女性を下着姿にして嬲る触手

作者:零風堂

「ブヒーッ!」
 波を蹴破り砂浜へと現れたのは、汚らわしい豚頭と無数の触手を備えたオークたちだった。
 それぞれの体にエラやヒレなどがあり、連中が水陸両用型オークであることが窺える。
「ブフォ、ブフォッ!」
 オークたちは荒い鼻息を漏らしながら、海岸沿いの民家へと突撃していった。
「えっ……き、きゃぁぁぁっ!」
 普段通りに制服へと着替えている最中だった女子高校生は、突然の豚たちの襲撃に、ただ悲鳴を上げることしか出来なかった。
「ブフフ……下着姿、タマラン!」
「ブヒョー!」
 オークたちは触手を振るい、少女の手にしていた制服をビリビリに破いてゆく。そして汚らわしい触手を、白い肌へとヌルヌル伸ばし始めた。
「どうしたの? あっ、だ、誰かー!」
 少女の姉だろうか、OL風の女性がその場にやってきた。オークたちは歓喜して触手を伸ばし、女性の来ていたスーツを引き裂く。
「セクシーナノモ……イイ!」
「ブヒョー!」
 オークたちは何故か女性たちの下着だけは残し、触手を蠢かせながら絡みつかせてゆく。
「いや、いやぁっ!」
「やめて、助けてぇっ!」
 女性たちの悲鳴が響くが、オークたちは構わずに触手を、柔肌と下着に這い回らせながら、どこかへと去ってゆくのであった。

「女性を下着姿にするのを好むオーク……ということですわね」
 琴宮・淡雪(淫猥サキュバス・e02774)はそう言って、事件の説明をしてくれていたセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)へと視線を送る。
「はい。どうやらそれはファノメネル・ヴェルヌ(バッカニアの歌姫・e02893)さんの調査によって判明した、城ヶ島から房総半島付近へと逃走した水陸両用オークの一部のようですね」
 セリカの言葉に、厄介な連中だと他のケルベロスたちも息を吐く。
「オークが現れるのは、千葉県の房総半島、館山市の海岸付近のようです。そこからオークは付近の民家へと次々に襲撃を仕掛け、女性たちを下着姿にして弄び、どこかへ連れ去ってしまうようです」
「何とか女性たちが被害に遭う前に、オークを倒してしまいたい所ですね」
 ティニ・ローゼジィ(レプリカントの螺旋忍者・en0028)は何か良い作戦は無いものかと、思案しながら難しい声で呟いた。
「下着姿を好むオークでしたら……囮で惹き付けることもできそうですわね……」
 淡雪の呟きに、セリカは少々困った顔で首を傾げる。
「その可能性はあるかもしれませんが……囮になるという方は、くれぐれもお気をつけて」
 そうしてセリカは、敵の能力についても説明を加えていった。
「現れるオークは6体で、どのオークも不潔で汚らわしい触手を使って攻撃してきます。一体だけならそれほどの強敵ではありませんが、それなりの数なので注意して下さい」
 そうしてセリカは、オークの上陸予想地点から、最初の被害に遭うであろう民家までのルートを地図に示して説明してゆく。
「このルート上でオークを食い止めることができれば、一般の女性への被害を防ぐことができるでしょう」
「あとは……オークの繁殖能力を考えれば、海に逃がさないようにしたいですね」
 また別の場所で増えられたら大変だと、ティニも言葉を続ける。
「女性の下着姿を汚すオークなんて、許しておけませんわね。殲滅するために、どうか皆さんのお力も貸して頂けると助かりますわ」
 淡雪は仲間たちにそう言って、にっこりと微笑むのだった。


参加者
水無・ゆかり(おしとやか中学生・e00258)
ティセ・ルミエル(猫まっぷたつ・e00611)
燈家・陽葉(陽光色の詠使い・e02459)
琴宮・淡雪(全裸みたいなサキュバス・e02774)
シルキー・ギルズランド(呪殺系座敷童・e04255)
阿倍・晴明(阿倍王子の玄武・e05878)
イスズ・イルルヤンカシュ(赤龍帝・e06873)
アルテミス・カリスト(正義の騎士・e13750)

■リプレイ

「うう、やっぱり海のそばは、少し寒いのです……」
 ティセ・ルミエル(猫まっぷたつ・e00611)は黒いヘッドフォンを耳元からずらし、辺りを見回すようにしながら呟いた。
 海から流れ込む潮風は冷気を帯びており、ミニスカートから伸びるティセの足を震え上がらせるようだ。
「けど幸い、この辺りに人はあまり通らないみたいだね」
 燈家・陽葉(陽光色の詠使い・e02459)は遠目に民家をチラリと見てから、海辺から続く道を確認するように見渡している。
 敵……水陸両用のオークが海からやってきたとすれば、どう迎え撃つか。
 その時に人が通りかかったらどう逃げて貰うか、地形と敵の配置を想定して、幾つかのルートを候補にする。
「もし近づく人があれば、こっちから逃げて貰えばいいね」
 陽葉はそれを仲間達にも説明しつつ、敵の出現に備え、くるりとリボルバー銃を握り直した。
「あ、あの……。やはり私に下着姿での囮はちょっと……」
 アルテミス・カリスト(正義の騎士・e13750)は恥ずかしそうに頬を赤らめつつ、何かを確かめるかのように、自身の体を包む制服に手を触れる。
(「制服を破かれたり溶かされたりしないように、気をつけないといけませんね……」)
 アルテミスはそんな風に胸中だけで呟いて、少し離れた場所で、オークを引き付けるべく集まっている仲間たちの様子を窺っていた。

「やれやれ、早く出て来ないものか……」
 イスズ・イルルヤンカシュ(赤龍帝・e06873)はうんざりとした様子で腕を組み、小さく息を吐いていた。
「それにしても下着が趣味とは、本当に見境が無いものだ」
 言葉が示すように、イスズはその肢体に黒の下着を纏い、上着を羽織っているだけの状態だった。
「さすがにこれは恥ずかしすぎますね……」
 阿倍・晴明(阿倍王子の玄武・e05878)は清純さを表しているかのような純白の下着に、オーバーニーソックスだけという格好だ。
 今回のオークは下着姿の女性が好みらしいという情報があったため、敵を引き付けるためにこのような姿をしているのだ。
 しかしながら晴明は誰かに見られてしまうのではないかと思い、自然と顔が熱くなってしまう。
「……」
 シルキー・ギルズランド(呪殺系座敷童・e04255)も巫女装束の上衣のみを羽織った状態で、焚火に当たりながらオークを待っていた。
 この季節に下着だけで外に居るというのは、どうにも寒さを感じてしまう。誰も風邪など引かなければいいけれどと、シルキーはぼんやり考える。
「上から見下ろすなんて、我ながら素晴らしいアイデアですね」
 そんな下着姿の女性たちの上空で、水無・ゆかり(おしとやか中学生・e00258)はふわふわ漂っていた。
 オークたちの動きを見ながら引き付けるつもりのゆかりであったが、この状態では丈の短いスカートの中が、下から見えそうで見えなかったり、見え無さそうで見えたりするのだが、その辺りは大丈夫なのだろうか?
「ブヒヒ……オンナ、オンナッ!」
 そんな文字通り身体を晒すケルベロスたちに誘われたか、海の方から鼻息も荒く、6体のオークがこちらへ近づいてきた。
「さあ、こちらへいらして……」
 琴宮・淡雪(全裸みたいなサキュバス・e02774)はオークに見えるよう少し着物をずらし、ちらりと下着を見せ始める。
「ブヒョー!」
 歓喜の声を上げながら、オークたちは各々自慢の触手をいきり立たせ、下着姿の女性に向かって猛烈に突進してきた。

「……みんな……遊んであげなさい」
 シルキーが童巫女の集団を召喚し、オークたちへと向かわせる。怨嗟の念を纏いながら、凶器で斬り付ける童巫女たちであるが、オークたちは傷つけられても構わずに、煩悩のままに突っ込んでくる。
「あのオークの注意を引かないと!」
 ゆかりがふわりふわりと空中から近寄って、スカートの裾をひらひらと靡かせた。
「ブフォ……ミ、ミエ……ブフォオ!」
 見えそうで見えない際どいチラリズムに苛立ったか、オークが触手の先っぽから溶解液を噴き出してくる!
「ひゃっ、ぬるぬるがっ……」
 白くドロドロとした粘液がゆかりのスカートの端を溶かし、際どい服装にされつつ肌に傷みが走った。
 このままでは狙い撃ちにされてしまうと感じたゆかりは地上に降りるが、そこにオークが迫って来る。
「ブリュレ!」
 オルトロスのブリュレがそのオークに炎を浴びせかけ、ゆかりを援護した。ゆかりは凛々しい顔立ちで立つブリュレをひと撫でし、恨みがましく触手をうねらせるオークと対峙する。
「ふふん、逃がしはせんぞ!」
 リーズレット・ヴィッセンシャフトが上空からオークの位置を指示すると、ライゼル・ノアールが反応して駆け出した。
「オークが海に逃げないよう足止めだ!」
 ケルベロスチェインがオークの足に絡み付き、動きが鈍る。その隙に淡雪が、そいつの視線を捕らえた。
「ふっ……」
 浮かべるのは、ただの笑み。
 しかしその視線は冷酷に相手を卑下し、まるで『うわぁ……小さっ! あんな小さな触手でよくオークなんて名乗ってられるわねぇ……。あぁ、今まで小さい子しか狙ってなかったんじゃないかしら。ねぇ恥ずかしくないの? ねぇねぇ』と目で訴えているようであった。
「ブ、ブフォオ!」
 自慢の触手を馬鹿にされたように感じたオークは顔を赤くし、猛然と淡雪へと触手を繰り出し始めるのだった。
「水陸両用……これはまた厄介な相手ですね」
 晴明は濡れ汚れたオークの体とエラを一瞥しつつ、その手に御業を召喚する。
「今後の被害を防ぐためにも、逃がす事無くここで始末したいところ……いえ、始末します!」
 御業は縄となってオークの胴に巻き付き、ギリギリと締め始めた。苦しみ手足をばたつかせるオークだが、縄の締め付けは緩まない。
「ブヒーッ!」
「あなた達の望むものならここにありますよ。好きにするといいでしょう。……できるものなら!」
 言い放つ晴明に、オークは縛られたままで触手を伸ばしてきた。胴に巻きつかれても、触手ながら動かせるというわけだ。
「オークなんかに絶対、負けたりしません!」 
 肌と下着が裂かれるも、晴明は怯まずに体勢を立て直す。僅かな面積の下着に押さえつけられた晴明の豊満な胸元が、オークを挑発するかのようにぽよんぽよんと揺れた。
 しかし次の瞬間、晴明の足首に、ぬるんと柔らかな感触が伝わる。
「ひっ! 触手が……入り込んで!?」
 別のオークが背後から迫り、晴明の足首を掴んで逆さ吊りにしたのだ。
「いやっ、そんな所に入らないで……ひゃうっ!」
 オークは触手で晴明の両足を強引に開き、下着によって隠された部分へと触手を這わせ始める。
「そ、そこはだめ……あひぃっ!」
 ぐにぐに、もぞもぞと、触手は先端から白く濁った粘液を滲ませつつ、前後左右にせわしなく蠢き続けた。胸元にも巻きつくように触手が伸び、うねうねと動いている。
「ひぎぃっ!? も、もうやめ……アッー!」
 肌に直接触れて与え続けられる刺激によって、晴明は身体を大きく震わせてしまった。
「ブヒィ、ブヒィ……」
 荒い息を吐き、下品な笑みを浮かべるオーク。その肩を背後から、闇の腕が強引に掴んで握り潰す。
「いざ、参る!」
 イスズが勢いよく飛び出し、オークとの間合いを詰めたのだ。
 ぶちぶちと肩肉を抉り散らしながら、苦しみ乱れた敵の腹へ、イスズは光の拳を叩きつける。

「とっても気持ち悪いのです。こんな女性の敵みたいなナマモノは、1匹残らず倒さなくちゃダメなのです」
 ティセたちが海側から回り込み、退路を防ぐ形で駆け付けた。そのままティセは絶望無き魂を歌い上げ、オークたちを怒らせてゆく。
「あわわ、こ、こっち来たのです……」
 怒ったオークが触手を突き出し、ティセの服をザクザク裂き始める。
「下着じゃないから、恥ずかしくないのです」
 しかしティセは何と、服の下に白いスクール水着を着用していた! これなら大丈夫と、ティセは誇らしげに胸を張った。
「下着姿が好きとか、よく分からない。なので……」
 陽葉はホルスターから銃を抜き、素早く引き金を引く。
「……オークは倒す。あいつらはケダモノ過ぎて、話が通じないしね」
 足元に降り注ぐ弾丸の雨に、オークたちは浮き足立って動きを止めた。
「女性を下着姿にして喜ぶ卑猥なオークは、この正義の騎士アルテミスが退治しますっ!」
 その隙にアルテミスが踏み込んで、朗々と名乗りを上げる。正義を掲げた裂帛の気合いを受け、近くのオークたちが反応した。
「さあ皆さん! 私がオークの気を引いている間に攻撃を!」
 言い終わると同時に、無数の触手が凄まじい勢いでアルテミスに迫る!
「きゃ、きゃああっ!」
 鋭い触手がアルテミスの制服を破り裂き、白い下着が露わになる。思わずアルテミスは悲鳴を上げて地面にしゃがみ込む。恥ずかしさからか涙目になっているようだった。

「何処を触っているのだー!」
 イスズが激しく腕を振り、竜の爪を伸ばしてオークの触手をぶっちぎる。
 黒の下着に白い肌。その上に触手の粘液が飛び散って幾つかの染みを作った。
「っ……やっぱりこんな展開に……」
 晴明がドロドロにされた体を押さえつつ、何処にしまっていたのか両手にシャーマンズカードを取り出して構える。
「導きましょう、あなたの還るべき場所へ!」
 左右の札と己の精神を同調させ、黄金の融合竜を召喚した! 竜は咆哮と共にオークへ向かい、その身を引き裂きながら駆け抜けてゆく。
「い、今のうちに……」
 ゆかりが翼から光を放ち、触手や溶解液で受けた異常を打ち消し浄化してゆく。同時にブリュレに瘴気を漂わせて、敵を牽制することも忘れない。

「あふっ、あっ……! 随分と乱暴なんですのね……」
 オークが欲望のままに触手を振るい、淡雪の豊満な身体が上下する。
 手足を縛られ、抵抗を封じられた下着姿の淡雪に、上からごぽごぽと溶解液がぶち撒けられた。
「ブヒュー、ブヒュー……」
 呼吸を荒げながら、溶解液を放出したオークが身を震わせる。髪を、頬を白濁液で汚されて、淡雪の肌が妖艶に濡れた。
「そっ、そこまでです!」
 浄化の光で動きを取り戻したアルテミスが、下着姿ながらも懸命に聖楯イージスで体を隠しつつ、ゾディアックソードを突き出した。
 雷の闘気を纏った刺突がオークの触手を薙ぎ、それで辛うじて淡雪は動きを取り戻す。
「あぁん……もう、べとべとですわ……」
 淡雪は体をくねらせながら、身体に落ちた溶解液を拭うように指先で掬い、その魅惑のラインを強調する。
 長い睫毛の奥では魅了の魔力を秘めた瞳を輝かせ、オークたちの正気を掻き乱し始める。
「ブフォォォォッ!」
 しかしそれを見切って避けたか、1体のオークが触手を振り回しながら突っ込んできた!
「君の犯した禁戒は、もはや償えないよ」
 だがそれを察知した陽葉が動く。後悔の念を鎖に変えて、オークたちの自由を束縛してゆく。
「……動くと気持ち悪いから凍ってろ。な?」
 淡雪に突っ込んできた奴には玉榮・陣内が影のように鋭く、冷気を纏った一撃を捻じ込んだ。

「……これで、いつも通り……」
 シルキーはいつの間にか袴を穿いており、巫女服となっていた。それで本領発揮といった気持ちなのか、霊力を指輪に集中させ、無数の光る輪を生み出す。それはするどい刃となって、オークたちの群れに降り注いだ。

「ブヒッ、下にミズギ……許サン!」
 何故か『服の下に水着を着ていた』ということが下着好きオークの逆鱗に触れたらしく、ティセに向かって執拗なほどに、触手を激しく繰り出してきた。
「え、そ、そんなぁ……。そんなの考えもしなかったのです……」
 白のスクール水着の肩紐が裂け、逆側の腰部分も触手の突きで破れ始めた。
 ティセは水着が落ちないように必死に手で押さえ、気丈にも戦闘を続ようとするが……ほどなく、絡みつくような動きの触手に捕まってしまった。
「ひゃ、た、助けて……なのです」
 涙を目にいっぱい溜めて、何とか逃れようともがくティセだったが、触手は容赦なく巻き付き、肌の上を這いずる回る。べたべたと粘つく液体と異様に熱いオークの体温が、心から気色悪く感じられた。
「いえその、み、見てません。見てませんからっ」
 救援を求められたティニ・ローゼジィ(レプリカントの螺旋忍者・en0028)は、下着姿の女性の多さにドギマギおろおろしていたが、仲間の危機に顔を赤らめつつ、必死に触手を振り払おうと武器を振るう。
「ひゃうっ! くすぐったいのです!」
「す、すみませんっ」
 オロオロしながらもティセを引っ張り出し、ティニはコートを掛けてあげるのだった。
「悩殺チラリズム、お題は見てのお帰りだゾ」
 その間に迫るオークたちは盛山・ぴえりが魅惑の生脚をセクシーポーズで見せつけ、なんやかんやで精気を奪い取る感じで、足止めしてくれていた。

「ブヒ、ブヒ……」
 オークが鼻息も荒くゆかりに触手を伸ばし、ワンピースを引き裂いてしまう。チラリズムに悶々とした煩悩が炸裂したか、その勢いにゆかりも思わず後ずさってしまった。
 ぽよよん。
「きゃっ……!」
 驚く間も無く、ゆかりの胸がたゆんたゆんと揺れながら露わになり、触手が手足に絡みついてくる。
 ざくっ!
 そこに飛び込んで来たブリュレが、神器の刃で触手のひとつをぶった斬る!
「まだまだ、こんなもんじゃない……ですよね?」
 片手で胸元を押さえつつ、ゆかりは強い想いで笑みを浮かべた。戦乙女を感じさせるそのエールが晴明に届き、闘気を一気に引き上げさせる。
「北方を護りし神の化身よ、迷える者達を其の叫びで薙ぎ払い給え……玄・武・召・喚!」
 晴明の呼びかけに応え、玄武の幻影が凄まじい咆哮を上げた。同時に雷鳴が鳴り響き、天を引き裂くほどの稲妻がオークに突き刺さる!
「た、助かりました……」
 黒コゲになったオークから離れ、ゆかりは晴明と軽く手を合わせるのだった。
「……」
 シルキーは向かってくる触手に怯まず、前へ出る。ざくりと脇腹に痛みが走るが、躊躇なく日本刀を振り抜いていた。
 肉を裂く感触と、生温かい血の匂い。倒れ伏した肉塊には興味を示さず、シルキーは刀を鞘へと納めた。
「逃すわけにはいかないのでな!」
 イスズが迫り来る触手を乱暴に掴み、引き寄せる。オークが情けない悲鳴を上げるが全く気にせず、ぐっと逆の拳を握り締めた。
「これで、終わりだ!」
 大地を踏み締め、気を吐けば、光の闘気が拳に集まる。その輝きをオークの顔面へとぶちこみ、思い切り炸裂させた!
 ばぁんと爆ぜ散るオークの肉片を、イスズは腕で軽く払い除け……やれやれと小さく息を吐く。
「援護します!」
 ティニが胸部パーツを展開し、光を解き放つ。オークが僅かに呻いた一瞬に、ティセが地を蹴った。
「わーん、気持ち悪いのです!」
 肌に残る触手の感触を振り払うかのように、ティセは霊気を込めた斬撃で、オークを真っ二つに両断するのだった。
「くっ、本来の力が出せればこんな奴らには……!」
 陽葉の体に触手が巻き付き、ぐにぐにと蠢く。だがそこに、悪夢を思わせる黒球が投げつけられた。
「やっぱり、大したことないですわね」
 淡雪はオークの触手を見下すように、笑みを浮かべていた。それにショックを受けたか、オークの力が僅かに緩む。
「……とでも、言うと思ったか!」
 陽葉が杖を振りかざし、至近距離から魔力の矢を一斉に解き放つ! 大量の矢に腹部を貫かれ、オークは地を吐きながら地面に倒れ伏した。
「女性の敵、オークは許しませんっ!」
 アルテミスは正義に燃える瞳で剣を握り、駆け出していた。向かい来る触手を片方の剣で受け、重力を生み出して搦め取る。
「はぁああっ!」
 気合いと共にもう一方にも重力を発生させ、十字の斬撃を叩き付けた!
 ずん!
 超重力の一撃が触手ごとオークを斬り潰し、この大変な戦いに終止符を打ったのだった。

「毎度、このような被害だけは御免被りたいのですが……」
 晴明は恥ずかしそうに体を隠しながら、小さく息を吐く。
 ゆかりは破れた服を両手で押さえつつ、笑みを浮かべながらオークをげしげし蹴っていた。
 何というか……嫌な思いをしたのだから、無理もないことであろう。
「淡雪さん、おっつかれさま~」
 リーズレットが肉球グローブを手に、淡雪をふにふにして心を癒やす。そんな淡雪に陽葉は、あまりはしゃがぬようにと釘を刺していた。
「もうオークさんヤなのです……ティニさん、ここで見たことは全部忘れてくださいです」
「え、ええ勿論。何も見てませんから」
 ティニは乾いた笑みを浮かべつつ、マントをティセやアルテミスに掛けてあげていた。
「なんでそんなに下着着けるの嫌がるんだ?」
 狩魔・夜魅はシルキーに向け、素朴な疑問を投げかける。
「昔、私を助けてくれた人が『巫女装束の下に下着着けると、霊力落ちる』って言ってたから……」
「……とりあえず今度そいつ連れてこい」
 あんまりな理由に夜魅は頭を押さえ、拳を握りながら呟いた。
「……今度は依頼以外で海に来たいものだ」
 イスズは上着を羽織りつつ呟いて、仲間たちと共に帰路につくのだった。

作者:零風堂 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年1月7日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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