熱波の復讐者

作者:青葉桂都

●出番のない冬
 季節は冬を過ぎ、春が訪れようとしていた。
 事件が起きようとしているのは、とある住宅地にある何の変哲もない二階建ての民家だ。
 家の隣にあるガレージの裏側に大きなカーペットが丸めて立てかけてある。
 端の部分には操作パネルらしきものがついており、それがおそらくホットカーペットだということがわかった。
 縛ってある紐はいくらか古びており、少なくともこの冬にそれがほどかれた様子はない。
 新しい商品を買ったか、それとも床暖房を入れたのか……いずれにせよ、カーペットはこの家にとってすでに役目を終えているのだ。
 そこに、小さなダモクレスが近づいてきた。
 手のひらサイズの宝石から、機械の手足が生えた姿のダモクレスは、ホットカーペットに登ると静かに作業を始めた。
 やがて、閑静な住宅地に叫びが上がる。
「Hooooooot!」
 高さ4m以上、幅はその3分の2くらいのサイズとなって広がったホットカーペットには手足が生え、炎のように燃え上がる瞳を表面に宿していた。
 叫びと共に大地からは熱波が放たれ、ガレージを炎上させる。
 そして、ダモクレスと化したホットカーペットは、家へとゆっくり近づいて行った。

●ホットカーペットをぶち破れ
 ケルベロスたちを前にしゃべり始めたのは、春先にはまだ寒そうな露出度の高い服装の女性だった。
「放置されていたホットカーペットが、ダモクレス化してしまうみたいなの」
 葉月・静夏(戦うことを楽しもう・e04116)は彼女が行った調査から予知された事件について説明する。
 とある家にあるガレージの裏手、狭い庭になっている場所で事件が起こる。
 いつから放置されていたのか正確にはわからないが、少なくとも今冬一度もそのカーペットが使われなかったことは間違いない。
「幸い、一般人はまだ誰も襲われていないわ。でも、私たちが戦わなければ、すぐにでも住宅地を火の海に変えてしまうはずよ」
 その前に止めに行かなければならないと彼女は告げた。
 静夏の説明を、横に控えていたドラゴニアンのヘリオライダーが引き継ぐ。
「敵は広げたホットカーペットに目と、手足がついた姿をしています」
 大きさは縦が4mで、横はその3分の2ほど。ダモクレス化した際にいくらか広がっているようだ。8畳間いっぱいに敷けるくらいのサイズだろうか。
 現場は民家の庭になる。隣家とは塀で遮られている。
 道に面した側はガレージがふさいでいるが、ガレージと家の隙間に細い通路があって直接入ることは可能なようだ。
「昼間なので一家全員ではないでしょうが、家の中に住民も残っているようなので声をかけて避難させた方がいいでしょう」
 さて、敵の攻撃手段だが、まず地面から高温の熱波を発する範囲攻撃を行う。くらえば炎上してしまうだろう。ちなみに熱波は空中まで届く。
 また、近距離にいる対象をくるんで締め付ける攻撃もする。全身に熱を浴びせられ、回復しにくくなってしまうという。
 他に周囲の空気を快適な温度に調整することで、状態異常を解除しつつ回復することもできるようだ。
 ヘリオライダーは説明を終えると、一礼して後ろに下がった。
「敵はホットカーペット……暖房器具の名に恥じない熱い戦いを期待したいわね。でも、そのスリルを一般人に味あわせるわけにはいかないわ」
 最後に告げた静夏の言葉には、戦いへの期待が混ざっているように聞こえた。


参加者
ガド・モデスティア(隻角の金牛・e01142)
隠・キカ(輝る翳・e03014)
チャールストン・ダニエルソン(グレイゴースト・e03596)
クリスティーネ・コルネリウス(偉大な祖母の名を継ぐ者・e13416)
香河・将司(魔王を宿す者・e28567)
長月・秋華(読者の秋・e29545)
楠木・晴翔(もふりたいならもふらせろ・e33150)
ラースクート・アラン(過去の夢に浸りながらも・e33370)

■リプレイ

●使われなくなった機械
「暖かいのは好きなんですが、熱いのは嫌いなんですよね」
 静かな住宅街に響くのは、マイペースに淡々と語る男の言葉だった。
「お風呂もぬるいお湯でのんびり入りたいですし。まぁアタシが極めてクールな性格ゆえ、あまりにもホットすぎる物とは相性が合わないのも致し方ないのですが……」
 チャールストン・ダニエルソン(グレイゴースト・e03596)は、黒い瞳で周囲にいる仲間たちを見回した。
「ですからサウナも苦手で……えーと何の話でしたっけ?」
「ホットカーペットやって」
 牛のウェアライダー、ガド・モデスティア(隻角の金牛・e01142)が言った。
「そうそう、ホットカーペットのダモクレスでしたね」
(「家電がダモクレスに……前にもそういうのあった。帰って本を読むためにさっさと倒す」)
 長月・秋華(読者の秋・e29545)は思ったが、口は開かなかった。
 しゃべるのが面倒だったからだ。
「最近ダモクレスの動きが活発化しとるけど、こういうのもまだおるんやね。コッチの件にはコッチで、大元になるのが居たりするんかなあ」
 ガドもこの手の事件のことを思い出しているようだ。
 ケルベロスたちはヘリオンを降り、ダモクレスが出現する家へ向かって走っているところだ。
「こんな住宅街で暴れられたら、とっても危険です……。絶対に止めないといけませんね……!」
 ウェーブのかかった銀髪をなびかせたクリスティーネ・コルネリウス(偉大な祖母の名を継ぐ者・e13416)は、平和な風景を見回して呟く。
「そうですね。そろそろ温くなってきた頃ですし、暖房器具は片付ける事にしましょう」
 香河・将司(魔王を宿す者・e28567)が落ち着いた声をだした。
「おかたづけ……。ホットカーペット、使われなかったのにね」
 隠・キカ(輝る翳・e03014)は小さな声で呟いた。
「かわいそうだけど、でもお家は燃やしちゃだめだから。やけどしないように気をつけなきゃ。ね、キキ」
 戦いの前でも手放さない大切な玩具へと、青い瞳の少女は静かに語りかける。
 目的の家が見えた。
「見えてきたね。まだホットカーペットは出てきていないみたいだ」
 長身の青年が仲間たちに声をかける。
「ホットカーペットって火も吹けるもんなのか? 手足が生えてるだけでも不気味なのに、火も吹けたら尚更不気味だな」
 楠木・晴翔(もふりたいならもふらせろ・e33150)は、自分よりも頭一つ分背の高い青年を見上げる。
「ダモクレスになったらなにをしてきてもおかしくないよ。身近なものだからこそ敵に回ったら怖いね。晴翔がいてくれて心強い」
 ラースクート・アラン(過去の夢に浸りながらも・e33370)は色黒の顔に笑みを浮かべて幼馴染である少年に目を向けた。
 まずは周辺の住民に避難を呼びかけなければならない。
「けいさつの人、来てくれてるかな……」
 移動中に警察に連絡していたキカが周囲を見回す。
「待っている時間はないですね。急いで立ち入り禁止のテープを張ってしまいましょう」
「うん、俺も手伝うよ。晴翔も避難活動を頑張って」
 キープアウトテープを張り巡らせるチャールストンに、ラースクートも作業に加わる。
「わかってる。避難するように頼んでくるぜ」
 晴翔が応じた。
「こちらでデウスエクス出現の反応がありました、周辺住民の方は避難してください」
 将司が好印象を与える地球人の力も使って誘導を始める。晴翔やクリスティーネも同じく呼びかけを始めていた。
 現場となる民家に、ガドと秋華、キカが入っていく。
「この家からデウスエクスの反応があったんや。戦闘に巻き込まれないように、避難してもらえんやろか」
「……逃げないと危ない」
 ガドの着ているケルベロスコートを見て、家にいた中年の女性は頷いた。
「お家にデウスエクスがいるから。少しだけ外ではなれてまってて。お家、こわしたりしないよ、やくそくするよ」
 小指を差し出すキカと指切りをして、彼女は家を出ていった。
 戦いが始まったのはすぐ後だった。

●燃える町
「Hooooooot!」
 ガレージが燃え上がった。近所の交番から駆けつけてくれた警官に避難活動の続きを任せて、ケルベロスたちは戦場へと向かう。
「だめ……なの」
 キカは巨大なカーペットに呼びかけた。
「使われなくなったの、さみしいね。でもあなたは、だれかをあっためるためにいたんだよ」
 優しく語りかける少女は、捨てられた彼に対して共感に近い感情を覚えていた。
 巨大な目が少女へと向けられた。激しく燃え上がっているにも関わらず、冷たくキカを見下ろす。
 熱い空気に足下から体が包み込まれる。
「燃やしちゃだめ。きぃ達が止めてあげる」
 将司とキカの体が燃え上がる。だが、炎の中で少女はダモクレスに向かって告げた。
「強敵ですね。でも、頼りになる仲間がいますから、心配はいらないでしょう」
 ゾディアックソードを構える将司に、キカは頷いた。
 敵が家に近づかないよう、仲間と包囲する形に彼女は移動し始める。
 仲間たちもすでに動き始めていた。クリスティーネが扱いが簡単そうな爆発スイッチを押して派手な爆炎を起こしている。
「よォし、盛り上がってきたァ!!」
 ケルベロスコートを腰に巻いたガドが、黄金の槍を掲げてときの声を上げる。螺旋の風が巻き起こった。
 キカも移動しつつスイッチを押す。
「みんなに、力を」
 カラフルな爆発がさほど広くない庭に連続して轟き、仲間たちを鼓舞する。
 ガドのコートが、他の仲間たちの服や髪が爆風の中ではためいている。
 さらにラースクートも続いて爆発を起こしていた。将司が地面に星座の紋章を描いて仲間たちを守護している。
 支援している合間にも、オーラに包まれたチャールストンの拳がグラビティを帯びてダモクレスを打つ。
 晴翔も咆哮を上げて敵を威圧していた。
 コミカルな外見だが、敵の攻撃力は侮れない。
 ダモクレスが包み込もうとしたガドに、オルトロスがぶつかっていって代わりに攻撃を受ける。
「オッさん、がんばってください~」
 クリスティーネはもがいているサーヴァントの姿に、思わず応援の言葉を投げかけた。
 カーペットからオルトロスが飛びだしてきた。
「大丈夫ですか? その調子でみんなを守ってくださいね~」
 声をかけられたオルトロスは、ちょっと不満げな目つきをしつつもクリスティーネに尻尾を振ってみせる。
 ガドやラースクートも仲間を守るべく防御を固めている。
 仲間を守る彼らを支えるのがクリスティーネの役目だった。
 ひるまず動き出したオッさんを見て、銀色の瞳から雫が1つこぼれた。
 涙は盾となってオルトロスを守る。守られながら、オッさんは口にくわえた霊剣でカーペットを切り裂いた。
「皆さんが無事でいられるように頑張って援護しますね~」
 頑張るサーヴァントの姿に、クリスティーネもまた気合いを入れ直していた。
 熱波は容赦なくケルベロスたちを焼き、さらに巨大な体に捕らわれれば高熱を浴びせられる。
 けれどケルベロスも、少しずつ敵の体力を削り取っている。
 無言のまま秋華が構える大筒が、砲声を放つたび確実にホットカーペットは傷ついている。
 ガドは黄金の槍を敵に向けた。
 元は両刃だった刃は欠けて片刃となっている。
 素早い動きで塀を蹴り、ガドは飛び越えざまに槍から魂を喰らう降魔の一撃を放った。
(「降魔真拳は有効そうやなあ」)
 手応えを確かめながらガドは考える。
 いくつかの攻撃をしかけてみたが、当たりやすさに多少の差を感じる程度で明らかに有効性が低い攻撃はない。
「ま、うちは攻撃よりも守りを優先させてもらうけどな」
「そうですね。野蛮な真似は任せていただいて。まあアタシも野蛮なのが似合うタチではないつもりですけどね」
 マイペースに語りながら、チャールストンが引き金を引く。
 リボルバーの弾丸はガレージの残骸に跳ね返り、立て続けに敵を襲った。
 晴翔は庭の端から、ダモクレスの隙を狙っていた。
(「依頼にもそろそろ慣れてきたし、できればいいところ見せたいけどな」)
 前方でラースクートの鋭い蹴りがダモクレスを捉える。
 巨大カーペットがひるんだ瞬間、晴翔は塀を蹴っていた。
 空の魔力を惨殺ナイフに宿らせる。
 狙いすました突進から繰り出す斬撃をカーペットに深く刻み込む。
「やっぱり君がいると心強いね、晴翔」
「それはこっちの台詞だぜ、ラースクート」
 すれ違う一瞬に言葉を交わし、晴翔は再び距離を取って敵を狙う。
 ダモクレスはまだ、健在だった。

●収まる熱気
 戦いは続き、敵も味方も傷だらけになっていた。
 壊れたガレージを越えて、戦場は路上に移っている。
 アスファルトを溶かすほどの熱気から将司をかばって、オルトロスが力尽きた。
「オッさん……っ!」
 クリスティーネが声を上げた。
 彼女の回復は戦線をよく支えていたが、それでもオッさんやガド、ラースクートら防衛役が消耗していくのは避けられない。
「すみません、助かりました」
 将司はサーヴァントの主の声を背後に聞きながら、抑えた声で礼を言った。
 敵は時折快適な空気を生み出して自身を回復していたが、それでも将司やキカらの技は敵を着実に弱体化させている。
「そろそろ、力を使うべきですね」
 己の魂に眠る力を解放する……そうすると決めた時、かすかに将司の体が震えた。
 この技を使おうとするたびに、彼は不安にかられている。いや、実際いつも将司は力のことを恐れていて、だからこそ冷静にふるまうことを心がけているのだ。
 魔王のオーラが周囲にたゆたう。
「カーペットだから、破れちゃうかな。あんまりきずつけたくないけど、だれかがきずつくのはもっとやだ」
 キカがブラックスライムを変形させた槍で、カーペットを貫く。
「弱り目に祟り目……追い打ちと行きましょうか」
 隙を逃さず将司はオーラを叩きつけた。
 敵が受けている負荷を増大するオーラは、弱った敵を呪縛する。
 空間を凍結する弾丸がさらにダモクレスを凍結させる。
 秋華は紅葉の描かれた大筒を手に、ただ静かに攻撃を繰り返していた。
 放置されたホットカーペットに同情する者もいるが、彼女にはそんな感傷はない。
 別に皆の感情を否定するつもりはないが、彼女にとって大事なものは帰ってからゆっくりと本を読む時間だった。
 十分に距離を取った後衛でしっかりと狙いをつける。
「秋は夕暮れ。君は沈め」
 静かに告げた言葉と共に大筒から暗い、しかし鮮やかなオレンジの光が飛び出す。
 周囲に紅葉を思わすエネルギーを飛び散らせ、極太の光線はダモクレスの巨体を貫く。
 直撃した光線に吹き飛ばされてカーペットが道路に広がり、丸まりつつ起き上がる。
 ところどころに擦り切れて空いた穴は徐々に大きくなっていた。
 自分の攻撃が十分な威力を発揮したことに感慨も覚えず、秋華は再びダモクレスへと狙いをつける。
「Hooooooot!」
 ボロボロになりながらも再びホットカーペットはケルベロスたちへと向かっていく。
 ラースクートは狙われたチャールストンと敵の間に割り込んだ。
 巨大なカーペットが青年の長身を完全に包み込む。
 強く締め上げられた骨がきしむ音が聞こえた気がした。サウナよりもはるかに強烈な熱が色黒の肌を焼く。
「……ディフェンダーは初めてだけど、やはりきつい立ち位置だね」
 呟いて、ラースクートはゾディアックソードでカーペットをかきわけた。
 よろめきながらも、どうにか両足で地面をしっかり踏みしめる。
「けど、うまくはできてるかな。最後までみんなを守らないと」
「大丈夫か、ラースクート!」
 自分を呼ぶ幼馴染の声が聞こえた。
「ラースクートさん、倒れないでくださいね~」
 ほんわかとしたオーラが注がれて、彼の体を癒してくれる。
「ありがとう、クリティティ―ネさん。晴翔も心配しないで」
 礼を述べつつエアシューズでしっかり地面を踏みしめる。
 ガドもときの声を上げて鼓舞してくれていた。
 降魔の蹴りでラースクートはダモクレスの体力を奪い取ったかと思うと、体毛に包まれた晴翔の蹴りが続いた。
「もうすぐ倒せそうですが、デウスエクスは最後まで火力が落ちませんねえ。火傷は大丈夫ですか?」
 チャールストンはマイペースにラースクートへ気遣いの言葉をかけた。
「よく『コタツで寝ると風邪をひく』と言いますが、ホットカーペットだって暖かいといってそのまま寝ると掛け布団がないまま寝るから風邪をひきやすくなるはずです」
 とりとめもない話をしつつ≪ Crime Kaiser ≫の名を持つリボルバーで狙いをつける。
「とはいえこのカーペットレベルまで熱くしたら単なる焼肉用の鉄板、つまり焼き土下座」
 敵に銃口を向けたまま、彼は首をかしげた。
「えーと何の話でしたっけ?」
「あと一息で倒せそうという話では?」
「そうそう、そうでしたね……SHOOT!」
 一息で弾倉にこめた6発を全弾連射する。
 適当に撃っているように見えて、その銃撃は破れそうな部分を的確に撃ち抜いた。
 カーペットが弾痕から破れ、2つに分かれて落下する。
「そろそろ春ですな。暖房の必要もなくて、外で昼寝しても風邪のひかない季節も間もなく。うーん、待ち遠しい」
 リボルバーを収めて、チャールストンはポケットから煙草を取り出した。

●終焉
 道路に広がったダモクレスはもう動かなかった。
「どうやら無事に勝てたみたいだね」
「やったな。お疲れさんだぜ」
 ラースクートと晴翔が言葉を交わした。
「怪我した人がいなくてよかったです。オッさんもお疲れさま」
 クリスティーネが戦闘不能になったオルトロスを優しく撫でてやった。
「でも、おうちこわれちゃってるの……直してあげなきゃね」
 玩具を抱えてキカが肩を落とす。
「道路も直しておかなければいけませんね。手分けしてやりましょう」
「手伝う。早く終わらせて本を読みたい」
 周囲の様子を確かめる将司に、相変わらず本のことばかり考えている秋華が言った。
「テープはちゃんとはがしておきますね」
 チャールストンが立ち入り禁止のテープをはがし始めた。
「にしてもはがすのも疲れますな。はがし終わった後は温かいお風呂に入って疲労回復しておきませんと……明日の筋肉痛が心配です」
 ぼやきながらも彼は淡々と作業を続けている。
 ガドは動かないホットカーペットに近づく。
 ダモクレスはもはやただの家電の残骸に戻っていた。
「これ、修理はできへんかなあ」
 大工道具を取り出しつつ確かめるが、とても直せそうもないのがすぐにわかった。
「もったいないなあ。基盤だけでも使えたりせんかな」
 貧乏性と言われるかもしれない。
 けれど、物を直して大事に使っていれば、ダモクレスにはならなかったかもしれない。
 仲間たちが手当や片付けをしている間、彼女はカーペットの修理を試みていた。

作者:青葉桂都 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年3月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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