湿原の牢獄~雪色の煙を燻らせて

作者:雨音瑛

 ヘリポートを訪れたケルベロスたちを、笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)が笑顔で迎える。
 釧路湿原で事件を起こしていた死神、テイネコロカムイが撃破された。そんな言葉が、少女の口から告げられる。
「テイネコロカムイの目的も判明しました! グラビティ・チェインを略奪して牢獄に幽閉されている仲間を脱獄させること、だったみたいです!」
 さらに、牢獄に幽閉されていたのは、死者の泉を見つけ出したとも伝えられるいにしえのヴァルキュリア・レギンレイヴ。加えて、その軍団も。
「とーっても長いあいだ閉じ込められていたレギンレイヴは、世界の全てに復讐をすることを目的としているらしいんです! レギンレイヴが解放されれば、多くの人々が殺され、その魂からエインへリアルが生み出される……そんな大変なことになってしまうかもしれません」
 ねむは少しの間目線を落とすが、すぐに顔を上げ、ケルベロスたちを見渡した。
「でも、テイネコロカムイが撃破されたことで、レギンレイヴたちがすぐに地上に現れるようなことはありません! でも、テイネコロカムイが脱獄したみたいに、牢獄は完全じゃないみたいです。何らかの理由で牢獄が壊れてレギンレイヴたちが解放されることだってありえます!」
 また、レギンレイヴたちを他のデウスエクスが発見し、利用しようとする可能性も否定できない。
「エインへリアルがレギンレイヴの力を手に入れてしまえば——その勢力が、一気に拡大される危険性もあります! そんなことをさせないためにも、牢獄を制圧してヴァルキュリアと死神たちを撃破しなければなりません!」
 では、具体的にはどうするのか。
 まず、テイネコロカムイを撃破したときに入手した護符。これを利用すれば牢獄のある場所へと移動できる。
「移動先には、40以上の牢獄が『鳥籠』のように浮いています! このひとつひとつに1体のヴァルキュリア、または死神が閉じ込められています!」
 閉じ込められている者は鳥籠の外に出ることができない。しかし、牢獄の外から来たケルベロスならば、鳥籠の外を自由に移動することが可能だ。
「みんなには、テイネコロカムイが幽閉されていた鳥籠に転移してもらいます!」
 その後、それぞれが攻撃の目標とするデウスエクスがいる鳥籠に移動し、敵を撃破してほしい、とねむが声高に告げる。
「あと、気をつけてほしいことなんですが……鳥籠の外から中への攻撃は、不可能みたいです。鳥籠の中に入るまで、こちらから攻撃をすることはできない、ってことですね!」
 ただし、鳥籠の中から外へ、威力は弱まるものの攻撃は可能なようだ。鳥籠に入るのに手間取れば、その間は攻撃を受け続けてしまうかもしれない。
「特に、特定のチームが40体もの敵に集中攻撃を受けたら、攻撃の威力が弱まっていたとしても耐えきれない可能性があります!」
 そこで、チームごとにそれぞれ1体の敵を担当してもらい、相手を挑発するように近づき、攻撃を自分たちに向けるように工夫してほしいです、とねむは大きくうなずいた。
「こちらに集まっていただいた皆さんに狙って欲しいのは、死神『柳雪斎(りゅうせつさい)』です!」
 『柳雪斎』は、シベリアンハスキーの耳と尻尾を持つ老齢の男性。恰幅の良い体にゆったりした着物をまとい、素足には布を巻いただけの履き物といった出で立ちである。
「腰に差した刀を鞘ごと力任せに殴りつける攻撃、刀を鞘から抜いて牙のような衝撃波を放つ攻撃、キセルから吹き付けた煙で凍らせる攻撃を使ってきます! あと、若い女性と陽気な音楽が好きみたいですね」
 気をつけて欲しいことなんですが、と、ねむがパンダ耳をぴこんと立てた。
「彼らは牢獄から脱出するための『グラビティ・チェイン』を求めています! 戦っている最中でも、ケルベロスを倒してグラビティ・チェインを奪うチャンスを狙ってるみたいなんです!」
 だから、とねむは真剣な表情で訴える。
「戦闘不能になった人やピンチになっている人がいたら、牢獄の外に撤退させるといった工夫をして、殺されないための工夫が必要かもしれません!」
 今回の敵は、戦闘不能になったケルベロスを何度も攻撃して殺しにくる可能性がある。その危険性を踏まえて、しっかりと対策を行った方が良いだろう。
「鳥篭型の牢獄の中は外から確認できます! だから、他のチームの戦闘状況なども確認しつつ、敵を撃破するタイミングを合わせる事もできるはずです! がんばってくださいね、ねむもヘリオンから応援してます!」
 ねむは拳を握りしめ、笑顔を向けた。


参加者
シヴィル・カジャス(太陽の騎士・e00374)
メリッサ・ニュートン(眼鏡の真理に導く眼鏡真教教主・e01007)
八千沢・こはる(ローリングわんこ・e01105)
大神・凛(剣客・e01645)
茶斑・三毛乃(化猫任侠・e04258)
シルディ・ガード(平和への祈り・e05020)
フィオ・エリアルド(鉄華咲き太刀風薫る春嵐・e21930)
黒岩・白(ジャッジメンターイム・e28474)

■リプレイ

●音と色香と
「連携も大事だけど命も大事に、だからね。それじゃ、いこう!」
 シルディ・ガード(平和への祈り・e05020)が、仲間を鼓舞する。護符の力でテイネコロカムイのいた牢獄へとたどり着いたケルベロスたちは、すぐさま行動を開始した。
 移動の最中、嫌でも目に入るのは数多の鳥籠。
「牢獄が浮いている、か。不思議な空間だな。デウスエクスどもの主星も、この牢獄のような感じで宇宙に浮かんでいるのだろうか?」
 シヴィル・カジャス(太陽の騎士・e00374)は想像するように少しだけ目を瞑る。すぐ近くでは、フィオ・エリアルド(鉄華咲き太刀風薫る春嵐・e21930)が、今まさにギターをかき鳴らそうとしているところであった。
「あなたには私達に付き合ってもらうよ。退屈してる暇は無いからね!」
 ギターをかきならし「紅瞳覚醒」を奏でる。視線の先は、戦闘となる相手・柳雪斎。まだ距離はあるものの、彼の好む陽気な音楽を奏でて挑発する目算だ。
「僕達と遊んでくれないっスか?」
 黒豹の毛皮を羽織っただけでほとんど裸、といった格好の黒岩・白(ジャッジメンターイム・e28474)が、見事な肢体を見せつける。そう、これも挑発の一環。柳雪斎は若い女性も好むのだ。
 音楽に合わせて、メリッサ・ニュートン(眼鏡の真理に導く眼鏡真教教主・e01007)がミニスカートをひらひらさせる。
「若い女性よりも眼鏡ですよ眼鏡!」
 メガネを光らせつつ、音楽に合わせた動きをする。
「そこのおじーさん、こはるたちにちょっとつきあってくれません?」
 割り込みヴォイスを使用した八千沢・こはる(ローリングわんこ・e01105)が、スカートから太ももをちらちらさせる。すると、鳥籠のひとつから愉快そうに手を叩く音が聞こえてきた。
「おう、いいぞいいぞ! 近う寄れ! ちぃーッと若すぎるのも混じっとるようじゃが、構わんもっとやれ! ついでにグラビティ・チェインも寄越してくれたら最高じゃ!」
 牙のような衝撃波が、ケルベロスたちの元に到達する。威力は弱まっているとはいえ、傷を負うことに変わりは無い。
 挑発する仲間と柳雪斎の直線上に割り込まないようにと自らの位置を気にするのは、茶斑・三毛乃(化猫任侠・e04258)と大神・凛(剣客・e01645)だ。
 陽気な音楽を鳴らし、色香を見せつけ。いくらか体力を削られつつも、ケルベロスたちは無事に柳雪斎の幽閉されている鳥籠へと到達した。ここまで、時間にしておよそ3分だろうか。
 侵入直後、柳雪斎の刀が鞘ごとこはるに振り下ろされる。咄嗟に両手を交差させて受けるが、ダメージは大きい。
「……おじーさんとは初めてお会いしますけど……なんだか、懐かしい感じがします」
 困り顔で首をかしげるこはるに、柳雪斎は返答をせず。にやりと笑って尻尾を床で打ち鳴らし、距離を取った。そこから刀を抜き、牙のような衝撃波をこはるへと放つ。回復の暇すらなく連続で攻撃を食らえば、戦闘不能となる危険性もある。
 だが間一髪、凛が牙をその身に受けた。体から立ち上る残った熱気を振り払うように、斬霊刀の「白楼丸」と「黒楼丸」を一振りする。ほのかに輝く刀身が、空間に軌跡を残した。
「——さて。行こうか、ライト」
 ライドキャリバーの「ライト」に視線を送り、凛はうなずく。重ねて頷くのは、シヴィル。力を合わせて戦おう、と。如意棒を手に、大きく一歩踏み出した。

●戯れ
 シヴィルの手にした如意棒が、ヌンチャク状に変形する。
「長い間幽閉されていたのにいまだ若い女性に興味があるとは、下卑たデウスエクスもいたものだ。力なき人々を守る騎士として、ここで倒させてもらおう!」
「長い間幽閉されていたからこそ興味は尽きない、かもしれんなァ」
 柳雪斎は下卑た笑みを浮かべ、シヴィルの放ったヌンチャクを弾く。そんな柳雪斎の背後で、三毛乃が中腰で頭を低く垂れた。
「お勤めご苦労さんです」
「おっ? おおっ!?」
 柳雪斎の視線は、自然と三毛乃の胸元へ。サイズにしてEはある谷間だ。その視線に気付いているのかどうか、三毛乃は頭を上げた後、淡々と言葉を続ける。
「ああ、ちなみに申し訳ねえ。ムショの慰問じゃァありやせん。こいつはカチコミでござんす——ブチ抜いてやりまさァ」
 瞬時に撃ち出される弾丸は、一つ、二つなどと数えられるような速度ではない。十二ものの弾丸を受けた柳雪斎が一呼吸するが早いか、こはるが刃を正眼に構えた。
「脳天から、腑の奥まで……痺れろッ!」
 狙いは急所。その一撃は直線。直撃の後、既に加速を始めていた白のエアシューズが火花を散らしていた。弾ける閃光はやがて炎に。勢いのままに体を回転させ、柳雪斎の背後に蹴撃を叩き込む。
 鮮やかな攻撃が決まるが、ケルベロスたちの表情は晴れない。今回はただ撃破すればいい、という敵ではないからだ。
「ふむ……年寄りにはもっと優しくしてほしいものじゃのう」
 ケルベロスたちの方策を知ってか知らずか、柳雪斎はにやにやと笑いながら煙管を手でもて遊ぶ。そんな柳雪斎を横目に、凛は自らの霊力を増幅させた。
「我らを守る盾となれ!」
 生まれ出るのは、霊力の盾。自身を含む前衛の前に、防備を高める盾を展開する。加護を受けたライトはタイヤを唸らせ、ボディに炎を纏った。加速し、柳雪斎目がけて突撃する。
「なんじゃ、近くに寄るのはおなごの方がいいのう」
 柳雪斎は渋面をつくり、ひらりとライトの突撃を回避した。
 今のうちに、と、シルディはオオアリクイに似た形状のオウガメタルからオウガ粒子を放出させた。対象は、中衛の二人だ。
 そこに、フィオが「紅瞳覚醒」を歌い上げる。今度の目的は挑発ではない。癒やし手として仲間を癒やし、防御力を高めるためのものだ。さらにメリッサのがドローンの群れを操り、前衛の仲間たちを警護させる。
 レギンレイヴを撃破したという合図があるまでは、撃破するわけにはいかない。
 長丁場になるのは必至。どれくらい続くのか、現時点では皆目見当がつかなかった。
「つまりそれは、眼鏡について語る時間がある程度保証されたということ……覚悟してくださいね!」
 心なしか目を、いや眼鏡を輝かせ、メリッサはびしりと柳雪斎を指差した。

●閃光を待ちながら
 柳雪斎の攻撃を捌き、受け、それらを的確に癒やしてゆく。今もまた、フィオの放った光の盾が白の傷を癒やした。
「有り難いっス! ……しかし、いつまで続くんスかね? 戦闘開始の合図はまだ無いみたいっスけど……」
 額の汗をぬぐう白に、フィオが気丈にも微笑みかける。
「心配する必要はないよ。レギンレイヴに向かった仲間たちは、きと大丈夫」
 彼らもまた、ケルベロスなのだから。フィオは力強く頷き、眼前のケルベロス——三毛乃の背中を見つめる。フィオにとって、三毛乃は友人の母親だ。そして、憧れでもある。
 三毛乃はチェーンソー剣の刃を駆動させ、柳雪斎に向かってゆく。
「おっ、あんたか! 惜しいなあ、若ぇ頃はさぞかしべっぴんさんだったろうなぁ」
「物好きな……お前さんのご想像にお任せしまさァ」
 鼻の下を伸ばす柳雪斎を気にも留めず、三毛乃はチェーンソー剣を振り下ろした。駆動音と衝撃が、耳に手に伝わる。
(「こんな枯れた四十路女、しかも16歳の息子を持つ未亡人に興味を持つたァ、この御老人……」)
 万が一逃げられたら厄介なことになりそうだ、と。三毛乃は目を細め、こはるに場所を譲る。空いた場所に踏み出し、こはるが跳躍する。犬の毛並みを宿したこはるの拳が、柳雪斎のみぞおちへと叩き込まれる。
 一瞬呼吸を止める柳雪斎を見て、メリッサは眼鏡を中指で押し上げた。
「世界に眼鏡を。眼鏡に光を」
 メリッサを中心に展開されるのは、聖地を望める理想郷。舞い散る数多の眼鏡が、不思議と癒やしを与え、いくつかの呪縛を消し去ってゆく。
 メリッサが現出した神々しい風景に対し、柳雪斎は無反応だった。ただ息を吐き、体勢を立て直そうとするだけだ。だが、それはある意味好機。
「こんな格好をしてきた理由を見せてやるっスよ。『変心』」
 白は空中で何かを掴み、それを胸に押し当てるような動きを見せる。
「ガルルルルルル!」
 四つん這いになり、獣のごときうなり声を上げる。俊敏な動きは、黒豹そのもの。四つん這いのまま駆け出した白は、柳雪斎の周囲を駆け回り始めた。次いで、飛び出す。のど元に牙を突き立て、深い傷を与える。
 その傷が、凛の振るう黒楼丸によって斬り広げられる。まるで獣が牙を突き立てたようなわずかな跡を、正確に。
 後に続くはずであったかたわらのライトは、既にいない。何度か攻撃を受け、今は消滅していたのだ。
「その口より溢れる紅蓮の炎にて彼のものを守り給え!」
 シルディの言葉に呼応してかわいらしい音が聞こえ、続いて小さな火トカゲが現れる。火トカゲは凛の前で盾へと姿を変えた。シルディがその様子を確認すると、視界の隅で照明弾の閃光が見えた。
「レギンレイヴとの戦いが始まったみたいですよ!」
 シルディが声高に仲間へと伝える。
 つまり、これからが正念場。まだまだ耐えなければと、ケルベロスたちは覚悟を新たにする。
「なんだか知らねぇが、よそ見してると危ないぞォ?」
 柳雪斎がくつくつ笑い、煙管から煙を吹き付けた。それは冷気を纏い、一直線に白へと向かってゆく。迫る煙に白が目を瞑ろうとしたその時、メリッサが動いた。
「くっ……! すみません、私はここまでのようです……! あとはお願いします!」
 代わりにダメージを受けて膝を突くメリッサを、こはるが籠の外へと運び出す。元よりそういう役割分担だ。
 それでも怯まずに、ケルベロスたちは戦線を維持しようと努める。シヴィルはアームドフォートを展開し、狙いを定めた。
「煙管から出ているのに冷たい、か。なんとも不思議な煙があったものだ」
 まだ残る冷気を肌に感じ、シヴィルが苦々しい顔で呟いた。

●斬り開け
 双方の消耗は大きい。特に、ケルベロス側は。
 とどめを刺せないという状況、担う役割の変更と戦闘不能者を籠外への移動させたことでの手番消費。
 誰もが焦りを覚える中、戦闘開始から10分が経過してなお、レギンレイヴ撃破の合図は上がることはなかった。
 それでも合図があったらならばすぐに倒せるようにと、白が気を配る。痛みを覚え始めた腕で縛霊撃を放てば、シルディが自身へと戦言葉を紡ぎつつ進み出た。
「おじいちゃんを閉じ込めたのは誰? 対峙してるボクが言うのは変かもしれないけど……もし僕たちが勝ってその人がボクたちの敵なら、おじいちゃんの代わりに何かすることもできるかも、って思うんだ」、
「さぁてのう?」
 柳雪斎は目を細め、煙管から煙を立ち上らせた。その煙が虚空に消えて行く、瞬間。
 空間内に、閃光が走った。
 照明弾が上がったのだ。つまり、レギンレイヴが撃破されたということ。シルディが素早く仲間に呼びかける。
「空間が歪み始めてる……急いで畳みかけましょう!」
「なんだなんだ、何だか知らねぇが、もうちょっと遊んでくれよ?」
 柳雪斎は、腰に差した刀を鞘ごとシヴィルへと叩き込んだ。その一撃で、シヴィルが自身で規定したダメージ量に到達してしまう。
「くっ、これ以上は……! すまない、撤退させてもらう!」
 シヴィルは仲間に告げ、鳥籠から出ていく。
 戦闘不能となった後に攻撃を受ければ、死亡もあり得る。また、今回は死亡した者のグラビティ・チェインが、囚われているデウスエクスに脱出の機会を与えるものにもなってしまう。それを防ぐための配慮だ。
 鳥籠から退避するシヴィルを気に掛けつつも、フィオがギターをかき鳴らす。攻撃は音、ではなく振動波。
 増幅する自身の傷を見て驚嘆する柳雪斎へ、今は盾役となっている三毛乃が攻性植物で柳雪斎を包み込んだ。
 とどめに至らないようにと回復に回っていた仲間も、次々と攻撃に加わってゆく。今は遠慮も手加減も無用だ。
「八千沢! 手を貸すぞ!」
 と、凛がスターゲイザーを柳雪斎の横っ面に決めた。その隙に、こはるが柳雪斎の真正面へと移動する。
「その首、いただきます」
 日本刀「日車」での居合いは一瞬だ。
 鞘に収まる直前の刃に、柳雪斎とこはるが映り込む。
 柳雪斎は下卑た笑みを浮かべた顔のまま、その場に倒れ込んだ。
 煙のように消えて行く柳雪斎をほんの少しだけ視界に映して。あとはこの空間から脱出するだけだ。ケルベロスたちはテイネコロカムイの牢獄へ向かい、釧路湿原に帰還した。
 ふとフィオが護符に視線を落とし、使用を試みる。だが、もはやレギンレイヴを幽閉していた空間への移動はできないようだ。
「きっと、閉じ込めていた対象を失ったことであの空間は消滅したんだろうね」
 ぽつりと呟き、フィオは大きく息を吐いた。
 ケルベロスたちの働きで、惨劇——古のヴァルキュリアがエインヘリアルが大量に生み出すような事態——を、未然に防ぐことができたのだ。

作者:雨音瑛 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年3月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 10/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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