ゴリラ・ゴリラ・ゴリラ

作者:こーや

「ウホウホ」
 木の根元でビルシャナがなんかほざいた。
「ゴリ、ウホッ」
 ごくり、9人の若い男女が唾を飲む。
 するとビルシャナ、唐突に拳を軽く握って四足歩行――いわゆるナックルウォークで男女の周りをぐるぐる回り始めた。
「ホウッホウッ! ゴリゴリ!」
 脳が理解を拒む状況。
 だが、9人の男女のテンションが何故か急激に上がり始めた。
 それぞれ拳を振り上げ、ビルシャナと一緒に叫び出す。
「ウホッ! ゴリッ!」
「ホウホウ、ゴリィィ!!」
 しまいには全員一緒にドラミング。
 姿形は人とビルシャナだが、その仕草はどう見てもゴリラであった。

「と、いう訳なんです」
 紙芝居をトントンッと整える河内・山河(唐傘のヘリオライダー・en0106)の顔には、少々疲れの色。
 唐突に始まった山河の紙芝居解説によると、『人は皆ゴリラであるべきで、野生を取り戻すべき』と悟りを開いたビルシャナが現れ、ゴリラの教えを説き始めたらしい。
 手始めとばかりに集めた人間に野生のゴリラとしての姿を見せ、配下に取り込んだところだという。
「ビルシャナ化した人の言葉には、ほんっまに無駄に強い説得力があるさかい、放っておくと配下になってしまう一般人が増えてしまいます。せやから、なんとかせなあきません」
 配下となってしまった人間は、ビルシャナを撃破するまでの間はビルシャナを守るべく動く。
 ビルシャナさえ倒せば元に戻るので、救出は可能だ。
 ただし、彼らをそのままにしておくと戦闘で面倒なことになるのは間違いない。
「なんや、まあ……配下になってしもうてる人らも、ゴリラみたいなことしてるよ。あ、見た目は勿論普通の人間やから、そこは安心してね? ただウホウホ言うて、ようわからんけどゴリラっぽい行動してるだけやから」
 小首を傾げる山河の瞳からは、ハイライトが綺麗さっぱり消え去っている。
 ビルシャナのグラビティは3つ。
 催眠効果のあるウホウホゴリゴリした謎のお経、ガランゴロンとうるさい音でトラウマを刺激してくる鐘、そしてゴリラの形をした炎である。
「配下になってもうてる人らは説得も出来ます。こう、ビルシャナよりももっとすごい野生の力とかゴリラの力とか見せればええと思いますよ」
 ちなみに現場は密林。
『アーアアー』とか言いながらしがみつけそうな蔦がそこら中の木からぶら下がっていたり、リンゴやバナナが無防備にそこらへんに落ちていたりするらしい。
 コホン、と気持ちを切り替えるように咳ばらいを一つ。
「配下の人らは、手加減せんで攻撃すると確実に死にます。彼らの生死は問いませんけども、助けたいんやったらその辺も気にかけといた方がええでしょうね」
 解せぬ、と言いたげな顔で話を聞いていた朝倉・皐月(萌ゆる緑・en0018)が顔を上げ、重々しく頷いた。
「ゴリラって、奥が深いんだね」


参加者
白羽・佐楡葉(紅棘シャーデンフロイデ・e00912)
シィ・ブラントネール(アイルビーバック・e03575)
ミスティアン・マクローリン(レプリカントの鎧装騎兵・e05683)
鯖寅・五六七(ゴリライダーのレプリカント・e20270)
盛山・ぴえり(超電波系アイドルぴえりん・e20641)
赤崎・蛮(豪炎の終焉破壊者・e24005)
空舟・法華(ゴリラっ子クラブ・e25433)
デリック・ヤング(渇望の拳・e30302)

■リプレイ

●無限のゴリラジア
「ウホウホ」
「ゴリ、ウホッ」
「ホウッホウッ! ゴリゴリ!」
 ケルベロス達がヘリオンから降り立った場所。そこももう、ゴリラワールドであった。
 人間とビルシャナで構成されたゴリラの群れの鳴き声が聞こえる。『ゴリラはゴリ』なんて鳴かない、そんなツッコミは野暮である。
 とにかくゴリラなのだ。
「ゴリラになりきるだけで野生を語るとは甘い、甘いぞ! このスイーツ脳ビルシャナめ!」
 盛山・ぴえり(超電波系アイドルぴえりん・e20641)が憤るのは無理もない。
 メイクテクだとかいろんなものを駆使して男の娘として存在する彼には、気持ちだけでカバーなどと甘ったるいことは見過ごせない――とかいう訳ではない。
「野生の掟とは即ち『弱肉強食』! このセクシーダイナマイツな女豹ぴえりんがビルシャナに大自然のおしおきよ☆」
 女とは言っていない。女豹が必ずしも女とは限らない。
 つまり、フレンズよりももっとヤバい。
 そんなぴえりの言葉をさくっとスルーする白羽・佐楡葉(紅棘シャーデンフロイデ・e00912)は首をひねる。
「人が野生に還れば、ゴリラではなくチンパンジーになるのではないんですかね」
「ビルシャナだもん、何を言い出したっておかしくないからいいんじゃないかな。多分」
 朝倉・皐月(萌ゆる緑・en0018)が真顔で頷く。デリケートゾーンはそっとしとくのが吉だ。
 しかし佐楡葉、ちゃんとゴリラマスクを装着しているあたり、ゴリる意欲はばっちりだ!
 各々のゴリなり野生なり、そういうのを胸に秘めていると言うには、ちょっと溢れすぎててヤバい8人のケルベロスゴリラ達は動き始めた。
 ウイングキャット『マネギ』こと動けるデブが、ごくごく当たり前のことのようにゴリラ達の中に紛れ込んだ。
 そこらへんに無防備に落ちていたリンゴを悠々と拾い食い。
「ホウッ!」
「ホホウ?」
 早速1頭のゴリラが気付くと、連鎖して他のゴリラ達もマネギに反応を示すが、マネギがあまりにも堂々としている為、新たなゴリ友が出来たのだと思い込んだようだ。
「ゴリ」
 雌ゴリラがマネギを歓迎するようにバナナを差し出した途端――!
「ウホーーーーーーーーー!!」
 高い木の枝から、『アーアアー』な蔦を使って鯖寅・五六七(ゴリライダーのレプリカント・e20270)が跳び下りてきたではないか!
「ウホウホ!!」
 着地と同時に高速ナックルウォークで迫った五六七、容赦情けの無いラリアットをぶっこむ。――彼女のサーヴァントたるマネギに。
 あげく、そのままマウント取って追撃し、リンゴを奪い取る。
 ちなみに、サーヴァントなのでグラビティではない攻撃によるダメージは無い。別にデブで高反発ボディだからという訳ではない。デブだからではない。
「ホウ……」
 ゴリラ、迷う。
 森の賢者たるゴリラとして、諫めるべきかどうか。
 しかし、弱肉強食は自然の理。その野生を尊重すべきではないか。
 迷う彼らを尻目に、突如として追いバナナが投げ込まれた。
 ハッと顔を上げる五六七主従、壮絶なバナナの奪い合いを始めた。
 投げ入れた張本人である赤崎・蛮(豪炎の終焉破壊者・e24005)、木の枝からそれを見守る。
 ゴリラの主食である果物は無防備に転がっていたが、ノープロブレム。追いバナナでバナナ抗争を激化させるなど朝バナナ前。
 蛮はストッと地面に降りると、2人の戦いから零れてきたバナナをすかさず確保。
 クールな男、バナナをムキムキしながら決め顔。
「見たかゴリラども。ゴリラ力というものは、いかなるときもこうして食料を確保する事も重要なのだ……!」

●ゴリラーレイン
 ゴリラとケルベロスゴリラ達の仁義なき餌争いが激化する中。
「キシャアアアアアア!!」
 豹柄全身タイツのぴえり参戦。ゴリラの天敵、肉食獣の登場である。
 体をしならせた、いわゆる女豹のポーズだが全身タイツのせいでセクシー3割減。
 大阪のオカンくさいせいだ。飴ちゃんも持っていたら危なかった。
 この際男だとかそんなんどうでもいい、すごい野生だからそれでいい!
 Withゴリラ―マー着用の篠村・鈴音。ドラミングと共に食料争奪戦に参戦だ。
 ぴえり、威嚇しながら虎視眈々と獲物――ゴリラを狙う。
 その時、バナナの皮が宙を駆けた。
 ぴえりは牙を向いて獲物に襲い掛かった。ずびしっ! まずは1頭もとい1信者を手加減攻撃でさくっとな。
 ツッコミどころしかない状況だが、思考を放棄したディスカ・コールハートがずるずると信者を運び出す。
「オレサマ、オマエ、マルカジリ!!」
 野性的な説得(物理)にゴリラ達は震えた。
 ゴリラ達は警戒心の強い、繊細な生き物だ。
 すっと、空舟・法華(ゴリラっ子クラブ・e25433)は右手のバナナを差し出した。
「ケンカはやめてウホー!」
 争いを避ける為ならば自己犠牲もいとわない愛のゴリラ、法華。身も心も優しすぎるゴリラだ。
 断食してきたため、お腹がぐーぐー鳴っている。それこそが彼女の自己犠牲の証。
 バナナ争いが、止まった。
 バナナを争っていた獣からバナナを争っていなかったゴリラまで、皆が法華のバナナへ手を伸ばす――が。
「ガラ空きだ」
 クールなゴリラ、蛮。蝶のように舞い、ニホンザルのようにいきなり横からバナナを奪う。心なしかドヤってる。
 それは、まさに和平交渉がぶち壊された瞬間であった。
 獣とゴリラ、激高。ドコドコとドラミングの音が熱くてソウルフルなビート、いや、絶叫を生む。
 そこに新たな野生の声が響き渡る。
「アーアアー!!」
 スポーツウェア姿のミスティアン・マクローリン(レプリカントの鎧装騎兵・e05683)、寒さを我慢しつつターザンロープで参上だ!
 枝だから枝へ、蔦を使って跳びまわる野生のターザン。蔦だけで飛び移れなくても大丈夫。空気を蹴ってさらに跳びあがればそれで解決だ!
「ふっふっふ、これが密林の王の威風堂々たる野生」
「女王じゃなくて?」
「え? うーん、それもいいか!」
 アバウトさもまた野生だね!
 闖入者に呆気に取られていた、法華はハッと我に返った。
 これ以上の争いはいけない。彼女はそっと、左手のバナナを差し出す。右手のバナナを取られたなら、左手のバナナも差し出す尊い精神だ。
「やっぱり争いはいけないゴリ」
 さっきまで食虫花だとかなんか妙に臭い花だとかすんごい毒々しい色の蝶だとかを見つめていた、澄んだ眼差し。
 再び密林に平和が訪れんとした。
「おっと、和平です、和平交渉です! この密林の生き物たちの激しい争いが終止符を打つのでしょうか!?」
 いかにもマイクを握ってますよ風に小指を立てている、アウラ・シーノ、渾身の実況。
 しかし。やっぱり。当たり前のように、もういっちょ闖入者。
「ウホウホウホウホ」
 ゴリラの着ぐるみでゴリッてるデリック・ヤング(渇望の拳・e30302)がナックルウォークで駆けてきたではないか!
「デリックさん……ゴリラと真なる合一を果たして、ゴリ我一体の境地に……!」
 ゴリリ、皐月は唾を嚥下した。もはやデリックに人語は届かないかもしれない。
 デリック、法華の左バナナをガッと奪う。力強い動作でありながら、バナナを潰さない繊細な手つきだ。
 そのバナナをむしゃむしゃと貪ると、激しいドラミングを繰り出した。
 ダンダカドコドコドンドゴリラドンダカドンワーイダドン!
「ウホウホッ !ウッホウホォォ――!」
 訳『掛かってこいよゴリラ・チーム! 俺の燃えるアクションで、お前らの野生を満足させてやる!』。

●ゴリラブレイカー
 目を閉じ、シィ・ブラントネール(アイルビーバック・e03575)は恋人の言葉を思い返す。
 18歳のぴちぴちぴかぴか乙女が、しかもいいとこのお嬢様がゴリラ。ノブリス・オブリージュとはいえ、彼女は恐れていた。
 けれど――。
 例えシィが本物のゴリラになったとしても、ずっと愛している。彼はそう言った。
 うんうん、その包容力もまたゴリラだね!
 ゴリラはゴリラに許容され、戦場へと赴く。
「今だけさようなら……乙女の尊厳!」
 時空の調停者たるオラトリオ、その全盛期の力を限定的に再現する。
 自分自身を並行世界の『ゴリラとして生まれ育った自分』と同期・同調し――。
「ウホ?」
 色んな意味で血の滲む努力で体得した技『GORILLA』(オリジナルグラビティ)によって、ウホウホゴリゴリしてみせるシィ。具体的にはニシローランドゴリラ。
 プロ・ゴリラたるシィはドラミングを拳では行わない。手のひらを使い、より強く警戒心へ訴えかける音色を響き渡らせる!
「ホウッ!!」
 いつの間にかバナナ大食い大会が始まっている現場を、シィは颯爽と駆ける。
 そして、ストレス性の胃炎で吐血してぶっ倒れた法華に近づき――毛づくろいを始めた。
 労わるように丁寧にグルーミングしながら、知性を讃えたゴリラの眼差しをゴリラ達に投げる。
 争いはいけないと言わんばかりだ。
 なお、ここまでばっちりゴリってはいるが糞は投げない。求愛行動だからである。そういう問題ではないとかいうツッコミは、この際どっかの川に重しをつけて沈めておこう。
 ついでに言えば、ペンギンのファミリアがゴリラの主に怯えているのもこの際忘れよう。
 バナナ大食い大会で雌雄を決しようとしていたビルシャナゴリラとケルベロスゴリラの動きが止まる。
 そう、我らは森の賢者たるゴリラ。
 このような争いはいけないのではないか――。
 そこに、すっとゴリラマスクの佐楡葉が進み出た。
「野生に還るなら徹底して野生の習性に従ってもらいましょう」
 そう言う佐楡葉の手には瓶。さっきから時間をかけ、一匹一匹丁寧に集めた蟻が詰まっている瓶である。
「ゴリラって蟻も食べるそうですね――しっかり召し上がってください? 食べられないというならゴリラの真似などおこがましい……!」
 淡々と言うのだから恐ろしい。
 乙女ゴリラたるシィも、瓶の中身が見えてしまって一瞬人間に戻りかける。
「ホオオオオウ!!」
「ゴリィ!!」
 バナナと林檎が飛ぶ。
 そこまで言うなら自分で食べて見ろと言わんばかりだ。
 ゴリラの群れのボスになるつもりで来たデリックも、瓶から目を逸らしもくもくとバナナを食べている。
 蛮も自分は無関係だと、バナナを食べ続けることで主張している。
 投げつけられたリンゴを掌で受け止めた佐楡葉は――ぐしゃり、握力で潰して見せた。
 ずんずんっと信者ゴリラに近づき、ガッとその頭を鷲掴む。ぎりぎりと、徐々に圧迫しているのが良く分かる。
 心なしか赤い瞳が殺意で輝いているように見える。
 弱肉強食の精神っぽい何かの表れであった。
 そうして気が付けば、9頭いたはずの信者ゴリラの姿は皆無。
 8頭は野生に還るべく密林に奥地へ向かい、佐楡葉に頭を掴まれた1頭は「ママー!」と泣きながら自宅に逃げ帰ったのだ。
「ウ、ウホ……?」
 どうしてこうなったと首を傾げるビルシャナゴリラに、ケルベロスゴリラ達は野生を叩き込むべく襲い掛かるのであった。

●すっとばしてゴリラブレイド
「あーっ! もうっ! もうっ! もうっ!!」
 ゴリラ精神とグッバイしたシィの顔は真っ赤である。摩擦を利用して生み出した炎にも負けないくらい真っ赤である。
「ホホウッ!? ゴリィ!!」
 ノリノリだったのどこの誰よ、とばかりにゴリラビルシャナ、ゴリゴリ経文を唱え始めた。
 耳障りな音にミスティアンは眉を顰める。
「密林の女王はっ、ゴリラ催眠になんて屈しない! クッゴリなんてありえない!」
 しかし、ミスティアンは力強く言い放った。
 枝を蹴り、ビルシャナ目がけて跳び下りる。螺旋を籠めた拳をビルシャナへと突き出した。
「言うことを聞かない悪い子は、女王の鉄拳を喰らいなさい!」
「ゴリラって痛みに弱いそうですね? 幸せ? こんなに虐めてもらっちゃって」
 流星の輝きを纏った蹴りを見舞った佐楡葉は無表情。特殊性癖の持ち主ならばハァハァ悦んでいたような台詞である。
 ゴリッとよろめくゴリラビルシャナに、五六七がガコンと槌を構える。
 その五六七の力を高めるべく、法華はカラフルな爆発を発生させた。ゴリラ=パワーは世界の真理なのだ。
「これがゴリラの勇気ウホ!」
「ホッホッホッホ!」
 五六七、歯茎剥き出し野生もろ出し。
 ドォンと腹の底まで響く音と共に竜砲弾が放たれる。ゴリラのような見た目の弾でなかったことが不満なのか、五六七は腹立たしそうにリンゴを握りつぶす。
 むしゃむしゃ、延々とバナナを食べ続けてきた蛮は皮を放った。
 そして卓越した技量で一閃。技を繰り出した勢いを利用し、くるりと身を翻す。足元に転がっていたリンゴを拾い上げ、再び食事に勤しむ。
 ゴリゴリだったビルシャナ、今ではボロボロだ。それでもまだナックルウォークを続けようとするのだ。
 デリックの目が、微かに憐憫の色を灯す。
「ウホッ……ウホッ……」
 ゴリラ信者たちは社会という檻に窮屈さを感じ、ゴリラとなってそこから逃れたかったのだろうとデリックは思う。
 餌争いだとかそんなんばっかしてたおかげで、実際のところはさっぱり分からないが、そんな気がするのである。
 ウホウホ、鳴き声だけをその場に残し、デリックは電光石火の蹴りをビルシャナに叩き込む。
 ゴリラビルシャナと目が合った。
 ゴリラとゴリラの無言の意思疎通。
 とりあえずゴリラだってことだけが分かったが、デリックにはそれで充分。
「私は……恥ずかしい」
 その光景を見ていた皐月は、情けないと顔を伏せた。
「『こうやって腕広げて立てばドラミング始めそうに見えるよね!』なんて、甘い考えで皆と一緒に来た、自分の未熟さが恥ずかしいよ! 私にはシィさんたちのような覚悟が足りてなかった!」
「やめて皐月、ワタシが恥ずかしくなるからっ!」
 そんなやり取りを背に、女豹ぴえりはポーズを取る。
 テレビウム『チャウやん』は、主を鼓舞すべく応援動画を流している。
「悩殺☆チラリズム♪ お題は見てのお帰りだゾ☆」
 女豹のポーズのまま、ムダ毛処理済の魅惑の生足を見せつけてなんやかんやでゴリラビルシャナの、残された最後の生命力を奪い取った。
「ホ、ホウゥ……」
 ずしゃり、ビルシャナは地面へと倒れ伏す。ぴくぴく震えながらリンゴに伸ばされた手は空を切り、何もつかめぬまま動きを止めた。
 ぴえりはふっと笑った。
 豹柄全身タイツで、どうやって生足を見せつけたのか、自分でも分からなかったから――。

「ウホッ……ニンゲン……カエレ……」
 そう言い残すと、デリックは燃えるような夕日に向かい、蔦を使って密林の奥へと向かった。
 ごくごく当たり前のように、皐月と五六七も後に続く。
 5人のケルベロス達はそれを見守っていたが、すぐに我に返ると、ゴリラが抜けきれない仲間を人間界に連れ戻すべく走り出すのであった。

作者:こーや 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年3月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 21/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 13
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。