人馬さんのサバイバルナイト!

作者:久澄零太

「よし、狩りにいくぞ!」
 それは突然だった。声を発したブリジット・レースライン(セントールの甲冑騎士・en0312)の向こうには、ジビエ特集のテレビ番組。どうみてもテレビの影響を受けている様子に、四夜・凶(泡沫の華・en0169)は苦笑して。
「急にどうしたんですか?」
「戦場で食料を確保し、戦線を維持する……これほど効率的な事があるか!?」
「それ、晩御飯の前じゃなきゃダメですか?」
 遠回しに「やめてくれ」と告げる凶に対してブリジットの顔は輝き。
「飯前だからいいのだろう!? 空腹だからこそ意味がある。考えてみろ、戦場のど真ん中でゆっくり飯を食う暇があるか? 武装した自分に食い物を背負う余裕があるか? いいやあるまい!!」
 この時点で、凶は天を仰いだ。
「行くぞ、思い立ったが火蓋の切り時だ!!」
 なんか混ざってるなーって顔で、凶は夕飯の支度を諦めるのだった。

「と言う事で、これから山に入ります」
 これからディナーってつもりで、お腹を空かせて街を歩いていた番犬達を前に、凶は事の次第を説明すると申し訳なさそうにバーベキューセットを広げる傍ら。
「真っ暗な山の中、歩くだけでも危険です。特に……」
 地図を広げると、少し踏み入った位置にある湖を示した。
「この辺りにきな臭い話もあります。くれぐれも近づかないようにしてください。適当に歩いて、すぐに戻ってきてくださいな。その頃には晩御飯の支度を終えておきますので……」
 かくして、凶に見送られる形でブリジットを筆頭に、番犬達は山へと踏み込んでいく。これがあんな事件の始まりだっただなんて、この時の私達には知る由もなかったのである。

 ーー大神・ユキ(鉄拳制裁のヘリオライダー・en0168)の業務日誌より抜粋。


■リプレイ


「夜の山で食材調達ですか……いいですね!」
 このノリ、もしや番犬の中にはサバイバーなメンツが……。
「どんな状況でも最高の食事を用意できてこそ、真の女子力というもの!」
 と思ったら違った。ていうか灯にとっての女子力とは一体?
「ふふ、女子力とは即ち……女子力です!」
 よし、この話はやめよう、恐らく深淵を覗くことになる。
「更に今日は、二人の心強い仲間がご一緒!恐れるものなど何も……」
「夜の山で怪しい場所とか、呪いの気配がプンプンするわね!これは呪い屋として放って置けないわ!その辺の地縛霊より私の呪いの方が強いって教えてあげる!」
「え?地縛霊?」
 篠葉が山に向けて宣戦布告をしたものだから、灯はきょとりとしつつ篠葉を見つめてしまう。
「占いは女子的に歓迎ですが呪いは……ま、まあ細かいことはいいでしょう!迷っていては食材の鮮度も落ちます!」
「さて、夜の山は危険がいっぱいじゃからのう。女子力に満ちた夜目でしっかり視界を確保し食材を探すのじゃ」
 考えることをやめた灯と、フラグ臭漂う篠葉を先導するのはウィゼ。夜目の効く彼女がいれば大丈夫……だと思いたいのだが、夜目に女子力を見出すあたり、もうだめかもしれない。
「水辺は怨念が溜まりやすい場所なのよね。どんなコがいるか楽しみだわ!」
「乙女の勘を頼りに、今出発です!!」
「あぁこれ!何故私より先に進むのじゃ~!?」
 せっかく月明かりだけで周りが見えるウィゼがいるのに、勘を頼りに突き進む二人を追いかける地底人なのだった。

「お誕生日おめでとう、ブリジット。凶にもつい先日、うちのエヴァがお世話になったばかりだし何かお手伝いさせて頂戴」
「……なんだそれは?爆弾か?」
 アウレリアの持ち込んだ明らかに封印指定されてるタイプの容器を見て、とりあえず劇物だって事は察したブリジット。未経験な彼女を前に、アウレリアはクスリ。
「あら、あなた冗談なんて言うのね?ほんの感謝の気持ちだもの、気にしないで」
「兄さん義姉さんストーップ!!」
 凶とディッセンバーが支度していたグリルの方へ向かうアウレリアの肩と、彼女の後ろで『総員緊急退避!!』の看板を振り回しながらおろおろしていたアルベルトの首根っこを引っ掴んだエヴァリーナ。その表情はまさしく『必死』。戦争の真っ最中に旅行に突っ込んできたかのような凄まじい形相である。
「今回は美味しくておっきくて強くて危ない食材がいるんだってハンティングするのに戦力が一人でも多く欲しいからぜひとも来てほしいなっていうか来てくれないと私がやられてあられもない姿が公式記録に残っちゃうんじゃないかなここは妹を助けるんだと思って絶対に来てほしいなぁああああ!?」
 すごくない?このセリフ、ノンブレスで言い切ったんだぜ?
「そう?でも、あなたも今まで立派に戦ってきたわ。そろそろ兄離れ、義姉離れの時期でしょう。それに、あの二人だけで調理の支度だなんて……」
 姉っていうか、母の顔で悩むアウレリアの手をアルベルトがぐいぐい。
「アルベルト……貴方も狩りに行きたいの?」
 サムズアップ。調理風景は毎日見られるし、僕は君の狩猟姿が見てみたいな……ってオーラのアルベルトに微笑んで。
「仕方ない人ね……」
 こうして、アウレリアという名の時限爆弾はキャンプから引き離されたのである。
「さて、では我々の方で下準備を進めてしまいましょうか」
「えぇ、でもその前に……」
 ある意味最大の危機を乗り越え、額を拭う凶に対してディッセンバーは松明から伸ばされた影を展開。キャンプを中心にして、数十メートルの位置に螺旋を描く棘付きワイヤーが設置される。
「これでよし。何かが無理矢理に入ろうとしたら足止めになるでしょう」
「最近の野獣は火を恐れない事もありますものねぇ……」
 苦笑しつつ、炭をグリルに並べる凶の横でディッセンバーは地面……影の中に手を突っこみ。
「あ、追加の食材もお持ちしましたよ。辛くなく危険もない安心安全健全な食材ですし、量もそれなりに確保してあります。先ほどの方、暴食の権化として有名でしょう?」
「えぇ、助かりま……待って健全な食材ってなんですか!?」
 ディッセンバーは、微笑むだけだった。

「レースラインさんはお誕生日おめでとうございます~。この前の依頼ではお世話になりましたので、そのお礼もかねてプレゼントを用意しました~。開けてみてください!」
「む?なんだこれは……」
 ノアルに渡された紙袋を開けると、ながーい布が出てくるが、その正体は。
「私が着たのと同じデザインのサイドオープンチャイナです。この前ノーチェさんに着せられていたものよりは多少布地が多いのでご安心ください!」
「多少……?」
 まぁ、うん。そもそも横から肌が見える時点で、お察しだよね。
「でもほら、人馬さんは下着穿いてませんし……」
「それはそうだが……」
 すっと、ブリジットは遠い目をして。
「こういう服で中途半端に隠すと、逆に、な……」
「あっ」
 下半身が馬である故に、下半分(後ろ半分?)は全裸なブリジット。そこに半端な服を着ると、一周回って露出狂に見える(って、言われたことがある)のである。
「痴女被害者仲間ですね!!」
「一緒にするなぁ!?」
 夢魔と呼ばれてしまうノアルは同胞を見つけた眼差しをするのだった。

「ブリジットさんハピバ!!てなわけで競争しよう!どっちが凄い獲物を狩れるか勝負だ、お誕生日様だからって手加減はしないからね?」
「ふっ、よかろう。今日の私は身軽な分いつもより速いぞ……!」
 あすかの宣戦布告に対して、贈り物を無下にできずチャイナ衣装になったブリジットは腕組みして鼻で笑う。
「さて僕が狙うのは……例の湖のヌシ!唐揚げに鍋に活け造りに串焼き……想像しただけでたまらんわ……おっとまずは狩ってからの話だな」
「凶が言っていた奴か……」
 虚空を見上げるブリジットに、あすかがきょとり、小首を傾げ。
「なんか知ってるの?」
「私は事前に正体を聞いているからな。間違っても突っ込むなよ、と釘を刺されているのだが……」
 あすかが聞かされたヌシの正体は、とんでもない輩であった。


「ちょっとクマしめてくるわ」
 それがアーシャの最期の言葉だった。
「いや何勝手に物騒な展開に持っていこうとしてるのよ」
 ビールをジョッキで飲みながら山道歩く飲んだくれに言われたくないなー。
「いーのよ、ちょっと酔ってるくらいの方が余計な思考が働かないから狩りは上手くいくものなの」
 この脳筋鬼、色んな意味で大丈夫かな……。
「あった」
 何が?
「うんこ」
 おい!?
「ということは……やっぱり、爪痕もあるわね」
 道端の糞、樹木に残された爪痕、そして獣道へと続く足跡……。
「ここが熊の縄張りと見て間違いないわね。後は来るのを待つだけ、っと」
 自分の匂いに気づかれないように、風下の茂みに身を潜めるアーシャ。飲み終えたジョッキをその辺にぶん投げる(空のジョッキは後程スタッフが回収しました)と、ゴッ!
「なんかに当たったかしら?」
 アーシャが首を傾げていると、ブチ切れた様子の熊が飛び出してくるではないか。適当に投げ捨てたりするから、頭に当たったんやろうな……。
「まんまと来たわね!」
 飛び出すアーシャだが、熊さんだってそう簡単にはやられない。首を絞め落とそうとするアーシャへ、必殺の熊パンチ!
「舐めんなオラァ!!」
 これは酷い……熊と鬼がクロスカウンターしてる……しかし均衡は一瞬。吹っ飛んだ熊さんを吊るし上げるようにしてシメ落とし、手刀で頸をザシュー。
「この一手間で肉がおいしくなるのよ」
 などと、熊の脚を掴んで逆さづりにし、血抜きしながらキャンプへ戻るアーシャなのだった。

「苦戦しているようだなブリジット!」
「また会ったなランスルー!」
 謎の既視感を抱かせる騎士感漂うランスルーと腕をぶつけ合わせ、再会(?)を喜ぶ二人の騎士。なお、ランスルーは全身甲冑に身を包み、長大な太刀を背負うという、戦場に向かう途中染みたスタイル。とても山に入る恰好とは思えない。
「この山で狩りが解禁されたと聞いてな、助太刀にきたぜ」
「なるほど、それは都合がいい。ちょうど山奥のデカブツを狩りに行くところでな」
「あ、協力はずるいなー」
 人馬同士で手を組もうとするブリジットを、同行していたあすかがジト目で見つめるが。
「はっは、狩りとは協力して行うもの。技を競うのなら貢献具合で勝負すればよろしい」
 ランスルーの方に笑われてしまった。
「どれせっかくだ、道中に小物でも狩りながら進もうではないか」
「ふむ、獲物が多いに越したことはない……いざ行こう!」
 と、意気込む二人だったのだが。
「ゲームのようにはいかないか……」
「げぇむ?試合のことか?」
 まさかの、遭遇すらしない。
「いや、地球には狩りを疑似体験する装置があるんだ。体は動かさぬが、作戦や立ち回りの練習にはいい。それだとそこら中に獲物がいるんだが……」
 ネズミ一匹見かけない夜道に、ランスルーは一つ頷く。
「ここは手分けをするぞ。ブリジットはあっちを頼む!」
「分かった。もしもの時は狼煙を上げる。また会おう!」
 と、ガッチャガッチャしながら去っていくランスルーの背中を見送ったところで、あすかがぽそり。
「あのさ、山に入る時って、普通は鈴をつけて歩くんだって」
「そんなものに何の意味がある?」
 不思議そうなブリジットへ、あすかは遠い目のまま。
「あの鎧がうるさ過ぎて、動物が逃げちゃったんじゃないかなって……」
「あっ」
 自分が鎧を着ていないために、金属鎧の騒音を忘れていたブリジットなのだった。

「狩りの、時間だ」
 深夜テンションかな?って状態のこの人が、噂の蒼眞さんです。
「俺が狙うはただ一つ。珍しく姿を見せた大物……!」
 脚を開いて低く構え、ターゲットがベストポジションへ到達するのを待つ。
「もう少し……もう一歩……今ッ!」
「!」
 飛び掛かる獲物の目が、驚愕に開かれる。無防備な『そこ』へ、流れるように飛び込んで……。
「おっぱいダァアアアイブ!!」
「はぁ!?」
 理解が追い付いていないブリジットの谷間(意味深)に顔を埋め、キリッ。
「いつも鎧を着ていて隙の無いお前が、今宵はチャイナ服と来た!これはダイブせざるを……」
 ガッ!語ってる最中の蒼眞の頭が、掴み上げられた。
「この……」
 そのまま全力ダッシュ、かーらーの。
「痴れ者がぁ!!」
「アバァ!?」
 樹木に強打ァ!!交通事故並みの衝撃が蒼眞の顔面を襲う!
「まったくとんでもない輩だ……」
「え、あれ放置でいいの……?」
 ピクリともしない蒼眞をあすかが心配していたが、ブリジットは放置して先へ進むのだった。


「サバイバルでござるか。作戦中に敵地で補給を行うには、必須と言える手段でござるな……まあ、拙者は敵からぶん盗る方が好みでござるがHAHAHA!お前のものも俺のものなストロングスタイルでござるよ」
 などと夜の山の中、ひときわ高い木の上で高笑いしてるカテリーナ。望遠鏡を通して山を見渡しつつ。
「獣は、自分より強いものからは本能的に逃げるもの。これだけ自然溢れる地で、生き物の気配がしない場所には……他の生き物が恐れて逃げるような大物、この森の主とも言えるものが居るやも」
 そんな場所が都合よくあるわけが……。
「あった!」
 あっちゃったよ。
「あの湖、水辺だというのに何も居らぬでござるな。ていうかあそこ立ち入り禁止とか言われてたような気も……しないでござるな!」
 わーお、忠告を完全にスルーしていくスタンスですね、分かります。
「そうと決まればジャスティスはスピーディに。レッツハンティングでござる!」
 などと湖に向かうカテリーナだが、そこには続々と番犬が集まっていたりする。
「冰魔晶刃にロープを付けて銛にして、と。後は餌まいて水上におびき寄せて……」
 真っ先に到着していたのが、正確な情報を持っているあすかとブリジット。相手が水中に身を潜めているため、まずはおびき出す必要があるのだ。釣り具では効果がないため、途中で獲った兎肉を湖に投げ込み、じっと食いつく時を待つ。
「むむ、先客がおるのじゃ。ヌシをおびき出しておるのかの?」
「どんな強敵でも怯まずに、見切りを避け炎で燃やし倒します!」
 ウィゼに誘導される女子力三人衆が到達したところで、突如水しぶきが上がった。
「来た……一気に仕留める!」
 あすかが得物を引き絞る、その相手とは……。
「ワニ!?なんだー、ただの爬虫類かー」
 篠葉ががっかりと肩を落とす一方、あすかは一歩踏み込んで。
「突撃!お前が晩御飯じゃー!!」
 雷撃纏う銛を打ち込むのだが、パァン!
「尾で弾いた!?」
「あら、中々芸達者じゃない」
 アルベルトといちゃついてて遅れたアウレリアが到着するなり銃を構え。
「弾丸くらい小さく速ければどうかしら?」
 水上に見えている鼻先めがけて二、三発撃ち込むものの、甲高い音と共に弾かれてしまい、ワニは番犬達を獲物とみなして這い上がってくる。
「あら、随分と硬い鱗ね?」
「これならどうですか!?」
 灯から無数の火球が飛び、ダメ押しとばかりに地を這う火柱が駆ける。さすがに水辺に生きる者に熱はこたえたのだろう。一旦水中に戻って体を冷まし、再び這い上がってくるが。
「鱗が駄目なら、狙うは腹か……!」
 ブリジットの槍がワニの脇腹、その下の地面に突き立てられるとエヴァリーナが「じゅっとん……あったらいいな!」と書かれたハンマーを振り下ろして柄をぶっ叩き、その反動で跳ね上がった穂先がワニをひっくり返して。
「やたっ!後はお腹を仕留めて晩御飯に……」
 などと勝利を確信した瞬間、でっかい手裏剣がザクゥ!ヌシの息の根を止めた!!
「敵将、討ち取ったりー!」
 カテリーナの声が、夜の山に木霊する。その勝鬨に続く番犬達の声は。
『美味しいとこだけ持ってかれたー!?』
 汚い、さすが忍者、汚い。


「ブリジットおねえ誕生日おめでとうなのじゃ。共に戦場【だいどころ】に立つ者としてエールを送るのじゃ。さあ、レッツクッキングなのじゃ」
 キャンプに戻ったら、ウィゼはブリジットと共にエプロンをして、食材とブリジットへ一礼。ヌシを蹴っ飛ばしてブルーシートに乗っけて、巨大な包丁をぶん回して皮を剥ぎ、拳を構えたところで。
「先にワタ抜きをしませんと……」
 ディッセンバーに止められた。
「調理はこっちでやるから、あなた達は先に食べていらっしゃいな」
「たまには義姉さんもたべよう!?ね!?」
 アウレリアがエプロンしようとするもエヴァリーナが強奪、既に焼きあがっているBBQへと引きずっていく……。
「BBQといえば映え写真も撮らなきゃね。いい感じに焼けた鉄板の前でイエーイ!」
「肉・肉・野菜でバランス良く食べましょうね。記念の映え写真は乙女的にピースです!」
 などとグリルの前では灯と篠葉が記念撮影。何枚か撮ったところで、灯がふと視線を感じて。
「知らない人映りませんよね?」
「知らない人が居ても、賑やかで良いわよね!」
「やめてくださいよ!?もー……」
 ふと怖くなって、灯が撮影した写真を確認すると二人の後ろには、血塗れの怨霊が巨大な包丁を振りかぶっていて……。
「「きゃー!?」」
 一つは悲鳴、一つは歓喜。二つの悲鳴を上げた灯と篠葉が振り返ると。
「私も写真に入りたいのじゃー!!」
 調理場の方に行ってて、撮影に入り損ねたウィゼが調理中のまま抜け出してきてた。
「心臓に悪いからやめてください!?」
「んもー、新鮮な悪霊かと思ったのにー」
「さぁ、女子力的記念撮影なのじゃ」
「「その前に着替えなさい」」
「のーじゃー」
 ウィゼは灯と篠葉に綺麗にされるのだった。

「さて、ワニ料理ですか……」
 部位を切り分けるディッセンバーがどうしたものか、と思考を巡らせていると凶がコンソメを取り出し。
「一応、鶏っぽい味らしいですよ」
 などと衣を作り始める。
「ほほう、これはフライドゲーターの流れでござるな?」
「そんなフライドチキンみたいな言い方を……」
 カテリーナのキリッ!にディッセンバーが苦笑するものの、実際に衣をつけて揚げてみると……。
「おいひぃ~!」
 エヴァリーナが言っても説得力ないな……。
「なんで!?私一応モデルなんだけど!?」
「ご飯炊けましたよ~」
「アコナイトさんもどうぞ」
 と、凶があえて正体を隠したまま、白米をエヴァリーナに奪われたノアルに差し出してみると。
「さっぱりしてるけどジューシーで……山鳥……ではこうはなりませんよね?」
 野山を駆けるノアルには、違いが分かるようだ。
「これ、何のお肉ですか?」
「お口にあったならよかったです」
「……え、私は何を食べさせられたんですか!?」
 周りがBBQとフライドゲーターで盛り上がる中、睨み合っているのが。
「ぐぬぬ決着をつけそこなった……」
「仕方あるまい。あそこで横取りされるとは思わなんだ……」
 あすかとブリジットである。事あるごとに勝負してきた二人だが、今回は横から掻っ攫われたからのぅ……。
「次は、勝つ!」
「いつでも受けてたとう」
 などと、額を突き合せたところで。
「あれ、一人足りないような……まぁ、些細な問題ですね」
 ディッセンバーが何も見なかった事にして、夜空には蒼眞っぽい星座が輝いていたとか……。

作者:久澄零太 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年4月20日
難度:易しい
参加:12人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 6
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