リメディ・オブ・ファントムペイン

作者:鹿崎シーカー

 青いフラッシュが、男の頭を一瞬にして蒸発させた。
 糸の切れた人形めいて倒れる死体。同じく首を失くした死体が無数に転がる中を、顔を押さえた白い影が踏み分ける。
「グッ……」
 マネキンのような無機質な頭が苦悶を漏らす。形容しがたい痛みを首を振ってごまかし、巨大な機銃を持ち上げる。銃口が向く先は、死地から必死になって逃れようとする一般人の群れ。
「やはり、人間では足りないか。ただの人間では……だが」
 指が引き金を引き、光線が手近な一人の頭を飛ばす。もう一撃でまた一人。三撃目は二人同時に。
 広がっていく死骸の大地を歩みながら、白いダモクレスは小さくつぶやいた。
「どうした……人間共が死んでいくぞ。助けなくて良いのか?」
 無造作に虐殺を続け、赤いアイレンズを光らせる。首狩りの騎兵は、呪いめいた声で低く怨敵の名を呼んだ。
「早く、早く来い。ケルベロス……!」


「首狩りかぁ……また厄介な相手が出てきたね」
「……卑怯」
 ぼそっとつぶやくミッシェル・シュバルツにうなづき返し、跳鹿・穫は神妙な表情で話し始めた。
 指揮官型ダモクレスによる地球侵略が始まり、早一ヶ月。自分と配下の強化を目論む『踏破王クビアラ』なるダモクレスが、新たなる刺客を送り込んできた。
 現れた敵の名は、『ザ・トゥルーフェイス』。かつてとあるケルベロスと戦い頭部を失った女性型のダモクレスである。
 修復された頭部に感じる幻肢痛を、ケルベロスの頭を刈ることで止めることができると信じる彼女は、特定の敵と戦う時のみパワーアップする『魔障』を鍛えたいクビアラと利害が一致。一般人の惨殺によってケルベロスを呼び出し、こちらの正確な戦闘データを取りつつ痛みを消し去りたい、というわけだ。
 既に現場は死屍累々の様相を呈しており、放っておけば被害に歯止めがかからなくなってしまうだろう。敵の誘いに乗ることになろうとも、彼女の虐殺は捨て置けない。今すぐ現場に急行し、ザ・トゥルーフェイスを破壊してほしいのだ。
 そして今回の戦場は、とある都市に横たわる大きな通りだ。これといった障害物はないものの、足元には首を消された被害者たちの死体が散乱しており、生き残った人々がザ・トゥルーフェイスから逃げ惑う阿鼻叫喚の地獄となっている。
 しかしながら、敵の目的はあくまで『ケルベロスの首を刈る』ことと『ケルベロスの正確な戦闘データを溜めること』。なので、ケルベロスとの戦闘が始まれば生き残りには見向きもしない他、短時間で撃破すればデータ収集を妨害することもできる。ただし、一般人に気を取られ過ぎたり、データの確実性を下げるために手を抜いたりすると手痛い一撃を食らうだろう。
 ちなみに、データの確実性を下げる場合は、普段使わないような新戦術を練ってみるのもよいだろう。これならばデータは信憑性を欠き、ケルベロスは様々な戦術を試作できる。当然ながら、慎重さが必要になるが。
 ザ・トゥルーフェイスは手にした巨大なバスターライフルと、腰部に装着した小型アームドフォートを用いた射撃戦を得意とする。また、目的がケルベロスの首を刈ることなので、頭部を集中して狙ってくる。いかにケルベロスと言えど、デウスエクスの攻撃を顔面に受ければただでは済まない。前述の状況と相まって非常に危険な相手となる。注意してほしい。
「もう沢山の人がやられてる。幻肢痛だかなんだか知らないけど、これ以上首は渡せないよ! 頑張ってきて!」


参加者
ミライ・トリカラード(朝焼けの猟犬・e00193)
御神・白陽(死ヲ語ル無垢ノ月・e00327)
目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)
朝倉・ほのか(ホーリィグレイル・e01107)
シィ・ブラントネール(今日の夕陽はわたしのものよ・e03575)
フェル・オオヤマ(焔纏う剣と盾・e06499)
鮫洲・蓮華(ピンクは春まで待て・e09420)
ニュニル・ベルクローネス(ミスティックテラー・e09758)

■リプレイ

 口なき顔から苦悶を漏らし、ザ・トゥルーフェイスは膝を突いた。
 赤いレンズとポニーテール状のケーブル群以外特徴のない、無味乾燥な頭部に言い表せない痛みを感じる。本来の頭部を飛ばされ、マキナクロスで直されて以降一度として消えない苦痛。人間の死体を積み上げてもなお逃れえぬ苦しみに、トゥルーフェイスは苛立っていた。
「これで何体目だ……話が違う」
 眼前に広がる首なし死体の道の奥、自身に背を向ける人間たちが見えた。最後尾数人の頭をロックし、長大なバスターライフルを支えに起き上がる。水平に構えた銃口に青白い光がわだかまる。
「殺せば奴らは来るのではないのか……いつまで私を待たせるつもりだ、ケルベロス!」
「それは失礼しましたね」
 引き金に指をかける寸前、トゥルーフェイスは高空を見上げた。ビルに区切られた空中、濃密な殺気を放って滞空ヘリを飛び降りるいくつもの影! その中の一人、朝倉・ほのか(ホーリィグレイル・e01107)は草花の弓を引いて静かに告げる。
「戦いを始めます。フォーメーションは手筈通りに」
「了解ーっ! よし先生、全力でいくよっ! そぉいっ!」
 前方回転しながら鮫洲・蓮華(ピンクは春まで待て・e09420)が一足早く着地しフラッシュ! 光が失せた場所で金髪がなびく。黒ビキニめいた服装となった蓮華は赤い魔眼でウィンクを放つ! アイレンズに浮くエラーの表示。
「こんにちは! あなたの痛み、わからないようにしてあげるっ!」
「ウゥッ……!?」
 目を押さえ、トゥルーフェイスが苦しげにうめく。その肩を穿つ稲妻の矢。青緑色の大鎌でほのかはトゥルーフェイスを指し示す!
「トリカラードさん、オオヤマさん! 足止めを!」
「イエスマーム! 行くよッ!」
 遅れて着地したミライ・トリカラード(朝焼けの猟犬・e00193)とフェル・オオヤマ(焔纏う剣と盾・e06499)が弾かれたように走り出した。エラーを吹っ切ったトゥルーフェイスは指の間から迫る二人をロックオン。白塗りの銃を連続で撃つ。とっさに屈んだミライの頭上を光芒が突き抜け、フェルは展開した盾で全弾防御!
「ベルクローネスさん、ガードは任せます。御神さんとブラントネールさんは攻勢に!」
「了解だよ、コマンダーほのか殿っ」
 大輪のバラの杖を打ち振るニュニル・ベルクローネス(ミスティックテラー・e09758)。腰にリボンで結んだのと同型のテディベアが魔力で編まれ、連射光線を撃ち落とす。ビームシールドを収めフェルは低空飛び蹴りで膝を狙った。即座に動く腰部の砲台。小型銃口が火を噴く寸前、トゥルーフェイスの眼前で白いコートがひるがえる! 御神・白陽(死ヲ語ル無垢ノ月・e00327)の姿が溶けるように消えた直後、機兵は白貌を押さえてのけ反った!
「ぐぁぁぁああっ!」
「痛いかガラクタッ!」
 足の付け根にフェルの蹴り足が命中! 体勢を崩すその真上をミライが身をひねって跳び、トライデントめいた鎖を振り回す。地面に刻まれていく地獄の軌跡!
「死んじゃえば痛みも消えるさ! ヘルズゲート、アンロック!」
「……ッ!」
 腰部の砲台が改めて発砲! クロスガードで顔面を守るフェル、ニュニルがけしかける魔力の熊をノックバックし素早く後退。その隙にミライは鎖を引っ張り炎の魔法陣に接地した。
「コール・トリカラード! 地獄に落ちろダモクレスッ!」
 魔法陣が燃え上がり、三色の炎が伸びる! 赤青黄の炎に包まれた極太の鎖が、ニュニルの放つクモの巣模様のテディベアと一緒にトゥルーフェイスに殺到! レーザーで迎撃されても勢い緩まず! 時折幻めいて出現する白陽の斬撃をすんでで回避し、立ち回る機兵の頭上を取ったシィ・ブラントネール(今日の夕陽はわたしのものよ・e03575)はファミリアにささやいた。
「今日はアナタはこの中ね? 危ないから出ちゃダメよ?」
 一声鳴いて鳥籠に隠れる小さな猿を見送り無骨な鋼スタンプを振り上げる。熊が飛ばす魔術のネットを鎖もろとも凍結させたトゥルーフェイスに、力任せに振り下ろす! 横飛びで回避し膝立ち射撃姿勢を取る白い影を吹雪の衝撃波が吹き飛ばした。全身に氷が張っていく。
「目面さん!」
 ブリザードを転がる白い眉間に、目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)は真紅塗りのライフルを構える。沸騰するような痛みとともに、赤いカメラがぎらりと光った。
「お前は……あの時の!」
「久しぶりだな。あれで生きていたとは驚いたぞ。……ロックオンだ。食らえッ!」
 鮮血めいた赤い閃光が、身を起こす頬をかすめる。真は二対四枚の翼を広げて姿勢転換!
「トリカラードさん、鮫洲さん、ベルクローネスさんは引き続き足止めを! ブラントネールさん、オオヤマさんで目面さんに続いて追撃、御神さんは遊撃に回ってください! 一気に追い込みます……竜の吐息を!」
 矢継ぎ早に指示を飛ばしほのかは大鎌を振るった。蛇めいた竜の影が吐く業風を飛び越え、反撃の光弾がほのかに向かう。
「ぽかちゃん先生ーっ!」
 巨大注射器を光弾に突き刺し破壊! 子猫も尻尾で弾きお返しとばかりにリングを投擲。巨腕で弾いた腹に次弾装填した真は凍結光線を撃つ!
「もうひとつだ!」
「レトラ!」
 凍りつく白い腹部を裂かんと迫るシャーマンズゴーストを二門砲撃で押し返し、入れ替わりで飛び込むフェルにライフルを向ける。射線をふさぐナノナノがバリアごと吹き飛ばされるのを横目にフェルはチャージをかけた。
「やってくれたな。罪もない人を……よくもッ!」
「フン」
 無骨な肩をわしづかみにする手が煉獄めいて燃え上がる。赤と黒の氷に包まれながらも腰部の砲門はフェルの頭に狙いを定める!
「ならばもっと早く来い。お前達の首さえあれば、私は、この痛みは……」
「それで頭痛が治るわけないよね。バカなの?」
 砲塔に光るテディベアがまとわりついてロックを妨害。ニュニルはさらに杖を振って熊を呼び出しけしかける!
「身体悪いならお医者様に見て貰うべきでしょ。ねえマルコ? あ、機械だから工夫かな」
「うあああああッ!」
 炎の右手刀が肩に食い込む! トゥルーフェイスは頭をつかんで引きはがし、熊を振り払ってバックジャンプ! 大蛇めいて足に近づくミライの鎖も回避する。サイドに回りながらほのかの指示!
「御神さん、今です!」
「人使いの荒い指揮官様だ」
 トゥルーフェイス背面に現れた白陽は白雷ほとばしる切っ先を突き刺した。跳ねた二本の鎖が両足にからみつき三つ又の穂先でくるぶしを噛む。電撃を受けながら巨大なライフルが脇を向き、走るほのかの首に飛来! ナノナノの煎兵衛、子竜スクァーノが身を挺してレーザー弾を跳ね返す! 大鎌をかかげてジャンプするほのか!
「指揮官が戦えないと、誰が決めました? その力を貰います」
 流される電流に抗い、トゥルーフェイスは銃口を下向け狙撃! 腕で頭をかばい尻もちをつくミライに引かれて落下する。切っ先を抜かれた白陽は皮肉めいた笑みとともにほのかをキャッチ。フェルとレトラの顔を踏みつけたトゥルーフェイスの射線から姿を消した。
「フェルさんレトラさん今行くよっ! ぽかちゃん先生っ!」
 注射器を構え突進する蓮華の注射器がマニキュアのようなピンクの光を発射する! ライフルで撃ち抜き相殺したトゥルーフェイスの顔面に子猫が爪を立てた! 能面のような表皮がえぐられ鉄の色が顔を出す。猫を捕まえ転がる死体にたたきつける!
「グゥゥゥゥッ……顔が、私の顔がッ!」
「どうした、腹部がガラ空きだぞ」
 傷跡を押さえてうめくトゥルーフェイスの懐に飛び込む真! 甲冑をガントレットに変え、拳を振り抜く!
「砕けろッ!」
 鋼の殴打を片腕でガード! すぐさま距離を取りながら、表情のない目で真を見下ろす。
「また私の頭を潰しに来たか。この、頭さえも!」
 アームドフォートのけん制砲撃をステップ回避。巻き添えを食った首なし死体の四肢が飛ぶ!
「お前に頭を消し飛ばされ、そして直されて以来……この頭部から痛みが消えた時はない。いくら人間の首を消しても癒えない。それを、次はどこだ。腕か? 足か? どこにこの痛みを与えるつもりだ!」
「そのつもりはナイ」
 鼻先に突きつけられた銃口が、青い光をため込み輝く。
「オマエは今度こそスクラップにする。これ以上、オレの不始末で人を死なせるわけには行かないッ!」
「ならば、お前が先に死ぬといい。この痛み、お前の首級を以って消滅させる!」
「そうは行かないわ!」
 横殴りの光がトゥルーフェイスを突き飛ばす! 光翼を広げたシィは巨大鉄塊をフルスイングし、ライフルごとトゥルーフェイスをビル壁面に打ちつけた! だが銃口の光は消えない!
「ブラントネールさん、反撃が来ます! 備えて!」
 ほのかが叫んだ瞬間レーザー発射! 勢いを加えて回転、明後日の方へ打ち返した! ビルの一部が爆発する! 次弾をチャージするトゥルーフェイスの目前に白陽が出現、顔の傷に刀をねじり込んでえぐる!
「ぐぁああああッ!」
「どうした。ケルベロスの首ならここにある」
 逆襲の砲撃が白陽の背中をすり抜けた。皮肉めいた笑みを浮かべて消える白陽。瞳に静かな怒りを燃やすニュニルが複数のぬいぐるみを従えて杖を揺らす。
「キミに殺された人たちは返ってこない。キミの頭痛が誰を殺したって収まらないように。悪い人形にはおしおきしないと。ね、マルコ」
 痛みと損傷表示を全て捨て置き、トゥルーフェイスは凍結光線を発射! 殺到するぬいぐるみの群れを閉じこめた氷山を足場に跳躍し、複数の頭部に狙いを定める。カーソルに囲われたほのかが叫んだ!
「今です、総攻撃チャンス!」
「何……」
 直後、引き金に指を引かけたトゥルーフェイスの首、胴、ライフルを持つ手に三色の鎖が絡みつく! ミライは頭上で鎖を振り回し、火の軌跡で作った陣から鎖を放つ!
「いつでもいいよッ! さあ!」
「小細工を!」
 瞬時に射線を変えミライを撃つも、氷の張った片腕を鎖で巻いて防御する。帽子の下でにっと笑う瞳の中に無個性な頭と、飛びかかる蓮華とシィの姿が映る!
「レンカ! お先に失礼するわっ! 行くわよレトラ!」
 反射的に振り向き砲火を吐き出すアームドフォートの砲弾を、火だるまになったレトラが爪で跳ね返す! 腰の砲台を両方破壊した従者のシルクハットの真上を貫く大質量の鉄塊! パワーを乗せた一撃が胸部を砕き凍らせる! その後ろで、蓮華は注射器を投げ槍めいて投げつけた!
「お願い、ぽかちゃん先生ぇーっ!」
 レトラはシィをかばって緊急回避。開けた視界、鎖の引力に抗いトゥルーフェイスは注射器を狙撃した。白衣を着た子猫は粉々になる注射器から飛び尻尾をしならす! ピンクの液体を貫くリングを空の手で受け止めトゥルーフェイスが再度射撃! 氷像になって落ちる子猫をスクァーノと煎兵衛がキャッチする下を、フェルとほのかが駆け抜ける!
「次から次へと……まとめて狩り取ってやる。首は全て私がもらう!」
 マシンガンめいた速度で乱射される凍てつく閃光! 前に出たフェルがビームシールドを開きほのかを守る。当たるそばから氷と化していく盾。脇を跳ね、凍りながら去っていく死体を横目にフェルは吠えた!
「そんな攻撃で、私の首を狩れると思うなッ!」
「行きますよ、オオヤマさん!」
 大鎌を振りかぶったほのかの周囲に暴風が吹き荒れる。旋風をまとったほのかは、クレバスめいた損傷をさらす胴体に鎌の連撃を打ちつけた! 斬撃の嵐が当たるたび氷片と白い欠片がまき散らされる。三色の鎖に抗う力が徐々に弱まり、白い殻が内部機構を見せ始めた。
「三、二、一……」
 滅茶苦茶なラッシュをたたきこみ、ほのかは踊るように横回転。竜の爪撃めいた、横薙ぎの一閃!
「はい!」
「ァァァアアアッ!」
 咆哮とともに上がる火柱! 腹をえぐりとると同時に爆炎に包まれたフェルは右手を槍めいて伸ばす!
「自分の痛みのために、罪もない人を、こんなにッ! 許さない……アンタは私の焔で焼き切ってやるッ! 断ち切れ、ブレイズ……ラァァァムッ!」
 獄炎の手刀が白い胸を貫いた。関節、傷のいたる箇所から飽和した炎が噴き出す! 損傷率九十パーセントオーバー。アラートサインが、顔に走る激痛がトゥルーフェイスを駆り立てる。
「あ、頭を……かッ、狩かかかかれば私、ああああああ」
 ひび割れた声を上げ、ライフルを動かす。震える指が引き金に触れた瞬間、真の蹴りがライフルを飛ばした。真は崩れるように壊れていく仇敵を、真っ直ぐ見据える。
「敵ながら、オレはオマエにあこがれていた。オマエのように、強く在りたいと。……今度こそ、これで終わりだ。痛みのナイ世界へと旅立つがイイ。良き旅路を」
 振り抜かれた爪先が無個性な顔面を打ち砕く。頭部を破壊された体は糸の切れた人形めいて力を失い、炎の陣に飲まれて消えた。


「ぽかちゃん先生ぇ……なんともなくて良かったよー!」
「蓮華、無事ならこっち手伝ってくれ。流石に多い」
 解凍された子猫に抱きつく蓮華を呼び、白陽は遺体を並べる。人気のない道路に丁寧に並んだ死体は、当然全て首なしだ。流れ弾に当たり、手足が千切れたものもある。最後の死体を並べ終えたほのかは、仲間の表情をうかがった。
「……終わりましたね。あの、皆さん大丈夫ですか?」
「平気だよ。ね、マルコ」
 リボンをほどき、ピンクの熊を抱き上げるニュニル。うつむき、拳を音が鳴るほど握るフェル。数多の首を消し飛ばした白い銃を小脇に抱え、真は目を閉じ頭を下げた。
「オツカレサマ。それと、オレ個人のわだかまりに付き合ってくれたことに感謝する」
「目面さん……」
 ほのかと蓮華が顔を見合わせ何事か言いあぐねる中、ヒールを終えたレトラに鉄塊を渡し、シィは優しく微笑みかけた。
「大丈夫よ、マコト! デウスエクスが暴れたんなら、それはケルベロスみんなの問題! 力を合わせるのは当然よ! そうでしょ?」
 真は毒気を抜かれたように目を瞬かせ、やがて薄く笑った。同時に、フェルがうつむけていた面を上げる。
「……必ず」
 銀の瞳に決然たる誓いで満たし、拳を開く。
「必ず、倒します。指揮官も、残るダモクレスも、全て。二度と、こんなことが起こらないように」
 硬さの残る一同の顔がふっと和らぐ。腰裏に交叉した刀を確かめ、白陽は白い上着をひるがえした。
「撤収だ。行こう」
 各々が武器やサーヴァントを抱え、場を後にする。去っていく仲間の後ろを歩き、ミライが死体達を振り返る。首の黒い炎に触れ、小さくつぶやく。
「……ボクをこんな風にしたのも……ダモクレス、なのかな」
 わいた疑問をかぶりを振って払いのけ、仲間達を追いかけた。

作者:鹿崎シーカー 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年3月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。