ミーミアの誕生日~お菓子な一時を

作者:白鳥美鳥

●ミーミアの誕生日~お菓子な一時を
「ミーミアね、今度の8月5日がお誕生日なの! 平和になって迎えるお誕生日って、とっても嬉しいの!」
 笑顔で微笑むミーミア・リーン(笑顔のお菓子伝道師・en0094)。
「ミーミアね、みんなと一緒に色々と頑張って……こうして平和になったんだけど、やり残した事があるのよ」
 一度、ため息をついてから、ぐっとミーミアは拳を握る。
「ミーミア、お菓子の素晴らしさを全然伝えきれてないと思うの! お菓子はこんなに素晴らしいのに……ミーミアの力不足なの」
 流石、二つ名が『笑顔のお菓子伝道師』、お菓子は世界を救うと豪語しているだけの少女である。ミーミアとしては、まだ、お菓子の素晴らしさを伝えきれていないと感じているらしい。
「だからね、とーっても素敵なお菓子を楽しめる時間をみんなに過ごして欲しいの!」
 お菓子な一時について、ミーミアは話始める。
「お菓子作りに必要なものも全部揃えておくから、みんなが好きなお菓子を作って欲しいの! ケーキにクッキー、チョコレートにアイスクリーム、プリンにゼリー、それからおせんべいにあんみつ……お菓子の種類は問わないの! みんなが好きなお菓子を、みんなで作りましょうって事なの! 勿論、甘くないお菓子も歓迎なの。おせんべいとかおかきとかそういうのも大歓迎なの!」
 それから……と続ける。
「お菓子は好きだけれど、手作りはちょっと……って人もいると思うの。でも、何かひと手間加えた方がきっと美味しいと思うのよ。だから、例えば……かき氷に果物を乗せたり、アイスクリームにソースをかけたり……そんな感じでも全然問題無いの! 素敵なお菓子の時間を過ごして欲しいの! 待ってるのよ!」


■リプレイ

●ミーミアの誕生日~お菓子な一時を
「今日はみんな来てくれてありがとうなの! 素敵なお菓子な時間を過ごしましょうなの!」
 ミーミア・リーン(笑顔のお菓子伝道師・en0094)は、笑顔で微笑む。
 今日は素敵なお菓子な一時になりますように。

「ミーミアさんはお誕生日おめでとうございます。ひとまずカツオのたたきをどうぞ」
 何故か、クーラーボックスから取り出したカツオのたたきをミーミアに渡すミリア・シェルテッド(ドリアッドのウィッチドクター・e00892)。
「? ありがとうなの、ミリアちゃん。えーっと? ミリアちゃんはお菓子……作りに来たの、よね?」
 頭にハテナマークを浮かべたミーミアがそう尋ねると、ミリアは笑顔で頷く。
「はい! シフォンさんやデュアルさんにチョコは危険なので、猫さんでも食べられる代替品を使ったチョコクッキーを作ろうかと」
「それは素敵なの! 頑張って欲しいの! ミーミア、応援してるのよ!」
 シフォンはウイングキャットだし、デュアルは猫のウェアライダーなのでチョコレートは特に問題無いのだが、ミリアがやる気満々なのと、猫でも食べられるお菓子というのはミーミアにとって素晴らしい事なので、満面の笑みを浮かべた。それに、ミリアも微笑み返す。
「さて、美味しいチョコクッキーを作りましょう。なんとかっていう黒い豆を使うそうですが……」
 ミリアが用意したのはキャロブパウダー。カカオの風味がする豆で、ココアやチョコレートの代用品としても使われるものだ。これを使って、魚をモチーフにした一口クッキーを焼き上げる。
「……うん、これは猫さんでも楽しめるチョコクッキーです!」
 出来に満足したミリアは、デュアル・サーペント(陽だまり猫のヘリオライダー・en0190)を見つけると、早速完成したクッキーを持っていく。
「デュアルさん、チョコクッキーをどうぞ!」
「ありがとう、ミリア」
 いつもミリアから猫扱いを受けているデュアルなので、渡されたクッキーが普通のものなのでちょっと安心する。それに、食べてみると美味いクッキーだ。ただ、ミリアは『チョコクッキー』と言っているが、チョコレートを使ったものではない事には気が付いた。それが何故なのかは分からないのだが。
「それとも鶏肉の素焼きがよかったですかね?」
「いやいやいや! このクッキー、美味しいよ! ありがとう」
「それは良かったです」
 思いっ切り猫を見ている視線のミリアに、デュアルは慌てて首を横に振る。このクッキーが美味しい事には間違いが無いのだから。
「そうだ、シフォンさんとミーミアさんにもおすそ分けをしなくては!」
 シフォンとミーミアの事も思い出したミリアは、何故か用意していたらしい鶏肉の素焼きを持って出かけて行く。
「ちょ、ちょっと待って、ミリア! それも喜ぶだろうけれど、こっちだよね!?」
 その後、ミリアにクッキーのお裾分けと言われて鶏肉の素焼きを渡されたミーミアが困惑している所にデュアルがクッキーを持って現れる事になるのだった。

「ガートルードちゃんが作ってるのはパイ?」
「ええ、アップルパイとチェリーパイです」
 ミーミアの言葉に、ガートルード・コロネーション(コロネじゃないもん・e45615)は手元の材料を見せる。
「美味しそうなの! それなら、ミーミアはベリーパイとレモンパイを作るの! 後で、分けっこしたいの!」
「それは良いですね。そういえば、ミーミアさんはアップルパイのシナモンってどうします? 利かせた方が好きですか? そうではない方が好きですか? 私は利かせた方が好きなのですが。紅茶にも合いますし」
 アップルパイの永遠の課題でもあるシナモンの量。スパイス類は結構好みが分かれるのだ。
「ミーミアはどっちも好きだけど……一人で食べるなら……うーんうーん……両方作った方が二倍以上楽しめる様な気もするの」
「ミーミアさんらしい答えですね」
 真剣に頭を悩ませるミーミアにガートルードは微笑む。
「パイってお菓子以外にも色々作れますよね。ほうれん草とチーズを使ったキッシュにすればお食事代わりにもできますし、キノコとホワイトソースを生地に乗せて、グラタンっぽくしてもおいしいですよ。実は……照り焼きハンバーグを乗せても、おいしかったりします」
「成程、ミートパイとはまた違ってて美味しそうだね」
 ひょいと顔を覗かせるのはデュアル。ミーミアはお菓子が得意だが、料理はデュアルの方が得意だったりする。
「後、パイシチューも美味しいよね」
「それも美味しいですよね」
「パイって色々と作れて凄いの!」
 パイ談議に花を咲かせるガートルードとミーミア、デュアルなのだった。

「リリエッタちゃんはスコーンを作るの?」
「うん。大事な友達がお茶会でお菓子を用意してくれるから、たまにはリリがお菓子を用意してあげたいんだ」
 そう答えるリリエッタ・スノウ(未来へ踏み出す小さな一歩・e63102)だが、料理やお菓子作りは得意じゃないそうだ。
「ミーミアがお手伝いするの! 美味しいスコーンを作ってリリエッタちゃんの大切なお友達に喜んで貰うの!」
「うん、頑張る」
 二人で作るスコーン作り。
「えっとね、材料は強力粉にバター、お砂糖と……後、チョコスコーンだから、チョコチップか板チョコとか」
「うんうん……えっと、こういう感じで混ぜたら良い?」
「そうそう、で、こんな感じで切り分けて、オーブンで焼くの」
 ミーミアに教わりつつリリエッタは頑張ってスコーン作りを頑張る。……そして、無事に焼き上がり……。
「うん、リリエッタちゃん、とっても美味しいの!」
「本当? だったら嬉しいな」
 ミーミアにお墨付きを貰ってリリエッタは微笑む。お茶会の時に喜んでくれる友達の顔を思い浮かべて、その時が楽しみになった。
「お茶会って他にはどんなお菓子が良いのかな?」
「うーん、リリエッタちゃんがスコーンを作るなら、やっぱりアフタヌーンティーが良さそうなの。他に用意するのはサンドウィッチとケーキ。ミーミアのケーキもお裾分けするし、全部手作りは難しいかもしれないけど簡単そうなのなら教えられるかもしれないの」
「……じゃあ、頑張ってみようかな」
 そうして、素敵なお茶会の為の新しいお菓子作りが始まったのだった。

「わあ、素敵なエプロン、ありがとうなの!」
 九田葉・礼(心の律動・e87556)から贈られたのは、白地に淡緑の小花模様を刺繍して、レースで縁取りしたエプロン。ミーミアは早速エプロンを付けて嬉しそうに微笑む。
「手芸は得意だけど、お料理はかろうじて自炊できる程度で……。まして、お菓子作りなんて未知の領域なんです! どうか今日は、ご教授お願いします」
 礼にお辞儀をされて、ミーミアとデュアルは慌てる。
「料理とお菓子作りはちょっと違うけど、料理が出来るなら調理器具の扱いは問題なさそうだね」
「礼ちゃんは、どんなお菓子を作りたいの?」
「そうですね。初心者でも比較的簡単に出来て、できれば涼しげなものを……」
「それだと、ゼリーが簡単だと思うの」
「ゼラチンじゃなくても寒天でも出来るからね。後は、折角だからゼリーの中に何か入れてみようか?」
「はい! 宜しくお願いします!」
 出来ればお裾分けもしたいという礼の言葉で、ゼリーに決まる。
「料理が出来るなら温度調節は出来ると思うし、ゼラチンとか寒天を溶かして、缶詰の蜜柑とか入れるのが一番簡単かなーと思うんだけど」
「ちょっと可愛い感じにしても良いと思うのよ。その上に別に作ったゼリーをクラッシュして乗せても可愛いの」
「珈琲ゼリーに生クリームを乗せるのも良いね」
 デュアルやミーミアの提案に、礼は目を輝かせる。
「ゼリーでも、そんなに色々と工夫が出来るんですね!」
「そうなの! 失敗を恐れず、色々と挑戦してみるの!」
 ミーミアとデュアルの指導の下、多少の失敗もあったが様々なゼリーが完成する。そして、礼が用意した自作のランチョンマットにゼリーを色々と並べてみた。色々な煌びやかなゼリーが並ぶ。
 そして、試食会。お菓子作りは未知の領域だった礼だが、美味しいゼリーが完成して、思わず笑みが零れる。
「礼ちゃん、手際良かったの。この先も美味しいお菓子が作れると思うの!」
「他の人も色々と作っているから、礼の初めてのお菓子、披露しようね」
「ちょっと恥ずかしいですけど……喜んでいただけたら嬉しいです」
 満面の笑みを浮かべる礼。他の人に食べて貰うのは緊張するが、ミーミアとデュアルが褒めてくれるのなら、自信もつく。それに沢山作ったから、来れなかった人にもお裾分けも出来るだろう。その人達が喜んでくれる事を思うと嬉しい礼だった。

 三人でそれぞれのお菓子を作るのは、マヒナ・マオリ(カミサマガタリ・e26402)、栗山・理弥(ケルベロス浜松大使・e35298)、朱桜院・梢子(葉桜・e56552)だ。
 特に梢はミーミアの『お菓子は世界を救う』という言葉にとても感化されたようだ。彼女はスイーツがなければ番犬業はやれていなかったかもしれない。
 そんな彼女が出会ってしまったすいーつがある。すいーつに貴賤はないけれど、それでも私出会ってしまったの、最強のすいーつ。
 それは……。
「たい焼きパフェーよ!」
 たい焼きパフェ。和菓子と洋菓子の合体! 見た目の面白さ! 餡子と生くりぃむのはーもにー! それは梢子の心に強く響くものだった。
「たい焼きにパフェーの材料を詰めればいいんだから私でも作れると思うのよ、ええと、まずたい焼きの中身をくり抜いて、生くりぃむ詰めて、マヒナ、果物少し貰うわよ」
 梢子の作ったたい焼きパフェ。言葉通りにいけば美味しい物になっただろう。しかし。
 残念ながら中身をくりぬいたたい焼きはボロボロ、生クリームはぼたぼたと零れ……マヒナの用意したカット果物は無理やり乗せて……恐らく彼女が出会った最強のスイーツとはかけ離れたものが誕生した。
「たい焼きパフェ―の完成よ!」
 しかし、本人は自信満々の様である。
 一方、栗山・理弥(ケルベロス浜松大使・e35298)は、実は甘い物が苦手だ。しかし、今回はせんべいやおかきというお菓子も入っていたので参加してみたものの……どう考えても作るのが難しそうだ。そして、ひと手間を加える事も思いつかない。
 そこで彼が思いついたのは焼き芋だ。素材そのものの甘さは彼も食べられるし、これを冷蔵庫で冷やせば冷やし焼き芋の完成だ!
 ただ、これに関してはマヒナからツッコミを入れられる。これはお菓子なのか、と。
「え、焼き芋はお菓子かって? そりゃ焼き芋はおやつだろ。最近冷やし焼き芋流行ってるらしいし。焼き芋機ダモクレス依頼でも山ほど焼き芋食ったなぁ……。熱々の焼き芋にバターやチーズのせて食うのも美味いんだよなー」
 ……何となく、焼き芋にバターを乗せるのはスイートポテトに近い気もするが。
「理弥ちゃん、おせんべいやおかきの方が好きなの?」
 ひょいと顔を出したのはミーミア。
「おせんべいは難しいかもしれないけど、おかきはそんなに難しくは無いのよ?」
 ミーミアが用意してきたのは数日天日干しにしたお餅だ。
「一番簡単なのは揚げおかきかなと思うの。小さくお餅を切ってね、それを揚げて、好きな味付けにすれば良いの。甘いのが苦手なら、お塩をかけてさっぱりと食べても良いし、青のりとか加えても美味しいの」
 ささっと手早く作るミーミアを見て、理弥も感心する。出来るかどうかは別として、意外と難しくない事が分かったからだ。
「勿論、冷やした焼き芋もとっても美味しいから、ミーミアも好きなの! でも、ちょっとこういうのもあるって、教えてあげたいなって思ったの」
「はー、成程。これも有りかあ」
 難しいと思っていたが、もしかしたら意外と手軽なのかもしれない。ちょっと手作りおかきに興味を持つきっかけになったのだった。
 マヒナが作るのはパンケーキ。一番好きなお菓子といったら、やはりこれだ。
 沢山、パンケーキを焼いて、色々なトッピングをしていく。ベリーとバナナのパンケーキに、ココナッツミルクパンケーキ、それにニホンらしくアンコと抹茶アイスの和風パンケーキ等々。なんだか、果物が減っているような気もしなくも無いが。
「ミーミア、ハウオリ・ラ・ハナウ! お誕生日おめでとう! 誕生日のお祝いに、パンケーキタワーを作ったよ!」
 そこにはうず高く積まれたパンケーキ。ミーミアの顔も綻ぶ。
「すっごいの! ミーミア、とっても嬉しいのよ!」
 超甘党のミーミアにはパンケーキタワーは最高に魅力的だ。更に、マヒナは沢山のパンケーキを焼いているので、デュアルや他の人にも振る舞う。皆が、美味しそうに食べてくれるのが嬉しい。
 のだが。梢子の作ったたい焼きパフェには絶句する。それに関しては理弥も同じようだ。
「……梢子姉、手に持ってるその名状しがたきグロテスクな物体は……たい焼きパフェ?ザルバルグの呪いかと思ったぞ」
 先程、おかきの作り方を教えてくれたミーミアを思うと、手伝ってもらった方が良かったのではないかと心底思う。
「呪い? どう見てもパフェーじゃない!」
 だが、梢子は譲らない。
「梢子ちゃんのパフェも、個性的でとっても素敵なの!」
「ね? ミーミアも認めてくれているわよ?」
 ちょっと、ミーミアの心の広さに感謝の念を覚えるマヒナと理弥だった。

 沢山のお菓子が作られた、一時。ミーミアも張り切ってケーキ等、皆が切り分けて食べられるお菓子を沢山作って、皆に振る舞う。
 沢山のお菓子に囲まれた、楽しい一時が過ぎていく……そんな楽しい一日なのだった。

作者:白鳥美鳥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年8月5日
難度:易しい
参加:7人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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