混浴でない女湯に押しかける者たち

作者:塩田多弾砲

 温泉。
 人と人とが強制的に裸となるその浴場は、しばしば欲情を催す場となる。
「ん~、いい湯じゃないの」
 瀬戸内朱里は、温泉に浸かってご満悦。
「……朱里、それで、その……」
 その隣で、ともに湯船に浸かっているのは、一ノ瀬夏来。恥ずかしそうにもじもじしている。
 ここは『桃房温泉』。
 露天風呂の温泉宿で、女性同士のカップルが良く利用する『桜謀温泉』とも関係があった。
 とはいえ、『桃房温泉』は、営業開始してからそう年月も経っておらず、桜謀温泉のような『売り』がない。
 しかし、ここも桜謀と同じく、女性客がかなり多い。特に、近くにある数軒のラブホでは、『ラブホ女子会』が盛んで、そのプランも多い。
 なので、桃房温泉も女子会プランを設けてみると、それが大当たり。女性客が倍増し評判が評判を呼び、朱里と夏来もまた、二人向けのプランを選び、こうして温泉に浸かっている次第。
 このプランのためか、彼女らと同程度の若い女性客の利用が多く見られた。
「その……朱里……」
 まだもじもじしている夏来に、
「ん? 夏来、何か言った?」
 朱里が聞き返したその時、
『なぜ混浴じゃない! 至高なるは混浴温泉! 男女で別れるなど、無知蒙昧にして愚鈍の極み!』
 女湯に、薄汚いフラミンゴのような姿の人影が、多数の人間を引き連れて現れた。
『男女平等が叫ばれる昨今! 男湯・女湯と分ける事がどれだけ愚かな事か! そんな事だから、男女不平等が生じるのだ!』
 その後ろには、
『そうだそうだ!女の子の裸見せろ!』
『混浴で合法的に見て何が悪い?』
『女子の生裸を見る機会を奪うなー!』
『その代わりに、自分らも裸見せつけますぞデュフフ』
 ……といった、色々な意味で「頭に『喪』とか『残念』とか付いていそうな男どもが喚き散らす。
 僅かに混じった女性たちも、
『そーよそーよ! 美少年の裸見せろ!』
『混浴で合法的におじ様の裸見て何が悪い?』
『男子の生裸を見る機会を奪うんじゃあねーわよ!』
 などと、これまた残念な主張を。
「……な」
「なによ、あれ」
 当然ながら、朱里と夏来が呆れていると、
『故にこの瞬間、この女湯を混浴とする! かかれーっ!』

「……えーと、去年の十一月ごろでしょうか。露出度の高い学校制服を強要しようとしたビルシャナの事件を覚えてますか?」
 セリカが言った事件は、元生徒会長が学校の制服を、露出の高いものに無理やり変えようとした、あらゆる意味で残念な事件。
 草薙・美珠(退魔巫女・e33570)たちにより、この事件そのものは解決した。が、世に残念の種は尽きまじ。新たなる残念を撒き散らすスカポンが現れたのだ。
「今度は、まあ……『温泉は混浴が至高』というビルシャナです。要は『男女が合法的に裸になって一緒に入れる混浴こそが一番いい』って理屈でして」
 まさに然り。つまりは、混浴にして異性の裸を見せろというわけだ。
 ちなみにこの温泉、男湯の方はあまり人がおらず(というか、男性客もあまり来ず)、比べると雲泥の差らしい。
「……まあ、いつもの通り。ビルシャナらしい主義主張なので、皆さんもこれに反論してとっととやっつけちゃってください」
 セリカもまた、慣れた様子でそう告げる。その口調には『こんな事に慣れたくない』的な願望が伝わってくるが。

 で、今回のフラミンゴなビルシャナ。本人の主張はともかく、『能力』は、経文と浄罪の鐘、清めの光。
 そして、引き連れている十数名の信者連中はほぼ男性。
 女性の方は約2~3割程度。見た目は普通。
 逆に、8割近くを占める男性信者連中は、その姿も色々残念(体格的、見た目的、衛生的、欲望ダダ漏れ的、その他もろもろの意味で)。
 そして信者たちは、色々ともっともらしい事を口にしてはいるものの、要は『異性の(特に若くかわいい女性の)裸を見たい!それもナマで!』『そのために混浴以外認めんですが何か?』という理屈。ちなみに、彼ら彼女らは、入浴時のように腰(および胸)にタオルを巻いた状態。
 だが、同時に男女ともにヘタレっぽいとこがあるようで、特に男性信者は、実生活では普通に手を握る事すらでき無さそうらしい。襲い掛かる時、朱里に『触るな腐れ外道のDD!』と言われたら、『どどど、DDちゃうわ!』とほぼ全てが挙動不審になり、あからさまにうろたえたとの事。
「……まあ、DDが何かはここでは言わないでおきますが。そういったところに信者たちを攻略するヒントがあるかと」
 なお、今回は「女湯」が現場であるため、参加者は女性、または『女装しても違和感のない外観の男性』を推奨する、とのこと。
「それで、ですね……まあ、この手の内容ですから、終わったら恐らく、ただでは済まない事態になると思いますので、その辺りもまた、お覚悟を」
 とはいえ、終わったらラブホ女子会のような、温泉女子会をして帰宅しても良い、との事。要は泊りがけで、温泉の食事に酒や飲み物を食べ放題飲み放題、カラオケし放題、TV見放題(動画配信サービスと契約してるので、アニメや映画など見放題。ついでに成人向けのも)。更には無料のアメニティバイキング(各種バスソルトや、自宅用入浴剤、石鹸やシャンプー、コンディショナーなど)もあるらしい。
「料理は、ハニトーがお勧めのようです。まあ皆さん……」
 毎度のことながら、どうかよろしくお願いします。そう言ってセリカは、君たちに頭を下げた。


参加者
アリア・ハーティレイヴ(武と術を学ぶ竜人・e01659)
ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)
志場・空(シュリケンオオカミ・e13991)
湯上・伊織(ゆがみちゃんは歪みない・e24969)
弓月・永凛(サキュバスのウィッチドクター・e26019)
獅子谷・銀子(眠れる銀獅子・e29902)
エル・ネフェル(ラストレスラスト・e30475)
草薙・美珠(退魔巫女・e33570)

■リプレイ

●心地良い湯の中で、少女は淫らに咲き始める
 桃房温泉。女湯・浴場内。
「んー、いいお湯ですね。気持ちいいです」
 草薙・美珠(退魔巫女・e33570)は、一足早く湯船に浸かり、その暖かさを肌に感じていた。
「……ですが、他の皆さんも、妖魔たちも、なかなか来ませんね?」
 先刻に一緒にお茶してた神様から『この時間に鳥妖魔は現れるのじゃ』と聞いて、それに合わせて入浴したのですが……。
「まあ、いいです。来るまで待ちましょう……」
 そういえばあのお茶、口にしたら、神様が妙ににやにやしていたような……。
 更に、数分後。
「……んっ?……あっ……」
 美珠は、ため息とともに声を漏らした。
「の、のぼせたんでしょうか……んっ……」
 体中が、やたらと敏感になっている。肌に湯が触れているだけなのに……身体が、快感を欲しがっている。
「……み、見てる人、いないですよね……?」
 この浴場は岩風呂、湯船もかなり広い。そして自分が今いるところは、陰になっているため、周囲の一般客からは見られにくい。湯気も濃い。
(「……ちょっとだけ、なら……」)
 自分の胸と、へその下へと……手を伸ばした美珠は。
「んっ! ……くっ……くふぅっ……」
 自分の身体を、愛撫し始めた。

 そこから少し離れた場所にて。
「……お姉様。美珠さん……一人えっちしてます? してますよね?」
 赤くなりつつ、顔を背け……けれどちらちらと、その様子を見ていた天現寺・麗奈(地球人の妖剣士・en0313)は、
「あらあら。美珠さんったら、本当にえっちね。ふふっ」
 後ろから、弓月・永凛(サキュバスのウィッチドクター・e26019)に抱きしめられていた。
 二人は、たった今浴場に入り、湯船に浸かり始めたばかり。
「麗奈ちゃんは? こういうところで『した』事は無いのかしら?」
「し、しません! そ、そんな恥ずかしい事、聞かないで下さいぃ……」
 湯船に口元まで沈み、ぶくぶく言わせつつ顔を赤らめる。
 浴場の洗い場では、
「いい香りの石鹸ね」
 と、獅子谷・銀子(眠れる銀獅子・e29902)が、一般客に混じり体を洗っていた。
「銀子、背中流すよ」
 後ろには、牛柄ビキニの上にバスタオルを巻いた姿の、志場・空(シュリケンオオカミ・e13991)。二人が背中の洗いっこをしている時、別の場所では。
「……今のところは、まだ来てないわね」
 ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)と、
「そうですね。……それにしてもここ。女湯は盛況ですが、男湯の方にはほとんど客が入ってないみたいです」
 エル・ネフェル(ラストレスラスト・e30475)が、警戒していた。
 まだ、今のところは何もない。浴場で二人は客を装いつつ、待機していた。
 そして、美珠は。
「……あっ……あっ! いっ、いくっ……え?」
 絶頂の寸前、
「あの、大丈夫? のぼせたんですか?」
 知らぬ間に近寄っていた朱里に問われ、流石に美珠は自慰を止めた。
「い、いえ。何でもないですよ?」
 何とかごまかし、彼女は夏来の元へ去ったが、
「……だーめーよー、美珠ちゃん。いくらえっち好きだからって、こんなところで一人えっちはやり過ぎよ?」
 近くを通りがかった湯上・伊織(ゆがみちゃんは歪みない・e24969)が、美珠をたしなめた。彼は胸のあたりまで、大き目のタオルを巻いている。
「い、いえっ! あの……って、誰がえっち好きですか! そんなこと……んっ……」
 イケそうなところを中断したため、美珠はややぼうっとしている。
「その……朱里」
 そして、朱里と夏来とが、湯船に浸かりなにやら語らっているその時。
「……来たか!」
 同じく、胸まで大きなタオルを巻いてごまかしていた、アリア・ハーティレイヴ(武と術を学ぶ竜人・e01659)は、
『なぜ混浴じゃない! 至高なるは混浴温泉!』
 浴場に入り込んできた、ビルシャナとその信者たちの襲撃を知った。

●気持ち悪い鳥ととともに、欲望の者たちが現れる
『男女平等が叫ばれる昨今! 男湯・女湯と分ける事がどれだけ愚かな事か!』
 と、いつも通りにぎゃいぎゃいと騒ぎ始めたビルシャナ。その信者どもは、
『……おおっ、美少女と美女発見!』
 目ざとく麗奈、そして永凛を発見し、向かっていった。
 湯船から上がったばかりの麗奈は、
「きゃっ!」
 その未成熟な身体を覆うバスタオルが、勢いで落ちてしまった。
「麗奈ちゃん!」
 とっさに庇う永凛。しかし、彼女は元から全裸。男どもの好奇の視線が、二人に注がれるのは必至だった。中には、撮影用機材まで取り出す者も。
『……くうーっ、これだこれ! やはり美女と美少女の裸を合法的に見れるのは良い!』
『うむ。故に混浴最高、何か問題でも?』
『混浴だから見ても罪じゃないでござるよ』
 そんな連中の前に、
「……この、馬鹿野郎どもがッ!」
 空が、立ちはだかった。

 別の信者グループは、
『あっちにも美少女発見したんだな!』
『しかもえっち後のような、上気した表情!』
『清楚そうでいいですなあ。ああいう娘の方が、性欲強めだったりするんだよなあ』
 と、美珠を発見。
(「な、何を言ってるんですかっ!」)
 と、反論しようとしたが、頭も、身体も、どこかぼうっとしておぼつかない。……先刻に、イキかけたところを、幼女により止められた事も手伝い、身体が……欲しがっている。それは事実。
 しかし、だからと言って言わせっぱなしになどさせない。すぐに大きめのタオルを体に巻き、立ち上がる美珠。しかし……、
「い、いいかげんに……して下さい! そもそも、温泉を無理やり混浴にしようなどと、そんな邪な妖魔は、退魔師として許しませ……ふえっ!?」
 のぼせているのは事実。そのままふらつき、浴場の床にすってんころりんと尻餅をつき転倒。
「いたた……ん?」
 信者たちの視線の集中を、その身に感じ取り、
「え? ひゃっ! いやあああっ!」
 美珠は気付いてしまった。
 タオルが落ち、全裸になり、両足を開いた格好で尻餅をついている事に。
 つまりは、恥ずかしいところを信者らに見せつけてしまってる体勢に。
 それに興奮した信者どもは、
『もう拙者、辛抱たまらんのだな!』
『清楚ビッチは『とにかくやっちゃえば恋人になる』ってママ言ってた!』
『その裸、もっとじっくり見せてなのだ!』
 と、突進してきた。

『うおおおおーっ! あっちにも裸の美女発見!』
『スタイルがグンバツ! あの白髪と紫の目の彼女はオレのな!』
『じゃあ、あっちの紫髪の子はオレの!』
 やたらチャラ気味の連中が、ミスラとエルへと接近する。
 しかし、
『……って、あれ? アンタまさか?』
『……マジかよ、見た事……あるかも!』
 エルの顔を見て、男たちのざわめきが止まった。
「……エルさん、どうやらこの人たち」
 と、ミスラはエルに耳打ち。
「……ええ、わたしの事を知ってるみたいね」
 それを聞き、確信したエルは。
 にやりと、作戦がうまくいく事、そしてそれにともなうお楽しみを連想した、笑みを浮かべていた。

●心地良い巻き返しで、問題は解決される
「わたしの事ご存じなのね。なら……」
 エルは述べた。『あとで一緒に、男湯の方に皆で入りましょう』と。
「わたしの方から男湯に入るので、皆さんは完全に合法ですよ? ああ、もちろん……」
 このお胸に、太腿、お尻、それに……もっと大事な場所を、見たり、触ったり、それから……、
 扇情的に、足を開いたり、両胸を持ち上げたりと、その身体を見せつけるエル。
『そ、それから?』その様を凝視する信者たちに対し、エルはとどめの一言を。
「……鳥への協力を止めて下されば、この身体好き放題にお楽しみ。もちろん、後でDD卒業もサービスです。そう、DDすなわち、ドエロなどうて」『『『はい! 協力やめます!』』』
 言い終わる前に、止めがさされた。
『……いや、僕は認めん!』『ボクも!』『吾輩もだ!』
 が、数名がそれを拒否している。
「え? じゃあどうすれば……」
『……僕は、こちらのお嬢さんと好き放題お楽しみしたい……あっ』
『ボクもです……あうっ……あ、あんな鳥より、彼女の方が……』
『吾輩も……あうっ!』
 エルは見た。立っている三人の前にひざまずいたミスラが、勃っている三人のアレを、両手と口とで可愛がっているのを。
「あむっ……んっ……ふふっ、こんなに立派で大きいのに、未使用なんて、もったいないわよ……」
 じらしつつ、ミスラは離れた。
「じゃ、後でエルさんと一緒に、男湯にね?」
『『『はい!』』』
 と、あっさり堕ちた信者たちであった。

「やめんか馬鹿もん!」
 美珠へ突進してきた者たちへ、銀子が立ちはだかると、
「当身! 当身! 手加減した当身!」
 と、ドガバキという音を大きく響かせ、当身を食らわせた。
「たとえ混浴でも! いやらしい視線を向ける人と、一緒に入れるわけないでしょ!」
「そうよね。裸を見るのが混浴の目的じゃないでしょ? 美珠ちゃんの裸見ていいのは、モブのDDじゃなく私だけ、だからね?」
 銀子に続き伊織が、美珠に甘く囁きつつ、タオルで彼女の身体を隠す。
「あ、伊織、さん……んっ……。あ、あの……あっ」
 美珠はまだ、ぼうっとしている。
『百合! 御馳走様なんだな!』『百合の間には挟まるべきってパパ言ってた!』『み、見てるだけでもたまらん』
 その様子を見て、残念さを増す信者たち。しかし、
「あのさ。混浴してもいい相手なら、一緒に入るのは問題ないと思うよ? けど……」
 アリアが割り込んだ。
「けど、嫌がってる相手に、そんなことして傷つけて、一生癒えない心の傷を与えたいなら……止めはしないよ」
 そもそも、後ろのエロ鳥は、相手の事を一切考えない奴だし。殺意とともにそう付け加えると、そいつら皆視線が上の空。
 伊織はそんな彼らに、美珠をぎゅっと抱きしめつつ見せつけ、
「で? 私の美珠ちゃんを見たり触ったり、襲ったりしたいって言ったの、誰かしらー? それをしていいのは、『私だけ』だからねー? アンタたちも、まずは彼女作りなさいっての」
 そう、言い放った。
『う、うっさい! そもそも女同志など不自然! おめーにも男を教えてやる……』
 とか信者の一人が言い出した所に、伊織とアリアのタオルが、はらり……と落ちた。
「あらっ、落ちちゃった」
「おおっと」
『『『……え?』』』
 二人の股間に、信者らは注目。
「夏来! あの子たち、『ついてる』!」
「な、何見てるの!」
 避難途中だった朱里と夏来は、それを目撃。そして、
「すごいよ! 見た目美少女なのに、あのおっさんたちよりおっきい!」
 その言葉に、信者たちは全員が崩れ落ち、無力化したのだった。

「この、馬鹿野郎どもがッ! 混浴にしたらどうなるかわかるか!」
 永凛と麗奈に向かってきた信者たちに、空が言い放つ。
「若いおねーさんは基本混浴なんか一人で行かないんだよ! 居てもカップルだ! おばちゃんだ! おじいちゃんだ! というわけで若い女目当ての人は全部混浴! なんて行っちゃダメ!」
 空のその正論が、信者たちのあやふやかつ希望的観測を打ち砕き、
『な、なら、美少年やショタなら……』と言い出した女性信者には、
「女側もだ! お母さんに連れられる子も、混浴だったら親が行かないし、当然美少年も来ないわ!」
 と、一縷の希望っぽいものも続いて打ち砕いた。
「……あなた達、『ワニ』って知ってるかしら?」
 そして、永凛が。麗奈を背後に言い放つ。
「これは業界用語でね、ワニみたいに『目から上だけを水面上に出して、裸の異性を狙う、マナーの悪い客』の事を言うのよ」
 それで……と、言葉を続ける。
「『ワニ』が出る事で、混浴が廃止される温泉が後を絶たないらしいわ。『ワニ』だけじゃない、カメラの小型化、防水機能の進化で、『盗撮』の被害も多いそうよ。……あなたたちは、どうかしらね?」
『そ、それは……』『そ、その……』
 しどろもどろな返答の中、永凛は更に述べた。
「……『マナーの悪い客』ばかりが来るようになったら、噂はすぐ広まり、温泉にお客は来なくなる。そうすれば、温泉そのものが経営難で潰れてしまう。本末転倒じゃなくて?」
『……』
 もはや、勢いも無ければ、返答も無い。
「……全く。異性の裸見たけりゃ、彼氏彼女を作んなさいっての」
 その空気を払拭せんと、空が進み出た。
「ほら! そこのアンタ、身体をもっと鍛えればよくなるわよ。アンタも、眉毛整えれば今よりカッコよくなるわ。そこのアンタも、中途半端なハゲより、スキンヘッドの方がクールよ……」
 彼女のアドバイスを、放心しつつ聞いている信者たち。
 永凛はそれを見て確信した。彼らは既に、『元信者』になっていると。

『おい! 同志たちよ、何をしておる?』
 やがて湯煙の中から、今回の騒動の原因たる鳥が進み出てきたが。
「気咬弾!」『ぐえっ!』
 永凛から一撃を食らい、
「以下略! ぶっ飛べ!」『ドゥフッ!』
 銀子から、『術紋・獅子心重撃(ジュモン・レオンハートインパクト)』でぶっ飛ばされ、
「前略、最期ですのでよくご覧になってから、と♪」『んむううっ!』
 顔面騎乗したエルの、『陰陽有頂昇天波(コイカ・トエ・ハカ)』を受け、
『わ、我が死すとも、混浴死なず……』
 浴場の中心部で、息の根を止めるビルシャナであった。

●気持ちよい事後の女子会で、淫らな花が狂い咲く
 かくして、事態は収束。
 後始末を終え、ケルベロス達は、それぞれの『お楽しみ』に勤しむ事に。
「……『桃房温泉』男湯から、リクエストに応える様子を、生配信してまーす……ふあっ!」
 全裸で、両足を左右から抱えられたエルは、
 じょぼじょぼ……という音とともに、桶に黄色い液体を溜めていた。
「はぁ、はぁ……お次は……え? ちょっと臭うかなー」
 んっ……と、力んだ彼女は、お尻から……時間をかけて、ゆっくりと『それ』をひり出した。
「……えー? このまま続けて? 今度は浣腸?」
「リクには応えなきゃ」「はい、浣腸!」「イチジクと浣腸器、どっちにするー?」と、元信者らが用意する。
「……ふふっ、皆さん、後で全員三穴同時DD卒業させてあげますね♪」
 エルはそう言って、画面と周囲に微笑んだ。
 そして、男湯の別の場所では。
「あんっ……卒業、おめでとう……あああっ!」
 ミスラの中に、先刻の三人が、かわるがわる入れていた。
 エルの方にいた元信者の男たちも、数人がこちらに来ている。
「中で……ザラザラ……わかる、わ……あんっ!……こ、このまま、中に出してっ!」
 かわるがわる、男たちは、ミスラの中に、外に、前後と口、三つの穴に同時にと、男たちの欲望を受け入れ、快感を受け入れていた。

「ひゃっほー! 広いわー。それに、でかいベッドサイコー!」
 温泉の宿泊施設。その一番広いロイヤルルームにて、空は部屋の奥のキングサイズベッドに転がっていた。
 10人用の女子会ルームらしく、かなり広い。部屋の中央にはL字型のソファとテーブルがあり、既に注文した酒とつまみが並んでいる。
「うん。この料理、なかなかね」
 銀子はそれらを口にしつつ、つまみも口に運ぶ。
「アメニティのバスソルト。種類有るから、後でこの部屋のお風呂で試してみるかな」
 空はそのまま、ドリンクをぐっとひと飲み。
 永凛と麗奈は、ハニトーを口にしている。
「麗美さんたちが参加できなかったのは、残念ね」
「でもその代わり……お姉様を独り占めできますし♪」
 そんな麗奈に、永凛はハニトーのシロップを、煽情的に指に付け、ぺろりと舐め……、
「ハニトーもいいけど……私は、麗奈ちゃんからの快楽エネルギーの方がいいわね。あとでたっぷり、いただくわね?」
「えっ? ……も、もう。恥ずかしい事、言わないで下さい……」
 恥じらいつつも、麗奈は。
「えへへ……♪」と、嬉しそうな笑みが止まらない。
 別室では、
「あんっ! あんっ! な、夏来……気持ちいいよぉ……あっ!」
「朱里……朱里……あひぃっ!」
「二人とも……可愛いよ……」
 アリアが、朱里と夏来、二人と楽しんでいた。
 白濁液にまみれた彼女たちは、数度目の絶頂の後、
「……アリアちゃん、いや、アリアくん? さ、もう1ラウンド!」
「もっと……して?」
 すぐに復活し、おねだりを。
(「やれやれ、女子会には参加できないかな」)
 そう思いつつ、アリアは……二人へと向かっていった。
 その隣の部屋では、
「あんっ! あんっ! あああっ! あーーーっ!」
「はあっ……はあっ……ふふっ、今夜は、寝かせないわよん?」
 何度目の絶頂か。伊織と美珠は、湯船付きの個室にて、愛し合っている最中。
 じらされ続け、身体が疼き、お預け状態だった美珠は。
 自分から積極的に、伊織を求めていた。
「ふふっ、美珠ちゃん、かわいいわ……んっ!」
「もっとぉ……もっと、気持ちよくぅ……して、くらさぃぃ……」
 もはや、美珠は快楽を貪る、淫乱の化身と化していた。伊織を咥え込み、放さない。
 伊織は、自分が『搾り取られる』のを感じ……、
「もっとぉ……もっとぉ……」
「ちょ、ちょっと美珠ちゃん……少し、休ませて……あああっ!」
 その懇願は聞き入れられず、次の日の夕方に目覚めた伊織は、
 たまったものが空っぽになり、肉欲と魂が抜けきった、強制禁欲状態を数日間味わう事になるのだった。

作者:塩田多弾砲 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年2月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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