強襲、戦艦ギルガイア!

作者:雷紋寺音弥

●狙われた離島
 海辺を吹き抜ける穏やかな風が、静かに水面を撫でていた。
 瀬戸内海に浮かぶ、人口30人程度の小さな島。沿岸部に唯一残る集落は高齢化による過疎が進み、今では特産品の地酒を細々と作る他に、小さな漁船が地産地消のための漁を続けるのみ。
 だが、そんな慎ましくも平穏である日々を打ち壊すかのように、それは唐突に海面から姿を現した。
「ヴィィィィッ!!」
 耳障りな汽笛にも似た音を鳴らし、海中より現れし黄金の戦艦。だが、本来であればブリッジに相当する部分に聳えるは、腕のない機人の上半身。
「周辺ニ……複数ノ、生体反応ヲ、感知……。ターゲット……排除、開始……」
 抑揚のない機械音を発し、黄金の戦艦は多数の砲塔を漁船へと向ける。その先から砲弾が放たれる度に、何の力も持たない小さな船は、次々と海の藻屑と化し。
「沿岸部ニ、標的ヲ、確認……。一斉射……始メ……」
 続けて、上部甲板より発射された無数のミサイルが、海辺の集落へ炎の雨となって降り注いだ。
「ターゲット、無力化、確認……。任務……完了……。ヴィィィィッ!!」
 黒煙の立ち昇る集落を背に、再び深海へと沈んで行く黄金戦艦。後に残されたのは、焼き払われた村落の成れの果て。赤々と燃え盛る炎に飲まれ、人々の悲鳴は既に全てが消えていた。

●黄金の機動戦艦
「召集に応じてくれ、感謝する。指揮官型ダモクレスの内の一体、『ディザスター・キング』による地球侵攻作戦が開始されたようだ」
 その日、ケルベロス達の前に現れたクロート・エステス(ドワーフのヘリオライダー・en0211)は、どこか伏し目がちになりつつも自らの得た情報を語り始めた。
「襲撃を行っているのは、戦艦ギルガイアと呼ばれるダモクレスだな。黄金の戦艦から人型の上半身が生えたようなダモクレスで、見た目通りの重火力な相手だ」
 ディザスター・キングの指示を受けたダモクレスの襲撃を阻止することは難しく、既に被害も出てしまっている。現に、瀬戸内海に浮かぶ離島の集落に住んでいた者達が全滅させられ、敵は新たな標的を探して今も海を航行中だという。
「このまま、やつを野放しにすれば、今に瀬戸内海中の島が無人島にさせられてしまう。いや……下手をすれば本土に出現して、沿岸部の都市にさえも被害を拡大させる可能性もある」
 それを阻止するためにも、このまま戦艦ギルガイアを放置するわけにはいかない。幸い、敵は次なる襲撃場所を求めて移動中であり、そのときであれば迎撃も可能だ。
「今回、お前達に向かってもらいたいのは瀬戸内海にある無人島だ。そこで待っていれば、敵はこちらの生体反応を察知して沿岸部に姿を現すはずだぜ」
 その後は普通に戦うことも可能だが、しかし敵は多数の火器を搭載した強敵である。アームドフォートやレプリカントのグラビティに酷似した技を使い、特に船首下部に搭載された主砲の威力は侮れない。個々の技の命中精度こそ低いものの、自ら狙撃手の間合いを取ることで、そのデメリットを相殺してくるというのだから厄介だ。
「敵の目的は、あくまでグラビティ・チェインの略奪だからな。迎撃時には相手を逃がさないような工夫をしておかないと、早々に海中に逃げられる可能性が高いぞ」
 万が一、逃走を許してしまえば、そこから先は発見するのも困難だろう。幸い、一度たりとも戦闘が発生すれば敵は逃走よりも敵の殲滅を優先するため、逃げる隙を与えず戦闘に持ち込んでしまうのが望ましい。
「この地球に、理不尽な理由で流れる涙は不要だ。犠牲になった者達の仇を取るためにも……お前達の力を貸してくれ」
 瀬戸内海の島々を、黄金戦艦の脅威から守るため。最後に、それだけ言って、クロートはケルベロス達に依頼した。


参加者
大弓・言葉(ナチュラル擬態少女・e00431)
ジョルディ・クレイグ(黒影の重騎士・e00466)
レカ・ビアバルナ(橙の射手・e00931)
ビーツー・タイト(火を灯す黒瑪瑙・e04339)
アゼル・グリゴール(アームドトルーパー・e06528)
祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083)
モニカ・カーソン(木漏れ日に佇む天使・e17843)
鉄・冬真(薄氷・e23499)

■リプレイ

●決戦島
 春先にしては冷たい潮風が、小島の一角にある岩場を吹き抜ける。打ち寄せる波の音と、時折聞こえる磯の生き物達の息遣い。だが、そんな静寂を打ち破り、突如として海中から黄金の巨体が姿を現した。
「ヴィィィィッ!!」
 汽笛にも似た耳障りな機械音。戦艦を思わせる身体を持ちながら、しかしブリッジのある場所に位置するのは、人の身の丈を優に超える機人の姿。
「周辺ニ……複数ノ、生体反応ヲ、感知……。進路変更……排除開始……」
 機人の単眼が赤く輝くと同時に、甲板に備え付けられた砲塔が一斉に湾内の人影を捉えた。
「……っ! 来るぞ! 散開しろ!」
 そう、鉄・冬真(薄氷・e23499) が叫ぶのと、黄金の砲塔が一斉に火を噴いた。
 戦艦ギルガイア。側面からも巨大な腕と砲塔を生やした異形のダモクレスによる攻撃は、寸分の狂いもなく大弓・言葉(ナチュラル擬態少女・e00431)の姿を真正面から捉えた。
「ご無事ですか? どうかご無理はなさらず……」
 爆炎の中から吹っ飛んで来た言葉に駆け寄り、レカ・ビアバルナ(橙の射手・e00931)が心配そうに様子を窺っていた。
 見れば、たった一撃で岩礁が抉られ、地形そのものが変わってしまっている。幸い、言葉も自力で立てない程ではないようだったが、あれを何発も食らったら無事では済むまい。
「ここまでは想定の範囲内だ。……一端、予定の場所まで退くぞ」
 敢えて冷静な態度を崩さずに、ビーツー・タイト(火を灯す黒瑪瑙・e04339)が仲間達に告げた。ここで慌てても、得られるものは何もない。それに、このまま湾の入り口で戦えば、敵を逃がしてしまう可能性もある。
 次なる砲撃が降り注ぐよりも先に、ケルベロス達は一斉に湾の奥へと向かって駆け出した。後方から迫る機械音。どうやら、敵もこちらの誘導に、上手く食いついてくれたようだ。
「ここまで来れば、もう大丈……」
 予定した場所まで到着し、モニカ・カーソン(木漏れ日に佇む天使・e17843)が振り向いた矢先、飛来する無数のミサイルの雨。一発、一発の火力は砲撃に比べて低いものの、その真の恐ろしさは、広範囲に撒き散らされる炎にある。
「……分かりやすいくらいに、破壊活動に徹底しているな。……だが、これだけ巨大な相手だ……。祟り甲斐はありそうか」
 焔にその身を焦がされながらも、祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083)は決して退かず、敵の前へと身を躍らせる。ゆらり、ゆらりと、炎の先端が揺れる動きに合わせ、彼女の髪もまた風に揺れ。
「これはまた。ユニークな輩を相手取ることになったものです。これだけ人型を逸脱したのは、珍しいのではないでしょうか?」
 目の前の黄金戦艦を改めて見据え、アゼル・グリゴール(アームドトルーパー・e06528)は仲間達へと警戒を促した。
 こういう敵は、状況に特化した強さを持っているのがセオリーだ。逃走を阻止するため湾の奥へと誘い込んだが、それでも未だ敵が水上にいる限り、地の利もまた敵の方にあるのだと。
 一瞬たりとも、油断はできない。しかし、だからといって、これ以上は退くつもりもない。
「我が嘴と爪を以て、貴様を破断する!」
 戦斧の先端を突きつけ、高らかと告げるジョルディ・クレイグ(黒影の重騎士・e00466)。誰もいない、誰も知らない孤島にて、壮絶なる対艦戦が幕を開けた。

●黄金の不沈艦
 人型の身を生やした、黄金の戦艦。巨大ロボ型ダモクレスに匹敵するサイズを誇る戦艦ギルガイアの砲撃は、その見た目に違わず強烈だった。
 副砲による一斉射は、岩礁を容易く砕く威力を誇る。降り注ぐミサイルの雨は瞬く間に周囲を炎で包み込み、あらゆる命を灰と消し炭にしてしまう。
 だが、いかに強烈な攻撃に晒されようと、ケルベロス達の中に撤退の二文字は存在しなかった。ここで敗北したら最後、新たな命が奪われることになる。それだけは、決して許されないことだと知っていたから。
「……足元注意、だな」
 ビーツーの注ぎ込んだグラビティが、大地を伝わり焔となってギルガイアへと襲い掛かった。沸き立つ海水が局所的に泡を立てるが、しかし、炎を纏った多数の礫を用いても、それはギルガイアの動きを多少鈍らせる程度のものでしかなく。
「やはり、特定の部位を狙って破壊するのは困難、か……」
 ボクスドラゴンのボクスによる体当たりが避けられたのを見て、ビーツーは立ち回りの変更を余儀なくされているのを感じていた。
 特定の部位を狙って攻撃を仕掛ければ、それだけ攻撃を命中させることも難しくなる。仮に、命中させたとしても、果たしてそれで、どこまで敵の武器を破壊することができるだろうか。
「多少、威力は減衰しますが……贅沢を言っている場合ではありませんね」
 アームドフォートの砲塔を展開し、無数のレーザーを発射するアゼル。それは敵の砲塔やミサイル発射管を貫くだけに留まらず、光の弾幕と化して戦場に広がって行く。攻撃力を下げるという点では、彼の選択の方が確実性が高い。
「ぶーちゃん! もっと、速く動けない?」
 そんな中、光のヴェールと展開しながら言葉が相棒のボクスドラゴン、ぶーちゃんに向かって叫ぶが、しかしそれは酷というもの。
 戦況は、刻一刻と変化する。互いに動き回る激しい攻防戦の中で、攻撃を仕掛けられるタイミングは限られる。そのような状況で、敢えて自らの手番を選択する余裕など、果たしてどれだけあるだろうか。
 大切なのは、とにかく攻撃のチャンスを見逃さないこと。本能的に、そのことを理解しているのだろう。とにかく、少しでも機会を無駄にしてはならにと、ぶーちゃんは砲撃の轟音に震えつつも、懸命にブレス攻撃を仕掛けていた。
「損傷率……50%突破……。退避、困難と判断……。戦闘、続行スル……」
 甲板から黒い煙を上げながら、ギルガイアが不気味な機械音声を放つ。こちらも苦しいが、それは敵も同じこと。これだけ攻撃を受けて未だ沈まないダメージコントロール能力には驚嘆させられるが、ここで諦めるという選択はない。
「お前の敵はこちらだ」
 水飛沫を上げ、冬真がハンマーを横薙ぎにして敵の船体に叩き付けた。さすがに、これは効いたのか、黄金の巨体がぐらりと揺れて。
「……蝕影鬼、呪いの重ね掛けだ。……祟って往こう」
 ビハインドの蝕影鬼に敵の動きを封じさせつつ、イミナもまた手にした杭を、敵の船体に打ち込んで行く。
「……忌まわしい幽霊船になり果てろ。……祟る祟る祟る……」
「……ッ!? 左舷……正体不明ノ……攻撃ヲ、感知……!」
 呪力の込められた杭の力が、ギルガイアの身体から自由を奪って行く。相手の肉体が、機械であっても関係ない。イミナの抱く呪詛への衝動。それを、そのまま形にしたグラビティは、文字通りあらゆる物体を侵食し、蝕んで行くのだから。
「これ以上、犠牲を出さないためにも、ここが踏ん張りどころですね」
「強敵ですが、相手は一体、こちらは八人です。力を束ね、必ず沈めてみせましょう」
 モニカの広げたケルベロスチェインが防御の陣形を成して行き、レカの降らせる薬液の雨が、燃え盛る火炎を鎮めて行く。
 時間にして、ほんの一瞬。刹那の瞬きの癒しではあるが、敵の攻撃が激しい以上、癒し手の存在もまた生命線。
「うむ、行けるぞ! このまま一気に押し切って……」
 肉体に力が蘇るのを感じ、ジョルディが両手に携えた戦斧を構えて立ち上がった。が、そんな彼の言葉を嘲笑うかのようにして、ギルガイアは船首下部に備え付けられた巨大な砲を、ゆっくりとケルベロス達の方へ向け。
「目標……捕捉……。エネルギー注入機……作動……。セーフティロック、解除……」
 収束する凄まじいエネルギーの奔流。砲の先端より漏れ出している光の強さだけでも、戦場の全てを照らし出す程に明るい。
「これは……もしかして、こっちを狙っているんですか!?」
 射線から弾道を予測して、モニカが思わず叫んだ。敵の狙いは、他でもない自分も含めた後衛だ。堅牢で打たれ強い前衛の者達に比べ、癒し手を中心とした後衛は討たれ弱い者が多い。それでも、通常は前衛に阻まれて攻撃が飛んで来ないはずなのだが……それを飛び越え、一気に大ダメージを与える術があるとしたら。
「圧力上昇……照準固定……主砲……発射!!」
「いけません! レカさん、来ます!」
 慌ててモニカが叫ぶが、それで避けられれば苦労はしない。だが、それでも彼女の声は、他の仲間達に敵の狙いを知らせるには十分なものだ。
「ちょっ……! ぶーちゃん!?」
 言葉が気付いたときには、既にぶーちゃんが箱から飛び出し駆け出していた。
 艦砲の音に、あれだけ震えていたのだ。本当は、怖くて堪らなかったのかもしれない。しかし、ここで逃げれば漢が廃る。守り手を担っている以上、怖がりでもなんでも、やるときはやるのだ。
 極彩色の光の奔流に飲み込まれ、消滅して行くボクスドラゴンの身体。幾重にも重なる光線の束を前にしては、さすがに耐えることはできなかった。
「やってくれるな……。だが、まだ終わったわけではないぞ!」
 攻撃を終えた際の反動。そこを狙って斬り込むジョルディ。後ろは敢えて振り返らない。そのことが、身代わりとなった者に対し報いることだと知っていたから。
 水中から跳び上がり、そのまま高々と飛翔して戦斧を叩き付ける。漆黒の刃が黄金の装甲を穿ち、激しい火花を散らして斬り裂いた。

●黄金の眠り
 海面を揺らす激しい衝撃。長引く戦いは互いの力を消耗させ、癒し切れぬ傷が徐々に蓄積されて行く。
 度重なる猛攻の果てに、黄金の装甲を持つギルガイアの身体は、今や見る影もなくなっていた。
「もはや、遠慮はせん。その砲塔、圧し折ってくれる……」
 ビーツーの強烈な蹴りが炸裂し、加えてボクスの体当たりによる追い打ちが決まったことで、敵の砲塔が大きく歪んだ。続けて、側方より回り込んだアゼルが、こちらは巨大な杭打機を携えて突貫する。
「ユニット固定確認……炸薬装填……セーフティ解除……目標捕捉、これより突撃する!」
 元より、対人用としても有り余る威力を持った一撃だ。相手が巨大な艦であっても、その威力を殺すことなどできはしない。ついに、ダメージコントロールの限界を迎えたギルガイアの身体が、徐々に水底へと沈み始め。
「……沈没という形ならばしてくれても構わん」
「ぶーちゃんの仇! 目指せ轟沈ギルガイア!」
 蝕影鬼が周囲の岩塊を操ってぶつけたところに、イミナと言葉の蹴りが左右から炸裂した。それでも、辛うじて耐えるギルガイアだったが、続く冬真の斬撃に、とうとう亀裂から体内の燃料オイルを噴出させた。
「君達の在り方の全てを否定する気はない。だが……僕等を喰らうというなら、その前にこちらが喰らうだけだ」
 溢れ出る黒色の液体を浴びながら、冬真が静かに告げる。その様は、まるで異界の魔物の返り血を浴びているかの如く。
「もう少し……もう少しで、勝てるはずです。皆さん、頑張りましょう」
 沈む敵を前にして、ついにモニカも回復から攻撃へと切り替えた。鎖の先より放たれし弾丸。それは相手の肉体だけでなく、時間さえも凍結させて。
「これ以上、血も涙も流させるわけにはいきません」
 犠牲になった者達へ追悼の意を込めて、レカはジョルディに最大限の回復を施した。
 失った命は戻らない。それでも、この戦いが弔いに繋がると信じたい。攻撃の手段を持たない彼女の想い。それを代弁するかのように、微かな花の香りが広がって行き。
「HADES機関オーバードライブ! 最終形態『インフェルノ・フォーム』!」
 託された想いを乗せて、水中を滑るように突き進んで行くジョルディ。ギルガイアもミサイルを魚雷のように用いて迎撃するが、しかし直撃を受けても漆黒の騎士は止まらない。
「オオオ! 滾る心が魂燃やし! 地獄の炎が悪を討つ! 受けよ超必殺!」
 艦の底部に開けられた巨大な穴。イミナとアゼルの大小合わせた杭打ち攻撃によって穿たれた部分を目掛け、地獄化した全身による体当たりを仕掛ける。
 稼働時間は、僅か10秒。だが、それだけあれば、敵を沈めるには十分だ。
「Soul Explosion!」
 ブリッジ部分に生えている上半身。そのコアを貫き、上昇して行くジョルディの身体。そのまま、勢いに任せて黄金の頭部をもぎ取ると、残る胴体へ地獄の力を注ぎ込み。
「ソウル……オーバー!」
 掛け声と共に、爆発四散する黄金の船体。最後に、頭部だけとなったギルガイアが、残された僅かな力を振り絞って瞳を明滅させる。
「ワタシハ……消滅、スルノカ? ……ヴィィィッ!!」
 それだけ言って、不気味な輝きを放っていた単眼も、徐々に色を失って行った。

●災害王の足跡
 戦いの終わった小島には、再び変わりなき平穏が訪れていた。
 打ち寄せる波の音。微かに聞こえる鳥のさえずり。ほんの少し前まで、この地で激戦が行われていたことなど嘘のように。
「ふぅ……。なんとか、終わったね」
「ええ……。どうやら、勝てたようです」
 砕け散ったギルガイアの破片を横目に、言葉とレカは軽く息を吐いて近くの岩場に腰かけた。
「これで、少しは犠牲になる人が減るといいんですけれど……」
「うむ。できれば、この頭部にキングへの手掛かりがあると良いのだが……」
 先程の戦いで唯一残った頭部を片手に、モニカへ告げるジョルディ。もっとも、敵が既に『死んでいる』状態である以上、殆ど期待はできそうにない。
「なかなかに、祟り甲斐のある相手だったな……」
 そんな中、イミナだけは、どこか遠くを見つめていたが、その想いは彼女のみ知るところだろう。
「……いつか全てを守れるよう、今は進まなければ」
 アゼルやビーツーと共に黙祷を終え、空を仰ぐ冬真。その胸に光る銀製のペンダントを握り締め、改めて自らの心に誓いを込めた。

作者:雷紋寺音弥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年3月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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