遊園地の悪戯猫

作者:そらばる

●忍び潜む悪戯猫
「んにゃっ!? 撤退ィィ!?」
 暗がりの中、うっかり声を張り上げてしまった後、その生き物は、はっと口許を両手で覆った。
 保守用の照明以外は闇に沈んだ、開園前の遊園地の敷地内。人目を忍んでとぼとぼ二足歩行するそれは、王冠を頭のてっぺんに乗せた、つぎはぎだらけの猫型マスコットだった。
「……そろそろ動き出せる頃かと思っていたら、なんということにゃ。レジーナ様の命令は絶対にゃ……けど、これじゃおいらの得意技の使いどころがないにゃ……っ」
 ぶつくさぼやいていた猫型マスコットは、はたと足を止めた。
 見上げれば、傍らには、巨大な古城がそびえ立っていた。
 にしゃぁ……邪悪な笑みが、猫の口許を歪ませる。
「最後にひと暴れぐらいしても、ええよにゃ……?」
 にっしゃしゃしゃしゃしゃ! 闇夜に不気味な忍び笑いを這わせながら、小さな姿は古城の大門の向こうへと消えていった。

●『オーゴGGG05』
 指揮官型ダモクレスの地球侵略が開始されて間もないが、すでに各地で関連事件が続発している。
 今回もまた、新たに引き起こされるであろう事件を対処すべく、戸賀・鬼灯(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0096)はケルベロス達を招集した。
「指揮官型の一体、呼称を『コマンダー・レジーナ』。彼女は既に、多くの配下を地球に送り込んでいた様子。レジーナの着任と同時に、潜伏していたダモクレスが一斉に動き出したようでございます」
 一時撤退の命を受け、動き出したダモクレスの多くはそのまま撤退したようだが、中には『行きがけの駄賃』や『手土産』とばかりに、グラビティ・チェインを略奪しようとする者もあり、多数の事件が予知されているという。
「こたび、皆様に対処して頂く事となります敵は、『オーゴGGG05』。猫型のマスコットキャラクターの如き風体のダモクレスにございます」
 オーゴGGG05は、開園前の遊園地に忍び込み、密かに乗っ取ったアトラクションの内部を好き勝手に改造して、入ってきた客をアトラクションに襲わせようとしている。
 実行されれば惨劇は必至。確実に撃破して、恐るべき計画を阻止しなければならない。

 オーゴGGG05が潜伏しているのは、人気遊園地の中枢に存在する、西洋の古城を模した建物。吸血鬼、魔女、狼男、半魚人といった西洋的な化け物が闊歩する、ホラーテイストのライドアトラクションだ。
「オーゴGGG05は、ライドが最奥の玉座の間に到着した瞬間、改造を施した化け物型のギミック群に襲わせる事で、一般客の虐殺を行おうと企んでおります」
 当のオーゴGGG05自身は、玉座の後ろに隠れて、その瞬間を今か今かと待ち侘びている。
 開園一番、ライドに搭乗して正面から玉座の間に乗り込む事も可能だが、その場合は敵に攻撃を先制されてしまう。
 一方、従業員用の通用口から玉座の後方に回り込む事もできる為、背後から敵に奇襲をかける事で、戦いを有利に運べるはずだ。空っぽのライドを玉座まで走らせておいて、敵がそれを襲っている隙に攻撃を仕掛けるのがいいだろう。
 当のライドアトラクションは、遊園地側の協力で、事件が終息するまで厳重に閉鎖してもらえるので、避難誘導や人払いについては考える必要はない。
 一度戦闘に突入すれば、オーゴGGG05は、自分の計画を邪魔したケルベロス達に怒り散らし、徹底排除に尽力するはずだ。『天井から釣り下がった化け物型ギミック群で攻撃』『スパナを投げつける』『目を光らせて不気味に笑う』といったグラビティを仕掛けてくる。
「オーゴGGG05は、元は、廃園となった遊園地に放置されていた、マスコットの機械人形が改造されたもの。その来歴の通り、見た目は不気味さの中に愛らしさを残してはおりますが、その残忍さは決して捨て置けませぬ。斯くの如く悪戯じみた惨劇を二度と企めぬよう、確実な撃破をお願い致します」


参加者
真暗・抱(究極寝具マクライダー・e00809)
アップル・ウィナー(キューティーバニー・e04569)
相良・美月(オラトリオの巫術士・e05292)
屋川・標(声を聴くもの・e05796)
磯野・小東子(球に願いを・e16878)
ジェミ・ニア(星喰・e23256)
リィナ・アイリス(もふもふになりたいもふもふ・e28939)
心意・括(孤児達の母親代わり・e32452)

■リプレイ

●悪戯猫の背後にて
 古城型のライドアトラクションは、開園と同時に運行開始された。ただし、表向きは閉鎖され、客は一人として入れずに。
 ガシャンガシャン、ギュイイィィン……遠くから聞こえてくる内部機構の駆動音に、三角耳を澄ませながら、玉座の後ろでほくそ笑む猫型マスコットが一匹。
「にっししし! なんにも知らないカモがネギしょってやってくるにゃ~♪」
 玉座からこっそり、斜め三分の一顔を覗かせながら、玉座前中央にライドがやってくるのをワクワクテカテカ待ち受けているのは、もちろんオーゴGGG05である。
 そして、その後ろ姿を、さらに背後の物陰からこっそりと伺う人影が、複数。従業員通用口から玉座後方に回り込んだ、ケルベロス達であった。
「……あれが例のGGG(グラビティ・がっぽり・ゲット)シリーズの五号機……また性質の悪い奴がレジーナの配下に居たものだな……ここで倒さねば……」
 敵をきつく凝視しながら呟く真暗・抱(究極寝具マクライダー・e00809)。大真面目な口調に反して、「遊園地に合わせて」という理由で素顔を出すタイプの着ぐるみを装着中。ファンシーな外観に目つきの悪い三白眼の男の顔が露出しているという、なかなかに酷い絵面である。
「すでにアトラクションの一部は改造しちゃってるようデスシ、迷惑な敵デス」
 アップル・ウィナー(キューティーバニー・e04569)は、呆れたように小さく吐息を落とした。
「ただのマスコットだったら良かったのに。さすがにダモクレスの子の悪さは見逃せないわねー」
 落ち着いた声音で、マイペースに準備を整えていく心意・括(孤児達の母親代わり・e32452)。
「まったく、帰るならとっとと尻尾を巻いて帰りゃいいものをさ。『ついで』で殺されたらたまったもんじゃないよ!」
 こういうことするヤツはホント嫌いだ、と磯野・小東子(球に願いを・e16878)はご立腹である。
「あんまり気分がいい話じゃないよね。アトラクションは楽しむためのものなんだから。せっかく遊びに来た人が、怖がった後で楽しく帰れるようにがんばらないとね」
 アトラクションの内装に溶け込めるよう暗めのコートを着込んだ屋川・標(声を聴くもの・e05796)は、穏やかに呟く。
(「遊園地に来てるお客さん達を狙うなんて。たとえ、猫の姿をしていても、許しません!」)
 ジェミ・ニア(星喰・e23256)も心密かに気合を入れる。猫は大好きだが、それとこれとは話は別だ。
(「アトラクションを楽しんでるお客さんを攻撃なんて……そんなひどい事、絶対にさせませんっ。お客さんの笑顔と楽しい思い出を守る為、頑張らなくては」)
 慎重を期して隠れ潜みながら、相良・美月(オラトリオの巫術士・e05292)も正義感に心を燃やす。
(「……楽しい遊園地で、悪いことするなんて……絶対に、阻止しないと、ね……。でも……ホラーアトラクションで、戦うんだよね……あぅ……」)
 リィナ・アイリス(もふもふになりたいもふもふ・e28939)はこわごわと周囲を見回した。今のところホラー要素は雰囲気ある内装ぐらいなものだが、ここにお化けの類のギミックが出てきてしまったら……と気が気でない。
 ともあれケルベロス達の奇襲準備は万端、悪戯に夢中なオーゴGGG05は気づく気配もない。
 ほどなくして、玉座の間へと迫り来る最初のライドの駆動音が、ケルベロス達の耳にも届いた。

●残念、それは空っぽだ
 ガシャン、ガガガガガッ!
 激しい駆動音を立てながら、一直線にライドが玉座の間に突っ込んでくる。
「――にゃーっしゃっしゃしゃしゃ!! エサが来たにゃっ、パーティの始まりにゃ!!」
 オーゴGGG05は若干フライング気味に飛び出すと、玉座の上に乗り上げながら、ビシィ、と小さな手で号令を発した。
 途端、天井にびっしりと吊り下げられたお化けのギミックが、雨あられと降り注いだ。吸血鬼が、魔女が、狼男が、半魚人が、一斉にライドに襲い掛かる。
 その瞬間こそまさに、絶好の機会。
「――襲われるのは、アンタの方だよッ!」
「にゃッ!?」
 思いもよらぬ啖呵に振り返りかけたオーゴGGG05の横っ面を、小東子の轟竜砲がブッ叩いた。間を置かず、標も同じくブリキのハンマーを砲撃形態に変形させ、強烈に敵の足元を撃ち抜く。
「駆動部分に命中したから、これで少しは動きが鈍るはず」
 冷静に告げる標の横を、近接組が駆け抜けオーゴGGG05へと肉薄していく。
「さて、お化け退治の時間ですね!」
「この愛を、貴方に刻み付ける!!」
 混乱に硬直する敵を、息つく暇を与えずジェミのバリケードクラッシュとアップルの豪兎愛羅武勇が打ち据えた。美月の武神の矢とリィナのペトリフィケイションも追い討ちをかける。
「にゃにゃにゃにゃにゃッ!? にゃんにゃのにゃァ――!?」
 舌を噛みそうな勢いで玉座から逃れ飛び出すオーゴGGG05。が、その周囲は、瞬く間にケルベロス達に囲い込まれてしまう。
「逃げ道はないわよー」
 ウィングキャットのソウと手分けして仲間達に耐性を付与しながら、ライドが乗り込んでくる正面入り口を悠々と塞ぐ括。同じく通用口前に陣取る近衛木・ヒダリギ(シャドウエルフのウィッチドクター・en0090)も手伝い、全体が満遍なく耐性強化されていく。
「僕はイタズラされる方だから、慣れてはいるけど、それで殺されるのはね」
 そつなく回り込みに成功した標は、ちらりと、天井に視線をやった。
「これはちょっと、笑って許せそうにないかな」
 ライドを集中攻撃後、化け物のギミックは速やかに天井へと巻き取られていた。血塗られた牙を見せつけ不敵に笑う吸血鬼、ホウキに乗って禍々しい杖を構える老魔女、凶悪な爪と牙で今にも襲い掛かってきそうな狼男……等々。天井から、命を持たない化け物達の不気味な視線が数多に降ってくる。
「夢の国を、悪夢の地獄に変える、貴様のような外道を……許すわけにはいかない」
 三対の魔眼で防御力を向上させながら、据わった目つきでオーゴGGG05を睨み据える抱(ただし顔出し着ぐるみである)。
「にゃ……にゃんにゃオマエら、おいらをジャマしに来たにゃ? ニッシシ、ちいとばかし遅かったにゃ。最初のエモノはこれこのとーりおいらのエサに――んニャァァァァァッ!?」
 ここにきてようやくライドの状況を確かめ、オーゴGGG05は頭のてっぺんから悲鳴を上げた。さもありなん。ライドは最初から空っぽである。
 攻撃されたせいで若干ぎこちない動作になりつつも、空のライドは自動制御によって、レール上の順路を再び走り去っていく。
 さっそく心理的ダメージに真っ白になっているオーゴGGG05の姿に、庇護欲を刺激され、リィナが眉を八の字にする。
「……悪いこと、しちゃだめだよー。せっかく、可愛いのに、もったいないよ……?」
 しかし、肩を震わせるオーゴGGG05に、言葉は届かない。
「オマエら……許さんのにゃぁぁぁぁ!!」
 禍々しく瞳を輝かせながら、オーゴGGG05が吼えた。
(「見た目は猫なのに……」)
 凶悪に殺意を漲らせるその姿に、ジェミは心の底で肩を落とすのだった。

●やることなすこと裏目裏目
 先手を取ったのはケルベロス。
「いくよ、いくら! あんな根性ネジ曲がった顔するやつなんかに負けるんじゃないよ!」
 憤然とスターゲイザーを叩き込む小東子。主人に続くテレビウムのいくらも、「同じ猫風マスコットの面汚し」と言わんばかりに気合満々、凶器を打ち下ろす。
「廃園に放置されてたそうですけど、人気……なかったんデショウネ」
 アクロバティックに動き回るアップルは、斉天截拳撃で攻め込みつつ、猫型マスコットの独特な容姿を真正面からばっちりと見てしまい、ぽつりと素直な感想を零す。
 一方、違う感想を抱いた者も。
「見た目可愛いので、攻撃するのちょっと可哀想な気もして……うぅぅ」
 元より攻撃が不得手であるのに加えて、曲がりなりにもマスコットたる敵の外見に、美月はおたおたと腰が引け気味にペトリフィケイションを打ち込んだ。
 途端、ぎゅるんっ、とギラつく視線と共にオーゴGGG05の突き刺すような殺気が飛んでくる。反射的に首をすくめる美月。
「ご、ごごごご、ごめんなさいっ」
「許さないって言ったニャァァアァ!!」
 投擲されたスパナが凄まじい回転をかけながら、美月に襲い掛かった。しかし咄嗟に軌道に割り込んだジェミが、身を挺してスパナを弾き返し、事なきを得る。
 戻ってきたスパナを敵があわあわキャッチしている隙に、抱とライドキャリバーの黒雷の息の合ったコンビネーションが決まる。リィナは星天十字撃。括とソウ、ヒダリギのメディック勢は、耐性付与の大盤振る舞い。
 奇襲が功を奏し、戦いは明らかにケルベロスの優勢だった。頭に血を昇らせたオーゴGGG05は、逃亡の選択肢など端から捨ててかかっているようで、がむしゃらにケルベロス達を攻撃してくる。
「よくもおいらの完璧な計画を邪魔してくれたにゃ! せっかく夜なべして改造したのにもったいにゃい! こーなったらオマエらを実験台にしてやるニャァァッ!」
 オーゴGGG05が再び合図を発すると、天井から仕掛けのたがが飛んだような音がした。
 ――と思った次の瞬間、無数の化け物ギミック達が垂直落下、ケルベロス達に襲い掛かった! 絹を裂くような悲鳴が上がる。
「お化け、やだぁ……っ!」
 涙目のリィナ。皆を守りたいと気を張れど、怖いものは怖い。反射的に撃ち返した螺旋氷縛波は、びくつくその様子をニヤニヤ見物していたオーゴGGG05の腹部へと一直線。
「ふごぅっ……」
 間抜けな声を上げて、オーゴGGG05は吹っ飛ばされた。
「あらあらおいたが過ぎたわねー」
 ロッドに仕込まれた包帯を駆使して仲間達に治癒を施しながら、括がのんびりと微笑んだ。

●悪戯マスコット、ここに眠る
 勝負の行く末は明白。オーゴGGG05も手を変え品を変え善戦したが、元々つぎはぎだらけだった姿も、輪をかけてみすぼらしく変貌していく。
 瞬く間に追い詰められ、否応なく漂う濃厚な敗北の気配に、膝と前脚を床につき、うなだれるオーゴGGG05。
「にゃー……こんにゃはずじゃなかったにゃー……おいらは、おいらは――愛されイタズラっ子のスーパーマスコットのはずなのにゃぁ♪」
 肩越しに振り返ったその顔は、暗い場所でばったり出くわしたらトラウマ必至の不気味な笑顔であった。
「マスコットのする顔じゃありませんネー」
 即座にアップルの降魔真拳が、ツッコミ代わりにオーゴGGG05の顔面にめり込んだ。ふごぅっ、とまたしても妙な呻き声。
「だれが、そんなもの怖がるかい! その顔一発ぶん殴ってやるよ、覚悟おし!」
 手厳しく断じ、全力体当たりを仕掛ける小東子。
「ふえぇぇん、来ないで下さい~」
 美月は目を閉じて腕をぐるぐる。なぜか当たる。オーゴGGG05の顎にがっつりアッパー。
「ちょっとかわいそうだけど……過保護は、だめ、だよね……」
 こっそり吐息を零しながら、リィナは魔法の光線を敵へと撃ち込む。
 標は片目を閉じて、ハンマーの重さを手の中で確かめた。
「行くよ、相棒!」
 武器と心を通わせて、体の一部であるかの如く振るう。潜在能力を引き出されたハンマーが、強烈な一撃を敵に打ち込んだ。
「猫の姿で悪事を働く等、言語道断です!」
 ジェミの影の中より現れた漆黒の矢が、変幻自在の軌道を描いて宙を走り、オーゴGGG05の胴を射抜いて、その生命力を奪い去る。
「大丈夫よー。もう、終わるからね?」
 括は放電する応急治療用ロッドを掲げ、容赦のない雷をオーゴGGG05に浴びせる。
「――終わりだ」
 敵が電撃に釘付けにされている隙に、電光石火で肉薄する抱。着ぐるみ纏った足が踏み込み、強烈な蹴りを急所に見舞う。
「びにゃあああぁぁーーーッ!!」
 耳をつんざく大絶叫を上げたのち、がっくりと事切れるように、オーゴGGG05は機能を停止した。
 残されたのは、デウスエクスに改造される前の、猫型マスコットの残骸のみ。
「GGG05オーゴ……貴様の兄弟姉妹も何れ同じところに送ってやる……眠れ、夢の中に置き去りにされた偶像……」
 どこか哀愁を含んで、抱は呟いた。顔出し着ぐるみ姿のままで。

「修復、しなくちゃ、ね……」
 リィナのハジメテの想いが玉座の間に満ち、ダメージを修復していく。
「やっぱり、人を楽しませる悪戯で留まれないものなのかしらー?」
 デウスエクスってなんだか虚しいものねーとぼやきながら、括は癒しの抱擁で味方や戦場の傷を癒していく。
「う~ん……この改造されたアトラクションも元に戻るのでしょうか? 戻らなかったらスタッフさんもお客さんも困りますよねぇ……」
 同じくヒールを振る舞いながら、首を傾げる美月。
 幸い、オーゴGGG05による改造箇所は、ケルベロス達のヒールによって、元の安全なギミックに修復されていった。天井に釣り下がったお化け達は、不気味さはそのままに、しかし客を襲うのではなく脅かすだけの、よく見るとちょっとコミカルな姿を取り戻していく。
 修復の出来栄えに満足しつつ、小東子はふと、床に座り込むマスコットの残骸に視線を落とした。
「……こいつももう一度マスコットに……いや、今はもう目つきがちょっと気持ち悪いし、ムリか」
「かなり壊れてしまっていますね……特に、デウスエクスとしての機能は全壊でしょう」
 ジェミは嘆息する。コマンダー・レジーナに繋がる手掛かりとなるようなものは、この場には何一つ残っていないようだ。
「他の事件を含め、潜伏場所や事件の場所を線で結んだら、レジーナの思惑を探れたりしマセンカネ……」
 真剣に頭脳を働かせるアップル。成果が出るかはわからないが、のちのち調査をしてみる価値はあるかもしれない。
「なんにしても、撃退できて良かった。どんなアトラクションでも、帰るときは笑顔で帰るのがいいと思うんだよね」
 ヒールついでに、小さなブリキの幽霊をこっそりと紛れ込ませながら、標は満足そうに微笑んだ。

作者:そらばる 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年2月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。