●刹那の至福
目の前のテーブルにたくさんのお菓子が並べられていた。
ケーキに始まり、アイス、クッキー、キャンディにチョコレートやドーナツ。
自分の好きなものがこうも目の前にあっては止めることなどできはしない。
少女は心の赴くままにお菓子を食べ始めた。
食べても食べてもなくならないお菓子たち。至福に包まれている最中に、突如引き裂くような怒鳴り声が聞こえた。
――やめなさい!
びくりと震えて少女の手が止まる。
そしてふと違和感を感じ、自分の姿を確認してみる。
その身体は、まるで球体のようにまるまると膨れ上がっていた。
「やああああああ!?」
驚きと自身の叫び声で少女は飛び上がるように目を覚ました。
その瞬間に夢であったことを認識し、自分の身体を見て触って確認する。
「あああああ……」
安堵のため息が出た。
そう、普段からお菓子を食べるというだけで怒られていた。
お菓子は大好き、だから食べたい。でもあんな夢のようになってしまうと思うと……。
ぶるりと少女は身体を震わせた。
「あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
突然声が聞こえたが、その主が誰であるかを確かめる前にその胸に鍵が突き立てられた。
「もっとも、私のモザイクは晴れないけれどね」
そしてそのまま、少女は深い眠りへと落ちて行った。
●幸せの裏返し
露骨に視線をそらしつつ、ヘリオライダーの茶太が説明を続ける。
「『驚き』を奪うドリームイーターですね。奪われた感情を元に具現化したドリームイーターが事件を起こそうとしています」
少女を襲ったドリームイーターの方はすでに姿を消してしまっているのでどうにもならないが、なんにせよ新たに生まれた人を襲うドリームイーターも放っては置けない。
倒せば少女も目を覚ますとなれば、早急に撃破するべきだろう。
寝ていたところを襲われたので、時間は夜中。場所も市街地なので、人通りもなく周囲のことは気にしなくていい。あたりをうろついていればドリームイーターに遭遇できるだろう。
「このドリームイーターは人を驚かせようとする性質があります」
逆に驚かない人は優先的に殺そうと襲い掛かるものでもある。
「ともすれば、どんな驚かせ方をしてくるかですが……夢から察するに、やっぱりお菓子を食べていきなり膨れ上がるんですかね」
いきなり大量のお菓子が現れるだけでも驚きだが、それによってまんまるになるのならばさらに驚きだ。とはいえ、予想とはいえどネタが割れてしまえば対策のたてようはいくらでもある。
「そんなわけで、早急な撃破をお願いします、ね」
そう言って茶太は頭を下げた。
そんな彼の眼を外していた先で、セティがものすごいドーナツ食べてた。すごく食べてた。
「あるあるな話ですよね。好きなものでも親に怒られるとだんだん嫌になっちゃうみたいな」
ぱくぱくもぐもぐ。
「けれど、こんな事件でドーナツを嫌いになるなんてあってはいけません、人の幸せを奪ってはいけないんです!」
ぐっと拳を握って決意を露わにしたセティは次のドーナツを袋から取り出したのだった。
お菓子全般の話なので、ドーナツに限定した話ではないとは誰も言わなかった。
参加者 | |
---|---|
幸・鳳琴(黄龍拳・e00039) |
ラトゥーニ・ベルフロー(至福の夢・e00214) |
シエル・アラモード(碧空に謳う・e00336) |
芥河・りぼん(リサイクルエンジン・e01034) |
リリウム・オルトレイン(星見る仔犬・e01775) |
華輪・灯(幻灯の鳥・e04881) |
カルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112) |
水限・千咲(斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る・e22183) |
●食べ放題
確かに、大量のお菓子が現れるだろうという話はあった。
「お菓子食べ放題と聞いてきました。さぁ、片っ端から食べつくしてあげますよ!」
誰もそんなこと言ってない。言ってないのに、カルナ・ロッシュ(彷徨える霧雨・e05112)の言葉は当然のように仲間たちに浸透した。
「まるで夢の世界のようですわ! ふふふ、せっかくですもの皆様で美味しくいただきましょうね♪」
お菓子の家でも探す少女のようにシエル・アラモード(碧空に謳う・e00336)が声を弾ませる。上がったテンションの勢いで踊りだしそうだ。
「いけません、みなさん冷静になってください!」
ここでようやく、芥河・りぼん(リサイクルエンジン・e01034)の制止が入った。
「お菓子1個食べたら1km走りましょうっ!」
全然制止じゃなかった。
「ふふ、わたくしとしたことが少々取り乱してしまいましたわ。確かに、カロリーの問題がありますわ」
「でも、楽しく食べられないと意味ありませんし……そうだ、余った分は持ち帰りましょう」
「まあ、それは名案ですわ!」
シエルとカルナの話がいい具合に落ち着いたところを見て、りぼんはうんうんと頷いていた。
「……」
ぽんぽんと幸・鳳琴(黄龍拳・e00039)が自分のお腹を軽くたたいた。
「肉のつかない体質で良かった」
ぼそりと呟いた言葉は多分誰にも聞こえていなかった、たぶん。
さて、食べる話になると騒がしい人たちがなんだか今日は静かである。
「組み飴と電柱ってなんか形が似てますよね。斬ってもいいですか?」
いや、水限・千咲(斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る・e22183)はいつも通りでした。というかもう抜刀してる。
ついでにラトゥーニ・ベルフロー(至福の夢・e00214)はすでに毛布にくるまってお休み中だった。夜だから仕方ない。お菓子が出たらきっと起きる。
でも放っておくわけにもいかないので、ミミックのリリさんが起こそうとするが蹴り返されてた、もののあはれ。
「お、おおおぉぉ~~」
困ったことにリリウム・オルトレイン(星見る仔犬・e01775)は何やら元気で、注意が散漫になっている。最近深夜に出かけることも増えたせいで変なテンションになってるのかも、お子様は寝かせるべき。
ちなみに、今は自販機の前で騒いでいる。
「ほらほらみてくださいルシエドさん、100円ですよ、100円!」
なんか、オルトロスのルシエドまで呼んでる。どうやら100円オンリーの自販機が珍しいようだ。
「わたししってます、これはお金をいれると、飲みものが買えるです!」
そっと100円を入れたところで、ルシエドがボタンを押した。
あったかいコーラが出てきた。リリウムは絶望した。
「ええと、あっちの方はなんで落ち込んでいるんでしょう?」
「あ、ままならない現実を嘆いてるだけなので大丈夫ですよ」
先ほどからずっと華輪・灯(幻灯の鳥・e04881)がふさぎ込んでいるので鳳琴がセティ・フォルネウス(オラトリオの鹵獲術士・en0111)に聞いたのだが、なんか慣れた反応だった。
「戦いに臨む私の胸に満ちるのは、深い……悲しみ」
ぽたりと、一筋の滴が地に落ちる。
「お菓子を食べるだけで……怒られるなんて、そんな事はあってはなりません!」
「しっかり! 灯ちゃん、最強! マーベラス!」
エルトベーレが応援してるけど、褒め言葉かどうかもうわかんない。だが、灯の眼には光が宿った。
「そう……そのとおりですね……悲しみは私が断ちます!」
なお、ウイングキャットのアナスタシアさんはずっと真顔でそんなやり取りを見続けていた。
「斬っても斬っても同じって宣伝文句が素敵です! 斬っても斬っても! 斬っても斬っても斬っても斬っても!!」
あとなんか千咲が電柱をなます斬りにしてた。組み飴ってレベルじゃない。
「あははははははは!!」
笑ってる場合じゃない。
●傷つく仲間たち
ドリームイーターは、見つけるや否や大量のお菓子をばら撒いてきた。
「お菓子は拾います! 食べます! 特にドーナツ優先です! あ、ちょ待って引っ張らないで下さああああ」
いきなり瞳にハートマークを浮かべて突撃しかけたエルトベーレをファミリアさんのみなさんが止めた。リヒトさんが脳天を突き、カイさんがボディにタックル、ハイルさんが脛に後ろ蹴り。倒れたところを向こうまで引きずっていく。
「……拾い食いって、見苦しいものですのね」
「僕らはああならないようにしようか」
お菓子を食べようとか言ってたシエルとカルナは反省した。犠牲は無駄じゃなかった。
そしてドリームイーターがもりもりお菓子を食べ始める。
「なかなかいい食べっぷりですが……そのくらいのお菓子私も持ってますし! 食べる勢いだって全然負けませんし! 膨らむ勢い、も……ふく、らむ……」
灯が蹲った。泣いた。アナスタシアさんがポンポン肩を叩いた。
「お菓子詰め放題ですね!」
「ぐさぁ!」
りぼんの言葉でとどめ刺された。
なお、その間いつのまにか起きていたラトゥーニがリリさんの中にじゃんじゃんお菓子を詰め込んでいた。蓋が開ききってぴくぴく震えてるけど大丈夫なのだろうか。
そんなことをやっている間にドリームイーターの身体がどんどん膨らんでいく。
「わあああ大きくなっちゃいました……!?」
感嘆の声をあげる千咲。
「なんだかとっても斬り応えありそうな感じですね……! びっくりですっ! 斬りましょうっ!」
「驚いてませんよね、それ」
「きゃー、びっくりですねぇ」
「全然驚いてませんよねえええ!」
「あぉーん!」
「もはや不明ですよ!!?」
続けてセティとルシエドも反応を示す。つっこむ鳳琴の方が驚いている雰囲気である。
「ふっふっふー、わたしはそれくらいじゃびっくりしないですよー」
「アホ毛震えてますよ」
「!!」
リリウムはアホ毛を抑え込んだ。
最後にぼんっと膨れ上がったところで打ち止めか、ドリームイーターが殺気を放つ。
なんだかもう、今の流れだとだれが驚いていて誰が驚いていないのかさっぱり分からない。だが、ドリームイーターはまっすぐに動き出した。転がる勢いのまま、ハンマーのように巨大な腕を振り抜く。
最初っからずっと真顔でいたままのアナスタシアさんが吹っ飛ばされた。
「シアーッ!」
灯の絶叫が響く。吹き飛ばされて、落ちてくるアナスタシアさんの身体を受け止めつつ。
「なんてひどいことを……あなただけは、絶対に許さない!」
何がひどいって、終始驚いちゃダメって指示出してたからなのだが、そこはご愛嬌。
それが戦いの合図となり、ケルベロスたちは動き出した。
「ふっ、その程度のお菓子で身体が膨らむとは……暴食の風上にも置けませんね!」
ファサァッ!
わざわざ髪をかき上げて煽りつつ、カルナが氷の剣を放つ。
「ドーナツの平和はわたしが守るですー!」
最近ドーナツの平和を守りすぎリリウムも合わせて冷閃を撃ち込んだ。
「今のところは平気ですが、食べ続けてしたらこうなってしまうのでしょうか」
「それはびっくり、それは恐ろしいことですわ……!」
攻撃が止むのも待たず、鳳琴が足止めすべくとびこんで蹴りを放ち、土煙の合間を縫うように射られたシエルの矢がドリームイーターに突き刺さる。
「仮に贅肉がついても、斬ればいいんじゃないでしょうかっ」
矢を追いかけるように駆けた千咲が、綺麗な弧を描いた斬撃を見舞う。
完全にケルベロスたちの攻撃の流れが出来ている。だが、それを甘んじて受けるだけのドリームイーターでもない。強引にでも打ち切るべく、反撃せんと身体ごと大きく振りかぶる。
どぼぉ。
ひどく鈍い音が響いた。ラトゥーニによって下方から投げ込まれたリリさんが浮き上がるようにドリームイーターの顎に突き刺さったのだ。
「ご……お……」
ゆっくりとドリームイーターの巨体が揺らぐ。そのまま真後ろに倒れ、ずしんと大きな音を立て……なかった。
爆風と炎と衝撃をまき散らしたのである。まさに世界も終わるようなディバイダー。
「逃げっ……」
だれの声だったか判別も出来なかった。前衛として攻めたてていた者たちは夜に生まれた光に飲み込まれ、そして……。
「ふぅっ、間一髪ですねっ!」
爆風による土煙が晴れたところ、りぼんのヒールドローンが仲間たちを炎と衝撃から守るように鎮座していた。
●思い抱いて悲しみ越えて
アナスタシアさんをセティが治療中。グラビティで癒してあげてから包帯巻き巻き。なんてしてたら、すっ飛んできたリリさんがそこらの塀に突き刺さった。
「練習、中……」
次回くらいにはラトゥーニの新球種が拝めるかもしれない。していいかはわからない。
「な、なんてことでしょう……」
わなわなと千咲が震える。
「さすがに音や衝撃はまだ斬れません!」
まだ、とは。
「ですが、風や炎くらいなら!」
とうとう物体ですらないものも斬るとか言い始めた。そのうち概念さえも斬りだしかねない。でもそれはそれ、鳳琴は都合よく解釈することにした。
「では、安心してもう一度飛び込めますね」
再度、炎の衝撃が来たところで千咲に受けてもらい、その隙に鳳琴が飛び込んだ。
「悪夢は、ここで打ち砕きます!」
ただただ己が力を集めた拳をドリームイーターの腹へと叩きこむ。単純、それゆえに強力な真っ直ぐな一撃。
体躯がぐらりと揺れたが、倒すには至らない。そのまま、腕を振り下ろす。
「あぶなーい!」
だがとっさに灯が、鳳琴を突き飛ばして庇い、かわりにドリームイーターの腕の下敷きになった。
「くっ、このっ!」
すぐに助け出そうとカルナが魔力の矢を放つが、ドリームイーターの腕は動かない。
「大丈夫ですか、しっかりしてください!」
この程度でやられているわけはない。信じて声をかける。
「遅刻の堕天使の真の力、まさかこの程度ではないでしょうっ!?」
煽ってる。めちゃくちゃ煽ってる。
だが、少しずつだがドリームイーターの腕が持ち上がった。
「遅刻じゃないですー! 漆黒ですー! あと今は堕天使じゃなくてえんじぇるですぅー」
「そうですよ、ブリザードさん! 彼女は留年のエンジェルなんですよ!」
「わあああああ! その名を呼ばないでくださーい!!」
「ダブりでもないですぅーっ!」
無事ではあったが、灯もカルナも、セティの一言で大混乱に。
「こんなところで攻撃されてはひとたまりもないです!」
仲間を守るべくリリウムが立ち上がる。ジャマーだから妨害3倍、ドーナツも3倍。開いた絵本が光り出す。
「真のフィンさんロボですー! ぷしゅーっと蒸気をだしてうごきます! とくいわざはアホ毛ミサイルとハリセンですー」
しかし現れたのはアホ毛だった。
すぱーん!
「ぎゃわー!」
アホ毛がそのしなりを駆使してハリセンを振り、リリウムを巻き込んでドリームイーターに一撃を見舞った。
そしてドリームイーターがカウンター気味に放ったハンマーの如き腕は、ラトゥーニに掲げられたリリさんに直撃して止まっていた。
「さっきから何がおきているか、驚きの連続ですわー……!」
シエルがひどく困惑してるがだいたいみんなそう。
状況をまとめれば、ドリームイーターはすでに追い詰められ満身創痍、味方も一部被害は大きいが、今がチャンスということ。
「動きが止まっていますからねっ」
ダメージと隙、どちらも逃さずりぼんが拳を突き出した。丸いボディにパンチはダメージが薄そうだが、ひたすらにスピードを重視したその掌底は雷を纏い、穿ったボディから電撃を弾けさせた。
「ここです、狙って――」
と、りぼんが言い終わる前に、まるで花びらが舞うようにきらきらした光がドリームイーターに降り注ぎ始めた。
シエルが奏でる唄に合わせて妖精が舞い、その姿を覆っていく。
「そう、そうでしたわね。これは悪夢。けれど……」
そっと両腕を広げた。何か束縛されたものから解放されるかのように。
「せめて、夢くらい幸せでありますように」
光の粒たちがゆっくりと夜の空へと還るように立ち昇っていく。今日だけは、その光が星屑ではなく金平糖のように思えた。
●甘い幸福
見上げていた光が収まり、ドリームイーターが消滅したのを見届けたケルベロスたちはそのまましばらく茫然と空を見上げていた。
「だからー、あの時のことは忘れてくださいとー」
「えっ、何か言いました? 氷盤の絶零竜(ブリザード・ドラグーン)!!」
「わーわーわー!! わざとでしょおおおお!!」
とおもいきや灯とカルナはなんかまだ言い合ってた。しかも名前のとこだけ大声で言うからタチ悪い。
「そんなことより華輪さんは怪我! 今直すのでじっとしてください!」
「まってそれひと直すちがう、わたししってま」
どぶぉ。
りぼんの左斜め45度のチョップがみごと首筋に突き刺さった。マンガとかでよく見る気絶させる奴だ。
どさりという何かが倒れる音ののち、りぼんがカルナに向いた。カルナは死を覚悟した。
「さわがしいひと、はおやつ、ぬき……」
なにやらラトゥーニが毛布いっぱいにお菓子をくるんで持ってきた。灯やカルナが持ってきたお菓子だ。クッキーやマシュマロ、マカロンにチョコ、挙句にはアイスまで。
色とりどり揃えられたお菓子を前に、セティは酷く落胆した。
「ドーナツが……ない……!」
「だいじょうぶです、こんなこともあろーかと、ドリームイーターさんからどーなつをあつめて……」
アホ毛でつんつん肩をつつきつつ、リリウムが胸を張ってきた。
「きょうはどーなつも3ばいです!」
差し出した手のひらには何も乗っていなかった。ドリームイーターが消滅してお菓子も消えたのだ。
「……」
「……」
「あわわわルシエドさん…! このままではわたしたちのそーだいな計画が……水のあわわ…!」
がくがく揺さぶられるルシエドはどうにもならないと悟った顔をしてた。
「ああでもどうしましょう。ドーナツは楽しみにしてましたのに……」
残念そうにするシエルにセティがにこりと笑った。ドーナツを取り出して。
「まあ、あるんですけどね。ドーナツ」
「あらあら、一体どちらから?」
「ベーレさんが作っていたのを拝借してきました」
「え……彼女は?」
「あっちのほうで正座してます。ファミリアさんたちに説教されてますね」
主従関係とはいったい。
「これだけあれば皆で十分楽しめそうですね」
「そうですね、いくらでも斬り甲斐がありますっ!」
「ちがう、そうじゃない」
鳳琴が毛布いっぱいのお菓子を抱えたところで、千咲が相変わらず物騒なことを言ってるので、そこは否定しておいた。
「折角なので、場所を移しましょう。スイーツパーティーというのもいいとおもいますよ」
「まあまあまあ! 素敵ですわ! ぜひ参りますとも!」
「食べ放題……」
「どーなつをようきゅうするのですー」
「ケーキも欲しいですね、それなら斬ってもいいですよねっ」
「ホールケーキなら構わないですよっ」
賑やかになってきたところで、誰ともなく移動を始めた。その歓談の中に、いまだ堕天使とかドラグーンとか謎の単語が飛び回っているが、もう気にすることもない。
もう誰もが気づいている。
大事なのは、お菓子を食べるにも楽しむことである、と。
そして、その場には動けないほどにお菓子を詰め込まれたリリさんが取り残された。アナスタシアさんが一個一個お菓子を取り出し食べる。帰れるのは当分先かもしれない。
作者:宮内ゆう |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年4月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 3/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 1
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