非モテだけれどヒンヌーが好き

作者:東山ぱんだ

 夕日の差し込む民家の一室で、ちゃぶ台を囲むように10人の男たちが座っている。彼らの目線の先にいたのは、髪の部分をオールバックにしたビルシャナだ。ビルシャナは、壮大な口調で男たちに向けて演説を始めた。
「我々の立場は極めて特殊である。大半の男たちの本音は『貧乳もいいけど、巨乳もいいよね』という程度のものだろう。しかし我々は違う。貧乳で無くてはならないのだ。
 我々は、貧乳を愛している。しかし同時に、我々は『非モテ』で『非リア充』という重すぎる十字架を背負ってきた。それゆえに我々は、貧乳に触れることのできない人生を歩んできたのである。
 いままさに、『非モテ』や『非リア充』という束縛から解放され、貧乳を手に入れるべき時が来た。我々は、非実在の2次元へと旅立とう。そして非実在というシェルターの中で満たされ、互いの傷を舐め合うのだ。諸君らの痛みは、すべて私が引き受けよう。
 立て、貧乳主義者たち。『ヒンヌー教』は、諸君らの力を欲しているのだ!」
 ビルシャナの演説に聞き入ってた男たちから沸き起こった拍手と歓声は、いつまでも止むことはなかった。
 
「またビルシャナが、おかしなことを始めたっす……」
 黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)が、ケルベロスたちに予知の内容を告げる。
 この事件は、猿・平助(申忍・e00107)の調査によって発覚した。ぶっきらぼうな態度の平助だが、実は戦術家の側面も持ち合わせている。平助は、これまで発生したビルシャナ事件を調べ上げ、意外と『おっぱい関連』の事件が多いことに気付いて調査を始めていた。
「ビルシャナ⼤菩薩から⾶び去った光の影響で、悟りを開いてビルシャナになる⼈間が出てしまったみたいっす。しかも平助さんの予想どおり、『おっぱい関連』の事件っすよ!」
 ダンテは平助の洞察力に感服しつつ、事件の概要の説明を始める。今回の事件では、ビルシャナになった人間、つまり『ヒンヌー教』の教祖たちと戦い、これを撃破してほしいとのことである。『ヒンヌー教』の教祖は、信者に⾃分の考えを布教して配下を増やそうとしている。ビルシャナ化した⼈間の⾔葉には強い説得⼒があるため、ほうっておくと『ヒンヌー教』は、どんどん信者を増やしてしまうという。
 しかも信者の人々は、ビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような存在となってしまうらしい。ビルシャナを倒せば信者たちは元に戻るので救出可能だが、信者が多くいればいるほど、それだけ戦闘の際は不利になる。信者が戦闘に巻き込まれれば、彼らが犠牲者となる場合も考えられる。
「信者たちの説得に成功して、戦わなくて済むのならそれに越したことは無いっすよ!」
 と、ダンテは力強く言った。
 ビルシャナと10人の信者たちは、アパートの一室に集まっている。教祖の主張を覆すような主張をすれば、彼らは『ヒンヌー教』の信者ではなくなるらしい。
「演説のせいで信者は熱狂しつつあるんっすけど、冷静に考えてみたら、これってけっこう後ろ向きな主張っすよね。この教祖、壮大にいろいろ言ってるんっすけど、『非モテ』って、男ならよくある悩みじゃないっすか。人生相談だと思ってアドバイスしてみてもいいかもしれないっすね」
 ただし、信者たちはビルシャナの影響を受けているため、理屈だけではなくインパクトも必要なので、そのための演出も考えた方が良いかもしれないと、ダンテは付け加えた。
「皆さんには、ビルシャナの撃破をお願いしたいっす。ビルシャナになった人はもう元に戻れないっすけど、信者の人たちには、まだいくらでもチャンスがあると思うっす。できる限り説得してあげてほしいっすよ!」


参加者
猿・平助(申忍・e00107)
リィン・リーランス(禁忌な魔導書が参考書・e00273)
如月・ありさ(ピンクの要塞・e01137)
エルネスタ・クロイツァー(下着屋の小さな夢魔・e02216)
アイリス・ゴールド(愛と正義の小悪魔・e04481)
五十嵐・青梅(決着の過去と真実の未来・e04575)
森部・桂(情報収集端末・e05340)
ミオ・リリエンタール(微笑みの撲殺天使・e09678)

■リプレイ

●アパートの決闘
 夕日がアパートのドアを赤く照らす。ドアの前には、今回の事件を調査していた猿・平助(申忍・e00107)と仲間たちが集まっていた。
「よりにもよって、貧乳好きの集団と戦うのかよ……」
 平助は、先日関わったビルシャナの事件との温度差に頭を抱えたくなった。
「さて、どうする? 一気に突入するか、それとも包囲するか?」
 平助の問いかけに、ミオ・リリエンタール(微笑みの撲殺天使・e09678)も、
「そういえば、あまり考えていなかったわね」
 と、思案を巡らせるような表情を浮かべた。
 しかし2人が何か考えるよりも先に、リィン・リーランス(禁忌な魔導書が参考書・e00273)が、ドアノブをガチャガチャといじっている。
「ん~、開いてるみたいですよ~?」
 エルネスタ・クロイツァー(下着屋の小さな夢魔・e02216)も、リィンの様子を観察している。
「ほんとだねー。はいっちゃおうか?」
 6歳児2名の行動力はすさまじかった。平助が止める間もなく、あっさりとドアを開けてしまうリィン。
「すみませ~ん、貧乳大好きな人たちの集まりって、ここですか~?」
 リィンが聞くまでもなく、ドアを開けた先にはビルシャナを中心に10人の信者たちが座っていた。
「……早速、ケルベロスがここを嗅ぎ付けたか。よろしい、入りたまえ」
 ビルシャナは襲いかかってくることもなく、ケルベロスたちに入室を促した。
 リィンも恐れる素振りを見せない。
「皆さん、貧乳大好きなんですよね! ということは、ボクはみなさんの御神体なのです~♪」
 そう言いながら年相応の無い胸を張って見せる。
「わたしも、ごしんたいだよー!」
 エルネスタも無い胸を張った。
 さらにアイリス・ゴールド(愛と正義の小悪魔・e04481)が、変身ヒーローのようなポーズを取りながら自己紹介する。
「人は誰も呼ばないが、自称して愛と正義の小悪魔(リトルデビル)、アイリス惨状☆」
 信者たちから歓声が上がり、アイリスに視線が集まる。ゴスロリに身を包んだアイリスは着痩せするタイプだ。それゆえに、その胸は実際のサイズより小さめに見えたのだろう。
(「おおっと、思いがけず大漁だね。でもボクが狙ってるのは……キミだけだよ」)
 アイリスの視線は、まっすぐにビルシャナを捉えていた。
 如月・ありさ(ピンクの要塞・e01137)も、この展開には驚きを隠せない。
「あっさり入っちゃったリィンちゃんたちもすごいけど、それを許すビルシャナもすごいね……」
 ありさに続き、森部・桂(情報収集端末・e05340)も部屋に入る。信者たちから、ひときわ大きな歓声が上がった。18歳、貧乳。そこにいたのは女神だった。
 エルネスタは盛り上がる信者たちを気に掛ける素振りもなく、ちゃぶ台を囲む信者たちの間に素早く座ってしまう。
「みんなも、はやくすわってよー」
 無邪気な声で呼びかけるエルネスタ。その声に促されるように、他の女性たちも席に着く。信者2名、女性のケルベロス、そして信者2名……という感じで、密着して、ちゃぶ台を囲むように10名の信者と6名の女性、そしてビルシャナが座ることになった。
 五十嵐・青梅(決着の過去と真実の未来・e04575)と平助は、その様子を遠目に見ていた。
「平助君、僕たちはサポートに徹しようか」
 青梅の手には、紙袋が2つあった。中には全員分のティーセットと、お菓子の詰め合わせ袋が入っている。この時点で、平助はすべてを理解した。
「そこの鳥頭。台所、借りるぜ」
 鳥頭と言われたビルシャナが『礼儀をわきまえろ!』などと叫んでいたのも気にせず、平助たちは台所に向かう。
「僕の考えとしては、双方の意見をきちんと聞いて行きたいかな。説得と言っても、相手側にも主張はあるし、それを言う権利がある筈だ」
「それで、茶の用意か?」
「ゆっくり話をしてもらいたいしね。それに、あそこに男は不要でしょ?」
「あの鳥頭、戦術の基本がわかってねえよな」
「まあ、そうだね」
 そんな会話をしながら、2人はお茶の用意を始めた。

●ちゃぶ台は戦場
 信者たちを前に、まずは桂が語り始めた。
「かつて私が愛していたものがあった。しかし、それがどういったものであったのかすら忘却してしまった。それが取り戻せるものかどうかすら分からない……」
 真剣な目で、身の上話をする桂。信者にとって貧乳女神様の言葉は、天からの福音に等しい。
「しかしお前たちに言いたい。少なくとも前に進むことを止めてしまえば、愛するものは永遠に失われるのだ」
 女神の言葉に、ある者は手を合わせ、ある者は目に涙を浮かべている。桂は説得を続けたが、結局、この席を離れる者は誰もいなかった。
 桂の説得の余韻が沈黙を生み出す。それを破ったのは、台所からの青梅の声だった。
「お茶が入ったよ」
 青梅はお茶とお菓子を並べながら、桂に耳打ちした。
「初手としては最高だよ。最初に信者の関心をこちらに向けられるのは、桂さんだけだからね」
 お茶とお菓子で緊張感がほぐれたのか、信者たちも話を始めた。リィンはお菓子を食べつつ、信者たちの話を聞いている。
「ということは~、皆さんは、温もりを求めていたはずです~。求めて、でも手に入らなかったから、諦めてしまったからここに集まったのです~?」
 リィンが信者に質問した。
 信者たちは、うん、うん、とうなずく。
「主義主張は否定しないのです~。でも間違いは正すのです~。改心してボクの所に来るのです~」
 さらにエルネスタが、無邪気な笑顔で核心に迫る一言を放つ。
「さんじげんだと、かいわできて、ふれることもできるよー? でも、にじげんは、おなじことばしかいわないし、ふれられないよー?」
 そう言いながら、エルネスタは隣にいた信者の手を握った。
「わたしたちサキュバスは、みーんな、あなたたちの、スキのきもちをもらっていきてるの。だから、さんじげんも、あいしてほしーな?」
 リィンはさらに、もうひと押しする。
「勇気を出して来てくれた人に、抱きゅしてあげるのです~♪」
「わたしも、だきゅしてあげるのー」
 2人が両手を広げ、信者たちに微笑みを向ける。
 その時、ミオが叫んだ。
「ダメ! いい? リィンさんもエルネスタさんも、まだ抱きゅしちゃダメな年齢なの!」
 何人かの信者は残念そうな顔をしたが、ミオの言うことはもっともなので反論は出ない。
 今回、ミオは自分の体形が説得に不利なのは知りつつも、胸元がオープンな服を着て、寄せて上げて谷間を強調していた。
「知ってますか? 絵で描かれてる胸は、現実よりサイズが大きいのです。普通サイズや小さいと思われる胸も、再現したら私くらいなんです」
 そう言いながら、自分の胸を誇張するミオ。さらに目を潤ませたり、服の中が見えそうに前かがみになったり、スカートの裾からストッキングに包まれた腿をのぞかせたりと、女の小技コンボを次々に炸裂させている。
 そんな中、アイリスも桂ほどではなかったが信者たちの視線を集めていた。
「ミオはああ言うけど、ボクは、キミたちの教義にそれほど批判的でもないんだ。おぱーいに貴賎なし、だよね。二次元で満たされるんだろ? 薄い本が捗っていいね」
 アイリスの主張に、うなずく信者たち。
「キミたち、非リア充で悪いか? そう、我々は身一つで現実に立ち向かう勇者だ。なんら恥じることのない、生き様を貫き通す勇者なのだ。キミたちは貧乳にしか魅力を見出せない、それもいいよ。大切なのは、周囲の偏見にめげずにその生き様を貫き通せるかだよね?」
 信者たちは熱心にうなずくように見せかけているが、しかし実は、何人かの視線はアイリスの胸に向かっている。アイリスも、そのことに気付いた。
「あ、ごめん、キミたちの趣味には共感するけど……実はボク、着痩せするタイプなんだ……」
 そう言いながら、アイリスは申し訳なさそうな表情で、服が体に密着するようにしてみせた。そこに現れたのは、巨乳のような名状しがたい何か……というか巨乳だった。アイリスは何人かの信者からの視線に気付かないような素振りで、服をもとに戻した。
 ありさはそんなアイリスの話を聞きながら、素朴な疑問を投げかける。
「ていうか、よく考えたら『非実在』なんだから、二次元の世界なんて実在しないんじゃないのかな?」
 一瞬、場が凍り付く。
 ありさもその空気を敏感に察知した。
「あ、あれ……? ありさ、何か悪いこと言った? だって、二次元へ逃げるよりも、現実の方がいくらでも可能性はあるよね?」
 信者たちの顔が曇る。
「当たって砕けろ、だよ!」
 笑顔を向けるありさ。
 引っ込み思案の信者たちには、少しきつい言葉なのかもしれなかったが……。
「う、うん、あの人も、何度も砕けてるから!」
 ありさが指さした先には、台所の平助がいた。
「……はい、そこの人。俺のトラウマを思い出させんじゃねえよ。……ていうか、思い出させないでください」
 台所から、平助のささやかな抵抗ともいえる返事がした。
 ありさに続き、ミオも真剣なまなざしで主張する。
「勇気を持って下さい。女性から声をかけるなんて現実ではないです! 現実では数えきれないほど人がいますし、更にその約半数は女性です。それだけいれば1人か2人くらいは、皆さんの言葉が届く人もいます。だから心を閉ざして道を狭めるよりも、外へ出て逆に『自分が選んでやるんだ』位の気持ちでいましょうよ♪」
 そう言って、ミオは、できる限りの優しい笑顔を作って見せた。
 桂も、穏やかな口調でミオに続く。
「失敗や間違いを恐れなくてもいい。それよりも、逃げることの方が罪深いのだ」
 桂が両隣の信者たちの手に、自分の手を重ね合わせる。女神様の言葉は重い。信者たちは、いまやビルシャナの信者なのか、桂の信者なのかわからない状態となっていた。

●探偵は語る
「ここまでだな」
 平助と青梅が部屋に入ってきた。平助が信者たちに向かって言う。
「テメェらは『貧乳』という一点を譲らない。それは別にいいぜ? だがそれで二次元に向かうのは早計だ。まず二次元の女は、触れる事も対話する事もできない。加えて様々な作品はお前一人のものではなく、大勢の消費者に向けられた量産品だ。自分だけの至高の一品を求めるなら、そうじゃねえよな。まあ、もうわかってると思うけどよ。
 そもそも誰でも手に入るもので良いなら、その手の店に行きゃいい。現実の貧乳がいっぱいだ……って、どうも俺は、ゲスい表現をしちまうな。あとは任せるぜ、探偵さん。『解答編』を喋るのも、探偵の仕事だろ?」
 そう促された青梅が笑顔で軽くうなずき、一歩前に出て語り始めた。
「貧乳、非モテ、非リア充。一見、ギャグのような話だね。でもこれは、論理を整理すれば解けるパズルでもあったんだよ」
 夕陽が青梅の姿を照らす。
「貧乳好き。これは『価値』だね。何に価値を感じるかは個人の自由だ。価値観は変わるかもしれないし、別に変えなくてもいい。
 そして非モテ。これは『価値』に迫るための『手段』がまずいってことなんだ。平助君の言うような方法もあるけど、たとえばもっと穏便に、近所の消防団のお手伝いをやるくらいでもいい。きっと、おせっかい好きのオバサンがお見合いをセッティングしてくれる程度のチャンスは、誰にだってあるよ。でも、ビルシャナと一緒に二次元に逃げる……。それは『手段』が間違ってるから、永遠に現実の貧乳には近づけないんだ。もっとも、この中の何人かは、貧乳以外の楽しみも、現実の中で見つけたみたいだけどね」
 青梅の語りに、ビルシャナの手が震えている。
「最後に非リア充。これは『結果』だ。ビルシャナの教義は『手段』が悪いから、非リア充という『結果』を生み出している。この教義の弱点は、『手段』を誤っていることに集約されてるんだ。もうわかったよね」
 耐え切れなくなったビルシャナが立ち上がり、叫ぶ。
「で、では問おう! なぜ信者たちはここに残っているのだ!?」
 ビルシャナの問いかけに、平助は大きくため息をついた。
「バカか鳥頭。テメェの信者は1人もいねえよ」
「な、何だと?!」
 平助がエルネスタを指さす。
「最初、エルネスタが信者と信者の間に座った。結局、男女バランスよく密着して座ることになったよな。このお茶会は、ずいぶん楽しかったんじゃねえのか?」
 エルネスタが、小悪魔らしい笑顔を浮かべた。
「ぜーんぶ、さくせんどおりなのよ?」
 6歳のサキュバスを侮った時点で、勝負は付いていたのだ。
「しかも、ありさと、アイリスと、ミオの隣に座ったテメェらだ! 白状しやがれ!」
 平助に指さされた信者たちが、ぽつり、ぽつりと、告白をはじめた。
「ひじのあたりに……柔らかいものが……当たってました……」
「ああ、そうだろうな、俺も仲間に入りたかったよ!!」
 青梅が、苦笑しながら平助をなだめる。
「平助君、落ち着いて。で、話を戻すとさ、今日のお茶会をきっかけに、皆さんは、いい『手段』がいくらでもあることを知ったよね」
 語り続ける青梅に向け、ビルシャナが苦し紛れに反論する。
「ではなぜ彼らはここに残ったのだ?!」
「簡単なことじゃないか。すでに彼らは教義から解放されていて、女の子たちとのお茶会を楽しんでたんだよ」
 ビルシャナが震えている。
 もはや、最初の余裕のある態度は微塵も残っていない。
「しかし我々は長い間、非モテで非リア充だったのだ! お前が言う『手段』とやらができても、チャンスをものにできないだろう! 頭で考えるほど甘くないのだよ!」
 苦し紛れに高笑いするビルシャナ。
「チャンスなら誰にでもあるよ!」
 突然、アイリスの声がした。
 
 ――ズキュウウウウウン!!
 
 効果音を付けるなら、これしかない。
 ビルシャナの唇、いや、くちばしを、アイリスの唇が奪ったのだ。
「やったッ! さすがアイリスさん! 僕たちにできない事を平然とやってのけるッ!」
 驚きを通り越して、大笑いする青梅。
 ビルシャナのくちびるを、濃厚な口付けで心ゆくまでペロペロするアイリス。実はこれがアイリスの必殺技『ナノマシン侵食』でもあった。
「ごちそうさまでした」
 バタリと音を立てて、ビルシャナが倒れた。
 狙い続けた獲物を仕留めたアイリスは、至福の表情を浮かべている。
「え、これで終わりかよ?!」
 唐突な結末に、平助は驚きを隠せない。
 信者たち説得には成功、ビルシャナも見事に撃破できた。
 平助は、女性陣と連絡先の交換をしている元信者たちを見る。桂は少し困惑気味の表情だったが、エルネスタとアイリスは、捕えた獲物を逃がすつもりはないだろう。元信者の何人かは、リィンのセラエノ図書館で働くことになるかもしれない。
「ま、こういう終わり方もいいか」
 そんな彼らを見ながら、満足げな表情を浮かべる平助だった。

作者:東山ぱんだ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年10月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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