載霊機ドレッドノートの戦い~決戦兵器の目覚め

作者:木乃

●載霊機覚醒の秒読み
 弩級兵装回収作戦から数日経ち、朗報が舞い込んだ。
「持ち去られた2つの弩級兵装とレジーナの行方がわかりました」
 回収された『弩級超頭脳神経伝達ユニット』と『弩級外燃機関エンジン』、そして撤退したコマンダー・レジーナの行き先は――載霊機ドレッドノート!
 オリヴィア・シャゼル(貞淑なヘリオライダー・en0098)によるとマイ・カスタム(重モビルクノイチ・e00399)を始め、警戒していたケルベロス達によってその行方は判明したという。
「指揮官型ダモクレスの目的は、おそらく載霊機ドレッドノートの再起動……その為に大規模な回収作戦を行ったのでしょう。しかし、弩級ダモクレスたるドレッドノートが起動すれば、こちらも『ケルベロス・ウォー』を発動して全戦力を投入しなければなりませんわ」
 しかし、今までのケルベロスの活躍はダモクレス達にも深刻な影響を与えている。
「2つの弩級兵装を完全破壊した上、回収された弩級兵装も大きなダメージを受けたためにすぐには動きだしませんが、『弩級超頭脳神経伝達ユニット』に関してはコマンダー・レジーナが生存している以上、再修復する事が可能です。敵に時間を与えてしまえば、載霊機ドレッドノートは本来の力を取り戻してしまいますわよ」
 指揮官型ダモクレス達にとっても決戦兵器と言えよう。現在はドレッドノートを復活させようと、戦力を集結させて防衛線を張っているという。
「私達にとっても好機到来と言えますわ。載霊機ドレッドノートへの強襲作戦を実行し、来たるべきケルベロス・ウォーへの布石を打ちます……覚悟はよろしいですね?」
 この強襲作戦の如何によって、ケルベロス・ウォーでの戦局にも大きな影響を残すだろう。

 オリヴィアは『まずは状況を確認して欲しい』と手元の資料に視線を落とす。
「載霊機ドレッドノートはダモクレス軍団によって制圧されていますわ。ドレッドノート周辺には『マザー・アイリス』の量産型ダモクレス軍が展開しており、ケルベロス・ウォーを発動しなければ排除することは難しいでしょう」
 そのため、ヘリオンからの降下作戦が必須となるが、敵も上空を警戒している。
「『突破王クビアラ』は対ケルベロス作戦として『ヘリオン撃破用の砲台』を設置し、配下ダモクレスが砲台の守備と操作を担当していますわね。接近するためにも砲台破壊は絶対条件となります。撃ち落とされればヘリオライダーだけでなく、搭乗するケルベロスの皆様も非常に危険な状況に陥りますわよ」
 砲台撃破後に強襲降下作戦を発動し載霊機ドレッドノートへの潜入を開始する――潜入後の攻撃目標は4つだ。
「第一目標は『ジュモー・エレクトリシアン軍』、彼女達はドレッドノートの歩行ユニットを修復していますわ。ドレッドノートの動きを阻害するならこちらへの攻撃が適しているでしょう。修復するダモクレスはジュモー含めて全部で4体ですが、護衛戦力も投入していますので複数チームの投入が必要となりましてよ」
 機動性には『弩級外燃機関エンジン』も関わり、その守備も厳重に行われている。
「第二目標の『ディザスター・キング軍』ですが、破壊されたパーツの代替品として自らエンジンの一部となり、出力を確保しようとしていますわ。これを撃破することでドレッドノートも出力低下するでしょう。しかし、戦闘に特化した軍団でありキング自体も難敵ですからキングの撃破には最低でも12チームは向かう必要がありましょうね」
 しかし、エンジンと同等に危険な電脳兵装も修復が行われている。
「第三目標の『コマンダー・レジーナ軍』は引き続き『弩級超頭脳神経伝達ユニット』の修復を行っていますわ、修復されればドレッドノート自身があの巨体を制御してケルベロス達に攻撃できるようになってしまいます……その拳ひとつで無力な一般市民の命をいとも容易く刈り取るでしょうね」
 ダンジョンと化すほどの超巨大兵器だ、武装がなくとも町ひとつ吹き飛ばすのも容易いことだろう。
 そして第四目標は――。
「これまで共闘姿勢が無かった『イマジネイター軍』も参陣していますの、イマジネイターをドレッドノートの中核システムと一体化させ、ドレッドノートの意志とすべく融合させることが目的のようですわ。この融合そのものが6大指揮官型ダモクレスの目的のように感じます、現時点での危険度は低いですが……後々の影響は大きいかと」
 万が一、ケルベロス・ウォーで敗北するようなことがあれば、自ら意志を持つ弩級ダモクレスが誕生してしまう。阻止できるに越したことはないだろう。
「今回はあくまで前哨戦ですわ。作戦終了後は素早く撤退してくださいませ……後手に回され続けた屈辱はここで晴らしなさい、来たるべき決戦に万全を期すためにもね」
 いつになく真剣なオリヴィアの激励にケルベロス達は静かに頷き返す。


参加者
アシェリー・サジタリウス(射手座の騎士・e00051)
マイ・カスタム(重モビルクノイチ・e00399)
平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)
大神・凛(剣客・e01645)
フィルトリア・フィルトレーゼ(傷だらけの復讐者・e03002)
アベル・ウォークライ(ブラックドラゴン・e04735)
雨咲・時雨(過去を追い求め・e21688)
レヴィア・リヴァイア(海星の守護龍・e30000)

■リプレイ

●緒戦、落とされる火蓋
 青森県黒石市、上空。
 眼下には量産型ダモクレスの大群。辺り一帯を埋め尽くすほどの軍勢は一糸乱れぬ行進を見せている。
 ヘリオンが目指すは最大時速200kmを誇る超巨大兵器『載霊機ドレッドノート』、間近に見るとさながら象とアリほどの圧倒的な質量の差を痛感する。機内の緊迫した空気にある者は手に汗握り、ある者は潜めるように静かに呼吸を繰り返した。
(「作戦全体に関わる先鋒、確保するのは進路であり退路でもある――負けられない」)
 狙うは『突破王クビアラ』の配備した砲台、ヘリオンを標的とした対空防衛拠点。もしひとつでも残れば後続を撃墜される恐れがある。
「いよいよあちらさんも本腰を据えてきたようだね」
 マイ・カスタム(重モビルクノイチ・e00399)の口元にも緊張の色が浮かび、平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)も幼い少女のような顔立ちを強張らせた。
(「この戦いが終わったら俺、彼女とちゅーするところまで関係を進めるんだ……!」)
 内に秘めた決意は追い風となるか、はたまた魔風となるか。
 重苦しい雰囲気の中、アベル・ウォークライ(ブラックドラゴン・e04735)がすっくと立ちあがり視線を集める。
「この戦いは後に繋ぐ為のものだ。先陣を切っての大役、必ず果たしてみせよう!」
 この状況下でその言葉を口にすることがどれほど難しいか、どれほど覚悟を有するか――呼応するようにフィルトリア・フィルトレーゼ(傷だらけの復讐者・e03002)も俯いていた顔を上げる。
「そうです……どんな相手でも、どんなに強くても……これ以上の蛮行は許してはいけません!」
「ああ、その為にも私達で道を作る」
 搭乗口から身を乗り出す大神・凛(剣客・e01645)とレヴィア・リヴァイア(海星の守護龍・e30000)の視線の先に目的地――弩級ダモクレス『載霊機ドレッドノート』を見上げる。
「あの巨体が動くのデスカ……信じられないデス」
「私達は……あの砲台を、壊せばいいんですね……!」
 対空防衛の位置を確認する雨咲・時雨(過去を追い求め・e21688)の傍らで、アシェリー・サジタリウス(射手座の騎士・e00051)はざわつく胸の内を掴むように拳を握る。
(「……なに?この湧き上がるような『感覚』は」)
 これが胸騒ぎというもの? ――彼女の思考を遮るように状況は一気に動き出す。

 キュイィィ……ンッッ!!
 微かな高音、一瞬遅れて左翼から衝撃が走る。
「く、もう砲台の射程内のようデスネ!」
 大きく揺れる機内で手近の手すりにしがみつく。揺れが収まりかけるとレヴィアが被弾箇所に向かう。外を見るとヘリオンはゆっくりと高度を下げ始めていた。
(「ワタシに出来ることは支えて差し上げる事だけ、だから」)
 もくもくと上がる黒煙の出元を見つめ、バトルオーラを両手に収束させる。
(「あの方に代わって――アシェリー様をお守り致しマス!」)
 炎上する左舷にオーラを放ち、包み込まれた被弾箇所の火の手が抑え込まれる。レヴィアの機転によってすぐに持ち直したが、直撃していれば一撃で落とされただろう。
 ヘリオンは更に高度をあげて砲塔直上を目指すが砲口も目標物に合わせて動きだす。
「直上までギリギリか!?」
「ここで撃墜されたら元も子もない、行くぞ!」
 凛は竜翼を広げて飛び出しマイと和、時雨も後に続き、アベル達も降下していく。砲台は既に再装填を済ませ第二射を放つ。
 想定を遥かに上回る質量と弾速が迫る、撃ち落とすことは難しい――真っ先に動いたのはマイだ。
「ヘリオンは、やらせない!」
 宙を跳ねて射線上に割り込むと膨大な質量が眼前に迫り――直後、全身を叩き潰されそうなほどの衝撃に息を詰まらせる。
「ぐっ……!?」
 降下軌道から逸れるマイをレヴィアが引き戻す、照準はヘリオンから外れていない。次こそ撃ち落とすつもりなのだろう――砲身はドレッドノート内部から伸びている、おそらくクビアラの配下ダモクレスもそこにいる!
「このままじゃあ先にヘリオンが落とされちまうぜ!」
「ええ、こちらに注意を引くわよ」
 アシェリーが放つミサイルと和の投擲した長槍が嵐のように降り注ぐ。絨毯爆撃の中をすり抜けてフィルトリアと時雨がさらに距離を詰める。
「当たってください……雷苦無!」
 放たれた苦無が砲身に突き刺さると稲光を放ち、フィルトリアも外装を蹴りつけて飛び蹴りを見舞う。
 砲口は狙い通りヘリオンから逸れると真正面を落下しようとしていたフィルトリアに狙いを定める。
(「駄目、避けきれない……!」)
「少し手荒にいくぞ!」
 凜が射線上に割り込もうと宙を蹴る。落下速度を上げてフィルトリアを砲塔の端に突き飛ばした瞬間、第三射が凛を撃ち抜く。
「くぁ……っ!!」
 落下しかけたところを追いついたアベルが手を伸ばし、外装を踏み台にしてアシェリー達と共に隙間から入り込む。急ごしらえの砲塔内部は配線も基盤も剥き出しの、まるでパソコン内部そのままの造りだった。
「さぁ、観念してくだ、さ…………!?」
 時雨は目を見開いた。砲座には見覚えのある――否、共に立つ仲間と『酷似した顔』があるのだから。
「お久しぶりね、我が母よ」
 ――これが胸騒ぎの正体か。
 自身の倍はある体躯の相手――マザー・サジタリウスをアシェリーは殺意を込めて睨みつける。サジタリウスシリーズの母には再会への喜びも、裏切りへの悲哀も、反逆への怒りもない。ただ無機質な瞳を向けている。
「敵性体の侵入、確認。――排除、開始」

●母機、無慈悲なる巨砲
 砲座から飛び降りるマザーは鋼鉄の赤翼が広げ、その背に真紅の光輪が現れる。瞳孔内の照準器を調整し狙いを定めた。
「マイ、凛、無理はするなよ!」
「大丈夫だ、まだいける」
 既に砲撃で体力を削られ万全とは言い難い――しかし、ここからが本番だ。一瞥向けたアベルは一番槍を努めようと真っ先に動く。
「仲間達の道は我々が切り開く!」
 アームドフォートの一斉砲撃が始まりマイが走り出す。高密度に圧縮した赤色光線を仮面越しに撃ち放つ。
「――アイレーザー照射」
 極細のレーザーが鉛色の肌を照射すると、僅かに視線を向けてきたがすぐに逸らされた。
「ライト、砲台を攻撃しろ!」
 ライドキャリバーのライトをマザー背後にある砲台へ向かうよう指示を飛ばし、凛は白楼丸と黒楼丸から生じた霊力の盾を拡散させる。しかしマザーも指をくわえて見ているつもりはない。単騎で突貫してくるライトに両手を翳す。
「チャクラム、射出」
 両腕の戦輪が吸い込まれるようにライトを捉え、高速回転しながら幾重にも傷をつけ装甲を斬り落とす。隙を狙ってフィルトリアも一直線に駆け抜ける。
「このぉっ!」
「……機関砲、稼働」
 飛び蹴りを仕掛けた離れ際、胴体部の七連機関砲をフル回転させ掃射をかける。寸でで時雨が身を呈して全身を銃弾が掠めていく。
「引きつけていれば砲台を使えないようね、一気に叩くわよ!」
 砲台を稼働できなければヘリオンも落とされない。マザーさえ倒せば砲台もノーガード同然だ。
 アシェリーが鎧装をスラスター代わりに超加速突撃を見舞い足止めを謀る。追尾するチャクラムをかわしながら攪乱する隙に、大鎌を取り回し気合を入れたアベルと共に時雨が斬りかかる。
「――マルチロック起動」
 マザーは肌を斬りつけられても表情を変えない。片足を下げて前傾姿勢をとると背面武装は光輪から光の粒子を吸収し始めた。
「破壊天使砲、斉射」
 八機の主砲から光が放たれる。強烈な光の波動に呑まれ得物を落としそうになった凛は慌てて握り直す。閃光に目を凝らしながらレヴィアは爆破スイッチを握りしめる。
「なかなか武装は充実しているようデスネ」
 早期撃破を後押しすべくスイッチを押しこめば、色鮮やかな爆風が生じてアベル達の気炎を促し不調を和らげる。
「いっくぞー!今日のボクは燃えてるんだー!!」
 態勢を整えた和は恋人への情熱を込めた叫びをあげ、マザーの足下から火柱が立ち昇る。紅蓮の炎に包まれたマザーは装甲が焼かれようと視線の冷たさは変わらない。

 忍法熱視線を放つマイを機関砲で集中して狙い撃ち、バイザーが音を立ててヒビ割れる。もし、誤算があったとしたら砲台の威力を甘く見てしまったことだろう。元々は対人兵装より強力な『対ヘリオン用の対物兵器』なのだ。
(「ちっ……厳しいな」)
 レヴィアの支援だけでは補いきれずマイは自力で回復しながら引き寄せていたものの、援護に回って受けるダメージも重なり、体中の裂傷と銃創で思うように動けない。
 マザーも優先度を下げたのか、砲台を狙い続けるライトに狙いを移して一斉射撃を放ち消失させる。
「これ以上、やらせるか……!!」
 凛も節々の鈍い痛みに歯を食いしばって刃を振るうが、攻撃した内の半数がかわされていた。空の霊気を帯びた薄桃色の刃を戦輪で逸らし、もうひとつの戦輪が凛の脇腹を深々と食い込み血飛沫をあげる。
「凛サン!?」
 追撃を時雨が受け止めている間に、レヴィアが練気を飛ばし止血を試みるが溢れ出る鮮血は止まらない。次々と膝をつく仲間の姿と容赦ない猛攻にアシェリーの表情も険しくなる。
「――滅びよ」
 Exousiaの出力を上昇させマザーに一点集中させる、エネルギーの奔流を受けてマザーのスカート状の装甲に亀裂が走るもののカーテンコールにはまだ早いと機関砲で牽制する。
「てやややー!」
 紫電が光る長槍の乱れ突きにバールの滅多打ちで和が装甲を削り、側面から時雨とフィルトリアの挟撃が迫る。互いに目配せして時雨が先に弓を番える。放たれたエネルギーの一矢はマザーの白い髪を抜け、死角となった反対面から煌々と燃え盛る漆黒の炎を纏ってフィルトリアが肉薄する。
「貴方の罪、私が断罪します……!」
 罪断つ拳はマザーの七連機関砲を打ち砕く勢いで破壊天使砲にも一撃を加え、よろめいたマザーにアベルが両腕を振り被った。受けよ、我が騎士の誇りを、悪への怒りを!
「ドラゴニック・グランドクロー!」
 超重力衝撃波にマザーのスカートは大きく斬り裂かれ、落下した破片が砕け散る。配線の束と鉄骨が露出しているにも関わらず、マザーは動揺を示さない。恐れも、怯えも、それらは『心』が感じるものだから。
「……再充填、完了」
「っ! 主砲きマス!!」
 歪な音を上げて射撃体勢に入るマザーの攻撃にレヴィアが注意を呼びかけながら紙兵をばら撒いた。戦場内を舞い降る紙兵はアベル達を護ろうとその身に張り付いていく。
 ――天使の輪が爛々と輝き、八つの砲門からエネルギーの激流が生じる。放出する勢いに耐えられなくなってか、ミシミシ……と軋む音が僅かに耳に入る。
「雨咲!行けるか!?」
「は、はい!」
 マイの呼びかけを受け、時雨は同時にフィルトリアとアベルの前へ躍り出る。強い光に視界が白む。体が焼けつく。痛みに意識が朦朧とする――しかし、生じた『一瞬』が最後の一撃をもたらす!
 射線上から外れていたアシェリーは賢弓剣ケイロンを握りしめた。
(「……さようなら。私は、私の『心』のままに往くわ」)
 ――ビームが収まると同時に地を蹴り、サジタリウスの守護星座が光り輝く! ひび割れた母の顔が視界に入り、視線を交わらせながら刃を振り上げる。
「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!」
 その一閃は過去を断つ為に! その一閃は未来を拓く為に!
 天地を揺るがす十字の斬撃がマザーの胸部を斬り裂き内部部品の金属片が散らばり落ちる。小規模の爆破を伴いながらマザーは崩れ落ちるように仰向けに倒れていく。
「に、ニに、任、ん務、ぞ、っこ、不か、カカ…………――」
 起き上がる気配はない。マザー・サジタリウスは完全に沈黙した――だが、感傷に浸っている時間もない。

●開戦、強襲への狼煙
「残るはあれだけ……っ、つ」
「無理はいけマセン!」
 フィルトリアの拳が砲身を穿ち、アベルの大鎌が砲座を叩き斬る。手隙となった和に続き、マイも砲台の破壊に向かおうと片膝を立てるがよろけてレヴィアが支えに入る。
「景気よくぶっ壊すぜー!!」
「二度と使えないようにしましょう!」
 和はエクスカリバールを振り回して怪気炎をあげ、フィルトリアも砲座を華麗な連続蹴りで使用不能に追い込んでいく。
「終わらせるわよ……次の戦いが待っているのだから!」
 『幕引き』と冠した集中砲火に合わせてアベルもアームドフォートの主砲で一斉射をかける。次第に火花が散り始め、トドメにアベルが両腕をグラビティで巨大変異させる。
「これで……決める!」
 虚空から生じた衝撃波が深々と抉り、中枢に達すると大きな爆発を伴い瓦解していく。完膚なきまでに破壊された砲台は二度と機能することはない。
「えっと、信号弾は……よし」
 時雨は用意していた信号拳銃を取り出す。ふらつきながらも隙間に向かってトリガーを引いた――軽快な発砲音と共に緑色のシグナルが放物線を描いて外に飛び出していく。
 前哨戦、開幕の狼煙があがった。

作者:木乃 重傷:マイ・カスタム(後期型・e00399) 大神・凛(ちねり剣客・e01645) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年4月14日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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