弩級兵装回収作戦～バグトルーパー　緑の悲哀

■リプレイ

●その力を手に
　バグ・トルーパー達の弩級兵装回収作戦。
　ここ、高知県山中に作られた秘密基地には、その弩級兵装の一つ、弩級絶対防衛シールドが配されている。
　そして、その発掘を行うリモデ・ラーソンと、その配下である、３体のバグ・トルーパー達、更に周囲には、多くの量産型ロス・オブ・ネームズが蔓延って居た。
「……一気に動いたな、ダモクレス……」
　と、タクティ・ハーロット（重力喰水晶・e06699）がぽつり呟くと、嶋田・麻代（レッサーデーモン・e28437）と、ペトラ・クライシュテルス（血染めのバーベナ・e00334）の二人も。
「そうですね。こんな大規模な作戦に参加するのは初めてですね……」
「そうねぇ。私達の所だけでも、バグトルーパー三体にリモデ・ラーソン、そして量産型ダモクレス達を引き付け、倒す班が居るのよね？　まぁ私達の目的は、あくまでもバグトルーパー・ティアーを倒す事よね」
「そうですね。私はティアーさんと戦えればそれで良し！」
　ぐっと拳を握りしめる麻代に、ガナッシュ・ランカース（マスター番長・e02563）と霧城・ちさ（夢見るお嬢様・e18388）、水無月・鬼人（重力の鬼・e00414）にタクティも。
「うむ。弩級絶対防衛シールドは何としても破壊したいところじゃ。その為にも、先ずはティアーを短時間で片付けんとな」
「そうですの。短い時間に強敵を撃破してシールドを破壊するのは大事な作戦ですわね。時間もありませんが、落ち着いて攻撃して突破させて頂きますの！」
「ああ。何としても、阻止しなけりゃな」
「そうだな。弩級兵装を回収させるわけには行かねーんだぜ……」
　……と、そうしていると……ロス・オブ・ネームズの陽動班達が行動開始。
　辺りにいたロス・オブ・ネームズは、次々と陽動班達に引き付けられ、秘密基地へと向かうルートが切り拓かれる。
「どうやら量産型の引きつけは成功した様じゃの、ありがたい事じゃ」
「そうね……頃合いね。それじゃあ、私達も向かうわよ！」
「ああ！」
　ガナッシュに水無月・香織（地球人の鹵獲術士・e30250）にヒビスクム・ロザシネンシス（メイドザレッド・e27366）が威勢を上げ、そして……バグトルーパー三体が入口を護る場へ。
　……三体のバグトルーパー達が完全に入口を護り、中へと入る隙間は無い。
　そんな三体の内の、バグトルーパー・ティアーは。
『……ひっぐ……ひっぐ……』
　と、入口を護る最中も……何処か悲しそうに泣いている。
　そして、その奥にはリモデ・ラーソンがいる訳で……。
「……というか、何故こんなにわかりやすく回収してるのだろうかだぜ」
　とタクティの言葉に頷きつつ、ちさ、麻代が。
「そうですわね。それにこのダモクレス……泣いているとか変わってますわね」
「確かに……そうだね。ここまで感情を露わにしているのは、珍しいと思う」
　そして、香織に鬼人が。
「まぁ、バグトルーパー・ティアーは装甲が売りらしいですからねぇ。私の弾丸とバグトルーパー・ティアーの装甲どちらが上か確かめさせて貰いましょうか」
「ああ。頑丈だろうが、動いている以上、脆い所はあるはずだ。それにしても、水中用なのに陸に揚げられている所を見ると、敵の人材不足は深刻みたいだな。悪いが、それに拍車をかけさせて貰おう」
　そして、アンバー、スマイリィの担当班と共に、一気に攻撃を仕掛けていく。
「ほら、そこの女形のタガメ、貴様の相手はわし等じゃ！」
「ほらほら、ティアーちゃん。そんなに泣いててどーしたのかしらぁ？」
　と、ガナッシュ、ペトラ挑発しつつ、洞窟の入口から西方の方へと誘導。
　そして、誘導しつつ、その間を通過していくリモデ班……その一人、スノードロップに向けて。
「スノーお嬢さん！　先に行きな！　ここは俺達に任せろ！」
　と声を掛ける……主人のスノードロップは頷き、洞窟へと侵入していく。
　……そして、三班、それぞれが干渉しない位置まで引き離すと共に。
「ガブリンも気合い入れて行くぞ！　時間との勝負だからな！」
　とヒビスクムの言葉に頷き、ティアーに接近。
　そして、先ずはペトラが。
「それじゃあ、始めるわよ」
　とペトラがティアーに向けてスターゲイザーで足止めを降り注がせると、更にタクティも。
「ほらほら、行くぜなんだぜ！！」
　とブレイブマインで仲間達への壊アップを付与すると、更にちさのウイングキャット、エクレアが清浄の翼を仲間にて、ＢＳ耐性を付与する。
　そして、相互自己強化を行うと共に、香織が。
「それじゃあ一気に仕掛けますよ！」
　と香織の号令に合せ。
「打ち砕け！　渾身の一撃！」
　と『爆風の弾丸』を撃ち出すと、それに続き鬼人の斬霊斬、ガナッシュのグラビティブレイク、麻代のブレイズクラッシュが、クラッシャー効果を伴いティアーを大幅に傷付けて行く。
『ひっぐ……い、痛い……の……』
　と哀しみの声を上げるティアー。
　でも、そんな哀しみを口にしつつも……その一本に纏まった大型の爪を振りかざす。
　その位置駅、かなり強烈な捕獲効果を伴う一撃であり、ダメージも高い。
　しかしその一撃を、タクティのミミックがカバーリングし、どうにか耐える。
　そして、ちさとヒビスクム、更にガブリンらが。
「一撃が強力ですわね……」
「ああ。でも大丈夫だ！　さあ、盛り上がっていこーぜ！」
　ヒビスクムがブレイブマインを発動すると、ちさも同じくブレイブマイン。
　更にガブリンには、ヒビスクムが。
「ガブリン、回復頼むぜ」
　と、属性インストールで、ミミックを回復する。
　そして、二刻目。
　ティアーに対し、ペトラが破鎧衝で服破りを付与し、ダメージを追加する一方、香織は如意直突きを叩きつけていく。
　そしてタクティがライジングダークで足止めを付与し、こちら側の攻撃力を上昇させる。
　その一方、ティアーはケルベロス達に接近した上で。
『ひっぐ……ティア……頑張る……の……」
　と涙を堪えるような仕草をしつつ、その口元に生えた様な鋭い針を突き刺す様に攻撃する。
　硫酸液がその針先から噴射し……ジュウウ、と服を焼く。
「ちっ……これを体内に注入されたらヤバイな」
「そうですの。喰らわないように注意ですわ！」
　ヒビスクムに頷きつつ、拳を振り上げるちさ。
　そして、ヒビスクムは。
「情熱の赤花よ！　萌え上がれ！」
　と、『情熱の赤花』で、キュア効果を自身に付与しつつ、ガブリンの属性インストール、ちさのブレイブマインが確実に回復。
　そして鬼人、ガナッシュ、麻代のクラッシャー三人は、変わらずブレイズクラッシュ、旋刃脚、斬霊斬と攻撃し、その弱点を判断。
　一番、麻代の斬霊斬が効いた様で。
「うむ……そうじゃな。どうやら奴は斬撃が弱点の様じゃぞい！」
「斬撃……了解」
　麻代が頷き、そして次の刻からは、斬撃を中心とした攻撃へシフト。
　勿論、見切効果も踏まえて、適宜別属性の攻撃を挟む事で、命中率を低下させない。
　……そして、ティアーとの戦闘開始から、七分が経過した、その時。
『ひっぐ……い、痛いの……』
　もう、そのタガメの身体はかなりボロボロ。
　……哀しげな声も、更に悲壮感が増してきていて……そんなティアーの言葉に。
「……事態が事態だから、流石に同情は出来ないんだぜ」
　とタクティの言葉に皆も頷く。
　そして……８分目。
「そろそろ頃合いだろう……一気に仕掛けるぞ」
　と鬼人の号令一下……クラッシャー陣３人が、一気に距離を詰め、猛攻。
『うう……いや、いやぁ……』
　と……哀しげな叫びは虚空に響き渡り、ティアーは其の場に崩れ墜ちる。
「ふぅ……地上だったからいいものの、水中が戦場だったら危なかったかもですねぇ。人手不足なのか、地上に配備されたのが貴方の敗因でしたね」
　と香織の言葉にヒビスクムは頷きつつ。
「そうだな。さて、他の班は……っと」
　と、他班の方向に視線を配せる……どちらもまだ、戦闘中。
「良し、まずはスマイリィの方に向かうぞ」
　と鬼人の言葉に頷き、ケルベロス達はスマイリィと闘う仲間の方へ。
「ティアーは倒した。こっちに加勢は必要か？」
　ティアーを倒し平原を駆ける鬼人が尋ねてくるが、スマイリィと闘う光太郎はスマイリィから視線を動かさず答える。
「こっちの蚊蜻蛉は、虫の息だ！　アンバーと闘ってる方を助けてやってくれ！　こっちも地面に叩き落としたらすぐに行く！」
「分った」
　と短く頷き、もう一班の方角へと急ぐ。
「待たせたのう！　ティアは倒れた！　最後の一息、加勢するのじゃ！」
　と、ガナッシュらティアー班の者達は、アンバー班の元へと加勢する。それに。
「悪ィ、手を借りる――次で決めるぞ！」
　と、ソルが答え、共闘開始。
「これでも喰らうのじゃ！！」
　と、ガナッシュが至近距離から旋刃脚で斬り込むと、それにアンバーは少し怯んだ様に、一歩下がる。
　更に怒濤の如く、ペトラのドラゴニックミラージュに。
「ほら、吹っ飛べ！」
「我が熱は鉄をも焼き尽くす。覚悟して下さいね」
　ヒビスクムのスピニングドワーフ、麻代の『火葬大焼』が続き、そして鬼人の月光斬が一気に体力を削り行く。
　そして……その直後、アンバー班の仲間達の一撃が、アンバーの肩に決まり……その肩を破壊する。
　その破壊の勢いがそのまま、アンバーの頭部を破壊し……小爆発すると共に、そのまま粉砕されるのであった。

●斬り去りし後に
　そして、バグトルーパー・アンバーを倒したケルベロス達。
　……スマイリィの方を見ると、既に倒れており、仲間達は入口の方へと急いでいる。
「良し。俺達も入口へ向かうぞ」
　と頷き合い、バグトルーパー班３班全員が、入口の前へと集結する。
　と……遠くの方から、騒がしい音が聞こえ始める。
　……良く見据えると……遠くの方から、量産型の増援部隊が、続々と此方の方へと来襲し始めていた。
　よく目をこらして、その来襲に。
「……皆、あっちの方からロス・オブ・ネームズ達が来ているぞ！！」
　と、ヒビスクムが指を指す、そして……。
「これは……不味いですね。ここで止めるしか無いですね」
　と香織の言葉に皆も頷き、三班が防衛陣を敷いて、来襲しつつある量産型ロス・オブ・ネームズを迎撃。
　最初の内は、特に問題無く量産型を対応出来ているものの、刻一刻と時が過ぎると共に……増える量産型の数は続々と増えていく。
「っ……数が多いのう！」
　と、苛立ち気味に声を上げるガナッシュ。
　……しかし、まだ弩級兵装を破壊した、という報告は来ていない……仲間を信じて、シールドの破壊まで、量産型をこの先に行かせる訳にはいかない。
　加速度的に、数が増えていく量産型ロス・オブ・ネームズを、３班で協力し、退治していく。
　そして……バグ・トルーパー３体に攻撃を仕掛けてから、24分程が経過した、その瞬間。
　洞窟の奥の方から戻ってくる……リモデ班のデジルが。
「お待たせ！　『弩級絶対防衛シールド』は破壊してきたよ！」
　と声を掛けてくる。
「……良し。取りあえずシールドは破壊出来た様だぜ」
「良かった……よーし、それじゃあもうここに用はないな！！」
　タクティに頷くヒビスクム。
　そしてリモデ班を含め、四班で以て前方の相手を総攻撃……倒れ、退路を切開くと共に、その道を急いで駆け抜ける。
　……ロス・オブ・ネームズは、多少はケルベロス達に追いすがるが……駆け抜けるケルベロス達に追いつけることも無く、脱出。
　周りに敵影が無くなったことを改めて確認し……呼吸を整える。
「……ふぅ……どうにか終わったんだぜ！」
　と笑みを浮かべるタクティに、ペトラとちさも。
「そうねぇ……まぁ、兵装も倒したし、バグトルーパー達も倒せたから、結果としては最良の結果、って感じかしらねぇ？」
「そうですの！　後は他の班が成功してるかどうか、ですわね！」
　嬉しそうに微笑むちさ……そして。
「まぁ、何にせよ私達の出来る事は完遂したって感じですね。後は仲間達を信じましょう」
　と頷き合い、そしてケルベロス達は一端、其の場を後にするのであった。

作者：幾夜緋琉	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2017年3月24日 難度：やや難 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 5／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 0
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