魔導神殿追撃戦~突破せよ、双児宮巨人防衛網!

作者:青葉桂都

●双児宮へと挑め!
 集まったケルベロスたちを見回し石田・芹架(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0117)は口を開いた。
「まずはアスガルド・ウォーの戦い、お疲れさまでした。皆さんのお力でアスガルドゲートは破壊することができました」
 芹架はここで一度言葉を切った。
「ですが、エインヘリアルの残存兵力が、魔導神殿群ヴァルハラの宮殿と共に地上に浮上して出現してしまいました」
 残っていた神殿は3つ。そのうち、第三王子モーゼスが護っていた双児宮『ギンヌンガガプ』について、芹架は語り始めた。
「どうやら双児宮には巨大エインヘリアルを造り出す装置があるようです。巨大エインヘリアルの軍勢が周囲を固めています」
 宮城県仙台市に立つ載霊機ドレッドノート付近で停止している双児宮は、宇宙に向けて謎の電波を送っており、内部ではなにかの作戦が行われている危険がある。
「ただ、双児宮の周囲には巨大エインヘリアルの防衛網が構築されており、この巨大エインヘリアルを撃破してから突入する必要があります」
 幸いなことに双児宮がすぐに動く気配はない。情報さえ持ち帰ることができれば、再突入することができるかもしれない。
 次に、芹架は守りを固める巨大エインヘリアルについて説明を始めた。
「防備を固めるエインヘリアルについては、ユミルの子、獣型巨人、光の巨人の3種が確認されております」
 巨大エインヘリアルの数は少ない。それぞれ単独で哨戒活動を行っている。
「外縁部で1体を撃破すれば、間隙を縫って双児宮に近づくことができるでしょう」
 ただ、外縁部以外にも巨大エインヘリアルが徘徊している。その警戒を回避する行動も重要となるだろう。
 周囲の地形をうまく活用できれば、さらなる遭遇を回避しやすいかもしれない。
 前述の通り、双児宮の戦いでは少なくとも外縁部の敵を1体は倒さなければならない。
「まずユミルの子はかつて佐賀県唐津市にも出現した巨大エインヘリアルです」
 感染した拳や苦痛の叫びで体力を吸収したり、肉片を取り込んで自己回復して守りを固めてくる。
「獣型巨人は北海道苫小牧市で出現したことが確認されています」
 こちらは感染した爪で毒をもたらしたり、角で防具を破壊してくる。苦痛のうめきを上げて自らの攻撃力をあげることもできるようだ。
「そして、光の巨人は、名のごとく光り輝く星霊甲冑に身を包んだ巨大エインヘリアルです」
 巨大な体から毒の光を放つことができる他、近づくだけで毒で蝕む腕を持つ。光で肌を再生し、不利な状態への耐性を得ることもできるようだ。
 どの敵を撃破して接近するかは自分たちで選ぶことができる。チームとの相性がよさそうな敵を選んで撃破するといいだろう。
「巨大エインへリアルはいずれも強敵です。侵入時に倒す1体以外と遭遇すれば、双児宮へたどり着くことは難しくなるでしょう」
 もちろん最初の1体ともなるべく被害を押さえて戦う必要があるだろう。もっとも、守りを固めて慎重に戦うだけだと時間がかかり、他の巨人が増援に来てしまうかもしれない。
「また、うまく巨大エインヘリアルの防衛網を突破して双児宮の入り口までたどり着ければ、そこには魔獣巨人キメラディオスが門番として立ちはだかります」
 山羊の角が生えた人間の頭と獅子の頭、蛇の頭を持つ巨人だ。
「内部には、灰色の剣と甲冑で武装した第三王子モーゼスと、その配下である機械の姿をしたデウスエクスがいます」
 キメラディオスやモーゼスとその配下については戦闘能力が不明となる。また、内部でなにをしているかも侵入してみなければわからない。
「モーゼスを討ち取ることができれば最良ですが、巨大エインヘリアルやキメラディオスの突破した上でそこまで望むのは、難しいかもしれません」
 最後に芹架はケルベロスたちにそう言った。
「ですが、少しでも多くの情報を持ち帰ること……それに、巨大エインヘリアルを生み出す装置や宇宙と交信している装置を破壊することなら、できる可能性があります」
 ケルベロスたち次第だと告げて、芹架は頭を下げた。


参加者
ジョーイ・ガーシュイン(初対面以上知人未満の間柄・e00706)
エレ・ニーレンベルギア(月夜の回廊・e01027)
ルア・エレジア(まいにち通常運行・e01994)
タクティ・ハーロット(重喰尽晶龍・e06699)
霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388)
アデレード・ヴェルンシュタイン(愛と正義の告死天使・e24828)
ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・e63164)

■リプレイ

●獣型巨人との戦い
 宮城県仙台市。弩級ダモクレス・ドレッドノートからもほど近い場所に、エインヘリアルの双児宮『ギンヌンガガプ』は出現していた。
 ヘリオンから降り立ったケルベロスたちは外縁部を徘徊する3種類の巨大エインヘリアルのうち1体とすでに対峙していた。
「この間の戦争じゃあ不完全燃焼だったんでなァ……その分暴れさせてもらうぜ! 一発デケェの行くからしっかり受け止めろよ? ……でぇりゃァァァ!!!!」
 ジョーイ・ガーシュイン(初対面以上知人未満の間柄・e00706)が、鬼神がごときオーラを身にまとい、冥刀「魅剣働衡」を振り下ろす。
 衝撃を受けた巨人は、おそらくは乳房なのであろう胸部のふくらみを天に向けるかのごとく身をそらし、叫び声をあげる。
 禍々しく光る目をジョーイに向けて、敵はジョーイへ爪を振り下ろした。
 その攻撃に割り込んだのは霧城・ちさ(夢見るお嬢様・e18388)だ。同時に、心配性なオウガメタルさんが彼女の体を守って爪の威力を半減させる。
「エインヘリアルとの戦いはいつでも緊張しますわね。ここで決着を付けられると良さそうですの……」
 防犯用爆破スイッチを押すと、カラフルな爆発がケルベロスたちの背を後押しする。
「でかいだけあって、攻撃力はあるみたいなんだぜ。ミミック、きっちりみんなを守っていくんだぜ!」
 タクティ・ハーロット(重喰尽晶龍・e06699)が両手のガントレットで守りを固めながら、自分のサーヴァントのミミックへと呼びかける。
 ガントレットの先端から竜の爪が伸びて敵を深々と切り裂いたかと思うと、ミミックも追撃とばかりに飛びかかった。
「確かにしのぎきれないかもしれないな。だが、先は長いんだ。こんなところでやられるわけにはいかない。風よ、力を貸してくれ!」
 グレイン・シュリーフェン(森狼・e02868)が大自然の力を借りて、前衛の仲間たちの守りを固める。
 守りを固めつつも、ケルベロスたちは攻撃を仕掛けていく。敵が強力なのは確かだが、だからと言ってゆっくりと攻撃を受け流して戦っている暇はないのだ。
 うめき声をあげながら巨人は自らを回復しようとする。
「そなたの邪悪なる野望、その罪科ごと地獄の炎にて燃やし尽くしてやろう!」
 吸魂の大鎌をアデレード・ヴェルンシュタイン(愛と正義の告死天使・e24828)が振り下ろすと、地獄の炎がその身を激しく焼いた。
 相手の罪が重いほど威力を増すという一撃は、巨人の癒しを阻害するほどの傷をデウスエクスへと負わせている。
「なんかクッソ面倒くせェ事になりそうだなァオイ!」
 グラビティを込めたジョーイの一撃が、敵の体勢を崩す。
 巨人の攻撃は激しいものの、ケルベロスたちはひるまない。
 ちさやタクティとそのミミック、そしてウイングキャットのラズリらが激しい攻撃を防いでいる。伸びてきた巨人の角がラズリを貫く。
「傷ついたら私がすぐ治しますから。……清浄なる力を秘めし、空の石よ。……神聖なる輝きで穢れを、祓い賜え!!」
 エレ・ニーレンベルギア(月夜の回廊・e01027)が天青石の力を借りて不浄を祓い、自分のサーヴァントの傷を癒す。
 ちさのウイングキャット、エクレアも回復に協力していた。
 反対に、思うように回復しきれない巨人は、うめき声をあげつつも徐々に弱っていく。
 獣型巨人の体が大きく揺らいだ。
 ルア・エレジア(まいにち通常運行・e01994)が持っている猫の手のようなステッキがオカメインコのファミリアへと変化して、獣型巨人の巨体をくちばしで引き裂いた。
「あと一息! ジークリットちゃん、よろしく頼むよ!」
 黒票の青年から呼びかけを受けた時、人狼の騎士はすでに得物を構えていた。
「任せてもらおう! 風よ……邪悪なる巨人を打ち倒せ、烈風!」
 ジークリット・ヴォルフガング(人狼の傭兵騎士・e63164)は体内で練り上げた『グラビティ・チェイン』を刃へと集中する。
 切り上げた武器から放った真空の刃が大地を切り裂き、獣型巨人へと襲いかかる。
 巨人の体が左右2つに分かれ、鈍い音を立てて大地に崩れ落ちた。

●門番キメラディオスを撃て
 最初の敵を片付けたケルベロスたちは、そのまま双児宮へ向かった。
「他のチームと連絡を取ってみよう。これ以上の交戦は避けたいところだからな」
 グレインがマインドウィスパー・デバイスで他のチームと連絡を取って、できる限りの情報を得ようとする。
 今回は、半数以上のメンバーが、身を隠す気流を発生する力を秘めた防具を用意してきている。外縁部への移動中に使っていたし、戦いが終わった今も使っている。
 とはいえ、じっと隠れているつもりはない。
 ジョーイとジークリットがヘリオンから降りるときに得ていたジェットパック・デバイスを起動する。
「ゆっくり近づくなんて、クッソ面倒くせぇことなんてしてられるかよ」
「ここから連戦となるのだろう。これは随分と骨のある戦となるな」
 ケルベロスたち8人の体が浮き上がる。
 さすがに、一気に急速接近するのは危険すぎる。それでも、できる限り空中を急加速して、ケルベロスたちは双児宮へと近づいていく。
「門のところで、戦闘が始まっておるぞ。キメラディオスは1体だけのようじゃな」
 ゴッドサイト・デバイスで入り口の様子を確かめ、アデレードが言う。
 すでに双児宮前での戦いは始まっているようだった。
 先行している何チームかが魔獣巨人キメラディオスと交戦している。
「長期戦になると巨人が来るだろうし、援護したほうがよさそうなんだぜ」
 タクティの言葉に、ルアがハンドサインでオッケーを作る。
 素早い動きから飛ばした礫と幸運の星がキメラディオスを狙う。次いで、無数の結晶が敵の周囲に浮かび上がった。
 竜砲弾と、霊体を集めた砲弾とが敵を打ち、石化の光線が敵を貫く。
 8人だけでなく、他のチームからも遠距離から援護攻撃を飛ばしているようだ。
 遠距離攻撃の技を持たない者は接近を試みるが、それよりも早く門番は倒れていた。
「1体だけで助かりましたね。巨人たちが集まってくる前に入りましょう」
 エレが仲間たちへと微笑みかける。
「ええ。後は、双児宮の中を探索しなくては。アスガルド・ウォーでの戦いから浮上した神殿を捕らえた今、この機会を見逃せませんわねっ」
 ちさの言葉にケルベロスたちはうなづいた。
 他のチームも、内部へと探索に向かうようだ。
 双児宮はその名の通り、2つの宮殿が組み合わさっているかのような形をしている。
 もっとも、2つの宮殿は非対称だ。
 そして、内部は非常に広い。ケルベロスたちは、それぞれのチームで分かれて、双児宮の内部を探索し始めた。

●機械領域
 宮殿の東側は天井が高く、巨人たちの住処であるようだった。
 宇宙へ交信する装置を探そうとしていたチームは、宮殿の西側に散らばって探索を行っていくことになった。
 できるだけ隠密気流をまとい、レスキュードローン・デバイスを囮に使いつつケルベロスたちは探索を行っていく。
「ゲートは破壊し、残りは三神殿を残すのみとなった。漸く我らの悲願であるエインヘリアル共との決着も近いが……。神殿にはまだまだ謎も戦力も多い……」
 アデレードが呟く。
「ゆっくりしてる時間はねェよな。10分くらいで調べなきゃいけねェか?」
 舌打ちをするジョーイ。
「そうじゃな。だが、最後まで決して油断せず、手を抜かず……勝利するべくして勝利をおさめるまでよ! 気をつけよ! 敵が近づいておるぞ!」
 残念ながらモーゼス以外も敵は多数いるようで、簡単に敵の位置を割り出すことはできなかった。
 そして、気流で身を隠しているとはいえ、完全に姿を隠しきることはできない。
 やがて漆黒の装甲に身を包む人型の敵が数体、ケルベロスたちへ接近してきた。
 もっとも、その装甲は通常エインヘリアルが身に着けている星霊甲冑とは明らかに印象が異なるものだった。
「こいつらはエインヘリアル……ではないのか?」
 疑問を抱きながらも、ジークリットが素早く剣を抜く。
 2体の敵は、いずれも機械のように見えた。漆黒のフェイズガードに、それぞれ『ケ』と『オ』の文字らしきものが浮かんでいる。
『ケ』は機械の剣を手にし、『オ』は両拳が妙に大きい。
 言葉を発することなく、敵は問答無用でケルベロスたちへ襲ってきた。
「ラズリ、みんなを守ってください!」
 エレの呼びかけに応じて、彼女の方に乗っていたラズリが素早く前に出る。タクティのミミックもだ。
 機械人形たちの剣と拳を、前衛に飛び出したケルベロスたちが防いでいた。
 獣型巨人ほどの強敵ではないが、ダモクレスたちも弱くはない。
 動きが素早い敵を、グレインが仕掛けた飛び蹴りや、アデレードが放つ竜砲弾が足止めをして命中しやすくしていく。
「ヘッズ・アップ!」
 ルアが大声を出して、敵の動きを止める。
 攻撃の手が鈍った隙に、ケルベロスたちは敵の装甲を確実に傷つけていた。
「これを食べてもうちょっとがんばりましょう、ふぁいとですの!」
「助かるんだぜ。でもできれば美味しいお弁当はゆっくり食べたかったんだぜ」
 ちさが差し出したお弁当をタクティが素早く食べる。
「……清浄なる力を秘めし、空の石よ。…神聖なる輝きで穢れを、祓い賜え!」
 そのちさを天青石の力でエレが癒していた。
 オーラをまとったジョーイの剣が、機械人形を深々と傷つける。
「さあ、笑えよ。全ては夢だったってな!」
 そして、タクティが出現させた結晶をディスプレイに映して、まず『ケ』が倒れた。
『オ』は両腕を変形させて自らを強化してケルベロスたちを襲おうとする。
「剣に宿りし星辰よ、その加護で邪悪なる加護を断ち切れ!」
 だが、ジークリットの剣が敵の構えを打ち砕く。
 グレインのナイフがジグザグに切り刻み『オ』もまた倒れた。
「モーゼス王子はダモクレス技術を利用しているという事だったが、ダモクレスを支配下に置いていたのか?」
 断面からのぞく機械を見てグレインが首をかしげるが、答えは誰にもわからなかった。
 幾度か交戦しつつ、ケルベロスたちは西側の宮殿を奥へ奥へと進んでいく。
 やがて、奇妙なエリアへとたどり着いた。
「……妙な内装になってきましたわね」
「うん。すごくエインヘリアルっぽくないよね」
 ちさに頷いて、ルアが興味深そうに周囲を見回し始める。
「どっちかっていうと、ダモクレスっぽいんだぜ」
 タクティが言った。
 もしも、この中に長面浦でダモクレスの幹部・ジュモー・エレクトリシアンとの決戦に参加した者がいれば、宮殿内部の様子がその秘密基地と重なる印象を受けただろう。
 宮殿内部には明らかに機械的が並ぶエリアがあった。
 ケルベロスたちは、その機械群を調査し始めた。

●宇宙と交信する機械
 まずは、これが目当ての機械なのかどうか、ケルベロスたちは確認を始める。
「なにか情報があるといいんだけどね」
 ルアが面白いものがないかと周囲を見回し始める。
「アイテムポケットを準備してきましたから、資料があれば持ち帰りましょう」
「交信内容や交信先を知りたいな。情報の妖精さんが要約できるような資料があるといいんだが」
 エレやグレインが機械の周囲を探り始める。
「なんにしても、怪しいのは間違いないんだぜ。調べてみようだぜ」
「ああ。だが、あんまり時間はかけられねぇぜ」
 敵陣であることもあり、できるだけ手早くケルベロスたちは調査していく。
 どうやら、これは宇宙との交信を行っている機械そのものではないようだった。
 けれど、その交信内容についての記録らしきものは見つけることができた。この場でわかったことは、交信を行っているその先……。
「――マキナクロス」
 結論に達した何人かの声が重なった。
 双児宮はダモクレスの本星と交信しているのだ。
「つまり、これはこの場で破壊すべき装置だということだな」
 ジークリットが剣を構え直す。
「気をつけよ! 敵が来ておるのじゃ!」
 だが、剣を振り下ろすよりも早く、アデレードが叫んだ。
 飛び込んできたのは、顔に『シ』らしき文字を表示したダモクレス。だが、それより注意を引いたのは、胸のまばゆい輝きだ。
 拡散する光線がケルベロスたちへと襲いかかる。光は周囲にある機械ごと、仲間たちを薙ぎ払う。
「平気で自分たちの機械を巻き込むなんて、どういうつもりですの? ……いえ、もしかして情報を隠蔽するため?」
 敵の動きについて考えながらも、ちさはエクレアに回復を頼んで前線に出る。
 このダモクレスも決して弱い敵ではない。連戦で消耗したケルベロスたちには厳しい敵だ。
 それでも、ちさは回復につとめつつ攻撃を受け止めていた。
「最後まで諦めないようにしましょう。笑顔でいれば、絶対大丈夫です」
「いいこと言うねー、エレちゃん。じゃ、頑張っちゃおうかな。情報はちゃんと持って帰らなくちゃいけないからね」
 風を吹かせて回復しながら呼びかけるエレに、ルアが笑顔を向けた。
 そして、彼はかっこいい革靴で跳躍して飛び蹴りを叩き込んだ。
「先にそちらから壊されたいようだな!」
 狙いすましたジークリットの剣が、ダモクレスの装甲を砕く。
 光が飛び交う機械の部屋で、ケルベロスとダモクレスは激しく戦っていた。
「本当に、平気で自分たちの機械を壊してくるのう」
「そんじゃ、こっちも手伝ってやるんだぜ!」
 アデレードが光と化して駆け抜ける。貫いた敵を、タクティのハンマーガントレットが手近の機械に叩きつける。
「さて、何を狙ってやがるんだかな。相手がどういう出方だろうと、やる事きっちりやるまでだぜ」
 グレインが牡牛座のゾディアックソードをダモクレスへと振り下ろした。
 弱い敵ではないが、それでも敵は1体きりだ。ケルベロスたちを追い込むほどではない。
「ぶっ壊してくれて、手間が省けたぜ。クッソ面倒くせェと思ってたんだよ。こいつはその礼だ!」
 鬼神のごときオーラを身にまとい、ジョーイが冥刀高々と振り上げる。
 大振りの一撃だが、すでにさんざん足止めされているダモクレスに回避する術はない。
 ずんぐりとした体が真っ二つになり『シ』は動きを止めた。
「……改めて壊す必要はなさそうですわね」
「そうだな。少なくとも交信先はわかった。そろそろ撤退しよう」
 交信内容についても知りたいが、機械はすでに破壊されている。見ることができた情報を帰ってから改めて検討すれば、なにかわかる可能性もある。
「はぐれないようにデバイスを使うよ。帰るまでが仕事だからね」
 ルアのチェイスアートデバイスでの援護を受け、ケルベロスたちは撤退していく。
 モーゼスとマキナクロスの関係、そしてその思惑は、今はまだわからなかった。

作者:青葉桂都 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2021年1月4日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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