ボッチな我々はこの関係を強いられているんだ!

作者:久澄零太

「諸君……ついにこの時がきた」
 雌伏の時を越え、積年の恨みを晴らさんとする雰囲気が漂うが、鳥さんだから心配はいらない。
「クリスマスまで一ヶ月を切った今、世のリア充共が活発化する危険な時期だ! しかも街中にはそれを助長するかの如く、早いところは既にイルミネーションまでされている始末!」
 なんかもー、番犬側に爆弾魔が大量出現しそうなノリであるが、鳥さんの主張だから従わないようにね?
「このままでは我々『孤高なる者共』にとって社会そのものが毒となる! だが、我々には同志がいる!!」
 このあと話が物凄く長くなるので、簡潔に言っちゃうと、独身同士の寂しい人が肩を寄せ合い、恋人代わりにして孤独を埋めようとしてるんだって。
「行くぞ同志達! 苦しむ同志達を救済するのだ!!」
『イェスボッチ! ゴーホモ!!』
「ホモ言うなや!?」

「みんな変態だよッ!!」
 鮮やかに声を響かせる辺り、間違える事なく、確実に言っちゃってる大神・ユキ(鉄拳制裁のヘリオライダー・en0168)はコロコロと地図を広げて、とあるオフィス街を示す。
「このビル、今は使われてないんだけど、ここに恋人がいない人は冬場の人肌恋しさを同性で補えばいいってビルシャナが現れて、信者を増やそうとするの!」
 ここまで聞いた時点で番犬達は逃走を図るが、唯一の出入り口はブリジット・レースライン(セントールの甲冑騎士・en0312)によって封鎖されている。
「敵前逃亡する奴は全裸で戦場に叩き込むぞ! それが嫌なら大人しく座れ!!」
 番犬がビビってると勘違いしたブリジット。場を一喝するが、番犬達に言わせれば逃げ出したくなる方が当然である。
「続けるよ? 信者は同性の友達と一緒に人肌とかなしであったまる方法を示したり、異性カップルでイチャイチャして、同性同士の傷の舐め合いの虚しさを実感させると目を覚ましてくれるよ」
 つまり、非リア流の冬の楽しみ方と、リア充による恋人タイムの実演で目を覚ます、と。これ番犬側で戦争が起こるんじゃねぇかな……。
「と、とにかく!」
 士気が底値を割った番犬へ、ユキは気合を入れ直し。
「敵を放置するわけにはいかないから、頑張って! すぐ近くのしゃぶしゃぶのお店予約しておくから! ね!?」
 君達は肉に釣られて出撃してもいいし、肉体的危機(意味深)を感じて逃げ出してもいい。


参加者
ミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)
アウレリア・ノーチェ(夜の指先・e12921)
エヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)
宮岸・愛純(冗談の通じない男・e41541)
ノアル・アコナイト(黒蝕のまほうつかい・e44471)
夢見星・璃音(輝光構え天災屠る魔法少女・e45228)
リリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)
ジルダリア・ダイアンサス(さんじゅーごさい・e79329)

■リプレイ


「今年は凶くんの女装がなかった……フォロワーさん達の期待に応えられない&冬のあったかい説得の為に」
 エヴァリーナ・ノーチェ(泡にはならない人魚姫・e20455)は紙袋をどさぁ。
「ユキちゃんブリジットちゃん最新冬トレンドのお洋服にお着替えよろしく~」
「ヤダ!」
「即答!?」
「恥ずかしい服ばっかりなんだもん……」
「た、確かに最近ではこのブランドは何処に行こうとしてるんだ……という声もあるけど、あるけど!」
 カッ!エヴァリーナ、開眼!
「着膨れしなくて済むように技術の粋を詰め込んだからこそであってだね!?」
「デザインが尖りすぎなんだよぅ……」
「あら、着てみると意外と効率的よ?」
 エヴァリーナに助け船を出したのがアウレリア・ノーチェ(夜の指先・e12921)。ただし、その服装は。
「そのタンクは何……?」
「制圧用二十ミリ機関砲の追加弾倉だけど……何か?」
 ガトリング提げて、背中には大型弾倉を背負うワンマンアーミー。
「今回は市街地なんだけど……」
 ユキが困惑すると、アウレリアはそっと髪をかき上げて。
「私の夫にアタックがどうとか許容できない話があったので、つい、ね……」
「あばばばば……」
 冷たい微笑みのアウレリアに震えあがるのは宮岸・愛純(冗談の通じない男・e41541)。
「黒一点かと思ったら真っ黒こげになるところだった……」
 会議室で死にかける奴とか、久々に見たわ。
「大神くんも口説け的な事言われたんだけど敵前でやらないと意味ないよね……」
「そんなあなたに……」
 エヴァリーナが携帯を取り出して。
「スマホカメラ!というわけで、デートごっこって事でユキちゃんはこっちー」
「にゃんでー!?」
 簡易更衣室にユキが引きずり込まれて数分後。オーバーサイズでゆるっとしたベージュのセーターに、ブラウンのショートパンツの下には黒のタイツを合わせて、ブラックローファー。手元が隠れる服装で小動物感を漂わせつつすらりと脚を見せてアピールするスタイルに。
「なんでこうなるの……」
 持て余した袖で顔を隠すユキに対して、愛純は。
「き、衣擦れの音が生々しくて……」
 泡噴いてやがる……。
「じゃあ次は……」
「戦場で」
 エヴァリーナをブリジットが掴み上げて。
「いつまでも」
 振りかぶってー。
「服をいじってるんじゃない!!」
 投げたー!!
「私は広告費を稼ぎたいだけなのにー!!」
 エヴァリーナは流れ星になったのだ……。
「まったくもー……」
 続いて降下する番犬をユキが見送った時だった。背後に気配を感じ、侵入者の側頭部をすっ飛ばそうとして……。
「お、お久。何だかんだ暫く顔見てなかったからさ、ふと寂しくなって見に来ちゃった。ちょっとビックリした?へへっ」
 寸前で止められた蹴りに、両手を挙げた永代が冷や汗。
「ま、元気そうで良かったよん。これ、お土産の栗どら焼。この時期は栗が大きくて美味しいんだって」
「太陽機は休憩室じゃないんだよ……?」
 しかし、帰還がてら饅頭を頬張り耳をピコらせるユキなのだった。


 こっから先は地獄の時間だぜ!!
「最近の独り身は女性を憎みたがる傾向があるというが、ホモ行為に走る貴様らもその類か!嘆かわしい。しっと一筋に生きてきた私が直々に修正し、正しきしっと戦士の道へと再教育してやろう!」
 最初は愛純!服を脱ぎ捨てれば覆面プロレスラー染みたしっと戦士に大変身☆
「燻る嫉妬の感情を思い出させてやる……いくぞ!」
「しゃぶしゃぶに釣られて来てしまいました」
 ご飯目当てで来たミリム・ウィアテスト(リベレーショントルーパー・e07815)へ右手を差し出し。
「私と付き合ってくれたまえ!!」
「お鍋の準備で忙しいからごめんなさい」
「おうふ……」
 湯豆腐始めたミリム戦、撃沈!ミリムは湯豆腐を信者に差し出して。
「信者の皆さんもどうぞどうぞハイあーん……」
「え……」
 同性同士で肌を寄せ合っていた信者達。男性陣には高い壁が……。
「私のお父さんにもこういう事してあげられたら喜んだでしょうね……」
 しんみりと呟くミリムを前に、信者が立ち上がり。
「……帰るか」
「え、ちょ、同志?」
 鳥さんが振り返るも、信者の足取りは確か。
「たまには親孝行しないとね」
「コチラの温めておいた布団で童心に帰り、枕元に靴下置いて寝ると良いです。それにクリスマスは家族とも過ごす日……」
 ミリムが布団を敷きつつ、取り出したのはクリスマスメニュー予約のお知らせ。
「実家のオカンが待っては居ませんか?」
 世のオトウ=サン達は聖夜も仕事に励むもの。そんな時、妻は一人寂しくお家で待つ……。
「おふくろに唐揚げくらいは持ってってやるか……」
「ちょっと同志!?」
 鳥さんが慌て始めたところで愛純、第二戦!
「私と付き合ってくれたま」
「すみません、タイプじゃないので……」
 若干食い気味に断ったノアル・アコナイト(黒蝕のまほうつかい・e44471)も、取り出したるはお鍋。
「寒い時期は身体の中から温まることが肝心です!辛めのきのこ鍋を持ってきましたので召し上がってください~」
 蓋を取れば、煮立った鍋から奇妙な香りが漂う。
「これ、食べ物……?」
「大丈夫ですよ~、そこまで危険なものじゃありません!ネギにお豆腐に龍眼にししとうに、えーと……獣とだいたい普通のものですから!」
 入ってる野菜は普通だが、キノコが毒々しい色彩を放ち、死の予感を運んでくるそれは、スープも真っ赤……なお、漂う異臭は龍眼(ブドウっぽい果物。ノアルはこれを乾燥させて、漢方な薬味として煮込んでいる)が持つ独特の匂いであるため本当に安全。
「まずはわたしが食べますから、それなら安心ですよね?」
 ノアルが毒見した瞬間、真っ赤に染まっていき。
「……お、思っていた以上に辛いです!水、水~!」
「思い出に浸ると心がポカポカするんじゃない?私は元カレとの思い出を……え、そういう話じゃない?」
 盛大な自爆をしたノアルが慌てて水筒の中身を嚥下していると、夢見星・璃音(輝光構え天災屠る魔法少女・e45228)が戦場を見回し。
「熱い料理なら作ってあげようか?今日はベオウルフのミリっちもいるし……」
「えっ」
 ミリムが振り返った時には、既に璃音が鍋を煮込んでいた。ガタガタ揺れながら湯気を吐く鍋に戦々恐々としていると。
「私と付き合ってくれたまえ!」
 愛純が来た!璃音の返答は……!
「別にいいけど……宮岸さん、死ななきゃ生きてるとか、肋骨やられるくらい無理しちゃえる?私の元カレはそういう方だった。だから、こう……心に熱い火がある方がいいなーって。だからしっと団とかいう邪な気持ちにはノーサンキューなんだ、ごめんなさい!」
「割とガチで断られた!?」
 次へ向かう愛純に代わり、ミリムがあわわ……。
「璃音さん後ろー!!」
「え?」
 振り返ると、鍋は静かに鎮座している。
「やだなー、脅さないでよ」
 気づくべきだった。火にかかっているのに『湯気が出ていない』ということに……。


「変態鳥をやっつけるのは慣れてるし、ミリムや璃音もいるからね、きっちりやっつけるよ」
 両手を握って気合を入れるのはリリエッタ・スノウ(小さな復讐鬼・e63102)。
「あったまるならみんなで特訓……素振りだよ」
「そんな実直な君の姿に惹かれたんだ……付き合ってほしい」
 言葉が足りないと思ったらしい愛純へ、リリエッタは無表情ながら熱い視線を返して。
「ナノナノ……」
「そっちぃ!?」
 しっと魂(ってゆー名前のナノナノ)に負けた事実に愛純が崩れ落ちてしまい、リリエッタは首をコテン。
「むぅ、なんだか悪いことしちゃったかな?ごめんなさいなんだよ」
「ゴフッ」
 そもそも告白の言葉が届いていなかったと察した愛純が轟沈。リリエッタはミリムの方を見て、じーっ。ミリムからはウィンクが帰ってくる。翻訳しておくと。
「何か間違ったこと言っちゃったかな?」
「パーフェクトなリアクションだと思うよ!!」
 噛み合っているのかいないのか、分かりにくいアイコンタクトが交差していた……。
「ふみゅ、気を取り直して」
 リリエッタは木刀を取り出すと、ぶんぶん。
「掛け声を上げながら無心で素振りをしていけばあったかくなるね。リリも最初は刀振るのは苦手だったけど、練習してれば変態だって真っ二つにできるようになったよ」
 なんでこの子、敵じゃなくて変態って呼称を出すの?
「全ては鳥さんのせいです……」
 半分はお前やろ。
「なんで!?」
 驚くミリムだが、チョコを振りまくチェーンソー、兎の為に即死した鳥オバケ、雪原の全裸メェン……全て、ミリムとリリエッタはコンビで挑んでいる。
「その中だと変態な依頼は一つしかないですよね!?」
 リリエッタは木刀をぶんぶんしながら、ぽつり。
「よくわからないけど、りあじゅう?も切れるようになるかもだね」
「ヒャッハー!リア充は一刀両断だァ!!」
「最後の手段……それは、俺たちが断頭台になることだ……!」
 信者が食いついちまったぞ!?
「……釣れた?リリは釣り人だった?」
 カオスが悪化する前に次行くぞオラァ!!
「寒くてあったまりたいならお洋服だよっ」
 しまった、次はエヴァリーナか!
「信者さん達のぶんもたくさん用意してあるから可愛いお洋服で身も心も暖まろう」
「これ、SNSで有名なやつじゃない?」
 良くも悪くも有名なそれは、信者も知っていたりする。
「大食い系ネタ枠の番犬さんが新人のモデルを引っ張ってきて、急激に閲覧数を伸ばして業績が上がりすぎたから、逆に社長が乱心してまともなのから際どすぎるのまでデザインを全部通しちゃってるとか……」
「あぁ、自由すぎるってんで色んなデザイナーが集まって、混沌としてきたっていう……」
 伝統か、革新か、明日はどっちだ……!
「この世すべての女の子……だけじゃなくて男の子も美しく可愛く彩るVene Havfrueをよろしくー」
 片手を腰に、片手は体側に、肩幅に開いた脚はつま先から頭頂までボディラインとファッションを見せる……エヴァリーナ、お前広報しに来てないか?
「全ては新規顧客獲得のため!」
 おっとここで愛純が割り込んできて。
「私と付き合っ……」
 スッ……エヴァリーナが無言で見せる左手の薬指にはシルバーリング。コイツ許嫁いるんですよねー。
「おのぉれ!?」
 リア充に怒りと嫉妬を抱きながら撃沈する愛純なのだった。
「だが、まだ……」
 と、顔を上げた愛純を出迎えたのは『嫁に手を出せば抹殺』の旗を背負い、嫁とお揃いの機関砲を構えたアルベルト。
「武装していると肌の触れ合いは難しいけれど、愛さえあれば指先が触れるだけで」
 求めあう指先は絡み合い、重なる手のひらから温もりが通う。
「寄り添うだけで」
 引き合う腕は夫婦の距離を詰め、夫に身を預けるアウレリアはその肩に頬で触れ、乗せられた頭の重さに妻との邂逅を噛みしめるアルベルト。
「いっそ視線が合うだけで」
 その双眸が再びまみえる事はないアルベルトだが、『還って』来てくれた夫と共に時を刻むことができる喜びを前にして、妻は重なることのない視線だろうと構わないのだ。
「幸福で身も心も熱くなるものよ」
『よし、コイツ殺そう』
「落ち着け同志達!?」
「我々非リアにこの熱愛……耐えがたき地獄!」
「このウッドブレードで奴らの愛を断たねば気が済みません!!」
「そうならないために我々は……」
『黙れ鳥頭!我々はリア充を絶対に許さない!!』
 あまりの熱愛に信者が暴走してるんだが!?


「くっ、まだだ!」
 愛純が次に向かった先は。
「私と付き合ってくれたまえ!」
「突きあう?試合か?」
 まさかのブリジット……だがしかし。
「ブリジットちゃんもおめかししないとね?」
「な、放せ!何をする!?」
 エヴァリーナに引きずられて物陰へと消えていった……。
「ぐぬぬ……残るは」
 愛純、最後の勝負。行く先はジルダリア・ダイアンサス(さんじゅーごさい・e79329)。
「私と付き合ってくれたまえ!」
「邪魔をしないなら構いませんよ」
「なん……だと?」
 逆に驚愕して動けなくなる愛純。そんな彼を放置して、ジルダリアは持ち込んだ一斗缶を器に、落ちてた雑誌とアルミ巻きのサツマイモを投入。
「温まるなら焚火が一番です」
「あ、うん」
 置物と化した愛純の横、窓を開けて新鮮な空気を入れつつ、着火したジルダリアが腰を下ろす。愛純が緊張のあまり白目をむき始めたが、まぁええやろ。
「しかし変わった本ですね……まるで教義を示したような……」
 焼く前に本を開いてしまったジルダリアは、そっと閉じた。
「邪教の聖典でしたか」
「濃密な薔薇の花園……ありかもしれません」
 ジルダリアが拾ってきた漫画をミリムが読んでるぞ!?
「イケメンが絡み合うとか二次元だけ……」
「ミリム、何読んでるの?」
「り、リリちゃんにはちょっと早いカナ!?」
 リリエッタが中身を見てしまう前に閉じたミリム……お前マジで何読んでんだ!?
「美しい物語です……」
 フッと虚無顔になるミリムだが、璃音がハッとして。
「鳥さんの羽毛はあったかそうだよね……信者×鳥……ありじゃない?」
「やめて璃音さん!私の美しいバラの余韻を打ち砕かないでッ!!」
 コトリ、リリエッタは首を傾けて。
「……ミリム、壊れた?」
「むしろ新たな扉を開いたかもしれません」
 駄目だこいつ速く何とかしない……。
「そろそろ焼け……あっ」
 とぅあああああ!?ジルダリアが焼きいもを取り出した瞬間に火の粉が散り、熱センサーに引っかかってスプリンクラーが散水!濡れた番犬と信者を窓から入り込む冷たい風が襲う!!
「……」
 ずぶ濡れでブラウスが透過し、下着を晒すジルダリアは静かに頬を膨らませて。
「濡れ透けくらいじゃ、泣かない」
 混乱して思考が幼女になってないか!?
「くそ、次から次へと……いい加減にしてくれ!!」
「こちらのセリフです」
 信者の背筋に冷たいものが走る。巨大な蛇に頬を舐められたような、ぞわりとした悪寒の先、ゆらゆらと揺れながら、深く、暗い瞳を向けてくるノアル。
「一人が嫌なら生きている家族と団欒して暖かく過ごせばいいでしょう。何故あなた達はそうしないんです?」
 腰まで伸びた銀髪は水を滴らせて艶やかに、二本だった角はその先端を枝分かれさせ、神々しさを纏いながら、ノアルは光のない瞳を真円にして。
「理由は一つ。信者は異常者の集まりだからです。異常者の相手は疲れました」
 迫りくる暗澹としたその双眸は、奈落の沼の如く信者を飲み込んで……。
「そろそろ正しき独り身の過ごし方を教えよう」
 引きずり込まれた意識が、愛純の声で戻ってくる。
「まずはわら人形に思いっきり五寸釘を打ち込む!リア充への怒りを込め!後はキャンプファイヤー!ここにリア充を投げ込み、しっとの神に祈りを捧げるのだ!これが正しきしっと戦士のあり方よ!」
『はい、教祖様!!』
「……どうしてこうなった?」
 信仰対象が鳥オバケから嫉妬オバケに変わったんじゃねーかなー。
「なんだかわかりませんが、お芝居はここまでにして……リリちゃん、一緒に殺りますか」
「ん、斬ればいいんだね」
 ミリムとリリエッタがそれぞれ、鳥類解体に特化した刃と、込められた重力鎖に応じた刀身を顕現する一振りを構えた時である。

 もっちゃもっちゃ……。

「お鍋が鳥オバケ食べてるー!?」
「お腹空いてたのかな……?」
「あれー?」
 璃音は攻性植物の蜜、ドラゴン肉、シャイターンの翼を食材だと思ってるうちは絶対料理なんかできないと思う。


「はい、アルベルト」
 戦闘後、入った店でアウレリアが夫の口元へ運ぶのは、唐辛子で真っ赤なお肉。笑顔で食べたものの、嫁が目を離した瞬間に悶絶したのは言うまでもない。
「うぅ、頭痛がします……」
 水を飲もうとして清酒を口にしてしまい、実は酔っていたノアル。記憶が飛ぶ事態に味も分からな……。
「あ、このお肉美味しいです!」
 普通に味わうんかい!!
「……はっ、信者さん達はお互いをしゃぶ……」
 黙れジルダリア!
「食事処で口にするなとは、なかなかのお肉……じゃなくて、皮肉ですね、もぐもぐ」
 うるせー!!
「まずはこうやってお湯であっためて……」
「しゃーぶしゃーぶ?」
「あ、色が変わったらもう大丈夫だよ」
 璃音が肉をお湯に通す姿を見て、真似るリリエッタは延々お肉をぐるぐる。横からミリムがひょいと白菜を加えて。
「私お勧めはこちら!白菜ポン酢!!」
「普通のポン酢しかないよ……?」
「白菜とポン酢って事だよ!甘いお野菜と酸っぱいポン酢が、お肉の旨味を引き出してくれます!!」
 初めてのしゃぶしゃぶ。勘違いしたリリエッタも納得しつつ。
「璃音のお肉……動かない?」
「流石に動かないよ!?」
「本当に……?」
 ミリムの半眼ジト目に璃音は狼狽えるものの、二人は同時に噴き出すのだった。
「そうそう……」
 静かに食べてた愛純が急にこっちを向いて?
「依頼ではホモがどうとか言っていたが、我々しっと戦士は同性愛を蔑視しているわけではない。異性、同性への愛以前に、人としての愛を忘れるなよッ!!」
 急に真っ当な事言いだした!?……さて、そろそろ別室でも見に行くか。
「おっにくー!……は嬉しいんだけど、なんで私だけボッチご飯なの!?」
 エヴァリーナはアホみたいな量を要求するから単独で宴会コースを予約されてたからだよ……。

作者:久澄零太 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年12月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 6
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