●弩級兵装回収作戦~ウィング防衛、白き狼
石川県の小松空港。ダモクレスにより制圧され、そこは異様な雰囲気になっていた。
そこには謎の施設があり、その周囲を警戒するように歩いているのは白い狼達だ。狼達は3体ずつ群れを成しながら、それなりの距離を開けつつ周囲を警戒している。時々、別の群れにも合図を送りつつ、侵入者が来ない様に見渡していた。
その時、がさっと音がする。
白い狼たちの前に、ウサギが駆け抜けたのだ。それを、狼は見逃したりはしない。まるで狩りの如く恐ろしい速さとチームワークをみせながら、一瞬で仕留めた。そして再び警戒に戻って行く。
その狼達の様子は、何事も無かったような……そんな冷たさと不気味さを感じさせるものだった。
●ヘリオライダーより
デュアル・サーペント(陽だまり猫のヘリオライダー・en0190)は、緊張した面持ちで話を始める。
「地球侵攻を続けていた指揮官型ダモクレス達が新たな作戦を開始した様なんだ。彼らは、地球に封印されていた強力なダモクレスである『弩級兵装』の発掘を行おうとしているんだ」
そう言ってから、デュアルは一息ついた。
「弩級兵装は、その名の通り、重巡級ダモクレスを越える力を持つ兵装で、『弩級高機動飛行ウィング『弩級絶対防衛シールド』『弩級外燃機関エンジン』『弩級超頭脳神経伝達ユニット』の4つの兵装が現存しているみたいだ。全ての弩級兵装が完全な力を発揮すれば、ダモクレスの地球侵攻軍の戦力は今の数倍から数十倍まで引き上げられると予測されてて見過ごすわけにはいかない」
デュアルは続いて、今回の作戦についての説明を始める。
「今回の作戦では、弩級兵装の発掘が行われている施設を警護する、量産型ダモクレスに対して別のチームが攻撃。その隙に、複数のチームが施設に潜入し、連携して弩級兵装の破壊を試みる」
それから、デュアルはケルベロス達を見渡した。
「みんなには、施設を警護している『量産型ダモクレス』の迎撃を担当して欲しいんだ。警護の量産型ダモクレスをひきつけて、施設を攻略するチームが施設に潜入すると同時に、外敵の量産型ダモクレスと戦い続ける事で、施設内に入り込んだチームに量産型ダモクレスの増援が向かわないようにする事だよ」
そう言ってから、デュアルは冷静な顔つきで話を続ける。
「でも、敵の数は非常に多いんだ。だから、いつかは撤退に追い込まれる。とにかく戦いを長引かせて撤退までの時間を長く稼ぐのかが、作戦の成否を分けるだろうね」
次に、デュアルは戦う量産型ダモクレスについての説明を始める。
「みんなが戦うのは『フォボスフォース』っていう白い狼型のダモクレスだよ。大体3体くたいで群れを組んでいて、近くの群れとの連絡も細目にとっている。群れ同士は、割と近くにいるよ。やり方によっては、いくつもの群れを引きつける事も出来るかもしれない。最初に10体以上のフォボスフォースを引きつける事が出来れば、潜入するチームは警護の隙をついて潜入する事が可能になる。更に3ターン毎に、最初に引きつけたフォボスフォースの数の半分の増援がやって来るんだ。他にも、最初に引きつける数を少なければ潜入チームの潜入が難しくなるんだけど、その分、前者の方法よりも長く戦い続ける事が出来る。潜入チームの潜入のしやすさ、戦いの時間、この二つのどちらかを優先させて作戦を立てるのが良いかもしれないね」
デュアルは最後に強く訴えかけた。
「今回、みんなにお願いするのは潜入チームのサポート。フォボスホース達を全滅する事はまず不可能だ。そんな状況だけど、みんなの戦いが潜入チームの助けになるんだ。頑張ってね!」
参加者 | |
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ヴォルフ・フェアレーター(闇狼・e00354) |
巫・縁(魂の亡失者・e01047) |
ロイ・ベイロード(剣聖・e05377) |
フォン・エンペリウス(生粋の動物好き・e07703) |
風鈴・響(ウェアライダールーヴ・e07931) |
リュコス・リルネフ(銀牙迸り駆ける・e11009) |
東雲・菜々乃(のんびり猫さん・e18447) |
神居・雪(はぐれ狼・e22011) |
●弩級兵装回収作戦~ウィング防衛、白き狼
石川県の小松空港。3体ずつ、群れをなした白い狼達が警戒をしている。
この狼達……フォボスフォースというダモクレスを引きつけ、空港に侵入する仲間達のフォローをする事が、今回の役目であり戦いだ。
A班はヴォルフ・フェアレーター(闇狼・e00354)、ロイ・ベイロード(剣聖・e05377)、風鈴・響(ウェアライダールーヴ・e07931)、東雲・菜々乃(のんびり猫さん・e18447)。
B班は巫・縁(魂の亡失者・e01047)、フォン・エンペリウス(生粋の動物好き・e07703)、
リュコス・リルネフ(銀牙迸り駆ける・e11009)、神居・雪(はぐれ狼・e22011)。
2班に分かれて、それぞれ狼達を引きつけ合流する作戦だ。
「通信は使えないみたいだな」
ヴォルフは残念そうに言う。使えれば、色々と情報の共有が出来たが、そう上手くはいかないらしい。
「フォボス、俺はここにいるぞ!」
フォボスフォースを宿敵に持つロイが、フォボスフォースの群れに宣言する。その声を受けたフォボスフォースの群れは、ロイ達を見る。殺害にしか興味のないヴォルフの視線、使命に燃えるロイ、ヒーローに憧れる響、作戦を上手く誘導しようとする菜々乃。その視線を受けたフォボスフォース達はA班に近寄ってくる。そして、その内の一体は離れた所にいる群れに呼びかけた。狙い通りに引っかかってくれた。それを確認してから、A班はB班との合流の為に走った。
一方のB班。
「こゃ~ん!」
「ここまでナワバリに入られても気付かなんて狼失格だね! 違うと思うなら狩りの腕前を見せてみなよ!」
フォンが大きな声を出し、リュコスが挑発的な言葉を投げる。それは、効果てきめんで、3体の群れが飛んできた。それに、声が大きかったのか、離れた群れの方も向かってきている。それを確認して合流の為に走り出すB班。他の三人の安全を優先し、縁がしんがりを務めてフォボスフォース達の牽制をしていった。
●防衛戦
無事に合流するA班とB班。引きつけたのは、予定通り12体。これからが持久戦だ。どの位耐えきれるか。それが鍵となる。
「連中は、サポート用のダモクレスだ。命中重視だから、こっちも当てる気で行かないといけないぜ」
ロイが皆に注意を促す。確かに追ってきた様子からしても、動きは素早く本物の狼を思わせる。
六体のフォボスフォース達が吠える。それは神経をびくりとさせるもので、ケルベロス全員にそれを齎した。
他の六体は直ぐに攻撃に移る。攻撃の危険性を感じたのだろう、狙いはロイとリュコスに集中する。素早い動きを駆使しながら襲い掛かろうとするが、それを縁、縁のパートナーであるオルトロスのアマツ、響のライドキャリバー、菜々乃、雪、雪のライドキャリバーのイペタムが出来る限り防ぐために庇いに入った。
その間を縫ってヴォルフの黄金の果実が光を伴いながら縁達を包んでいく。
縁は一体に狙いを付けると竜砲弾を撃ち放つ。そこに雪が飛び込んで弱点を狙い攻撃し、更に畳み掛ける様にリュコスの放った蹴りにより撃破した。
フォンは治癒の心を使って、これからの持久戦の為の回復力を高め、菜々乃は縁に締め切りまであと一日を使い、その傷を癒していく。響は満月に似た弾をロイへと放ち、その力を受けた彼は精神を集中させて爆破をさせ撃破した。
フォンのボクスドラゴンであるクルルは属性インストールでフォンの耐性を高め、菜々乃のウイングキャットであるプリンは、ロイ達に清らかな風を送り込んでいく。
二体減ったものの、やはり半数のフォボスフォースは唸り声による声で雪達を狙う。そして、再びロイとリュコスに向かい確実に攻撃を加えてくる。ディフェンダーは二人と三体いるが、流石に全ての攻撃を防ぐ事は叶わない。まずは、ロイとリュコスを護る事を優先する事にした。
ヴォルフは黄金の光をフォン達に放つ。フォンは雪へとオーラの弾丸を放って回復させた。
リュコスは一体に向かってハンマーで叩き潰し、撃破する。
攻撃を受けた縁達は体勢を立て直した。縁と雪は壁を使って重い蹴りを放って攻撃する。菜々乃は自らの傷を癒すために栄養剤による回復を、響はリュコスに光弾を使って、力の底上げを図った。クルルは響、プリンは清らかな風を雪達に送り込む。その間に、ロイはダメージを受けている一体を狙って炎の一撃を放って撃破した。
フォボスフォースは戦略を少し変えてくる。三体がフォンと響に向かって吠える。フォンが動けなくなる事は痛い為、縁達が総出で庇う。響にはアマツ達が向かった。
「大丈夫か?」
「ん、みんな、ありがとうなの」
縁の言葉にフォンは感謝の言葉を伝える。そして、自分の役割を改めて強くした。
だが、守備が手薄になってしまった所を狙って、ロイとリュコスに向かい、残りのフォボスフォースが次々と襲い掛かり、噛みつき、引き裂く。そして、直ぐに身を翻すと群れの元に戻って行く。狩りを行う狼の様に、連携を取るのが上手い。
フォンはロイに向かって、オーラの弾丸を放つ。まだ攻撃対象になっていないヴォルフは自らを黄金の光で包み込む。集中攻撃を受けると厳しいな、興味のあるフォボスフォース達に関して、ヴォルフはそう判断した。
リュコスは負った傷に耐えながら、如意棒を使って攻撃を行い、そのまま一体の撃破に成功する。相手の速さと連携に、カウンターを狙うのは厳しいかもしれない。
体勢を立て直すディフェンダー達。アマツ達、ディフェンダー達の傷は厳しいが、それぞれ相手の撃破の下地を作る為に次々と動いていく。その中で弱っている相手を狙い縁は竜砲弾を撃ち放って撃破する。
菜々乃はリュコスへと元気を送り込み、雪は病退ける祈りによって縁達に清らかな風を送って癒していった。
響は時重力遅延を使って、フォボスフォースに麻痺を齎していく。そこに、ロイの爆破攻撃が襲い、一体を撃破した。
クルルとプリンも回復に回るが、回復が追い付かない。
激戦の音を聞きつけたのか新たに六体のフォボスフォースが応援に駆けつけてきた。
「……来たな」
「ああ、でも、アタシ達はまだまだいけるぜ」
ヴォルフと雪はそう言うと、皆で構え直す。
元々いたフォボスフォース達が攻撃に移ってくる。二体は唸り声を、残りはロイとリュコスを単体で狙って来た。それを菜々乃、雪が二人を庇う。
ヴォルフは稲妻を伴う一撃を放つ。縁は痺れを抱えながら、その一体を狙い百華龍嵐による激しい斬撃で撃破した。
フォンはダメージがまだ強く残っているリュコスに満月の光に似た光で回復をしていく。回復を受けたリュコスは雷天鎚衝を使って一体を撃破した。
応援に駆けつけてきたフォボスフォースが攻撃に移る。半分は唸り声を上げて響達を狙う。そこをライドキャリバー達が守りに入った。残りはロイとリュコスに向かって飛びかかると、噛みつき、引き裂く攻撃を繰り出してくる。
体勢を整えた菜々乃は、直ぐにフォンへと応援の力を、雪は病退ける祈りでロイ達へ回復の力を送った。
響は遠吠えをする。オオカミのボスは自らであると。動きを止めたフォボスフォースに向かいロイが炎の一撃を放ち撃破した。
クルルとプリンも必死で回復を行うが、自らのダメージもかなり重なってきていた。
フォボスフォース達が動く。二体はロイ達、二体はフォン達に唸り声を上げて力を奪っていく。そして、残りはロイとリュコスに飛びかかっていく。雪がロイを、菜々乃がリュコスを、縁がフォンを庇い、響はアマツ達が向かう。しかし、既に限界を超え、倒れてしまった。だが、悲しんでいる間は無い。フォンは、直ぐに菜々乃へオーラを放って癒していく。
ヴォルフが素早く弾丸を撃ち、リュコスの激しい蹴りが炸裂して一体が倒れた。
残りのフォボスフォース達が攻撃を繰り出してくる。半数は菜々乃達のへと唸り声による麻痺攻撃を行い、ロイとリュコスへと噛みつき、引き裂く攻撃を行った。
縁は全身を地獄の炎で身を包み、体力を回復していく。菜々乃はロイへ応援を送り、雪はオーラの力で自身を癒していく。
響は時重力遅延による麻痺攻撃を行い、動きを鈍らせた相手にロイが爆破攻撃を行って撃破した。
フォボスフォースは唸り声による麻痺攻撃を縁達と響達に行う。そして、残る四体は二体ずつロイとリュコスを狙う。ロイを縁、リュコスを菜々乃、雪がフォンを庇う。だが、雪の負っているダメージは限界を超えていた。庇ったその場で倒れ込む。
「ごめん、みんな……。後は宜しく頼むぜ……」
「ん、分かったの。雪の分も、わたし、頑張るの」
倒れた雪に、フォンは手を取って約束する。
守備が弱まるのは危険だ。ヴォルフはそう判断すると、黄金の果実の光によってロイ達へと回復を行う。
フォンは菜々乃達へとケルベロスチェインの魔法陣を使って守りの力を高めていく。
「ボク達を簡単に狩れると思うな!」
リュコスは雷天鎚衝を使って、落雷による一撃で一体を撃破する。
縁、菜々乃は自らを回復する事に専念する。響も方針を変え、回復が足りていない菜々乃へと光弾による回復を行った。一方、ロイは少しでも減らす為に炎の一撃を加えて撃破する。
更に六体のフォボスフォースが走ってきた。これも対処していかなくてはいけない。
残っていた四体のフォボスフォースは、今まで攻撃を行ってこなかったヴォルフを狙う。だが、縁がそれを庇った。フォボスフォース達は素早く動きながら、確実に獲物を狩る様に、次々と噛みつき、引き裂く集中攻撃を行ってきた。流石にこれだけの集中攻撃を受けると縁も持たない。力尽き、崩れ落ちてしまう。
「……すまない。皆、気を付けるんだぞ……」
縁自身、本当はフォンの前では倒れたくは無かったのだが、ヴォルフを守り切れたのなら、それはそれで良い、そう思った。
ディフェンダーが二人倒れた。残るは菜々乃だけ。改めて気を引き締める。
「こうなったら仕方が無いな」
このまま退却すら失敗してしまったら話にならない。ヴォルフはToben brutalを使って、新たに現れたフォボスフォースの注意を引かせた。
フォンは菜々乃達に紙兵を放って護りを固めていく。リュコスもシャウトを使って体力を回復した。菜々乃は光の弾をロイへと撃ち放って体力を続けて回復させる。
応援に現れたフォボスフォースも攻撃に移る。内、三体はヴォルフを狙い攻撃してきた。それを何とか防いでやり過ごしていく。
二体はリュコス達、一体は響達へと唸り声を上げて動きを奪っていく。それまで、何とか回復に回っていたクルルとプリンも倒れてしまった。
鈍る身体を動かしながら、響は自身の回復を図る。ロイは渾身の力で爆破攻撃を行い、一体を撃破した。
ヴォルフは自らの体力の回復をしていくが、四体が跳びかかり、噛みつき引き裂く攻撃を行う。残りは二手に分かれてロイとリュコスを狙ってくる。菜々乃がロイを庇うが、体力的にかなり厳しくなってきている。
フォンは菜々乃達に魔法陣を描いて守りの力を高めていく。リュコスは攻撃する事を選びハンマーに叩きつけて撃破した。
菜々乃は自らの体力を回復する事に専念する。響はヴォルフの回復へ回った。ロイも相手を確実に減らすために炎の攻撃を放って倒した。
続き体力の回復を行うヴォルフに対して、二体が襲い掛かり、噛みつき攻撃を行う。残りのフォボスフォースは二体ずつリュコス達とフォン達に唸り声による攻撃が行われ、それ以外はロイを狙って集中的に跳びかかる。それを菜々乃が何とか庇った。
フォンはリュコス達に紙兵を飛ばして護りを固め、菜々乃は自らを癒していく。響はヴォルフの回復に努めた。
攻撃役のリュコスとロイは、急所を狙う蹴りと爆破攻撃を用いて一体ずつ、確実に倒していく。
更に援軍が六体現れた。
ヴォルフに敵意を向けていた二体のフォボスフォースがヴォルフに襲い掛かるが、菜々乃が庇った。菜々乃も体力の回復を重ねて来ていたが、限界が訪れる。
「……みんな、気を付けて……」
菜々乃に庇って貰ったヴォルフは、彼女に代わる様に雷を纏った突きを放って撃破する。
フォンは、回復が回っていない自分と響に対して、魔法陣による守備を高めていき、リュコスはハンマーによる殴打によって一体を撃破した。響は引き続きヴォルフへの回復を行う。そして、ロイの炎の一撃がフォボスフォースを一体倒した。
フォボスフォースは続けて四体がヴォルフに向かって襲い掛かる。流石に、この総攻撃には耐えきれず、ヴォルフは崩れ落ちる。
「……俺も限界だ……逃げるぞ……」
「撤退だ!」
倒れた仲間達を連れ、追撃をかけようとするフォボスフォースを牽制しながら撤退する。幸い、周辺の守備を担当していたフォボスフォース達は追い詰めてくる事も無く、無事に引き上げに成功する。
厳しい戦い。元々、勝利できるものでは無かった。しかし、全力を尽くして可能な限り戦った。
……後は、作戦が成功する事を祈るのみだ。朗報が来ることを信じて――。
作者:白鳥美鳥 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年3月24日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 1/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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