豊満を狙う悪夢

作者:影流くろね

●女性だらけの会場で
 ここは都内のとあるイベントホール。
 ホール内に集まったたくさんの人々と、ステージ上に並ぶ女性たち。女性たちはエントリーナンバーの書かれたバッジを胸に着けており、皆揃ってふくよかな巨乳ばかりだ。
「お集まりの皆様! ついに始まりますわよ……第1回、女性のための美巨乳コンテスト!」
 ステージ上で、司会の女性が声を張り上げる。
 会場の歓声と共に、コンテスト参加者たちは豊満な乳を惜しげも無く寄せたり、揺らしたりしてアピールを始めた。
「素晴らしいわ! あの形こそ理想の女性の胸というものでしょう!」
「あの方のほうが美容に力を入れているのでは? 美しい形ですわ!」
 会場の熱気が最高潮に達したところで、ステージ上に渦巻のような次元の裂け目が現れる。
 ざわざわと不穏な空気が流れる会場。その裂け目が一際大きく膨らんだかと思うと、中から飛び出してきたのは涎を垂らしたオーク達だった。
「ホウマンナ……ムネ……サイコウヤネン……」
「ホンマ……デカイノ……サイコウヤデ……」
 オーク達が片言の関西弁で呟きながら、ミミズのような触手を伸ばし、襲い掛かる。
 会場内は大パニックとなり、逃げ惑う人々。パーティテーブルが倒れ、ワイングラスの破片や、乳型肉まんが床に散らばった。
「ゼンブ……ワイノモンヤ……」
 オーク達の中でも身体が倍ほども大きい、オークチャンピオンがニヤニヤと下劣な笑みを浮かべている。
 恐怖で動けぬまま触手で掴まれたコンテスト参加者たちは、あっという間に魔空回廊の裂け目へと連れ去られてしまった。

●オークがやってくる
「蒼天翼・舞刃(蒼き翼のバトジャン少女・e00965)さんが危惧していたことが、本当になっちゃうのですっ!」
 笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)が困った表情で訴えかけた。
「オーク……女性の敵ね。許せないわ!」
 舞刃はぐっと拳を握りしめると、資料に目を通す。
「オーク達は魔空回廊から現れて、女性をどこかに連れ去ろうとしているみたいね。もし、連れ去られたら……えっと、どうなるのかしらね?」
 舞刃が純朴な瞳で首を傾げる。その横で、ねむが涙目になりながら頭をふるふると振った。
「とにかく、連れ去られてしまったら悲惨なことが起きてしまうのです……。オークを止められるのはケルベロスの皆さんだけなのです! どうか、お願いですっ!」
 ねむがぺこりと頭を下げた。
「オーク達が現れる場所は、都内にあるイベントホールね。ここで『女性のための美巨乳コンテスト』ってのが開催されて、それに釣られてオーク達が集まるみたい。審査員も参加者も観客も女性で、オークの狙いはコンテスト参加者のようね……」
 舞刃がイベントのチラシを確認しながら言った。『同じ女性だからこそ分かる乳の魅力』というコンセプトで開催されるこのコンテストで、会場一帯が女性の花園と化していたところに、オーク達が出現するようだ。
「おっきいおむねが大好きなオークと……オークの倍くらいの身体を持ったオークチャンピオンが出現するのです!」
 ねむが両手を広げて、大きさを表現するように説明した。
「1つ注意があります! オークが現れるよりも前に女の人たちを避難させてしまうと、オークの出現する場所が変わってしまって、被害を防げなくなってしまいます!」
 オークが現れる前に会場内の女性の数が減ってしまうと、被害を防げなくなる。よって、避難はオークが出現してから行う必要があるようだ。
「えっと……敵の数は、オークが4体とオークチャンピオンが1体だから……全部で5体と戦う事になるのね!」
 戦いに身を投じることを想像した舞刃が、踊るような声で言った。
「会場に潜入して待ち伏せるのも良いかもしれませんっ。でも、会場には女性しかいないようなので……できれば女性が潜入することをオススメするのです。もし、どうしても男性が事前に潜入する場合は、怪しまれないように女装する必要があります!」
 ねむが言うと、舞刃が考え込むような表情を見せる。
「その場合……普通に町を歩いていてもバレない程度の女装ができれば大丈夫かしら?」
 舞刃の言葉に、ねむがこくこくと頷いた。
「あと、オークたちは『おっきいおむね』に大注目のようなのです。戦闘中はおっきいおむねを狙って襲い掛かってくると思います! 男性がおっきいおむねを装って『肉まん』を服の中に入れていても、狙ってくるかもしれません!」
 興奮したオークたちは、とにかく豊満な胸を目掛けて見境なく触手攻撃を行う。男性であっても、肉まんやタオルなどを胸に詰めて大きな胸を装えば攻撃を引き付けることが可能なようだ。
「悪事を働こうとするオークは、さっさと成敗しちゃいましょう!」
「ぜひ、皆さんでやっつけちゃってください! それに……どんなおむねにも、それぞれの良さはあるのですっ!」
 舞刃が意気込むと、ねむも拳を振り上げた。


参加者
カナタ・キルシュタイン(此身一迅之刀・e00288)
グレイ・エイリアス(双子座の奪還者・e00358)
ミステル・フォルモーント(純愛を秘めし従者・e00570)
ラウラ・アガトラム(紫電の刀剣士・e04209)
トルテ・プフィルズィッヒ(シェーネフラウ・e04289)
足利・光平(愛に生きる気高い騎士・e06292)
桂木・鋼(地球人の鎧装騎兵・e14717)
陽明・麗艶(偽りしかない聖女・e15412)

■リプレイ

●美巨乳コンテスト
 オーク達が現れるイベントホールに集まったケルベロス達。女性陣は会場の中に潜入し、男性陣は会場の外で待つ作戦だ。
「さぁっ、始まりました。女性のためのっ! 美巨乳コンテストー!」
 司会がマイク越しに声を張り上げると、歓声が上がる。
「では今回の参加者を紹介しましょう! エントリーナンバー1番! 八重歯が可愛い気まぐれプティング、カナタさん!」
 紹介の声に合わせて1歩前に出たカナタ・キルシュタイン(此身一迅之刀・e00288)がスポットライトを浴びながら、参加者をチラリと見た。
「ふぅん、皆スタイル良いわねー」
 観客には聞こえない位の小声で呟き、ぷりっぷりの胸をむぎゅっと寄せる。露出度の高い服からこぼれんばかりのおっぱい……観客からは悲鳴にも近い喜びの声が上がった。
「おお……1人目からすごいレベルですね……では続きまして、エントリーナンバー2番! お尻も素敵っ! とろける濃厚チョコレートムース、グレイさん!」
「皆さん、よろしくお願いしまぁす♪」
 グレイ・エイリアス(双子座の奪還者・e00358)がてろんとした柔らかい胸を惜しげも無く寄せると、チューブトップから溢れそうなおっぱいが絶景の谷間を創りあげる。それを見た観客の喜びようと言ったら、歓声に混じって嗚咽すらも聞こえる程だ。
「こんな至近距離でっ!! あやうく吐血するところでした……では次っ、エントリーナンバー3番! ミステリアスな色香漂う、心安らぐ月光の花! ミステルさん!」
 司会の紹介で前に出たミステル・フォルモーント(純愛を秘めし従者・e00570)が穏やかな笑顔で会釈をし、胸を見せつけるように屈むと首元の南京錠がチリンと鳴った。光に溶けてしまいそうなほど透明感のある肌は、最早、神々しい程の美しさがあった。観客たちは声を上げるのも忘れて息をのみ、その姿に見惚れている。
「う、美しい……レベルが高いっ!! では、次を! エントリーナンバー4番、全身からあふれ出る包容力……もぎたて桃のピーチパイ、トルテさん!」
「よろしくお願いしますねっ♪」
 トルテ・プフィルズィッヒ(シェーネフラウ・e04289)が小さめのビキニを強調するようにポーズをとり、ぷるるんと胸を揺らす。その揺れでビキニからおっぱいがこぼれてしまわないのが不思議なくらいである。あまりのセクシーさに観客たちは鼻血を出して倒れてしまう者さえ発生した。
「素晴らしい……埋もれたい、その胸に! では……次に参りましょうか! エントリーナンバー5番、我儘ボディにひれ伏す人は数知れず! マシュマロ聖女、麗艶さん!」
 陽明・麗艶(偽りしかない聖女・e15412)が前に出て、両腕を頭の後ろで組むと、自慢げな表情で胸を見せつける。ざっくりと豪快に裂けたシスター服の中心にぽよんとした大きな胸が並び、お腹へのラインがなんとも悩ましげである。
 観客たちの興奮は最高潮に達し、女性オンリーとは思えない熱気が会場内を占めていた。
「1番の方が美しくてよ! あの張りのある胸は適度な筋肉あってこそだわ!」
「いいえ、3番の方が幻想的で美しいわ! ねぇ、あなたはどう思います?」
 観客の1人が唐突にラウラ・アガトラム(紫電の刀剣士・e04209)に問いかけると、ラウラは驚いたような表情を見せた。
「そうだな……皆、素敵だ、と思うが」
 ラウラが少しぎこちなく答えると、話しかけてきた女性がグイグイと距離を詰めてくる。
「そんなあなたもよく見ると可愛いわね……スタイルもいいし、お肌を触りたいわねぇ」
「ていうか触らせなさい!」
「なっ……! ちょっ、何をする! やめろぉっ!!」
 周囲の女性たちに興味を持たれたラウラは一気に囲まれ、その柔肌をじっくりと研究された。美容にうるさい女性たちの興味をひいたお肌は、もしかしたら温泉好きが高じて養われたものかもしれない。

●サイコウヤネン
「中から悲鳴のような声が聞こえる気もするが……これは歓声なのだろうか」
 足利・光平(愛に生きる気高い騎士・e06292)が会場の外を歩きながら心配そうな表情で言った。
「恐らく。もう少し様子を見ましょう」
 桂木・鋼(地球人の鎧装騎兵・e14717)が答えて、周りを見渡す。すると、対極の位置から女性たちがこちらに向かって来る。
「カワイイー!! こんな所にショタっ子がいるなんて!」
 その女性たちは鋼に駆け寄ると、萌えを隠しきれない様子で叫んだ。
「え、えっと……」
「戸惑う姿も可愛い! もう食べちゃいたいわねぇ! お姉さんが何でも教えてあげる!」
 女性たちが鋼をもみくちゃにしている横で、止めに入るかどうしたものかと光平が咳払いをする。ふと、その背中に視線を感じた。
「……カッコいい人見つけたわ」
「ホント、ステキじゃないの。イケメンだわ」
 寒気を感じた光平が振り返ると、壁からちょこんと顔を出しているガタイの良いオカマの方が数人。どうやら、心は女性でも、外見がどう見ても雄々しすぎるとのことで会場内に入れなかった人々のようだ。
「まさかの収穫ね……これを逃さない手は無いわぁ! 筋肉見せてちょうだい!」
「何っ?! おい、服を脱がそうとするな!」
 光平がオカマからの攻撃を何とか受け止めつつ、服を脱がされまいと守る。
 まさかのエンカウントに戸惑う男性陣。こうなると意外と、ステージの上が1番安全なのかもしれない。

 その時、異質な悲鳴が束となって会場から漏れ出した。
 外に雪崩れこむように出てくる人々に、鋼と光平はオークの出現を悟る。瞬間、それを確信させるように2人の携帯が鳴った。
「道案内は頼むぞ、桂木君。その代わり守備は任せろ」
 光平が言い、こくりと頷く鋼。その場に居た人達に避難を促し、全速力で会場内へと駆け出す。
 会場へ向かう途中、すり傷を負って座り込んでしまった女性に遭遇した。鋼は足を止めると、その女性に駆け寄る。
「大丈夫ですか? すぐに良くなりますよ。痛いの痛いの飛んで行け~!」
 あどけない笑顔で鋼が言うと、女性が柔らかい表情へと変わる。用意しておいた可愛らしい救急箱から花柄の絆創膏を取り出すと、擦り傷にペタリと貼った。
 女性が安堵した様子を見て移動を再開すると、次はハートの目をした女性が鼻血を出してよろめきながら会場から出て来るのに気付く。
「申し訳ありませんが、先に会場へ行ってて下さい。私は避難の流れを見てから合流します」
 そう言うと鋼はステージまでの最短経路を説明する。光平は頷き、その場を後にした。

「ホウマンナ……チチ……サイコウヤナァ……」
 ステージ上ではオーク達が触手をうねうねさせながらコンテストの参加者ににじり寄っていた。
「オークさんオークさん、こういうのはお好きで?」
「おっぱいが好きなんですよね? たっぷり堪能して下さい♪」
 一般人に意識が向かないように立ち塞がったグレイとトルテが胸をぷるんと揺らす。
「わたくし、脱いだらすごいのですわよ? もっとも、あなたたちが脱がせられればの話ですけれど!」
「サキュバスの本領を発揮させていただきますね」
 そして、麗艶とミステルの谷間も並ぶ。4人の女性がおっぱいを強調して立ちはだかる光景……これこそおっぱいの壁だ。こんなにやわらかそうな壁は見たことがない!
「さぁ、ここは私達に任せて早く逃げて!」
 観客席で避難の誘導をしていたカナタはコンテスト時から様変わりしてダイナマイトモードになり、露出の過激さを増していた。
 ラウラは、観客があらかたホールから出たのを見計らって楽器ケースの中から日本刀の羽々斬を取り出し、ステージに向けて走り出す。日に照らされたミミズのようにのた打ち回る触手を避けながら斬りかかると、オーク達が飛ばした溶解液が身体にびしゃりとかかり、服がじんわりと溶け始めた。
「何をする!」
 顔を赤らめるラウラ。しかしオーク達はその胸を見て、ちょっとがっかりそうな顔をした。
「きっ、貴様ら……速さの極致で切り捨ててやる!!!」
 確かに、別に、そんなに胸が大きいわけじゃないけれど……と悔しそうに呟き、涙目になりながら『雲耀』を放つと、眩しい稲妻が走る。
「こんな事を言っても聞く耳持たないでしょうけれど……女性の魅力は胸で決まるものではないと思いますよ」
 ミステルがオークを見据えて静かな声で言いながら、オークのどてっ腹に炎の蹴りを撃ち込んだ。そう、どんなおっぱいにもそれぞれの良さはある。ラウラは服が溶けてキワドくなった部分を隠しつつ、刀を構え直した。
「ちょっ、何すんのよ! 服ばかり狙ってるんじゃないわよ!」
 カナタが触手の攻撃を受けながら抵抗する。欲望直結なオークに対しては、恥じらいを通り越して怒りが湧いてくるのだ。触手を振り切ろうとステージから離れると、節操なくブチ撒かれている溶解液の水たまりに足を取られる。
「うわっ、ととと……?!」
 そのままカナタは数歩よろめいてつる~っと滑り、派手に転……んだかと思ったその時。
「女性を守るは騎士の誉れ! 今、助太刀する……っとおお?!」
 ホールの扉を開けて飛び込んできた光平の目に映ったのはカナタのぽよんぽよんのおっぱい。その2つのふくらみで視界が満たされたと同時に、洗濯したてのフカフカのタオルにすら勝る、天にも昇るような感触が光平の感覚を支配した。
「あっ……ご、ごめん」
 カナタが覆いかぶさるような形で転び、申し訳なさそうに謝る。光平は小さく『大丈夫だ』と答えたが、その意識は一時的にどこかにログアウトしていたようだった。
「ウラヤマシイワァ……」
 そして、オーク達からも思わず渇望の眼差しを向けられていたのであった。

●巨乳は最高
 トルテと麗艶が、身軽に駆けながらオーク達に弾丸をばら撒いていく。その二兎を追うように触手が暴れまわり、溶解液を散らす。一際大きいオークチャンピオンの触手がぬるぬると麗艶を絡め取ると、ざっくり開いた胸元から服の中に侵入した。
「コレ、サイコウヤデ、ホンマ!」
 オークチャンピオンが歓喜の表情で柔肌を堪能し、麗艶はその触手を優しく握る。
「ああん、そんなところに入り込むなんていけない子……。でも、こんなお粗末な触手でわたくしを手籠めにできると思うなんて、100万年はやいですわ?」
 触手を握っている左手と同じくらい優しい手つきで、右手に握られているのはリボルバー銃。オークチャンピオンの左胸目掛けて、至近距離で弾丸を撃ち込んだ。
「さっさと出直してらっしゃいな、豚さん♪」
 麗艶が身を翻して離れ、呻きながら倒れるオークチャンピオン。苦しそうな息遣いをしながらも、めげずに極太の触手をグレイ目掛けて突き刺す。
「おっと激しいな! そういうの嫌いじゃないけどさ……そろそろ、さよならだ!」
 グレイの服に擬態していたブラックスライムがオークチャンピオンに襲い掛かる。『粘液濁流現象』でグレイの服の大半が失われ、あられもない姿が晒された。
 その時。
「遅くなり、申し訳ありませ……うわぁっ!?」
 一般人の避難に手を貸していた鋼が、ホール内に到着したのだった。最初に目に飛び込んだのは、グレイのあられもない姿だ。
「桂木、目を、そらしちゃだめです……! ちゃんと戦わないと……」
 鋼が顔を真っ赤にしながら自分自身に言い聞かせつつ、がむしゃらに銃を撃つ。
「トンカツにしますよ!」
 オーク達に向かって狙いを定めると、1体のオークの動きが鈍っているのに気付いた。深呼吸をして心を落ち着け、一気に距離を詰めて引き金を引く。
『破鎧衝・熊鳥』がオークの片目から脳天を貫き、息絶えたオークがドサリと倒れた。
「はぁっ……はぁっ……私のおっぱい……とっても大きいですよ♪」
 息を切らせたトルテがビキニの肩紐を引っ張って離し、ぽよんと胸を揺らす。その仕草に釣られてオーク達はトルテに襲い掛かってくるが、ムチのようにしなる触手をひゅんと風を切るように避け、2丁の銃を構える。
「んんっ……」
『螺旋快炎弾』で螺旋状の炎弾を撃つたびにトルテの全身を快楽が襲い、反動で左右のおっぱいが揺れる。その色っぽい姿に魅入っていたオークが、遂に炎に包まれた。
「オソラカラ、ハネノハエタ、オッパイガ……オムカエニキタデ!」
 炎の中から聞こえた声を聞く限り、きっとこのオークは悔いなく倒れたのだろう。
 残りのオーク達がヤケクソと言わんばかりに襲い掛かり、触手を振り回す。それをしっかりと、鈍く光る左腕で受け止めながら、光平は剣でオークを薙いだ。
「ケダモノ共……冥府に向かう覚悟は出来ているか? もっとも、覚悟出来る程の知恵があるかどうかは疑問だがな……」
 触手を斬り払うと、その横にラウラも並んで羽々斬で斬撃を与える。
「彼の者が求めるは苦痛と快楽、囚われた子羊達の苦悶の声と共に絞り出した血に酔いしれ、月を紅く染め上げる……」
 ミステルが『幻葬・惨劇の鮮血婦人』を放つと、幻想的な赤い月の世界が広がる。血の池から生み出された紅い武器がオークを貫き、鮮血が飛び散った。
 そして……息も絶え絶えのオーク達は輝かしい最期を見せつけるように、溜め込んでいた溶解液を大量に放出する。
「オッパイサイコウ! キョニュウバンザーイ!!」
 その溶解液が女性ケルベロス達の服を溶かしまくり、おっぱいとか色々と描写できない部分が露出したところで、オーク達は安堵の表情で息絶え、灰になった。

●巨乳よ永遠なれ
「こっちを見るな馬鹿者っ!」
 色々な部分を隠しながら涙目になるラウラ。光平が目を背けつつ自身のコートを背中にそっと被せる。
「はぁっ……はぁっ……少し疲れました……♪」
 トルテが目を潤ませて、ぺたんとへたり込む。その肌はうっすら汗ばんでいた。
「全く、あの豚共は女の敵ね」
 カナタも腕を組み、顔を赤らめながら溜息をついた。
「でも、オークったら……なかなか楽しませてくれましたわ」
 麗艶がくすくすと笑いながら銃口を眺める。
「今回はオークのせいでぶっ壊されちゃったけど、機会があればこういうコンテストに出てみようかなぁ……なんて」
 あられもない姿を見て真っ赤になった鋼に渡された絆創膏を、最低限の危ない部分にだけ貼りつけたグレイが楽しそうに言った。この姿はある意味、裸よりも危ない格好だ。
「オークにも様々な好みがあるのですね」
 ミステルが興味深そうに、考え込むような顔で言う。
 オークは倒され、避難していた主催者達がホールに戻ってくると、ケルベロス達に盛大な拍手を送った。
「優勝はケルベロスの皆さんに決定!」
 男が居るとか、巨乳でない人がいるとか、関係ない。おっぱいはみんなにある。巨乳とは誰かを救う、包容力の気持ちの表れと言っても過言ではない。
 拍手と笑顔に包まれたケルベロス達は、間違いなく、人々を救ったのだ。

作者:影流くろね 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年10月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 2/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 10
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