●
「一大事っす! 鎌倉に大量のデウスエクスが出現したっす!!」
ヘリオライダーの黒瀬・ダンテからの緊急連絡。
「ヤツらはあっと言う間に鎌倉を制圧してしまったっす。鎌倉が完全なデウスエクスの拠点と化してしまったら今度は日本全土がヤバイっす!!」
ダンテの様子から察するに、かなり切羽詰まった状況であるのは間違いない。
「詳しい情報を確認して、デウスエクスの大軍勢との戦いの準備を進めておいて欲しいっす」
敵の大軍勢に対抗するには仲間のケルベロス達と一致団結して事にあたらなければならないだろう。
しかしもう一つお願いしたい事がある、とダンテは続ける。
「鎌倉郊外で、ビルシャナ大菩薩の影響が出始めているんすよ」
ビルシャナ。魅入いられた人間と召喚融合する事で現実世界に出現する鳥人間型のデウスエクス種族だ。
「ビルシャナ大菩薩の影響を受けた一般市民の中に、悟りを開いたといってビルシャナ化するものが現れてるんす」
「ビルシャナ化した市民は自分の教義に少しでも同意した人間を信徒として支配下における力を持っているっす」
そのまま放っておけば、やがてその信徒もビルシャナ化してしまうとダンテは付け加える。
「そして、鎌倉市民を信徒にしようとビルシャナ化した市民が動き出したっす。これを食い止めて欲しいっす!」
●
「今回、相手をして欲しいヤツなんすけど。『ツインテールこそ宇宙の至宝! 真理にして叡智!!』とかなんとかで悟りを開いたらしいっす」
身振り手振りを交えての解説。髪を掴んでツインテールっぽくしながら迫真の演技で説明する仕事熱心なダンテさん。
「コイツの見た目は鳥人間で全身羽毛っすから髪の毛なんかそもそも無いっす。かわりに頭にツインテールを模したひらひら付きの帽子を被っているっす」
かわりとはなんだろうと思わないでも無いがともかくそういう事らしい。
「で、こいつが街で市民に教義を説いている所に乗り込んでやっつけて欲しいっす」
そもそもそんな明らかな不審者の話に耳を傾ける市民がいるのか?
そんな素朴な疑問にも嬉々として答えてくれる仕事熱心なダンテさん。
「ビルシャナ化した市民の言葉には不思議な説得力があるんで、ちょっとでも共感したりすると信徒になってしまうっす」
放っておけば周りの人がどんどん信徒になってしまうという。ツインテール……もといビルシャナおそるべし。
「信徒となった市民はビルシャナを守る為に戦闘に参加するんで。かなり厄介な事になるっす」
ビルシャナに操られているだけの一般人なので戦闘能力は無い。ビルシャナを撃破すれば正気に戻るので救出も可能だ。だからこそ厄介な相手となるだろう。
「でもビルシャナの主張を覆すような、インパクトのある主張を行えば信徒化は防げるっす」
説得が上手くいけばビルシャナ1体との戦闘に持ち込める。そうなれば気兼ねなく戦う事ができるだろう。
「ビルシャナの周りにいる市民は、そもそも少しでも教義に共感できた連中だけっす」
そうでなければ普通逃げる。なので、ビルシャナの周りにいる連中はビルシャナの影響を受ける素養があった事になる。
「数は10人程で10代から40代位の男性ばっかりっす。えっとオタク? そんな言葉が似合うような……」
それ以上は言葉を濁すダンテ。ともかく色々と素養があった連中という事で間違いないだろう。
「少なからずビルシャナの影響を受けいる以上、一般的な理屈や常識で説得とかは無理っす。大事なのは『インパクト』っす」
多少論理的に破綻していても問題無い。彼らの心に届くインパクトのある主張が必要だ。
「ぶっちゃけ女の子が、可愛い髪型で現れたらコロっといきそうな気がしないでもないっすけど」
ぶっちゃけすぎるダンテさん。ともかくインパクトが大事なのだ!
「戦闘になればビルシャナはこちらを撹乱してくるっす」
催眠効果のある経文で同士討ちを誘発したり。氷の輪や炎の孔雀で継続ダメージを与えてくるようだ。さらに信徒への対応などでケルベロス側に混乱が生じればその隙をついてくるだろう。油断のならない相手といえる。
「ふざけた相手に見えるかもしれないけど、敵はデウスエクスっす。油断は禁物っす!」
参加者 | |
---|---|
サイア・アスコート(ハードラックカウンター・e01120) |
辻・ラッカ(カワイイの探求者・e01752) |
香祭・悠花(ジュエルコンダクター・e01845) |
天霧・香澄(カブトムシキチヤブ医者・e01998) |
九条・小町(雪月花・e02022) |
雨宮・ノヴェム(ブレードスイーパー・e03109) |
安倍・麻里亞(竟・e03271) |
鉾之原・雫(ポンコツ犬娘・e05492) |
●KKB☆8+1(鎌倉けるべろす☆ないん)
「付近に人はいねぇぞ。デウスエクスがいる時点で、ンな場所に近寄るわけねぇだろ」
ツインテールの鳥人間とそれを取り囲む人々という異様な光景。
それを物陰からうかがい、天霧・香澄(カブトムシキチヤブ医者・e01998)が通信機に悪態をつく。
「香澄っち、周辺確認ありがとうっすよ。感謝っす! 大好きっす」
通信機から鉾之原・雫(ポンコツ犬娘・e05492)の元気な声が聞こえる。
「そうか大好きか。お前があと5歳若けりゃな、大いに残念だ」
「えっ?」
そして一方的に通信を切る。
「さて、まずはあいつらのお手並み拝見といくか」
そういって空を見上げる香澄。その先には……。
「おい、なんだあれは!」
鳥人間の周囲の男たちが空から何かが降ってくる事に気づく。
「はっはっはー。良い子のお兄さん諸君! こんにちはー」
空から降ってきた雨宮・ノヴェム(ブレードスイーパー・e03109)が男たちに明るく声をかけ派手に土煙を上げて着地。
(「いい画像バッチリいただきましたー」)
驚く男たちの頭上。羽をパタパタさせて今のシーンを撮影していた香祭・悠花(ジュエルコンダクター・e01845)。さらに悠花の肩にひしっとしがみつく小型犬のオルトロスのコセイ。
「な、あんた何者だ」
「私は雨宮清そ……じゃ今回は無いんでした。ふふ、サイドテールの似合う謎の司会のお姉さんです!」
ノヴェムが戸惑う男たちに答える。
「さて、今日はお兄さんたちに最高にカワイイ魔法少女ユニットを紹介しましょう! その名も『KKB☆8+1(鎌倉けるべろす☆ないん)』!」
――チャッチャッチャララ、チャラララー……。
ノヴェムの掛け声と共にどこからか軽快な音楽が鳴り出す。
「それじゃいくよー!」
いつの間にかギターを手にした悠花がポニーテールを揺らして音楽に合わせ歌いだす。
――『ケルケルケルケルケルベロス(ハイッ!)』
突然の事態にざわつく男たち。
――『カ・ガ・ヤ・キ・は(ハイッ! ハイッ! ハイッ! ハイッ!)』
「さあ、魔法少女の登場だ!」
ノヴェムが空を指し示す。
――『千差☆万別(イェス! ケルベロス!)』
そして、上空から5人の魔法少女が登場!
――『ドキドキハートに愛嬌いっぱい(ツーサイド☆アップ)』
「ツーサイドアップは調和の証! ケル☆レッド!」
赤い魔法少女服に身を包んだ九条・小町(雪月花・e02022)が軽やかに地面に着地。そして名乗りをあげる。内心、うわーうわーって恥ずかしさと緊張で悶えていたりするがそこは顔には出さない。
――『ワクワクあふれるみんな大好き(ロング☆ストレート)』
「緑のロングは元気の証! ケル☆ビースト!!」
雫がビシッと決めポーズをとる。今の雫は正義のヒロインっす! と、強く念じる。髪をおろし緑に染めて『魔法少女フリフリコスチューム(オリジナル武装)』に身を包んだ雫。そのヤル気は十分。オリジナル武装用意とかまじパネエっす雫さん。
――『キラキラ大人な頑張り乙女(シニヨン☆姫カット)』
「お団子ヘアに愛をこめて。ケル☆ムーン」
紫色を基調とした巫女服風の衣装の安倍・麻里亞(竟・e03271)。大人のお姉さんキャラを目指し、編み込みを入れたお団子にバレッタでシックにまとめ、リップもいつもより赤めで仕上げた。実は不慣れな大人キャラをやることにしたのは、他のメンバーとキャラが被らないよう配慮したのもある。そんな麻里亞の頑張りと気配りが、絶妙のバランスの色気と可愛らしさを醸し出している。
――『小悪魔キュートに天真爛漫(カワイイ☆オトコノコ!)』
「揺れるおさげは絆の証。ケル☆アクア!!」
みつあみ! ミニスカ! プリンセスモード!!
水色の魔法少女コスチュームを着た辻・ラッカ(カワイイの探求者・e01752)が最強にあざといポーズで登場。『最強にあざといポーズ』とは背景に星とハートが飛び交い、キラリンって効果音がしそうな感じのポーズの事だ。
ちなみにラッカ君は男だぜ! 喜べ紳士淑女諸君。
――『乙女の戦争いつも本気よ(ポニー☆テール)』
「きらきら黄色は勇気の印! ケル☆イエロー!」
ポニーテールの凛とした雰囲気のお姉さん。サイア・アスコート(ハードラックカウンター・e01120)がセクシーな黄色いドレスを纏い登場する。
――『みんなそれぞれ違うから(ハイッ!)』
気がつけば歌に合いの手を入れている男たち。
――『ト・キ・メ・キ・は(ハイッ! ハイッ! ハイッ! ハイッ!)』
「私たち『KKB☆8+1』」
――『百花☆繚乱(イェス! ケルベロス!)』
「お洒落の夢と地球の明日を守ってみせるわ!」
5人の魔法少女が一斉に決めポーズ。
直後、その背後で色とりどりの爆発が起こった。
●カワイイは正義
突然現れた魔法少女たちに大興奮の男たち。
しかし。
「涅槃に至らんとする衆生を惑わす悪婦ども。ツインテールこそ人類の叡智! 他の髪型など無価値!!」
ビルシャナの剣幕に恐縮する男たち。まだビルシャナの支配は解けていないようだ。
「髪型、それは愛でるものですわ。あと涅槃なら叡智よりは真理がお似合いでしょうに」
サイアがいうと。
「そう、髪型は競うものではないわ。それにいろんな髪型があるから、キャラの魅力が出るものよ。どれかひとつだけが一番なんて勿体無いこと。いえ……ナンセンス?」
麻里亞がサイアの言葉を続ける。
「そうそう。女の子の魅力をひとつにしぼるなんて、もったいなーい」
さらに悠花が麻里亞の後ろから現れうんうんとうなずく。
「あの……悠花さん」
麻里亞がボソボソと悠花に耳打ちする。
「なんですかー。麻里亞さん」
「あの、胸……くすぐったいデス」
無意識のうちに麻里亞のたわわな胸を後ろから揉んでいた悠花。
「おわっ!? ゴメン麻里亞さん。つい手が伸びてた」
悠花がテヘヘと謝る。『あるから揉むんじゃない、そこが胸だから揉むんだ!』が悠花のポリシー。羨ましい。
「えーと……そう! 髪型だけじゃなく女の子には色んな魅力があるもんだよ。うん!」
無理矢理いい話にまとめようとする悠花。そして大いにうなずく男たち。
「私達を見ればわかるでしょう。髪形の無限の可能性を! 髪型は常に可愛らしく進化するものよ!」
「『可能性の美』は多様な髪型からしか創造されません!」
小町とノヴェムが少し芝居がかった風でビルシャナに指をつきつける。
「お兄さんたち見て見てー! ほらおさげカワイくない?」
ラッカがふわりとその場で一回転してはにかむ。大きくうなずき同意する男たち。
「だ・よ・ね! やっぱりボクってカワイイよねー」
そして満面の笑顔を浮かべる。
「お兄さんたち。本気で女の子よりもツインテ鳥人間の方が魅力的だって思っているんっすか?」
雫のもっとも過ぎる指摘にはっとなる男たち。
「そう、カワイイは私たちにあるの! あえて言わせてもらおう。カワイイは正義にして真理!!」
小町がいうと。
「「カワイイは正義にして真理!!」」
雫とラッカがそれに続く。そして大きくうなずく男たち。
「沈黙せよ! 無知蒙昧なる凡夫らよ!」
男たちの背後からビルシャナが強く叫ぶと場がシンと静まり返る。
ビルシャナの支配力はかなり揺らいでいる、あと一押しがあれば。
「いい加減にしろ! このにわかのボンクラ共が!」
ビルシャナのさらに背後から声がかかる。
何事かとビルシャナと男たちが一斉に振り向くと……
そこにはツインテールのカツラを被った天霧・香澄(男・21歳・特徴『眼光鋭い』『冷静沈着』)がいた。
……。
「ホンモノのツインテ好きが他の髪型を否定するか! 絶対しねぇ! 俺は全ての髪型を認める。その上でツインテールが大好きだ!」
……。
思考停止の表情で凍りつくビルシャナと男たち。
「おい、お前たち」
またまた背後から声がして全員がくるりとふりむく。
「魔法少女タイムは終了だ。これから地獄を見せてやる」
今度はエイティーンを解除したサイア・アスコート(男・31歳・普段の口調『ハードボイルド』)が目の前にいた。
●ツインテールの似合わない奴絶対殺す明王
「うわあああ」
「あばばばば」
「はいはい、もう大丈夫っすよー。あっちに逃げるっす」
放心する男たちを雫たちが安全な場所に誘導する。説得とショックの相乗効果でビルシャナの支配は完全に解けたようだ。
「さて、あとはこいつを始末するだけだな」
ケルベロスコートを羽織り帽子を目深に被ったサイアが、先程からぼうっと突っ立ったままで無反応のビルシャナを見る。一般人が避難を終えるまでは下手に手を出さずにいた。
その時ビルシャナに動きが。
「……我、菩提の境地に達したり。ツインテールの似合わない奴絶対殺す!」
突然そう叫ぶとケルベロスたちに素早く向き直る。急ぎ武器を構えるケルベロスたち。
「まずは貴様らから絶対殺す!」
ビルシャナが氷の輪を飛ばすと猛吹雪が前衛陣を襲う。
「そうは」
「させないよ」
サイアの紙兵散布とラッカのブレイブマインが前衛陣に飛ぶ。
ブレイブマインの爆発に紙兵が連鎖反応を起こし猛吹雪を吹き飛ばす。
「うー、耳の中に雪入ったっす」
「わふっ」
もふもふの毛や髪、犬耳にまとわりついた氷雪をぶるぶるっと身じろぎ振り払う雫とコセイ。
「コセイちゃん。協力プレイでいくっす」
「わう」
雫に頷いたコセイがぴょんとジャンプして雫の頭にのっかる。コセイを頭にのせたままビルシャナに向けて駆け出す雫。
「援護するわネ」
麻里亞が玉串型のステッキを振るうと半透明の『御業』がビルシャナを鷲掴みにする。すぐに振りほどかれてしまうがビルシャナに隙ができる。
「わっふ」
勢いよくビルシャナに接近した雫の頭の上。ジャンプしたコセイがビルシャナの顔に飛び込み暴れまわる。慌てふためくビルシャナ。
「ビーストクロー!」
雫がすれ違い様に爪でビルシャナの腹部を大きく切り裂く。
「もいっちょビーストクロー!」
さらに反転して素早く背中に一撃。たまらずビルシャナが跳躍して距離を取ろうとする。
「もらった!」
ビルシャナの着地点をよんだ香澄の腕からブラックスライムが弾け飛ぶ。
着地と同時に飛来したブラックスライムの大半をかわすビルシャナ。しかし、その一部は羽毛に付着し、もぞもぞとうごめき、雫のつけた傷口に侵入。ビルシャナに激痛が走る。
「殺す殺す殺す殺す!!」
半狂乱のビルシャナが叫んだ。
●ツインテール包囲網
戦闘開始から数分。ビルシャナの経文を受けた小町に催眠がかかる。
「させるか、しっかりしろ!」
即座にサイアのキュアが飛ぶ。
ケルベロスたちは敵の撹乱能力を警戒し、専業の回復要員を2名用意。その万全の対策の前にビルシャナの撹乱能力はほぼ無力化されていた。
「サイアさん、ありがとう。今度はこっちの番よ」
小町が両手に拳銃を構え、ビルシャナと対峙する。
「小町さん、一緒に!」
悠花の愛用の魔石が光を放つ。
「魔石の力よ顕現せよ。光の剣もて、我が道を切り開かん! 『光り輝く水晶の剣(グリッター・オブ・ソード・ロンド)』」
魔石から6振りの剣が出現。悠花が指揮棒を大きく振ると、剣がビルシャナめがけて狂い舞う。
「いくわよ、悠花!」
様子をうかがっていた小町が剣とは逆側からビルシャナに周り込み。二丁拳銃を乱射。
「無駄無駄無駄無駄」
舞う剣と飛び交う銃弾を紙一重でかわすビルシャナ。
だが小町と悠花の狙いは別の所にあった。
――ザッシュウウ!
足元からの予期せぬ銃弾がビルシャナの身体を貫く。小町が悠花の操る剣に銃弾を跳弾させ予想外の位置から狙撃を行ったのだ。2人の激しい攻撃はこの一撃の布石であった。
動きが止まったビルシャナをさらに激しく攻め立てる小町と悠花。追い立てられたビルシャナが再び大きく跳躍して距離を取ろうとする。
「その行動は予測済みです。予測誤差5%未満。目標補足」
ノヴェムが両腕のバスターライフルとアームドフォートの銃口を空中のビルシャナに向ける。
「エネルギー充填完了。フルファイア」
⒊本の銃口から放たれたレーザーが空を貫き無防備な体勢のビルシャナを撃ち抜く。
少し遅れてドン、という短い爆発音が聞こえ、ビルシャナは力なく地上に落下した。
●ツインテールよ永遠に
それでも立ち上がるビルシャナをケルベロスたちが包囲する。
「キミって案外カワイイよね」
ラッカがビルシャナに接近。反応したビルシャナが身構えた時には全てが終わっていた。
「あははっ。それもいいじゃん、似合ってるよ!」
気が付けば一瞬の早業でビルシャナのツインテールが丁寧な編み込みの入った三つ編みに変化している。
ラッカの『劇的! カワイイ大革命(ラブリーレボリューション)』。そのカワイイにかける情熱はデウスエクスであっても止められない。
「オゴォオアアア!」
肉体的ダメージは一切ないはずだが今までで一番苦しむビルシャナ。
さらにそのおさげツインテールが突然炎に包まれチリチリと燃え出す。
「貴様におあつらえの地獄を見せてやる」
目深に被った帽子の奥のサイアの左眼が地獄の炎を揺らめかせる。
「呑め、『地獄の眼(タルタロスアイズ)』」
サイアの左眼の地獄がビルシャナを呑み込み、ツインテールを一気に焼き尽くす。
「ギュヒエェェ」
サイアに見せられた地獄によりビルシャナが悲鳴をあげる。
ビルシャナが再び地面に倒れ込む。しかし、空に向かい強く叫ぶ。
「ツインテールは宇宙の叡智! 他の髪型など認め……」
「……爆ぜろ。クソ鳥が」
――ドォン!
ビルシャナが最後まで言葉を発する前に体内から爆発が起こり、その身体が四散する。
「テメェのようなハンパもんがこれ以上ツインテールを語るんじゃネェ」
ビルシャナの体内にあらかじめ仕込んでおいた香澄の殺神ウイルスが『殺神・緋菌烈花(サツジンヒキンレッカ)』により爆発したのだ。
こうしてビルシャナの計画はケルベロスたちにより防がれたのだった。
●
「鎌倉の平和はKKB☆8+1が守るっすよー」
「これからも応援よろしくねー」
雫とラッカがカメラに向かって決めポーズをとる。
「バッチリ撮れたよー。後で編集してアップするね」
悠花がそういうと足元のコセイもわふと鳴く。
「ふぅ、色々と緊張したー」
「うん、大変だったよネ」
ぐったりしている小町に麻里亞が優しく声をかける。
「ツインテールは愛でるもんでやるもんじゃネェな」
「わたしもツインテール大好きなんですよ。やりませんけど」
カツラを外した香澄がしみじみいうとノヴェムも同意する。
鎌倉の市街地の方を見るサイア。そこは多数のデウスエクスたちに占拠されたままだ。
「さて、いざ鎌倉だ」
ケルベロスたちの戦いはまだ終わってはいない。
作者:さわま |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2015年9月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 1/感動した 13/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 33
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