巨大メロンパンの悪夢

作者:天木一

「ん~いいにおい!」
 小麦の焼けたほんわかする香りが漂う店内で一人の少女が目を輝かす。
「パンまつりだー! 食べほーだいだよー!」
 あっちこっちに動き回り、まだ温かさを感じる焼き立てのパンを見て回る。
「なに食べよっかなー、ジャムパンにーチョココロネにー」
 よいしょっとトレイを手にしてパンを乗せていく。
「どうぶつさんのパンもいいよねー、それでもって一番好きなメロンパン!」
 トレイに山盛りのパンを乗せてご満悦な顔を見せる少女。
「メロンパンならいくつだって食べられるよー」
 するとトレイの上に載っていたメロンパンがみるみるうちに大きくなっていく。
「ふわっ!?」
 それはやがて少女よりも大きくなり、店の壁をぶち破り何メートルにもなる。そして落下し少女を押し潰した。
「わー!! ……あれ?」
 少女が目を見開けると、そこは自室のベッドの上。
「なんだー夢かー。びっくりしたなーもう」
 安堵の息を吐き、少女は上体を起こす。
「夢なんだったら、あのおっきなメロンパン食べちゃえばよかったよ」
 そんな想像をした時だった、少女の胸に鍵が突き出る。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
 背後にはいつの間にか女が現れ、突き刺さっていた鍵を引き抜く。
 意識を失い崩れ落ちる少女。すると既に女は姿を消し、代わりに大きなメロンパンがそこに現れていた。
『外はカリカリ、中はふんわり~♪』
 メロンパンは窓を飛び出し、月の輝く夜空へと舞い上がった。

「新たなドリームイーター事件の情報よ。どうやら大きなメロンパンの敵が現れるみたいね」
 ユーロ・シャルラッハロート(スカーレットデストラクション・e21365)が集まったケルベロスに事件の発生を告げる。
「驚いた夢を見た少女から、第三の魔女・ケリュネイアが『驚き』を奪い新たなドリームイーターを生み出したようです」
 隣に立ったセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が詳細について話し始めた。
「ドリームイーターは人々を襲い、グラビティ・チェインを奪おうとしているようです。それを皆さんで阻止し、敵を撃破して少女を目覚めさせてあげてほしいのです」
 今ならばドリームイーターが一般人を襲う前に現場に入る事が出来る。
「ドリームイーターはメロンパンの姿をしています。そのサイズは普通のパンのサイズから6mの巨大サイズにまで変化できるようです」
 その巨体で踏み潰したり、パンを食べさせたりといった攻撃方法をしてくるようだ。
「埼玉県にある夜の住宅地に現れ、通行人を驚かせてから襲うようです。そして驚かない相手は執拗に驚かせようとするようです」
 その性質を活かせば敵の攻撃目標をコントロールする事も可能だ。
「メロンパンはどこにでも売っている定番商品ですね。食べるものに食べられる訳にはいきません。この美味しそうなドリームイーターを退治し、パン好きの少女を助けてあげてください」
 説明を終えたセリカは一礼してヘリオンの準備へと向かう。
「メロンパンね……6mは何人前になるのかしら?」
 ユーロが巨大なメロンパンを思い浮かべる。
「想像もつかないけど、食べきれないパンなんてあっても仕方ないわよね。人に迷惑をかける前に退治しちゃうわよ」
 その言葉に同意し、ケルベロス達は戦いの準備を始めた。


参加者
源・那岐(疾風の舞剣士・e01215)
天矢・恵(武装花屋・e01330)
天矢・和(幸福蒐集家・e01780)
葉月・静夏(戦うことを楽しもう・e04116)
ウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)
源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)
ユーロ・シャルラッハロート(スカーレットデストラクション・e21365)
長瀬・千夜子(向こう側・e28656)

■リプレイ

●月夜
 月明りが静まり返った家々を照らす。そんな住宅街の夜道にケルベロス達が居た。
「ここだね、ドリームイーターが現れるって場所は」
 敵がいないかと天矢・和(幸福蒐集家・e01780)が周囲を見渡す。
「こっちの準備が終わるまで待っててくれりゃ良いんだが」
 天矢・恵(武装花屋・e01330)は仲間が通行止めの準備をしている間、敵が来ないが警戒して鋭い視線を暗闇に向ける。
「むむ、今度はメロンパンが人を襲うとはのう。今度のは直接襲っているのではなく驚かしているだけのようじゃのう。どちらにしても人を襲うパンは完食してしまうのじゃ」
 付け髭を弄りながらウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)はメロンパンの行動原理を読み解くように思考を巡らせる。
「大きなメロンパンが食べたいと思った事は有るけど、本当に大きなメロンパンが現れるなんてね」
 何でもありだとユーロ・シャルラッハロート(スカーレットデストラクション・e21365)は肩をすくめた。
「同じメロンパン好きとして、メロンパンが好きな女の子にも親近感が沸くわね。メロンパンに食べられる前に助けてあげないとね」
 女の子を助ける為にも、メロンパンを退治しなくてはと気合を入れる。
「チョコチップメロンパンは無いんですか? 残念です」
 好きなチョコチップ入りのパンじゃない事に長瀬・千夜子(向こう側・e28656)は残念そうに肩を落とす。
「巨大メロンパン……」
 大きなメロンパンにかぶりつく想像をした源・那岐(疾風の舞剣士・e01215)は、だらしない顔でごくりと唾を呑み込む。
「へえ、巨大メロンパンか……那岐姉さん涎出てるよ」
 そんな様子に源・瑠璃(月光の貴公子・e05524)が呆れたように声をかける。
「コホン。物騒なメロンパンは退治しないとですね!!」
「まあ、物騒なメロンパンは早く退治しちゃおうか。行こう」
 誤魔化すように真剣な表情を作った那岐はやる気を見せ、殺気を放って人払いを行う。瑠璃も誤魔化されておくかと頷きキープアウトテープを張っていく。
「夢から発生したようなものとはいえ、驚かすためにメロンパンというのは……インパクト重視なのかな?」
 いくら大きくてもメロンパンでは怖くないと、葉月・静夏(戦うことを楽しもう・e04116)は首を傾げた。
「愉快な感じだけれど、敵なら倒さないとね」
 人を傷つけるのであればどんな相手であろうとも倒さなくてはと敵の姿を探す。

●巨大メロンパン
 ケルベロス達が周辺を立ち入り禁止にして見回っていると、月光が僅かに遮られる。
「ふむ、このメロンパンは大きさが自由に変えられるようじゃのう。つまり、どこから驚かしてくるか分からないのじゃ。十分に注意するのじゃぞ」
 仲間に向けて忠告しつつウィゼが空を見上げる。すると空に月を背景に丸いものが浮かんでいた。
「うわっあれは何だ、鳥か? UFOか? ……なーんだメロンパンか」
 驚きながら和が指さす先には、空を飛ぶ丸い物体、小さなメロンパンが飛んでいた。
「メロンパンは飛ばねぇぜ……投げられるのとわけが違うだろ」
 恵は驚愕したような顔を作り、メロンパンを見上げた。
「いや今時のメロンパンなら空くらい飛ぶでしょ」
 和は肩に乗るファミリアの白子猫を撫でながら呑気にそう返す。
『おーつきさーまよりおーきぃーぞー』
 驚かれた事に気をよくしたのかメロンパンがみるみるうちに数メートルまで大きくなり月を覆い尽くす。
「お、おっきいメロンパンが浮いてるよぅ!」
「きゃあ、いきなり大きくなりましたよ……!」
 その変化に静夏が可愛く悲鳴を上げ、千夜子も震える手で指差して驚いてみせる。
「こんな大きなメロンパンに潰されたら、きっとお煎餅みたいにぺったんこになってしまいます! たーすーけーてー」
 わざとらしい悲鳴を上げながら芝居臭い動きで頭を抱えて屈み込む。
「おお、これは大きいのじゃ」
 むむっと髭を震わせてウィゼが驚いてみせる。
「こんな大きなメロンパン、食べきれないわよ!」
 大袈裟にたじろいだ身振りをしてユーロは驚いた姿を敵に晒す。
「あ、大きい。メロンパンだね。まあ、ただ大きいだけだし。そう思うよね。瑠璃」
「うん、確かに大きいけど、大きいのに何の意味があるの? もしかして出オチって奴?」
 冷静な態度で那岐が問いかけると、瑠璃も落ち着いた様子で挑発的にパンを見上げる。
『驚かない子には、お仕置きだよ~』
 可愛らしい声を響かせて巨大メロンパンが浮遊を止めて落下してくる。
 それを那岐と瑠璃が受け止める。パンにしては重い衝撃が圧し掛かるが踏ん張って堪え、その間に仲間達は屈んでパンの下から逃れた。
「メロンパンではときめきこそすれ、驚きませんね。危険ですけど、食べてみたいような……」
 だが食べる訳にもいかないと、片手を放した那岐が愛用の刀を抜き打ちパンの底を斬りつける。
「今は我慢してね那岐姉さん」
 続けて瑠璃が白銀のオーラを纏わせた拳で打ち抜き、パンの巨体を押し返した。
「さっくり割っちゃおう!」
 右肩に乗せただんしんぐひまわりを揺らしながら跳躍した静夏は、道路標識っぽい斧を振り上げ思い切りパンに叩きつけた。
『いたいなーもう』
 のほほんとした声でパンは身体を揺すって静夏を振り払い、踏み潰そうとしたところで動きを止めた。
「巨大メロンパンかぁ……食べたいなぁ……」
 ビハインドの愛し君が金縛りに掛けたところへ、和はリボルバー銃を抜き撃ちパンの底に穴を空ける。
「大きけりゃ良いってものじゃねぇだろ」
 敵の注意が和に向かっている間に、背後へと回り込んだ恵は跳躍してその背中を思い切り蹴り飛ばす。
「見事にメロンパンじゃな。じゃが見た目で判断せずにいくのじゃ」
 ウィゼが小さなドローンを幾つも飛ばし、仲間の前に配置して癒しと防衛の両方を行う。
「悪夢を見せることなら、わたしも結構得意なんですよ?」
 千夜子がパンの精神に介入し幻を見せる。
「メロンパンが夢を見るかは知りませんが……カビが生える夢とか、でしょうか」
『湿気はダメダメ~、カビが、青いのからピンクなのまで!?』
 すると悪夢に苛まれパンが悲鳴を上げる。
「外はカリカリ、中はふんわり。確かに美味しそうね」
 その隙に腕に鋼を纏わせたユーロは拳を打ち込んで肘までめり込ませる。そしてパンを掴んで千切りながら引き抜いた。
『カリカリふんわり、美味しい美味しいメロンパンだよー♪』
 幻を振り切って突っ込んできたパンの一部が小さくブロック状に細切れになり、散弾のように飛び出す。それは近くのケルベロス達の口に入り、サクッとした食感からふわっとした柔らかい生地へと達し甘みで口の中で満たす。そしてパンは勢いのまま体当たりしてくる。
「食べちゃったけど、これは不可抗力だね」
 もぐもぐと咀嚼した瑠璃は両手で持った杖で受け止め、押し返しながら電撃を流し込みパンの全身にショックを与える。
「美味しかったですけど、敵は敵です!」
 緩む顔を何とか引き締めた那岐は刀をパンの傷口に突き入れ、抜きながら生地を撫でるように裂いて広げた。
「食べ過ぎは毒じゃからのう、これですっきりさせるのじゃ」
 ウィゼは皆のダメージを推測し、最も負傷している瑠璃に魔力を伝えて遠隔操作で胃を浄化し治療を施す。
「今より一層カリカリにしてやるぜ」
 恵は竜の幻影を生み出し吐き出すブレスでパンを焦がす。
「だよね……! 僕も焼きが足りない気がしてたんだ」
 頷いた和はローラーダッシュで加速し、火を撒き散らしながら回し蹴りを浴びせた。
「メロンパンはアイスと合わせると美味しい、ってきいたよ」
 懐に入った静夏は大きな胸が強調されるように上半身を反らし、一気に頭を前に出しお辞儀するように頭突きをおみまいした。グラビティ・チェインの力で冷えた頭が一瞬にして相手の熱を奪い頭突きで凹んだパン生地を凍り付かせる。
「美味しそうですね、わたしも少し食べたくなるような気もしますが……いえ、誘惑には負けません」
 頭を振って雑念を追い払った千夜子は大きなハンマーを叩き込み、ぼっこりとパンを潰してその形のまま凍りつかせる。
『熱冷たい!?』
 焼かれたり凍らされたパンは間を開けようと小さく縮んでふわふわと浮遊する。
「残念、小さくなってしまったわね。でも、大きすぎるとボソボソで美味しくないかも?」
 逃さないとユーロも竜の幻から炎のブレスで薙ぎ払い、こんがりとパンを焼いていく。

●カチカチパン
『軽く焼いてカリッとしたメロンパンは美味しいんだよ~、でも焼き過ぎには気を付けて~』
 また巨大化していくメロンパンの傷が修復され、表面がどんどんと硬度を増していく。そして6mの巨体がケルベロス達の頭上へと落下してきた。
「元気なのはいいことだけど、少し大人しくしてもらえるかな」
 瑠璃は御業を呼び出しパンの体を支える。
「綺麗な焼き目をつけてあげます」
 その間に滑り込んだ那岐が下から炎を纏った白いエアシューズで蹴り上げる。するとガキンと金属を蹴ったような感触が足に伝わる。
『パンパンパン~美味しいパン~』
 パンは最大まで大きくなって2人を押し潰そうと重量を乗せてくる。
「硬すぎると食べにくいよ、食べやすい硬さにしてあげる!」
 静夏が斧にグラビティ・チェインを込めてフルスイングで叩き込む。すると硬かったパンの表皮がぽろぽろと崩れ落ちた。
「また大きくなったわね。食べてみたいけど、そうも言ってられないわね」
 ユーロは精霊を呼び出して吹雪を起こし、パンを氷雪に覆わせる。
「どれほど大きくとも、こうして工夫すれば対応できるのじゃ」
 ウィゼの元から広がったスライムが薄く大きな膜となってパンを丸々呑み込み動きを封じた。
『美味しいメロンパンをどうぞー』
 その膜を突き破ってパンの破片が飛び出してくる。その前に守ろうと立ち塞がる愛し君がパンを浴びて甘い香りに包まれる。次々飛ぶパンは同じく庇おうとした那岐と瑠璃の口へと収まり、口に旨みを、身体に気怠さを与えていく。
「うっわさくふわー! ……でもこれ食べたら駄目なんだよねぇ、残念」
 仲間が食べるのを和は羨ましそうにじーっと見つめる。
「勝ったら美味ぇメロンパン焼いてやるぜ、チョコチップでも白餡でも好きなもの入れてな」
 恵が作り出した弾丸を放ち命中したパンの体を凍り付かせていく。
「わーい恵くんのメロンパン! クリーム入りでよろしく」
「クリームか、了解したぜ。さくふわの奴焼いてやるから、こいつは始末するぜ」
 やる気を出した和が元気に跳躍して、パンの上から踏みつけるように蹴りを叩き込んだ。
「帰ったら目をつけておいたパン屋さんで、好きなだけおいしいメロンパンを食べますから」
 だから早く消えてくださいと千夜子は黒色の魔力弾を撃ち込み、パンにカビの幻影を見せる。
『だからカビはダメだってば~!』
 パンはふらふらと地面へと落下した。
「我が戦舞の一つをお見せします」
 刀を手に那岐が舞うと、銀色の風が吹き抜け無数の剣閃が閃き幾重にもパンを斬り裂く。
「こっちも行くよ!」
 続いて瑠璃は己の内に眠る太古の月の女神の力を一本の大きな剣へと変える。そして踏み込むと共に振り下しパンを大きく裂き、勢い余って地面にまで深い傷跡を刻んだ。
「あ、重くて止められなかったよ……」
 しまったという顔をする瑠璃にひょんと跳ねたパンが覆い被さる。
「まだまだ詰めが甘いですね」
 それを割り込んだ那岐が刀で受け止めた。
『食べ物を粗末にしちゃダメだよー』
 傷物となったパンの体がまた硬化していく。
「カチカチのビスケットでも食べることは可能なのじゃ、何故なら食欲は食べ物の守りを必ず打ち砕くからじゃ」
 ウィゼが独自の理論を展開すると、それが現実に影響し鋼のようにカチカチだったパンの表面にひびが入り脆くなっていく。
『パンは食べるものー』
 パンの破片が散弾のように飛び散る。
「拾い食いははしたないです」
 千夜子は口を閉ざし顔を背けてパンを避ける。だがパンはぐるんと一周してその口をこじ開け飛び込んだ。
「食べてしまいました……チョコチップは入ってないけど、美味しいです……」
 気が緩みそうになるのを堪え、千夜子はナイフを引き抜いてパンに突き立てた。そして傷を抉りながらパンを切り取った。
 静夏に向かってくるパンの破片をひまわりがリズミカルに踊りながらパクリと食べてしまう。
「美味しそうだね、アイスをつけてもっと美味しくしてあげる!」
 接近して思い切り反った静夏は頭突きをぶちかました。
「恵くんにとびっきりのメロンパン作って貰うから、君はいらないんだよ」
 そう言った和が一目ぼれの瞬間の一節を諳んじると魔法の弾丸が撃ち出され、パンを追いかけてど真ん中を貫く。
「まともに食えねぇパンに用は無い」
 恵はその手に一振りの刀を召還し構えると、次の瞬間には振り終わっていた。いつ振り抜いたのかも分からぬ速度で一閃した刃は、パンの体を真っ二つに両断していた。
「カリカリ、ふわふわ~」
 2つに分かれたパンはもう一度くっつこうと傷口を合わせる。
「外のカリカリと中のフワフワのバランスが大事よね!」
 そこへユーロは巨大な炎の剣を振り抜き、パンを横一閃に薙いだ。十字に分断されたパンはそのまま地面に落下し燃え尽きた。

●丸いパン
「あれ? おっきなメロンパンの夢を見てたような……」
 家人に事情を説明し、那岐と瑠璃は少女の部屋へとやってきていた。
「もう大丈夫、メロンパンお化けはやっつけたから安心してね」
「今度こそいい夢を見られるよ、きっと」
 ベッドに横たえた少女に那岐が安心させるように微笑み、瑠璃も優しく笑みを浮かべた。そしてうとうとと少女が眠るとそっと部屋を出る。
「そういやメロンパンって結構作るの手間なんだっけ……ね、恵くん、僕も手伝おっか?」
「メロンパン作り位手間じゃねぇぜ、ひと手間かけるのは美味ぇパンに育てる楽しみって奴だ」
 和の言葉に大丈夫だと恵が応じる。
「それより美味ぇ珈琲頼むぜ」
「了解、僕はメロンパンに合う最高の珈琲を入れることにするよ」
 笑みを交わし二人は仲良く帰途につく。
「パンのいい匂い、お腹がへってきちゃったよ」
 パンの残り香に静夏がお腹を鳴らす。
「ふむ、どんな味か味わってみても良かったかのう」
 ウィゼは髭を撫でながらパンを食べた仲間に感想を尋ねる。
「メロンパンならいくつでも食べられるよね、一緒に食べる?」
 用意していた普通のからクリーム等が入ったものまで色々なメロンパンをユーロが差し出す。
「ありがとうございます。いただきます。やっぱり普通のパンがいいと思います」
 千夜子がそれを受け取り、美味しくても危険なドリームイーターは遠慮したいと感想を述べる。
 メロンパンを食べながら、丸い月の下をケルベロス達は歩き出した。

作者:天木一 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年4月4日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 3
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