理威然斗なヘアーという名のトサカ

作者:久澄零太

「いいかお前ら! 世の中には鬱陶しいほど洒落乙ヘアーが溢れてやがる!!」
 なんでこんなご時世にこの手の輩が湧くんだろうね? いうまでもないけど、バイクに腰掛けた鳥さんです。
「だがよぉ、あれもいい、これもいい、そんなフラッフラした頭でいいのか? おぉ!?」
 今回の鳥さんはガラが悪いなぁ……ちなみに、バイクがあっても乗れないのは秘密だ!
「漢ならばリーゼント! テメェを貫くこの一本柱で十分よ!!」
 身を翻し、鳥さんはバイクのハンドルを握り。
「行くぞ野郎共! 世間のなよなよしい連中にリーゼントヘッドをぶち込んでやれぇ!!」
『イェスヘッド! ゴーリーゼント!!』

「みんな大変だよ!」
 大神・ユキ(鉄拳制裁のヘリオライダー・en0168)はコロコロと地図を広げて、とある高速道路の陰を示す。
「人通りがほとんどない田舎道なんだけど、ここに髪型はリーゼントが一番ってビルシャナが現れて、リーゼントを広めようとするの!」
「髪は女の命……なんとしても止めなくてはなりませんね」
 ジルダリア・ダイアンサス(さんじゅーごさい・e79329)は自身の髪を撫でつつ、ふと芽生えた違和感に眉をひそめた。
「信者を増やすんじゃなくて、リーゼントを広めるんですか?」
「うん。ビルシャナのリーゼントはミサイルの発射装置になってるんだけど、これの爆発に巻き込まれると、リーゼントになっちゃうの……!」
 さぁ大変だ、今回の鳥さんは説得中にも攻撃してくるタイプだぞ!!
「ちなみに、時々アフロになるんだって!!」
 役に立つのか立たないのか怪しい情報を伝えつつ、白猫が続ける事には。
「信者の人は、みんなの髪型とかシャンプーとか、髪に関わるこだわりを語ると目を覚ましてくれるよ!」
 髪について全く気にしない番犬はどうしたらいいかって? 自分の髪に対する性癖……もとい、好きな髪型について語ればいいんじゃないかな?
「ちなみに、今回はブリジットちゃんが同行するんだけど……」
 ちらと、ブリジット・レースライン(セントールの甲冑騎士・en0312)の方を見やると。
「ミサイルか……相手にとって不足はない!」
 どう見てもぶっ潰す気満々。こいつを前線に出そうものなら、弾頭を爆破されて番犬全体に被害が及ぶ可能性が出てきた……。
「と、とにかく!」
 まさかの味方側に地雷がいることが発覚したが、事件は止まらない。ユキは気を取り直して。
「避けて語ってドッカンだよ!!」
『爆発させちゃダメでしょ!?』
 おめめくるくるでフォローしようとしたユキへ、番犬からツッコミが飛ぶのだった。


参加者
日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)
シフカ・ヴェルランド(鎖縛の銀狐・e11532)
エヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)
白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)
風陽射・錆次郎(戦うロボメディックさん・e34376)
ノアル・アコナイト(黒蝕のまほうつかい・e44471)
平・輝(サラリーマン零式忍者・e45971)
ジルダリア・ダイアンサス(さんじゅーごさい・e79329)

■リプレイ


「太陽騎士さんも一緒に戦う仲間、つまりは運命共同体……!私がリーゼントおあアフロの悲劇を避けられなかった時は……一緒に仲良死ボンバヘッヅになろうね……!」
 今日の太陽機は一際ひどいな……開幕早々必死に泣きつくこちらはエヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)。もちろんユキの返答は。
「絶対やだ」
 そしてこの爽やかな笑顔である。
「見捨てないでぇえええ!」
 エヴァリーナがしがみつき、ユキの動きが鈍った瞬間。
「この生き様こそが俺最大の説得!いざ行かん、おっぱいダーイブ!!」
 日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)はまだ降下もしてないのに鳥さん対策という大義名分を抱き、ダッシュ!
「さぁ今回も始まってしまったよ、太陽機恒例行事おっぱいダイブ」
 で、風陽射・錆次郎(戦うロボメディックさん・e34376)はいつの間に解説席を設置してるんかね?
「ターゲットは妖怪『大食い人魚』に囚われて身動きが取れない……これは結果が見えたかも?」
「なんで私妖怪扱いなの!?」
 錆次郎の解説にエヴァリーナが振り返るが、返ってきたのはSNSの画面。
「結構有名なタグみたいだよ……?」
「嘘だッ!!」
 エヴァリーナが劇画顔で拒否ったところで蒼眞がユキに迫る……!
「ほら大好きなおっぱいですよー」
「おっと、ここで乱入者の登場だよ!」
 乱入者の正体はシフカ・ヴェルランド(鎖縛の銀狐・e11532)。しかし彼女は何故か胸を振りかぶっていてね?
「おっ……」
 踏み込み、全身を捻って巨大な果実を振るう……!
「ぱいっ!!」
 ゴッ!
「ぎゃぁあああ!?」
「巨乳のフルスウィングが見事に顔面を捉えたよぉ……!」
 錆次郎の前で、蒼眞は鈍い音を立てて太陽機からシューッ!ライナー気味の打球として大空へ……。
「ところで、さっきのお胸、慣性による揺れっていうか、ブレが一切なかったように見えたんだけど……」
 錆次郎、そこ気にすると長くは生きられないぞ。
「え」
「私のは虚乳じゃないですよ!?」
 シフカに疑念の眼差しを向ける錆次郎だが、虚乳だったらまだマシだっただろう。
「ちょっと破砕鉄球並みに硬化するだけです!!」
 そんなもんでぶん殴られた蒼眞がどうなったか?タグ代わりの黒いガムテープを手に、錆次郎も降下していく……。
「ユキちゃんは獣人だし、他の種族よりも毛並みとか大事にしてそうだけど、やっぱシャンプーとか気を使ってるの?」
 白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)め、他の番犬が降下してからユキの頭を撫でに来るくらいには危機意識があったのか。
「いや、アレは洒落にならんでしょ……」
 訳が分からない人はシフカのオリグラを見てね☆
「シャンプーは凶とおんなじだよ?」
「まさかの……!?」
 永代が固まるが、あいつが髪おろしたとこ見たことある人なら納得してくれるはず……?
「触り心地いいなーって思ってたけど……うっし、匂いとかも確かめてみるか、ひゃっほー!」
 などと、髪に顔を近づけた瞬間、腹部に鈍い痛みが!
「この……」
 鳩尾に突き刺さった拳が開くや否や、襟首を掴まれて。
「どへんたーい!!」
「淡い花の香りだった……」
 何かを達成した顔で散っていく永代なのだった。
「せめて落ちたって言って!?」


「世の中には鬱陶しいほど洒落乙ヘアーが……」
「この半端者がッ!!」
「せせりっ!?」
 おおっと鳥さんが説教を始めたところに蒼眞がシューッ!頭頂同士が直撃する正面衝突事故を起こすが。
「バンダナがなければ即死だった……」
 いや絶対それ意味無いよ、リーゼントのモフッてるとこに落ちたからマシなだけだよ。
「なんだテメェ……本当になんだテメェ!?」
 鳥さんがびっくりした理由?蒼眞の顔が平面になってたからかな。
「我が生き様ことおっぱいダイブ道にリーゼントのようなでっぱりヘアーは邪魔!あと一応バンダナ族としてはバンダナを着けるのに邪魔になるのと、髪に何かを付けるとバンダナが染みになったりして困る」
 ズビシ、人差し指を突きつけて。
「そしてリーゼントの善し悪しは兎も角、何故に髪型に服装を合わせない?学ランとかバンカラ的なものとか、この際世紀末なヒャッハー的なものでも良いけど、もう少し髪型と服装との組み合わせも考えるべきだ。ただでさえ主張が強い髪型なのに服装が合っていなければ違和感しかない」
「売ってないんだよぉ!!」
 おぉっと、鳥さんが泣き始めた!?
「今時、特攻服とか売ってないんだよぉおおお!!」
「え、別に学ランでも……」
「リーゼントには特攻服とバイクだろうが舐めてんのかあぁん!?」
 蒼眞は思った「厄介な依頼に来てしまったぞ?」と。
「ちょっと待ったぁー!」
 泣き崩れた鳥さん達の前に現れたのはエヴァリーナ。ただ、距離が遠いため彼女からはメガホンでお送りします。
「実は前頭部のでっぱったとこはポンパドールてお名前で、リーゼントは横髪を後ろになでつけたスタイルを言うんだよ!そんな概念と解釈フラッフラな髪型でいいの?」
「正式名称よりイメージ優先だろうが!遠くから偉そうに……お前もリーゼントにしてやらぁ!!」
「なんで!?」
 変に距離を取るから、逆に目立っちゃったかー。鳥さんのリーゼント(ポンパドール)の先端がパカッ、弾頭が発射された!
「こんな時のための兄さんでしょ!?」
「あなた自分の兄をなんだと思ってるのよ……」
 支援部隊で来てたアウレリアにくっついてたアルベルトを引き剥がし、霊壁にするエヴァリーナ。「え、盾ってそういうこと!?」ってアルベルトもびっくりだが、妹は無慈悲である。
「長男なら耐えられるってえらいひとがゆってた、だから逝って……!」
 チュドーン!アルベルトはアフロベルトになった!!
「って、にーさーーーん!?」
 思ってたのと違う末路に、エヴァリーナは口元を隠して後ずさる。
「なんて酷い姿に……」
「あなたがしたんでしょうが」
 巨大アフロに取り込まれ、毬藻オバケと化したアルベルトにアウレリアがブラッシング。戻るのにしばらくかかるぞあれ……。
「……あの鳥さん、リーゼントにどんな悟りを見たんだろう?どんな経緯でそうなったのか、気になるんだよね」
 実は語られる事が少ない、鳥さんの中の人の半生とは……腰まで伸びたピンクストレートを揺らす錆次郎が疑問に思いつつ、顔面二次元と化した蒼眞の顔にガムテを貼り、一気に引き剥がすことで3Dに戻しながら。
「そもそもだけど、リーゼントってやりすぎると、頭皮にすごいダメージが入るんだよね……若い頃はいいけど、年取ると、ね。しかも、真ん中に寄せて作る髪型だから……将来、逆モヒカンな素敵ヘアになる可能性が高くなるけど、いいのかな?」
「まさしく、こんな風に!!」
 その瞬間、戦場を眩いばかりの光が包み込んだ……。
「リーゼントですか……うちの人事部長と同じヘアーですね。そういえば、人事部長から「外回りのついでにポマード買ってこい」って言われてたんですよね」
 そう語る平・輝(サラリーマン零式忍者・e45971)の手にはエコバッグが。そして戦場を照らす輝きが収まると、光源……輝のヘッドが番犬と信者達の視線に晒された。
「リーゼントって、頭髪と毛根をドライヤーと整髪料で……しこたま痛めつけるんですよ。痛めつけ続けた結果が……これですよ!」
 説明しよう!輝きの輝ける頭部パーツは、ど真ん中を皮膚の大平原が駆け抜ける逆モヒカン(不本意)なのだ!!
「生え際最前線が寒々と大後退時代ですよ!誰ですか?我が軍は奮戦虚しく玉砕とか言ってるのは?」
 言ってない言ってない、と信者が一斉に手やら首やら横に振るが、輝は止まらない。
「まだ両翼が残ってるんです、囲んで鶴翼の陣の構えなんですよ!食らえー!!」
『何を!?』
 光り輝く頭部を前に突貫する輝!立ちはだかるはビルシャナリーゼント!!
「食らうのはテメェだ!リーゼントミサイル!!」
「ぐぁあああ!?」
 逆モヒカンとリーゼントでは射程が違い過ぎたのだ。輝は弾頭の直撃を食らい、爆煙に消えていく。
「リーゼントを物理的に拡散するビルシャナですか。できればお近づきになりたくないんですが」
 リーゼントの爆煙の後方、物陰に隠れていたジルダリア・ダイアンサス(さんじゅーごさい・e79329)はじっと鳥オバケを見る。
「赤い箱の石鹸、ご存知ですか?あれで髪を洗うのもいいんですよね。何でも……育毛にもいい!と仰る方も居るとか」
「それは本当ですか!?」
 おい、信者じゃなくて爆発に飲まれた輝が反応したぞ?
「ドライヤーと整髪料でフルボッコになったリーゼントの末路は……木枯らし吹き荒び、北風が凍みる不毛の大地。でも……石鹸を使ってケアしておけば、若草のように豊かな、再生の芽吹きが……頭皮の春が訪れるのです」
「我が身に春よ来たれ!!」
『うわぁ……』
 ジルダリアを教祖として輝が信者と化した新手の宗教臭に、鳥さんと信者もドン引きである。だが、近づきたくない脅威というものは勝手に迫ってくるもので。
「さあ、ポマードを捨て、石鹸を手に取るのです。明日の頭皮のために」
「そうと決まれば早急に敵を始末しましょう。さっきの爆発でポマードも買い直しですし!」
 吹き抜ける風が煙を振り払うと、鳥さんが絶叫。
「角生えてるー!?」
 逆モヒカンヘッドの輝がリーゼントしようとしたら、側頭部にしかない髪が前に向かって伸ばされて、ポマードで硬化したせいで二本の角っぽい何かと化している。
「あれ、ということは……」
 ピンクのストレートは実はヅラだった錆次郎。どした?
「僕、短髪野郎だから、リーゼントにする髪の毛、無いよね?」
 髪が足りないからミサイルの影響はないはず、と考える方が自然だが。
「え、違うの?」
 輝の元々の頭、クワガタの失敗作みたいな髪型になるだけの長さがあったか?
「まさか、髪を一時的に伸ばす効果が……?」
 イェス。禿はさておき、必ずリーゼントになるのさ!禿はさておき!!
「二回言うことかなぁ……」


「流行したのは昭和の時代だそうで、古い本でしか見たことがありませんでしたが……実際目の当たりにするとすごくレトロを感じますね~」
『えっ』
 ノアル・アコナイト(黒蝕のまほうつかい・e44471)め……言ってはいけないことを……。
「髪は乙女の命って言うんですよ!私達の中には乙女じゃない人もいますけど、乙女の髪をみだりに弄ぶなんていけません!」
「……」
 ノアル、君のことは忘れない……。
「ど、どういうことですかー!?」
 見事に地雷を踏んでしまったからな……ごらん。
「ふふ、世の中には言っていい事と言わない方がいい事があるんですよ?」

 ▼ジルダリアの冷凍視線ビーム!ノアルは凍り付いた!!

「ひぇっ!?」
 ガタガタガタ……味方側の地雷を踏むという想定外の事態に怯え切ったノアルは震え声のままに。
「石鹸で髪を洗うのはいいんですが、そのあとちゃんとトリートメントしないとキシキシしちゃうんですよね~」
「うふふ、私の意見に噛みつくんですね?」

 ▼ジルダリアの絶対零度の微笑み!ノアルは氷像と化した!!

「違います違います!!フォローだったんですー!?」
 ドラゴンは冷凍保存に弱いって誰か言ってた。ノアル、君は最期の瞬間、夢魔ではなく竜人だと証明されたのだ……。
「最期とか縁起でもないこと言わないでくださいよー!?ていうか、夢魔でもありません!乙女枠ですー!!」
 抗議の為に恐怖で凍てつく体を奮い立たせたノアルは後ろを指して。
「乙女の証明の為に、一本角の馬に乗って見せます!!」
 で、そのユニコーンってのが。
「ぐぬ……殺せぇ……」
 前しか隠せてない布に身を包んだブリジットです。
「なんでこんな時に限ってそんな恰好なんですかー!?」
 チャイナドレスの側面を飾り紐のみで繋ぎ肌を見せつつ、背中は大きく晒しながらも臀部を隠すための垂布が後ろ半身を覆う。髪も丸く編み込みパオで留めて、オリエンタルなスタイルに。もちろん犯人は……。
「突撃型地雷ブリジットちゃんには人命救助(と私の心の平穏)の為、うちのブランドのヘアアクセとアレンジに力を入れたコーディネートにお着換えしてもらったりして惨事を防……げたらいいなぁ」
 兄の末路を目の当たりにして、虚無顔のエヴァリーナ。羞恥心で動きを封じた点では正解だった……?
「PTAに問題視される存在だの緋色蜂公式痴女だの言われてしまいましたが、ここは乙女ぢからを証明……したかったんですが……」
 あの淫乱な姿のブリジットに乗ったら、悪化する気はする。
「で、でも!それっぽい馬なのは確かですし!!」
 などと騎乗しようとするノアルだったが、その首裏をひょいと掴まれて。
「たとえ尊厳を失おうとも、誇りまで失ったつもりはないぞ……!」
 羞恥心で真っ赤にそまり、涙目のブリジットに乗馬拒否されてしまった。
「なんでですかー!?」
「我々は誇り高きセントール!騎乗動物ではないのだ!!」
 ノアルは淫乱なえっちぃ娘だからね、仕方ないね。
「淫乱でもえっちでもないですー!!」
「やはり髪に対抗できるのは、髪だけ……!」
 さらり、自らの髪をかき撫でたシフカが部隊の最前線へ。
「ポニーテール、ポニーテールです。ポニーテールこそ至高の髪型です」
 まさかの、唯一、真っ当な説得……!
「なんだテメェ!?お前もリーゼントに……」
「どうぞ?」
 異形の脅迫に、シフカは事も無げに首を傾げた。
「たとえリーゼントにされようと、私は氷水に飛び込んででもこの髪をポニーテールへと結び直しましょう」
「なん……!?」
 鳥オバケすら後ずさるその思いは、シフカにとってポニテが愛した『お母様』の背を想起させるものである故だろうか。
「普段ポニテで無い人がした時のギャップ、風や身体の動きによって揺れる髪、人目に晒されるうなじ……どこをとっても最高すぎます」
 あれっ、完全に性癖だ!?
「ポニテは女性のするイメージが強い……そう思ったでしょう?しかし男性でもポニテにする人はいるのです。時代劇の侍がする総髪。つまり男性のポニテ=侍=格好いい!という訳です。さあポニテです。ポニテにするのです。ポニテの格好良さに気付くのです……」
「ちょんまげの間違いだろう?」
 と、鳥さんが笑う横で。
「あ、教祖様、武士って言うか医者がやってた、剃らずにまとめる髪型が総髪っていう短めのポニテっすね」
「なにぃ!?」
「これで証明されたでしょう……」
 背を向けて、自らのポニテを揺らすシフカは、背中と髪で語る。
「ポニテとは、男女問わず効率的かつ見た目に優れた髪型にして、古き時代から一本の柱……いいえ、髪を通して来た髪型なのです」
 シフカのポニテに後光すら差す……が、ここで終わるほど番犬って連中は生易しくない。


「俺は依頼の話を聞いた時思ったんだよん、ミサイルなんかに爆発で負けてられないってねん、この俺が!」
 風を切り、雲を割り、天より降りるはさりげなく出番が来なかった永代。なんでかって、こいつは落下後、滞空して戦場を見下ろしてたから。
「食らえ、何かカイトの宿敵の時に会得した俺の必殺技をっ!!芸術は、爆発だ!!」
 最後の最後でやらかしやがったな!?お話も終盤の所で地上に向かって急降下。空気摩擦もあって全身を青白い炎に包んだ永代は一つの隕石と化し、戦場のど真ん中へ。
「リーゼントも格好良いと思うんだけどねん、一種の伝統文化みたいな感じで……だが、アフロを仕込んだ、それが貴様の運の尽きだー!」
「ん?空からなんか聞こえ……」
 鳥さんが空を見上げると、既に永代は地上に迫っており。

 ッドォオオン!!

「トサカァ!?」
「……あっ、ポマードで固めた髪に火が……」
 真っ黒に焦げた蒼眞の前で、鳥オバケのリーゼントは導火線のようにジジジジ……ッドン!!燃え尽きた果てに弾頭に引火!周囲に髪を暴走させる爆風が拡散する!!
「……うん……見事なアフロだな」
 死んだ目をする蒼眞は、重くなった自分の頭を見あげる事もせず、全員そろってアフロになった現場を見回していく。
「寒天ちゃん助けて!アフロはいやぁあああ!!」
 丸くなった頭をいい感じに濡らして直してくれないかなーって鬼鋼に泣きつくエヴァリーナ。その頬をハリセンで叩き「無理」と返答する寒天ちゃん。アルベルトに至ってはアウレリアを死守したせいでアフロって言うかただの丸い毛玉と化している。
「リーゼントの鳥なんてただのナガエカサドリじゃないですかー!」
 ノアル(ショタ)は一瞬アフロになったものの、服を脱ぎ捨てて「分解して再構築しただけですー!!」ノアル(痴女)に変身することでアフロを解除しつつ、鳥図鑑をもはや消滅し始めた鳥オバケに押し付けながら。
「それがアフロだなんて、もはやホワイトポーリッシュですよ?鶏ですよ!?飛べないビルシャナさんはただの鳥さんですよ!?」
 謎のツッコミを入れる彼女を見つめて、錆次郎は思案。
「変身したら治ったと言うことは、髪もグラビティで修復ができるのかな?」
 元は衛生兵だった錆次郎、変化した髪にヒールを試してみたいところ……?
「妖精さん、妖精さん、要約をお願いします」
 突然の爆発、回避できなかったアフロ、阿鼻叫喚の戦場……混乱の渦中にあるジルダリアが情報の妖精に問えば返ってきたのは。
『爆発オチなんてサイテー!!』

作者:久澄零太 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年2月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 4
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