全裸で泥酔、サイコー!

作者:秋津透

 長野県長野市郊外、山中の山荘。
 例によって一体のビルシャナが、十人ほどの信者を相手に説教……というか絶叫している。
「全裸で泥酔! 全裸で泥酔! 全裸で泥酔、サイコー!」
 喚き散らすと、ビルシャナはそこらじゅうに積み上げてある安価な合成酒の紙パックをばりっと開け、ぐびぐびと中の液体を喉に流し込む。確かにビルシャナは服を着ていないが、例によって黄色い羽毛で全身をおおわれているので全裸という感じはしない。また、いくらアルコールを摂取しても、デウスエクスなので全然酔った状態にならない。
 しかし、周囲の信者……20代後半から50代程度の男性ばかり十人は、全員一糸まとわぬ全裸で、完全に泥酔……アルコールの過剰摂取で潰れている。それでも紙パックの合成酒を啜る者、げえげえと嘔吐する者、大鼾をかいて寝こける者、ぴくりとも動かない者、さまざまだが、普通なら急性アルコール中毒で生命が危険な状態だろう。しかし、ビルシャナ信者として疑似デウスエクス状態になっているせいか、とりあえず全員生きてはいる。
 すると、倒れ伏してぴくりとも動かなかった四十代くらいの信者が、急にむくりと起き上がり、全身を震わせてビルシャナに変身する。
「全裸で泥酔、サイコー!」
 新たなビルシャナは絶叫すると、新たな紙パックの合成酒を開けて一気飲みする。すると、元のビルシャナが心底楽しげに唱和する。
「全裸で泥酔、サイコー! カンパーイ!」
「カンパーイ!」
 二体のビルシャナは、気息奄々の十人、いや、九人の信者を尻目に、紙パックの合成酒を打ち合わせて元気よく唱和するのだった。

「長野県長野市郊外の山荘で、ビルシャナが信者を集めてアルコールを飲みまくっています。周囲に迷惑をかけていないので、今まで発覚しなかったようですが、ついに信者の一人がビルシャナ化してしまうのが予知されました。もはや放置はできません」
 ヘリオライダーの高御倉・康が、なんとも複雑な表情で告げ、プロジェクターに画像を出す。
「山荘の位置はここです。予知された内容からすると、信者は男性ばかり十名。全員、アルコールの過剰摂取で瀕死の状態です。ビルシャナと戦闘になると、彼らは疑似サーヴァントとして使用されるでしょうが、たぶん、手加減攻撃とか何とかいう以前に、何もしなくても起き上がらせただけで死んでしまう可能性が高いです。彼らを助けるなら、山荘から運び出してすぐさま救命処置をするしかないでしょうが、何も対策をせずに運び出そうとすれば、ビルシャナが怒って戦闘になってしまいます。ビルシャナ自体の能力やポジションは不明ですが、特に強い魔力も感じられず、戦闘経験もなさそうなので、皆さんが不覚をとることはないでしょう」
 そう言うと、康はちょっと考えて続ける。
「もしも皆さんが、信者の人たちを助けると決めるのでしたら、私から地元の消防署に聯絡して、救急車を十台、サイレンを鳴らさずに山荘に来てもらうよう要請します。それでたぶん、間に合うでしょう」
 そう言って、康は一同を見回す。
「普通の地球人がビルシャナに変身してしまうというのは、ある意味、最も恐ろしい侵略方法だと思います。できるだけ犠牲を出さずに解決できれば越したことはありませんが、既にビルシャナになってしまった人は確実に退治しなくてはなりません。『ヘリオンデバイス』での支援も可能な限り行いますので、どうぞよろしくお願いいたします」
 ケルベロスに勝利を、と、ヘリオンデバイスのコマンドワードを口にして、康は頭を下げた。


参加者
リーズグリース・モラトリアス(義務であろうと働きたくない・e00926)
若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)
ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣精・e11231)
カシス・フィオライト(龍の息吹・e21716)
瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)
佐竹・レイ(あたし参上・e85969)

■リプレイ

●陽動・救出作戦開始、および一部修正。
「あれ? 山荘って、普通の家と大して変わらない大きさなの?」
 現場に到着した若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)が、山荘と、召喚したレスキュードローン・デバイスとを見比べて唸った。
 レスキュードローンは必ず「八人程度を運搬できる」ので、だいたい八畳間ぐらいの大きさはある。なので、屋内で運用することは普通できない。
 めぐみは、瀕死の信者をレスキュードローンに乗せて運び出すつもりだったが、これは物理的に無理がある。
 そして、ヘリオライダーが要請した十台の救急車は、既に山荘敷地内に到着しており、最初に降下したハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣精・e11231)に、救急隊の隊長とおぼしき男性が走り寄ってきて告げる。
「こちら、草原田タケシ氏所有の山荘に、急性アルコール中毒で瀕死状態の要救護者が十名いるという連絡を受け、出動して参りました。ただ、山荘の中にはデウスエクスのビルシャナがおり、ケルベロスの方々でないと対処ができないと聞いております。どうか、ご指示お願いいたします」
「うむ。こちらこそよろしくお願いする。私たちは二手に分かれ、まず私ほか四名が正面玄関から入ってビルシャナへの対応を行う」
 淡々とした口調で、ハルは救急隊長に告げる。
「そして他の者が裏口から入り、先行隊の対応状況に応じて、要救護者の搬出を行う。……あくまで状況次第だが、搬出そのものは救急隊の方々にお願いすることになるかな?」
「え、ええと、それは……」
 ハルから話を振られ、レスキュードローンで搬出をするつもりだっためぐみは口籠る。
 すると、救護側のメンバーの一人で、最年長のカシス・フィオライト(龍の息吹・e21716)が穏やかな口調で告げる。
「そうだね。救急隊員の皆さんにお願いした方が、迅速で確実な救助ができると思う。もちろん、ビルシャナが動いた時のために、俺たちが護衛と警戒を務めるよ」
「そうだな」
 ハルがうなずき返し、救急隊長も納得した表情でうなずく。
 そして、カシスは憮然とするめぐみを横手に連れて行き、小声で訊ねる。
「山荘の持ち主、草原田タケシさんって、知ってる?」
「もちろんよ。国民的アイドルと言われたグループのメンバーだもの。……全裸泥酔事件起こして、芸能界から追放されちゃったけど」
 めぐみが応じると、カシスはうなずく。
「やっぱりそうか。……それから、忠告しておくけど、一般人にヒールグラビティ使っちゃダメだよ。効果が強すぎて、治癒するどころか身体がぶっ壊れる」
「え?」
 瀕死の信者をサキュバスミストで癒すつもりだっためぐみは、文字通り目が点になる。そしてカシスは、軽く肩をすくめて告げる。
「俺たちは地球人じゃないし、ましてケルベロスは規格外存在だ。地球人の救護や治療は、可能な限り、地球人の専門家に任せておいた方がいいよ」

●陽動一:妙策(偶然に)発動。
「では、作戦開始だ」
 そう言って、ハルは先行陽動側のメンバー、リーズグリース・モラトリアス(義務であろうと働きたくない・e00926)ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)佐竹・レイ(あたし参上・e85969)の三人を引き連れ、山荘の正面玄関口へ向かう。
「……鍵は、かかってないようだな」
 厚く重い玄関扉の取っ手を回し、ハルは慎重に引き開ける。すると中から酒臭い熱気が、むわっと溢れてきた。
「うわ……」
 これだけ暖房してりゃ全裸でも凍死はしないでしょうけど、脱水症状必至じゃないですか、と、唸りながらミリムが突入する。
 その後にレイ、リーズグリースが続き、最後にハルが入ってドアを閉める。
「おや、お客さんかい?」
 ホールの奥から、合成酒の紙パックを手にしたビルシャナが緊張感のない様子で進み出てくる。
 しかし続くビルシャナの言葉で、ケルベロスたちの側に緊張が走った。
「おや? ビルシャナのオレを見ても、驚きも逃げもしないのか。もしかして、オレのこと殺しに来たケルベロスかい?」
「んなことは、どーでもいーんです!」
 本当はちっともよくないですけど、と、自己突っ込みしながらも、ここはとにかく勢いだ、と、ミリムは持参した風呂敷包みを開けて数本の酒瓶とコップを並べる。
「酒を飲むのがそんなに好きですか。それなら私と飲み比べで勝負していただきます!」
「そりゃ、あんたみたいな美人から誘われればいくらでも付き合うけどさ。勝負にはならないよ。オレ、デウスエクスだから酔わないもん」
 そう言いながら、ビルシャナは手にした合成酒をごくごく飲む。妙に冷静な態度に、このヤロ、嘴に酒瓶突っ込んでやりましょうか、と、ミリムは切れかかるが、様子を察したハルが素早く抑える。せっかくビルシャナが落ち着いた様子なのに、怒らせて戦闘になってしまっては話にならない。
 そしてビルシャナは、ミリムに向かってからかうように告げる。
「それから、ここで飲んでる連中……って、オレ以外みんな潰れちまってるけど、この家の持ち主の草原田さんの趣味で、みんな裸で飲んでるんだ。あんた方にも裸になれとは言わないけどさ……」
「ん。それじゃ裸になる、よ」
 ごく自然に何の気負いもなく言い放ち、リーズグリースが服を脱ぎ捨てる。
 ミリムとレイは、まだ酒を飲んでもいない(まあ、レイは未成年なので元々飲めないが)のに真っ赤になり、ハルは苦笑混じりの表情で、礼儀正しく視線を明後日の方へ向ける。
 そしてビルシャナは、両目をハートマークに変えて叫ぶ。
「うっひょー! おねーさん、全裸サイコー! これはいいもん、見せてもらったーっ! 生きててよかったーっ!」
「ん」
 リーズグリースは悠然と、ミリムが持参した酒瓶の一つを取り、コップに注いでゆっくりと飲む。
「うん。やっぱりお酒は、美味しいんだ、よ」
「酒がうまいのか。うらやましいなあ。オレはもう酒の味よくわかんないし、元々ここ来てる連中は、イヤなこと忘れるために酒がぶ飲みしてるんだ」
 ビルシャナが、慨嘆するような口調で言う。
「おねーさん、話させてもらっていい?」
「いい、よ。聞く、よ」
 顔を赤くして、ふうっと息をつきながら、リーズグリースは応じる。
 およそ予想外の展開だが、少なくともビルシャナの気を惹くことには成功しているな、と、ハルは内心呟いた。

●救出。
「それでは……」
 持参の防毒マスクをしっかりと装着しためぐみと、彼女のサーヴァント、ナノナノの『らぶりん』、そしてカシスと瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)の五名が、先行隊が玄関から突入してから多少の時間を置いて、山荘の裏口から侵入する。
(「う、うわ、凄い酒っ気……マスクしてるのにクラクラくる」)
 言葉には出さずに呻きながら、めぐみは玄関同様施錠されていない裏口から山荘の中へ踏み込み、まっすぐホールへ進む。
 一方、カシス、右院、リリエッタの三人は、手分けをして別の部屋や二階を見て回り、予知に出てこなかった泥酔者がいないか確認する。
 ホールへ到達しためぐみは、先行隊に気を惹かれているらしいビルシャナの様子を窺いながら、瀕死の信者十人の確認をする。
(「こっちは酒酔い運転で捕まった○○……こいつは未成年と酒盛りした△△……これは、うーん、不祥事起こしたわけじゃないけど、単に人気なくて解散したグループにいた▲▲かな?」)
 そして最後に、潰れてぴくとも動かない四十代男性を見やって、めぐみはマスクの中で顔を歪めた。
(「草原田タケシさん……あなたほどの人が、どうして……でも、草原田さん自身がビルシャナになったわけじゃなかったのは、不幸中の幸いかな?」)
 するとそこへ、カシス、右院、リリエッタの三人が追い付いてきた。
「他の部屋には誰もいない。先行隊は上手くやってるか?」
 右院が小声で訊ね、めぐみはうなずく。
「大丈夫、こっちが動き回っても全然気づいてない。救急隊に合図して入ってもらって」
「わかった」
 右院が身を翻し、カシスとリリエッタの二人は残る。めぐみを含む三人でビルシャナの様子を窺うが、こちらに気づく様子はない。
 そして間もなく、右院に先導された救急隊がホールに入ってきた。
「……」
 無言で目配せを交わし、救急隊員たちは瀕死の信者を手早く担架に乗せ、その腕に輸液のチューブを刺す。そして、次から次へと搬出してゆき、最後に草原田タケシ氏を運び出すところで、めぐみが同行する。
「容体、どうでしょう?」
 山荘を出ると同時に訊ねるめぐみに、救急隊長が難しい表情で応じる。
「うーん、命は助かるでしょうが、それ以上は何とも言えません。草原田さんに限らず、救護した誰も彼も、本来、生きてるのが不思議なくらい脱水症状が酷かった。心肺停止はしていないし、救命治療中に止まる可能性は低いですが、意識が戻るかどうかは……。あなたは、こちらに同行するんですか?」
「いえ、まだビルシャナが残ってますから」
 めぐみが応じると、救急隊長はうなずく。
「そうでしたね。皆さんが無事に任務を終えられるよう祈ります。救護された人たちは、全員長野警察病院に搬送されますので、何か問い合わせる時はそちらにお願いします」
「わかりました」
 うなずき返しためぐみは、救急車が走り去ると同時に、信者たちの連絡先に電話をするが、ほとんどが通じない。一か所だけ相手が出たが、信者の名前を言った途端「そいつはもう、うちとは関係ない」と即切りされてしまった。
 そして、草原田氏の個人事務所も留守番電話になっており、個人連絡先も繋がらない。
「……ダメか」
 呟いて、めぐみは山荘へと引き返した。

●陽動二:ビルシャナ、話す。
「オレたち十人は、いろいろヘマしたり、単に売れなかったりして、アイドルグループから追い出された、アイドル失格の半端者だ。太っ腹な大物、草原田さんに世話見てもらって、どうにか暮らしてた」
 合成酒を水のように飲みながら、ビルシャナは半分独言のような調子で語る。
「そこへ、草原田さん自身が事件起こして芸能界追放になっちまった。それでもオレたちの世話は見てくれてたんだが、ある時、よっぽどイヤなことがあったんだろう。ここ、長野の山荘で酒飲んで死ぬことにしたって電話がかかってきた」
「それ、止めなかったの?」
 ミリムが呆れた声を出すと、ビルシャナは薄く笑う。
「止められるもんか。もう、お前の面倒見てやれん、すまん、と泣く草原田さんに、あなたが死ぬならオレも長野行って死にます、としか言えなかった。示し合わせたわけでもないのに、十人全員ここに集まってきて、酒飲んで死んじまおうってことになった」
「なんとまあ……」
 アイドル失格の男十一人が、みんなでヤケ酒心中ですか、と、ミリムは唸る。でも、アイドル失格したってイケメンはイケメンなんだから、死なせちゃうのは損失だなあ、と、レイがぼやく。
 そしてビルシャナは、淡々と続ける。
「集まった連中は、みんなで裸になって「全裸で泥酔サイコー!」と喚いて飲みまくった。誰か潰れても介抱しない、もちろん救急車なんか呼ばない。そのまま全滅するはずだが……まさか、ビルシャナになる奴が出るとは、当のオレを含めて誰も夢にも思わなかったな」
「その時のことは、覚えているか?」
 訊ねるハルに、ビルシャナは素直に答える。
「どうにかな。意識遠くなって、これは死ぬな、と思ったら、走馬灯ってのか? いきなり思い出が湧いて出た。やめてくれ、思い出したくなくて酒飲んでるのに、イヤなこと全部見せる気かって悲鳴上げたら、誰かの声がした。ならば我が力で忘れるが良いってさ」
 そう言って、ビルシャナは肩をすくめる。
「確かに、この姿になって、イヤなことは全部忘れた。自分の名前も芸名も、綺麗に忘れた。そして、他の連中が、普通なら死んでるはずなのに生きてることに気が付いた。もしかして、オレと同じくビルシャナになるんだろうかと思って見守ってた。そしたら、あんたらが来たんだ」
「そうか」
 ハルがうなずいた時、裏口側からめぐみと『らぶりん』がホールに入ってきて、身を隠して待機していたカシス、右院、リリエッタに合図する。
 そしてリリエッタがミリムの元へ走り、小声で囁く。
「救助、終わったよ」
「よっしゃー! 待ちかねたあーっ!」
 大して飲んではいないが、ビルシャナの辛気臭い話を聞くのに嫌気がさしていたミリムが、猛然と立ち上がる。
 一方、ビルシャナの話を聞いていたのかいないのか、ずっと全裸のまま自分のペースで酒を味わっていたリーズグリースは、面倒くさそうに立ち上がって服を着る。
「残念だけど、お酒の時間は、終わり、ね」

●終幕:デウスエクスには死を。
「雰囲気変わったな。やっぱりオレを殺すのかい?」
 淡々と訊ねるビルシャナに、ハルが淡々と応じる。
「そうだ。君が察した通り、我々はケルベロス。デウスエクスは倒すのが使命だ」
「そうか。だけど、他の連中はどうする? オレが死んだら、たぶんみんな死ぬぜ。デウスエクスになったオレは仕方ないけどさ」
 訊ねるビルシャナに、レイが言い放つ。
「その心配は無用だよ! みんな、救急車で病院に運ばれたよ! 死なせちゃうなんて、もったいないもん!」
「たはは、そりゃ気の毒に……」
 誰がどう気の毒なのかは言わず、ビルシャナはケルベロスたちを見回す。
「まあ、これも運命だろう。もともと、死ぬ気でここに来たんだ。抵抗はしないから、酒飲んでるうちにばっさりやってくんな」
「よかろう」
 うなずいて、ハルがオリジナルグラビティ『終の剣・久遠の刹那(ブレードライズ・エーヴィヒカイト)』を炸裂させる。続いてミリムがオリジナルグラビティ『緋牡丹斬り(ヒボタンギリ)』カシスがオリジナルグラビティ『断罪の千剣(ダンザイノセンケン) 』右院が『祓神剣デュランダル』での溜め斬り、リリエッタがオリジナルグラビティ『影ヨリ襲イ来ル弾丸(シャドウ・バレット)』と、それぞれ強烈な攻撃がビルシャナを焼き貫き切り刻む。
 しかしビルシャナは、ずたずたの血まみれになりながら、酒を飲む手を止めず呟く。
「凄ぇ衝撃……でも痛くはないぞ。苦しくもねえな。そういう感覚も忘れちまったのかな」
(「そ、それはむかつく!」)
 ビルシャナを痛みも苦しみもなく死なせるなんて、と、めぐみが猛然と襲い掛かり、オリジナルグラビティ『千手の摘み(サウザンドピンチ)』を炸裂させる。
「全裸と言いつつ羽毛装着してるなんでおかしいですよね。全部剥いてあげます」
「あれ? あんた……」
 ビルシャナは何か言いかかったが、めぐみの攻撃で全身から血を噴き出して事切れる。
 そしてめぐみは、ふと我に返ったような表情で呟いた。
「このビルシャナ……結局、誰だったのかしら?」

作者:秋津透 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年12月25日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。