ヒャッハー! 俺様ドラグナー!

作者:秋津透

「喜びなさい、我が息子。実験は成功です。お前は、ドラゴン因子を植えつけられた事でドラグナーの力を得ることができました」
 大阪府堺市、某所。仮面で素顔を隠したドラグナーが、手術台の上に横たわった無駄に逞しい半裸のモヒカン男に告げる。
「これからお前がするべきこと、それは与えられたドラグナーの力を振るい、多くの人間を殺してグラビティ・チェインを奪い取ることです。そうすれば、お前は完全なドラグナーとなることができるでしょう」
「……殺す? 俺様を裏切り、嘲笑った屑どもを殺して、力を奪い取る? そうすれば、俺様は完全になれる?」
 呟いたモヒカン男が、くわっと目を見開いて哄笑をあげる。
「ヒャッハー! それこそが、俺様のやりたいことだぜ! やりたいことやって、完全になれるなんて、サイコーじゃねーか!」
 そしてモヒカン男は跳びあがるようにして手術台から起きあがり、長柄のルーンアックスをがっしと掴む。
「ありがとよ、センセー……いや、オヤジさん。あんたの命じる通り、俺様は今すぐ、全力で屑どもをブチ殺して力を得てくる。そして、完全なドラグナーになるぜ!」
「期待していますよ、我が息子よ」
 しかし、オヤジさんと呼ぶのはやめてほしいものです、と、仮面のドラグナー『竜技師アウル』は内心呟いた。

  
「大阪府堺市で、佐々塚・ささな(やりたいほうだい・e07131)さんの宿敵であるドラグナー『竜技師アウル』が事件を起こす予知が得られました」
 ヘリオライダーの高御倉・康(たかみくら・こう)が緊張した表情で告げる。
「『竜技師アウル』は人間にドラゴン因子を移植し、新たなドラグナーを生み出す実験をしているようです。そして、仲間に裏切られて殺されそうになっていたモヒカンのゴロツキを助けて実験体とし、新たなドラグナーにしてしまったようなのです」
 まったくもう、よりにもよって、と、康は深く溜息をつく。
「幸いと言うべきなのかよくわかりませんが、この新たなドラグナーはまだ未完成で、完全なドラグナーとなるためには必要な大量のグラビティ・チェインを得る必要があります。そこで、グラビティ・チェインの入手と、ドラグナー化する前に惨めな思いをさせられた復讐を兼ね、人々を無差別に殺戮しようとしているのです。急ぎ、現場に向かい、未完成のドラグナーを撃破してください」
 そう言って、康はプロジェクターに地図と画像を出す。
「未完成ドラグナーが出現すると予知された場所は、ここです。周囲はゴロツキの溜まり場になっていて、避難を呼びかけても従ってくれるかどうかは疑問です。ただ、実際に激しい戦闘が起きれば、一も二もなく逃げ出すと思います。未完成ドラグナーがどこから現場に来たかは、現時点ではわかりません。探り出すことはできるかもしれませんが、竜技師アウルは冷静で用心深いドラグナーだそうですので、もたもたと居残っている可能性はほとんどないと思います。未完成ドラグナーの能力やポジションは不明ですが、ルーンアックスを携えていることがわかっています。また、本当に幸いなことに、一時的にドラゴンを自己憑依させて変身する力はありません」
 まあ、それができてしまうなら、もう完全なドラグナーですよね、と、康は肩をすくめる。
「残念ながら、ドラグナーとなってしまった人を救うことはできません。グラビティ・チェインを蓄え、完全なドラグナーとなる前に、撃破をよろしくお願いします」
 そう言って、康は頭を下げた。


参加者
目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)
斎藤・斎(修羅・e04127)
アゼル・グリゴール(アームドトルーパー・e06528)
北條・計都(凶兆の鋼鴉・e28570)
ヨル・ヴァルプルギス(グノシエンヌ・e30468)
小鳥遊・涼香(サキュバスの鹵獲術士・e31920)
ジジ・グロット(ドワーフの鎧装騎兵・e33109)
曽我・小町(天空魔少女・e35148)

■リプレイ

●これも一飯の恩義?
「未完成体の出現予知地点は、あのあたりだな」
 大阪府堺市。現場上空に近づいたヘリオンから地上を見やり、目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)が冷静に呟く。
「現在時刻は十一時五十七分。未完成体が既に現れている様子はない」
「予知時刻三分前ですか」
 なんとも微妙ですね、と、斎藤・斎(修羅・e04127)が少し引き攣った表情で応じる。
「付近には、けっこうモヒカン……一般人の姿がありますね」
「地図に建物と記載されているものが完全に崩れていて、予想していたより開けた感じです。穴がいくつかあるのが気になりますが」
 地下に入られたら厄介ですね、と言いつつ、アゼル・グリゴール(アームドトルーパー・e06528)は用意してきたマグライトを確認する。
「どの方向へ逃がす、というシミュレートは……」
「敵の出てくる場所によりけりですね。穴から飛び出してくるんでしょうか?」
 しかし、今年に入って早くも三件目のモヒカン退治ですか……なんでこう、モヒカンに縁が深いんでしょうね俺は、と、北條・計都(凶兆の鋼鴉・e28570)は言葉には出さずに呟く。
 すると、降下予定ポイント到達のブザーが鳴り、ジジ・グロット(ドワーフの鎧装騎兵・e33109)が勢いよく飛び出す。
「ジジ、いっきまーす!」
 穴潜りなら任しといてやっ、と、洞窟育ちのドワーフ娘は、勇躍、関西の空に舞う。ちなみに彼女はフランス出身で、喋りが関西弁っぽいのは、関西弁が日本語の標準語だと教わった(誰に?)からだそうだ。
 そして彼女は多少身体を丸めただけで、何の減速措置もとらずに地面に激突する。ケルベロスはヘリオンからの降下でダメージを受けることはないが、それでも普通は、有翼種族は翼で滑空、翼のない者はパラシュートの使用や装備による下方噴射、あるいは服で空気抵抗を生み出し適宜減速することが多い。これは、降下した場所の地面を保護する意味もあり、ジジにしても、普通の住宅街とかへの降下なら、路面を壊さないように、もう少し手柔らかに降りただろう。
 しかし、今回の現場は、あの荒事上等で名高い大阪府警が滅多に立ち入らないという、(デウスエクスの制圧地を除けば)日本有数のでんじゃらすぞーん。
 穴ぼこだらけの荒れた路面に、遠慮会釈なくも一つクレーターを加えて現場に到達すると、ジジは全身の土埃を払う勢いで、元気よく飛び出す。
「ボンジュー、ボンジュー! うち、ジジです☆」
「な、なんやあ、お前は!」
 ボロボロの革ジャケットにモヒカン頭、やや肥満気味のゴロツキ男が、仰天した声で叫ぶ。
「いきなり空から降ってきて、地面にこんな大穴あけよって! 平気なんか?」
「平気でーす♪ ジジ、ケルベロスやからぁ☆」
 にこやかに言い放つと、ジジはゴロツキ男に用意のチョコを渡す。
「あっ。おっちゃん、虫チョコ食べる? バレンタインやし(はぁと)」
「む、虫チョコ!?」
 ゴロツキ男は、押しつけられたチョコを見て目を剥く。一見、単にコガネムシの形をしたチョコとも見えるが、コーティングが不十分で、虫の脚が出てるんですけど、これ!
「こ、これ、ほんまもんの虫か!? 虫にチョコかけたんか!?」
「うん、おいしーよ☆」
 平然と応じ、ジジは更に一つ虫チョコを取り出し、自分でぽりぽりと食べてしまう。やべーこいつおかしいわ、とゴロツキ男が呻いた時。
「ばれんたいんのチョコー! わしにもくれやー!」
 やや長身で筋肉質、この寒いのに半裸のモヒカンゴロツキ男が飛び出してきて、臆面もなくチョコをねだる。
「!?」
 標的の未完成ドラグナーと似た風貌なので、ジジは一瞬警戒の目を向けたが、飛び出してきた男は水中メガネのような変なゴーグルをつけていて、ルーンアックスも持っていない。
「はーい、チョコどぞー☆」
「うおおお、感激やでー! 夢にまで見たばれんたいんのチョコを、こんな可愛い女の子からもらえるなんて、わいは幸せもんやー!」
 大仰に感動する二人目のゴロツキに、一人目がツッコミを入れる。
「そ、そやけど、お前、それ、虫チョコやで! ほんまもんの虫の、チョコがけやで!」
「おお、ほんまもんの虫チョコ! なつかしなー!」
 平然と言い放ち、二人目のゴロツキはジジに渡されたコオロギらしき虫のチョコがけをぱくっと食べてしまう。
「お、お前、虫チョコ喰うんか!? なつかしいんか!?」
「わし、実は信州の出でなぁ。くにでは、虫は子供のおやつや。甘く煮たり、揚げたり。チョコがけなんてぜーたく品やねん」
 感慨にふける様子で言いながら、信州モヒカンはばりばりと虫チョコを噛み砕く。
 すると向こうから小鳥遊・涼香(サキュバスの鹵獲術士・e31920)が、苛立つとも呆れるともつかない口調で叫んできた。
「そこ! 何なごんでるの! ドラグナー出たわよ! 一般人は逃げて! ジジは包囲に入って!」
「な、なんやねん?」
 きょとんとする二人のゴロツキに、ジジは口早に告げる。
「実はうちら、ここにドラグナー退治に来たんよ。そいつ、見た目人間やけど、中身はドラゴンの化けもんやねん。やばいから、ちーっと離れとってな!」
「ほ、ほんまか!」
 太ったゴロツキが目を剥いたが、標的が出たとなっては、もたもたしてはいられない。ジジは表情を引き締め、身を翻す。
 その背に、信州モヒカンが声をかける。
「わかった! ダチに声かけて、すぐ逃げるわ! あんたも気ぃつけてな! 虫チョコ、うまかったで!」

●その差、十三対一
「ハッケン! ハッケン! 人でもナイ! ドラグナーでもナイ! 世にあってはナラナイ半端者ハッケン!」
 ヨル・ヴァルプルギス(グノシエンヌ・e30468)が身につけている人形の一つが、甲高い声で叫ぶ。
 長柄のルーンアックスを構えた逞しい半裸のモヒカン男……未完成ドラグナーは、獰猛凶悪な表情で彼女の方を睨み据える。
「誰がハンパモンだ! てめぇら皆殺しにして、すぐさまオレは完全になるんだよ!」
 相手は女一人、ちょっと雰囲気不気味だが、さほどヤバそうには思えねえ、と、モヒカン男はヨルを避けずに突っ込んでくる。むろんヨルの方も避けずに、瞑目したまま防御の構えを取る。
 そして急速に間合が詰まり、ルーンアックスが人間離れした力と速度で振るわれ、あわや、と見えた瞬間。
 計都のサーヴァント、ライドキャリバーの『こがらす丸』が間一髪で飛び込み、ルーンアックスの刃を受ける。  
 そして、体当たりに近い単輪バイクの割り込みを飛び下がって避けたドラグナーの足元で、どーんと爆発が起きる。
「ぐおっ!」
「ほら、どこを見ているんだ。お前の相手はここにいるぞ」
 回り込んでドラグナーの背後に立った真が、冷やかな口調で告げる。
 一方、曽我・小町(天空魔少女・e35148)はフェスティバルオーラを使い、比較的近くにいる一般人……ゴロツキたちに呼びかける。
「現在、この地域でケルベロスが戦闘中のお報せよ! 離れていてくれると嬉しいわ!」
「おう、みんな、逃げるんや! やべー奴が出よったで! デウスエクスや! ドラグナーや! もたもたしとったら、大阪城の二の舞やで!」
 大声をあげて仲間に避難を呼びかける感心なゴロツキを認め、あらあら好都合、と小町は微笑する。まさかそれが、ジジが虫チョコで手なづけた信州モヒカン男だとは気がつくはずもなかったが。
「くそ、余計な真似を……」
 殺して餌にするべき人間を逃がしている小町や信州モヒカンに、ドラグナーが一瞬、忌々しげな視線を向けたが。
 その途端、真のサーヴァント、ナノナノ『煎兵衛』が物陰からハート光線を放ち、見事ドラグナーに直撃を与える。
「ぐあっ!」
「だから、どこを見ているんだと言っている」
 今の攻撃も自分が放ったかのような口調で、真が傲然と告げる。まんまと乗せられたドラグナーは、ぐぬ、と呻いて真を睨み据える。
 その間に斎が、まだもたもたしている少数のゴロツキにパニックテレパスを使い、有無を言わさずその場から退散させる。続いて自分の感覚を鋭敏化させ、ドラグナーの動きを詳細に掴む。
 そしてアゼルが突撃し、高速移動しながらドラグナーを打つ。本来、隊列を乱すための攻撃なので一撃の威力は小さいが、回避を阻害する効果がある。
 更に『こがらす丸』がスピン突撃を仕掛け、敵の動きを制限する方向で圧迫する。
「モヒカンハンターになったつもりはないんですがね……まあいい」
 呟くと、計都が愛用のドラゴニックハンマー『リボルバニッシャー』を砲撃形態にして撃ち放つ。
「くそ、ちょこまかちょこまかと……」
 致命的というほどのダメージはないが、回避力を削る攻撃を続けざまに受け、ドラグナーは苛立った呻きを漏らす。
 するとそこへ、駆けつけてきたジジが飛び出す。
「うちのこと、捕まえられるっ?」
 ほんまにちょこまか攻撃するいうんは、こういうことや、と嘯きながら、ジジはオリジナルグラビティ『エキュロイユ・エキュロイユ』を発動。まるでリスのように敵の周りをちょこまかと走り回り、足に細かく攻撃を入れる。
「こ、こんガキャー!」
 憤怒の形相でドラグナーはルーンアックスを振り回すが、全然当たらない。そこへ涼香が、背後からどかっと重力蹴りをかます。
「ぐえ!」
「あーうざい、ちょーうざい、旧世紀末の遺物はとっとと死んで」
 まさに情も容赦もなく言い放ち、涼香はドラグナーの背から尻に追加の蹴りを入れて下がる。
 その間に彼女のサーヴァント、ウィングキャットの『ねーさん』は、浅からぬダメージを負っている『こがらす丸』を治癒する。
「こ、こいつら、一体何人がかりで……」
「今頃気付イタ? でも、手遅レ!」
 ヨルの人形が叫び、同時に彼女の喪服のような黒い衣装の袖からブラックスライムが溢れ出る。呑みこまれそうになったドラグナーは必死に振り払うが、相応のダメージを負う。
「くそ、やべえ……こいつは、やべえ……」
 ドラグナーは血走った眼で左右を見回すが、ケルベロス八人に加えサーヴァント五体、計十三体の包囲は、ちょっとやそっとで抜けられるものではない。
 そしてヨルのサーヴァント、ウィングキャットの『ケリドウェン』がドラグナーに襲いかかり、小町のサーヴァント、ウィングキャットの『グリ』は『こがらす丸』に治癒を重ねる。
 更に小町自身は、前衛に向けオリジナル魔法歌『―真剣・魔法・声援!―』(マジ・マジ・エール!) を送る。
「この歌を素敵な魔法に変えて……皆に勇気と力を!」
 高らかな応援歌は、治癒効果に加え、集中力を高めて攻撃命中率をあげる力がある。
 それを受け、真がオリジナルグラビティ『凍爆(アイス・レイド)』を発動させる。
「空隙拡散。氷弾よ、大気を斬り裂け!」
「ぎゃあっ!」
 大気の隙間に撃ち込まれた氷の弾丸が、近接周囲に冷気の亀裂を発生させる。ダメージはさほどではないが、敵に氷を付着させて体力を奪う技だ。
「く、くそ……やべえ……」
 呻くと、ドラグナーはルーンアックスを大きく振りかぶる。そして、走り回るジジに一撃……と見せかけて、自分自身に破壊のルーンを撃ち込んで治癒する。
「今日のところは、引き分けにしておいてやらぁ!」
「逃がすか、馬鹿者」
 真が冷たく告げ、低空からこっそり近づいたナノナノ『煎兵衛』が、走り出そうとするドラグナーの足を引っかけるような感じで尻尾の一刺しを打ち込む。
「ぎゃあ! 痛てぇ!」
 すっ転んだドラグナーに跳びかかった斎が、達人の一撃を踏みつけ気味の蹴りで決め、真が付着させた氷を広げる。
「こういう状況を何というか知っていますか? 多勢に無勢というのです」
 ごく真面目に告げると、アゼルがケルベロスチェインを飛ばし、起き上がろうとするドラグナーに絡みつける。
 身動きもままならないところへ、『こがらす丸』が炎をまとって体当たりを決める。
「ぐぎっ!」
「あんた、ドラゴンの力を得たそうですが、どうやら何の役にも立たないようですね」
 反対側から、計都が重力蹴りを叩き込む。ドラグナーの口から、ごぼっとどす黒い血が溢れた。

●未完成体への挽歌(はんぱものへのとむらいうた)
「そろそろ……ですかね」
 数回の攻防が交わされた後、全身どす黒い血にまみれ、立っているのがやっとという状態の未完成ドラグナーを見やって、アゼルが呟く。
「未完成体だけに、あまり時間をかけすぎて未知の能力などに目覚められては厄介です。ここで、潰しに行きましょう」
 言い放つと、アゼルは必殺の『近接戦闘用刀身射突ユニット(パイルバンカーユニット)』を解放する。
「ユニット固定確認……炸薬装填……セーフティ解除……目標捕捉、これより突撃する!」
 宣告しながら、アゼルは滑るような動きでドラグナーの懐に飛び込み、無骨この上ない対人戦闘用杭打機を鳩尾に押しつける。
「うわば!」
 意味不明の叫びとともに、ドラグナーは黒い血を吐く。これが竜血という奴ですかね、と、アゼルは呟く。
 そして計都が、ガトリングガン『レイヴンリボルバー』を構え、必殺技『師匠の教え#1(インストラクション・ワン)』を遂行する。
「一発で駄目ならもう一発、それでも駄目なら全弾撃ち込む!」
 くらえ、と、計都はガトリングガンから嵐のように炎弾を撃ち込む。これ、何発で駄目とかいう問題じゃないでしょ、と、涼香が思わず突っ込む。
 そして、ずたぼろになりながらも倒れないドラグナーに、ヨルがするっと詰め寄る。
「出でませ、異界の傀儡師」
 人形を介した腹話術ではなく、自分の声で放つ言葉は必殺の呪文(オリジナルグラビティ)『加速度円舞曲(アイテルワルツ)』。
「歯車は回る、歯車は回る、軋んだ音を立てながら。人形は踊る、人形は踊る、お手手が取れても知らんぷり。歯車は回る、人形が塵に還るまで」
 攻撃しているのは、ヨルか、人形か、呪文が生んだ影か。軋み音ともに、ドラグナーの身体に深い傷が増え、黒い血がだらだらと流れる。
 そしてヨルが一礼して下がると、もはや虫の息のドラグナーの前に斎が歩み出る。
「完全になるため必要なグラビティチェイン、好きなだけ持ってお逝きなさい。私達がいない方の地獄へ」
 昏い眼差しを向け呟くと、斎は高度に圧縮したグラビティチェインを手のひらに乗せて押し付ける。これで治癒することもできるが、今回はマイクロブラックホール並の高重力圧縮で、押し当てた部位を圧潰させる。 
「あ……べしっ!」
 斎の必殺技『無銘・黒星圧潰(ムメイ・ブラックホール)』を受け、ドラグナーは雑魚モヒカンのような呻きをあげて圧潰、消滅した。

作者:秋津透 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年2月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 1
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