雪景色に浮かぶスカイランタン

作者:あき缶

●天灯と大雪
 ユーデリケ・ソニア(幽世幼姫・en0235)は、香久山・いかる(天降り付くヘリオライダー・en0042)の手を引いて、ウキウキとした足取りでヘリポートにやってくると、
「のう、皆で雪まつりに行かぬか? いかるに連れてってもらおうぞ」
 とケルベロスに誘いをかけた。
 津南で行われる雪まつりがデウスエクスの襲来の余波で中止の危機に陥っているのだそうだ。
「道路が通行止めになっていて客が来れない状態になっているのが原因じゃから、わしらのヒールがあれば、雪まつりを敢行できるそうなんじゃ」
 津南の雪まつりには、雪像はない。代わりにかまくらがずらりと並んでいて、中の火鉢で食べ物を炙って食べることが出来る。
 もちろん大量の雪もある。自由に雪原で遊んで良いそうだ。
「あと、ここの雪まつりのいっちばんのハイライトは、夜に飛ばすスカイランタンじゃ!」
 ユーデリケは声をはずませる。
 スカイランタンとは、熱気球の一種だ。桑や米などの自然素材から漉いた和紙のような油紙を竹の骨組みに張り合わせた四角いランタンに、パームワックスでできた燃料をセットし、火をつける。熱せられて軽くなった空気による上昇気流で、ランタンを飛ばすというものだ。
 柔らかく優しい灯りが雪原から空に舞い上がる幻想的な光景――。
「皆で打ち上げると、真っ暗な空にオレンジの灯りがぱあっと散って美しかろうなぁ」
 うっとりとユーデリケは頬を両手で押さえた。
「スカイランタンには願い事を書いて飛ばすらしいのじゃ。願い事が天に届くようにってことなのかのー!? ロマンチックじゃぁ……!」
 蕩けそうな顔のユーデリケの隣で、いかるがペラペラとメモをめくる。
「アジアでは、無病息災を祈る民俗習慣として定着しているらしいで。スカイランタンは二人以上でないと飛ばせへんから、夫婦や恋人同士が打ち上げる特別なイベントみたいな感じになってるんやって。まぁもちろん、仲間で飛ばすのもアリやで、恋人に限った話やないわね」
「え! 一人じゃ飛ばせぬのか?!」
 いかるの何気ないトリビアに、ユーデリケは血相を変える。
「うん、四隅を押さえといて、同時に手を離さんとあかんからねー。一人じゃ四隅は押さえられへんやろ?」
「…………ぴぃ」
 ユーデリケは、一人では出来ないと聞いて涙目になるのだった。


■リプレイ

●白銀でまったり
 ぶわりと蒼空に広がる三重のオーロラヴェールが、キラキラと道路を修復していく。
「おー」
「よし、派手に決まったな」
 と自分たちが行ったヒールの予想以上の出来栄えに、歓声を上げる八剱・爽、パトリック・グッドフェロー、時城・さらのオラトリオ三名。
 路上には星座も光る。
「イベントがさらにロマンチックになりますね」
 ゾディアックソードを構えた弘前・仁王が満足そうに頷いた。
 大勢のケルベロスの尽力により、早々に道路は修復され、津南の雪まつりは無事開催の運びとなった。
 道路の損傷で客が通れなかっただけなので、ケルベロスのヒールを信じていた運営委員会により、雪まつりの準備は既に整えられてある。
 まつり会場にやってきたケルベロスは、一面に広がる銀世界、そして立ち並ぶかまくらに感嘆の声を口々に漏らす。
「お、あれがかまくらではないか?!」
 と声を上げるレッドレーク・レッドレッドの隣で、雪の少ない出身地故に積雪が物珍しいクローネ・ラヴクラフトは目を輝かせる。
「聞いてた通り、おまんじゅうみたいだ」
 クローネの隣で白いオルトロスお師匠も尻尾を振って嬉しそうだ。
 さて、既に鎌倉の中でくつろいでいる者もいる。
「一仕事も終えたし、今日はうちの診療所の福利厚生ってことで。 カンパーイ」
 と冷えたビールの缶を掲げるのは、珠弥・久繁。
 その隣で、
「いえ~い! あんまり働いてる感覚ないけど~福利厚生最高~~!」
 と同じくビールを掲げる診療所のナース、佐藤・唯は、火鉢の網の上にみかんを置いている。焼きみかんとして楽しむつもりである。
 同じように火鉢の上の焼き網に食べ物を載せているケルベロスは他にも居る。
 別のかまくらには、御神・白陽と猫夜敷・千舞輝がくつろいでいる。
 網の上には干し芋や膨れかけた餅が載っていて、芳ばしい香りが漂う。
「あぁーしばれるのぅ……」
 と言いつつ、千舞輝は携帯ゲームをいじっている。
「どんなのやってるんだ? 俺は全くゲームとか知らんのだけど……」
 と興味深げにゲーム画面を覗き込む白陽に、千舞輝はちらりと視線を送った。
「横から見とって楽しい? いや面白いんやったらええけど……」
 ともかくかまくら組は、まったりと楽しい時間を過ごせているようだ。

●白雪と戯れ
「見ているだけでも楽しいな」
 新鮮な気持ちになる真っ白な世界に、冷たくて清冽な空気。
 レン・ユニアはほうと白い息を吐き――、連れが見当たらないことに気づいた。
「ところで千代菊は何処だ」
「えぇ!? ずっと隣にいたじゃないですかぁー!」
 真っ白な犬のウェアライダー、日前宮・千代菊 が不満の大声を思わずあげる。
「そこにいたのか。雪と同じ色だからか探してしまったぞ」
「その台詞、良く言われます、冬になると」
 レンの言葉に真顔で千代菊は頷いた。
「雪と同化してしまうんですよねー、保護色ってやつなんでしょうかね」
 二人の視線の先には、熾烈なる戦いが繰り広げられている。
「はーはっはっは! 逃げろ逃げろ! 逃げまどえ!」
 びしびし飛んでいく純白の玉……ならぬ弾。
 福富・ユタカが旅団仲間と仁義なき雪合戦の真っ最中だ。
「さあぽんず、これが私たちの初陣となるわけです。気張って行きましょう」
 ふくよかなウイングキャットに、アイカ・フロールが顔を引き締め声をかける。
 ぽんずはせっせと雪を前足でコロコロして玉を作っている。
「さあ、作った雪玉を……ああ、食べてはいけません!」
 大騒ぎである。
 その横をユージン・イークルが全速力で駆け抜けていく――が、体に雪が弾ける。
「ふふ、外しませんよ? 弓か雪玉かは関係ありませんとも」
 得意げに雪玉を投げ上げてはキャッチしている狙撃手レカ・ビアバルナ。
 レカは次の標的を京極・夕雨に定めようとして、手を下ろす。
「狙うに狙えませんね」
 と困っているのも無理はない。
「勝ちゃいいんですよ、何したって」
 と夕雨はオルトロスのえだまめを盾にしているのだ。えだまめの泣き声を聞きたくなければ、攻撃するなというわけだ。
「えだまめの盾には攻撃できないよ……できるわけがないよ……」
 国津・寂燕にはこの卑怯な戦術が効果抜群であり、彼は為す術もなくへたり込み、しんしんと降る雪に埋もれていく。
 だが。
「あいって! ちょっとメノウさん、えだまめ超泣いてるんですけど、いってぇ!!」
「防御が疎かだぞ! 精進したまぇ!」
 木の枝で被弾を防ぎながら放たれる篁・メノウの雪玉は容赦がなかった。
 大騒ぎを耳に聞きながら、ティアン・バと神乃・息吹は雪原に、手を繋いで寝そべっていた。
 ゆっくりと両腕を動かし、雪の上に羽のような型を作っているのだ。
「もういいかな……」
 ティアンと息吹はそうっと立ち上がって、自分たちが作った人型を見下ろす。
「……成程。羽と言われれば羽っぽい」
「イブの跡、角の生えた天使みたい」
「あら、本当。ツノも綺麗に跡になってるわね。でも、羽も繋がっちゃってるわ」
 これでうまく飛べるだろうか――否、二人ならきっと大丈夫。
 二人は微笑み合って、繋いだ手に力を込めた。

●思いを込めて
 スカイランタンの受付所には、沢山のケルベロスが集まっている。
「うわあ、結構人いるね。これだけ沢山の人がランタンを浮かべるんだから、すごい景色になりそう!」
 キウ・イムラドリスが周囲を見回し、歓声を上げる。
 ここに居る人が全てスカイランタンを空に飛ばすのだと雪白・メルルは想像してみる。
「真っ白な雪の中、優しい灯が沢山舞うのはどんな景色でしょうね」
 きっと言葉にできない綺麗さなのだろう、とメルルはうっとりと目を細めた。
「なんだかんだで一緒に住んでるのに、二人で出かけるのは初めてって変な感じ……」
 トーマ・クラルスは順番を待ちながらぽつりと呟く。
 一方、隣のロゼット・リーオルは一人ドギマギしていた。
(「あれ? これって本で読んだことのある……所謂デー!?」)
「ロゼ?」
「……! な、なんでもないです」
 怪訝そうなトーマにぶんぶんとロゼットは首を横に振り回すのだった。
 受付を済ませたケルベロスは、渡されたランタンに願い事を書いていく。
「どんな願いがいいかなあ」
 燈・シズネ はペンを片手に首をひねる。
 そして、ふと思いついた言葉。
「君の隣に在りたい、なんてどうかな!」
 それを言われたラウル・フェルディナンドは柔らかな笑みを浮かべ、大きくひとつ頷いた。
 似たようなことをラウルも考えていた。同じ願いを希うことの喜びが彼の頬を緩める。
「露葉の願いは何だい?」
 ペンを手渡しながら問われた言葉に、藤里・露葉は小さく唸った。
「願い事あれど其は自ら切り拓くもの」
 思案の末に戻ってきた答えに、藍染・夜は納得して頷いた。
「自らで切り拓く……俺も同じ思いだな」
 ならば、と夜はペンをとる。
「その願いが叶うようにと記そうか」
「おお、やっとるのう」
 無事スカイランタンを手に入れたらしいユーデリケ・ソニアが二人に声をかけると、彼女の誕生日がつい先日だと知っていた夜と露葉は、彼女に祝辞を述べた。
「ユーデリケ 君達の道行きに幸あれ」
「ユーデリケちゃん、お誕生日おめでとうございますね。一、二ヶ月の遅れは何のそのです、ふふっ」
 思いがけないお祝いに、ユーデリケは頬を真っ赤にして喜んだ。
『アタシを好きだと、友達だと言ってくれる皆に、幸せと安寧を』
 と書いたエヴァンジェリン・エトワールを、藤守・景臣はいかにも彼女らしいと評した。
 ならば、と景臣は自分の願い事を別の面に記す。
『優しい友人に、永遠の幸せを』
 自分のことをよりも先に他の人の幸せを願う彼女の幸せは、彼が祈るのだ。
 互いの似顔絵を描き合うのは、嘉神・陽治と生明・穣。
 似顔絵には、今後も共に歩んでいこうという願いが込められている。
「似なくても拗ねないでくれよ?」
 と言う陽治に、穣は笑顔を返す。
「似てるよ。陽治上手だなぁ」
 隣の二人も同じくイラストを書いているが、影絵調のそれはもっと壮大でファンタジックだ。
 玉榮・陣内と新条・あかりは、『お姫様と王子様が出逢い、恋に落ちていく物語』をランタンに繰り広げる。
 陣内が描くお姫様はあかりのように小柄で、あかりが描く王子様にはまるで陣内のように三角の耳と立派な鬣がついていた。
「僕の、僕だけの王子さまだ」
 陣内は、彼らはずっと幸せに暮らしましたとさ、と英語で最後に書き添えた。
「それでは、ユストさんにはこちらのお願いをお願いします」
 白刀神・ユストは、和泉・紫睡に頼まれたことに目をひん剥いた。
「お前さんの願い事を俺がしろって? 自分は二つ願い事があるから? 徹頭徹尾我欲まみれじゃねーか!」
「いや私はその、『大切な子の無病息災』をお願いするので、ユストさんにお願い出来ればなー……と」
 紫睡が焼き鳥もちらつかせて頼み込むので、ユストはため息を吐くとペンのキャップを抜いた。
「まあ、その大切な子の無病息災とやらは俺も願いたいから、良いけどよー」
 少し離れた場所で、三人の女の子が手を取り合っている。
「二人の願い事は何かな? あたしの願いはね――」
 と咲宮・春乃は他の二人の耳の高さに合わせるように、踵を上げた。
 ルシェル・オルテンシアは少ししゃがみ、エフェメラ・リリィベルは膝を曲げて、春乃のお願い事に文字通り耳を傾ける。
 可愛らしい声と内容に、エフェメラはクスクス笑ってしまう。
「ほら、次は二人の番だよ!」
 春乃に急かされ、エフェメラはまたクスクスと笑った。
「わたくしのお願いもはーちゃんと一緒ですの。ルシェのお願いはなんでしょう?」
 二人の『みんなとまた一年傍に居られますように』という願い事の素敵さに、ルシェルはぎゅうっと両手に力を込める。
「ルシェの願い事はね、来年もここに一緒にこれますように!」
 つまり三人共ほとんど同じ願い事。
 だんだんと日は暮れて、青い空は朱色から暗い藍色へと変わっていく。
 夕日と空のグラデーションを眺めながら、七星・さくらはふるりと身を震わせた。
「暗くなってくると、結構寒く感じるわね……。ちょっとだけ、くっついても良い?」
 と身を擦り寄せてくる彼女の肩をそっとヴァルカン・ソルは抱き寄せた。
「ああ、陽が落ちれば流石に冷える。……ふふ、少しと言わず、もっと傍に来ればいい」
 既に空は完全な夜に変わり、人々の関心は夜空と舞い上がるスカイランタンに集まっていく。もうぴったりとくっついた二人に目を向ける者もいない。

●いちめんのスカイランタン
「せーの!」
 掛け声と共に一斉にオレンジの温かい光を宿すランタンが次々空へと舞い上がっていく。
 人々の顔を橙に染めながらランタンはふぅわりと上へ上へ。
(「貴女を見て 朱に染まる頬も、この灯りが誤魔化してくれるでしょうか?」)
 ランタンに見とれる百鬼・澪を見つめ、十夜・泉はそんなことを考える。
 澪はふと泉に目を向け、気恥ずかしそうに切り出した。
「私の、願い事。聞いてくれますか、泉さん」
 ――来年もまた、貴方の隣で同じものを見ていたい。
「おー、綺麗だな。この夜空に浮かんだ願い事、全部叶うといいな」
 爽が空を見上げ、素直な感想と願いを述べた。
 パトリックはそれをほろ苦く聞く。彼の本当の望みは、故人と会うことだから絶対に叶うことはない。
「三人共に、ここ三ヶ月でこんなに目まぐるしかったものね」
 さらはしみじみと流れた月日を噛み締めていた。
「おお、綺麗っスなぁ! 星を放ったようっス!」
 ハチ・ファーヴニルはランタンに負けないくらいキラキラ目を輝かせて、闇に浮かんで小さくなっていくランタンを見つめている。
「自分達の願い、本物の星まで届くっスかねぇ?」
 ランタンはそんな高くまで届きはしない――が、今はその言葉も信じたい。
 シグリット・グレイスはクールな表情を今日ばかりは少し崩した。
「届くさ、きっとな」
 と言いながら寄り添って手をつなげれば完璧だったが、照れ屋な彼には、言葉だけで精一杯だったらしく、伸ばしかけた手をぐっと握って引っ込めてしまう。
 しかし、空に釘付けだったはずのハチの視線は愛しい人には敏感だ。サッとその手の意図を察し、逃げかけたシグリットの手を握り込むと、愛おしげに微笑んだ。
「そしたら自分達、ずっと一緒に居られるっスね」
 隣の彼女は何をランタンに託したのだろう、とシル・ウィンディアはヌリア・エフェメラルに視線を向けている。
「やっぱり秘密かなぁ?」
 心の声が口に出ていたらしい。ヌリアはシルに目を向けると優しく答えた。
「今日は……秘密じゃないわ。秘密にしたら、きっと飛ばす意味がないもの」
 大切な人が、いつも笑っていてくれますように――ヌリアの願い事を聞いて、シルは笑む。
「ヌリアさんの願い事、わたしのと似てるのかも? このお願いは、小さなことかも知れないけど。わたしには、とっても大切な願い……」
 ふたり願いを託したランタンを見上げる。もう随分とランタンは小さくなっている。
「凄い……空一面の光だわ。私もいつか、皆に見惚れられる星のような存在にならなきゃっ!」
 蛇荷・カイリは幻想的な夜空に歓声をあげ、そしてぐっと決意を新たにする。
「ユーデリケちゃんはお誘い、本当にありがとねっ! これから先、此処で願われた全ての善い想いが未来に届くように祈りましょっ♪」
 ユーデリケはカイリと仁王と共にスカイランタンを揚げたのだ。
 二人に笑顔を向けられ、
「そうじゃの!」
 ユーデリケは大きく頷き、ぱぁっと明るい顔でランタンを見送った。
「……降っては来ないのよね、この灯りは」
 高く遠く小さく小さく風に乗って流されていくランタンに、グレイシア・エフェメラルはぽつんと呟く。
「この逆さ雪はまるで春を呼びに行っているみたいだわ」
「あら、グレイシアさん詩人ね 逆さ雪、かぁ……。早く春を呼んでくれないかしら」
 セレスティン・ウィンディアは遠いようで近い春を想い、遠くを見つめた。
 そんな二人に、アーロン・レドモンドは頷く。
「この世界には季節ごとにいろんなイベントがあるだろう。だから春もきっと待ち遠しくて、すぐに来るさ」
 無数のランタンもケルベロスの視界から消えていく。
「人の数だけ願いがあるなんて言うが、カタチとして見ると感極まるものがあったな」
 また夜空に戻った雪まつりの会場で、ダレン・カーティスはそう感想を述べた。
「まるで映画のワンシーンの様なこの一時は、願いを打ち上げたそれぞれが皆、主人公達なのね」
 鎧塚・纏がそうロマンチックに返すと、
「皆が人生っつー舞台の主役を張ってるって言うしね」
 なんて気障なセリフで応じられる。
「お願い事が、叶うかについてはわたし、叶うって、叶えてみせるって根拠はないけど自信があるから大丈夫よ」
 纏が力強く明るく言うと、ダレンは包み込むように笑って、ぱんと己の胸を叩いてみせた。
「根拠の無い自信なんかじゃーないぜ。その願いは俺が叶えてやるよ」
「ええ。何たって、わたし達ですもの!」
 纏は大きく深く頷いた。
「はっちー、もっともっと高く高くー! ランタン行っちゃう」
 名残惜しむように消えていくランタンを視界に少しでも長く収めていようと、アスカ・アサッテカは八王子・東西南北の肩の上でぐいーっと背を伸ばした。
 ランタンがよく見えるようにと東西南北の気遣いによる肩車だったが、東西南北はそこまで屈強な男子ではない。
「わ、そ、そう急に姿勢を変えられたら……! アッー!!」
「うわ、ちょ……あひゃー!!」
 ぐらぐらっとバランスを崩して、アスカもろとも東西南北はあえなく雪の上へ。
 ぼすーん。長い長い人型の穴が出来たとさ。

作者:あき缶 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年2月22日
難度:易しい
参加:56人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 8/キャラが大事にされていた 3
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