●空からの急襲
おそらくは春休み中の大学生だろうか。
河川敷をジョギングしていた青年は、なにかの影が自分の体に落ちていることに気づいた。
だが、気づいたときにはすでに手遅れだった。
頭上にいたのは人工衛星を思わすデザインのダモクレス。
モノアイを有する本体の上部に、ソーラーパネルを取り付けたパラボラアンテナという形を持つダモクレス。
アンテナの焦点に当たる位置では、赤い光が明滅している。焦点を原子核として、電子のように周囲を光が回転している。
もっとも、彼に見えたのは、下部に存在する大砲だけだっただろう。
砲口に集まる光が、すでに発射寸前であることを伝えてくる。
「ひ……」
悲鳴をあげる間もなく、放たれた光線が彼を包み込み、消し飛ばす。
後には底が黒く焼けた大きな穴だけが残っていた。
パラボラアンテナの焦点が明滅する。
そして、ダモクレス――グラウンド・ペネトレイターは次なる獲物を求めて飛び去った。
●空からの脅威を阻止せよ
先月ごろから始まった、指揮官型ダモクレス配下による地球侵略作戦は継続していた。
「イマジネイター配下の新たなダモクレスの行動が予知できました」
指揮官型ダモクレス『イマジネイター』は、6体の中でも特殊だ。規格外のイレギュラーなダモクレスをまとめている。
彼らをつなぐのは能力ではなく、自分と同じ規格外とされた者への連帯感だという。
規格に捕らわれない彼らが、統一された作戦行動を取ることはない。
イマジネイターの地球侵略のため、それぞれグラビティ・チェインの収集やケルベロス打倒など、独自の目的を持って行動を起こすのだ。
「今回活動を予知したのはグラウンド・ペネトレイターというダモクレスです」
人工衛星を想起させる外見のダモクレスは、空中を活動範囲とする。
とある街に現れ、犠牲者を見つけると下方へ向けられた大砲で頭上から撃ち抜くのだ。
「最初は河川敷に出現し、川沿いに移動しながら無差別に人々を殺していくようです」
そして、無差別に人を殺しながら徐々に探索範囲を広げていくのだという。
ヘリオンで急いで移動すれば犠牲者が出る前に現場に到着できる。
ただ、事前に避難活動を行うと、敵は別の場所を狙う可能性が高い。最初にダモクレスに発見されるのはジョギング中の青年だという。
出現時点では空を飛んでいる敵だが、地上を攻撃可能なら地上からの遠距離攻撃は届く。
それに、ケルベロスが現れたならおそらく敵は低空飛行に切り替えるだろう。
空を飛ぶのは、犠牲者を探すのに便利でも戦闘ではあまり有効ではない。
もし飛ぶとしたら逃げようとする時くらいか。イマジネイターの配下は仲間のためなら死もいとわないそうなので、逃げるかどうかはわからないが。
「敵の攻撃手段ですが、もっとも注意が必要なのは下部にある大砲です」
ペネトレイターと呼ばれる、人を一瞬で消し炭に変えるレーザー砲。連続照射することでさらにダメージを増す最強の攻撃手段だ。
当たり方が悪ければケルベロスといえども一撃で倒れるかもしれない。
ちなみに砲は向きを変えることが可能なので、下向き以外にも攻撃できる。
レーザーは拡散させて範囲攻撃も可能だ。受けた者はプレッシャーで攻撃が当たりにくくなってしまうだろう。
上部についているパラボラアンテナから熱波を周囲に照射して攻撃することもできる。体が焼かれて麻痺してしまう可能性があるようだ。
「指揮官型ダモクレスがいる限り、ダモクレスの攻勢は続くでしょう。できれば早く解決する糸口を見つけたいところですが、まずは事件を1つ1つ解決していきましょう」
芹架は静かに頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
岬守・響(シトゥンペカムイ・e00012) |
マイ・カスタム(重モビルクノイチ・e00399) |
松葉瀬・丈志(紅塵の疾風・e01374) |
凪沢・悠李(想いと共に消えた泡沫の夢・e01425) |
狗上・士浪(天狼・e01564) |
ククロイ・ファー(鋼鉄の襲撃者・e06955) |
祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083) |
フィーユ・アルプトラオム(愛を求める少女・e27101) |
●ジョギングより早く
川沿いの一角に降り立ったヘリオンから、ケルベロスたちが飛び出した。
「人工の星、そのカタチをしたデウスエクス、か。星も神々も空の向こうにあるうちは、こちらから手を出す道理もないのだけど」
岬守・響(シトゥンペカムイ・e00012)が皮肉げに笑った。
「……衛星なのだからずっと宇宙空間にでも居てくれればいいのだがな、ダモクレスにそんな道理は無いか。……降りてきた以上は祟るのみ」
血塗れの白装束をひるがえし、祟・イミナ(祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟・e10083)も戦場となるはずの地点へと急ぐ。
「ああ、行こうか。狩りの時間だ」
言葉と共に、川べりにあるジョギングコースを彼らは風より早く駆け抜ける。
「最近報告に上がってる量産型とは違うよね……さすがに」
マイ・カスタム(重モビルクノイチ・e00399)の仮面についているモノアイが、不安げに揺れた。
「そいつは大丈夫だろ。量産型を送り込んでるのとは別の指揮官らしいしな」
鋭い視線を前に向けたまま、狗上・士浪(天狼・e01564)が言った。
「そっか、よかったー。……あんな上空から凶悪な対地レーザー撃ってくる飛行体なんて量産されたら面倒この上ないよね」
「あいつはあいつで面倒だがな。規格外、目的もバラバラ。統一されてねぇ奴らがここまで厄介とはな。……サッサと廃棄処分と行こうじゃねぇの」
並の人間ではとても追いつけない速度で走りながら、ケルベロスは息も切らせない。
「空から砲撃とは、また厄介な事をやってくるもんだな。効果的なだけにタチが悪い」
「やっぱり航空戦力ってのは厄介だよね……その上、今回は被害が出る一歩手前だし」
松葉瀬・丈志(紅塵の疾風・e01374)と凪沢・悠李(想いと共に消えた泡沫の夢・e01425)が言葉を交わす。
「だったら、こっちも全力で当たるしかないな」
「まずは人助けをして、その後で確実に破壊しないとね。……あは、楽しみだなぁ♪」
クールな表情をした丈志が身に着けた西部劇風のダスター・コートと、陶然としたした笑みを浮かべる悠李の黒髪がひるがえる。
現場はもう近い。
犠牲になるはずの男がケルベロスたちの視界に入った。
「いましたわよっ! 降りてきますわ!」
フィーユ・アルプトラオム(愛を求める少女・e27101)が空を見上げると、降下してくる人工衛星――いや、ダモクレスが見えた。
「ペネトレイター……飛行能力持ちで高火力か。制空権を支配できる奴がいると今後厄介なんでな。ここでスクラップになってもらうぜェ!!」
攻撃態勢に入ろうとする敵へ、ククロイ・ファー(鋼鉄の襲撃者・e06955)がライトニングブレイドを向ける。
「……俺は回復に専念するがな!」
力強く宣言した彼の横を、士浪やマイが駆け抜けていった。
●降り来たるダモクレス
下へと向けられた砲口にエネルギーが集まっている。
まずは、ジョギング中の青年を助けなければならない。
マイは攻撃を受けようとしている青年へ駆け寄る。
「ぼさっとしてるんじゃねぇよ! どけ!」
同じく駆け寄る士浪が叫ぶ。
「そこの君っ、頭の上に気をつけようねっ!」
呼びかけられたことに気づいた男が、足を止めて振り向く。
響や悠李が空中へ向けて牽制の攻撃を放った。
「う、うわーっ!」
「危ないよっ!」
両手を広げてかばいながら、マイは青年を背中で押しのける。
けれど、攻撃は降っては来なかった。
見上げた先にダモクレスのパラボラアンテナが見える。アンテナの皿で隠れていたが、光が素早く何度も点滅しているように見えた。
ダモクレス、グラウンド・ペネトレイターが地上近くまで降下してくる。
パラボラアンテナの焦点が、まるで苛立っているかのように点滅しているのが、今度ははっきり見えた。
敵が降下してくるが、マイは全力で動きに合わせて青年とダモクレスの間を阻む。
「でかいなりで弱い奴を狙ってるんじゃねえよ。さっさと行きな!」
士浪が青年を後衛のほうへ押しやった。
ダモクレスは言葉を発しない。表情どころか顔すら存在しない敵が、まだ彼を狙っているのかどうかは読み取れない。
下へ向けていた砲塔を水平方向へと傾けた。
「人工衛星にとりついた寄生型……じゃ、ないよね?」
真正面に見える敵の姿に、マイはそんな感想を抱いた。
見れば見るほど、地上よりもむしろ宇宙空間にいるのが似合う姿だ。もっとももし人工衛星なら地上まで降りてきたりはしないのだろうが。
考えている間にも砲口に光が集まっていく。
「無差別攻撃する攻撃衛星とは、穏やかじゃないな、おい」
士浪から青年を受け渡された丈志は、ハットを押さえながら彼を移動させていく。
ククロイは近くにいたフィーユに目配せをする。
「さあ、彼が戻ってくるまで、しっかり支えるとしようか。スキャニング『シャドウエルフ』! 粒子、展開ッ!!」
自身の体内に蓄積したシャドウエルフのデータを、ククロイはスキャンする。
自身のグラビティをシャドウエルフのものと同質化して生み出したという粒子は、敵を妨害し、あるいは味方を強化する力を高める。
「わかっていますわ。回復役なんだから、今回は冷静にいきますわよ」
ゾディアックソードを振るい、フィーユは星座の加護を周囲に展開してくれた。
ほとんど時をおかず、ペネトレイターが向けてきた砲口より拡散する光がケルベロスたちへと放たれた。
「……蝕影鬼、遠慮なく祟るといい」
紙兵で前衛を守りながらながら、イミナがビハインドへと命令を下す。
「お前の相手は私だよっ! ――アイレーザー照射」
マイが眼から赤色光線を放って敵の注意をひきつける。
他の仲間たちもそれぞれに技を放っていた。
「さっそく仕事ができたようだぞ!」
傷つきながらも攻撃を始める仲間たちへ、ククロイは得物を構えなおした。
ケルベロスたちの反撃が効いているのかいないのか、再びペネトレイターの砲口には光が集まりはじめた。
響は放たれた光から、アイヌ民族の神の名を冠したハンマーで身を守ろうとした。
「っ……危ない!」
だが、武器よりも先に、マイが彼女をかばってくれていた。
「悪いね、マイさん」
「ううんっ、頼りにしてくれていいんだよ?」
礼を述べながらも、響は敵から目をそらさなかった。
(「拡散するビームと今のと、ほとんど動きに差はなし、か。直撃を避けるのはなかなか難しそうだね」)
とはいえ、観察を続けていればなにか気づくかもしれない。
「さあ、始めようか――せいぜい楽しませてよねッ! 君はどこまで付いて来れるかなっ♪」
二振りの刃を手に悠李の体がおどる。先ほどまでとは打って変わって、頬が、言葉が、熱を帯びている。
自身の倍ほどもある敵の周囲を、跳ね回りながら切り刻んでいた。
「斬り裂き、廻れ。神宿る剣」
響もまた接近して、呪を唱えて剣を呼んだ。
剣に宿るものは名高き神。獣神を宿した剣は殺戮の歌を高らかに響かせる。
丈志はその間に、青年を避難させていた。
好印象を与えやすい地球人であることも手伝い、青年は素直についてきてくれていた。
もう戦場からは十分に離れている。
「この辺りまでくれば大丈夫だな。注意を引かないように静かに逃げろよ」
「は、はい。……あの、頑張ってください、ケルベロスの皆さん!」
背を見せた丈志へ向かって、青年が呼びかけてくる。
「……任せときな」
ガンナーズハットを押さえて、丈志は戦場へと駆け戻っていく。
仲間たちが戦っている姿はすぐに見えてきた。
「……痛覚の有無は見て分からないが、動きは止めさせて貰う。祟る。祟る祟る祟る祟る祟る祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟祟……封ジ、葬レ……!」
「とりあえず、蹴とばしとくかい!」
イミナの杭が、士浪の重力を操った蹴りがグラウンド・ペネトレイターに命中する。
丈志は手にしたライトニングロッドから自分自身へと雷撃を叩き込む。
電流によって身体能力を賦活し、彼はそのまま敵に狙いをつけた。
「もっと下まで降りて、いや、落ちて来いよ」
敵味方が入り混じって戦う戦場を雷鳴を帯びた砲撃が貫き、過たずダモクレスを打った。
●空から落ちたダモクレス
8人そろったケルベロスとサーヴァントは、ダモクレスに全力の攻撃をしかけていく。
ペネトレイターは、ただ邪魔なケルベロスたちを排除しようとしているようだった。心もなければ顔もないダモクレスがなにを思っているかはわからない。
しかし、少なくともその攻撃力は厄介なほど強力だ。
特に、熱い視線で攻撃を引き寄せているマイには回復が追い付かないほどだった。
「まだまだ!」
光に貫かれ、熱に焼かれ満身創痍のマイが叫ぶ。
もっとも攻撃のすべてが彼女に向けられているわけではない。
フィーユはパラボラアンテナから放たれた熱波に焼かれた。
ククロイや丈志も強烈な熱から腕や武器で身を護ろうとしているが、防げはしない。
もう幾度目かになる強い熱を浴びて、足首まである長く美しいフィーユの髪までもが焼けてきている。
「この……いい加減にしてくださいませんかしら?」
妖しくも美しい、薄紅の鎌を握る細い指に力がこもった。
思わず殴りかかりたくなる衝動を、なんとか抑えこんでいた。
「落ち着きなよ。俺はマイちゃんの回復を続けるから、君は俺たちを回復してくれ」
「言われなくたってわかってる。落ち着いてますわよ!」
押し殺したつもりの怒りが言葉の端ににじんでしまうけれども、フィーユも自分がなすべきことはきちんとわかっている。
「死んでなきゃ治すッ!」
ククロイはマイに心霊手術を続けている。
「名医だぜ、俺!」
傷つきながらも的確な治療をほどこし、彼は自画自賛した。
フィーユも回復するべく鎌を腕に押し当てる。まだ苛立ちが残っているのか、ちょっと強めに力が入った。
「私の薔薇よ咲き誇りなさい!」
零れ落ちる鮮血が、無数の薔薇へと姿を変える。
周囲に漂うかぐわしい香りが、誰よりもフィーユ自身の心を落ち着けてくれる。もちろん、仲間たちも同じだった。
フィーユやククロイの尽力があっても、どうしても治せぬ傷は残る。
マイに向かって放たれたペネトレイターの一撃を、イミナの蝕影鬼がかばう。ビハインドが吹き飛び、倒れた。
けれども、さらに攻撃を続けようとしたダモクレスの動きが不意に静止する。
大砲とパラボラの接続部あたりから、なにかが割れるような音が響いた。
「祟りが効いたようだな。蝕影鬼を倒したりするから祟られる」
イミナはそれが、先ほど五寸釘を打ち込んで祟った場所から聞こえたと気づいていた。
攻撃に失敗した敵にケルベロスたちが一気に攻撃を加えていく。
「確実に狩らせてもらうよ」
「アハッ、動きが単調になってるね♪」
響が冷静に、悠李が楽しげに、それぞれの武器を振るった。
「捕えた!」
傷だらけのマイも、エネルギー光弾を放って敵のグラビティを中和している。
「……祟る祟る祟る祟祟祟祟……」
敵を縛るのはもう十分と判断し、呪いの言葉と共にイミナは氷結の螺旋を練り上げた。
「……内部まで凍て付くといい」
熱波を放つアンテナが、凍てついた。
グラウンド・ペネトレイターの攻撃は強力だが、ケルベロス側には癒やす手段と手数がある。人工衛星がボロボロになっていく。
一瞬、敵が飛翔しようとしたのに、幾人かが気づいた。
けれど、ペネトレイターはそれをやめて、再びマイへと光線を放つ。
士浪はマイを突き飛ばし、代わりに攻撃を受ける。
直撃すればマイは危ないが、守りを固めている士浪ならまだ耐えられる。
「逃げたってよかったんだぜ。そうすりゃ今度はこっちが狙い撃ちにするがな。大人しく空の上に浮かんでりゃ、こんな目にあわなくてすんだってのに」
耐えられるが、痛くないわけではない……が、彼は痛みを顔には出さずに言い放つ。
フィーユが魔法の木の葉を生み出して、守ってくれた。
敵の足がだいぶ鈍っていると見て、士浪は木の葉をまとったまま前進。装甲のめがけてバトルガントレットに覆われた拳を突き出す。
その一撃は、装甲には傷をつけなかった。
「壊すにゃあ、外からとは限らねぇぜ。……荒れ狂え」
ただ、内部へと流し込んだ気が荒れ狂い、ダモクレスの機構を傷つける。
もはやダモクレスの死……いや、破壊は間近だった。
なおも確実にマイの回復を続けるククロイの影から、丈志が弾丸を放った。
「調和と秩序を、この手の中に。空でも逃がさねーぜ」
弾丸にネイティブアメリカンの精霊が力を与えて敵を押さえ込む。
壊れかけでありながらも、ペネトレイターに光が集まる。マイを狙ったその一撃は命中するが、ギリギリのところで彼女はそれに耐えきった。
悠李は大砲の部品を足場に、敵の頭上を飛び越える。セミロングの髪が宙へと跳ねる。
パラボラアンテナの焦点が激しく明滅しているのが見える。
まるで、心臓が早鐘を打っているように見えて、悠李は口の端を上げた。
敵の側面から、響がバールを叩きつけて装甲を砕くのが見えた。
ダモクレスの正面に悠李は着地するーー。
「どこ見てるのかな……コッチだってばッ!」
と、次の瞬間には響のいた側に回り込んでいた。
神気狼と魔天狼、対となる銀と黒の剣を左右の手で同時に振り上げて、悠李は砕けた部分から敵を断ち切き、内部までをも切り刻む。
「イ……マジ……ネイター……」
戦いが始まってから初めて、グラウンド・ペネトレイターが言葉を発し、そして全てのパーツが川べりへと落下した。
大きく息を吸い込み、吐く。
「……ふぅ、みんなお疲れ様」
悠李は穏やかな表情を作って、仲間たちへと振り向いた。
「終わったねー。みんな、無事かな?」
「一番無事じゃない奴がなに言ってんだ。ほら、手当してやるよ」
大きな胸をなでおろし、モノアイで仲間たちを見回したマイに、士浪が言う。
「とりあえず事件は終わりだが、残骸は調べておかねばな。指揮官につながる手がかりがあるかもしれん」
「これ以上服を汚したくはないのですけれど……仕方ありませんわね」
ダモクレスの残骸に近づくククロイに、ため息混じりにフィーユが続く。
「河川敷も荒れてるし、直しとかねえとな」
気力を溜めながら丈志はふと、空を見上げた。
青空を彩る白い雲。危険なものは、もうどこにもない。
「やっぱ人工衛星は平和利用されるべきだよな、うん」
呟いて、彼は修復を始めた。
作者:青葉桂都 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年2月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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