魔剣ダーインスレイブ

作者:陸野蛍

●鮮血求めし魔剣
 夕方の駅前は、学生や主婦、帰宅途中のサラリーマンが多く行き交っていた。
 そんな中でもハッキリと聞こえて来る悲鳴。
「キャー! イヤー!」
「デウスエクスだー!」
「嫌だ、嫌だ、助けてーーーーーー……!!」
『ザシュッ!』『ズシャッ!」『ビチャッ!』
 肉を切る音、首が落ちる音、鮮血が飛び散る音……殺戮の音だけが喧騒を掻い潜り人々の耳に届く。
「ファーグァァァー!! 血ヲ……我が身ニ血ヲ」
 叫ぶ甲冑姿のデウスエクス。
 だが、逃げ惑う人々は誰も知らない。
 この殺戮が魔剣と呼ばれる武器の所為だと言う事を……。
 知り得たとしても斬られゆく運命は変わらなかっただろうが……。

●殺戮の魔剣破壊作戦
「みんな! エインヘリアルによる、人々の虐殺事件が起こる事が分かった。場所は、神奈川県、梶が谷駅前。説明次第、ヘリオンを飛ばす!」
 大淀・雄大(太陽の花のヘリオライダー・en0056)は、ヘリポートに駆けて来ると、早口で説明を始める。
「現れるエインヘリアルは、過去にアスガルドで重罪を犯した凶悪犯罪者なんだけど、エインヘリアル自体はノーネーム。エインヘリアルの一兵士にすぎない。このエインヘリアルが『永久コギトエルゴスム化の刑罰』を受けるまでになった要因は、彼が手にしてしまった剣にある。その名は『魔剣ダーインスレイブ』一度抜くと永遠に命を奪い続ける存在になってしまうと言うこと以外、分かっていない魔剣だ」
 雄大の予知でも、彼がどんな経緯でその剣を手にしたかまでは分からないが、彼を重犯罪者にまでしてしまった剣だ、放っておいていい代物でないのは確かだ。
「エインヘリアルは魔空回廊を使い駅前に忽然と現れる。今から急行すれば、6……いや8分だな。エインヘリアルが現れる8分前には、現着してみせる。すぐに周囲の人々の避難及び、侵入者が無くなる様な対処をした上で、エインヘリアルを待ち伏せ、撃破して欲しい」
 8分と言う時間で迎撃態勢を完全に整えられ無ければ、多くは無くとも犠牲者が出るだろうと雄大は言う。
「現場は駅前出口を左右に走る上下一車線ずつの道路、一般的な商店街通りになる。周辺の被害は後でヒールすればいい、エインヘリアルの撃破が最優先だ。そして、撃破した後『魔剣ダーインスレイブ』は、回収では無く確実に破壊してくれ。今の地球の技術じゃ魔剣の解析は不可能だし、もしグラビティを操る事の出来る者……ケルベロス及びデウスエクスが手にした場合、魔剣はその相手を新しい宿主にしてしまう。百害あって一利なしの剣だ。更なる悲劇を生まない為に、これは絶対だからな!」
 これほどまでに雄大が念押しする事は珍しい……それ程までに危険な剣なのだ。
「エインヘリアルの戦闘面のデータに移る。さっき、エインヘリアル自体は一般兵だって言ったよな? だけど、魔剣の力でその力は本来の数倍に跳ね上がっているし、魔剣に支配されている為、自我も痛覚も無い……十分な強敵と言える」
 一般兵を痛みも恐怖も感じない殺戮者にし、力を数倍にする剣……もし、強靭なデウスエクスが手にしてしまえば…………想像を絶する力を発揮する可能性が高い。
「攻撃手段は、単純な斬撃……但し相手の鮮血及びグラビティ・チェインを魔剣が吸収してしまう。次に、刀身を燃焼させて薙ぎ払う事で近くの相手を纏めて焼き斬る攻撃。最後に魔剣の幻影を多数呼び出し射出する攻撃の3つだ。宿主が生きている状態で魔剣の破壊をすることは不可能。宿主の手から離す事が出来るのも、宿主のグラビティ・チェインが完全に尽きた時のみ。暴れ狂うこのエインヘリアルを倒してからじゃないと、どうしようもないってことだ……」
『魔剣ダーインスレイブ』
 ……『魔剣』と名を冠するだけの力があると言う事だ。
「説明は以上! 時間が無い! メンバーが搭乗次第、すぐにヘリオンを超特急で飛ばす! 時間は無いけど、確実にエインヘリアルを倒し『魔剣ダーインスレイブ』を破壊出来る作戦を練ってくれ。頼んだぜ、みんな!」
 言うと雄大は、一気に駆けだし慌ただしくヘリオンに乗り込むと、飛行準備を始めた。


参加者
ミルフィ・ホワイトラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・e01584)
霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)
山田・ビート(コスプレ刀剣士・e05625)
ダルク・フリード(ブラックホワイト・e10663)
クー・ルルカ(デウスエクスに悪戯する者・e15523)
ランジ・シャト(舞い爆ぜる瞬炎・e15793)
スノードロップ・シングージ(堕天使はパンクに歌う・e23453)
曽我・小町(大空魔少女・e35148)

■リプレイ

●伝承として名を残す魔剣
(「……ダーインスレイブ。……北欧の伝承にも語られる魔剣。……何にせよ、一般の方に犠牲を出す訳には参りませんわ……破壊せねば」)
『魔剣ダーインスレイブ』その名を聞き、北欧の史実に出てくる魔剣を真っ先に思い浮かべた、ミルフィ・ホワイトラヴィット(ナイトオブホワイトラビット・e01584)は心に強い思いを抱きながら、エインヘリアルが現れるという現場に来ていた。
 歴史書によれば、ドワーフの始祖が創り出し、一度鞘から抜いてしまうと、生き血を浴びて完全に吸うまで鞘に納まらないと言われた魔剣と言うことになっているが、今回の魔剣と同一の物かまでは、分からない。
 だが、デウスエクスであるエインヘリアルを意のままに操り、凶刃となる剣だ、このまま現存させていい物でないことだけは確かだ。
「皆さん! 今から数分後、この周辺にデウスエクスが出現します!」
 声を大にして叫ぶのは、山田・ビート(コスプレ刀剣士・e05625)。
 その突然の言葉に周囲の人々は戸惑いを隠せないが、ビートは声を挙げつつ、スタイリッシュなケルベロスへと姿を変える。
「ですが、安心してください! 我々ケルベロスが来ました! 大丈夫です、何とかなります……いえ、して見せます! ですから、お互いに協力して、落ち着いて避難してください!」
「ミナサン、落ち着いてヒナンシテくださいネ!」
 オラトリオの漆黒の翼で空を飛び、空中から避難を呼び掛けているのは、スノードロップ・シングージ(堕天使はパンクに歌う・e23453)だ。
(「……魔剣ダーインスレイブ。……大いなるダインの遺産の名を持つ鮮血の魔剣。……アタシの『絶死の魔刃』と同じ名と由来を持つ紅の魔剣。現れたら、全力全壊デkillキルしてイキマス!」)
 スノードロップがまだ見ぬ、魔剣に対抗意識を燃やしていると、辺りに賑やかな音楽が響く。
「はい、ご機嫌いかが? 商店街の皆! この近くでデウスエクスとケルベロスの戦闘が始まるの! 危ないから、離れていて頂戴ね!」
 熱狂的な音楽に言葉を乗せ、住民に避難を促すのは、曽我・小町(大空魔少女・e35148)。
「それから、近くに居るお子さん、お歳寄り、怪我してる人とかには手を貸してあげて!」
 住民同士の協力も呼び掛け、自身の相棒である、ウイングキャットの『グリ』にも子供達の不安を取り除くように、愛嬌を振りまいてもらっている。
 ケルベロス達は散開して、避難誘導をしていたが、ミルフィもまた騒音の中でも聞き取れるようにグラビティを込め、避難を呼び掛けていた。
「わたくし達はケルベロスですわ……! 皆様、こちらの誘導に従い避難して下さいませ……!」
「この最強無敵のケルベロス達がついてます! 安心して避難をどうぞ!」
 派手な究極コスチュームで、人々に格好良く強そうな印象を与えることで勇気を与えられるようにと、霖道・裁一(残機数無限で警備する羽サバト・e04479)は、高らかに声を挙げている。
「ケルベロスよ! みんな聞いてちょうだい!」
 一方では、生きる事の罪を肯定するメッセージ、そして……勇気や安心が人々に届くようにと、ランジ・シャト(舞い爆ぜる瞬炎・e15793)とクー・ルルカ(デウスエクスに悪戯する者・e15523)が歌声を響かせていた。
(「……いよいよ、エインヘリアル達も腐りきったみたいね……オーケー。そんなに血が欲しいんなら、魔剣の持ち主自身の血で染め上げてやろうじゃない……」)
 普段のパンクファッションではなく、ケルベロスが居ると言う安心感を人々に与える為に、赤を基調としたケルベロスコートを身に纏ったランジがそんなことを考えていると、通信機から声が聞こえてくる。
 その言葉に答えると、ランジはユニゾンしていたクーの背中を叩く。
「避難誘導は順調だってよ。あとは、街の人達が戦闘域に入って来ないように殺界を展開してってよ。頼むよ、クー」
「分かったよ、ランジさん。ボクも出来る事を頑張ってくるね。逆の場所でダルクさんも頑張ってくれているはずだから」
 そう言葉を残したクーを見送った後もランジは、威風堂々たる風を起こし、人々が落ち着きを保っていられるように集中を続ける。
(「……ふむ。……魔剣ダーインスレイブ。俺の目の前にまた現れるか……。ならば、破壊するのが俺の役目か……」)
 クーとは真逆の位置で、殺気を強く放っていた、ダルク・フリード(ブラックホワイト・e10663)は、自身と因縁がけして浅くない魔剣との再会を前に一人……強い決意を固めていた……。

●魔剣に操られしエインヘリアル
「キープアウトテープ、ハリ終わったデース♪」
 スノードロップが黒翼を羽ばたかせながら、仲間達に伝える。
「現着から7分……避難誘導及び戦闘域の確保は無事完了。これで、私達がエインヘリアルを撃破さえ出来れば、人々に被害は出ない筈です」
 時計を確認し、ビートはエインヘリアルが現れると言う駅前に再集合した仲間達に固い口調で言う。
 ビートとて、不安が無い訳ではないのだ。
 ケルベロスとして、いくつもの死線をこれまでに超えてきている……だが、これから相対する敵は魔剣に操られた者……これまでの敵とは、異質なモノだ。
 その時、ケルベロス達の目の前の空間が歪み、闇で彩られた魔空回廊が口を開けると、鮮血を思わせる紅き刀身で宙を裂くようなしぐさをしながら、真っ赤な甲冑を纏ったエインヘリアルが姿を現した。
「現れたわね……魔剣ダーインスレイブ。聞いた事がある気もするけど、壊す訳だし曰くはどうでもいいわね。人斬り魔剣とか迷惑千万、今日は誰の血も吸わせないうちに、終わらせて……あげる」
 言うと、小町は鳥籠を象った意志を持つ白金『蜃気籠―シンキロウ―』に語りかけ、仲間達の集中力を高める粒子を大気に撒く。
「ダーインスレイブ……その剣に操らているだけの、キミは可哀想だけど……ボク達は負けられないから。キミを倒して眠らせてあげる」
 戦化粧を施したクーは、少しだけ寂しげなトーンでエインヘリアルにそう語りかけると、絶望しない魂の歌を歌い、エインヘリアルの注意を自身に向ける。
 相棒のミミック『どるちぇ』も武器を具現化し、エインヘリアルを牽制している。
「ファーグァァァー!! 血ヲ……我が身ニ血ヲ……血ヲ!」
 狂ったように叫ぶと、エインヘリアルはダーインスレイブの刀身を燃焼させ横に薙ぐ。
「話に聞いていた以上に凶暴みたいね。でも、それくらいの切れ味じゃアタシの血の一滴もあげられないね」
 ニヤリと口元に笑みを浮かべながらランジは言うと、お返しとばかりに巨大な鉄塊剣『グリーフファング』を力の限り、エインヘリアルに叩きつける。
(「……あの魔力。……やはり、本物の魔剣ダーインスレイブか」)
 エインヘリアルの狂気の瞳を見ながら、ダルクは自身の記憶と一致する剣に対し確固たる意志を持つ。
「……魔剣ダーインスレイブ。……お前を破壊する」
 静かでありながら気迫のこもった言葉を口にし、ダルクは石化の魔力をエインヘリアルに放つ。
「……伝承の魔剣。……こうしてお目にかかれるとは。……これ以上の殺戮は……させませんわ……!」
 魔剣に対する否定の言葉と共にミルフィは、アームドフォートの主砲を一斉発射する。
「……傀儡が一人、ずっと操られるのも酷でしょうし、この世から解放してやりますか」
 ヒロイックモードの裁一は普段の暗黒面を隠し、流星を纏ったような蹴りをエインヘリアルに決める。
「アタシのダインスレイブがホンモノだって決まってマスケド、生き残った方が本物のダインスレイブでOKデスヨ。さあ、ヤリマスヨ! 啜れ、血染めの白雪」
 好戦的な言葉を楽しげに口にしながら、スノードロップは刃が白雪のように白く美しく輝くナイフ『血染めの白雪』でエインヘリアルの甲冑の隙間を切り裂く。
「魔剣に囚われたエインヘリアル兵……人々に被害を出す前に、ここで止めて見せます! 凍える白き虚ろの刃よ、楔となりて歩みを止めよ!」
 体内のグラビティ・チェインから刀を作り出し、その刀をエインヘリアルに突き立てながら、ビートはもう一度強く……決意の言葉を口にした。

●魔剣からの解放
「操られようが体が言うこと聞くかは別問題!」
 エインヘリアルの生み出した魔剣の幻影の攻撃を受けてなお、裁一は前に出ると瞬時に気配を消し、エインヘリアルの後ろを取り、怪しい薬物を甲冑の中に流し込む。
「非リアに与えた苦しみは苦しみを持って返すまで!! 貴様がリア充とは、思っていないがな」
「此れより【選定】を行いますわ――貴方の魂の行先は……槍に御聞きなさいまし……!」
 ミルフィが宣告すると、女神直属の戦乙女が現れ、女神の命により戦死者の魂の選定を行う……皮肉にもエインヘリアルである彼に対してだ。
 魔剣ダーインスレイブを手にしたエインヘリアルとの戦闘開始から7分が経過していた。
 魔剣の力は、話に違わぬ威力を有していたが、裁一、ランジ、クー、グリ、どるちぇ、各ディフェンダー達が鉄壁の防御を見せ、攻撃の要であるスノードロップの負傷を無くし、自分達に意識を向けさせることで、後衛陣へ攻撃を向けさせないようにしていた。
 重い一撃をディフェンダー陣が受ける事もあったが、小町が柔らかな口調で口を開きヒールの力を広げる。
「そう言えば、あたしも魔剣を持ってるのよね」
 小町の紡ぐ歌は信念を込めた魔剣の歌……その刃は力となって、クーに注ぎこまれる。
「――誰にも壊されない、姿なき魔剣を!」
「ありがとう、小町さん! どんなに熱い炎で切られても負けないよ。だって、ボクが思いっきり冷やすから! 氷漬けになっちゃえぇ!!」
 息を大きく吸い込むとクーは、全身を震わせて渾身の叫びを挙げる。
 魔力を伴ったその叫びは、瞬時に周囲の大気を凍り付かせ、エインヘリアルに冷気の渦として襲いかかる。
「痛みも恐怖も感じない、あなたの力は脅威ですが……所詮、魔剣に操られているだけ。安らかに眠りにつくことをお勧めします!」
『ダークブルースライム』を捕食の形に変えて、ビートが言い放つ。
「スノードロップ! もう少し気張りなさいな。援護したげるから!」
 言いつつランジは、活性化した高濃度の紅き陽炎のように揺らぐグラビティ・チェインを疾風の如く吹かせると、スノードロップを癒す。
「アリガトデース! とっておきを見せちゃるデース!! ダインスレイブは2本も要らないデース。その魔剣、叩き切らせてもらうネ! わが声に従い現れヨ!! 抜けば魂ちる鮮血の刃!! ダインスレイブ!!」
 ダインスレイブの逸話を基に自身が鹵獲魔術で創り出した魔剣を召喚すると、スノードロップはその紅き剣で、エインヘリアルの真紅の甲冑を真一文字に斬る。
「……俺の役目……果たさせてもらう」
 甲冑を派手に切られても、魔剣を手放さないエインヘリアルに向け、ダルクは冷酷にも聞こえる声音で呟く。
「混沌の憂えは、浅ましき人の業。天壌の夢は、無窮の幻。虚ろの神よ、闇をもて、光に鉄槌を!」
 詠唱が進む毎にダルクの背に徐々に現れる異形の翼……ダルクが解き放つは、黒と白の魔法陣……。
 二つの魔法陣はエインヘリアルを呑み込むように光を放つと、空間と共に捩じ曲げエインヘリアルの存在そのものを押し潰すと、その場に最初から何も無かったかのように消し去る……。
『ガララン……』
 宙から落ちるように、紅き魔剣が音を発ててアスファルトに転がった。
 だが、その魔剣の刀身は……未だ鮮血を吸い足りないと言わんばかりに、怪しく鈍く光っていた……。

●魔剣の終わり
「皆さん、今です! ダーインスレイブを!」
 言うや否や、ビートの『日本刀・童子切安綱』が奔った。
 それに続くように、裁一の時空を凍らせる弾丸が、ミルフィの炎の蹴撃が、ランジの大剣の強烈な一撃が、スノードロップの絶死の魔刃が、ダルクの空間魔法が一斉に『魔剣ダーインスレイブ』に放たれれば、鮮血を求めし魔剣は、紅き輝きを残して粉々に砕け散る。
「……これで、終わったんだね……。痛かったよね、辛かったよね……ゆっくり休んでね……」
 破壊された魔剣を見ながら、魔剣に生を翻弄された今は亡きエインヘリアルに言葉を贈る、クー。
 泣きそうになる自分を鼓舞するように、クーは隣に立つ小町の手を強く握る。
 小町はその手を握り返しながら、この街の人々に笑顔が戻るようにと歌いながら、ヒールの力を広げていく。
 クーとダルクが殺気の力を解除すれば、徐々に人々が駅前へと戻ってくる。
 最初こそ、脅えていた人々もデウスエクスがケルベロスの力で撃破されたことを喜び安堵の表情を浮かべる。
「あのエインヘリアルも……魔剣に憑かれたばかりに……せめて魂は……安らかに……」
 街にヒールをかけながら、その癒しが死したエインヘリアルにも届けばとミルフィは願う。
「……それにしても、あの魔剣の類い……量産されてないか心配であるな」
 裁一が、ふと思い至った不吉なことを口にするが、ダルクが首を振る。
「誰が創ったかも……その技術も……伝承もおそらく残っていない……。魔剣の類と再び相見えることになるとしたら……過去の遺物……。数は多くないだろう……。一本でも現れれば脅威なことには変わらないがな……」
 強力なデウスエクスだったとしても、デウスエクス自身を支配するような強力な武具を創ることは容易ではないだろう……例え、それが叶ったとしても……その時は、また自分達がこの世から消す他ないだろう……ケルベロス達は静かに胸に誓うのだった……。

作者:陸野蛍 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年4月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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