●咲き誇る蒼
秋田県秋田市。その日の天気はいつも通りの冴えないもので終わるはずだった。しかしある時、平和なそれを切り裂くように、薄曇りの空から蒼い剣が降ってきた。
城跡のお堀に着水したそれは、盛大な水飛沫を上げて地面に突き立つ。衝撃の大きさはそれだけでは足りず、堀の底が突き抜け、真下の地下道が崩落を迎えた。
「――悪くない。獲物はそれなりに居るようですね」
局所的な災害を生み出した影が、翼を広げてクレーターから上がってくる。青く輝く装甲は、まるで小さな竜のよう。
「あなた達には、『弩級兵装』のための糧となってもらいます」
ディザスター軍団の一人、拠点防衛型ドール・リンドウはそう宣言し、手ごろな自動車を付近の美術館に投げ込んで見せた。
上がる轟音、そして悲鳴の中を悠然と歩き、リンドウは辺りに破壊の風を撒き散らしていく。
やがて進路上に姿を見せた病院に目を付け、彼女は大きく息を吸い込む。竜を模した装甲に輝きを放ち、吐息が蒼い炎を宿した。
ドラゴンブレス。病院の一階を炎が蹂躙し、逃げ込んでいた人々を焼き、炙る。このまま放っておけば、上階の者たちも『美味しく』仕上がる事だろう。
「さあ、いつでも来なさい、ケルベロス達」
青く揺れる炎を見つめて、リンドウが薄く笑みを浮かべる。そこには余裕と、確固たる自信があった。
「返り討ちにしてみせましょう――『私達』が」
●ダブルチーム
地球侵攻を続けていた指揮官型ダモクレス達が、新たな作戦を開始した。
彼らの次なる目標は、地球に封印されていた、強力なダモクレスである『弩級兵装』の発掘である。
発掘した弩級兵装を利用した大作戦を計画しているようだが、それには大量のグラビティ・チェインが必要となる。その調達を担うのが、ディザスター・キングの軍団のダモクレスだ。
「と、いうわけで!!!」
白鳥沢・慧斗(オラトリオのヘリオライダー・en0250)が集まったケルベロス達に呼び掛ける。手にしたハンドスピーカーは気合の表れだろうか、いつもの二倍以上うるさい。
「皆さんには、この襲撃される市街地の防衛をお願いしたいのです!!」
そうは言っても、繰り返される戦いの中で敵も学習している。ケルベロスの迎撃を視野に入れたダモクレス達は、派閥を超えて協力する事にしたようだ。ディザスター軍団、そしてクビアラ軍団の共同作戦と言った風情だろうか。
迎撃に来たケルベロスとの戦闘はクビアラ軍団のダモクレスが担当し、ディザスター軍団のダモクレスは、そのまま都市の蹂躙を続ける。敵はそんな作戦を立てているという。
「敵がタッグを組むのなら、こっちも同じように迎え撃ちましょう!!」
慧斗がきっぱりとそう告げる。
「こちらのチームには、ディザスター軍団のダモクレスとの戦闘を担当してもらいます!」
襲撃が始まった後、クビアラ側のチームが先にディザスター軍団のダモクレスを攻撃し、それを阻止しようとするクビアラ軍団のダモクレスとの戦闘に入る。フリーになったディザスター軍団のダモクレスは、その後再び市街地へと向かうだろう。そこでこちらのチームの出番と言う形になる。
「敵の名は『リンドウ』、竜を模したような、青い装甲が特徴的なダモクレスです! 情報によると六体居るというエージェントチームの一体らしいですよ!!」
この個体は斧と言うか剣と言うか、とにかく巨大な刃を得物として戦う。また、竜のようなアーマーにはドラゴンの力を再現するような機能がついているらしく、ドラゴン特有の強力な攻撃を放ってくることが予想される。
「今回は自分から攻めて来ていますが、本来は拠点防衛が役割みたいですね! すごく頑丈そうですので攻撃役は気合を入れてかかってください!」
精神論でどうにかなるのかは謎だが、激戦を覚悟せよという意味だろう。鼓舞するように言った後、慧斗はハンドスピーカーを口元から離した。軽く息切れしている。
「えーと、作戦上こちらのチームは、仕掛けるべきタイミングまで時間が空きます。バレたら元も子もないので目立てないのですが……敵に発見されない範囲で、ヒールや救援活動、警察や消防の支援をお願いしたいのです」
それもまた重要な任務と言うべきか。真剣な目でケルベロス達に訴えかけ、慧斗は一同を送り出した。
「全体の作戦も重要ですが、目の前の危機を見過ごすわけにはいきません! 人々はグラビティ・チェインの材料などではないのです! 皆さんの頑張りに期待します!!」
参加者 | |
---|---|
鬼屋敷・ハクア(雪やこんこ・e00632) |
繰空・千歳(すずあめ・e00639) |
橘・芍薬(アイアンメイデン・e01125) |
平坂・サヤ(こととい・e01301) |
ミルラ・コンミフォラ(翠の魔女・e03579) |
ルース・ボルドウィン(クラスファイブ・e03829) |
野々宮・イチカ(ギミカルハート・e13344) |
マロン・ビネガー(六花流転・e17169) |
●救援
炎と瓦礫。局所的な災害は街の一部を蹂躙し、深い爪痕を残していた。
「酷い事を……」
そんな状況に顔をしかめつつ、ミルラ・コンミフォラ(翠の魔女・e03579)をはじめとしたケルベロス達が到着する。
現在、その災害の源は場所を移して居る。そう遠くない内に、別のケルベロス達がダモクレスと戦闘を始めるだろうが……。
「ごめんなさい、やっぱり通じないわ」
「こっちもね、ダメみたい」
それぞれに片目を瞑った繰空・千歳(すずあめ・e00639)と野々宮・イチカ(ギミカルハート・e13344)が仲間達に声をかける。
「通信妨害かしら? 厄介ね……」
「仕方ないな、あまり離れるなよ?」
橘・芍薬(アイアンメイデン・e01125)とルース・ボルドウィン(クラスファイブ・e03829)も言葉を交わす。通信機器の不通、それは弩級兵装回収作戦の全域に及んでいるようだが、今の彼等にそれを知る術は無い。とにかく状況に対応するべく、一同はそれぞれに行動を開始した。
「了解しました、救助は任せるです」
水の流れ込む地下道にて、怪力無双を駆使したマロン・ビネガー(六花流転・e17169)が、水没しかけた車を引きずり出す。警察や消防も動いているため、全ての面倒を見る必要はない。だからこそ、彼等では手を出し辛い箇所に協力する方針である。
「そっちのヒールはお願いするですよ」
「了解よ」
「わたしと心強い大切な仲間がみんなを守るよ、安心して」
短く答えた芍薬と、周りへの呼びかけを行った鬼屋敷・ハクア(雪やこんこ・e00632)が開いた穴をヒールで塞いでいく。
一方、火災現場ではルース、千歳らが逃げ遅れた人々の救助に当たっていた。
「大丈夫? 私たちがきたからもう安心よ」
ルースが怪力無双でどかした瓦礫をくぐり、千歳が隔絶されていた部屋へと入る。取り残されていたのは、親子連れだった。
「助けてくれ! 妻が火傷を、ここから早く出してくれ!」
「安心しろ、俺は医者だ」
早口で、縋りつくように迫る男性の肩に手を置き、ルースもまた部屋に踏み入る。見つけた患者の容体は、決して軽いものではないが……。
「これくらいならすぐに治る。今はまず、ここから出るぞ」
「ほら、もう少し、頑張って」
負傷者を抱えるルースに、子供の手を引いて千歳が続く。瓦礫をどかし、一部をヒールし、火の手を避けつつ二人が目指す先では、別のメンバーが治療と避難誘導を行っていた。
「臨時の避難所がよういされてます。おちついて避難してね」
惑う人々にイチカの割り込みヴォイスが響き、一定の流れを作り出していく。そこは、元々人通りの多い交差点だ。
「大丈夫。僕らが必ず守るから」
「かならずおうちへ帰れますから、だいじょうぶなのですよ」
にこやかに笑うミルラと平坂・サヤ(こととい・e01301)が、怪我人への応急処置を施して歩みを進めさせる。彼等がここに陣取り、避難を急がせる理由は単純だ。付近の地図を事前に確認した結果、次に狙われると予測されるのは――。
「――来た」
耳に届いたそれに、芍薬が空を見上げる。空に描かれた一本の線は、信号弾によるものだ。
「早いな」
別の場所ではルースがそれに気付き、負傷者を消防の者に任せる。救助に、救援に、まだいくらでも手は貸せるだろう。だが、彼等が真に担うべき役割は別にある。
「……!」
同じく空に目を向けたミルラの表情が強張る。空の軌跡は、概ね彼の居る場所を示していた。
敵が来る。それは後の戦場の予測していた彼等にとっては喜ぶべきことだ。
震える指を握りしめ、ミルラはまだ残っている警察の人々に避難を促す。
「奪わせない。これ以上取りこぼすことは――」
胸に地獄の炎が灯る。そうして、彼はもう一度敵の来る方角を睨んだ。
●竜の訪れ
別班のケルベロスの追撃を振り切り、悠々と舞い降りたはずのダモクレスは、しかし目の前に待ち受ける者を認識して表情を引き締めた。
「歯応えの無い連中だと思えば……なるほど、そういうことか」
ケルベロスの相手を味方に任せ、自分はグラビティ・チェインの回収に入るはずだったダモクレスだが、この時点で『作戦』が完全に看破されていた事を悟った。
「ここから先へは、行かせない」
「作戦は失敗だな。諦めろ」
着地した敵に、すかさず跳躍したミルラが仕掛ける。空中からの一撃、それを防いだダモクレスに、ルースが投擲した大鎌を合わせる。旋回する刃が装甲を切り裂き、確たる傷を刻んだ。
「忌々しい……!」
ミルラを振り払うようにして、一歩下がる。
「――だが、お前達を下せば同じことだ」
斧と剣を合わせたような巨大な刃を構え、青い装甲のダモクレス、リンドウはケルベロス達を迎え撃った。
「できますかねぇ?」
旋回する刃を縫って、接敵したサヤが卓越した一撃を叩き込む。装甲の合間を狙ったバールは、しかし鈍い手応えを返してきた。
「あ、噂通りお堅い」
そこに突き込まれるリンドウの剣、だがそれは割り入った芍薬が受け止めた。さらにスパイラルアームで装甲を削りにかかった彼女に、リンドウが軽く眉を上げる。
「誰かと思えばギルティローズか。とっく死んだと思っていたぞ、裏切者」
「その割には驚いた風にも見えないけどね、リンドウ。あと、その名前で呼ぶの止めて貰える?今は……」
「『橘・芍薬』だろ? ヒマワリから報告は受けている」
埒の明かない鍔迫り合いから、二人は互いに距離を取った。
通常、レプリカント化した元同族を、ダモクレスがそれと認識することは難しい。だが今回の場合、リンドウは倒された『姉妹』からそのデータを受け取っていた。
「元より、ヒマワリを手にかけたお前を、妹などとは思わん」
「そう、好きにするといいわ」
芍薬の連れたテレビウム、九十九もそちらに割り込んでいくなか、両者は再度ぶつかりあった。
数人が敵と激しく刃を交わす内に、残りのメンバーは長期戦に備えた準備に入っていた。
「敵は全然元気そう、です」
「仕方ないわ、向こうの班も他に相手が居るもの」
連戦の割に大した傷も付いていない敵の様子に、マロンと千歳が言葉を交わす。二人の展開する金属粒子と、黄金の果実がそれぞれ銀と金の輝きで味方を包んだ。
「何にせよ、悪だくみはしっかり止めるわよ」
千歳の目配せに応じ、ミミックの鈴が武装を具現化し、駆ける。
「さあ、こっちも得意なほうをはじめよ!」
ヒールと救助から戦いの時間へ、頭を切り替えてイチカとハクアも援護に回る。
「後ろの人にもきらきら輝くおまじないっ」
「離れないで。"ここ" から "そこ"までは――守ってみせるよ」
ハクアがメタリックバーストを後衛へ、イチカもそれに合わせて防護領域を作り出した。
幕を開けた戦いは、徐々に激しさを増していく。
「敵の動きを止めたい。頼んだ」
ミルラの舞わせた魔法の木の葉が中衛を覆い隠し、それに紛れてジャマー二人が仕掛ける。
「任せて、好き勝手にはさせないんだから」
「いくよー!」
ハクアが稲妻の如く突きを放ち、イチカは上空から蹴りつけて攻撃。
「その程度か?」
防御姿勢を取るリンドウに対して、その攻撃によるダメージはあまり期待できないようだが……。
「判断が早すぎるな、まだまだこれからだろ?」
ルースの振り回すハンマーが斧剣の上に叩き付けられ、敵の身体を揺らす。ジャマーをメインとして撒かれる足止めに、パラライズ、それらのバッドステータスはいずれ必ず突破口となるだろう。
こちらもまた防御を固め、狙いを定め、ケルベロス達が狙うのはこうしたバッドステータスによる侵攻である。
「鬱陶しい……!」
それを嫌ったか、逆にリンドウがドラゴニックユニットを輝かせ、蒼のブレスを放つ。溢れ出る炎が庇いに入った千歳や芍薬、そしてサヤを焙った。
敵の反撃もまた強力。策が実を結ぶのが先か、ケルベロスらが倒れるのが先か、状況は各々の読み通り持久戦へと転がっていく。
「少しの間、動かないで」
そんな中、芍薬の展開した星の聖域が前衛を包み込む。
「ありがとうございます」
達人の一撃での布石を繰り返しつつ、サヤは芍薬に視線を送る。姉妹機だと、戦いの前からそう聞いては居たが……。
「芍薬」
口をついて出たのは、それゆえの疑問だった。
「ことばもちからも、とどく機会は今だけです。――あなたの望みは?」
「……さあ、わからないわよそんなの」
突然のそれに、少し考えて芍薬が答える。何がしたいか、どうなりたいか、そんな望みは必要だろうか。望むことは、許されるのだろうか。しかし、思い悩む時間は既に無い。
「でも、リンドウはここで倒さなきゃいけない。それは確かよ」
残された、確たる事実を芍薬は語る。だがそれにサヤが応える間もなく、リンドウの斧が大きく薙ぎ払われた。
「――ッ!」
腕に食い込む刃を受け止め、前に出た芍薬とリンドウが至近距離で視線をぶつけ合う。
「防御が甘いぞ、何をごちゃごちゃ喋っている。レプリカントになると動きまで悪くなるのか?」
「うっさいわ、この堅物!」
「……うーん?」
始まった『姉妹喧嘩』を不思議そうに見て、サヤもまた戦場に踏み込んでいった。
●心
「まだ、私もこれくらいじゃ終わらないわよ?」
前衛の千歳がバトルオーラで気を集める。そして後衛のボクスドラゴンの『ドラゴンくん』が回復に、炎対策にと駆けまわる間に、主であるハクアは竜の幻を召喚してリンドウと張り合っていた。
「わたしの炎も青いんだよ。さ、どちらが熱いか試しましょ?」
また別の色合いの青が迸り、燃え広がる。サヤの石化光線をはじめとした行動阻害に、炎と氷、徐々に積みあがっていくそれらは、確実に敵を追い詰めている……はずだった。
「ぬるいな、手本を見せよう」
炎に巻かれながらもリンドウが反撃のブレスを繰り出す。その表情には苦しみどころか焦りさえ見受けられなかった。
「我慢強いの? いじっぱりなの?」
「両方だと思うわ」
イチカの問いに、気力溜めで仲間を回復しながら芍薬が答える。そもそも効いていない、という可能性は無いと信じたいところだ。
「今回の敵は……可愛くないです」
「……あ?」
オーロラのヴェールを展開するマロンの言葉に、ルースが一瞬硬直する。マロンの言う『可愛い』の基準は独特なのだが、残念ながらそこを彼に説明している時間は無いだろう。
「可愛げが無いって意味ではそうかもな」
捻り出した前向きな解釈を軽口で返し、ルースは旋刃脚を仕掛けていった。足を狙ったそれに、敵の動きが一時、止まる。
「よし、重ねろ!」
「はーい」
「了解した」
それに応え、イチカがファミリアロッドを動物に変えて解き放った。
傷口を広げる目的のそれは、ようやく効果を発揮し始めた力を、大きく広げていく。逆巻く炎、各所を苛む氷、それでもなおリンドウは前へ進み、前衛を薙ぎ払うように斧剣を振るった。
「この……!」
ガトリングに変形させた腕を振るい、千歳がその重い刃を受け止める。衝撃が全身を走り、フレームの軋む音が体内で響くが、彼女は引かず、踏みとどまった。
「しぶとい女だ」
「あなたが言うの?」
「全くです。なんですかこの硬さは」
リンドウの言葉に千歳が呆れるように返し、素早く回り込んでいたサヤがそれに乗っかる。
「でも、それでこちらのこころが折れると思ったら、大間違いなのですよ」
「そうだ。この胸の火が消えない限り――」
サヤのナイフが傷口を抉るのに合わせ、ミルラもまた影の刃を急所に当てた。
「お前達の、好きにはさせない」
踊る二本の刃が赤を彩り、さらに攻撃が繰り返される。敵の抵抗により前衛のサーヴァントが倒れ、一部前後衛をスイッチする必要にも迫られたケルベロス達だが……。
「アツアツ出来立て高級トーストです!!」
Op.Sp【Mont Blank・Toast】、甘い匂いのするマロンの攻撃を受けて、ついにリンドウが膝をついた。
「鉄面皮もここまでみたいね」
「それは、どうかな」
進み出た芍薬が、熱エネルギーを集め、赤熱した右手をリンドウへと向ける。交錯する視線。そこに乗った熱の違いが、恐らくは心の有無の証明なのだろう。
「詰めが甘くなったな、ローズ」
一瞬の逡巡を隙と見做し、リンドウは手にした刃で速攻の突きを放つ。
「――ッ!」
だが、それが届く前に、芍薬の『火葬』がリンドウに炸裂した。
敵の右腕が爆散し、握られていた巨大な刃が吹き飛び、落ちる。
「終わりにしよう。――花開け」
「わたしたちは、負けない……!」
そこに、前衛に出たミルラの手と、ハクアの呼びだした竜の幻影。それらが翠と青の炎を生み出し、リンドウを呑み込んだ。
●散る花
炎の中に倒れ込む敵の姿を、芍薬が見やる。
敵個体『リンドウ』を撃破。目標達成。そんな思考とは裏腹に、心は微かな痛みを告げていた。
「……バイバイ、姉さん」
この痛みは、どうしたところで姉と共有する事はできなかっただろう。だからこそ、この結果は必然だったはず。
「こころを得たら、またおいで」
レプリカントならば、それぞれ思うところはあるだろう。イチカもまたそう呟いて、薄曇りの空へと視線を動かした。
丁度雲の切れ間から、太陽が顔を覗かせる。
「作戦は、うまくいったのかしら」
同じ方向に目を向け、ここではないどこかで戦う仲間達に、千歳が思いを馳せる。ダモクレスの大規模作戦に対して、ケルベロスも多くの人出を割いている。弩級兵装の発掘と言う企みは挫かれたのか、否か。結果はすこしすれば出るだろう。
「きっと、大丈夫ですよー」
今はまだ見えない問いにそう答え、サヤが街の方へと踵を返す。
「救助に手を貸しましょう、まだできる事はあるはず、です」
そして続くマロンの言葉に、ケルベロス達は頷いた。
少なくとも彼等の活躍により、ここ秋田市の平和は守られた。ならば、他の場所もきっと――。
作者:つじ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年3月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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