿した矢を鋼に向けて、放つ。
『想いの結晶たる至高の酒杯よ!汝が根源たる癒やしの力を示せ!』
更に、鐐が杯に酒精を満たし、前を行くものへ振り撒く。
「対した護衛じゃないか……。暫く、私とラグナルが相手だ!」
晟がラグナルを肩まで抱え、そのまま振りかぶって放り投げる。ラグナルはその勢いを使ってタックルを食らわせる。
続けて、明燦も突っ込んでいく。しかし、その2体のボクスドラゴンのタックルをも、ウェポン・ハンターは弾き返す。
『ズガァァン!』
その時、近くの壁から轟音が響き渡り、ビリビリとグラビティの振動が伝わってきた。
「我々が来た方向の壁から、かなりの光が反射したのを見ました。我々の敵も強いですが……あちらは大丈夫、でしょうか」
「餓鬼堂さん。集中、しましょう。我々はこちらの敵を受け持ったことが、最優先です」
アゼルがエアシューズへ空の霊力を帯びさせて、蹴り付けながらその反動で着地し、少し心配そうな表情のラギッドへと話す。
「今のは、恐らくアゾート様の力だな……」
ウェポン・ハンターはアゼルの攻撃で膝が落ちたが、そう言いながらも立ち上がる。
「早く、アナタを倒して加勢に向かいたいものだわ。なんて……そうも、言えなくなってきたのかしら?」
舞彩がそう言いながら、ファミリアロッドの鶏、『メイ』を飛ばす。すると、メイはウェポン・ハンターの膝を引き裂いた。
「我々は……この場が最期と決めている」
既にウェポン・ハンターの足は当初のような素早さを発揮できないでいた。だが、それでもまた立ち上がる。
「絶対に、お前たちを止める。刺し違えても!」
「何て……覚悟でしょうか」
ラーヴァはその言葉にはっと気がついた。ここは敵の奥の手とも言えるドレッドノートの内部なのである。彼らは自分自身の任務を成功させる事を、命がけでやっているのだ。
「少し、浮かれていたので御座いますかな。私も」
ラーヴァはそう言い、ゆっくりとバケツの仮面から地獄の炎を灯らせる。
「分かりました。そして少し謝罪をいたしましょう。あなた様に最大限の敬意を払い、全力でお相手いたします!」
●苦戦の果て
「皆、良い?」
陽葉は全員がウェポン・ハンターを見据えたのを確認し、妖精弓『金烏の弓』を引き絞り、目にも止まらぬ速さでその弓を放つ。
『「身」頭滅却すれば、火もまた涼し。燃えるものが残らねば、熱さなど感じないだろう?』
晟が蒼い炎の息吹を吐き出し、火炎旋風を巻き起こす。するとその炎は、ウェポン・ハンターの周囲を螺旋状に渦巻く。
「私の全力、受けて見なさい!」
そして、舞彩が左腕の地獄を放ち、竜殺しの大剣へと注いでいく。
『魔人降臨、ドラゴンスレイヤー。ウェポン、オーバーロード。我、竜牙連斬!』
地獄の炎が雷光を纏いながら、ウェポン・ハンターに討ち放たれていく。
「貴公等にも都合はあろうさ。だが、我がともがらが傷付くことを、分かって見過ごすことは出来ん、観念せよ!」
鐐が舞彩の地獄の炎と共に突っ込み、ドラゴニックハンマーを振り下ろす。
「ぐ……」
すると、ウェポン・ハンターの身体から晟の炎が倍増して巻き上がり、更に鐐の氷の力で更に傷つけていく。
「貴公の名誉、必ず護る。最後まで、戦士だったと!」
鋼のチェーンソー剣が唸りを上げ、全く傷つかなかった鎧に、亀裂を生じさせた。
「貴方は、強かった。忘れませんよ。そして、これが私の全力です」
ラギッドがそう言いながら、地獄化した胃袋を出現させる。
『煮ても焼いても食えない輩は踊り食いだ』
その胃袋に出鱈目に並んだ歯牙が、鋼の傷つけた部位へと、何度も噛み付いていく。
「さあ、ご照覧あれ。私をお見せ致しましょう」
ラーヴァが自らの地獄を灼けた矢へと注ぎ込み、何本も眩しく輝く矢を出現させる。
『我が名は光源。さあ、此方をご覧なさい』
その輝く矢が、ウェポン・ハンターへと何本も突き刺さっていく。
「私は、堕ちた生と未来を望む者……」
アゼルは無骨な対人戦闘用杭打機を出現させ、ウェポン・ハンターへに向き合う。
『ユニット固定確認…炸薬装填…セーフティ解除…目標捕捉、これより突撃する!』
一瞬で間合いを詰めたアゼルが、その鎧に杭を打ち込み、爆発させた。
「ここまで……か。だが、役目は、果たせた……な」
ウェポン・ハンターはそう呟き、爆発と共に消滅していったのだった。
アゼルと鋼が黙祷と敬礼を捧げた後、ケルベロス達はアゾートとの戦闘をしているチームとの合流を図ろうとした。
だが、様子がおかしかった。
先ほどまで聞こえていた戦闘の音が全くしていなかったからだ。
「……駄目だ」
様子を見に行った晟は、そう言って首を振った。
「駄目って?」
「……敵しかいなかった」
舞彩の声に晟がゆっくりと話す。
「まさか……全滅?」
「そんな訳がありません。……ええ、そんな訳が、あるはずが無いのです」
陽葉の声にラギッドが、それを否定する。
「落ち着け餓鬼堂。神崎さん。敵しかいないということは、死体などは無かったということで良いのですよね?」
鋼の言葉に、晟が頷く。
「恐らく、撤退したのだろうと思う」
「とすると、我々もここから脱出したほうが良いですね」
アゼルが素早くそう判断し、意見を伝える。
「そうだね。もう一班もどうなっているか分からないから、探しながら撤退することにしようか」
陽葉の声に、一時誰も反応できなかった。
「敵を……侮りすぎていたのかもしれません。……悔しいですが」
ラーヴァはそれだけ言うと、拳を握り締めた。
「俺達の敵も強かった。そして、俺達は生きている。ならば、まだやることはある。そうだろう?」
悔しがるラーヴァに鋼が、そう声をかけた。
「そうよね。まずは無事に帰りましょう。そして、この悔しさは、戦争で返しましょう?」
「よし、私が殿を務めよう。神崎殿、先頭をお願いできるかな?」
舞彩と鐐がそう言うと、ケルベロス達は隊列を組みながら、ダンジョンの入り口へと向かって歩き始めた。
共に来た他班の無事を祈りつつ、前へ進んだのであった。
こうして、ケルベロス達は帰路に着いた。
完全にジュモー・エレクトリシアン部隊の全滅は叶わなかった。だが、ダメージを与える事には成功し、ドレッドノートの移動力を削ぐことは出来た。
そして事態はいよいよ、ケルベロス・ウォーへとその舞台を移していく。
作者:沙羅衝 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年4月14日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 9
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