誰も来ないPAに最強の自販機がいるらしい

作者:星垣えん

●いっぱい出せるよぉ
 どこまでも見通せそうな田舎道に、ぽつんと休憩所が立っていた。
 PA(パーキングエリア)としてあるのだろうが、停まる車もなければ休む人もいない。いつから在るかわからないそこは、周囲の交通量がめっきり減ったことで半ば廃墟と化していた。
 まるでそこだけ時間から切り離されたように、ただ寂しい風が吹くばかり。
 ――というエモい空間の片隅に、その自販機はあった。
「ガコォン」
 そして普通に喋っていた。
 間違いなくダモクレスが合体したやつだった。
「ガコォォン」
 と呟く長方形ボディ(ブラウンカラー)は、普通のそれより一回りはデカい。高さが3mぐらいはあると思う。それに比べれば幅は短いがそれでも2mはありそうだ。
 壁。もはや壁。
 それだけデカいもんだから、収めているメニューもそれはそれは多いようで――。
「ラァメン」
 ぴこん、とボディ前面の押しボタンが光る。その上には器に入ったラーメンの画像が掲載されている。恐らく見本だろう。しょうゆに味噌にとんこつと種類も豊富だ。
「ウドンソバ」
 今度はうどんとそばの押しボタンが光る。
「ボンゴレェ」
 パスタもあるらしい。こちらも様々な種類が掲載されている。
「チャーハン。ギュウドン。カレーライス」
 腹にずっしり来そうなコメ系統まで?
「ハンバーガー。ピザ」
「コンソメスープ。ミソスープ」
 ジャンクフードからスープ類もあるだと!?
「カキゴオリ。ジャンボパフェ」
 食後のデザートまで完備している!!?
 最強だった……。
 多ジャンルを網羅し、一台ですべてが済んじゃう最強の自販機だった……。
 しかしそんな最強オブ最強でも、人がいないという事実はどうしようもないわけで。
「ガコォン……ガコォン……」
 己の多機能ぶりを持て余すダモさんの虚しい呟きは、無人の休憩所の中に響いては消えてゆくのでありました。

●いざ田舎の休憩所へ!
「誰も来ない場所に独りだなんて……何だか寂しそうなダモクレスさんねー」
「そうなんです! だからみんなで構ってあげてほしいと思って!」
「それはいい考えねー」
「ダモクレスは寂しくなくて、みんなはお腹いっぱいになれます! 一石二鳥!」
 ぱちぱちと拍手をする心意・括(孤児達の母親代わり・e32452)に、笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)がドヤァと胸を張っている。
 というのがね、ヘリポートで猟犬たちを待っていた光景でした。
「いろんな食べ物があるらしいですよ! 例えば……」
「まぁ、こんなのもあるのー?」
 一同そっちのけで話しこんでるねむ&括。
 そのまま盛り上がる二人に放置されてしまう猟犬たちだったが、幸いなことに近くでパタパタ飛んでたソウ(ウイングキャット)が資料をくれたので状況は把握できた。
 要はダモクレスを倒してくればいいのだった。
「道路沿いの休憩所で、故障してた自販機にくっついちゃったみたいです!」
「そしたらたくさんの料理を出せるようになったみたいねー。ラーメンとかカレーとか」
 ようやく振り向いてくれたねむと括が、ダモさんの詳細を語りだす。
 どうやらダモクレスはパーキングエリアとかにありがちなフード系の自販機と合体したらしい。その結果、意味わからんぐらい多様なメニューを獲得したっぽい。
 でも居場所がほぼ無人の廃墟だから、その能力を発揮する機会がないのだ。
「せっかくだから食べてあげたほうがいいわよねー」
「どれも本格的な出来になってるみたいですから、むしろ食べないと損ですね!」
 ねー、と顔を合わせて笑う括とねむ。
 なるほどこれは――お腹がいっぱいになりそうだ。
 自販機からわんさか出てくるだろう料理を想像し、気合を入れる一同だった。
「それでは! ねむのヘリオンに乗ってくださーい!」
 レッツゴー、と自身のヘリオンを指差すねむ。
 かくして、猟犬たちはいかにも楽しげな自販機に会いに行くのだった。


参加者
キルロイ・エルクード(ブレードランナー・e01850)
シフカ・ヴェルランド(鎖縛の銀狐・e11532)
エヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)
心意・括(孤児達の母親代わり・e32452)
陽月・空(陽はまた昇る・e45009)
リリエッタ・スノウ(未来へ踏み出す小さな一歩・e63102)
大森・桔梗(カンパネラ・e86036)

■リプレイ

●激戦の匂い
「ダモさまー!」
「ガコッ!?」
 休憩所に突撃ぶっこんできたエヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)のタックルが、ダモさんの横腹にぶち当たる。
「いっぱいご飯出してくれるって聞いて食べに来たよ! 来たよ!」
「ガコォー!?」
 頬ずりせんばかりのエヴァリーナにビビるダモさん。
 そんな彼のそばへ歩いてくると、リリエッタ・スノウ(未来へ踏み出す小さな一歩・e63102)は小首を傾げた。
「おっきなダモクレスだね。中身はどこから補充してるんだろ?」
「確かにこれほどの品数、どう賄っているんでしょうね」
「ダモさまー! ダモさまー!」
 リリエッタに同感してくれたのはシフカ・ヴェルランド(鎖縛の銀狐・e11532)。ちなみにその間もエヴァリーナはダモさんのボタンを連打。
「これは全種類食べるのも一苦労でしょうね。まあしませんが……」
「全部食べたらお腹いっぱいで動けなくなっちゃいそうだね」
 ビッグ自販機を揃って見上げるシフカ&リリエッタ。
 その後方では、ローレライ・ウィッシュスター(白羊の盾・e00352)や大森・桔梗(カンパネラ・e86036)のたわいない話し声が聞こえてくる。
「こういう自販機、よく見るわよね。ドライブインやPA、SAとか……美味しいって噂のやつよね!」
「自販機から飲料以外の食物が出て来るのは、なかなか衝撃的でした」
 普通に自販機トークしてる二人。
「こんな静かな場所で1台きりだなんて……」
「田舎の方のパーキングエリアって停車して休憩できればいいぐらいの感覚だから、食べ物とかを求めちゃうとどうしてもサービスエリアの方に寄りがちになっちゃうのよねー」
 孤独なダモさんを見つめる桔梗の横にひょっこり出てきたのは、心意・括(孤児達の母親代わり・e32452)だ。
「しかも田舎の方だと自販機系の光に虫が寄ってきやすいから近づきにくいのよねー」
「なるほど」
「維持費や修理費がすごいって聞くから、それも影響したかもしれないわね」
 括の始める田舎トークに耳を傾ける桔梗&ローレライ。その状況に暇しちまったソウ(ウイングキャット)とシュテルネ(テレビウム)は休憩所内で緩やかな追いかけっこを始めている。
 そんな心ほっこり風景を見物していた陽月・空(陽はまた昇る・e45009)は、目線を休憩所の出入口のほうへ滑らせる。強い日差しは直視せずとも少し眩しい。
「屋外は暑そうだから、中でのんびりとするのが良さそうだね」
「ああ、それが賢明だな」
 キープアウトテープを張り張りしていたキルロイ・エルクード(ブレードランナー・e01850)が空にひとつ頷き、ダモさんのもとへ歩いてゆく。
 その手に握るは、財布。
「ただの自販機の分際で最強とは強く出たものじゃあないか。だったらどこまで旨いもん引っ張り出せるか試してやるぜ」
「ガコ?」
 対峙するキルロイとダモクレス。
 男の意地をかけた戦いが、始まろうとしていた。

●食ってんねぇ
 片田舎にて恐ろしきダモクレスと邂逅した猟犬一同。
 その戦いの様子をご覧いただこう!
「んー! お蕎麦が香り高くて美味しいわね! 揚げ玉も最高!」
「こちらのフライドチキンもスパイスの利いた衣が美味しいですね。病みつきになってしまいそうです」
「ガコォン!」
 蕎麦を啜り上げて目をキラキラさせているローレライの向かいで、カリッと揚がったチキンの美味さに舌鼓を打つ桔梗。そんな二人を見て嬉しそうにしている自販機。
 平和だった。
 美味しい物を提供する側とされる側の戦いは、実に平和だった。
「じゃあ次はおうどんを食べようかしら……!」
「私は稲荷寿司を食べてみましょう。いかにも味が染みて美味しそうです」
「食べたいものが多すぎて困っちゃうわ!」
 温かなうどんにたっぷりの揚げ玉(持参した)を投入するローレライ。対する桔梗は俵型のそれをぱくっと頬張って、ひとつふたつと頷いている。期待に違わぬ味だった模様。
 と、楽しい食事風景の一方で。
「ダモさまー次は牛丼!」
「ギュウドン!」
「そしたら次はカルボナーラを!」
「カルボナーラ!」
「今度は肉まんお願いします!」
「ニクマーン!」
「美味しいー♪」
 エヴァリーナは心の赴くままに、ダモさんの料理を食いまくっていた。3秒で出来上がるそれを3秒で完食して間髪入れず次のボタンを押す――とかいう6秒周期の応酬をエンドレス繰り返しとる。ちゃんと噛んでるよね?
「あらあらー。いくらでも出てくるなんてすごいわねー」
「うん、さすがダモさん……」
 エヴァリーナの無法プレイを横で眺めていた括と空。括はハンバーガー片手にダモさんの器量に感心し、空は熱視線を注いだままダモさんのボディに手をぺたり。
 まるで、慈しむように。
「……定命化しても良いってトップの人が言ってたし、僕の家に来てくれたら嬉しい……退屈させないよ、うん」
「そしたら私、空くんの家に住むね……ダモさま地球を愛して定命化しません? いい所ですよー」
 しれっと引き取ろうとする空。すかさず便乗するエヴァリーナ。ともに食い気だけで動いてるとも言っていい両者の姿に括はくすりと笑ってしまう。
「ダモクレスのえぇと……研究データ? でこういう技術情報ももらえたら良いわね!」
「こんな自販機がどこでも置いてあるようになるのかな?」
 焼きおにぎり&唐揚げのパックを片手に、リリエッタがその世界線を想像する。小腹が空いたときにいつでも美味しい物が食べられる未来は控えめに言っても素敵。
「お腹が空いても困らないね」
「そうねー。食いしん坊さんも助かると思うわー」
 はむっと焼きおにぎりを頬張るリリエッタに首を頷ける括。
「ところで、あれは何やってるのかしらねー?」
「? キルロイのこと?」
 括が指差すままに、ダモさんのほうを見るリリエッタ。そこには通行人に因縁ふっかけるチンピラよろしく、ダモさんに詰め寄っているキルロイの姿があった。
「マズいもん食わせたらコイン投入口に砂利詰めるぞ」
「ジャリィ……」
 仮面の下から凄味を漂わせつつ、ダモさんに万札を投入するキルロイ。そのままボタンをポチしてハンバーガーを入手する男の背中を見つつ、括は苦笑を浮かべる。
「お金入れなくても出てくるのにねー」
「『ダモクレスの施しは受けない』って言ってたよ」
 キルロイさんのプチ情報を教えてくれるリリエッタ。
 何とはなしにその話を聞いていたシフカは、野菜スティックをぱきりと噛んだ。
「色々な」
 人参をぱきりするシフカ。
「事情が」
 キュウリをぱきりするシフカ。
「あるんですね」
 セロリをぱきりするシフカ。
 いや野菜を齧りすぎだってぇ! 絶対キルロイの事情とか気にしてねぇよこいつ!
「いえ気にしてますよ。次はバーニャカウダにしようかとか」
 やっぱり気にしてNEEEEEEEEEEEEEEE!!!
「シフカさん。こちらの野菜サラダやミネストローネもおすすめですよ」
「あ、いいですねそれ。ちょうどスープも欲しいと思ってたんです」
 チキン&稲荷寿司からのヘルシーメニューを堪能していた桔梗が、己の食べていた野菜たちをシフカに見せる。野菜狂いがそれに食いつかぬわけもなく、シフカは野菜ジュースをひと飲みして区切りをつけると、すぐさまダモさんへ走った。野菜の重ねがけがすごい。
「好きな物を好きなだけ食べられるっていいよね」
 奔放に食うシフカを見ていた空が、己の手元に視線を落とす。
 そこにはずらりと、無数のラーメンの器。
 シンプルな醤油やみそ、塩に加えて、白濁したトンコツや魚介系。さらにはこんもりと肉と野菜を乗せた色物系まで――まさにラーメン博物館。
「僕も好きなだけ食べるよ」
「そうねー。パーキングエリアに寄る時は基本長距離を走ってるから食べやすいものを選んじゃうんだけど、今日はその必要もないしじゃんじゃん食べるわよー!」
 1杯のラーメンを前にして、ぱきっと割り箸を割る括。ずずっと二人してラーメンを啜る様子は長距離ドライブ中の親子のよう。
 横で微笑ましく見てたローレライはホットサンドをぱくりと平らげると、飲みかけのコンソメスープを飲み干し、立ち上がった。
「二人とも美味しそうに食べてるわね。私も食欲が湧いてくるわ!」
 爛々とした表情で、ダモさんから唐揚げとポテトを貰ってくるローレライ。
 湧いてくるも何もさっきから休む間もなく食ってますけどね!

●やってんねぇ
 20分後。
「次はそうだな……プライムビーフのステーキ。それとこの銀座とかで食えそうな特上寿司みてぇなやつを出してもらおうか」
「ステーキトスシィ……」
 キルロイさんは依然としてダモさんを恫喝(?)していた。その圧に怯えながらダモさんは恐る恐るステーキと寿司を出す。
 だがしかし、相変わらずに見えた光景も実際は変化が生じている。
「……こいつも美味いじゃあないか」
「ドウモォ……」
 キルロイがダモさんの力を認め始めていたのだ。
 というかかなり気に入っていると言ってもいいだろう。
 なぜなら投入した万札がもう5枚超えとる。
「次はフカヒレなんかを食べてみるか。どうせあるんだろう? なぁ?」
「オッケーボクジョオ……」
「あの人、いったい何枚つぎこむ気なんですかね」
 ダモさんの横っ腹を肘で小突いてるキルロイさんを見たシフカが、呆れたように呟くと、傍で黙々とピザを食べていたリリエッタがパッと顔を上げる。
「リリ知ってるよ。ATMって言うんだよね」
「リリエッタさん、それは違うんじゃ……」
「かなり語弊がありますが、まぁいいんじゃないですか?」
 むぐむぐ海鮮丼を食べていたローレライがツッコみ、つるつるとボンゴレビアンコを味わっていたシフカがにやりと笑う。三人ともキルロイさんに聞かれるんじゃねえぞ。
 と、一人の男が散財してる一方。
「杏仁豆腐、美味しかった。中華は満足」
「私もカレーうどんライス完食! 次はどーしよー」
 空とエヴァリーナは相変わらず爆食を続けていた。中華メニューを平らげた空は次なる獲物の思案を始め、エヴァリーナはカレーとうどんとライスを合体させたアレンジメニューを楽しんでいる。
 目について頼んだタコライスを食べながら、括は二人に笑いかけた。
「二人とも満喫してるわねー」
「そろそろこういうのも無くなるかもしれないから、今までの感謝の念も込めていっぱい食べないと」
「そーそー。それにここなら誰にも何にもジャマされないで食べまくれる……!」
 空の意見に乗っかりつつ、遠い目で天井を見るエヴァリーナ。
「白羊宮でも食べほーだいはできるけど、あっちでモグモグタイムしてると緊急招集されちゃうかもしれないんだよね……」
「あらーそうなのー」
「だから今のうちに食べるだけ食べないと! ダモさまー! ナポリタンとチョリソーとピラフを合わせてー!」
 ずだだだとダモさんへ駆けてゆくエヴァリーナ。その騒々しさも消えぬ間に空もまたガタッと席を立つ。
「ハンバーグとパンを頼んで、ハンバーガーを作ろうかな。別々に出してもらえばそれぞれのクオリティも高くなって、もっと美味しくなりそう」
「いってらっしゃーい」
 決意の瞳で旅立つ勇士を、手を振って送り出す括。
 てな感じで猟犬たちは次々に食べ物を頼んでいて、そーなると必然的にダモさんも忙殺されていた。だが決して期待を裏切らないところはさすがデウスエクスだった。
「イイカオリィ……」
「佛跳牆までものの数秒で作り出すとはな……どうやらお前さんは本物の最強自販機なのかもしれん」
「そう言いながら万札を入れるのはそろそろやめたほうがいいんじゃないですか? 親戚のおじさんじゃないんですから」
 佛跳牆なる乾物の高級スープさえ秒速で生み出すダモさんに、もはや条件反射で万札をぶちこむキルロイおじさん。シフカが止めようとしても一切聞かない。というかシフカがツッコミに回ってる時点でヤバい。
「……まぁ、楽しませてもらってるのは事実ですけどね」
「ガコォン」
「今日は本当にありがとうございます」
「ガコォン♪」
 シフカがそっとボディをさすってやれば、気持ち嬉しそうに鳴くダモさん。
 それをぼーっと見ていたローレライは、数十センチも高さのあるパフェに、すっとスプーンを差し入れた。
「倒すのも、ちょっとだけ気が引けちゃうわね」
「そうですね。どうにか定命化してもらう方法はないのでしょうか」
 同じくパフェを食べていた桔梗が、上部のソフトクリームとカットフルーツをぱくりと口に運ぶ。濃厚な甘さと酸味がかなりマッチ。
 足元で寝転がってるシュテルネが脚をぺしぺししてくると、ローレライは頬を綻ばせた。
「シュテルネは、もうお腹いっぱいかしら? よかったわねシュテルネ」
「たくさん食べましたから、そろそろ頃合いですかね」
「じゃあ外にいるリリエッタさんを呼んでこないと」
 宴の終わりを察したローレライと桔梗が、すっと席を立った。

 少し参りそうなほどの、暑さと日差しの下。
 リリエッタは休憩所の外のベンチに座り、かき氷をぱくぱくしていた。
「喉かな風景だね。とっても落ち着く感じだよ」
 練乳とあんこを乗っけたミルク金時で涼を取りながら、田舎の空気を味わうリリエッタ。
 ローレライたちが呼びに来るまで、少女はまったりと過ごせたようです。

●壊れてんねぇ
 10分後。
「ダモさま……ぐすん」
 大破した自販機の破片のそばで、エヴァリーナが大粒の涙を零している。
 うん、きっちり壊しましたよ皆で。仕事でしたから。
「ダモさまのことは忘れないよ……」
「彼に似た設備が、ケルベロスブレイドにも出来ればいいですね」
 テイクアウトした品を抱くエヴァリーナに肩ポンする桔梗。
「……お前さんみたいなダモクレスがレプリカントになっていったのかもな」
 キルロイさんも脱いだ帽子を胸にあて、ダモさんの死を悼んでいる。二桁に昇る万札をはたいた男の顔に後悔はない。少なくとも家に帰るまでは。
「お土産もたくさん貰えてよかったわね! このホットサンド美味しかったし!」
「僕は揚げ物と、焼きそば」
「リリはクレープとめんつゆを貰ったよ。寮のみんなで食べようかな」
 土産を抱えてホクホクしてるのはローレライと空とリリエッタだ。ダモさんを破壊する前にしっかり持ち帰り分は作ってもらった。
「ほらみんなー。お土産もいいけど片付けも忘れないでねー? ゴミの量も多いから、ここのゴミ箱じゃなくて袋に入れて持ち帰るわよー」
「あ、はーい」
「片付けはしっかりしないとだね」
「ダモさんへの感謝も込めて」
 ゴミ袋をふりふりしてる括に応じて、粛々を片づけを始める三人。
 それを横目にシフカは外に出て青空を見上げ、ぐっと体を伸ばすと、思い出したように休憩所内へ振り返った。
「ちょっと近くのお店で食事しようと思うんですけど、誰かついてきます?」
 ……もう十分食べたでしょうがァァァ!!!

作者:星垣えん 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年6月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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