赤鬼が出たんだし、次は青鬼じゃないかな!?

作者:ひなせ弓狩

「もうじき日の出だ。ここに隠れて見張っていれば、あの子達が噂をしていた『樹氷を作る青鬼』が山を降りるのを見れるってわけだ」
 樹氷観光ツアーのコースから少し外れた場所に出発時間より随分前から忍び込んで、自作の雪洞の入り口でカメラを抱えているのは、旅をしながら趣味で写真を撮っている男だ。
「しっかし、本当に絶景だな。どこまでも広がる雪原と、雪にすっぽり覆われた樹氷……旅館にいたチビ達は、これの事を雪の坊って呼んでたか。こんなにでかくて雪像みたいな迫力があるんだ。確かに青鬼が作ってそうだよなあ」
 麓の旅館で、男が撮った数々の風景写真が収められたアルバムを見ながら、村の子供達が教えてくれたのは、夜中に樹氷を作り、朝方山を降りるという青鬼の噂話。
「『おじさん知ってる? あの樹氷はね、ぼくたちは雪の坊って言ってるんだけど、それは青鬼が作ってるんだよ』なんて、あんなに目を輝かせて話てくれちまったら、それを撮らねえ訳にはいかないよな。俺も見てみたいし。ってか、俺はまだ、おじさんじゃねーっつの」
 噂の青鬼を是非ともカメラに収めてやろうというそんな男の前に、突如一つの影が現われた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 第五の魔女・アウゲイアスが手に持った鍵で心臓を一突きされ、意識を失って倒れた男の側に、大きな青鬼が現われた。

 不思議な物事に強い『興味』をもって、実際に自分で調査を行おうとしている人が、ドリームイーターに襲われ、その『興味』を奪われてしまう事件。 
「今回は、『樹氷を作る青鬼』という噂話に興味を持って、調査を行おうとしていた男性が襲われてしまいました」
 セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)の事件の報告を、集まったケルベロス達と共に聞いていたミュラ・ナイン(想念ガール・e03830)は驚きの声をあげた。
「赤鬼が出たんだし、次は青鬼じゃないかな? なんて思ってたんだけど、本当に出ちゃったんだ!」
 セリカは、ミュラの懸念が的中したのだと頷いた。
「第五の魔女アウゲイアスは既に姿を消しているようですが、奪われた『興味』を元にして現実化した怪物型のドリームイーターが事件を起こそうとしているので、撃破して頂きたいのです。そうすれば、被害者も無事、目を覚ましてくれるでしょう」
 怪物型のドリームイーターは青鬼の姿をしており、配下は存在しない。
 その青鬼は、人間を見つけると『自分が何者であるか』を聞いてきて、正しく答えると何もせずに去っていく。なので逆に言えば、間違った答えや、何も答えなかったりすると怒って襲ってくるという事になる。
「また、ドリームイーターは自分の事を信じて行動したり、噂している人が居ると、その人の方に引き寄せられる性質があるので、うまく誘き出せば有利に戦えます」
 とセリカはケルベロス達に説明をし、
「被害者の男性を救うためにも、ドリームイーターがこれから事件を起こしてしまうのを防ぐためにも、どうかこのドリームイーターの撃破をお願い致します」
 深々と頭を下げ、撃破を願った。


参加者
ミュラ・ナイン(想念ガール・e03830)
幌々町・九助(御襤褸鴉の薬箱・e08515)
七種・徹也(玉鋼・e09487)
クララ・リンドヴァル(鉄錆魔女・e18856)
結真・みこと(ょぅじょゎっょぃ・e27275)
鞘柄・奏過(曜変天目の光翼・e29532)
アリシア・クローウェル(首狩りヴォーパルバニー・e33909)
月守・黒花(黒薔薇の君・e35620)

■リプレイ

●夜明け前
 まだ薄暗く青い雪原の樹氷林に、ぽつりぽつりと明かりが灯る。
 その光は二手に分かれ、一方は、すうっと素早く上へのびると樹氷のない開けた場所で止まり、ぱぱっと辺りに光を増やし、まるで明るい花が咲いた様。
 もう一方の光たちもそこを目指して動き出す。
 雪原を幻想的に照らす光の正体は、青鬼ドリームイーターを退治する為に集ったケルベロス達が持ち寄った光源だ。
「まさかまさかの青鬼どん! にしても、今回はこわーい事起きそうに無くて良かったぁ! べ、別にビビリじゃないもんね!」
 と、どこかほっとしたり、慌てたりしながらそう言うのはミュラ・ナイン(想念ガール・e03830)さっきまでは、『樹氷とかそういうのって、実は見たことないんだよね。そもそも一面雪とか見たことないよ!!』とテンションが上がっていた筈だったが?
 その訳をちょっとばかり知る、病で右半身が動かしにくい病弱伊達ワルのオラトリオ、幌々町・九助(御襤褸鴉の薬箱・e08515)は、ニヤっと笑った様な気がしないでもない。姉兼生活補助のビハインド、八重子もどこか微笑まし気な雰囲気だ。
「うはは、しっかし寒い! 身体にこたえる!」
 凛とした冷たい空気にぶるりと身震いした九助は、雪に足をとられると流石にマズイ気がするので僅かに浮いて移動している。
「へーこの間は赤鬼さんが出たんだー? じゃあみこはね、ねーこといっしょに青鬼さんだー! ってきゃっきゃするね!」
 ミュラ、九助達のチームが倒したいつかの赤鬼ドリームイーターの話を聞いて元気いっぱいにそう言ったのは、結真・みこと(ょぅじょゎっょぃ・e27275)天真爛漫、おしゃまでちゃっかり、お勉強はちょっと苦手で得意は体育! という魔法少女アニメの主人公タイプな女の子。対してウイングキャットのねことは、落ち着き払っていて、大騒ぎの横でもしれっと寝ているような、ちょっとふてぶてしいタイプだ。
「樹氷を作るとは美しいですね。見てみたいですが、観光でないのが残念です……観光用に作っていただくことは……冗談です」
 と冗談を真顔で言い、見た目はミステリアスで美しく騎士道精神あふれる少女は、月守・黒花(黒薔薇の君・e35620)サバイバル生活経験者で多少の事には動じない。聴くのはヘヴィロックからクラシックまでなんでもという音楽好きで、ヘッドフォンを首にかけている。
「しかし、よくこんなところまで来たものだな……」 
 それくらい強い興味がドリームイーターを引き寄せたんだろうか。と、ライドキャリバーのたたら吹きと共に雪深い山道を登るのは、七種・徹也(玉鋼・e09487)愛娘と離れて暮らす、正義感の強いシングルファザーだ。
 持ち前の俊足を生かして一足先に戦闘に良さそうな場所を探し、何時でも襲い掛かれるように潜伏してくれている兎耳のウェアライダー、アリシア・クローウェル(首狩りヴォーパルバニー・e33909)が光源をばら撒き、花が咲いたようになったそこへ下から登ってきたケルベロス達も辿り着いた。
『まぁ……! なんて好奇心旺盛な方なのかしら……! ああ、装備は万端と。それにしても急いで向かわなければ不味いですね……』
 と、被害者男性を案じていたクララ・リンドヴァル(鉄錆魔女・e18856)が、『比較的平坦で木が少ない場所があれば良いのですが』と。被害者のいる場所から離れた場所で戦闘をと願っていた九助の、思う通りの場所をアリシアは見つけてくれていた。
 青鬼を誘き寄せるには絶好のその場所でケルベロス達は噂話を弾ませる。
「こんな凄いの人間じゃ作れないよねぇ……雪山だし青鬼とか出るのかなぁ?」
「樹氷を作る青鬼とは珍しいですね。会ったらぜひ写メをしたいものです」
「そうだな、一度見てみたいものだな。それに、こんなに綺麗な樹氷なら、娘に写真を見せてやりてェ」
 と、ミュラ、黒花、徹也が。
「大きな樹氷もありますね……自然にできるとは思えない。確かに造る者、青鬼がいそうです」
 樹氷の眺めを楽しみつつ、被害者救助の為にも警戒を怠らずそう呟くのは、鞘柄・奏過(曜変天目の光翼・e29532)
「口伝で残るものほど根拠があるもんだからなあ。俺は信じるぜ、雪遊び好きの青鬼」
 いや、氷遊びか? なあんてな。と言ってみるのは九助。
「青鬼はどうやって樹氷を作るのでしょうね。細かい作業が得意そうには見えませんし、まだ暗くて手元も覚束無いでしょう」
(きっと、とても豪快な方法を取るのです。そう。軽く吹雪くらいは起こすに違いありませんわ)
 とクララは、居ると仮定して想像を膨らませている感じだ。
 皆でこれだけ噂をすれば、青鬼が現われない事などない。ズシン、ズシンと響く足音と共に、どこからともなく現れたのは樹氷にも負けない大きな青鬼。
「ねーこみて! 青鬼さんだー!」
 青鬼が聞くより早く、みことがきゃっきゃとはしゃぎ、傍にいるねことは、まだ早いと言わんばかりに、騒ぐみことのほっぺを肉球でぺちっとする。
 みことの元気な勢いに、自分は誰かと問うお株を奪われ、一瞬戸惑ったような青鬼だったが他の面々を目にして改めて問うた。
『オレは誰だ』
「青鬼」
「よお、青鬼芸術家! 今日は何を作るんだ?」
 問われた者のうち、徹也と九助はそう答え、クララは答えず、八重子も同じく口の前で指をばってんにして無回答。答えなかった二人に青鬼はギラリと目を光らせたが、何より極めつけだったのは……。
「つのつの一本! 赤鬼どん♪」
 ざっと前へ出て、やはりそう言い切ったミュラ。
 それだけは許せない! と言わんばかりに甲高い咆哮をあげ、またしても怒り狂った鬼が牙を剥く!

●青鬼を倒せ!
「いっしょーけんめ、がんばるのだ!『ちょっといじわるな魔法だよ!』」
 魔法少女なみことの魔法と、ウィングキャットのねことの羽ばたきが後列を包み、『あれ? これ魔法少女アニメの撮影だったかな?』と一瞬誤解してしまいそうな程、とってもキラキラ☆ ふわっふわな感じのオープニング……いや、戦闘の幕開けから、今度は打って変わって、鉄と炎がイメージによく似合う徹也が格好良く仲間の守護をする。
『こいつを破れるかな』
 普段プロテクターに覆われている地獄化した左腕は解放され、地獄の炎を操り、前列の盾とした。たたら吹きは炎を纏って青鬼へ突撃する。
 炎を食らった青鬼は、熱さを振り払うような仕草をしたかと思えば、大きく口を開けてのけぞり息を吸い込む。
 はっと気づいた徹也とミュラが仲間の前へ飛び出す。その瞬間、青鬼が前列目がけて猛吹雪を吐き出した。
 中列、後列から姿が見えないほどの吹雪で真白く包まれる中から、幾筋かの眩い光が射す。ミュラの黄金の果実だ。
 その光を目印に、茜錫杖を向けた九助のいる後列へ、奏過が、
『死人彷徨う夜の中 闇に惑う者よ手を伸ばせ』
 加護を注ぎ、癒しの力を増した九助が守りの雷を走らせた。バリバリッと激しい音を立てて雷が吹雪をぶち破り、霧散させ、代わりに築かれた雷壁は、いっそ春の暖かさにも似て前列の仲間を癒していく。
「はっ。あいにく番犬やってっと、暖の取り方にゃ困らないもんでな!」
 本来ならかなりの威力だったろう吹雪は、徹也の守護と、徹也とミュラが咄嗟にアリシアとクララを庇った事、それにミュラと九助の癒し。皆の抜群の守りで、残るダメージは少ない。
 吹雪の効果がほとんどふいになり叫ぶ青鬼へ、八重子が金縛りを掛ける。
「不変のリンドヴァル、参ります……」
 かつての模範的な白魔女にして今は錆色の鹵獲術士が、古代語の詠唱と共に放った魔法の光線は、青鬼を徐々に石化するかのよう。そこへ間髪入れずにアリシアが駆ける。
「赤鬼でも青鬼でも関係ない。アリシアは目の前の敵を切り刻むだけなのです」
 俊足から繰り出した蹴りは、青鬼の腹に強烈な一撃と烈火を食らわせた。
 燃える青鬼に、黒花が熾炎業炎砲で炎を重ね、ねことは中列へと羽ばたき、みことが唱えた詠唱、禁断の断章により、残る傷を完全回復し、常軌を逸した強化受けた徹也が青鬼へ迫り、グラインドファイアで更に焼き尽くす。
 何度も食らわされる強烈な蹴りと炎に呻き、吠えた青鬼が徹也を追おうとしたが、その足をたたら吹きが激しいスピンで轢き潰して足止めし、その隙を逃さず奏過が戦術超剛拳を叩きこむ。
『ド派手にキック! かーらーの、時空干渉! いっせーの、ブレーイク!』
 重力を込めた右足で巨体の青鬼を上空へ吹っ飛ばし、自分も跳躍したミュラは空中で青鬼の頭部を両足に挟み込み、拘束したまま脳天を雪原に叩きつけた!
 雪に埋まった頭を上げ、ふらりと立ち上がり怒りに震えた青鬼は、冷たく光る目でギロリとミュラを睨みつけると、瞬時に作り上げた樹氷で殴りかかった。
「ご自慢の樹氷を武器にしちゃあ作品が泣くぜ?」
 けれど、ミュラのそのダメージは九助がエレキブーストですかさずフォロー。回復と共に力をみなぎらせる。八重子も治療が阻害されないよう、ポルターガイストで鬼を阻んだ。
「この技を使う時が来ましたか。オープンセサミ」
 クララが軽く手を翻し、ぱらぱらとめくれた魔導書からは自宅書房の図書運搬用の荷台が召喚された。しかし戦闘向けに作られた器具ではないそれに、青鬼は注意をミュラに向けたまま。
『こういった無生物が常に押し黙っていると、あまり高を括らない方が宜しいかと……』
 言うが早いか、クララは横合いから突進させた荷台で青鬼を吹っ飛ばす。
 かなりの大ダメージを与えた脅威の荷台はけれど、普通こんな使い方はしません。と礼儀正しいクララが、すごいすごいとはしゃぎ誉めるみことへ一応説明を入れている。
 青鬼が弱った好機をアリシアは逃さない。両手に持ったナイフで青鬼へ斬りかかる。
 戦闘時のアリシアは、普段の姿とはまるで別人。相手を切り刻むことに至上の喜びを覚える殺人兎は容赦なく青鬼を切り刻む。
 仲間の優勢に黒花は、このまま突っ込んで物理で殴ってしまおうかと野生溢れるレディースヤンキーな中身が出そうになったが踏みとどまり、ミステリアスな見た目イメージのまま華麗に禁縄禁縛呪を決めて御業を呼び出し、青鬼を鷲掴みにする。

●一斉攻撃!
 攻撃を繰り返して何度目か。頑丈な青鬼の底が見えた。
 少し長引いたが回復防御に加えて支援も怠らず挑んだケルベロス達に怪我らしい怪我はない。
「よーし! ねーこ、いっしょにいくよー!」
 みこととねことは息を合わせ、みことは魔法少女のための入門書(Lv43)から、時を凍らせる氷の弾丸を、ねことは尻尾の輪を飛ばす。
「俺達も行くぞ! たたら吹き!」
 小細工は苦手だが、その分熱さで十分カバーが効く。それを証明するかのように、重力を宿した徹也の飛び蹴りは青鬼の足を鈍らせ、そこへ徹也の声にこたえるかのように、たたら吹きが炎を纏い突撃する。
 熟練の職人の如く冷静に淡々と攻撃を仕掛ける奏過は、掌からドラゴンの幻影を放ち、青鬼を焼いていく。
 最後の力を振り絞ったのか、青鬼が巨大なつららを前列へと幾つも落とし、雪原も仲間達も凍らせる。が、ケルベロス達に抜かりはない。
 すぐにミュラがメタリックバーストで前列の傷を回復し、ミュラやねこと、九助が前列へ付けていた耐性のおかげで、体を凍らせる氷も溶けて消える。高威力の青鬼の攻撃も、ここに集ったケルベロス達の前では無力に等しい。
「せっかく無害な鬼なのに怪物にしちゃ、勿体ねえ。騒ぎになる前に、ただの言い伝えに戻って貰おうか」
 九助が錫杖をかざす。
『来世じゃもうちょい品よく生きな』
 青鬼の足元に展開された浄瑠璃の灯が、肉も魂も問わずに火葬する。何かのトラウマに襲われ呻く青鬼へ八重子が金縛りで動きを制し、クララが、
「ええと、暴れると痛いですよ」
 混沌なる緑色の粘菌を招来し、青鬼へと寝食させ悪夢を重ねて逃がさない。
 もがく青鬼が所かまわず振るう樹氷はアリシアを向く。
「一振り一振りは強いですが、遅いですよ。アリシアを捉えるにはそれでは足りませんね」
 けれど難なく交わしたアリシアは青鬼を見据える。
「鬼と言えど、その場に存在するなら斬れるが道理。その五体、アリシアがダルマにしてあげますよ」
 アリシアが駆けた。
『アリシアに斬れぬものはありません。その首を貰い受けます』
 二つの斬撃をほぼ同時に重ねる特殊技、『カサネ』それはどの様な物でも紙屑の用に引き裂かれる。たとえ相手が巨体の青鬼だったとしても。
 引き裂かれ、雪原に倒れた青鬼は二度と起き上がる事はなく、ほろほろと白く崩れていき、紙吹雪の様に空に舞い、消えていった。
 
●来光
 雪洞に倒れている男性は、そこへ向かった奏過が保護し、ヒールしながら怪我を確認していた。気が付いた男性は済まなそうに頭を掻いている。どうやら無事だったようだ。
 その様子を少し離れた戦場からクララは確認し、
「樹氷を只の自然現象と片付けるのは簡単です……それでもあの方は、行く先々で目をキラキラさせながら自然現象の陰に潜む、より深い意味を探求していくでしょう……。一体誰がそれを咎められるでしょうか……」
 誰へとなく呟き、長手袋を脱ぎ、戦場にふわりと落とす。
 まるでそれが合図だったかのように夜と朝が入れ替わり、山の端からあふれる光は雪原と樹氷にゆっくりと広がり、やがて一面をきらきらと輝かせた。
「っはー、この景色で雪見酒でもしたくなるが、流石に寒ぃか」
 改めて目にする絶景に、景気のいい事を言い出した九助に、体にこたえるでしょう。と八重子は案じるようで、九助はけらけらと薄く笑う。
 何かに気付いた黒花が、はっとして身を震わせた。
「……戦闘中は気になりませんでしたが、とても寒い! ……早くあったかいコタツに潜ってぬくぬくしたいものです……とその前に、記念です。写メりましょう」
「お、上手いもんだな」
「良かったら送信しましょうか。娘さんにもぜひ」
 朝の光を受けて輝く綺麗な樹氷を見事に収めた黒花の写メ手腕を誉める徹也に、もし撮影手段がなかったら、せっかくなのでと、実は義に篤い黒花が気遣う。頑固で不器用な徹也だが、案外誉め上手だったのは彼の面倒見がいい性質からなのだろうか。
「この雪山すっごいよね! ダイブしてみたーい! 雪兎作って彼氏に見せる為に持って帰りたーい! 雪だるまとか、綺麗に作ったら雪だるまがお礼くれるの、アタシ知ってるよ!」
 戦闘を終えて、初めての一面雪景色をやっと満喫できるミュラは、すぐ溶けてしまうなど気付かずに、大好きな彼氏へとかわいい雪兎を作り始める。アリシアも今はすっかり普段の天真爛漫で心優しい娘の顔で、ねこととみことも何だか楽しそうだ。
 青鬼が退治され平穏が戻ったここはもうじき、今度は樹氷を楽しみに訪れる人々の笑顔であふれるだろう。

作者:ひなせ弓狩 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年2月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 2
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