●作戦概要
先日決行された弩級兵装回収作戦において、コマンダー・レジーナ、『弩級超頭脳神経伝達ユニット』、『弩級外燃機関エンジン』が、敵の手に回収される結果となった。
「これらの弩級兵装が、載霊機ドレッドノートに転送された事が、黒住・舞彩(我竜拳士・e04871)様方の警戒活動により、このたび判明致しました」
戸賀・鬼灯(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0096)は強い眼差しでケルベロス達に語りかける。
「弩級兵装を組み込むことによる、載霊機ドレッドノート再起動こそが、指揮官型ダモクレスの目的でございましょう」
『ドレッドノート』は弩級ダモクレスの代名詞とも言える代物だ。これが復活を遂げれば、ケルベロス・ウォーの発動は必至の事態となるだろう。
これにより、いち早く手を打つべく、事前の載霊機ドレッドノートへの強襲作戦が決行される事となった。
この作戦で如何に敵勢力に打撃を与えられるかが、来るべきケルベロス・ウォーによる決戦の趨勢を占う事になるだろう。
●五つの標的
現在、載霊機ドレッドノートは、指揮官型ダモクレス6体が率いるダモクレス軍団によって制圧され、その周辺はマザー・アイリスの量産型ダモクレスの軍勢により固められている。これらの突破は、ケルベロス・ウォーを発動しなければ難しい。
「それ故、こたびの強襲においては、ヘリオンからの降下作戦を採用致します」
しかし敵とてケルベロスに対して無策ではない。踏破王クビアラによって、強力なダモクレスを配備した『ヘリオン撃破用の砲台』がドレッドノート周囲に設置されている為、この撃破が必須事項となる。
砲台を撃破できれば、強襲降下作戦による潜入を実行できる。潜入後の攻撃目標は、4つ。
「一、ジュモー・エレクトリシアンとその軍団」
ドレッドノート歩行ユニットの修復を行っている部隊である。これを攻撃する事で、ドレッドノートの動きを阻害する事ができるだろう。
「二、ディザスター・キングとその軍団」
この軍団は、自身を『弩級外燃機関エンジン』の一部として連結する事で、必要出力を確保しようとしている。これらの撃破により、ドレッドノートの出力を引き下げる事ができるはずだ。
「三、コマンダー・レジーナとその軍団」
コマンダー・レジーナはドレッドノートの脊髄の部分で『弩級超頭脳神経伝達ユニット』の修復を行っている。これが完了すれば、ドレッドノート自身が自律行動によってケルベロス達を攻撃できるようになる。直径数kmのクレーターを作るほどの打撃だ。戦争時の危険度は一層増す事だろう。
「四、イマジネイターとその軍団」
弩級兵装回収作戦では動きのなかった手勢だが、イマジネイターは自らがドレッドノートの意志となるべく、融合を試みているようだ。現時点での危険度は低いものの、万一ケルベロス・ウォーに敗北する事態に陥った場合、意志を持つ弩級ダモクレスの出現に繋がりかねない。
「以上、砲台破壊を含めた5つの標的のうち、皆様にはいずれか一つを選択し、強襲を仕掛けて頂く事とあいなります」
重要拠点をピンポイントで攻撃する奇襲作戦となる。作戦終了後は敵勢力圏に取り残されないよう、速やかな撤退が推奨される。
「もはやケルベロス・ウォー発動は避け得ませぬ。こたびはその前哨戦。敵の目的が判明したのならば、あとはもはや、阻止するだけでございます」
重たそうな睫毛の向こうに秘めたる情熱を燃やして、鬼灯はケルベロス達へと微笑みかけた。
参加者 | |
---|---|
ロイ・リーィング(見兔放犬・e00970) |
和泉・紫睡(紫水晶の棘・e01413) |
星野・優輝(戦場は提督の喫茶店マスター・e02256) |
ヴァンアーブル・ノクト(熾天の語り手・e02684) |
斎・時尾(レプリカマリオネット・e03931) |
アバン・バナーブ(過去から繋ぐ絆・e04036) |
白刀神・ユスト(白刃鏖牙・e22236) |
アン・ボニー(ドラゴニアンの鎧装騎兵・e35233) |
●降下の攻防
空をゆくヘリオンの目指す先には、巨大な黄金の髑髏が口を開ける、載霊機ドレッドノートが鎮座している。
地上を取り囲む量産型の防御陣地を尻目に、ヘリオンは蛮勇にも、上空からの襲撃に目を光らせる、一基の砲台の直上へと突進していく。
接近を察知した砲台が、重々しく回頭し、ヘリオンへと砲口を向けて火を噴いた。
ドドン……。吐き出された砲弾は、冗長な余韻を響かせながら、しかし豪速でヘリオンを襲った。避ける余裕もなく命中、炸裂。機体が激しく揺さぶられる。
「……っ、だ、だ、大丈夫です、ヒールをすれば……っ」
和泉・紫睡(紫水晶の棘・e01413)は動揺を押し殺すように深々と深呼吸をすると、気を張って仲間達に呼びかけた。
機内が瞬く間にヒールに満たされる。治癒に加わりながら、白刀神・ユスト(白刃鏖牙・e22236)は嬉しそうに笑った。
「紫睡はすっかり頼もしくなったもんだ。出会った頃が嘘のようだな、背中は任せたぜ!」
治癒のおかげでまだまだ元気なヘリオンは、瞬く間に姿勢を立て直し、士気を高めるケルベロス達を砲台の頭上へと運んでいく。
「ヘリオンの脅威を排除し、安全確保が目的の第一陣って所か。この先制攻撃から躓くわけにはいかないな」
全開になった搭乗口から戦場を見渡しながら、星野・優輝(戦場は提督の喫茶店マスター・e02256)は帽子は被らずに、どこからともなく取り出した緑縁の眼鏡を装着する。
目標の砲台直上に到着と同時、八人のケルベロスは空中に躍り出た。
直後、流れていく景色の真下で、砲口が再び火を噴いた。砲弾は、降下するケルベロス達の間をすり抜けるようにヘリオンへと直進し――、
「させるか!」
最後尾で神経を張り巡らせていたユストが、翼を翻し、身を挺して砲弾の行く手を遮った。
激しい爆発が宙を彩るも、ヘリオンに被害はなく、爆風に押し上げられるように戦場を急速に離脱していく。ユストもまた、少なからぬ手傷を負いながらも、爆煙の中から無事に降下軌道に姿を現す。
「咲き、乱れ、その身を守る盾とならん」
すかさず詠唱するロイ・リーィング(見兔放犬・e00970)。花の形の霊力がユストに纏わりつき、傷を癒していく。
「さぁて、ヘリオン狙う不届き野郎にご挨拶だぜ!」
アバン・バナーブ(過去から繋ぐ絆・e04036)は降下中の不安定な姿勢のまま、下方に向けて轟竜砲をぶちかました。紫睡も、翼やダブルジャンプで姿勢を調整しながら、ドラゴンブレスを砲台へと叩き込む。
「ヘリオンが撃墜されてしまっては困るからね。危ない砲台は排除させてもらおうね」
穏やかに微笑むヴァンアーブル・ノクト(熾天の語り手・e02684)も、苛烈なドラゴニックミラージュを砲台へと浴びせた。斎・時尾(レプリカマリオネット・e03931)とビハインド『一刀』の一組も、一糸乱れぬコンビネーションのロックオンレーザーとポルターガイストで追随する。
砲弾そのものを撃ち落とす事はできずとも、遠距離グラビティは確実に砲台に届いた。下方で散発する爆発。しかし砲台は凝りもせずに装填を終え、再び砲弾を吐き出した。今度は、ケルベロスを狙って。
最大の火力を叩き出したアバンを狙った砲弾は、しかし今度はアン・ボニー(ドラゴニアンの鎧装騎兵・e35233)によって防がれる。
「この程度で、アタシ達は負けないわ。アタシ達の自由を勝ち取ってみせる……!」
痛みを無視して、気を吐くアン。
砲台を操作する手を止め、間近に降下してくるケルベロス達を見上げる、軍服姿の女性が一人。
敵の侵入を許した苦々しさと、強敵を目の当たりにした喜びとを、同時に笑みに浮かべながら、踏破王クビアラ軍団『ミゼルタ』は、ケルベロス達の到着を迎え入れた。
●強敵を求める者、ミゼルタ
できる限りのグラビティを撃ち込みながら、次々と砲台の周囲へと降り立つケルベロス達。
「狼煙代わりのプレゼントだ! 受け取りやがれ!」
星屑の尾を引くしなやかな蹴撃でもって一撃を加え、ユストが最後の一人となって、砲台の間近に着地する。
砲台の守護者としてケルベロス達を待ち構えていたのは、巨大な斧を携えた女性型ダモクレス。それが、仲間の一人が対戦を望んでいた敵である事は、皆一目で察した。
他にダモクレスの手勢の姿はない。砲台は、彼女が操作しない限り、機能しないだろう。
「……ふふ。大した蛮勇ね。嫌いじゃないわ」
ミゼルタはしっとりと笑みを浮かべながら、壮観とばかりにケルベロス一人一人を見回した。
その視線が、最後に射抜いたのは、ケルベロス達の中央に立つロイ。
「……あの時の屈辱は、片時も忘れられなかった」
ロイは呟く。敗北の末、敵に温情をかけられ、見逃され、生き延びた。砂を噛むような屈辱。
だからこそ、こうして宿敵と相対する喜びは、ひとしおだった。
「俺は強くなったよ。さぁ、今度こそ殺してあげる!!」
今は自分よりも大事な主がいる。そして頼れる仲間達がいる。決して負けはしない。
気炎を揚げるロイに、ミゼルタは嬉しそうに目を細めた。
「いつかに撒いた種がここで芽吹いた、という事かしら。それは実に――喜ばしい事ね!」
嬉々として瞳を見開いたと同時、ミゼルタはケルベロスの陣営へと迅速に身を躍らせた。高々と掲げられた大斧が、その質量ごと振り下ろされる。初手から全力の一撃。激しい衝撃とプレッシャーがロイを襲う。
「こいつがミゼルタか!」
横合いからアバンが繰り出した雷刃突が、ミゼルタをロイから引きはがすように打ち据えた。
「リーィングの宿敵か……この戦い、ますます負けられないな」
多数のケルベロス達と、今ここにいる戦友の為に。白い旧日本海軍の提督服も凛々しい優輝が、担いだ鎌を振り下ろして追い討ちする。
「その、私はロイさんのお邪魔にならないように頑張りますね!」
紫睡のスターゲイザーがさらにミゼルタを追い立て、それに合わせて飛び出したアンも、輝く飛び蹴りで後方へと押しやっていく。適度な距離が開いたその瞬間に、ロイの破鎧衝が関節部の構造弱点を的確に破壊する。
時尾は、内なる『心』に問いかける。
(「一刀。私が破壊(愛)してほしいと願ったものよ。あれを倒すにはどうしたらいい?」)
長身痩躯、推定五十路過ぎの男性ビハインドが、時尾の背後に張り付いた。『一刀』の鋼糸で編んだケルベロスチェインの如きグラビティに合わせ、時尾はまるで導かれるように、アームドフォートの主砲を一斉発射する。
「まだまだだ! 更に鋭く! 更に疾く!」
皆がミゼルタを押し込んでいく隙に、ユストはオウガ粒子を全開に放出して、前衛を活性化していった。ヴァンアーブルはウィッチオペレーションでロイをカバー。砲撃のものと合わせ、負傷者の傷がそつなく癒されていく。
ミゼルタは大斧の重量で器用にバランスを取りつつ立ち回りながら、笑みを絶やさない。その瞳は、強敵足りうる猛者達を目前にした喜びに輝いていた。
●八人一塊の強敵
「なかなかの攻撃だったわ……けれど、耐久力はどうかしら?」
ミゼルタは遠心力を利用して大斧を投擲した。激しく回転する斧が宙を疾駆する。
「――シャドウ!」
しかし今度は、己が身を投じた勇敢なボクスドラゴンによって、その攻撃は弾かれた。アンは仲間を護ったシャドウに頼もしく笑いかけながら、ドラゴニックハンマーを変形させていく。
ケルベロス達のグラビティが猛然とミゼルタに襲い掛かった。
激しい攻撃の嵐を、ミゼルタは所々いなしながらも、悠然としていられるほどの余裕もない。その余裕のなさを、楽しんでいるようでもある。
「どうやら前衛にご執心のようだね。私としては助かるけれど」
ヴァンアーブルは的確に味方をサポートしつつ呟いた。治癒の要を担う身として、第一に、自分自身が倒れるわけにはいかない。
ミゼルタとて戦術性を考えぬわけではない。が、初めに標的と決めたロイの存在と、ディフェンダーへの攻撃を誘導する『怒り』が相まって、自然、前衛がほとんどの攻撃を受ける流れになっていく。
「小賢しい事……でも、それも強さね」
ミゼルタは楽しげに微笑み、大斧で前衛を横薙ぎにした。強烈な破壊力に、陣営が一挙に乱れ、すぐさま治癒が飛び交う。
さすがの強敵だ。早々に砲台を破壊してしまいたいケルベロス達ではあったが、簡単にそれを許してくれるほど生易しくはない。
「俺は自力で回復できる。他の皆の治癒を優先してくれ」
優輝は仲間達へと声を飛ばすと、逆手持ちにしたナイフで斬り込み、敵の生命力をかすめ取る。
「気合い入れなッ! 本番はこれからだよ!」
アンの一喝が皆のグラビティを活性化させ、魂を奮い立たせていく。
時尾やアバン、ユストからの補佐もあり、ヴァンアーブルを主軸とした治癒は、敵の強大な膂力に苦しめられながらも、盤石に陣営を維持していった。
「えっと、こんな私でも、お役に立てるなら……!」
仲間の決着の手助けをしたい、その気持ちが紫睡を突き動かし、海神王の戟が叩き込まれる。
的確な追撃に顔を歪めるミゼルタ。しかしすぐに、少しだけ意地の悪そうな笑みを浮かべてみせる。
「数を揃えて一人を叩き潰す。それが貴方達の強さなの?」
「もちろん!」
斬霊斬で斬り込みながら、即答するロイ。
仲間がいる事、それはケルベロスの力にほかならない。
霊体汚染に侵されつつも、ミゼルタの微笑みは満足そうな色を帯びる。
「ええ、そう。それでいいのよ」
八名のケルベロスからなる、難攻不落の要塞の如き陣容。それはもはや、一塊の強敵だ。
徐々に歩み寄る死の気配を感じながらも、ミゼルタは戦いに胸を弾ませ、より精強に大斧を振るった。
●緑光咲く空
苛烈さを増す攻防。ケルベロス達はよく耐え、的確に攻めた。
ミゼルタの膂力もまた猛威を振るう。意志の自由が働くうちにロイを狙い、『怒り』に身を任せそうになった瞬間、薙ぎ払いに切り替え前衛全体を巻き込む。
「ぐ……っ!」
仲間達の守護を掻い潜り、思いがけぬ痛打がロイに叩き込まれた。即座に治癒が殺到するが、それまでの消耗も相まって、体力は危険域に達しつつある。
その機会を、ミゼルタは逃さない。ケルベロス達の猛攻を浴び、美しく長い髪を振り乱しながら、声もなくロイへと肉薄、高々とした跳躍から大斧を振り下ろし――すんでで人影に遮られる。
「――やらせないよ! 必ず全員で生きて帰るわ!!」
如意棒で攻撃を受け止め切ったアンは、衝撃を耐え、大斧を押し返しながら吼えた。
後方に退いたミゼルタは、着地と同時、関節を砕かれたかのように唐突に片膝を折った。
霊力を足場にして空高く駆け昇りながら、アバンはニヤリと笑う。
「この圧、倒、的、小、細、工を受けろぉぉぉぉ!!」
彼方からの蒼き瞬きは、急降下からの蹴撃。インパクトの瞬間、全力解放された霊力と重力が大地を穿つ。波及する衝撃が、ミゼルタの負傷と疲労を加速させ、その肉体をますますその場に縫い止めていく。
ミゼルタは大斧を支えになんとか顔を上げながら、してやられたとばかりに口許を吊り上げた。
「……ジャマーって良いよな、相手の悔しがるさまが見れるようで……さぁ、決着付けてこい!」
威風堂々たるアバンの呼びかけに応え、仲間達が次々と全力を解放していく。
ヴァンアーブルは朗々と唄を歌う。
「太陽に慈悲はなく、その方の少しの光は癒しになれど、過ぎる光は身を滅ぼし焼き尽くす。――心得よお前らの生殺与奪権は天に輝く陽にあり!」
太陽の如き熱が戦場に招来し、ミゼルタの身を焼き尽くさんと灼熱の光を照射する。
「大罪と制裁の鎌」
優輝は氷と炎の魔力をスパークさせ、構築した『無』の力を宿した鎌を敵に振り下ろした。甚大な衝撃が、ミゼルタの体をのけぞらせる。
時尾の肉体は、背後のビハインドと完全に動きを同期し、一心同体の足運びで、めまぐるしく立ち位置を変えていく。
(「『一刀』……この世界が滅ぶまで、私は貴方と共に存在し続けるのみ……」)
戦場を駆け抜けながらのブレイジングバースト。大量の弾丸が、金縛りによってさらに動きを鈍くするミゼルタの肉体に吸い込まれ、爆炎を連鎖させる。
「海神王の戟、黒雷の矛先は心の臓を穿ち貫き、四肢の骨を砕け!!」
紫睡は果敢に敵の懐に飛び込み、手に乗せた海王石ごと手の平を押し付け、魔力で編み上げた黒雷の衝撃をミゼルタの体内に叩き込んだ。
続けざま、ユストが鋼の鬼と化したオウガメタルでミゼルタの装甲を砕くと、鋭く自陣へと振り返った。
「今だっ、決めちまえ!!」
応えて、ロイは戦場を駆け抜ける。その手にルーンアックスを携えて。
「俺の――」
高々とした跳躍から、全てを断ち切るが如き一撃が振り下ろされる。
「――勝ちだッ!!」
ミゼルタとロイの瞳が交錯する。
己が死を迎えるという現実への驚愕と、戦いの中で敵の手に斃れる誇りとを同時に浮かべながら、『強敵』という存在に耽溺したダモクレスの全身は、真っ二つに叩き割られた。
ミゼルタの機能停止を見届け、ケルベロス達はすぐさま砲台破壊に取り掛かった。すでに少なからずダメージを受けていた砲台は、幾許とかからず瓦解していく。
「よし、制圧完了だ」
優輝が告げると、砲台破壊の傍らで準備を終えていた面々が信号弾を上空へと打ち上げた。
直上で輝いた信号の色は、緑。
「赤い信号はない? すぐにでも加勢にいきましょう」
「おう、俺はまだまだ戦えるぜ!」
万事に備えて体勢を整えながら、アンとアバンは周辺の上空に目を凝らした。
しかし、空を彩る信号弾は、どれも緑ばかり。
「緑は『砲台破壊完了』……他の砲台制圧も、上手くいったみたいだね」
「ええ。取り敢えず、これで本作戦が開始出来るんですね」
信号弾を打ち上げ終えたヴァンアーブルと紫睡は、救援要請がない事を確かめ、ほっと胸を撫で下ろす。
ロイもまた、微睡むように微笑んで、空へと視線を馳せた。
「良かった……これで、胸を張って帰れるよ」
心のつかえを取り去り、まっすぐに前を向くその眼差しの先には、ケルベロス達の回収に駆け付けようと、元気にプロペラを回すヘリオンの姿があった。
作者:そらばる |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年4月14日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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