一方その頃、お休みの番犬は?

作者:久澄零太

 四夜・凶(泡沫の華・en0169)は転がっていた。畳の上を転がっていた。
「……暇だ」
 休日を迎えた彼ではあったが、じゃあ休みの日に何かする事あるのかって言うとないし、デウスエクスのほとんどと戦いが終わった今、緊急の呼び出しもほぼない。それは番犬達が戦い抜き、勝ち取った平穏ゆえなのだが……地球とそこに住まう人々を守る戦いが終わったわけではない。むしろ最終局面である。そこへ向かう精鋭部隊に多くの番犬が編成され、呼んでも誰も遊んでくれないのが現在。
「久々に、行ってくるか……」
 ふと、懐かしい場所へ向かって、凶が腰を上げた。

「ってゆー事で、凶がボッチでゲーセンに行くんだよ!」
 ゆっくり寝てたら置いていかれていた大神・ユキ(鉄拳制裁のヘリオライダー・en0168)はやや不機嫌。微かに頬を膨らませつつ、ちょうどオフだった番犬に言うことには。
「凶が行ったゲームセンターはね、一階は普通にゲーセンなんだけど、二階がボウリング場で、三階がバッティングセンターとかフリースローの詰め合わせで、地下には駄菓子商店街? っていう、お菓子とかもんじゃ焼きとか食べられるお店が入ってるの」
 子どもの遊び場を詰め込んだような施設、と言うことらしいが中身の設備はしっかりしており、大人も一日遊べるのだとか。
「それで、ブリジットちゃん誘った時に、みんなもどうかなーって声かけたんだけど、一緒に行く?」
 君達は貴重な休日をアミューズメントに費やしてもいいし、帰ってゆっくりしてもいい。


■リプレイ


「来るとなんだかワクワクするね~」
「私、ゲームセンターって好きよ。色んな音楽のゲームがあるもの!」
 フィロヴェールと小熊がやってきたのは音ゲーコーナー。
「最初は何からやろうかしら?」
「まずはあれで遊ばない?」
 目を輝かせるフィロヴェールへ小熊が示したのは、和太鼓のゲーム。
「音楽が好きなフィロちゃんとならきっと盛り上がるはず!」
「これね、私得意よ!楽しいしっ!難易度は……」
 難易度は既に最大だが、太鼓を連打……すると。
『プラブータ式をご所望ですね!』
 某姫君がにょきっ。
「一番難しいやつっと」
「えっ」
 小熊は驚いて固まってしまった。
「あ、小熊さん、この曲どうかしら?最近有名だし」
「それなら私も知ってる!」
 町中を歩けば流れてくる、今時の曲。小熊でもやれる……と、思いきや。
「うわわわっ!?」
 小熊は音ゲーに関しては上手い部類だったが、フィロヴェールの難易度はさらに上。
「ああ面白かった!」
「さすがはフィロちゃん……」
 ランキングを更新したフィロヴェールに、小熊は小さく拍手。
「次はダンスゲームはどうかしら?リズムにあわせて体を動かして遊ぶの、楽しいのよ!」
「いいね、面白そう!頑張って挑戦してみるよ!」
 手を取り合い、二人は並んで駆けていく……。

「僕の初依頼は三年前の冬でね。取り敢えず支援で行ったんだ」
「初依頼でアレ!?」
 ロコの初めては、オークでした。
「緋色蜂って賑やかで楽しそうで、いいなって思ったりもして……君が愛される弄られキャラか、若しくは貧乏籤役だって事は初見の時に直ぐ覚えたよ」
「覚えたのそこ!?」
 更なるボケ?が凶を襲う!
「一番最初に言葉を交わした太陽騎士は凶だったんだよ」
「私は番犬です!!」
「え……?」
 あの依頼、ユキが隠れて凶が説明してたから……。
「まぁ、それだけ。僕は多分、君と話すのは最後だろうから」
「そうなんで……いっでぇ!?」
 ロコの箱竜、セイディが凶の頭に着地。グリフォンめいた鉤爪が凶を抉る!!
「誕生日、おめでとう」
 淡い微笑みを残し、ロコは去っていった……。
「ちょ、待って!この子は!?」

「そこの可愛いかーのじょ」
 ユキが振り向くと、永代は後ろのバスケットを示す。
「はろはろー。ちょっとタイマンしない?」
 突然のサシバスケ!先攻はユキ。右に逸れると見せかけ、永代が一歩踏み出した瞬間、逆方向からシュート!ここで永代、飛んだ!?
「ずるい!?」
「有翼種的に普通でしょ?」
 攻防入れ替え今度は永代。ボールを持って……飛翔!
「どっにゃー!!」
 ユキのアッパーがボールをパーン!!
「そんなんあり!?」
「飛んじゃう人には言われたくないなー?」
 いたずら猫の微笑みに、永代も釣られて笑って……。
「未来も考えていかないといけない時期だけど……」
 その話を切り出したのは、二人がベンチに座った時だった。
「俺は……宇宙いこっかなって……来ない?」
 虚空を見上げたユキへ、永代は問う。
「宇宙旅行を兼ねて、宇宙にさ」
 けれど、ユキは首を振った。
「そっか……」
 説明しよう!ケルベロスブレイドは超高速で宇宙を渡るが、太陽系の突破だけで約十年!デウスエクスの星なんて、ユキは到達前に寿命を迎える可能性の方が高いのである!!万能戦艦の今後に期待ですね!!


「わらわは立場上、こういう場所で遊んだ事がないのじゃよなぁ」
 などと、ゲーセンを見回るミココだったが。
「……緋色蜂ばかり来ておらんか?わらわ、浮いておる?」
 彼女は知らない。その一言でネタフラグを建ったことを……。

「凶に挨拶、と思ったけど……後にしましょうか」
 アウレリアは暴食の権化に絡まれた凶を眺めて、地下へ向かうと。
「この世で最も至高な美味とは辛さよ」
 鳥さんみたいな事言いだした!?
「貴女の研鑽に少しでもお役に立てれば幸いだわ」
「ほう?」
 ブリジットが深紅の小瓶を眺めていると、アルベルトが「危険」「死ぬ」など、必死に劇物アピール。
「これをかければいいんだな」
 しかし、ブリジットの負けず嫌いを煽る事に。
「ちなみに適量は……」
 小瓶の半分くらいを示そうとしたアウレリアの腕を、アルベルトががっちり抱き寄せて。
「スポーツゲームやりたいの?貴方、好きだったものね」
 必死に上を示して引き離すのだった。

「生誕三十を寿ぐ益々のご健勝と更なる飛躍を祈念致します」
 戻って一階。エロくないエロ服というカオス衣装なエヴァリーナは珍しく真面目な挨拶を……。
「去年は毎年恒例の女装がなかったり、着てもらう機会がなかったのが不思議だったんだけど、私、わかったよ」
 しない!?
「記念すべきこの三十の誕生日をより衝撃的にキャッチーに彩る為パワー的な何かを溜めていたんだって……!」
 エヴァリーナに常識は通じない。あと女装は毎年恒例でもない。
「どうしてこうなった……!」
 低めの白いヒールを鳴らし、揺れるデニムのロングスカートは薄手の生地に涼し気な白いレースの彩り。トップはフリルブラウスでふわっと仕上げ、髪留めは一切外し後ろへ流して。
「写真もバッチリ撮ろうね。SNS宣伝で大規模アピールの準備も万端……!」
「どこ需要ですかコレェ!?」


 その日、三十路を迎えた奴はボッチだったんだYO!
「ヴォイドさん何してるの?」
 目立たないけどどのシーンにもいるってプレ書いたら、『こっち側』にな……ところでベルベット、そのダンベルは何?
「お構いなく。ただの乙女のたしなみだから」
 ならツッコまないのがダンディってモンだな。
「佐久弥さんはそこで何してるの?」
「俺は壁っす……そう、俺こそは第四の壁っす」
 っと、ここで佐久弥っちが遠い目。
「ふと考えたんす。心を無にするからこそ、サプライズになると。師団で訓練として、背景と同化していたんすが……」
 いつの間にかゲーセンの背景に、ってわけか。
「あぁ、四夜君じゃないか、はいこれ」
 え?よつやんどこ?
「こちらが残念、じゃなくて、お綺麗になられた四夜さんです」
「アルシクさん、フォローになってません……!」
 女装で原型残ってない……。
「しかし、屋内なのにこれを?」
「必要になりそうな気がしてね」
 豊の高そうな紙袋には……保冷剤?
「叩くと冷える瞬間冷却材さ。便利だから取っておくといいよ」
 そして豊はクールに階段へ……ここは追うっきゃねぇ!
「いやぁ、いいホームだね」
「そう……?」
 と、ユキに豊が声をかけると猫耳ピコン。なんか予知った?
「あれは察したって感じっすね?」
 知っているのかささやん!?
「ブリジットちゃんに呼ばれてたっけ……それじゃ!」
「おや、残念……」
 さて、豊がボックスにイン!
「バッティングセンターはずいぶん久しぶりだからなぁ。十年ぶりかな?」
「……」
 ねぇ、なんでバラフィールは豊見てるの?
「意図せぬ二人きりの状況に……おっと、これ以上は野暮っすね」
 ささやん!?説明して!?
「……どうしたんだいアルシク君?」
「ええと、お手本を見せていただいても……?」
「おっとそう来たか。二、三回の空振りでカンを取り戻せればいいんだけどねぇ……」
 と言うわけで第一球!

 キィン!

「あ、すごい……」
「いや駄目だよ。あの飛び方じゃファールになるんだ」
「なるほど……」
 ってーところで第二球!打ったー!
「む、惜しい」
 打球はホームランパネルのやや横にずれた位置へ。
「バットに当てて、まっすぐ飛ばす……」
 バラフィールもいくのか?じゃあ第一球!
「あ、当たりました!当たりましたよ!」
 打球自体はその辺にポテったが、見事に命中させたバラフィールに豊も拍手。
「初めてにしては筋がいいんじゃないかな?」
「そうでしょうか……?」
 さーて、そろそろ下の階に戻っか。

「だーれだ?」
 ……何あれ?
「ノアルちゃんが翼で四夜さんの顔を隠してるんでしょ?」
 さっすがハニー、あったまいー!
「私でした~。お誕生日おめでとうございます!」
 あ、答える前にネタバレしやがった。
「色々な景品があるんですね~、あっこんなエリンギのぬいぐるみまで!」ちらっ。
「とりましょうか?」
「いいんですか?」
「まぁ、エリンギなら……」
 重心的にエリンギはいいけど椎茸はダメなん……あれもう獲ってる!?
「どうぞ」
「ありがとうございます~……あの、そのですね」
 と、ノアルが何か話そうとしたところで、紙吹雪?
「凶は誕生日おめでとーう!これはプレゼントのワカクサクッション!愛でてあげてね!」
 クロウが爆走してきた!ガッとよつやんを掴んで。
「ブリジットが地下で怪しげな『たこせん』に手を出してるんだってさ!どんな食べ物なんだろ?」
 そのまま地下までダーッシュ!
「やっべ、超楽し……!」
 アレに見えるはあすか……って、音ゲーをフルコンプしてる!?
「しかも、全部レコードの上から三番目までに名前入ってるっすよ」
 佐久弥がいると情報が速い。さすが壁。その横をクロウが通過して、気づいたあすかは途端に顔がくしゃり。
「凶さん……ボッチすぎて、女装して女子会に参戦……?いい歳して悲しすぎる……!」
 なんて悲しいすれ違い……。
「とりあえず見てられないから凶さんをお祝いしにいかないと……!」

 はい、地下シーンです。
「いやーやっぱり緋色蜂の面々が多いのぅ……」
 あ、貴重な『非』色蜂がいるネ?
「ブリジットォ!?」
「なんじゃ!?」
 ミココはたこせん食ってまったりしてればよかったのに、クロウの叫びに反応しちまったか。
「どうして白目なんか……これがたこせん?」
「こんな赤いの見た事ありません……」
「何やら物騒な事になっとるのぅ」
「はーい、グリムグリム」
 天井からの声に見上げれば、グリムが床まで垂れて壁化し、迫ってくる。
「私が来たよ。観念しろ」
「壁!?」
「私は網だ」
 全員纏めて飲み込んでったな……ボウリング場にご案内!
『ハッピーバースデー!ヒャッハー!!』
「……やっぱり胴上げするんですね……」
 おっと、水瀬姉弟か。和奏がお説教か?
「お祝いをしたいのはわかりますがハッスルしすぎです!他のお客さんに迷惑ですし、天井を破壊しかねません。ここは外でやるべきかと……!」
「あ、胴上げ自体は止めないんだ……」
 翼、姉のヒャッハーを見て大きくなるんだぜ……!
「何故わらわまで巻き込まれたのじゃ……?」
 あれ、地下にいたミココが転がってる……災難な女だぜ。


「よし、じゃあ面貸せや」
「センター裏な?」
「地の文って大変ね。俺ちゃん疲れちった」
「……これ完全にカツアゲされるやつでは?」
 グリムとベルベット、ヴォイドに連れられ凶はゲーセンの外へ……その間に緋色蜂ボウリング大会の幕が上がる!
「無事に胴上げも終えたし、精一杯騒ぎ、楽しみ、祝おうじゃないか」
 初手に立ったのは鋼。ビジュアルは歩く甲冑な彼、パワーに期待ですね。
「ボウリングは初めてだが、まあ何とかなるだろう!こういうのは威力が重要、とにもかくにも勢いだ!」
 剛速球が直進してピンを撥ね飛ばした!!しかし、鋼の動きが止まる。
「……おかしい、何度投げてもピンが左右に残るぞ。というか球の軌道が変わっている奴もいるのだが?」
 と、横を見ると。
「たまには機人らしい所見せてやる!距離十八コンマ二八、重量補正ヨシ、レーン内摩擦力確認!こうやって回転をかければ……いっけー!」
 クロウの手元から離れたボールは素晴らしいカーブを描き、ガーターへと飛び込んでいった!
「……あれ?」
「回すと曲がるのか?全力の縦回転!」
 鋼が放つボールは投げられた腕力に自転による加速がかかり、ゴール!
「倍の速度でピンを左右に残していったな」
 そりゃー、縦回転だし。
「もう知らーん。拗ねる」
「ボウリングの球には結構触れてましてね。腹筋の上に落とされたり、肘を伸ばしたまま水平に一時間持ち続けたり……」
 拗ねてボールと一緒に磨かれる鋼の傍ら、遠い目になる計都。しかし、彼の視界に納まった物は。
「ターキーの景品で抱き枕が?これは是非とも狙わなければ!」
 と、気合十分なのはもう一人。
「せっかくですからダメになるクッションも狙っちゃいますよ~!」
 ノアルである。レプリケイトとサキュゴニアン……嫌な予感しかしない。
「俺は、地球人、ですってば!!」
 ツッコミのリズムで投げた!?そしてボールは……ストライク!!
「よしっ!」
 一方ノアルは。
「いっきまーす!」
 待て、なんでセットポジション……投げたー!?ストライク、そして飛び散ったピンは四方八方へポーン!!
「……あれ?」

「今、ヤベー音がした気がする……」
 遠い目になる翼を連れて、和奏がゲーセンの中をきょろきょろ。
「いつぶりかしら。そもそも遊んだことない気が……」
「まあ和奏は注意する方だもんな。俺はちょいちょい来てたけど……」
 聞こえないよう呟く翼の傍ら、和奏が袖を引いた。
「……ね、ねえ翼。あのぬいぐるみ、取れたりする?」
「どれよ……いや結構デカいな?……まあ、できなくはないか?」
 さて、翼の腕前は……!
「……ほら」
 あっさり獲りやがった!書くことがないくらいスムーズに獲りやがった!!
「別にいいだろ!?」
 翼が差し出すぬいぐるみを受け取ると、和奏はぎゅっと抱きしめて。
「……ありがと」

 さて、ゲーセンの裏手でも見るか。
「暇になってもこれで体を鍛えてね。コンクリートに亀裂が入るほど重いけど」
 凶がベルベットからもらったのが。
「ダンベル!?」
 地獄持ち用の頭おかしいダンベルか……ヴォイドは風呂敷を広げて。
「俺からはこれよ」
 ヴォイドコスプレセット、二百分の一スケールケルベロスブレイド、ヴォイド直通のTel番号。凶の選択は……次のシーンで!

「よつやんみっけー!てややー!」
 和の猛ダッシュ、からの大ジャンプ!背を這いあがり肩に乗っかってゴール!!
「きゃー!たかーい!」
「何故登るんですか!?」
「そこにいたから……なんで色違いヴォイやんになってるの?」
 真っ青な全身タイツに身を包んだ凶は遠くを見つめて。
「女装よりは、遥かにマシでしたから……」
「そっか……よつやん、あのでっかいぬいぐるみとれるー?」
 和は巨大緋色蜂クッションを示す。いやなんであるんだよ。
「あー、アレは獲れな……」
「きゅるーん☆」
 幼女めいた成人男性からの期待と言う名のプレッシャー……!
「ここは凶殿にコツを教えましょうね」
 サポートグリムの乱入だと!?
「まずこの辺の隙間から触手を差し込んで」
「アウトー!?」
 溶けグリムはヌルっとイン。しかしギルティ。
「だめ?結局反則しかできないのだ私は。アウトローで御座いますね。凶殿も一緒にハッパ決めようぜ」
 新鮮山菜セット〜⭐︎……何故この時期に!?
「さぁ、クレーンで獲るのだ」
「なんで中に置いたんですか!?」

「やー、音と光がすごいのぅ!ピカピカして、ぐるぐるして……」
 さっきまで撮影してた括はカメラの中身を確認してから降りてくると、真っ青な格好で紅茶を嗜みつつ山菜とクッキーをかじるという、カオスな凶を発見。
「……方向性はどうあれ、存分に楽しんでおるようでわしも嬉しいぞ!それで時に凶よ、此れってどう遊ぶのじゃ?」
「これはですね……」
 実際に動かして見せる凶に、括はふむ。
「なるほど、大事なのは距離感と機を逃さぬ判断力……任せておくがよい!なにしろわし、そういうのは得意じゃからの!」
 死亡フラグが建った気がするが、早速逝ってみよう!
「どうじゃどうじゃ完璧じゃろ?」
「ミリ単位で正確に……!」
 初見でジャストヒットさせた括に、凶も舌を巻いていたのだが。
「えぁ!?な……握力なさすぎでは!?」
 持ち上がると同時に、滑落するぬいぐるみ……。
「多分これ、正攻法じゃ獲れないやつですね」
 苦笑する凶に、括の目がキラン☆
「ならば必殺、熊ぱーんち!じゃっ!!」
 アームがぬいぐるみの腹をグサァ!閉じる力でズザザザ……!
「よし、とーれた。のじゃ。さ、凶、受け取るがよいのじゃ!」
 何故か鯛焼きぬいぐるみが鮭に見えたが、凶は感謝だけを伝えるのだった。

 凶が着替え直し、ベンチに倒れ込む。今日と言う一日が脳内に再来する……と。
「四夜さん、ハッピーバースデー、です」
 バラフィールからアイピローが。
「質のいい睡眠は大切ですから……ラベンダーをメインに、睡眠導入効果を狙ってポプリにしたものを納めてあります」
「なるほど……ところで」
 凶の目がバラフィールを捉え、彼女は背筋が凍てつくのだが。
「進展は?」
 一瞬、疑問符を浮かべた。しかし、理解に応じて熱を帯びていくバラフィールは。
「そ、それではっ!」
 そそくさと退散してしまった。
「恋バナ……」
「チェストォ!!」
「なにゆえっ!?」
 今度は計都から、番犬を残念にするボウリングピン抱き枕の一撃が凶を襲う!
「見事獲得したので、プレゼントです!何やら睡眠セットが揃ってますが……今は存分に遊びましょう!!」
 本日の贈り物を見て、計都がハンドサインと共に去っていく。しかし抱き枕まで来てしまうと。
「もう、楽になっても……」
「四夜さん」
 いいわけがなかった。ノアルは何故か目線を逸らしつつ。
「プレゼントがあるんですが、その、できれば二人きりになって渡したいなって……」
 凶の脳裏に蘇るのはバレンタインの時の、凄まじいビジュアル……。
「この後お時間は?」
「あります!」
 その後、凶が受け取った物とは……?

作者:久澄零太 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年6月12日
難度:易しい
参加:22人
結果:成功!
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