慟哭の銀狐と拳交える者たち

作者:塩田多弾砲

 西海大学。
 その第二キャンパス、女子剣道部の武道場。
 そこは今、閉鎖されていた。去年の十月に起こった、とある『事件』から、人が近づかなくなってしまったのだ。
 その『事件』とは、凄腕の剣士のエインヘリアルが出現し、ケルベロスが『暴走』するのと引き換えにして、倒した……というもの。
 そして、三ヵ月ほど経過した、現在。
 西海大第二キャンパス近くの、閉店した巨大ショッピングモールにて。
 そこはかつて、近隣住民の買い物の場となっていたが、経営難から閉店。建物や施設は取り壊しの資金もないため、しばらく放置されていた。
 ある日の夕方。モールの駐車場には、重機を運び込んだ工事関係者たちの姿が。
 彼らは取り壊しの業者で、その日は使用する重機の搬入を予定していた。
 近くには、小さなプレハブがある。仮設の事務所で、2~3人がそこに泊まり、明日に解体工事を始める予定だった。
 が、重機の搬入の開始直後に、人影が現れた。
「なんですかアンタは! 危険だから下が……ぎゃああっ!」
 その場にいた全員に、そいつ……その銀髪の『人影』……狐耳の『彼女』は襲い掛かった。虚空から『鎖』を放ち、捕縛して投げ飛ばし、締め付け、手にした刀で切り付ける。
「『鎖縛の狐』……シルバーフォックスが……今、……行きます……お母様……」
 彼女は、ぶつぶつと呟いている。その頭からは狐の耳が、尻からは尻尾が伸びていた。
「……ケルベロスを、全部殺して……お母様を……」
 呻き続ける工事の作業員たちを尻目に、
 彼女は、どこからか『鎖』を放ち、建物へと放った。
 巨大な3~4階建ての建物も、重機を用いる事無く……壊していく。
 破壊の限りを尽くした彼女を見つつ、怪我を負った現場監督は……気を失った。

「……それで、建物は壊れちゃったのね」
 予見では、モール自体は、更地になってしまっている。
 そう、暴走したシフカ・ヴェルランド(シルバーフォックス・e11532)は、西海大第二キャンパス武道場でエインヘリアル『ソードステッパー』と戦い、暴走する事でそいつに辛勝した後……姿をくらませていた。
 おそらくは、この閉店し閉鎖したモール内部に入り込んでいたのだろう。その内部で、休眠状態になっていたが、じきに目覚め……暴れまわるだろう。そうなると、モールの数棟が破壊され、工事の作業員数名が襲われる程度では済まないに違いない。
 シフカ・ヴェルランドは、異空間に続く穴『地獄門』を開き、内部から鎖を放つ螺旋忍法を用いる。彼女をケルベロス側に戻すには、弱体化させて、必要ならば交戦し、正気に戻すしかない。
 戦場はおそらく、閉鎖されたモール内。取り壊しが決定しているので、気兼ねなく存分に戦闘は可能。内部は吹抜けのホールと、各階に部屋があるが、ほとんど空で広い空間が広がっている。戦いには支障はないが……気を付けないと、天井が崩れたり、床が抜けたりするかもしれないので、その点は要注意。
 だが、弱体化させない事には、こちらが不利。
「で、どうやってそれをするか、だけど」
 ねむが言うには、今の彼女は『ケルベロスの憎悪』で満ちている。それをなんとか薄れさせねばならないとの事。
 既に死別した、『捕縛の狐』ゴールドフォックス。
 彼女は、シフカにとって師匠であり、愛情を注いでくれた『お母様』。今なお愛している彼女を失った悲しみを、シフカは『ケルベロスの使命感』で和らげていた。
 だが、暴走した事で、悲しみの感情が爆発。それが『ケルベロス全体への憎悪』に転じてしまったのだ。
「……『お母様』のことを聞くと、憎悪は強まっちゃうのね。だから……」
 口づけをしたり、ハグしたり、優しく撫でたりと、そういった『愛情表現』を用いて、シフカへの想いを語ると、憎悪が薄れて弱体化する、という。
「暴走しちゃったシフカさんだけど、このまま放っておいたら、被害が出ちゃうの」
 そう、ねむの言う通り。ただでさえ彼女は、シフカは優秀なケルベロスであり、戦士でもある。そんな彼女を放置すると、どれだけの被害がでるか分からない。
「……もしもシフカさんがこのまま暴れたら、建物一つがこわれるだけじゃ、すまないの。ひともいっぱい……『死んじゃう』とおもうし、シフカさん自身も……」
 そこから先は、言わずもがな。そうなる前に……、
「そうなる前に、シフカさんを止めて、正気に戻してあげてほしいの。うまく、シフカさんの弱点を突く事が出来れば、有利に戦えるかもなの」
『憎悪』に、憎悪で向かってはならない。憎悪を消す事は出来ずとも、それと同じくらい、あるいはそれ以上の『愛情』を、彼女に思い出させる必要がある。
 それができるのは、ケルベロスだけ。それも、彼女に近しい者たちならば更に効果は高まるだろう。
「……シフカさんを見つけるのが遅くなって、ごめんなさいなの。どうか……シフカさんを、助けてほしいの」
 最後の言葉は、ねむ自身の本心。これを聞いた君たちは、するべき事を即座に認識し、それを実行すべく心を新たにした。


参加者
ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)
叢雲・刃心(セイクリッドセイバー・e29861)
雑賀・真也(英雄を演じる無銘の偽者・e36613)

■リプレイ

●深淵に迷った者
「…………」
 剣術を極めた敵に、二刀流で向かっていった。
 その結果は、一刀も入れられず、不様に敗北。それが、この俺だ。
 雑賀・真也(英雄を演じる無銘の偽者・e36613)が自嘲気味に、前の戦いの事を思い起こしていた。
 敵の力量を見極められずして、何が戦士か。まだまだ……俺は未熟者。
 その敵は、シフカが倒してくれた。故に……俺が助けねばならない。彼女一人を助けられずして、多くの人々を助けられるわけがない。
『礼』だけではない。これは、俺にとってのけじめでもある。故に……、
「……必ず、助けてみせる」
 彼の視線の先には、キープアウトテープを張る女性が一人。
「……ヨシ! 人除けヨシ、テープもヨシ、あとは……」
 指差し確認し、ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)はモール内へと目を向ける。
「後は……彼女を助けるだけ、ですね」
 ミリムの言葉に、
「ええ。まったく……世話が焼けるんだから」
 ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)がうなずく。
「待ってろよ。深淵の中をさまよって、出口が見つからないなら……俺たちが導いてやる。未来と愛が待つ出口にな」
 やや歯の浮く叢雲・刃心(セイクリッドセイバー・e29861)の言葉だが、その心情は四人とも同じ。
 頷き合うと、彼らはモール内へと歩を進めた。

 廃墟だから当然ではあるだろうが、モール内は『空虚』だった。
 かつて人が行き来する場所だったのが、今では人の気配など微塵もない。うつろな人間の心象風景としては、これ以上になくぴったりと言えるだろう。
 時刻は、夕刻。夕日の赤色が、室内を染めていく。
「二階……クリア」
 先頭に立つ真也は、仲間たちより先に、周囲を見て、確認しつつ先へ進んでいた。
 このモールは、吹抜けの中央ホールに、四階建ての棟が放射線状に建っている。
 彼らが入ったのは、ホールの中央にある入り口。そこから吹抜けの周囲にある階段を上り、二階まで上がったが。
 現時点では、人の気配はない。三階に登った彼らは、
「!?」
 コトっ、と、物音を聞いた。
 それは、棟の一つ。ホールから続く奥の方から聞こえてくる。
 無言のまま、真也は指示を出し、
 後続の三人も、それに従った。
 そして、三階に登り、棟へと歩を進めると。
『彼女』が、そこに居た。

 そこは、かつては『売り場』だった。多くの商品が並び、人々の日常生活を支えるための場所として、在り続けていた。
 現在は、売り場であった面影はない。ただ大きく広いスペースがあるのみ。
 薄暗い、広い部屋の片隅に。
「…………」
 うずくまっているシフカが、いた。銀狐の耳と尾を持つさまは、神代からの狐の化身か化生かといった面持ちだが……整ったその顔は、やつれて、生気が無かった。
「う、ううう……」
 ぶつぶつと呟く彼女は、虚空から『鎖』を伸ばしつつ、幽鬼のように立ち上がった。
「シフカ、なのか?」
 刃心が声をかけ、
「……まったくもう、世話のかかる人ですねっ!」
 ミリムはわざと呆れた口調で、
「ようやく、見つけたわよ。このままお別れなんて、させませんから!」
 ミスラは安堵を隠さず言い放つ。
「…………」
 真也は彼女を目の当たりにして、声をかける事が出来なかった。
「……やっと、会えたな」
 時間をかけて、声をかける。十秒もかかったのだ。
「もう少しの辛抱だ、待っていろ」
 しかし、かつての仲間、友人たちのその言葉に対し、返答のない事を返答としたシフカは、
 殺意とともに駆け出した。

●深淵に飲み込まれし者
『こうなる事』は、最初から想定済み。
 ゆえに、攻撃してくるシフカに対し、四人は、
「いくぞ!」
 事前に話し合っていた行動を取った。さながら整備が行き届いた機械のように、無駄なく動くケルベロス達。
 怒れる野獣のように、血に飢えた魔物のように、まさしく野生の獣、野生の狐のように、
 シフカは、『吠えた』。
 慟哭めいた咆哮とともに、虚空から『鎖』を放つ。放ちつつ……首を掻っ切るように掴みかかってきた。
 ケルベロスたちは一瞬だけ、ほんの一瞬だけ『動揺』し、その動きを止めたが。
 一瞬素早く進み出たミリムは、
「はーっ!」
 携えた槍、『崩天槍・ホワイトローズランス』からの突きを放つ。稲妻突きは、シフカにヒットはしたものの……歯牙にもかけてはいない。
「十八番の鎖なら……」
 続き、具現化した暗黒の鎖が、シフカの鎖へと絡みつく。鎖と鎖が、交わり絡まり合った。
「……こちらも、負けませんからね!『暗黒縛鎖』!」
 ミリムの鎖が、シフカの鎖を捕縛し、シフカ自身をも捕縛した。
「まずは……落ち着かせなきゃあな!」
 続き、刃心が責める。鎖で動けぬ彼女へと、狙い定めた流星の飛び蹴りを放ち、
「!!」
 再び、シフカへとヒット。
 スターゲイザーの直撃が、彼女に膝を付かせる。
「……『報復には許しを 裏切りには信頼を 絶望には希望を』」
 その間、放たれるは『歌』。
 ミスラの口から朗々と響くは、
「……『闇のものには光を 許しは此処に、受肉した私が誓う』」
 救いを求める者、救われぬ者たちへ紡がれる、祈りの言葉。その名も、
「……『この魂に憐れみを』」
 祝福の歌が、ケルベロスらに耐性を与える。
 が、それ以上の呪詛なのか、シフカは強引に自身を拘束する鎖を引きちぎり、咆哮とともにとびかかった。
 虚空からは新たな鎖が、獲物の首を刎ねんばかりに襲い来る。
「シフカ!」
 その目前に立ちはだかるは、真也。彼の目に映るは、荒れ狂うシフカの顔。そして彼は悟った。
 全力全開で、俺の首を獲りに来ている、と。
 いいだろう、ならば……、
「……絶対的な神の盾よ。我が力を糧とし、全てを弾き返せ! ……これが俺の持ち得る『最強の盾』だ。これで……」
 真也は、己が右手をかざし……光り輝くシールドを顕現させた。
「これで……お前の攻撃を受け切ってみせる! 『絶対的神盾(アブソルート・エイジス)』!!」
 展開した12の光盾は、古代ギリシアの英雄が用いていた、熾天覆う花弁の盾がごとく。シフカの攻撃を受け……霧散していき、虚空からの鎖の攻撃は相殺した。
 が、シフカの勢いは止められなかった。
 シフカのタックルを受け、そのまま押し倒され……、
「ぐっ! はあっ!」
 獣が如き張り手と引っかきの連打が、真也を襲った。爪が彼の顔を、肩を、胸を、腕を掻く。ダメージとともに、心に『痛み』が刻み込まれる。防御も間に合わない。
「……お前が受けた苦しみ……。それを想えば、この程度……痛みになど入らない!」
 だが、そのダメージは真也の意識を失わせつつある。
「シフカ! 正気に戻れ!」
 刃心のスパイラルアームを受け、シフカは飛びのき、再び身構えた。
「ほらっ! 落ち着きなさいっての!」
 刃心に向かおうとしたシフカへ、ミスラのレゾナンスグリードが襲い掛かった。ブラックスライムが広がると、そのまま彼女を包み込む。
 その間に、ミリムが、
「生者の、『癒す教え』を授けます!」
『コルリ施療院の紋章』、分け隔てなく治療を施した、施療院の紋章からの治癒の力で、想定以上のダメージを食らっていた真也を癒す。
「……すまない、恩に着る!」
 再び立ち上がった真也だが、
 彼の目前では、黒い粘液を『鎖』で破るシフカの姿があった。
『ガァァァぁッ!』
 咆哮し、そして、
「なっ……!?」
「なんだっ!?」
「え、ちょっと!?」
 真也、刃心、そしてミリムは。
 自身の足下に地獄門が開き、『鎖』が伸びて引きずり込むのを『悟った』。
『デザート・サンド・ヘルゲート』
 それに続き、三人は『悟った』。
 地獄に引きずり込まれるのは、時間の問題だと。

●深淵から引き揚げられた者
 だめか……。
 三人が、絶望に片足を突っ込んだその時。
「いい加減……落ち着きなさいっ!」
『喰霊殲神剣』、ミスラの二振りの喰霊刀、虚空の双牙の双刃が、シフカに決まった。
「あなたは私の『戦友』! 戦友が仲間に、こんなことしていいんですかっ!」
 それに……と、一息入れて、
「それに! 時折あなたからは、エッチな悪戯も『されて』いるんですよっ! 愛情がある相手だからこそ、そんな悪戯も許してました! そう! 確かに、私は……」
 貴女に対して、『確かな愛情』を感じていました。
 その言葉を聞き、シフカは戸惑いつつ……その動きを止めた。
 それとともに、ヘルゲートの吸引が止まり、三人は鎖から逃れる。
『うっ!? う、ぐるる……ッ!』
 混乱している、シフカの表情。その隙を狙い、
「……っ!」
 ミリムが、シフカへと抱きついた。
『う、うがああっ!?』
 引き離さんとするシフカだったが、
「……あなたのような、歩く破廉恥でも……近くに居ないと、それはそれで、少し寂しいんです」
 ミリムは優しく、抱きしめ、その頭を撫で、その額に口づける。
「以前のあなた、いつものあなたに、戻って下さい」
 と、ミスラも声をかける。
「……手籠めにした責任を取ってもらう……なんて言うつもりはありませんが、このままやられっぱなしのままお別れなんて、くやしいし、寂しいじゃあないですか」
 ミリムと、ミスラの言葉を受け、
 シフカは荒い呼吸で、その動きを止めた。
 抱きしめられ、『鎖』を出す事もなく、動かずにいる状態。
 そんな彼女へ、刃心がミリムとともに、自身の胸を押し付け、抱きしめ……語り掛けた。
「思い出してくれ。お前の周りには、沢山の仲間がいる。お前を待っている人がいるんだ」
 刃心は、己の胸……地獄化した心臓を押し付ける。その熱が伝わったのか、
 シフカが、反応した。
「そうとも。何より……お前はこんなにも柔らかく、温かい。もし悲しみの涙がそれを凍らせるようなら……俺の炎で融かしてやる」
 シフカの目をじっと見つめた刃心は、
「……だから帰って来いよ。俺達のところへ」
 そう言って、優しく口づける。
『う、うう………』
 それでも、何か迷っているようなシフカに。
「シフカ……ここまで本当に辛かったろう。もう、大丈夫だ」
 真也の声が、その迷いを消さんとばかりに語り掛ける。
「助けるのが遅くなって、本当にすまなかった。今は、君を想うみんながいる、この場には、俺を入れて四人だが……君の帰りを、もっと多くの皆が待っている。だから……」
 彼の手が、シフカの頭を優しく撫でた。
「だから、帰ろう。ここは君には……寒すぎる」
『…………』
 項垂れたシフカに、
「まあ、その、偶に会う仲でも、割と、ほんとに『割と』好きな方なんですから、偶になら、本当にたまーになら、こうして甘やかしてもあげますから」
 照れるように、ミリムが言葉をかける。
「……いつもの調子に戻ってください」
 しばしの沈黙が、その場に漂い、
「……ただい、ま」
 やや弱々しいが、シフカの声が、三人の耳に響いた。

●深淵より戻りし者
「みんな、その……ごめん」
 正気に戻り、大きめのタオルを肩にかけられたシフカに、
「気にするな。当然のことをしたまでだ」と、真也。
「ああ。言ったろ? お前を待っている人がいるんだってな。まずは……ゆっくり休め」彼に続き、刃心も言葉を重ねる。
「……うん。みんな、ありがとう」
 安堵のため息が漏れる。疲労の色はあるが、どうやら正気に戻ったようだ。
「それに、君はこれからが大変だぞ」
「大変?」真也の言葉に、首をかしげるシフカ。
「留守の間に、君の帰りを待っていた人たちから、戻ってから色々と言われるし、何かされるだろうからな。覚悟しておきたまえ」
「……う、うん」

 そして、数刻後。モールの一角、
「ところで、シフカさん。『約束』を忘れた、とは言わせませんよ?」
 ミリムがそう言った事から、『何かされる』という真也の言葉を、思い知らされる事態に。
「……約束? 何だったかしら」
「ええ。魔法少女コスと、園児コスをする『約束』です」
 戻ったらしてもらいますよ、そう続けようとしたその時。
「私からも……勝手にいなくなって、心配かけた罰です」
 そう言いつつ、ミスラは。
 部屋の片隅に積まれていた、梱包材のベッドに。シフカを押し倒した。
「え? え? ……ひゃあんっ」
 そのままラバースーツ越しに、ミスラの手がシフカの股間部を包み込み愛撫しはじめる。
「な、何を……ああっ!」
「言ったでしょ? 心配かけた罰って。……ああ、もったいない」
 濡れてきた股間部に、顔を押し付け、口で、じゅるるっ……と、吸い上げる。
「ああっ! あ、あひっ! や、やめ……んううっ!」
「……はあっ、仕方ありませんね」と、唇を奪い、舌で舌をかき回したミリム。
 勢いに乗ったかのように、シフカの体中を、彼女も愛撫する。
「あ、ああ……やめ……んんんっ!」
「ウェアライダーの私の真似事ですか、このっこのっ!」
 言いつつ、シフカの胸を揉みながら、その狐耳をさわさわするミリム。
「あら、じゃあ私は狐の尻尾を……」
 同じく、ねっとりと尻尾を、お尻を、そのまま撫でまわすミスラ。
 ミスラとミリムに絡まれ、助けの眼差しを刃心と真也に向けんとするシフカだったが、
 男性二人は、姿を消していた。

「……なあ、あの二人に言われて、先に帰れと言われたが……良かったのかな?」
 刃心が真也に問う。ミスラとミリムから『女同士で内緒話があるから』と、先に帰るよう促されたのだ。
「……まあ、あの二人の隣もまた、シフカの『帰る場所』だからな。積もる話も色々あったんだろう。
 真也はそう答えると、空を仰いだ。
 既に日は落ち、星が瞬いている。
「彼女は俺と違って、帰る場所がある。そういう心が温かくなる場所があるのは、ちょっと羨ましいものだな」
 星の瞬きを見つつ、真也は……そんな事を想っていた。

「いやっ! だめっ! で、出ちゃう……あああああっ!」
 絶頂と共に、放尿するシフカ。
 ミスラはそれを口に溜め、含むと。
「んっ……」
 シフカに口づけて、口移しさせた。
「……ほんとに、破廉恥なんですから」
 その様子を見たミリムは、呆れながら、
「……でも、仕方ありませんね。今日だけ、特別ですよ」
 快感に惚けたシフカに、微笑むのだった。

作者:塩田多弾砲 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年2月9日
難度:普通
参加:4人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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