北野坂の機械海賊団

作者:沙羅衝

「これでこのミッションクリア! 次は何処に行こう?」
「そうだなあ、序盤のミッション地域だったけど、結構苦戦しちゃったじゃない? ゆっくりやればいいよ」
「ミッション破壊……。誰かやってくれないかな、頼むよ強い人ぉ……」
 ここは神戸三宮の新神戸横にある、北野坂という地域だ。まだまだ新米旅団の一行がセレブオブブラックを倒し、メンバーは安堵の表情を浮かべ、レセプションパーティ会場を出てきていた。
 戦闘の結果は、何とかギリギリ勝てたということで、まだまだ先は長そうだなという感想を言い合っていた。
 その時、先頭を行くメンバーが新神戸駅までの少し長めの下り坂に、異様な集団を発見する。
「なんだ!?」
 良く眼を凝らすと、それぞれの手にはギラリとした獲物を携えていることが分かった。ゆらりとした動きが、何故か規則的に動き、より一層不気味さをかもし出している。
「敵……みたいだね。10体くらいはいる」
「多いな……。皆いけるかい?」
 そう言ってリーダーらしきケルベロスが一行を見るが、少し傷が深いメンバーも存在し、無理は出来そうも無い。
 そうこうしているうちに、その集団が、一目散に坂道を登ってきた。街灯に照らされた姿から、海賊風のいでたちであり、手には曲刀が握られている事がわかる。ガシャンガシャンという音から、どうやらダモクレスのようであった。骸骨のような顔から、ぎょろりとした目が暗闇で光っており、下卑た笑みを浮かべながら、幾つもの光が規則的な動作で一気に向かってくる。
「やべえ、ここは……逃げろ!」
 リーダーの声を聞き、反対方向へとそのケルベロス達は撤退していったのだった。

「みんなええか。指揮官型ダモクレスが来ているという話は知ってるかな?」
 宮元・絹(レプリカントのヘリオライダー・en0084)が、落ち着いた表情で依頼の説明を開始していた。
「今回はそのうちの一体『マザー・アイリス』が引き起こす事件や。マザー・アイリスはコストパフォーマンスに優れた量産型ダモクレスを投入しようと、試作機を戦場に向かわせとる。話ではミッション終了後に撤退しようとするケルベロスをダモクレスが襲撃していっているっちゅう情報や。ミッション終わってほっとしている所を襲ってくるってことやな。敵によっては消耗も激しかったりするやろ。考えよったな」
 絹は少し困った表情をしながらケルベロス達を見る。どうやら、状況は理解されているようだ。それを確認し、絹は続ける。
「今回の量産型ダモクレスは、ミッション地域の外側で張っとる見たいでな。皆にはその潜んでいる場所に踏み込んで欲しいんや」
 成る程と頷くケルベロス達。絹に詳細を促す。
「皆に向かってもらうんは、神戸市北野坂。新神戸駅の隣の坂におしゃれなお店が沢山あるんやけど、敵はどうやらその新神戸駅の方面から来るみたいやな。ミッション地域でいうと5-3にあたる」
 方面? と少し疑問に思ったケルベロスが尋ねる。
「せや、実はまだコイツらが何処に潜んでいるかはわかってへんねや。まずは敵の探索。そして撃破をお願いしたい。
 北野坂から新神戸駅までは、おしゃれなお店が両脇にある少し長い下り坂があって、その坂が終わったら、おっきいビルがある。このビルは様々な店舗が入ってるし、劇場やホテルもある。その下の1階部分はトンネルやねんけど幹線道路の出口になっとる。目の前は新神戸から三宮に向かうメインストリートで片側2車線の大通り。その隣はハーブ園に繋がるロープウェイの駅があるで。ほんで、ちょっと歩いたら新神戸の駅に直結しとるわけや」
 今度はケルベロス達が困った顔をする。何処をどう探していいか、情報が多すぎるのだ。
「まあ、どっか目星つけてしらみつぶしにするもええねんけど、幸いコイツらが出てくるのは夜や。調査する時間はある。ひょっとしたら、何か異変に気付いてた一般人なんかもおるかもしれんな。こういうのは地元の人に聞くのが一番やで」
 現状ではこれ以上の情報は掴めそうも無い。まずは現地に向かう必要がありそうだ。
「必要なんは、敵の場所の索敵と突入作戦。それに戦闘方法やな。うまいことやれば、奇襲も仕掛けれるかもしれんで。
 敵は海賊風のダモクレスが12体。量産型で4人ずつの隊列を組んでくるけど、前中後で一人ずつ強いヤツがおる。でも、量産型やからぱっと見はわからん。武器は全員おんなじ曲刀で武装してるしな。これも、当たってみんとあかんわ。でも、明らかに動きが良いやろから、良く見たら分かるやろ。そのへん踏まえて作戦考えてみてな」
 敵の索敵と潜入先への突入。それにあわせて戦闘と、考える作戦は多い。その様子を見ながらも、絹は続ける。
「ミッション地域は、旅団のみんなとの力を合わせた場でもある。それに集中する為にも、撃破、宜しくな」
 絹はそう言って、ケルベロス達を送り出したのだった。


参加者
黒住・舞彩(我竜拳士・e04871)
矢武崎・莱恵(オラトリオの鎧装騎兵・e09230)
ガロンド・エクシャメル(愚者の黄金・e09925)
プロデュー・マス(は一応彼氏・e13730)
バジル・サラザール(猛毒系女士・e24095)
セラ・ギャラガー(紅の騎士・e24529)
ヴァーノン・グレコ(エゴガンナー・e28829)
瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)

■リプレイ

●ハーブ園
「これどうかな?」
 ハーブ園に訪れていた瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)は目の前の大きな足跡を携帯で撮りそれをメンバーへと送信していた。右院は自分の足跡で情報を消さないように配慮し、光の翼で地面より少し浮いて移動している。
『少し待ってくれ』
 そう返すのはプロデュー・マス(は一応彼氏・e13730)である。プロデューは主に全体の情報収集を行い、それを解析する作業をしていた。
 プロデューは人工衛星にアクセスしようと試みたのだが、許可が下りなかった。彼は、まぁ、手段が一つ潰れただけだと素早く次の作業に集中する。メンバーからの情報を纏め、指示し、突き止める。その素早い切り替えしのおかげで、彼の演算は更にスピードを増していた。
 右院が暫く景色を見ていると、インカム越しにプロデューの声が聞こえてきた。
『どうやら、それは大きなドラゴニアンの足跡のようだ』
 少し残念な表情を浮かべた右院は、他を探してみると伝えて、また歩き出した。
 日が少し昇り、訪れるお客さんも増えてきた。コミュ障な彼はそれを見て、さっと隠密気流を使って気配を消したのだった。

●センター街
「お兄さん、このへん始めて?」
 ここは三宮のセンター街と呼ばれている地域だ。大きなアーケードが隣の元町駅まで続き、人が楽しくおしゃべりをしたり、買い物をしたりしていた。
 ガロンド・エクシャメル(愚者の黄金・e09925)は、一つのトンカツ屋に入っていた。見た目も派手な金の鱗を持つドラゴニアンには、うってつけの場所かもしれなかった。彼はそれをよく心得ているのか、気さくでいて、且つ丁寧な口調でランチを一つ注文する。
「うん、余り来たことは無いねぇ……。あ、そうだ。最近妙な事とか無かったかい? 例えば海賊みたいな……」
 注文を聞いてくれた店員のお姉さんに、さりげなく情報を聞く。
「海賊? 聞いたこと無いなあ」
 店員は首をかしげながらお茶をガロンドの前に置く。
「店長知っとぉ?」
 店員はそう言って忙しく配膳をしていた店長に聞くが、どうやら知らないという事だった。
「とすると……」
 ガロンドがそう考えていると、目の前に本日のランチであるロースカツが置かれる。彼は目の前のロースカツを口に入れ、次の手段を考えた。

 ガロンドがロースカツを頬張っている頃、バジル・サラザール(猛毒系女士・e24095)は、同じセンター街の路地裏にいた。
「海賊みたいなダモクレスなんだけど、何か知らないかしら?」
 彼女の目の前には、二匹の猫がいた。二匹の猫は良くわからないような仕草をする。それよりも、餌が欲しいようだった。
「ちょっと待っててね」
 バジルはそう言うと、さっと商店が並ぶ一角に行き、牛肉を買ってきた。ラベルには『神戸牛』と書かれてある。
「にゃー♪」
 その二匹は、目を輝かせ、その肉に飛びつく。しかし、肉にむしゃぶりつくのみで、情報は知らなさそうだった。
「ふむ。この辺りではない、という事なのか……」
「ひゃあ!」
 突然隣に現れた声に、びっくりするバジル。そこにはセラ・ギャラガー(紅の騎士・e24529)の姿があった。
 セラはダークスーツで身を包み、さらに隠密気流で姿を隠しながら人々の情報を探っていたのだ。
「セ、セラちゃん。お、脅かさない、でよ」
「おっと、すまない」
 まだドキドキしているバジルに、セラは冷静に、且つ淡々と話す。
「いや、少し気になる噂があった。何処かで話し声が聞こえるそうだ。場所はまだ特定できないのだが、確かに何かあるようだ」
 セラはそう言い、携帯を取り出し、報告を行った。

●北野坂
「雰囲気が良いお店が多いわね。今度誰かと遊びに来ようかしら。……なんてね。あ、ちょっといいかしら?」
 黒住・舞彩(我竜拳士・e04871)は北野坂で聞き込みをしていた。
「ケルベロス……さん、ですか。何ですか?」
 舞彩の手にはケルベロスカードがあった。凛とした風の効果もあってか、人々は素直に受け答えをしてくれた。
「ここに良くケルベロスが現れると思うんだけど、それとは別で何か異変とか無かった?」
 目の前には男女のカップルの姿があった。考えるそぶりを見せる二人であったが、特には知らないとの事だった。
「成る程、デートの時に悪かったわね」
 舞彩はそう言って、カップルにお礼を言う。
「いえ、頑張ってください!」
 そう返すカップルの男性。少し恐縮していると、目の前から坂を上がってくるヴァーノン・グレコ(エゴガンナー・e28829)が見えた。
「どう?」
「うーん。今のところ何も」
 ヴァーノンは舞彩とは反対方向の、新神戸駅から歩いてきていた。道すがら聞き込みを行うのだが、良い情報は無かったようだった。お礼のつもりで渡していた飴も、一袋が無くなろうとしていた。
「あ、あのタクシー……」
 ヴァーノンはそう言って、止まっている一台のタクシーに近づく。
「すいません。少しだけ時間を頂いてもいいかな?」
 ケルベロスカードを見せながら、ヴァーノンがタクシーの運転手の女性に聞く。
「どうしました?」
「冷やかしみたいで、ホント申し訳ないんだけど。何か変わったものとか、見なかったかな」
「変わったもの……ねえ。貴方たちのような、ケルベロスが増えたってことはあるけど……」
 この辺りにミッション地域がある。彼女はその事を言っているのだ。それじゃ無くて、もう少し他の事とかと、ヴァーノンは更に尋ねる。
「あ、でもそういえば……」
 その情報を聞いた舞彩とヴァーノンは、急ぎ報告を行うのだった。

●区役所
「ねえ、お兄ちゃん。交番のお兄ちゃんが、ここでなら何か分かるかもって聞いたんだけど……」
「うーん。そうだねえ……」
 矢武崎・莱恵(オラトリオの鎧装騎兵・e09230)は三宮駅隣にある区役所に来ていた。
 彼女は朝から交番や、不動産屋に向かい、特に人気の無い場所の事について聞いていたのだ。
 どうやら三宮周辺には、そう言った場所はあるにはあるが、風紀的にも良くないので、警察が定期的にパトロールしているとの事であった。だが、現在求めている様な事象は起こっていないらしい。
 役所の職員も、全面協力してくれたのだが、有力な情報とはならなかった。
「……ふう」
 職員が調べている間、椅子に腰掛ける莱恵。その時、携帯が鳴った。
『莱恵殿。私だ、今区役所だな?』
『そうだよ!』
 莱恵は携帯電話のアプリでプロデューの呼びかけに答えながら、同じように足元でちょこんと座っているボクスドラゴンの『タマ』をひと撫でする。
『舞彩とヴァーノンから有力情報だ。新神戸にある幹線道路のトンネルでの噂について聞いてみてくれ』
 莱恵はその事を職員に告げる。すると、
「ああ、そういえば……」
 と、トンネル内で最近怪しい声が響いている、という情報を得たのだった。

●奇襲
「お前たちの悪事はここまでだ。私たちが来た以上、未然に防がせてもらう」
「な、なんだ!?」
「おい、誰が喋った?」
 セラが簒奪者の鎌を激しく斬りつける。すると、目の前の機械海賊団員が一人消滅した。その攻撃を機に、一気にアジトへ雪崩れ込むケルベロス達。
 ケルベロス達は調査の後、新神戸にあるトンネルの内部に右院が潜入し、見事に工事現場にカモフラージュした箇所が彼らのアジトである事を突き止めたのである。
「これが海賊? 笑わせてくれるねえ!」
 ガロンドが太い竜の尻尾を大きく振るい、前にいる機械海賊団員3人を吹き飛ばしていく。そこにガロンドのミミック『アドウィクス』が偽物の財宝をばらまく。
「畳み掛けるぞ、応えてみせろ我が『地獄』!』」
 そのダメージを与えられた敵の一人を地獄の炎で燃やし尽くすプロデュー。さらに舞彩が地獄の炎を纏ったゾデュアックソード『偽散弾銃剣【ソードライフル】』で切り捨てる。
「敵だあ! おい、やっちまえ! 敵襲! 敵襲!!」
 まだ呆然とする他の機械海賊団員に指示をする、一人の機械海賊団員。見た目は分からないが、素早く体勢を立て直すことが出来ている者が3人いた。
『行くよ、タマ!融合だぁ~!!』
 その声を発した中央に立つ動きの良い一人に向かい、如意棒を振り回しながら突っ込む莱恵。彼女が肩車したタマが、莱恵の頭の上で泣き声を上げる。
 ドゴ!
 攻撃を受けた機械海賊団員が、吹き飛ばされ、壁に激突する。
「錆びついちゃいなさい!」
 そこに、バジルが追い討ちをかける。バトルオーラを伸ばし、その先端を尖らせる。
『毒を盛って毒で制す・・・なんてね』
 その先端から毒霧が噴霧されていき、その機械海賊団員は消滅していった。
「よし、前が開いたぜ!」
 ダダダダダダダ!
 リボルバー銃から弾丸を撒き散らすように打ち出すヴァーノン。弾丸たちは、即座にその足元を打ち抜かれていく。
「くそ! コイツら! 何モンだ!?」
 しかしまだ状況があまり理解できていないのか、漸く武器を構える機械海賊団員達。曲刀を振り上げる。
「そうは、させません!」
 右院が斬霊刀を無数の刀剣を召喚する。すると、その刀剣達が2体の機械海賊団員の曲刀を弾き飛ばした。
「ああっ。俺こんなガチ剣士枠じゃなかったはず……」
 ケルベロス達の奇襲は完全に成功していた。前衛が一気に崩れた事により、もともと実力の差があった相手に打ちのめされる。全ての機械海賊団員が体勢を整えた頃には、残り4体となっていたのだった。

●夜空がよく見える晩に
「へっへっへ。もう、カンベンしねえぞ……」
 下卑た笑いを全員が揃って浮かべる。
「強がり? ね。いいわよ、どんな攻撃だって守るわ」
 舞彩はそう言って地獄化している左腕を前に突き出す。
「オレ達は、いくらでも沸いてくるぜ」
 その声を聞きながら、右院が気を帯びた手刀を放ち、氷を大量に発生させていく。
「そうだそうだ。オレ達なんかいくらでも、補充されるからな」
 その氷に構わず、バジルに曲刀を投げつける一人の機械海賊団員。しかし、莱恵が容易くその曲刀を纏ったオウガメタルでき、その勢いのまま、如意棒で突く。
「だから、オレが死んでも、また新しいオレが産まれるってことよォ!」
 攻撃された腹に手を当てながら、それでもぐへへと笑いながら、両手に持った曲刀をガロンドに振り下ろす。すると、彼の身体から炎が上がる。
 だが、その炎にも動じた様子もない。
「……君自身は、どうなんだい?」
 その会話の中の矛盾に気が付いたガロンドが問う。その言葉に、首をかしげる動作をする機械海賊団員。
「へ!? ……え? どういうことだ? オマエ、分かるか?」
「オマエに分からないモンが、オレに分かるかよ! 新型だろ?」
 そんな会話をしているうちに、バジルが薬液の雨を降らせ、ガロンドを含めた前衛の傷を回復し、炎を消していく。
「へっへっへ……。そういうことだ。オレ達には、結局なにも分からない。量産型だからな! どうだ? マイッタか?」
 何がなんだかさっぱり分からない理屈をつけて、反論する機械海賊団員。
『レベッカ―俺に力を』
 すると、ヴァーノンが一人を燃やし尽くした。
 とうとう、新型と言われた一人になってしまった機械海賊団員。
「さぁ、最後に言うが良い。お前たちが何を企み、どこを目指そうとしていたのかを」
 すごむセラに、後ずさり始める新型。
「そうだ、お宝なんかないのかい? かいぞく、なんだよねえ?」
 ガロンドがそう言いながら後ろに回りこむ。
「へっへっへ……。教えてやろう。オレ達は何も知らないんだよおお!」
 無茶苦茶に曲刀を振り回して、セラに突進する新型。しかし、それをヒラリと避け、光の矢を出現させる。
『わが攻撃、光の如く、悪鬼羅刹を貫き通す』
 すると、その矢が新型の腹に幾つも突き刺さっていく。
『Start the system -halo-. Hello world, Farewell shell.』
 プロデューが全てのエネルギーを背後の光輪に送る。
「ひ、ひい! お助けぇ……!」
 逃げようとする新型を、脅威の加速度でプロデューが駆け抜けると、最後の機械海賊団員は消滅していったのだった。

「結局、なんだったんだろう」
 右院の言葉にプロデューが返す。
「さあな。指示されていただけ、という事なんだろ」
 敵を一掃したケルベロス達は、トンネルを抜けて外に出ると既に夜空が街を包んでいた。隠されていた場所での戦闘である。街はそれがあった事も分からないまま、いつもの風景を作り出していた。
「ボクおなか空いてきちゃったよ!」
「ホントね」
 莱恵の声に、バジルが相槌を打つ。
「ヴァーノンちゃん。この辺り調べる時に何処か良い所なかったかしら?」
「え? ああ、しまった。ボク、そういう所は見ていなかったよ」
 意外な言葉にヴァーノンが困った顔をする。
「私は色々と見つけておいたわ。少しご飯する?」
「良いな。賛成だ」
 舞彩がそう言うとセラが頷き、一行はその店に向かって坂を歩いた。
「楽しみだねえ。そういえば、お昼も美味しかったんだよねえ」
 ガロンドがぽつりとそう言うと、彼以外の歩みが止まる。
「お昼?」
 プロデューが呟く。
「聞いてないな」
 セラが頷く。
「ガロンドさん、いえ、ガロンドちゃん……調査していた時に、何してたのかしら?」
 バジルの笑顔の裏側を感じ取り、しまったという顔を浮かべながら、汗が流れ落ちる。
「ボク、何も食べてなかったんだけどな……」
 莱恵の声に、いたたまれなくなったのか、ガロンドが声を上げる。
「わ、悪かった。しかし、調査の流れというか……」
 その後、会食は彼の驕りとなったのは、言うまでも無い。

作者:沙羅衝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年3月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 5
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