セクシーよりキュート

作者:大丁

 我が身を引き裂かんばかりに、頭をかきむしった。
「ま、迷うなぁ……。どっちなんだろう~」
 トサカは乱れ、鉤爪は羽毛を削る。
 ひとり、カワラ屋根に登ってしゃがみ込んでいた。
 秋色に染まる山野さえ、この悩める鳥人間、ビルシャナには寂しさしか与えてくれなかった。
 枯れ葉が、風に舞う。
 その渦の中から、もうひとりの、高僧のような法衣をまとったビルシャナが現われる。
「我は、光世蝕仏である。なにを迷っておるか」
「自分の教義が分んなくなってしまって。ねぇ、偉い人!」
 しゃがんだ鳥は突然、カッとクチバシを開いた。
「セクシーなのと、キュートなのの、どっちが好きですか?!」
「むむ」
 高僧は、やや身を引いたようだったが、すぐに鳥の手をかざして諭した。
「ユグドラシルと同化してみよ。自ずと答えを導きだせるじゃろう」
 葉の渦に包まれて、新たな光世蝕仏が誕生する。
 黄色い花をあしらったドレス。トサカはお姫様のようなティアラに変わる。
「可愛いことは正義! キュートの一択よ! ワタシはなにを迷っていたのかしら!」
「そうそれ。達者での」
 後を任せてそそくさと消え去る高僧。
 ドレスのビルシャナは、カワラ屋根から飛び降りる。そこは、温泉宿の露天風呂、女湯であった。
「さあ、皆さん。この、可愛い香りのするシャンプーで、キュートになるのよ!」
 クチバシから吐いた粘液で、女性客を無理矢理にでも洗髪しはじめる。

「みんなには、デウスエクスの攻撃に備えてほしいんだけどねぇ」
 軽田・冬美(雨路出ヘリオライダー・en0247)は、予知の内容を説明すると、ちょっと困り顔を見せた。エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)もため息をつく。
「冬美殿、今回の光世蝕仏ビルシャナは、特に変わり種だ。調査した私でさえ、わけがわからぬ。攻撃方法の再現ができなくとも、恥じる必要はない」
 ブリーフィングルームに集まったケルベロスたちは、敵の教義が『可愛いは正義』とまでは理解していた。
 教義の範囲が広いとは思うが、今までにもいそうな敵ではある。
 光世蝕仏は、最初に出現した露天風呂の女性客10人を信者とし、黄色いドレスにティアラをのせた一団として、温泉街に繰り出している。
 そして、出会う女性の髪をかたっぱしから洗っているのだ。
 冬美はフードの上から頭を押さえる真似をして、ちょっとでも動作を試みていた。
「洗髪の際に裸にさちゃうのは困りものだけど、身体は泡で隠してくれるし、終われば可愛いドレスを着せてくれるしで、一見するとサービスのいい人たちよねぇ。でもこれ、戦闘では立派な防御低下攻撃になるのよぉ」
 10人の女信者たちも同様の攻撃を仕掛けてくる。サーヴァント程度の戦力にはなるのだ。
 エメラルドは、過去に出現した場合と同じく、ビルシャナさえ倒せば、信者は正常な人間に戻ると言う。ビルシャナの主張を覆すようなインパクトのある主張を行えば、戦わずして信者を無力化できるとも。
「しかし、可愛いの定義があいまいだ。香りや、おめかしのことを言っていて、セクシーとは対立する概念としてのキュートを尊重しているらしいのだが」
「ドレスじゃなくても、例えばエメラルドちゃんがいま履いてるブルージーンズだってキュートだと思うし、『セクシーでキュート』なんて言い方もあるから、なかなか手強い敵だと思うよ。頑張って!」


参加者
ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)
若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)
エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)
白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)
小柳・瑠奈(暴龍・e31095)
白牌・くれなゐのばら(紅白野薔薇・e61380)

■リプレイ

●教団とケルベロス
 暗灰色の正方形が敷きつめられた石畳を、黄色いパンプスの一団が、ちょこちょこ歩きでやってきた。
 フワっと広がるスカートのワンピースドレスは同色で、胸元にも黄の花をあしらい、全員がティアラをのせていた。
 路地にいた人々は、この温泉街を散策していた観光客たちだ。
 年齢性別の組み合わせがさまざまなところへ、揃いの格好の女性が列をなして近づいてくれば、なにかのイベントかと思うであろう。
 先頭に立つのが、冗談めかした鳥人間であればなおさら。
 この鳥のくちばしがカッと開いて、主張とともに液体が飛び出した。
「セクシーよりキュート! 可愛いことは正義!」
 吐かれたものが、土産処の店先にいた若い女性の髪にふりかかると、すぐに泡立ちが起こる。
「えええ! なにこれ……」
 シャボン玉がパチンとはじけるように、女性の秋らしいシックな召し物は消え失せて、身体もモコモコの泡につつまれる。
「あー。なんか可愛い香りがする……」
 最初の驚愕はリラックスに変わり、黄色ドレス数人による洗髪が始まる。
 この異変に、連れ合いの女性たちは、店の奥まったところから路地に出てきた。彼女らもシャンプー攻撃をくらう。ついで辺りにいた女性という女性が泡だらけにされていく。
 もはや、ただの観光イベントではない。
 と、知りつつも、男性だけが取り残された旅行客らは、真昼の温泉街に出現した洗い場を取り巻き、ざわめきながら様子を伺っている。
 恋人と別にされた若者など、声をかけようにも口を半開きにしたまま言葉が出ないありさまだった。
 往来ゆえ、次々とやってくる人たちも騒ぎで立ち往生するなか、駆けこんできた二人がいた。
 若生・めぐみ(めぐみんカワイイ・e04506)と、エメラルド・アルカディア(雷鳴の戦士・e24441)だ。
「一応、温泉街という事で、防具化した和服にしたけど……やっぱり破かれるのかなぁ」
 晴れ着のめぐみに抱かれたナノナノ、らぶりんは主人の言葉に小首を傾げる。エメラルドが答えを言った。
「破れるどころか、消えてしまうようだぞ」
 ミニスカートをひるがえし、ヴァルキュリアの戦士は人垣のなかのひとりを掴んで、位置を交代させた。
 その一般人にむかって吐かれたシャンプーは誰にも命中せず、路面に消える。
 ドレス集団と対峙したエメラルドは、鳥人間に人差し指を突きつける。
「この者は、光世蝕仏ビルシャナ! 信者化した人間を従える、デウスエクスだ!」
 ワッと、見物人たちの囲いが広がる。
 その隙に、土産処と食堂のあいだの狭い小道から、ミスラ・レンブラント(シャヘルの申し子・e03773)と、白牌・くれなゐのばら(紅白野薔薇・e61380)が、浴衣に羽織りで観光客を装い、人垣の前まで出ていた。
 いっぽう、信者たちの列がやってきた石畳をたどり、小柳・瑠奈(暴龍・e31095)は、セクシーに寄せた格好で闊歩してくる。
 えんじ色の縞柄ジャケットを、日焼けした肌に直接まとい、胸のボリュームにボタンが飛ばされそうだ。その谷間に、シャツ無しで締めたネクタイが挟まれている。
 ソフト帽も上着に合わせてあって、つばの陰からサングラスがのぞき、口元の楊枝が左から右に動いた。
 最後尾のドレス信者は、まだ洗髪に加わっておらず、瑠奈の出現に警戒を示す。
 そして、男性観光客の中には、場に留まった者たちもいる。
 なにかもっとイイことがある、という期待。
 白焔・永代(今は気儘な自由人・e29586)も、そんな予感に従って、彼らに混じっていた。

●主張の隙を突け
 ビルシャナの冠が、自信ありげにきらめいた。
「悪者みたいに呼ばれたけれど、可愛いことに罪があって?」
 エメラルドはまた、傍らの女性を避けさせる。今度はめぐみが正面に立った。
「信者の皆さんが着ている黄色いドレス。可愛いのは認めるけど、没個性的です」
 洗髪している者も、身柄を押さえる者も、一様に手が止まった。
 見渡せば、服こそ同じでも、信者たちの年齢や体型は様々だ。
「そのドレスは最高とは言えません。可愛いは個人に合わせた個性的なものであるべきです」
 怯んだビルシャナは、巻き返しを図る。
「そうやって、個人に責任を押しつけるから、みんな迷ってしまうのよ!」
 シャンプーも飛ぶ。
 今度はエメラルドも間に合わなかった。
「くッ!」
 悔しげに、ついた片膝を打った。フリル多めの下着がチラと見える。
 だが、それも芝居だ。
 命中したのは、くれなゐのばらの、結い上げたピンク髪だった。
「いやぁんっ」
 身体をくねらせるうちに、ほどけた髪からシャボンが湧いて、宿の浴衣も泡になる。
 一般人たちがどよめく。
 他の被害者がぼーっとなっているのに比して、くれなゐのばらは舞踊のような、しなをつくっていたためだ。
「よっしゃ!! ビューティフル!」
 はやしたてたのは、仲間のはずの永代である。
(「キュート寄りの賛同は、敵が調子にのるかも、なんて打ち合わせで言ったらコレだもの。みんなの作戦を邪魔しちゃ悪いから、目の保養だけしておくよん♪」)
 永代の声かけにより、男性客たちから遠慮が消えた。
 最後尾の信者たちは、そうした雰囲気の変化を感じつつも、瑠奈への警戒から、なおも挑みかかるような姿勢をとっている。
「鳥の教祖の主張する、可愛いは正義に一理はあるけれども……」
 楊枝と思われたものは、キャンディの柄だった。右手に摘まんで口から抜かれ、鳥のいるほうをチョイチョイと示す。
 唾液に赤の玉が艶を帯び、あごをしゃくってサングラスごしの流し目が、信者たちを射抜く。
「可愛いだけじゃ、仔猫ちゃんたちの魅力の全てを引き出せないんだよね」
 瑠奈のもう一歩を、ドレスの女性たちは許容した。
 いつしか、赤いキャンディの動きを追うようになる。我が身もああして、しゃぶられたい、という羨望の眼差しで。
 白い織布に花を染めた着物は、可愛い香りを被ったが、泡にはならなかった。
 髪に当たらなければ、害はないらしい。
 めぐみは、ホッと息をつく。ビルシャナは言葉を畳み掛けてくる。
「みんな、ワタシのシャンプーを喜んでいるわ!」
 続く攻撃にミスラの、腰より長いロングヘアが捕まった。泡の身体に両側から信者がついて、おとなしく洗われている。
「ほら、あの人だって……ひえ?!」
 くれなゐのばらの泡が、薄い。
 教祖は何ごとかと、つい信者を叱責した。
「し、しかし、暴れられて……」
「こんなの全然キュートじゃないよ、恥ずかしい~っ!」
 胸元を隠すはずの両手は、どさくさに紛れて泡をどかし、位置を下にずらして、トップをチラ見せしていた。
「出た~! エロいよ~ん!」
「おー!」
 また永代の扇動にのせられて、男性陣が喝さいを浴びせる。
 教祖への弁解をさえぎって、くれなゐのばらは、信者に訴えた。
「あなたたちのやってることはむしろセクシー寄りの行動だよ! セクシーを啓蒙しているよぉ!」
 路上で裸にしている自覚はあったらしい。洗い担当が、はじめて頬を赤らめたのを見逃さず、耳元で囁いた。
「こんなに恥ずかしいの、むしろコーフンしちゃうっ!」
 プシッ、ジョロジョロ……。
 股の泡が、なぜか洗い流されてしまい、隠れているから平気というタテマエも、きれいさっぱり無くなってしまった。

●重大な見落とし
 信者とくれなゐのばら、ギャラリーにまで執りなそうとする光世蝕仏。
「手違いです! 本当は、ワタシのシャンプーで、ほらほら!」
 土産処の店先で洗髪されていた女性たちが、泡から花へと包まれて、例の黄色いドレスの姿となる。
 つまりは、新たな信者となったのだ。
「ケルベロスさん、どうかしら。私たちは、可愛くなれる方法をオススメしていたのよ」
 多少のブレをものともせず、ビルシャナは誇った。
「でも、やっぱり没個性的です」
 めぐみの指摘のとおり、新たな信者も同じ服である。
「そこは譲れないの。あなたも……」
 エメラルドの着衣を、見定める。もちろんビルシャナは知らないことだが、いつものビキニアーマーと違い、キュートを追求したミニスカートだった。
「なかなか可愛いわ。でも、最高なのは、黄色いドレスとティアラよ!」
「私も憧れる。だが、めぐみ殿も主張したように、顔立ちやスタイルなとで似合う方向性は異なってくるはずだ」
 両手を掲げて、合図を送ると、布をかけた衝立が、エメラルドの前後に立った。
 裏方にまわった永代の仕事だ。
「お見せしよう!」
 シャンプー攻撃のむこうを張って、早着替えをするつもりだ。
「む……着なれないものは脱ぐのもつっかえるな。なんだこの、鎧は……いかん!」
 あまり、手際良くはいかず、衝立がパタパタと倒れる始末。
「ダイジョブだよん。お客さんもウケてるから、気にせずよろ~」
 手伝うはずの永代も、どっちかといえば、男性客の盛り上げ役を続行していた。
「ああ、もう、見られてもかまわぬ。……し、仕方がないからな」
 フリルいっぱいのパンツを、ずるりと下ろしたとき、太腿を伝うものすらあった。
 外で脱がしていた行きがかりのため、ビルシャナも文句はつけられない。エメラルドが鎧を身に着けるところまでは、意外と辛抱強く待ってくれた。
「似合いの服とは、こういうものだ!」
「いや、あなた! 自分で恥ずかしがってるでしょ!」
 ガントレットを3組、装備していた。
 本来の一組のほか、トップスとして手のひらが胸のカップを押さえるように。ボトムスは、伸ばした指が前後から穴を隠して。
「恥ずかしくなどない!」
 と、胸を張って誇示するエメラルドのうちでは、籠手六つのアーマーを用意してくれた冬美に対して、抗議とも感謝ともつかない思いが渦巻いている。
 もちろん着るのは初めて。目の当たりにしためぐみも、顔を真っ赤にしながらフォローした。
「と、友達の意見を取り入れて、批評しあったり、雑誌で研究したり、オシャレは磨いていくものでしょう?」
 実際、エメラルドのミニスカートは、めぐみが見立てたものだった。
 あれはあれで、恥ずかしがっていたけれども。
「でも、そこの鳥は追及と研鑽を否定してますよね? ただひとつの服こそ、誰にでも最高に可愛いと押し付けてきますから」
 率いられてきた信者も、ここで着替えさせられた信者も、顔を見合わせる。
「皆さんはそれでいいんですか?」
 最後にミスラのドレスが完成したが、信者たちはもう、隊列に引き入れたりはしてこない。
 くれなゐのばらについては、泡が足りなくて失敗し、全裸で放置。
 不穏な空気にビルシャナは、ここまで観光客のひとりとして、シャンプーに身を任せていたミスラに、いまいちど可愛さをアピールさせようとする。
「さぁ、あなたの正義を語ってちょうだい!」
「ええ。ケルベロスであっても、このドレスの可愛さは認めてくれました。しかし……。重大な見落としがあります」
 ミスラの両手が、生地をグッと掴む。
 裾がたくし上がったぶん、太腿があらわになっていく。
「裸にされた後、着せられたのは『ドレス』だけであり、その下はノーパンノーブラなのです」
 スカートがまくり上がった。
 暴露されたとおり、剥き身のそけい部がソコにあった。
「これではキュートではなくセクシー、もっといえばドスケベ衣装であり、そもそも教義として成り立っていません!」
 信者と思いこんだ相手からの反論と、大胆な行動に、ビルシャナは千鳥足になった。
 ワンテンポ遅れて男性陣が、例によって永代の掛け声に釣られて沸き立つ。
「最高! ……全部最高!」
 信者の列の後ろ半分は、瑠奈によって陥落していた。
 エロカッコいい裸ジャケットに釣られてしまえば、もはやキュート至上主義の看板を下ろさねばならない。
 そうした数人の女性を侍らせたような瑠奈は、ノーパンと指摘されたドレスの中へ手をつっこみ、可愛がっている。
「仔猫ちゃんたちに期待されているなら、応えないといけないかな」
「クールな女性もいいよねん!」
 永代の掛け声に、瑠奈はキャンディをかざして笑う。
「ただし、殿方は厳禁かもしれないね?」
「えと、裸の子と、鎧の人―?」
 残りの信者も、くれなゐのばらとエメラルドに保護されている。正気にかえったのだ。
 というよりも、自分がパンツはいてないと判ったのなら、平静ではいられない。
 ミスラは、なおもソコを晒していたが、挿入され、グチュグチュと掻き回す黒いモノに、ようやくビルシャナは気が付いた。
「バ……ブラックスライムじゃないですか?! あなたもケルベロスなの?!」
 孤立した光世蝕仏へ、グラビティが集中する。
 もともと迷っていたビルシャナなので、折れた心では戦いも振るわない。
「このシャンプーは、植物性で……」
 と、思い出したようにユグドラシル成分を取り入れてみたものの、半端な攻撃は瑠奈らの脇をかすめる。
 くれなゐのばらは、裸にギターを抱えて、『紅瞳覚醒』を奏でていた。
「もはや、キュートとか、関係ありませんね」
 すでにシャンプーのかかっていた、めぐみの晴れ着はきれいに直った。
「一応防具化してあって、よかったです」
 ナノナノらぶりんもにこやかに笑う。
「目がぁ~!」
 一発だけ、シャンプー攻撃が、永代の顔に命中した。眼福のがぎりをつくした目に泡がはいる。
「これが私の全力だ――受けてみろ!」
 胸の籠手を揺すって、エメラルドが『ヴァルキュリアブラスト・クラッシャー』をきめた。ビルシャナは、石畳をクチバシで削りながら吹き飛ぶ。
「やっぱり……思い切って男性の意見を……聞くべきだったかしら」
 べったりと、羽毛を広げて、黄色いドレスのデウスエクスはこと切れた。

●元信者たちと観光客と
 瑠奈は、事件後もひっついたままの元信者たちを連れていた。
「ドタバタというか、メチャクチャだったな」
「けどけどぉ。瑠奈嬢も今からね」
 くれなゐのばらが案内したのは、建物のあいだの小道の奥。同じく、なつかれた元信者と共に。
「アタシも女の子大好きなので、ハダカでいちゃいちゃするっ♪」
 出撃時にみつけておいた物陰で、皆が互いにしゃぶり合う。
 黄色いドレスは、ミスラのものに限り、白く染められていた。
(「ああ、みんなの花嫁にされたよう……」)
 純白というより、白濁。
 お土産処の裏手まで、男性団体客に連れ出され、履いていないとアピールした箇所を、擦られ続ける。
 一転して店内では、主にカップルで来ていた被害者たちと、めぐみは浴衣をみていた。
「柄と着こなしをふたりで合わせれば、可愛いですよ」
 和服は、年齢や体型との調和をとりやすい。ビルシャナ相手の反論の、続きのようでもあった。
 そして、エメラルドと永代のカップルが、路地のはしっこでつながっている。
「天才の発想だな、冬美ちゃん」
「ひん、あう、恥ずかし……ああ」
 ガントレットに入れて使える、セクシーな鎧だった。

作者:大丁 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年11月18日
難度:普通
参加:6人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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