●ギャラクシーマンボウ! 飛翔!!
新潟県・佐渡ヶ島近海。
巨大な潜水艦型ダモクレスとの海中戦というミッションを終えたケルベロス達は、戻った巡視艇で潮風に身を震わせた。寒冷適応ばっちりで体は寒くないのだけど。
「冬の日本海で海中戦とか、何か心が寒くなるよなー」
「なー。優しくあっためてくれる癒し系美女とかわんことかにゃんことかいればいいのに」
哀しいことに全員男性でウェアライダーもサーヴァントもいない彼らのチームには癒し系美女もわんこもにゃんこもいなかった。
だがしかし!
――ちゃらっちゃっちゃ、ちゃっちゃら~ん♪
何やら気のぬける電子メロディとともに、空から癒し系マンボウの飛行編隊が現れた!!
『マンボウ!』
『ママママンボウ!!』
『バーニング…………マンボウッ!!』
「ぎゃー!!??」
一見癒し系なゆるキャラまんぼうの編隊が炎を纏ったダイビングアタックでケルベロスに襲いかかる!!
「あっためすぎだー!! こんなの相手してられるか、とっとと逃げるぞ!!」
挙句に爆撃までされそうになったが何とかその前に巡視艇が離脱すれば、それを見届けたゆるキャラまんぼう達はふよふよと海に降りていき、ぽよっと横になって海面に浮かんだ。
明日の軍勢の主力を担う次世代量産機。
その開発研究のための量産化運用実験という輝かしい任務を帯び、軍団の未来を背負った彼らは、ぷかぷか波間を漂いながら、愛らしい電子音声で一声ちっちゃく鳴いた。
『……マンボウ!』
そう、どう見ても玩具のゆるキャラまんぼうな彼らもれっきとしたダモクレス。
彼らこそはマザー・アイリス軍団の新たなる期待の星(生産コストが安い的な意味で)、量産型ギャラクシーマンボウである――!!
●量産型ギャラクシーマンボウ飛翔モード
「なんか期待の新星さんにBGM機能が搭載されたみたいなんだけど」
天堂・遥夏(ブルーヘリオライダー・en0232)はちょっと気をぬいたらうっかり無意識にあのメロディを口遊んじゃいそうでこわいと続け、ケルベロス達に詳細を語る。
怒涛の地球侵攻作戦を推し進めるダモクレスの軍勢。
その六軍団のうちの一軍を率いる指揮官型ダモクレス『マザー・アイリス』は、今もなおダモクレスの支配下にあるミッション地域へ量産型ダモクレスの試作機を放って運用実験を継続中だという。
運用実験のため狙われるのはミッションへ向かったケルベロス達。消耗しているチームや少人数チーム、経験の浅いケルベロスが襲撃されたという報告が続いているが、最近報告が増えているのがこのゆるキャラ系まんぼう型ダモクレス『ギャラクシーマンボウ』だ。
「何せ生産コストがずばぬけて低いらしいからね」
簡単に量産できる上に低コスト。ゆえに思いついた機能や兵装を片っ端から気軽にお試し出来てしまうということだろう。開発研究も急ピッチで進んでいるものと思われる。
今回搭載されたBGM機能も次世代量産機のための研究の一環なのだ。多分きっと!
「で、このBGM機能搭載で飛翔モードな期待の星さんが、次は佐渡ヶ島近海のミッション地域外縁部に現れることが予知で判明したんだけどさ」
彼らはケルベロスを発見次第飛行編隊を組んで襲撃すべく、周辺の海面に潜伏している。
飛翔モードとかBGMとかの調整で潜伏系機能が適当になったらしく、海面に横になってぷかぷか浮かんで波に流されたりしているが、彼らはばっちり潜伏しているつもりだ。
いやもしかするとこれは潜伏系機能がどこまで適当でも大丈夫か見極める実験中――なのかもしれない! 多分きっと!
「まあ方向性はともかく研究が進んでるのは確かみたいだから、研究の妨害とミッションに向かうケルベロス達の安全確保のためにも、まるっと撃破をお願い」
戦場とするのはマンボウ達が漂っている海域にある大きめの岩礁だ。
広い岩場のようなものだから通常どおりの感覚で戦えるし、ケルベロス達の身体能力なら足を滑らせることもない。
「僕がヘリオンであなた達を岩礁まで連れていくね。ちょっと待ってれば波やら潮流やらの関係でその辺りにマンボウ達が流れてくるから」
彼らは海面でゆらゆらしつつケルベロスを待ち伏せしてみたり探してみたりしているが、マンボウ達の探知目標はミッションへ向かう巡視艇や、海中戦ミッションを終えて海中から戻ってくるケルベロス達。つまり岩礁にはまったく注意を払っていない。
岩礁で待っていれば、そのうち無防備無警戒なマンボウ達が漂ってくるというわけだ。
「だから今回はあなた達が索敵するまでもなく先制攻撃できちゃうってわけ。彼らが海面をぷかぷか波に流され……もとい移動してきたところを遠距離攻撃でどーんとお願い」
攻撃されればマンボウ達は飛行編隊を組んで向かってくるはず。
「宙に浮いてる程度じゃなくて明確に飛行してるから近接攻撃は届かないけど、逆を言えばそれだけ。遠距離攻撃が得意ってひとにはむしろ格好の獲物だよね? 問題は数だと思う」
敵の総数は16機。
個体の戦闘力だけ見れば、多少経験のあるケルベロスなら一人で二機相手にしても勝てる程度だが、これだけの数が纏まって襲ってくるとなればやはり侮れない。
「けれど、あなた達ならばっちり全機殲滅してくれる。そうだよね?」
挑むような笑みに確たる信を乗せて、遥夏はケルベロス達をヘリオンに招いた。
さあ、空を翔けていこうか。
マザー・アイリス軍団期待の新星、ギャラクシーマンボウ達のもとへ。
参加者 | |
---|---|
シヴィル・カジャス(太陽の騎士・e00374) |
鏃・琥珀(ブラックホール胃袋・e01730) |
修月・雫(秋空から落ちる蒼き涙・e01754) |
愛柳・ミライ(宇宙救済係・e02784) |
御子神・宵一(おあげをあげないでください・e02829) |
パーカー・ロクスリー(浸透者・e11155) |
海老那・椎(ひとりでできるマン・e12845) |
峯樹・杏(もふもふぺちか・e31014) |
●ギャラクシーマンボウ! 漂流!!
新潟県・佐渡ヶ島近海、ミッション地域外縁部にて。
冬の日本海の波に洗われる岩礁に佇み、鏃・琥珀(ブラックホール胃袋・e01730)は遠き日々に思いを馳せた。最初にギャラクシーマンボウが製造されたのは、琥珀がダモクレスであった時のこと。だがしかし、嗚呼、自分がレプリカント化した後に一体何があったのか。
だって不採用になったはずのマンボウが量産されてるし!
しかも何か波間でぷかぷかしながら流されてきてるし!!
「あのまま黙って浮いていてくれたら癒しなんですけどね……」
「嗚呼、何故君達は、こうも横向きなのか。なんでこんなところまで再現されたのか……」
大量のぷかぷかマンボウ漂流記に感じ入りつつ、愛柳・ミライ(宇宙救済係・e02784)は私も、マンボウになりたひ。と呟いた。が。
「でもここはぐっとこらえて、ブレイジングバーストで先制攻撃を……って、ああっ!? しまったのです! ついメディック仕様のグラビティ構成で来てしまったのです!!」
ずぎゃーんと戦慄するミライ!
今使える攻撃技は二つ、クッキーちゃんぱんち(またの名を戦術超鋼拳)は届かないのでここは時空凍結弾一択だ!!
「くっ、戦う前から私を惑わすなんて、流石ぎゃらくしーなマンボウさんなのです……!」
「成程! そうだったのですか! か……かっこいい!!」
無表情ながらも驚愕と感動を露にする海老那・椎(ひとりでできるマン・e12845)!
だがシャーマンズゴーストっぽいロボ型の着ぐるみに身を包んで感動に打ち震える彼女も色々な意味でかっこいい!!
「どうやら、精神的にも激しい戦いになりそうですね」
「一瞬たりとも気は抜けませんね……まずは折角ですし、先制攻撃をいただきましょう」
最早ツッコミが忙しい的な意味の激戦の予感しかしないというのを婉曲表現してみつつ、御子神・宵一(おあげをあげないでください・e02829)が弓籠手ちっくな縛霊手を翳せば、修月・雫(秋空から落ちる蒼き涙・e01754)も杖を掲げた。
一斉に撃ち込むのは巨大光弾と灼熱の火球、攻撃力としては減衰するが炸裂したそれらが盛大に波とマンボウ達を爆発させれば、
「太陽の騎士シヴィル・カジャス、ここに見参! 私達も景気よくぶっぱなすぞ、鏃!!」
「竜奏、観測システムと同期。砲撃開始します。コレの扱いならばまだまだ負けませんよ」
堂々たる名乗りをあげたシヴィル・カジャス(太陽の騎士・e00374)が騎士槍っぽい改造携帯砲を起動、合わせて琥珀も巨大な砲身をめぐらせ、二人揃ってフォートレスキャノンをぶちかました!
続く皆の攻撃で次々上がる大きな水柱、先制の初撃と第二波でマンボウ四機が撃破され、
『マンボウッ!?』
『ママママンボウッ!!??』
『ママママ、マ、マ、ママママンボウ!!!!』
大パニックを起こしたマンボウ達は波にもまれてあわあわおぶおぶした。が。
――ちゃらっちゃっちゃ、ちゃっちゃら~ん♪
飛んだ!
マンボウが、飛んだ!!
「BGMまで流れるなんて……まさかそんなにたっぷり予算が下りたというのですか!!」
「もうこれマザー・アイリス軍団のテーマってことでいいんじゃね? うん、そうしよう」
「ちゃっちゃら~ん♪ ……って何かもうばっちり頭に染みこんじゃったしね! 怖い!」
気の抜ける曲とともに空へ飛び立ったマンボウ編隊を仰いで驚愕する琥珀にそう言って、パーカー・ロクスリー(浸透者・e11155)は即座にガトリングガンを翻し空飛ぶマンボウに連射を叩き込む。私だって飛べるんだから、と対抗するように純白の翼を背に広げ、仲間のために雷壁を織り上げるのは峯樹・杏(もふもふぺちか・e31014)。なおほんとに飛んだらメディックじゃなくなるので空中戦は諦めたよ!
「つーか、このBGMって戦意高揚にでも役立つのかね?」
「可能性はありますね」
更にパーカーが続けた言葉に宵一が頷いた。
『マンボウ!』
「古くから軍楽隊が居るように」
『ママママンボウ!!』
「軍隊ではタイミング合わせや士気高揚とかで」
『バーニング…………マンボウッ!!』
「BGMは意外と重要らしいです――ていうか今すっごい会話の邪魔ですよね! こっちも声かけや合図は大声で! 損傷の大きな機体に集中攻撃します!!」
淡々と語る系キャラ宵一も流石に声を張りあげざるを得ない激闘の戦場!
「はい! 確実に数をへ」
――ちゃらっちゃっちゃ、ちゃっちゃら~ん♪
「…………確実に数を減らしていきましょう! 光よ、空を翔る星となれ!!」
釣られてメロディを口遊みそうになっちゃった的な間があったが雫は気合で詠唱を紡ぎ、水色に燃え上がりながら突っ込んできて宵一の御業に鷲掴みされたマンボウを流れ星めいた光で撃墜した!! だが次々マンボウ達が突撃してくる!!
「もしかして、敵軍の情報伝達を阻害する機能だったりするんでしょうか。おのれマザー・アイリス、なんという巧妙な機能……!」
「心揺さぶるデザインに隙のない巧妙なBGM機能……! 超かっこいいのです! ここはぜひとも玩具メーカーにキット化を依頼したいところですね、ごー君!!」
突撃も熱いがうるささも熱い灼熱の戦場で宵一がまだ見ぬ相手に密かに闘志を燃やせば、皆の盾となってマンボウを受けとめまくっていた椎がまたもや感動に打ち震えた。
こくりと頷きながら祈りを捧げてくれる黒きシャーマンズゴーストの援護を受けて、椎が超かっこいいポーズ(おりじなるなヒールグラビティだよ!)を決めた瞬間、ざっぱーんと押し寄せた日本海の荒波が岩礁に爆ぜる!!
決まった……! 超かっこいい……!!
●ギャラクシーマンボウ! 飛翔!!
凍てつくように冷たい波に洗われる岩礁で、色々な意味で熱く激しい戦いが続く!
――ちゃらっちゃっちゃ、ちゃっちゃら~ん♪
『マンボウ!』
『ママママンボウ!!』
「音楽や声で集中力を乱す作戦か。悪くはないが、それで惑わされる私達ではないぞ!」
一部惑わされてる仲間がいるような気もしたがそれは華麗に脇へ置いといて、シヴィルは凛々しく言い放つと同時に解き放った幻影竜の炎を迸らせた。水色なマンボウを紅蓮に燃え上がらせた炎に続き、宵一が揮うのは家伝の太刀。
「……破ァッ!!」
裂帛の気合とともに奔る不可視の剣圧が燃えるマンボウを撃墜すれば、
「思いきりびりっと行っちゃうね! 椎さん頑張って!!」
「お任せくださいです。行きますよ、さんだー!!」
護り手として誰より燃えている(炎攻撃を喰らった的な意味で)少女へ迷わず杏が癒しの電撃を撃ち込み、賦活され力も高められた椎がびりびりばりばり雷撃を放つ。
「さんだー! は使えませんが、私も頑張りますよ! Yeah!!」
さんだー! されたマンボウへミライが撃ち込むのは時をも凍らす弾丸。だがしかし!
マンボウはミライの時空凍結弾を見切った!
が、見切られてもスナイパーミライの命中率は140%超だったのでばっちり命中した!
『マンボウッ!?』
「炎に対抗するなら氷ですよね。僕からもお見舞いします!」
即座に夜空と星々のカードを展開したのは雫、氷の騎士が放つ槍撃が一機を撃墜すれば、
――ちゃらっちゃっちゃ、ちゃっちゃら~ん♪
マンボウ達はいそいそと飛行隊形を組み直す! 誇らしげに編隊飛行を見せつける彼らを仰いだパーカーが不敵に笑んで、
「ハッ、列減衰がかからない列があったらアイスエイジをぶちこんでくれる……と思ったが飛行中だから全部まるっと後衛だろお前ら! 何の意味があるんだその編隊!!」
『マンボウ!』
『ママママンボウ!!』
『マンボウ…………エクス・プロー・ジョオオオォォンッ!!』
反射的にツッコミ入れたがマンボウ達はこれみよがしにデルタやらハンマーヘッドやらの飛行隊形を(まったく無意味に)披露しながら爆撃をかましてきた!!
ちゅどーんちゅどーん! ちゅちゅちゅちゅどーん!!
前中後衛に満遍なくぶちこまれたマンボウ×9の爆撃! ぼばばばんっと連鎖する爆発と炎の中で、つぶらな瞳のボクスドラゴンに癒された電波なアイドルが立ち上がる!!
「ありがとですよポンちゃん! アイドル界の期待の星として、私も負けられません!!」
――マンボウ!!
癒し手たる杏を手伝うべく『思わずコンガとか叩きたくなってしまう私を許して』的な歌(またの名をブラッドスター)をミライが高らかに歌い上げれば、
「ほんと見かけによらずアツい攻撃してくるよね! ペチカ、回復手伝って!!」
『ぶみゃみゃ~♪』
「いやダメだから! あのサカナは食べられないから!!」
ぽっちゃり系ウイングキャットに護られた杏もくいしんぼにゃんこに釘を刺しつつ、虹色輝く天使のオーロラと翼猫の羽ばたきで皆の痛手と炎を鎮めていった。
一匹くらいお持ち帰りしたいななんて思ったけれど、お持ち帰りとかしようものなら杏のおうちが『エクス・プロー・ジョオオオォォンッ!!』である。こわい。
ちなみにキャスターなパーカーはきっちり爆撃を躱して無傷。
「ま、地道に一機ずつ落としていくか」
狙い定めた一機に銃撃を浴びせればマンボウはひらりと避けた!
つもりだったが、子マンボウ型ビットにビシッと跳弾した弾丸に撃ち抜かれた!!
『マンボウッ!?』
「だ、ダメダメではないですか……!」
追撃も喰らって撃墜され、霧散するマンボウの姿にがっくりしかける琥珀。
ポジションの関係もあるだろうが、先日戦った襲撃モードより弱くなってる気がするのはどういうことだ。いや愛嬌やら面白さやらは強化された気がするが!!
「気を抜くな鏃、ああやって私達を油断させる作戦かもしれん!」
「はっ! 確かに、シヴィルさんの仰るとおりかもしれませんね」
だがその作戦ごと粉砕してくれよう! とシヴィルが叩き込む砲撃に琥珀も続く。
これはあれか。ダモクレス陣営で『可愛い系とかネタ系の敵と相対するとケルベロス達は珍妙な行動取ったり戦闘力下がったりするよ!』的な統計でも出ちゃったのか。
けどそれは大きな間違いですよ、と呟いて、両腕に展開するのは形相干渉フィールド。
「そんな状況では、ケルベロスは100%どころか1000%の力を発揮しますから」
――ファイナルバインディングシステム『ゼフィリス』リパレート。
「システム機械人形の夢(ピノッキオズ・ドリーム)、起動(イグニッション)!!」
珍妙な方の統計は正しいような気もちょっとしたが、そんな本音を覆い隠すよう広がった七色の輝きが、砲撃を浴びたマンボウを呑み込み綺麗さっぱり分解した!!
●ギャラクシーマンボウ! 窮地!!
あらゆる意味で白熱する激闘の戦場、ざっぱーんと砕けた荒波を透かして空へ翔けた雫の御業がぎゅむっとマンボウを握り潰す。彼らの数が三分の一となったそのとき、雫は異変の気配を察して緊迫の声を上げた。
「大変です! 皆さん!!」
――ちゃちゃちゃーん、ちゃちゃちゃーん、ちゃちゃちゃーん、ちゃちゃちゃーん♪
「BGMが変わりました! しかも何かピンチっぽい曲に!!」
「な、なぜそこまでBGMにコストをかけるのですか……何か間違ってませんか!」
「なんつー解りやすさだ! もうわけわからんが色んな意味で凄いなこいつら!!」
いや寧ろ低コストを極めすぎていらん余裕ができちゃったのか。色々な意味で戦慄しつつ琥珀がフロストレーザーをぶっぱなし、呆れを通り越して最早感心の域に達したパーカーが精霊を召喚しようとした、瞬間。
――ちゃちゃちゃ、ちゃーんちゃーんちゃーんちゃーん、ちゃんっ♪ ちゃんっ♪
『マンボウ!』
『ママママンボウ!!』
『シルフィード…………マンボウッ!!』
「あっ、何か『ピンチだけどこっそり逆転のチャンスを窺ってるぜ☆』的なメロディが!」
「なんと! 諦める気はないのですね! 流石です、我が強敵(とも)よ……!!」
必死に風を送る子マンボウ型ビット達が親マンボウを修復する光景を仰いだミライが心を震わせ、椎はやっぱり無表情のまま熱い友情を胸に抱いた! が!!
「悪いな、とっくにバレットタイムで破剣は確保済みだ」
パーカーの! ブレイク無双の時間だよ!!
冷たく吹き荒れた精霊の吹雪が親マンボウの炎攻撃を補佐しようと頑張る子マンボウ達をびしばし散らし、親マンボウ達も翻弄していく様に、ミライの眦に切ない涙がキラリ☆
「今だけは、ちょっと泣いてもいいですか……? けど、私も手は止めません!!」
決意とともに放つのはミライの涙の如く煌く時空凍結弾、椎もクールな感じでライフルを構え、眩い光弾でマンボウを撃ち抜き撃破する。
「もっと別な形で出会いたかった……ですが、戦いとは非情なものなのです」
決まった……! 超ニヒル……!!
そろそろお別れの時間かな、と頷いた杏は雷杖の力を高め、
「後少しだもん、逆転させるわけにはいかないよねっ! よろしく、宵一さん!!」
「ですね。ミッションに励むケルベロス達に『ママママンボウ!!』されると困りますし」
もうちょっと楽しみたかったけど、なんて本音も洩らしつつ、杏は宵一へ撃ち込む電撃で彼の攻撃力をずばんとアップ! 狐尻尾の先までびりびりっときたそれに力を得て、宵一が天空から無数の刃を降らせれば、
『マンボウッ!?』
『ママママンボウッ!!??』
容赦なく斬り刻まれたマンボウ達が空でわたわたしたが、
「このまま押しきれそうですね! 僕も行きます!!」
「纏めて薙ぎ払うか。鹵獲術士の本領を発揮させてもらおう!!」
間髪を容れず雫が掲げた杖から迸った灼熱の火球がマンボウ達の中心で爆裂、シヴィルが続けざまに精霊魔法を解き放つ。
この世の遍く熱を司る熱素の精霊よ。我が求めに応じ、すべての敵を切り刻め!
「カジャス流奥義、サン・ヴォーテックス!」
召喚された熱素の精霊が冷たい海面の空気を一気に熱して、上昇気流を生みだし凄まじい巨大竜巻を成してマンボウ達を呑み込んでいく!!
『マママ、ママママンボウッ!!??』
暴風の渦が消え去れば、ギャラクシーマンボウ達もすべてこの世から消えていた。
「流石に、これ以上は作ってないですよね……」
波がざざーんと寄せる岩礁に佇み、ぽつりと琥珀が呟けば、
「いや、また変な機能付けられて出てきそうな気もしますが」
「次はサンダー・マンボウ! で会えるかなぁ?」
宵一がさくっと続け、ミライが夢見る瞳で空を見上げる。
だが今回予知された敵は完全に殲滅した。
さよなら量産型ギャラクシーマンボウ飛翔モード、君達のことは忘れない!
「忘れないというか、当分の間夢に出てきそうな気がします……」
冷たい潮風にふるりと身を震わせた雫が怖いこと言った。
今宵あなたの夢の中、ギャラクシーマンボウさん達がやってくる。――かもしれない!!
作者:藍鳶カナン |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2017年3月4日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 2/素敵だった 12/キャラが大事にされていた 1
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