白き虎は駆け巡る

作者:白鳥美鳥

●白き虎は駆け巡る
「白虎って……やっぱり格好いいと思うんだよ」
 人気のない森の中を注意深く奏人は進んでいた。小さな物音にも気を配る。
「ホワイトタイガーっているけどさ、白虎は別物だよね。なんたって四神って呼ばれる位だし、さそがし神々しいんだろうな……。ここは、やっぱり実物にお目にかからなければ……」
 そんな奏人の前に第五の魔女・アウゲイアスが現れ、手に持った鍵で心臓を一突きする。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『興味』にとても興味があります」
 崩れ落ちていく奏人の傍には、美しい白き虎が生まれていた。

●ヘリオライダーより
「神々しいものって聞いたら、大概の人は興味を持ってしまうと思うんだよね」
 デュアル・サーペント(陽だまり猫のヘリオライダー・en0190)は、ケルベロス達に事件についての話を始めた。
「実は、ファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079)が予知した事件が起きてしまったみたいなんだ。みんなには、この事件で生まれたドリームイーターを退治してほしい。倒せば、被害者の人も目を覚ましてくれると思うよ」
 デュアルは状況の説明をしていく。
「場所は森の奥深く。でも、時間帯は昼間だから、そこまで視界は悪くないと思う。姿は白い虎の姿をしているよ。虎だから、木を伝ってどこかから突然現れる可能性はあると思うから気を付けてね。それで、このドリームイーターなんだけど、『自分は何者?』みたいに問いかける行為をしてくるんだ。それで、正しく対応できないと殺してしまうみたいだ。でも、このドリームイーターは自分の事を信じていたり、噂をしている人がいると、その人の方に引き寄せられる性質があるから、それを上手く利用して誘い出せれば有利に戦えると思うよ」
 デュアルの話を聞いていたミーミア・リーン(笑顔のお菓子伝道師・en0094)は、白い虎という言葉に興味を持った。
「白い虎さん……。確か、動物園にもいるホワイトタイガーさんとは違うのかな? 興味があるの。それに……とても神聖なものだったのなら、それが悪さをしたら、とっても悲しいの! 一緒に頑張って欲しいの!」


参加者
カナタ・キルシュタイン(此身一迅之刀・e00288)
西条・霧華(幻想のリナリア・e00311)
リーフ・グランバニア(サザンクロスドラグーン・e00610)
リヴカー・ハザック(幸いなれ愛の鼓動・e01211)
ファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079)
綾小路・鼓太郎(見習い神官・e03749)
砂星・イノリ(ヤマイヌ・e16912)
宵華・季由(華猫協奏曲・e20803)

■リプレイ

●白き虎は駆け巡る
 場所は人気の無い森の中。西条・霧華(幻想のリナリア・e00311)、リヴカー・ハザック(幸いなれ愛の鼓動・e01211)、ファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079)の3人は、隠された森の小路の力を使って、仲間達を誘導しながら戦闘に向きそうな場所を探していた。戦うのであれば、それなりに開けていている場所が望ましい。
 ……とはいえ、相手は白虎で、ケルベロスは9名。ある程度、自由に動く事を想定すると、やはり広さは重要だ。更に相手は森の木々も足場と同様なのだから、それが少ないに越した事は無い。作戦に奇襲があるとはいえ、立ち回りをする事を考えると……そう簡単には丁度良い場所は見つけられそうには無い。
「やはり、少し伐採しないといけないようですね」
 周囲を見渡しながら綾小路・鼓太郎(見習い神官・e03749)が言う言葉に、皆は頷く。こうなれば、ヒールを前提として、自分たちである程度の場所を用意するしかなさそうだ。
(「本当は切りたくはなかったんだけどな……」)
 砂星・イノリ(ヤマイヌ・e16912)は残念に思う。山育ちのイノリは木を切り倒す事が辛いのだ。でも、今は少しだけ森の木々に我慢してもらうしかない。
 ヒールを前提にしているものの、申し訳なく思いつつ皆で場所を作り上げていく。最小限に木を伐採して場所を確保してから、ケルベロス達は作戦を実行に移した。
 噂をして囮になるのは、霧華、リーフ・グランバニア(サザンクロスドラグーン・e00610)、宵華・季由(華猫協奏曲・e20803)、ファルケの4名。残りのケルベロス達は奇襲班。ドリームイーターに見つからない様に身を潜めた。
(「白虎ねぇ、確か四方を司る神獣の一つだったかしら? まぁ、今回の敵はそれを模したレプリカでしょうけど、森の中での虎狩り、腕が鳴るわね」)
 カナタ・キルシュタイン(此身一迅之刀・e00288)は、身を潜めながら愛刀を握りしめる。
(「白虎か…聞いたことはあるが。モンスターとも、アルビノの動物とも違う、神秘的な存在のようだな。……もっとも、「出処」を思えば、神秘の欠片もありはしないのだが」)
 どんな物が現れようと、それはドリームイーター、倒すべき存在。リヴカーも身を潜めながら機を待っている。
「この森に伝説の白虎がいるのですね。ぜひその神々しさに触れてみたいと思います」
 そう話を進めるのは霧華。
「よもや、名高い四神の一柱に相見える機会が訪れるとはな……」
 リーフは、そう言って頷いた。リーフ自身、陰陽道等にも興味があるので、この噂話には熱が入ってしまう。白虎といえば、中国の伝説上の四神で西を守護する者。そして、四神の中では最も高齢とも、若いとも言われる存在だ。……だから、今回現れるという白虎は年寄り口調なのだろうか。
「また東洋の幻獣かぁ。いろんな伝説があるんだねぇ……」
 話を聞きつつファルケは相槌を入れる。彼の出身はアメリカ。神話といえばクトゥルフ神話が有名だ。こちらのものが現れたら戦いたくないなあ、という思いもある。何故なら、「クトゥルフ」は邪神の名前でもあり、頭がタコで、それにドラゴンと類人猿を混ぜて、コウモリの貧弱な羽根をつけたようなものだからだ。
 そんな事を思うファルケの隣りで、のんびりとした声が上がる。
「白虎かー、かっこいいな」
 無類の猫好きでもあり、白虎にロマンと憧れを抱く季由は楽しみらしい。そんな彼の頭の上に居るのは茶虎のウイングキャット、ミコト。
「俺のミコトも虎……茶虎だ! 負けずにかっこいいぞ。猫同士、負けられないな、ミコト!」
「にゃーお!」
 季由にかっこいいと言われたミコトはご満悦だ。二人のやり取りは噂話というよりも、ほのぼのしていて『猫が大好き!』そんな感じである。
「ほっほっほ、茶虎とは……また可愛いのう。ワシはまぁ……同じネコ科じゃから、猫同士でも構わぬかのう」
 のんびりゆったり穏やかな口調で、森の影から白い虎が姿を現した。四神のイメージに沿い、荘厳な雰囲気を持つ反面、口調は柔らかい。
「白虎、本当にいたんだな! 俺は感激した! 会えて感動した!」
 季由は瞳をキラキラとさせて感激している。それをミコトが不機嫌そうに尻尾でぺちぺちと叩いて自分の存在を訴え、それに季由は我に返った。
「ほっほっほ、ワシに会いに来てくれたのか、嬉しいのう。さて、そなた達はワシを誰だと思うかのう?」
 やんわりした声で、問いかけてくる。日向ぼっこをしている老人が話しかけてくるような感じだ。
 それに対して、霧華とリーフは毅然と答える。
「何者でもない者。偽りの老兵」
「白くも無ければ虎でもない。影も形もありゃしない……貴様は、ただの夢幻だ」
 二人の言葉に、白虎は残念そうに唸る。
「……それは残念じゃのう」
 白虎のドリームイーターが二人に攻撃態勢に入る。それと同時にケルベロス達も構えた。

●白虎型ドリームイーター
「ぐるるるるるる……」
 白虎の唸り声はリーフの耳の中で響き渡り、身動きが取れなくなる。
「よし、いくぞミコト! 茶虎の意地を見せてやれ」
 直ぐに動くのは季由。ミコトにそう声をかけると、自らは身に纏っているオウガメタルを放ってリヴカー達の集中力を高めていく。同様にミコトも清らかなる風を送っていった。
「……さて、手早く済ませてしまおうか。私には、件の偽りの神獣より、君のお茶の方がずっと重要だからな」
 リヴカーは、共に身を潜めていたミーミア・リーン(笑顔のお菓子伝道師・en0094)に悪戯っぽく微笑むと、白虎の方へ向かって弓を引き、その心臓を狙って矢を放つ。しかし、支援を受けきれなかったのか向こうが素早すぎるのか、白虎のドリームイーターは、くるりと宙を舞い近くの樹の枝の上に降り立ってしまった。
「簡単に狩られる訳にはいかんからのう」
 やれやれ、と言った声で白虎は言って樹の上からケルベロス達を見下ろす。
「すばしっこいわね、でも逃がさないわよ!」
「そう、俺達からは簡単には逃げきれないからね」
 カナタは樹の上にいる白虎に向かって、月の弧を描きながら急所に目がけて突き立てた。その攻撃を受けた白虎が枝から飛び降りる時を狙って、ファルケの重い蹴りを叩き込む。
「クルーン、キミの光で皆の超感覚を覚醒させて!」
 イノリにクルーンと名付けられたオウガメタルは、オウガ粒子を放って鼓太郎達の神経を研ぎ澄ませていった。
 霧華はかけていた眼鏡を外し、表情の無い顔を白虎のドリームイーターへと向けると、居合切りの要領で斬霊刀を抜き斬りつける。しかし、それを白虎は跳び避け、宙に舞った。
「みんな、頑張るの!」
 その間の時間を縫って、ミーミアはオウガ粒子を、シフォンは清らかなる風をリーフ達に送り込んでいく。
「怖い怖い。じゃが、こちらも簡単にやられる訳にはいかんぞ?」
 白虎は身体をバネの様にして跳びあがり、そのままリヴカーに向かって噛みつきにかかる。しかし、それを霧華が庇った。
「大丈夫でしょうか?」
「ありがとう。君の優しさを力とし、必ず仕留めて見せよう」
 霧華の言葉に、リヴカーが礼を伝えている。その間に、季由と鼓太郎が動いた。まずは、季由の放つオウガ粒子がリヴカー達の集中力を高める。そして鼓太郎がドリームイーターへと飛び込んだ。
「この星の災厄たるデウスエクスなれば、如何な瑞獣の姿であろうとも無意味です」
 飛びかかる鼓太郎の蹴りは白虎のドリームイーターへ正確に叩き込まれる。
「今度こそ、喰らって貰うぞ」
 リヴカーの雷の霊力を持つ強力な突きが、続き叩き込まれた。
「私も敏捷性・精密さなら負けないつもりよ!」
 カナタは白虎の動きを見ながら、自分も優位な場所を狙い素早く移動する。そして、白虎に向かって、思いっきり重たい蹴りを放った。
 ファルケは弾丸をばら撒く様に撃ち放ち進路を遮ろうとするが、それを白虎は悠々と飛び越える。
「まだまだ素早く動けるみたいだね」
「……おじいちゃん強いね。でも、ボク達も負ける訳にはいかないんだよ」
 ファルケの言葉を受けて、イノリは再びクルーンから、オウガ粒子をファルケ達に放つ。少しでも、その命中率が上がるように。
「速さで劣るなら、空間差で勝負!」
 まだ、最初に受けた痺れが抜けきらないリーフだが、森の木々の中、可能な範囲で自らの翼と尻尾を活用しながら動いていく。動きの間合いを取りながら、白虎に斬りかかった。白虎はかわしに入るが、かろうじて斬撃が当たる。まだまだ、相手の動きは素早い。
 ミーミアが再度、オウガ粒子を霧華達に放っていく。ミコトとシフォンも清らかなる風を送り続け、その効果を高めていった。
「中々やるのう、そなた達。この老いぼれも楽しくなって来たわい」
 白虎は高速で駆けまわる。木々を利用し、枝から枝へと渡り、時に地面を駆けくるくると動き回る。視界で追いつけない程の動きだ。余りの速さと動きに目を奪われて、季由の意識がぼんやりとしてくる。それを、再び霧華が目を覚まさせる様に庇ってくれた。
「あ、ありがとう。危なかったよ」
「いえ、宵華さんの役割は、この戦いでは重要です。頑張って下さい」
「うん、分かった」
 霧華の言葉を受けて、季由はまたオウガ粒子をファルケ達にかけていく。まだ、白虎の動きは抑えきれていない。確実に攻撃を当てて貰わないといけないからだ。力を受けたリヴカーは、遊狩揚羽という名のブラックスライムを使って白虎を捕らえにかかる。漆黒の闇から逃れる様に白き虎は動くが下半身が捕らえられた。
 鼓太郎はグラビティ・チェインを攻撃力に変えると白虎に向かって放つ。しかし、捕らえられていた白虎は上手く抜け出すと、その攻撃をかわした。
「……この攻撃は、分が悪いようですね」
 命中率の高いポジションの上に支援を受けている。相手の素早さも落ちている筈だが、それでも外れるという事は、この攻撃はこの戦いには向いていないのだろう。
「ちょっと大人しくしてなさい!」
 素早く動き回る白虎に、カナタは網状の霊力を放って白虎を何とか捕らえる事に成功する。続いてファルケの放つ漆黒の闇も重ねる様に捕らえた。
「おじいちゃんは凄いね……」
 口調は老人のものだが、動きは流石に四神を元にしたドリームイーターだけはある。後方も外す事がある事態が起きているので、イノリはクルーンの放つオウガ粒子を鼓太郎達へと送り込んだ。
 リーフも動きを見ながら攻撃のタイミングを図る。しかし、まだ相手は速いようだ。上空から蹴りを放つも、それが、見越されていたのか、俊敏にかわされた。
 攻撃が当たらない状態では無い。だが、選ぶ攻撃方法を間違うと失敗してしまうようだ。
 ミーミアがオウガ粒子をリーフ達にかけていく。ミコトとシフォンは、今度はカナタ達へと清らかな風を送り込んで加護の力を高めていった。
「ふむ。流石、ケルベロス。ワシも追い詰められたものよのう」
 口調は穏やかなままだが、白虎のダメージはかなり蓄積されてきているようだ。しかし、そこは誇り高い白虎。こちらに向かって、全力で向かってくる。次に狙うはファルケ。跳ねる様に跳びあがると、その鋭い牙で襲い掛かってくる。それを突き飛ばすようにして霧華が庇った。
「……大丈夫……ですか?」
 庇い続けている霧華の体力もかなり削れているようだ。それにファルケは強く頷く。
「ああ、君の頑張りを無駄にはしないから。それに、しっかり手当てを受けてね」
「……はい」
 ファルケの心配そうな言葉に、霧華も頷く。現状、一番の回復能力があるのはミーミア。彼女ならサポートしてくれるだろう。
 リヴカーは"Pas un n’est brise"を引き絞る。そして、白虎の心臓に向かって矢を放った。それは、確実に相手を捕らえる。動きが若干鈍っている間に、季由がカラフルな爆破を起こして、ファルケ達の力を上げていった。
 力を受けたファルケは、白虎に向かって思いっきり輝きを伴う重い蹴りを放つ。
 一方、イノリは霧華の状態を見て、癒しのメロディを奏でて傷を癒していった。
 動きが鈍くなってきている白虎に向かい、翼を使ってリーフは急接近を図ると、弱点を見極めて、強烈な一撃を放つ。
 ミーミアは霧華に電気ショックを伴う回復を行い、ミコトはイノリに、シフォンはリヴカー達に向かって清らかなる風を重ねる様にかけていった。
 流石の白虎も疲れが回って来たのだろう、かなり息が上がっている。
「……ワシも、そなた達と同じ気持ちを忘れてはいない。最期まで誇り高く戦おう」
 誇り高き白虎。恐らく、それは奏人が興味を持ったその姿なのだろう。傷だらけであっても誇らしい姿をしていた。
 再び、白虎は高速で動き始める。木々の枝を使い、地面を蹴り、宙を舞い……その姿はどこまでも誇り高く……今度は霧華がそのまま飲まれてしまった。
「みんな、最後にしよう。力を与えるよ!」
 季由は、鼓太郎達に力の底上げを図る。力を受けた鼓太郎は御業を飛ばして白虎を燃え上がらせた。更に、リヴカーによる、雷の霊力を纏う一撃が加わり、白虎の動きを奪っていく。カタナは急所を狙って刃を突き立て、ファルケは漆黒の闇を放つ事で白虎を縛り上げた。
 イノリは安全策を取り、癒しのメロディを奏でて霧華達の傷を癒していく。
 そして、身動きが取れなくなっている白虎にリーフが構えた。
「火克金! 火気を以て金に克つ! 燃えて星と成れ虎よ!!」
 リーフは七色の炎を纏い、そのまま飛行して白虎のドリームイーターへと突っ込んでいく。白虎は燃え上がり……火の粉となってそのまま消え落ちていった。
「神々しいまま、悪い事が起こる前に夢へとお還り。バイバイ、白虎のおじいちゃん……」
 イノリはそう言って、その姿を見送る。本来、白虎は子供や家族、皆を護る神様でもある。……だから、本当の神様だったら良かった、そういう思いもある。それだからこそ……この結末は大切でもあった。

●束の間の一時
 伐採した木々でなく、戦いにより白虎が荒らしたものや、ケルベロス達が荒らしたもの等、戦場の周りは酷い事になってしまっていたが、皆の献身的なヒール活動によって木々の傷も癒えていく。……完全に元に戻った訳ではないけれど、それでも出来る限りの事をした。
「かっこよかったな、白虎……」
 ヒールの最中、季由は先程の白虎のドリームイーターの事が忘れられずにいた為に、相棒のミコトに散々怒られていて、その姿が微笑ましくもあり、皆の心も少し軽くなる。
 また、ヒールの過程で奏人も見つけ、彼も手当てをして、無事に気が付いてくれた。

「みんな、お疲れ様なのー!」
 ミーミアは用意してきた、温かい珈琲、紅茶、ココア、そしてマフィンを皆に振る舞う。
「お気遣い、痛み入ります」
「ありがとう」
 鼓太郎、ファルケはお礼を言いながら受け取った。
「ふふ、君のお茶会、ゆっくり楽しませて貰うよ」
「私は、紅茶&チョコチップマフィンを希望します!」
「ボクはココアとマフィンを戴くね」
「どうぞなの! 沢山持って来たから、おかわりも自由なのよ! それに、みんなと一杯お喋りしたいの!」
 リヴカー、リーフ、イノリに微笑みながら、ミーミアは答える。それから、カナタと霧華にもマフィン片手に、休憩へと誘いに出かけた。
 勿論、その中には、奏人も混ざっている。事情は分かったものの、少々複雑ではあるようだ。それでも、助けてくれたケルベロス達にはとても感謝している。
「ねえ、奏人さんの興味があった白虎ってどんなのだったのかな?」
「え? そうですね……やはり格好良くて……強くて神秘的な……」
 イノリと奏人は白虎の話題で盛り上がっている。
「良いわねぇ♪ 森の木陰のお茶会、も☆」
 リーフは楽しみながら鼻歌なんかも歌ってみたりして。
「……故郷の谷を思い出すな。地形の違いはあれど、深い自然の中は、心が安らぐ」
「そうなの? どんな所なの?」
 リヴカーの話にミーミアが食らいついたり、シフォンは共に戦ったミコトが気になって遊びに出かけて、仲良く季由に捕まったり。
 ……戦いを終えて、森の香りに心が休まり、穏やかな時間が流れていく。それは、一時の優しい休息の時間だった――。

作者:白鳥美鳥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2017年2月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 2
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