血塗れの大鎌

作者:天枷由良

●赤に沈む街
 崩れ落ちる男の身体。目を見開いて転がる頭。
 青空に鮮血が糸を引く。
 繁華街の喧騒は悲鳴一色で染まり、渦巻く恐怖のなかでそれはただ一つ、密やかに動く。
 彼女――ブラッティヘルサイズにとって、市井の人々を斬ることは作業でしかない。
 赤い血を浴びながら、ケルベロスたちを呼ぶための。
「さぁ、早く来なさい。でなければ……」
 また一人の首を刎ねたところで、ブラッティヘルサイズはある女に目を留めた。
 端々に覗く金属部品。それがレプリカントであると理解した瞬間、振るわれる大鎌は激しさを増して女の五体を裂き、最後に左胸を穿つ。
「……汚らわしい」
 一言吐き捨て、ブラッティヘルサイズは鎌を引き抜く。
 真なる獲物を待ちわびる刃が、新たな首を飛ばして血溜まりを広げていく。

●ヘリポートにて
 指揮官型ダモクレスによる地球侵略の手は止まない。
「指揮官の一体『踏破王クビアラ』は自分と配下を強化するため、ケルベロスとの戦闘経験を得ようと配下を送り続けているわ」
 新たな予知について、ミィル・ケントニス(採録羊のヘリオライダー・en0134)は努めて平静を装い、語った。
「配下たちはケルベロスに全力を発揮させるべく、力のない人々を惨たらしく殺したり、人質に取ったりと悪逆非道の限りを尽くしているの。これから撃破に向かってもらう『ブラッティヘルサイズ』も、街中に突然現れて虐殺に及ぶわ。……すぐに発つけれど、被害を完全に防ぐことは出来ないでしょう」
 それでも今なら、散る生命の数を最小限にとどめておける。
 敵の目的が戦闘データの収集であっても、ケルベロスは行かねばならないだろう。
「ブラッティヘルサイズは黒と赤の薄いボディスーツに身を包み、大鎌を振るう女性型ダモクレスよ。ケルベロスとの戦闘が目的である以上、それなりの力を有しているでしょうね」
 状況に介入できるのは、すでに二人の犠牲者が出た後。
「レプリカントの女性が殺される前には、なんとか間に合うはずよ。皆と戦闘状態に入れば、周囲の人々を攻撃することはないでしょう」
 ただしケルベロスたちが戦闘状態への突入を遅らせたり、或いは一般人の避難誘導などに手を割いて戦いへ全力を尽くさない場合は、人々の生命を奪ってケルベロスたちを煽り立てようとするかもしれない。
「可能な限り被害を出さないようにしつつ、敵の目的も防ぐためには……とにかく短い時間での撃破を目指すか、気取られない程度に手加減をして収集されるデータの信憑性を下げるか……それとも、今までに試したことのないような戦い方をしてみるか……」
 いずれにしても、ケルベロスたちに協調性がなければ完璧な成功は望めまい。
 現場へ向かう間によく話し合って、十分に作戦を検討をするべきだろう。
「そのために役立てて貰いたい情報が、いくつかあるわ。まずは敵が使うグラビティの詳細と、間合いの取り方――いわゆるポジションについて。それから理由は不明だけれど、ブラッティヘルサイズはレプリカントに対して特に強い敵意を持っているようなの」
 戦いに挑むケルベロスたちにレプリカントがいるならば、狙われる確率が高くなるかもしれない。逆手に取ることが出来れば、作戦の組み立てが楽になるだろうか。
「もどかしい戦いが続いているけれど、とにかくダモクレスの目論見を一つ一つ阻んでいくしかないわ。それじゃ、行きましょう」


参加者
イヴ・ユークリッド(隠居レプリカント・e00293)
ワルゼロム・ワルゼー(枢機卿・e00300)
松葉瀬・丈志(紅塵の疾風・e01374)
リコリス・ラジアータ(錆びた真鍮歯車・e02164)
ブレイ・ディジョン(獄獣武装ヘリオブレイザー・e05435)
ヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816)
カッツェ・スフィル(黒猫忍者いもうとー死竜ー・e19121)
エルガー・シュルト(クルースニク・e30126)

■リプレイ


「――そこまでだ」
 淡々と、しかし胸の内にある炎の如き闘志を秘めた、エルガー・シュルト(クルースニク・e30126)の声が喧騒を貫く。
 声は形を伴わない。けれども生命失う寸前だったレプリカントの女と、残虐なるダモクレス・ブラッティヘルサイズの間には、エルガーの闘志を具現化したように真っ赤な塊が立ちはだかっていた。
「くぁ~顔色悪~い。ちゃんと栄養取ってるのオチぃ??」
 刃を前にしても怯まず、そして自分の調子を崩さずにブラッティヘルサイズと睨み合う者の正体は、赤いペンギンの着包みに収まるヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816)。
 凡人であれば、彼の姿には目を丸くするだろうか。事実としてレプリカントの女も、逃げるか逃げまいかといった人々も、まだ現状を飲み込めずに時の狭間へ取り残されていた。
 それは揺らめく廻魚の群れを創り出しながら、ヒナタと並び立とうとするリコリス・ラジアータ(錆びた真鍮歯車・e02164)を見ても変わらない。
 ただブラッティヘルサイズだけが針を止めずに、他とは違う色を。心がないとは到底思えないほど、憎悪に塗れたどす黒い感情を露わにしてくる。
「無抵抗な方しか襲えない程、性能が低いわけでもないですよね?」
 煽るリコリス。胸元に覗くはずの地獄は義骸に覆われていたが、それはブラッティヘルサイズにとって、もはや瑣末事であった。
 温かい血など決して通わない、青白い顔に漲る殺意。
「ふぁー雑魚専が怒った~~怖い怖~いのオチね~~」
 茶化すヒナタへ刃が振り上げられ――しかし、満ち満ちた力は解き放たれることなく、頂点で止まった。
「よう、そちらの思惑通り来てやったぜ。そして……」
 即、さようならだ。
 横から腕を挿し込んで、松葉瀬・丈志(紅塵の疾風・e01374)が不敵な面構えで言い放つ。
 握られた銃は言葉に反して、弾を撃ち出さない。しかしブラッティヘルサイズもまた、刃を下ろさない。
 戦いに身を置く者でなければ理解しがたいことだが、優勢に立っているのは丈志であった。敵の前に無策で身を晒しているようでいて、彼は微塵の隙もなく戦闘態勢を整え、己に有利な空間を奪い取っている。
 思うままに刃を振れば、手痛い反撃を受けるだろう。それを察したからこそ、ブラッティヘルサイズも動きを止めた。
 そして次の瞬間には、攻撃から一転、回避行動に出る。大地を蹴って飛び上がり、間合いを作る。
「……惜しいなぁ、もうちょっとだったのに」
 半拍ほど遅れた蒼い大鎌が手ぶらで返ってきたことを嘆き、カッツェ・スフィル(黒猫忍者いもうとー死竜ー・e19121)は至極残念そうに笑いながら、その刃を犬でも愛でるかのように軽く撫でた。
 不意を突いての一撃は御首を刎ねるまでにこそ至らなかったが、ともあれ一先ずの危機を脱する手助けにはなる。
「ここは通さないから、全力で遠くまで逃げてくれよ」
 敵から目線は切らず、声色を翻す丈志。
 込められた親しみはレプリカントの女に安堵を与えた。そして震えの止まった手足に、立ち上がるための勇気と力を、また一人のレプリカントがもたらす。
「クロス・アップ! マスク・オン! ――獄獣装甲! ヘリオブレイザー!!」
 ブレイ・ディジョン(獄獣武装ヘリオブレイザー・e05435)は堂々と叫びながら各部の装甲を展開・装着し、イヴ・ユークリッド(隠居レプリカント・e00293)とワルゼロム・ワルゼー(枢機卿・e00300)が起こす色とりどりの爆煙を受けて飛び出すと、体勢を維持したまま方々に呼びかけた。
「皆さん、俺達ケルベロスが来たからにはもう安心です。落ち着いて安全な所まで避難してください!」
 勇猛な言葉は、エルガーなどが纏うケルベロスコートによって裏付けられる。
 ケルベロスだ。ケルベロスが来てくれたから、もう大丈夫だ。
 九死に一生を得たレプリカントの女をはじめ、人々は互いを励ますように言いながら、徐々に戦場からの離脱を始めた。
 分け与えられた勇気を糧に、老人や幼子など動きの鈍い者を介助する様子も見られる。
 この分なら想定よりも少し早く避難が終わるかもしれない。ワルゼロムも避難の呼びかけを幾度か行ったあと、倒すべき敵を睨めつけた。
 性能向上のためだけに、無抵抗な者たちを殺戮しようとした輩だ。見過ごすわけには。
「ブラッティヘルサイズ! これ以上の殺戮は、このヘリオブレイザーが許しはしない!!」
 ブレイが代弁するように、殊更大仰な動きを加えて、なお叫ぶ。
 迸る熱意、正義感溢れる勇姿。対照的に冷めていくダモクレスの視線は、傍らにせり出したステージで子ペンギンたちと踊り始めたヒナタ、それからリコリス、エルガーを経て、銀髪の中にある蒼い瞳へと移る。
「私の剣とあなたの大鎌、どっちが勝つか勝負です!」
 終着点にされたイヴが武器を構えて言い返すと、歪むばかりだったブラッティヘルサイズの顔には僅かな笑みが溢れた。


 直後、エルガーの放った竜砲弾を打ち払い、ブラッティヘルサイズは一息でイヴの元へと詰め寄る。
 荒れ狂う大鎌。負けじと素早い身のこなしで刃を振るい、二度、三度と打ち合ったイヴは、機を見てカウンター狙いの一撃を繰り出した。
 しかし手応えはなく、代わりにイヴの全身を衝撃が襲う。
 それは技と呼ぶのも憚られるような、激情に駆られた連打。止めるためにブレイが気合十分で蹴りかかるも、アルティメットモードに変じた豪脚は軽くいなされ、逆に殴打の嵐を受けてしまう。
「っ! ……削り取られろ!」
 すぐさま事態を把握して、銃撃を放つ丈志。
 けれども暴風纏う弾丸は、黒髪を掠めて彼方へ。
「ギロチンフィニッシュ!」
 データの収集を妨害しようと、わざと違う技の名を叫びつつ、虚の力を込めて振るったカッツェの蒼鎌も獲物を捉えることは出来ず、尻尾を振って露骨な不機嫌さを示す竜人の少女など歯牙にもかけないまま、ブラッティヘルサイズは執拗に打撃を繰り返す。
 やがて庇いに動いたリコリスやヒナタへと攻撃対象が移り変わったこともあり、全体的な被害は軽微で済んだ。イヴのボクスドラゴン・アークとワルゼロムのシャーマンズゴースト・タルタロン帝がそれぞれ属性注入と祈りで治癒することで、動きの鈍りかけていたブレイからも異常は取り除かれる。
 しかし、ケルベロスたちの心にのしかかるのは、ブラッティヘルサイズの機敏さ。
 短時間での撃破を狙って、剣と盾ばかりを並べるような布陣で挑んだことが裏目に出ただろうか。眼力が示す数字は前衛を務める誰のものも頼りなく、如何ともしがたい。
「これは……ちと不味いぞ」
 呟き、ワルゼロムが状況を改善すべくオウガ粒子を振り撒く。サーヴァントの使役により不全な粒子は、ジャマーの力を加味しても対象とする前衛陣の多さから戦場に広く薄く伸びてしまい、万全とは言い難い効果を残して消える。
 それでも、何もないよりは遥かにマシ。今度こそよく狙い定め、懐に飛び込んだエルガーの鋭い蹴りが炸裂したのを足がかりに、ヒナタの打ったスパイラルアームが黒いボディスーツを捉えてねじ切った。
 合わせて、テレビウムのぽんこつ一号も顔面から閃光を放つ。ブラッティヘルサイズは大鎌を眼前に振って光から逃れたが、その間隙を縫って接近したリコリスの鉄塊剣までは捌ききれない。
 腕力だけで繰り出される、単純かつ重厚無比の剣撃。まともに喰らって吹き飛ばされた敵が、中空で体勢を整え着地を果たした時、リコリスからは「何故それほどまでにレプリカントを嫌うのか」と疑問が浴びせられた。
「……何故?」
 ぽつりと一言こぼしたきり、ダモクレスは何も語らない。
 けれども顔に満ちた憎悪から、ケルベロスたちは俄に感じ取った。
 それは人も抱くような、本能的拒絶だ。レプリカントがレプリカントである。嫌悪にそれ以上の理由などないのだろう。
 リコリスが作られた時から、死神を忌み嫌っているように。


 それから暫くの間、苛烈な攻撃がレプリカントたちを襲い続けた。
 殺意が転化した強力な大鎌の前に、イヴを庇ったアークが真っ先に散る。守りに重きを置いても、力量の差と耐性の不一致は埋めがたい。
 それでも相手の手番を一つ潰したと考えれば、十分な貢献であろう。代わりにイヴが超加速で一気に蹴散らそうと迫るが、その突撃は猛牛をいなすように躱された。
 既に繁華街からは人々の気配も失せ、エルガーの視界には消失したボクスドラゴンの代わりに、どうしても救うことが出来ないと言われた二つの亡骸が映る。
 前触れもなく生命を奪われたのだ。さぞや無念だったはず。
 弔いはブラッティヘルサイズを倒すことで成される。また大鎌が振り上げられたところで、エルガーは流星のような軌跡を残して飛び、至近距離から蹴りを打った。
 狙い澄ました一発は跳ね回る相手の動きを鈍らせ、攻勢の切っ掛けを作る。ワルゼロムが幾度か振りまいたオウガ粒子によって覚醒した超感覚も頼りに、今度はブレイが降魔の力が宿る一撃を叩きつけた。
 奪い取れるものは僅かで、傷を癒やしきるには程遠い。けれども忌み嫌うレプリカントから攻撃を受けたという事実は、ブラッティヘルサイズから体力だけでなく冷静さをも削り取る。それがまた、付け入る隙を生んだ。
「見た目から何から……とにかく気に入らないんだよ、お前!」
 息巻くカッツェが番犬――蒼い大鎌を解き放つ。空を裂いて進む刃は敵を激しく斬り刻み、腸を抉り取るように深く傷を与えて持ち主の手元へ返る。
 レプリカント以外の存在がいることを思い出したか、ブラッティヘルサイズは目を見張った。その顔に影が差して、また機人でない者の刃が墜ちる。
「一撃で砕け散れ!」
 高々と飛び上がった丈志の手が握るのは、銃でなくルーンの刻まれた斧。頭上から薪割りの如く一直線に下ろされたそれは、カッツェによって開かれたばかりの傷を、さらに巨大なものへと変える。
 しかしブラッティヘルサイズの目は、痛手を与えたものよりレプリカントたちを追う。鉄塊剣で付与された怒りが、元より抱く嫌悪と混じり合ってリコリスを狙う。どことなく二輪車のフレームを思わせる意匠の大鎌が放り投げられて、弧を描き迫る。
「くぁ! 行け! ぽんこつ一号!!」
 その刃が進む先へ向かって、ヒナタはテレビウムを投げた。
 斬撃には強いサーヴァントだ。当たっても一撃では消し飛ばないだろう。
 が、半ば強制された献身は虚しくも一呼吸分遅れて、大鎌は自身の持ち主が受けたようにリコリスを斬り刻む。剥がれた義骸の下から歯車と地獄の炎が覗いたのも束の間、創り出された廻魚が傷を埋め、リコリスは垣間見えたものを唯の火花だと言った。
 誤魔化せたかどうかは分からない。ただ、リコリスがレプリカントである証明を見たブラッティヘルサイズの憎悪が、苛烈さを増したことだけは確か。
 それを早々に消せるだけの手際をケルベロスたちは持たず、既に短期撃破の狙いは果たせそうになかった。


「滅します!」
 あちこちが裂けたレプリカント用のコートを翻し、イヴの剣に凄まじい雷が宿る。
 繰り出されるのは神速の斬撃。まさしく雷鳴の如き一振りを受け、ついにブラッティヘルサイズは膝を折った。
 しかし黒髪のダモクレスが伏せるより先に、イヴの方が力尽きる。身体に食い込んだ大鎌は、彼女から残り少なかった力を根こそぎ奪い取って、ブラッティヘルサイズのものに変えてしまった。
「くぁ、ご隠居~!」
 飛ばす先を失った気力を自分に当てて、ヒナタが嘆く。
 ワルゼロムも微かに首を振って、ブレイブマインを発動させた。回復力に長けたハオマの果実が届けばとは思うも、一人中衛に立つ身ではどうしようもない。
「あぁもう、しっつこいなぁ! 捨て駒のくせに!」
 苛立ちを露わに、カッツェの大鎌が虚の力を帯びて、ブラッティヘルサイズから力を奪い返す。そのくらいでは気も休まりそうにはなかったが、せめて一刻も早く、死神じみた姿の敵を殺さなければ。
 攻勢を強めるケルベロスたち。
 ブラッティヘルサイズも追い詰められながら、しかしまだ倒れずに反撃を試みて、さらに数分が経つ。
「コアブラスターブレーーード!」
 終わりの近づきを察したか、ブレイは胸の宝玉にエネルギーを集約、実体化させて剣を作り出した。
「悪を許さぬ俺の正義の魂は次元も超えるぜ! ――ディメンジョン・ブレェェイク!!」
 気合一閃。魂そのものをぶつけるような圧倒的な斬撃はブラッティヘルサイズを捉えたが……死に至らせるまでには、些か足りなかった。
 それから仲間たちが動く一瞬の間に、ありったけの殺意が込められた大鎌はブレイから意識を失わせるに十分。機械の身体が倒れて、がしゃりと大きな音を立てる。
 その様子は、癒し手の不在で積もるダメージの深さを表していた。次は己になるかもしれないと思いつつ、リコリスは度々廻魚を生み出していた、己自身とも言うべき灯籠を振りかざし、敵の頭を叩く。
 まるで喧嘩じみた攻撃は、ブラッティヘルサイズの皮を剥ぐようにして、あちこちにある傷を押し広げた。
 その隙間に、丈志が暴風纏わせた弾丸を叩き込む。初撃こそ髪を撫でるだけで終わってしまった銃弾は、傷を抉りに抉って更なる深手を負わせる。
「ここが行き止まり! ……死ね!」
 渾身の力で放られたカッツェの蒼い鎌が突き刺さり、淑やかさすら感じられたダモクレスの姿は人体模型のよう。
 その手に未だ握られる大鎌を踏みつけ、蒼い稲妻と重力を纏った脚でエルガーの繰り出した蹴撃が、ようやく敵の全てを砕いて戦いを終わらせた。
 倒れ伏すブラッティヘルサイズは、よりにもよってレプリカントに仕留められたことへの悔しさを漲らせ、消えていく。

「好き勝手しやがって……」
 ボヤく丈志が倒れた仲間を起こし、撤収の準備を進めている。
 エルガーは犠牲者に黙祷を捧げていた。一先ず弔い合戦には勝利したものの、しかし一同に重苦しい空気が漂うのは、人死にのせいか、それとも敵に、してやられたという感覚からか。
 けれど、幸いにして犠牲が増えることはなかった。今日はそれに胸を張って、帰るべきだろう。

作者:天枷由良 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年3月19日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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