七夕ピラー改修作戦~大自然の中で星に願いを

作者:白鳥美鳥

●七夕ピラー改修作戦~大自然の中で星に願いを
「みんな、ケルベロス・ウォーの大勝利、おめでとうなの! みんなのおかげで地球は平和になったの! 本当に本当に、みんなのおかげなの! ありがとうなの!!」
 ミーミア・リーン(笑顔のお菓子伝道師・en0094)は、心底嬉しくてたまらないという表情をしている。
「あのね、みんなが倒してくれたアダム・カドモンが残した資料があったの。それを調べていたら、破壊されたゲートの修復して、更にゲートをピラーに戻す事が出来そうだって分かったの! で、この『ゲートを修復し、ゲートをピラーに戻す』には、特別な季節の魔力が必要なの! それは、『銀河を越えて、遠く引き離された二つの地点を結び合わせて邂逅させる季節の魔法』……すなわち『七夕の魔力』なのよ!! ……もしかしたら、ダモクレスがこのタイミングで決戦を挑んできたのも、同じように決戦後にゲートをピラーにする考えがあったのかもしれないの。戦争直後ではあるんだけど……みんなには7月7日に開かれる七夕祭りに参加して、七夕の魔力を集めて欲しいの!」
 七夕の話をミーミアは続ける。
「今、日本全国の自治体に連絡して、七夕祭りへの市民の参加を要請して貰ってるの。後ね、七夕祭りは8月って所でも、今年は7月7日に運営して貰えるようにお願いしている状態なの。勿論、そういう所では七夕祭りの準備が整ってない場合もあるから、みんなにも可能な範囲で準備を手伝ってあげて欲しいの。みんなが手伝えば、きっと間に合うの!」
 七夕のお祭りはね……と、祭りについても話を進める。
「七夕のお祭りが盛大であるほど多くの魔力が集まるから、ここはやっぱりみんなでお祭りを盛り上げるのが良いの! 地球の危機を救ってくれたみんなが来てくれるだけでも喜んでくれるんだけど、みんなのサプライズ企画なんかあったらもっと喜んでくれると思うのよ! 後、蒼鴉師団のファーストアタックで、戦争直前に世界各地で「TANABATA」の祭りが開かれているの。その中で大きく盛りあがった地域の「TANABATA」を7月7日に再開催すれば、世界中から季節の魔力を集める事も出来るかもしれないの! 勿論、何より、みんながお祭りを楽しんでくれないと駄目なのよ? もう、危険の去った地球で……友人や家族、恋人と共に、思いっきり楽しむの! 絶対に楽しいに決まってるのよ!」
 そんな感じで……と、ミーミアは続ける。
「ミーミアね、ヒーリングバレンタインで案内した母島での七夕祭りに、みんなに参加して欲しいなって思ってるの。みんなのヒールで大分回復していると思うし、星空はもう保証付きで綺麗だから、島の外からのお客様も沢山来てくれると思うの! 元々、自然遺産を楽しんで貰う為に色々な事をやってたり、ここにしかいない動植物を見に来る人達も多いの。だから、島の外から来る人に、もっと母島の魅力を伝える事も一緒に出来たら良いなって思うの。例えば、ハハジマメグロとかイルカのオブジェを作ってみるとか、母島名物を集めた七夕飾りを作ってみるとか、海の幸を楽しんで貰える屋台とか! 七夕のお祭りの最後は最高の夜空だから、日が高い内にも色々と楽しく過ごせる所があると良いなって思うの! そして、最後は最高に素敵な星空の下で最高に楽しい一時を過ごして欲しいの! 素敵な七夕になりますように!」


■リプレイ


 東京都母島……ここが七夕会場。皆にとって、良い時でありますように。

 ニケ・ブレジニィは、事前に母島へのアクセス方法が分かる広告……外来生物の写真付きで手を触れたり生野菜を食べない等の注意事項も書き足したものを作成し、集客の一役を買って出た。更に、小笠原母島観光協会に交渉して、母島の往復便をこの機会に合わせて大幅に臨時増便してもらって、この母島での七夕祭りがより賑わう様にと手も尽くした。そのかいもあった様で、母島への来訪者はかなり多くなり、七夕祭りの賑わいもかなりのものとなり、ニケも満足の笑みを浮かべる。
 ニケ自身も製菓屋と交渉して、母島産の国産カカオを使ったチョコレートを100枚用意した。
「ようこそ、母島に! 国産カカオを使ったチョコレートは如何ですか?」
 先着順に訪れた人に配る。
「国産カカオのチョコレート? ありがとうございます!」
 チョコレートを貰った人達の笑顔に、ニケも幸せな気持ちになる。喜んでもらえて良かったと、心からそう思うから。

 霧山・和希は、海の幸を提供する屋台で、裏方としてお手伝いを買って出る。
「本当ならご馳走したい所なのに、手伝って貰って……」
「皆さんに美味しいものを楽しんでもらいたいですから」
「屋台の料理、是非味わって行ってくださいね」
「有難うございます」
 屋台の海の幸、手伝っていても美味しそうなのは分かる。食べる時がとても楽しみで、わくわくと、お手伝いに励む和希だった。

 リュセフィー・オルソンは事前に母島観光協会に七夕祭りへの参加申請をして、出店を出す。
 メインはパッションフルーツで作った寒天ゼリーだ。
「冷えたパッションフルーツの寒天ゼリーはいかがですか?」
「わあ、美味しそう!」
「自信作です。是非、食べていって下さい」
「わあ、ありがとう!」
 寒天ゼリーを美味しそうに食べる子供達を見て、リュセフィーも微笑む。特に子供達が喜んでくれている様だ。その様子を見るのは微笑ましいし、平和が訪れたこの世界で、彼等の未来が明るい事を願わずにはいられなかった。

 ガートルード・コロネーションは、地元の人に教えて貰った綺麗な貝殻やシーグラスが多い浜辺で、七夕飾りに映える様な貝殻やシーグラスを探して集める。割らないように小さな穴を開け、吊り下げる糸をつけたら……綺麗な七夕飾りの完成だ。小さなシーグラスや貝殻は、ビーズみたいに繋げてお花や魚、星っぽい形にしてみたり。
「わ、ガートルードちゃんの七夕飾り、とっても綺麗で可愛いの!」
 ミーミア・リーンが、ガートルードの作った七夕飾りを見つけて、瞳をキラキラとさせている。
「一緒に飾り付けます?」
「うん! 綺麗に飾るの! 高い所はミーミアにお任せなのよ!」
 ぱたぱたと背中の翼を動かすミーミアに、思わず笑顔が零れるガートルードなのだった。

「願い事、ですか……。……デュアルさんを飼い猫にするには、10枚もあれば大丈夫でしょうか?」
 デュアルを飼い猫にしたいという願い事を書いた短冊を飾り付けようとしているのは、ミリア・シェルテッド。
「ミリア……最後までぶれないな」
 ミリアの短冊飾りに気が付いた、デュアル・サーペントがため息をつく。
「後、今回は七夕を楽しんで貰う事が一番の目的だから、今回はヒールしなくて良いよ。いや、今後何かあったら、ヒールはして貰えると嬉しいけど」
 短冊以外にもヒールの乱射(?)をしようとしている事も静止する。勿論、この先、何かあればヒールはして貰いたいのだが、今回は楽しんで季節の魔力を集める事が目的だからだ。
「……平和になったから、もう、俺の出番が無い事を願うよ」
「じゃあ、私の飼い猫に……!」
「……いや、猫じゃないからね? もう、何度目か分からないけど。飼い猫は無理だけど、友達なら歓迎だよ?」
「……友達、ですか。まあ……今はそれで手を打ちましょう」
 ミリアの言葉に、まだ不安なものは隠せないが、この先も仲良く出来たら良いなと思うのはデュアルの本音でもある。
「折角ですから屋台を回りましょう。ミーミアさんとシフォンさんも」
 三人と一匹で屋台を巡り……何故か購入したのは8人分。
「ミーミアさんとシフォンさんにはこちら、デュアルさんはこちらです」
 渡されたのはミーミアとシフォンに合わせて3人前、デュアルは一人で3人前、2人前はミリアの分らしい。
「私は……ミーミアさんほど、入るかは不安ですが」
 とか言いつつ、2人前をぺろりと平らげたミリアは、野良猫さんの分も必要だと再び屋台に魚料理を探しに出かけて行く。そんなミリアを見守るデュアルとミーミアなのだった。

 エトヴァ・ヒンメルブラウエは、浜辺で拾ったシーグラスでランプを作る。島の動植物の写真を手本にした、黄色に青……光の花が咲く。その隣ではロコ・エピカが写真をお手本にシーグラスをステンシルで彩っていく。海の生物、星、鳥、花、木々、名称をローマ字で入れてニスを塗れば完成だ。それを透ける袋に入れて、島の形のタグをつける。母島土産に良いのではないだろうか。
「海の宝石に、島の息吹宿るヨウ。とても素敵なお土産ですネ」
 絵に関して本当は自信の無いロコだが、エトヴァの感想は良い様に受け取る事にする。
「愛らしイ。俺も一つ頂戴」
「じゃあ、これなんかどうかな」
 エトヴァに渡すのは綺麗な海色のグラスに小鳥の絵を描いたもの。嬉しそうなエトヴァにロコも嬉しい。
 折角作った、シーグラスのお土産。色々な人に配ろうと二人で賑わう会場に出かけて現地の人達にお土産提案を兼ねて贈る事にした。
 その道すがら、デュアルとミーミアに出会う。彼等もそれぞれ手作りの七夕飾りを飾っていた。
「さっき、ロコちゃんのお土産見たけど、とっても綺麗だったの!」
「ありがとう。二人は七夕飾り?」
「うん。もう予知なんて必要が無い、そう願って」
 ヘリオライダーとして事件を予知してきたデュアル、共に戦ったミーミア。それぞれの想いがあり、願い事があるのだろう。……ミーミアの短冊には『お菓子が……』と書かれていた様な気もするのだけれど。
 二人と別れて、ロコとエトヴァもお祭り会場を見て回る事にした。

 ……そして、日が暮れて、満天の星空が現れる。

 七夕を飾った後、千歳緑・豊とバラフィール・アルシクは浜辺に向かう。
「アルシク君、どうぞ」
 豊は屋台で買った浜焼きをパラフィールに渡す。渡す時に落とさないように、と豊は少し詰め気味でパラフィールの傍に腰を下ろした。
「ありがとうございます」
 浜焼きを受け取り、パラフィールは豊に微笑み礼を伝える。……普段より少し近い距離にちょっとドキドキしながら、星空を眺めた。
「夜もとても綺麗なところですね。海と空の境界が無いみたいで……」
 宇宙にも行ったのだが、やはり地上から見る星空は落ち着くとパラフィールは思う。
「……千歳緑さんはこれから……どうされるのですか?」
 そっと、隣りに座る豊を伺いつつ、この先の事を尋ねる。
「経営はいつでも部下に譲れるように準備はしているのだけれどね。正直何も決めていないよ」
 そして、冗談めかしつつ豊は付け加える。
「平穏になってしまったし、ヒグマのいる北海道にでも遷ろうかな」
「北海道、ですか……!?」
 少し遠い、そんな顔をしている。どうやら真に受けたらしいパラフィールの反応を見て、微笑みつつ豊は問いを返す。
「アルシク君は、何か決めているのかい?」
「私は……変わらないです。生命を護るためにこれからも……医師として」
 こんなに近くにいるのに、どこか距離がある。それは豊が優しさを地獄で補っている自らを欠陥品だと思っているからかもしれない。でも、それでも心は傍にある。今はまだ難しくても、未来は分からない。そう伝えるように満天の星空が二人を包んでいた。

 鉄・冬真は白いTシャツにグレーの開襟シャツ、そしてデニムパンツにサンダル姿で、御影・有理はアイスグリーンのティアードワンピースに真白なラウンドトゥの編みサンダルを履いて、七夕のお祭りを楽しむ。二人の服は互いに贈りあったもの。贈り物を身に着けてのデートはとても嬉しくて凄く幸せだ。
 お祭りを楽しんでから、静かな浜辺に向かう。
 煌めく星空の下、有理は裸足になって、そっと海に入ってみる。海水の冷たさがとても心地良い。そんな有理の姿をずっと見ていたいと思うけれど、同時に攫われそうな気持になって、冬真も海に入って彼女の手を握った。……この小さな手が、戦いの為に武器を持つ事は無いのだろう。そう思うとほっとするのと同時に嬉しくて泣きたくなるような気持ちになる。
「冬真?」
 温かな手と優しい瞳、それはいつもの夫の物なのに、泣き出してしまいそうな気がした。だから、有理は冬真にそっと身を寄せて、その頬を撫でる。かけがえのない人に伝えたい事は、たった一つだ。
「これからも、ずっと一緒だよ。冬真」
「うん、ずっと一緒にいようね。愛しているよ、有理」
 有理の愛しい温かさに惹かれるように冬真は抱きしめる。そして、この幸せと愛しさを言葉には出来なくて、そっと口づけた。
 溢れる想いを乗せ、交わす口づけ。ずっとずっと最愛の貴方と共に……波の音と星の煌めきが二人を包むのだった。

 白地に黒猫の模様が入った浴衣を着た櫻井・クロと、黒地に白の波紋柄の浴衣を着たセレネー・ルナエクリプスは、お祭りを見て回る。
「七夕で良い感じに晴れてるし綺麗な夜空が期待できるにゃね♪」
 クロは綿飴、セレネーは七夕の笹を描いた団扇とりんご飴を持って、星空が綺麗に見える丘に向かう。
「ここからだと綺麗なお星様が見えるにゃね、お空が輝いて見えるのにゃ♪」
「降るような星空ね」
 あの星々の中にはまだ見ぬデウスエクスもいるのだろうけれど、もう侵略してくる事は無い。平和を勝ち取ったのだとセレネーは改めて思う。もう、何かを思う事無く星空を見られるのは、良い気持ちだ。
 そして、先程の祭りで飾った短冊の事を思い出す。
「クロさんは短冊に何を願ったの? 私は『クロさんがいつまでも元気でいますように』って」
 セレネーの問いに、クロは満面の笑みを浮かべる。
「クロの短冊のお願いは末永く一緒に楽しく過ごす事にゃね♪ 一人じゃ無くて二人一緒じゃ無いと意味ないにゃよ」
 これからも色々あると思うけど二人で手を繋いでいけばずっと楽しめると思うから。そんなクロの想いにセレネーも幸せそうに笑みを浮かべてクロの手をぎゅっと握る。ずっと一緒にいたい、離れ離れなんて嫌だから……その想いを籠めて。

 カップルとしての指輪の入ったネックレスをつけて参加するのは、青沢・屏と夢見星・璃音。
 昼は七夕飾りを一緒に作り、夜の星空観賞の為の軽食も用意した。璃音に気がつかれないように、屏はそっと大切な物を買いにも出かけて。
 そして、今は一緒に星空を見上げている。
「わあ、凄く綺麗な星空……輝きが満ち溢れてる。こうしてこの輝きを見れるのも、私達がずっと戦ってきたからなんだよね……感慨深いな」
「今はこの星空を無事に見ることができますね。空から降る脅威はもうないからです。武器を置いてもいい……近い時間に」
 星空を安心して楽しむ事が出来る事がとても幸せな事だと思う。
「そうだ、短冊に屏は何お願いした?」
「短冊か……璃音の事ですよ? あなたの未来が無病息災でありますように」
「ふふ、私も屏の事を書いたよ。一緒だね」
 微笑みながらそんなやり取りを交わした後、屏は昼間に内緒で買っていた……婚約指輪を璃音に渡す。
「ちょっと早いような……少し早い気がしますが……心の中で何度もこう自分に言いました。でももう我慢できません。だから、これ……受け取ってほしい」
 指輪を差し出された璃音は少し驚いたが、直ぐに平静を取り戻す。そして心からの気持ちを言葉に紡いだ。
「うん……すごく嬉しい。あの時輝きを分かち合おうって言ってくれてうれしかったし。こうして2人で輝きを見れるのが感慨ものだし……。そしてこれからも……なのかな?」
 屏を後ろから抱きしめる。幸せな気持ちで一杯の気持ちを伝えられるように。
「私も好きだよ、屏のこと」
 七夕の夜のプロポーズ。でも、七夕と違って、二人はこれからもずっと一緒にいるのだから……。

 ムギ・マキシマムと羽鳥・紺は、浜辺を歩きながら美しい星空を眺める。波音を聞きながら見つめる星空は趣がある。たまには余裕を持った大人の男らしさ紺を見せたいムギだが、この満天の星空を見てしまったらそれに魅入られてしまう。
「星が降ってくるとは、まさにこの事ですね」
「ああ、本当に綺麗だ、こんな景色は中々見られるもんじゃない」
 これだけ星があれば、でたらめでも良いから星座を結んでみたい。二人で星と星を繋いでみたりしながら、星空を楽しむ。
 そんな星々を眺めつつ、紺は思う。手を伸ばしても届かないのに、こんなに身近まで光を届けてくれるのだから。でも、その輝きも素敵だが大事な人の傍に居て星に負けない位の輝きを齎す存在になりたいと思う。
「ムギさん、いつかは私こそがあなたの道標になってみせます」
 星空を見つめるムギに、紺は強い想いを持って伝える。道標になりたいという紺に、ムギは紺を見つめる。恋人となって長いけれど、ムギは紺の意思に何度だって魅せられ惚れ直してしまう。それは当然、今、この時も。
「なはは、これでももう十分に紺には魅せられてるつもりなんだけどな」
「私はいつでも、ムギさんに関わることに貪欲なのです」
「そう言ってくれるなら、うん、期待して待っているよ」
 満天の星空の中、強い輝きを隣りに感じるのだった。

 星空が綺麗に見える場所で、ピジョン・ブラッドとマヒナ・マオリは、寝転がって満天の星空を眺める。
「こんな星空、見るの久しぶり……イア、天の川も見えて。気候もあったかくて二ホンとは思えないくらいだけどここもトーキョーなんだよね、不思議」
「ほんと東京とは思えないけど、品川ナンバーの車を見かけたよ。不思議な気分だった」
 星々を見ながらマヒナとピジョンは言葉を交わす。そして、この星空を見ているとマヒナは故郷の事を思い出す。
「ワタシの故郷は……ちょっとだけ、母島に似てるかも」
「そういえば、故郷を元に戻したいと、この前話していたよね。どんな所?」
「青い海に囲まれて、ホヌ……アオウミガメも来たりして。豊かな自然の中であったかい人達が暮らしてて、夜には満天の星空が広がる、そんな島。……燃やし尽くされたけど、何年かかるか分からないけど。戻せるかな……母島みたいに自然あふれる島に」
「そうか、自然あふれる……今度見に行って確かめてみようか? 自然が回復するには時間がかかるかもしれないけれど、僕らはヒールも出来るし。逞しい生き物や植物がもう戻り始めているかもしれないしね。きっと希望はあるさ」
 ピジョンの言葉に、マヒナは微笑む。ピジョンの優しさがとても嬉しいから。
「……そうだね、そしたらいつか一緒に行ってくれる?」

 ロコとエトヴァはランプを飾っていく。ランプの光が描く幻想的な光景を皆が喜んでくれるように、と。
 その後は浜辺へと足を運ぶ。満天の星空、天の川を眺め、その流れから零れる星の雫を受けるように、エトヴァは両手を広げる。それを見たロコも同じポーズをしてみせる。エトヴァはロコの手に溢れる星を見た様な気がした。
 深い静寂、生命のざわめき、波の音、この星の美しさを集めた、宝箱のような景色。遠く近くで人の声が聞こえる。
「地球は素敵だね。皆が皆、頑張ってこれからも生きていく。今日も明日も続く日常を、宝箱を守るみたいにさ」
「ええ、奇跡を集めた日常ヲ」
 そして、二人は幸せそうに微笑みあったのだった。

(「残念ながら、『大好きな人』とお会いするのは、もう少し先みたいです」)
 満天の星空を見上げながらガートルードはそう思う。でも、それ以上に思う事がある。この星空を、平和を取り戻した時代に見上げる事が出来たから。
(「それだけで……十分贅沢な気がします」)

 和希も飲み物と食べ物を手に夜空を見上げる。
 ……遠く離れたものをひとつにする、だけでなく。いま結ばれている絆が、末永く繋げられていますように。戦いが切っ掛けで繋がったとはいえ、それで終わることのないように。これからも皆に多くの幸いがあるように。
 満天の星空に、未来に思いを馳せて……。

「キレイ……。戦いが終わった海や星空はより美しく見えますね……」
 リュセフィーも満天の星空を楽しむ。

(「素敵なコトが起こりますように……♪」)
 ニケも天の川に想いを託して。

 ……満天の煌めく星空が皆を包み込む素敵な夜になりますように――。

作者:白鳥美鳥 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年7月14日
難度:易しい
参加:19人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 2/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 0
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