弩級兵装回収作戦~白銀の災い、スノードロップ

作者:天枷由良

 青森県は八戸の、市庁舎近く。
 国道沿いに並ぶビルや商店が、次々と崩れて間道を塞いでいく。
「あははっ! どれもこれも脆いなぁ。こんなんじゃすぐに飽きちゃうよ!」
 飛び交う悲鳴の流れに、一人逆らって笑う銀髪の女。
 彼女は振るった拳で大きな百貨店とホテルを続けて貫き、今にも崩落しそうなほどに破壊してなお、止まることなく北東へと進む。
 ――助けて、助けて。
 そこかしこで上がる声に、勇敢な警察や消防は助力を惜しまない。
 だが巨大な瓦礫の山から掬い取る前に、人々の生命は潰えてしまう。
 次第に静まり返っていく街。そこには女の――ディザスター・キング配下のダモクレス『スノードロップ』の、無邪気な笑い声ばかりが木霊するのだった。

●ヘリポートにて
「地球侵攻を続けていた指揮官型ダモクレスたちが、新たな作戦を開始したわ」
 ミィル・ケントニス(採録羊のヘリオライダー・en0134)は険しい顔で語りだす。
「彼らは地球に封印されていた強力なダモクレスである『弩級兵装』の発掘を行おうとしているようなの。それに加えて、弩級兵器を利用した大作戦を行うために必要とされる大量のグラビティ・チェインを得るため、ディザスター・キング配下のダモクレスたちが、各地で襲撃事件も起こすわ」
 ケルベロスたちには襲撃事件の一つを阻止すべく、青森県八戸市の市庁舎から僅かに南、南西から北東に伸びる国道辺りで待機してもらいたいとミィルは言う。そこには『スノードロップ』と呼ばれるダモクレスが出現、破壊活動に及ぶようだ。
「ただ、敵も少しは学習してしまったみたい。街を襲えばケルベロスが迎撃に来るとみて、対ケルベロス用に踏破王クビアラ配下のダモクレス・髑髏の弾丸レイヴンが待機しているわ。このレイヴンがケルベロスたちと戦っている間に、スノードロップが街の破壊を続けようと、そういう魂胆のようね」
 ならば、こちらもタッグを組んで当たれば良い。
「襲撃が始まったら、まずは同じく八戸防衛を担うことになった、もう一つのチームにスノードロップを攻撃してもらうわ」
 するとスノードロップは一旦退き、代わってケルベロス迎撃にレイヴンが現れるはずだ。
「レイヴンのことは彼らに任せて、貴方たちは街の破壊を再開しようとするスノードロップを倒す、というわけね。スノードロップは銀髪と真紅の眼、ダモクレスにも関わらず引き締まった人の身体が特徴のダモクレスで、徒手空拳による接近戦を好んでいるらしいわ」
 頑強な肉体から繰り出される連撃の威力が一際高く、その破壊力に抵抗する備えをしておくことが、戦いにおいて重要な事だと思われる。
「それから、他にも備えてほしいことがあるの。襲撃開始からスノードロップとの戦闘に入るまで、皆には目立たない範囲で構わないから、避難誘導を手伝ってもらいたいのよ」
 現地では警察や消防が主体となって救援活動を行うため、ケルベロスたちが陣頭に立って指揮するのは、返って混乱を招く可能性がある。
 崩壊した建物をヒールすることで道を開いたり、ケルベロスでなければ手が出せないほど危険な箇所での活動を主とするのがよいだろう。
「このところ、ダモクレスたちには沢山の犠牲を強いられてきたわ。そうそういつまでも思い通りにはさせないって、スノードロップの撃破で知らしめてやりましょう」


参加者
大義・秋櫻(スーパージャスティ・e00752)
ホワイト・ダイヤモンド(面倒臭がりな妖刀持ち・e02709)
鉄・千(空明・e03694)
据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)
霧島・絶奈(暗き獣・e04612)
コスモス・ブラックレイン(レプリカントの鎧装騎兵・e04701)
シャルロット・フレミス(蒼眼竜の竜姫・e05104)
バジル・サラザール(猛毒系女士・e24095)

■リプレイ


 まるで畝のように、ケルベロスたちの左右で積み上がる瓦礫。
 その合間から聞こえてくる悲鳴と怒声。
 予知されていたとはいえ、酷い有様だ。鉄・千(空明・e03694)は引き締まった顔に収まる二つの眼を、僅かばかり曇らせた。
 一欠片の恐れもないとは言えない。けれど、ここから逃げ出す気はない。
 大好きなお姉ちゃんから貰った、というペンダントを握りしめ、千は自分の役目を果たすために駆けていく。
 一方、残る七人は倒壊しかけているはずの百貨店とホテルを目指した。
 それは程なく見つかる。どちらも乱雑な破壊行為を受けて、あらゆるところにひびが走り、穴が開いていた。
 二つの建物の上階には、助けを求めている人々の姿も見える。しかし、本来の入り口が何処にあったのかすら分からない有様では、救助隊も飛び込むに飛び込めない。
 せめて倒壊の危険性を除くことが出来れば。テレビウムを連れた霧島・絶奈(暗き獣・e04612)が百貨店に向けて霧状の快楽エネルギーを放出し始めると、傍らでシャルロット・フレミス(蒼眼竜の竜姫・e05104)は縛霊手から紙兵を撒き、霧を外壁へ押し込めるように貼り付けていく。
 二人から少し離れたところでは大義・秋櫻(スーパージャスティ・e00752)が怪力で瓦礫を除け、開いた道を通ってバジル・サラザール(猛毒系女士・e24095)が今にも砕け散りそうな柱に緊急手術、もとい突貫工事を施していた。魔術切開とショック打撃を伴うそれは効果抜群。さすがウィッチドクターの面目躍如といったところか。
 そしてドクターならもう一人……いや、此方は医者の先生と、言い表すべきだろう。和装の竜人、据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)が、オーラを鍼の形に凝縮して打ち込んでいる。
 もし無機物の声が聞こえるなら、痛みと気持ちよさを綯い交ぜにしたものが耳に届きそうだ。そこにコスモス・ブラックレイン(レプリカントの鎧装騎兵・e04701)が鎮痛効果をもたらす特殊な弾頭を放てば、百貨店は若干幻想的な要素を取り込みつつも形を取り戻していく。救助隊の面々は一時、目を丸くしていたが、これを機と見て突入していった。
 そのまま、ケルベロスたちのヒールはホテルへと移る。此方も同じような工程を経て、少々変化はあるものの建物としての機能を復旧させていく。もちろん完全ではないが、一先ず倒壊の恐れさえなくなれば、五人がかりの応急処置としては十分だろう。
「……ねぇ」
 そこで、コスモスから指示を受けて辺りを探索していたホワイト・ダイヤモンド(面倒臭がりな妖刀持ち・e02709)が戻ってきて、ある瓦礫の山を指差した。どうやら、その下から声が聞こえる、ということらしい。
 二つの建物は修復十分と見て、コスモスは一先ず様子を確認するべく場を離れていく。二人と行動を共にするつもりでいた赤煙が後を追っていけば、残る四人も二手に分かれて、個々の救助活動に移った。
「確かに、人の声がしますね」
 ホワイトに案内されたコスモスは、フェイスガードに覆われた顔を瓦礫に向ける。僅かに遅れてきた赤煙に除去を頼むと、彼は何の苦もなく次々と瓦礫を持ち上げ、邪魔にならないよう端に捨てていく。
 程なく見えた空洞には、血を流す男。ぶらりと垂れ下がる腕は、恐らく折れているのだろう。
 コスモスは男に触れ、彼専用に錠剤型の鎮痛薬を作り出す。藁にもすがる思いでそれを飲み干した男は、苦痛に歪めていた顔を徐々に呆けたものへ変えていった。
「治った訳ではありませんから、必ず治療を受けて下さい」
 コスモスが言ったところで折よく救急隊員が通りかかり、赤煙は男を隊員に引き渡す。そのまま遠ざかる背中を目で追いかけていると、ホワイトから必要最低限の短い呼び声が飛んだ。
「すみません。肝心なのはダモクレスの破壊を止める事、ですな」
 それを損じれば、被害は拡大するばかりだろう。卑劣なダモクレスへの苛立ちを堪えつつ、赤煙はホワイトたちに従って次の怪我人を探す。
 その頃、秋櫻・バジルのタッグも北東へ移動する最中で、瓦礫に足を挟まれた女性の怪我人を見つけていた。
「大丈夫? ……あっちに消防の人がいるから、そこまで頑張って」
 ウィッチオペレーションを手早く施したバジルの問いかけに、女は気丈な答えを返す。その行く先にあった一際大きな瓦礫を秋櫻が放り捨てると、女は礼を述べつつ慎重に、二人から離れていった。
 更には絶奈とシャルロット。此方も避難を呼びかけつつ北東へと走る途中で、ヒールした崩壊寸前の商店から這々の体で出てきた青年を介助している。
 青年は肩を貸す絶奈の湛える笑みとフェロモンに解されて、あちこちが痛むというわりには元気そうだった。絶奈にとっては無と等しい笑顔でも、何も知らない青年には慈母のように感じられたのだろうか。
 そんな事を考える間もなく、青年は避難誘導を続けていた警官の目に留まって、介助が引き継がれる。君たちも早く避難しなさいと呼びかける警官に二人が生返事を返せば、上書きするような形で千の声が遠くから聞こえ、彼方から照明弾が上がった。


 別班のケルベロスたちと軽く交戦した後、高々と飛び上がって退くスノードロップを、見張り役の千が追っていく。
 自分一人で突出しないよう気をつけているうち、敵の姿は見えなくなってしまった。けれども、代わりに救助活動へ当たっていた仲間たちとの合流は手早く済んだ。
「まだ、そこまで遠くへは行ってないと思うんだ」
 戦闘経過の報告もしつつ、千は語る。
 なにしろ、敵の目的は撤退でなく破壊活動の継続だ。辺りにはまだまだ壊せるものが溢れている。
 ケルベロスたちはスノードロップを探しながら、少しずつ北東へ向かった。
 そして程なく、商店に向かって拳を振り上げたスノードロップを発見する。ところどころに焦げ跡のようなものが見られるが、あまりダメージは負っていない様子だった。
 秋櫻はマントを翻して跳躍、敵と対峙して言い放つ。
「スーパージャスティ参上。敵性体躯体番号SRXS-6666スノードロップ認識。貴女の好きにはさせません。貴女を此処で破壊します」
「やっぱりおかしいよ」
 名乗りに対してではなく、秋櫻らケルベロスの存在そのものに、スノードロップは首を傾げる。
「さっきの奴らはレイヴンが来ることを知ってたし、君たちが来るのも早すぎる。……作戦が見抜かれてた? ううん、違う。君たちには何か――」
「何でもいいでしょう。とにかく絶対に、これ以上の被害は出させないわ」
 相手の言葉を遮り、怒りを露わにするバジル。気づけばスノードロップは、ぐるりと取り囲まれていた。
「……まぁ、確かにどうでもいいか!」
 元から考えるよりも先に手が出る気質なのだろう。拳を打ち鳴らしたスノードロップは物憂げな顔を一変させ、ケルベロスたちを煽る。
「壁ばっかり壊すのには飽き飽きしてたんだ。ちょっとは楽しませてよね!」
「よほど拳に自信があるようですね。私の防御を貫けますか?」
 負けじと赤煙が言い返せば、挑発に乗ったスノードロップは地を蹴って肉薄し、力いっぱいに拳を打ち込んだ。
 砕かれるというより、むしろ斬り裂かれるような感覚が襲い掛かってくるが、しかし赤煙は反撃に出ず。代わりに千へ鍼状のオーラを飛ばして、力を高めさせる。
「特殊弾頭装填。強化薬を散布します、意識が飛ばないよう注意してください」
 合わせて、コスモスも感覚を研ぎ澄ませる効果を持つ特殊弾を発射。
「初めまして、私は鉄・千!」
 二つの強化を受けた千は、収めていた竜の尾・角・翼を全て広げて名乗りつつ、名刺代わりに鋭い蹴りを一発。 受け止めたスノードロップの片腕から、びりびりと痺れるような音が聞こえるのも束の間、シャルロットが片脚に重力を宿して、一息で詰め寄った。
 流星の如き蹴りは、惜しくも敵を捉えることが出来ずにアスファルトを叩く。しかし、それすら予測していたのかと思わせるほど的確に、絶奈は眼前に多重展開した魔方陣から巨大な輝く『槍』にも見える物体の一部を召喚して、スノードロップを穿つ。
「さすがね、絶奈」
「フレミスさんが追い立ててくれたおかげです」
 シャルロットからの小さな称賛に、絶奈は浮かべていた狂的な笑顔を引っ込め、青年を介助した時と同じく薄い笑みで応える。肩を並べて戦うのは初めてだが、二人は見知った仲。それとなく息を合わせることも出来よう。
 一方、銀髪のダモクレスは建物に打ち付けられる寸前まで押しやられ、槍の消滅によって解放されたところに絶奈のテレビウムから凶器で一殴りされると、続けて秋櫻から二門の巨大なキャノン砲による一斉射を浴びた。追撃の機かとも思われたが、バジルは赤煙の傷にウィッチオペレーションを施し、ホワイトはこれまでに喰らった魂を全身に禍々しい呪文として幾重にも連ね、己の強化に務めているため動きそうにない。
 ならばと他の者たちが動こうとしたところで、砂煙の中から強烈な振動が起こり、前衛陣の足元を大きく揺さぶる。舗装された地面が波打つという異様な光景は、バジルの生み出す雷壁、そして赤煙のケルベロスチェインが描く魔法陣によって鎮められたが、その間に動き出したスノードロップは、まだまだ五体満足といった状態。千が指輪から生んだ光剣で斬りつけようとするのを軽々といなし、再び攻勢に転じる機を窺って戦場を飛び跳ねた。
 それを追ってコスモスがグラビティ中和弾を撃ち込み、シャルロットが空の霊力を帯びた刃で斬りつけるなど、幾つか攻防を経た所で、自己強化に満足したホワイトが鎖の外された狂犬の如く飛びかかり、降魔の力が込められた刀を振るう。
 時間を掛けただけあって、その威力は絶大。やたら至近距離に張り付こうとする動きと合わせてスノードロップは露骨に嫌がる素振りを見せたが、呻くよりも気がかりなことを口から吐いた。
「そういえば、君は僕のことまで知ってるみたいだけど」
 三連式の超大型ガトリングガンから撃ち出される弾丸の雨をやすやすと掻い潜り、スノードロップは秋櫻へ問いかける。
「私は、言わば貴方の姉にあたる躯体ですよ」
 秋櫻はぴくりとも表情を動かさないまま、そう答えた。
「姉? あははっ♪ 冗談やめてよ、君みたいなのがお姉ちゃんなわけないじゃん! 気持ち悪い!」
 それはダモクレスがレプリカントを見た時に覚える、標準的かつ共通の嫌悪なのだろう。スノードロップは無邪気な笑いの最後に癇癪を混ぜて、戯言を抜かすレプリカントに狙いを絞る。
「あぁ、でもお姉ちゃんって僕より弱っちぃんだっけ? そこだけは似てるかもしれないね!」
「……確かに、スペック上では私の方が劣るでしょう。ですが、私には今まで培ってきた戦闘経験があります」
 淡々とした声の中にも、ある種の確信を込めて秋櫻は言う。
「貴方は私から逃れられません。……正義は、負けません」
「へぇ。じゃあ、試してみなきゃね!」
「望むところです。近接高速格闘モード起動。ブースター出力最大値。腕部及び脚部のリミッター解除。対象、補足」
 仲間たちに取り囲まれるなかで、秋櫻とスノードロップは一時ばかり足を止め、同時に地を蹴った。
 勢いを緩めることなく正面からぶつかると、始まったのは力任せの殴り合い。一つ打ち込めば三つ返ってくるような、凄まじい連打。
 ぐしゃりと音がして、スノードロップの頭から羽のような飾りが飛ぶ。しかし反撃の拳が腹に突き刺さって、秋櫻の身体がくの字に折れる。
 止める隙を見出せない。延々と続きそうな応酬は、けれども時間にして僅か数秒のこと。両者がレスラーの如く、腕と腕を掴んでの力比べを始めたところで、一応の決着を見た。
 スノードロップがおもちゃ箱をひっくり返すかのように、秋櫻を持ち上げる。破壊的な威力の打撃を幾度も喰らった身体が耐えきれず、宙に浮く。
「これで終わりかな? 想像以上に脆かったから、せめて最後くらいは、こう呼んであげようか。……お姉ちゃん?」
 小馬鹿にした態度で、スノードロップは秋櫻を空高く放り投げ――。
「そんなに余裕なら、これも耐えてみれば?」
 追撃の一打を放つ寸前、ホワイトから一撃一撃に莫大な量のグラビティ・チェインを溜め込んだ連打を喰らって、吹き飛ばされた。
「っ……邪魔しないでよ!」
 スノードロップはすぐさま反攻に転じて、水を差したホワイトに猛進していく。しかし拳が突き出されるよりも早く、飛び上がったコスモスからルーンアックスの一振りを受けた。
 表情の窺い知れないレプリカントからの攻撃に気圧されれば、その一瞬で千と赤煙、二人のドラゴニアンが息を合わせたように挟み込んで、それぞれ拳に降魔の力を込める。
「私たちがお相手する! ……けど面白くないかもな、絶対壊れないから!」
 千は言うが早いか拳を打ち、続けざまに赤煙も一発。
 どちらも威力は大きくないが、力を吸い上げられる感覚から逃れるため、スノードロップは何とか二人を振り払って退く。
 けれどもそこには、薄ら笑いに再び狂気を混ぜた絶奈。
「私たちを訝しんでいたようですが、何も学習するのは機械だけでないのですよ」
 言葉は穏やかに、しかし槍は苛烈に飛び出してスノードロップを貫く。
「フレミスさん」
 微動だにせず名前を呼べば、槍が消えるのに合わせて対面から来るシャルロット。
「任せて。……竜の羽ばたきの如く、敵を圧倒し、翼風と共に散れ!」
「やらせるかっ!」
 スノードロップは拳を打つ。が、そこにはシャルロットの纏うオーラの名残しかなく、突き出されるはずだった蒼い刀身は真後ろから袈裟懸けに振るわれ、見るも無残に身体を裂かれたスノードロップは膝を折る。
「秋櫻ちゃん、あまり無理しないでね」
「はい。……いえ、そういうわけにはいきません」
 バジルにウィッチオペレーションを施され、何とか秋櫻は立ち上がり、ファイティングポーズを取った。治癒したとはいえ相当のダメージが残っているはずだが、正義が屈するわけにもいかない。
 それを察してか、バジルは杖に迸らせた雷を飛ばし、秋櫻の戦闘能力を出来る限り向上させた。何度か掌を開閉して感触を確かめ、秋櫻はもう一度、近接高速格闘モード起動して吶喊する。
 スノードロップも立ち上がったが……コスモスのグラビティ中和弾などを受けた身体に、全力で殴り合うだけの力は残っていない。
 一撃、二撃、打撃を喰らうたびに身体が砕け、最後に渾身の力で叩き込こまれた拳が腹部を貫くと、スノードロップは秋櫻にもたれかかるようにして、動きを止めた。

作者:天枷由良 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年3月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 9/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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