メイドは気の弱いドジっ子以外認めん者たち

作者:塩田多弾砲

「さあ、召し上がって」
「……ありがとう。頂きますわ」
 聖ウリエル女子大付属高等部こと、ウリ女の制服姿の、天現寺・麗美。
 彼女は今、同じ学校の生徒たちとともに、テーブルについてお茶会の最中。
 ここは、ウリ女校内の、旧校舎内会館の一室。
 麗美は今、そこでお茶会に参加していた。その後ろに控えるはメイド。
「……やっぱり、天現寺さんがいらっしゃらない事には始まりませんわね」
「ええ。本当に、復帰されて何よりでした」
 ウリ女を含む、様々な女子高の制服に身を包んだ数名の女子が、大きなテーブルを囲んでいた。
 そして、彼女たちの後ろに例外なく控えるは、『メイド』の美少女たち。
「それでは、我らが『メイド愛で隊』の新たなる門出に、乾杯!」
「「「「乾杯!」」」」
 が、麗美はやや元気がない。
「……お嬢様?」
「……大丈夫よマルチナ。元気元気。麗奈やおじ様たちにも、これ以上心配かけさせるわけにはいかないわ」
 しかし、マルチナ・堀江……メイドの彼女は、不安だった。
 麗美はあの悲劇から立ち直りはした。が、今も悪夢にうなされる事が少なくない。
「麗美様のためなら、何でもしてあげたい。けど……」
 自分はメイド、身の回りの世話以外、何もできない。
 テーブルでは、お嬢様たちがメイド談義及び、ウチのメイド自慢を。
 メイドたちは、皆てきぱきと動き、粗相などない。が、宴もたけなわになったその時に、
『貴様ら! 正気か!』
 その部屋の扉を開き、カラスの頭部を持つビルシャナが姿を現した。その後ろには、十人以上の信者が。
『メイドが好き? ならば……ドジっ子メイドこそが至高! しかも、気の弱いオドオドしたドジっ子メイドこそが最高にして究極! なのになんだそのメイドたちは! 仕事ができるメイドなどメイドではない! そんな事もわからんのか! これだから最近の若いもんはイカン! 反省しろ反省!』
「……って、誰ですか?」「何をおっしゃってるの?」
 その場のお嬢たち、そしてメイドたちが、怪訝の眼差しを向けた。しかし当の本人たちは、
『我らは「ドジっ子メイド愛玩推進連盟」! 通称『ドメ愛連盟』! 貴様ら、メイドが何をてきぱきと仕事をしているか! 有能でないメイドだからこそ、慈しみたくなる。そんな事もわからんのか! わからんのだな!』
 と、勝手に叫び、勝手に結論付け、
『ならばわからせてやる。かかれーっ!』
 勝手に襲撃した。

「……ちょっとまえに、魔草少女の事件があったこと、おぼえてる? 弓月・永凛(サキュバスのウィッチドクター・e26019)さんたちが参加した事件なの」
 ねむの言う事件は、聖ウリエル女子大付属中等部で起こった案件だが、ケルベロスらにより無事解決。
 しかし今度は、ウリエル女子大付属女子高等部で、ビルシャナが出現した。
 高等部の校内、その裏庭の旧校舎の会館は、一部生徒たちの部室として使用。
 その中の一室は、『メイド愛で隊』という集まりの部屋になっている。
 実際に美少女のメイドを雇っている子女が、そのメイドをいかに愛でているかを自慢し合い、そして美少女メイドの良さを美少女たち同士で語り合う……という、趣味丸出しの集まりなのだが。ちなみに、他校の生徒も許可をもらい参加している。
「それで、『メイド愛で隊』は、麗美さんがまえに中心になってたの。けど……」
 麗美は、目前で両親が死ぬところを目撃し、心に傷を負って入院してしまった。最近になってようやく退院し、以前のような生活に戻りつつある。
 以前の麗美は、美少女好きでコスプレを見て『ぐへへ』と顔を緩ませるようなところがあったが、今は……元気があまりない。
 なので、元気を出してもらおうと、皆が誘ってお茶会を開催したのだ。
 そして、今回は全員が自分の所のメイドを連れていた。彼女たちは全員美少女であり、同時に皆優秀に仕事をこなしていた。
 そこに、かのビルシャナが攻め込んできた、というわけだ。
「こんどのビルシャナは、カラスの頭と羽根をもってるのね。それで、ゆるせないものっていうのが……」
『メイドは気の弱い、ドジっ子に限る』という主張を掲げているというのだ。
「いってること、よくわからないけど。まとめると……」
『メイドは、気が弱くあるべし。ご主人様からきつく言われてオドオドして、失敗するからこそ良いのだ』
『メイドは、ドジっ子であるべし。ドジだからこそ、その役立たずな点、無能な点に萌えるのだ』
 ……というのが、『ドメ愛連盟』の主張の主旨らしい。
 ビルシャナの信者たちは、男女半々で十数名以上。年齢層も十代後半から三十代くらいとバラバラであるものの、主義主張はビルシャナと同じ。
 このような穴だらけの主義主張に対しては、おそらくメイド好きなケルベロス諸氏ならば、効果的な反論が行えるだろう。
 ビルシャナは、浄罪の鐘と経文、閃光を有する。が、浄罪の鐘でトラウマを刺激されたら、麗美はどうなるか。その点が心配だとねむは言った。
「お茶会してるみなさんの避難誘導は、中等部の麗奈さんも手伝ってくれるの。だから、みなさんは説得の方に注力してほしいのね」
 ともかく、このような連中を放置しておくわけにはいかない。
「メイドさんにかんしては、よくわからないけど……みなさんなら、きっと説得できるとおもうの。インパクトある説得で、信者のみなさんをいいきかせて、ビルシャナを倒してほしいの」
 かくもメイドは、ある種の人間を狂わせるものなのか。罪深きそれに入れ込み過ぎた者たちを何とかせんと、君たちは決意するのであった。


参加者
日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)
テレサ・コール(黒白の双輪・e04242)
弓月・永凛(サキュバスのウィッチドクター・e26019)
安尻・咲笑(跳惑ガーネット・e30371)
エル・ネフェル(ラストレスラスト・e30475)
草薙・美珠(退魔巫女・e33570)
風陽射・錆次郎(戦うロボメディックさん・e34376)
レイファ・ラース(シャドウエルフの螺旋忍者・e66524)

■リプレイ

●ご命令はメイドですか?
「あら、そちらの小さなお客様は?」
「まあ、かわいい。中等部ですの?」
「ごきげんよう、お姉さま方。わたしは天現寺・麗奈(地球人の妖剣士・en0313)。中等部で、麗美の妹です」
「まあ、そうですの。麗美さんとマルチナさんとは、親しくさせていただいてます」
 挨拶する、『メイド愛で隊』のお嬢様たち。
 隠密気流で紛れ込んだケルベロスは、
(「……いかにも、『お嬢様』って感じねえ」)
 レイファ・ラース(シャドウエルフの螺旋忍者・e66524)は、そんな事を思っていた。
 メイドたちの中にも、
「……めいど……つまりは、お手伝いさん? 妙なものが好きな鳥妖魔もいたものです」
 と、メイドの服姿の草薙・美珠(退魔巫女・e33570)も、控えていた。
 この部屋は、大きなテーブルが中央に、部屋の端には水回りとIH式のコンロのあるキッチンがあった。
 そして、メイドたちの多くは主人たちの後ろ、大きな円卓に座るお嬢様たちの、席の後ろに控えている。
(「それにしても……」)と、美珠はレイファの後ろに立ちつつ、ふと思った。
(「神様が用意して下さった、このお手伝いさんの制服……妙に裾が短すぎませんか? スカートの丈も短いですし、背中も大きく開いてますし……」)
 きっとそういうものなのだろうと、美珠はいつも通りダマされつつ待機を続行。
(「……美珠様のメイド服、露出度高くて良いのです」)
 と、麗奈付きのメガネメイドを装い、テレサ・コール(黒白の双輪・e04242)も待機。
 お嬢たちが皆で、メイド談義に花を咲かせていたところ……、
『貴様ら、正気か!』
 ビルシャナが、その姿を現した。

「……あの、麗美姉様にマルチナさん、それに皆様、逃げて頂けますか?」
 と、そいつらが姿を現すとともに、麗奈が立ち上がり、一般市民のお嬢およびメイドたちに促した。
『え? あ、おい! 何を逃げておる!』
 と、ビルシャナ及び信者の方が驚きつつ、皆はそそくさと撤退。
 しかし、
「え?」
「まあ、何ですの?」
「ちょっと、臭いますね……それに、なぜ……裸の方が二人も?」
 逃げる皆をかき分けるようにして、
「あ、あの……どうも……」
 自信無さげな獣人少女、安尻・咲笑(跳惑ガーネット・e30371)が、きつい体臭とともに部屋に入って来た。
「あら、お嬢様。もっと堂々となさらないと」
 彼女に従うは、頭部にホワイトプリム、手首にそで口のみのカフスとカフスボタン、ヒールのないパンプスを履いた、『ほぼ』全裸のメイド。その名はエル・ネフェル(ラストレスラスト・e30475)。
「麗奈ちゃん、あとは宜しくね」
「はい、お姉様!」
 そして、同じく『ほぼ』……というか、完全に全裸状態の美女、弓月・永凛(サキュバスのウィッチドクター・e26019)も、二人に続く。
「……麗美さん、それにマルチナさんも、ごきげんよう」
「あ……永凛、さん。ごきげんよう」
「以前は、ありがとうございました。お元気そうで何よりです」
 と、お嬢とメイドたちが去る様子を横目で見つつ、
「……なんだか俺たち」
「ちょっと……場違いな気がするねえ」
 女子の園に迷い込んだ男子二人、日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)と風陽射・錆次郎(戦うロボメディックさん・e34376)も、室内に入って来た。

●まちカドメイド
『ふんっ! 貴様らが何者か知らんが、我等「ドメ愛連盟」に逆らうつもりか!』
 虚勢を張るビルシャナだが、
「なあ、そのドジっ子メイドっての。『ただし美少女に限る』とか付かないか?」
 蒼眞が、意見を述べる。
『なんだと?』
「いや、年配のメイドが同じくドジなら、かえって殺意が湧きそうになるが」
『はぁ~? メイドは美少女がなるもの! それ以外はメイドとは呼ばん!』
『これだからにわかは困るでござる』
 などと、返答になってない返答を返す信者たち。
 しかし、彼らに対し、
「いや、にわかは君らだよ」
 錆次郎が進み出た。
「そもそもメイドとは『家事一般』『家庭内労働』の一切を手掛ける、いわば『肉体労働者』なんだ。女の子には本来、ハード過ぎて務まらない職業なんだよ」
『……そ、そんな事があるわけが』
「あるんだよ。そんな仕事、ドジっ子で、しかも気が弱かったら、務まらないんじゃない?」
『だったらなおの事、そういうメイドを愛でる必要あり! そうだろ諸君!』
『そーだそーだ!』
 と、これまた返答にならぬ返答。
「……それ以前に、気の弱いドジっ子メイドに世話になってるのは、色々問題があるぞ」
 と、今度は蒼眞。
「毎回失敗では仕事が進まないし、忙しい時やられると怒りたくもなるだろう。怒ったりすれば、委縮して更に失敗し、悪循環になりかねないしな」
『だからこそ……』
「それに、気の弱い娘だと……きちんと『怒ってくれない』のも問題だ。例えば朝起こしてもらう時、『あと五分』と言えば眠らせてくれるだろうが、結局は遅刻してしまう。何より……」
『な、何より?』
「何より、自分が気付かないうちにメイドさんに嫌な事をし続け、指摘されなければ気付けもしない。いつの間にか辞められたり、刺されたりするのは洒落にならんしな」
 蒼眞のその指摘に、
『だ、だからなんだ! それすらも愛でれば済む事!』
『そーだそーだ! ドジっ子メイド以外いらん!』
 聞き入れるつもりなしの信者ら。それに対し、
「……『メイドは自由』。テレサちゃん、それを主張します」
 テレサが進み出て……その場に座り込む。
「メイドを汚し、忠誠心を食い荒らす愚かなご主人様どもに、然るべき制裁措置をとりたく思います」
『な……そこのメガネメイド! 何を抜かすか!』
『わかってないんだな、ご主人様に一喜一憂しおどおどするのが良いんだな』
 などと言うご主人様たちに対し、
「わかってないのはそちらです。テレサちゃん、ここマジメに言いますよ」
 と、迫るテレサ。
「主張したい点は……ドジっ子メイドは、きちっと仕事する他のメイドとの『対比』によって成立している事実です」
『……ええと、どういう事でござるか?』
「『メイドが全員ドジばかり』でしたら、一人のメイドがドジっても『ドジっ子』とは思われないでしょう?」
「まさしくそうです!」と、テレサにレイファが加わる。
「ドジっ子メイドさん……確かに素晴らしいものです! ですが、美味しい食事を用意し、部屋を綺麗にして、笑顔で支えてくれるメイドさんは可愛いですし! 仕事ができて、主人を見下してくれるメイドさんも最高じゃないですか!」
 と、レイファはまくしたてる。
「お茶を出しつつ悪態つかれたり、時折蔑んだ視線を向けたり……想像するだけで興奮します。そのようなメイドさんがいるからこそ、ドジっ子メイドさんのドジさが輝くというもの……」
 ゆえに……と、テレサとレイファは、
「我々は『メイドの存在価値観』と!」
「主の『メイドさんに対する精神的地位の改革』を、要求しますッ!」
 言い放った。
「……ええと、どういう事でしょう?」
 信者らとともに、美珠もちんぷんかんぷん。
「まあ、『もっとメイドを大事にしてほしい』って事でしょうね」
 苦笑しつつ、永凛は補足した。

●トニカクメイド
『な、なるほど!』
『ドジでないからこそ、ドジが目立つのでござるか……』
 と、信者らは何人か説得できたものの、
『ぐ、ぐぬぬ。メイドはドジっ子に限るのだ!』
 と、またもビルシャナの反論にならぬ反論が。
「え、ええと……メイドに必要なのは……ドジではないです」
 そんな彼らに、エルの裸をちらちら見つつ赤面している咲笑は、
「必要なのは……『忠誠心』です!」
 と、言い放つ。
「そうです。私は咲笑さんのメイド……彼女からの指示で……こ、このような姿でメイドをつとめさせて頂いています」
 エルもまた、赤面しつつ……その裸身をさらす。
「あらあら、恥ずかしがっちゃって、かわいい」と、同じく裸の永凛。
「でもまあ、私も同意見よ。有能でないから愛しいのは分からなくはないけど、それだけでは不十分ね」
『なんだと!』
『どういう事でござるか!』
 まだ説得に至らぬ信者らが、問いかけた。
「メイドへの輝きは、『主人への奉仕の心』にこそ有るわ。最初はドジで、気が弱くても……その想いにより成長し、仕事もこなせるようになっていく……その『過程』があるからこそ、慈しむ事ができるの」
 永凛の言葉を聞き、
『……ドジっ子が、成長し「できる子」に……』
『……成長して「強き心」を持つように。その原動力は、「奉仕と忠誠」から……』
『……そうね、確かにこれは……尊いわ!』
 さらなる多くの信者が、陥落した。
 が、まだまだ信者の多くは不納得。彼ら彼女らに対し、
「では、ご主人様からの命令でご奉仕する、メイドの忠誠心をご覧あれ……」
 エルが、咲笑に視線で合図を。
「あっはい……そ、それでは……」
 その咲笑が、自身も含めた恥ずかしい行為と命令とを、開始した。

「お、大きく足を広げて……見せつけるように、二つの穴を……自分で、かわいがりなさい。でも、イクのは禁止です」
 咲笑が、赤面しつつ命じる。
「はい、ご主事様の為なら……あんっ」
 そして、エルはそれに従った。
「……そ、その状態で……私のお尻と、あそこに……あんっ!」
 仰向けに横になり、自身も開脚した咲笑は、
 恥ずかしい『ご奉仕』を命じた。汚れて悪臭漂う自身の股間とお尻に、エルの顔を押し付けたのだ。
「あはっ、ご主人様……あっ……すごい臭い………」
「くっ……あっ、あひっ! だ、だめぇ……」
 見られつつ、恥辱の行為を……忠誠心とともに従うエル。
 裸の肌が上気し、咲笑の毛だらけの股間付近も悪臭が漂い。
「……あああっ!」
 放屁とともに……お尻から噴き出た。それをそのまま……、
「んっ……あむっ……」
『こ、これが……忠誠心』
『メイドは、これが重要、なんだな……』
『忘れていた……大切な事を、忘れていたっ!』
 と、色々と強烈なその情景を見て、半数は感動し……見入っていた。
『さすがに、これは……』
『ちょっと引くんだな……』
 とはいえ、半数はその光景に引き気味。
『……た、確かに、メイドは忠誠心が絶対に必要ッ……し、しかし……ッ』
 ビルシャナすら、彼女らの行動に戸惑いを隠せない。
 そんな残りの信者及びビルシャナに対し、
「なら、こちらに! お手伝いさんたるもの、きっちりと仕事をこなせないといけません! 私のお手本を見て下さい!」
 と、美珠が誘った。

●おちこぼれフルーツメイド
「お姉様、避難は終わりました……ひゃああっ?」
 麗奈が戻ると、
「あら麗奈ちゃん、お疲れ様」
 死屍累々な信者たち、及び、なぜか拘束されたビルシャナの姿が。なぜかテレサや蒼眞、錆次郎も警戒している。
「……何か、したんですか? したんですね?」
「あ、麗奈さん! ……いえ、私がただ『お手伝いさんの手本』を見せようとしただけなのですが……」
 と、美珠が首をかしげる。
「皆さんに仕事をこなす様子を見せようと思いまして、まず鳥妖魔と信者の皆さんを卓につかせ、お茶を淹れようとしました」
「……お湯を沸したら、IHコンロなのに火が噴き出して、信者たちに直撃したわ」と、永凛が補足。
「……『熾炎業炎砲』が、出ちゃったんですね」
 麗奈は何が起こったのか、悟ってしまった。
「その後で、お湯をこぼしてしまったので、モップで床を拭きました」
「……その時、つまずいて、ビルシャナに攻撃が直撃したわ」
「『氷結の槍騎兵』を、放っちゃったんですね」
 なんとなーく、この後に起こった事が予測できてしまった麗奈。
「それで、濡れてしまった服を干そうと、洗濯紐を張って洗濯物を干そうとしましたが……」
「洗濯ロープの代わりに、なぜかグラビティが炸裂しちゃったのよね」
「……どこをどう間違えたら、洗濯用ロープと『禁縄禁縛呪』を間違えるんでしょう」
 予想が大当たり。喜ぶべきか、否か。悩む麗奈だった。
「でも! よくわかりませんが、信者の皆さんはおとなしくなって、鳥妖魔も捕まえました! きっちり仕事をこなすお手伝いさんに、感動してくれたんでしょうね!」
『えっへん』と、無い胸を張る美珠。
 そんな彼女から、こっそり逃げようとするビルシャナだったが、
「麗奈ちゃん、『魂うつし』ありがとう。……とりあえず、あの世に逝ってもらうわね」
 永凛の攻撃で、止めを差されるのであった。

●アダルトリリィメイド
 とりあえず、信者たちは全員命に別状はなかったが……、
『ドジっ子メイド、怖い……ドジっ子メイド、嫌い……』
『メイド……やっぱり、出来るメイド……』
 命の代わりに、心に何かトラウマが生じてしまった様子。
「ほぼヒールの必要はなかったけど……」と、錆次郎。
 しかし、未だに続いている咲笑とエルと、一部信者らの乱交……体臭と、排泄物とを放つそれを見て、距離を取っていた。
「こ、こんなの……初めて……」
「はあっ……臭いのに、良いにおい……♪」
 お嬢とメイドの一部も、それに参加している。
 エルは、咲笑や男性信者たちの放尿を口で受け止め、それを味わいつつ飲み下し……、咲笑や女性信者らのお尻に、舌を這わす。
「だ、だめぇ……出ちゃう……んぷっ」
 咲笑は、別の女性信者の露わになったお尻を顔に押し付けられ、そして……、
「「!」」
 自分も出しつつ、彼女が出したものを受け止めていた。

 咲笑やエルたちの行為は、終わりそうになかったため、皆は別室に移ると。
『メイド愛で隊』の会合がそこで再開された。
 錆次郎と蒼眞も、それに混ざる。
「……僕もそういうドジっ子メイドさんは好きだけど、それはそれ。ファンタジーとして好きだからね。現実と分けないと、ドツボにはまると思うよ」
「まあ錆次郎様、良いこと仰いますね。蒼眞様はどう思われて?」
 お嬢様から振られ、
「あーっと、俺も、気の弱いドジっ子メイドも、仕事ができるタイプも、大好きですよ」
 返答する蒼眞。
(「まあ、雇う財力ないし、無縁だろうけどな」)と、心の中で続けた。
「あの、テレサさん? 眼鏡がお似合いですね。眼鏡メイドというのも、わたくし良いと思いますの……」
 ウリ女の生徒の一人が問いかけ、
「眼鏡メイド、あなたもご興味が? 詳しく話合いをしたいです……」
 会話が弾むテレサ。
「麗美さん」
 そして、永凛は麗美へと語る。
「マルチナさんは、麗美さんが帰ってくる事を信じてずっと貴女をお世話していました。その献身ぶりは、傍から見ても名家に仕えるメイドとして相応しいものでした」
「……ええ、彼女には感謝してます」
「その奉仕の心の源は、紛れもなく麗美さんへの一途な献身の心……すなわち愛情だと私は思います」
 なので……と、マルチナと麗美とを見て、永凛は言った。
「どうかマルチナさんに、ご褒美を与えてはもらえませんか?」
 マルチナの方を見ると、彼女も俯いている。
 彼女たちは、互いに互いを想い合うように見つめ合っていた。
(「これ以上は、野暮ね」)そう判断すると、彼女は麗奈とともに外へと赴いた。

「だ、だめだよぅ……ふあっ」
「ま、まあ……据え膳は食う主義だが……うっ」
 事後。
 近くのラブホの一室にて、蒼眞と錆次郎にご奉仕する美珠の姿があった。
「か、神様に言われましたので……殿方にご奉仕するのは、当然だと……んむっ……」
 両の手で彼ら自身を握り、愛撫する美珠。
「え? きゃあっ!」
 迸りを顔に受ける美珠。白濁で汚れた彼女の後ろには、元信者の男女も数名。
「あ、あの……ご奉仕、致します……ひゃあっ!」
 そして、全員が美珠の服をむしり取り、のしかかる。
 彼女が部屋を出られたのは、次の日の朝であった。

 隣の部屋では、
「ほらほら、ひざまずいて靴をお舐めなさい」
「鞭でぶたれたいですか? どうしようもない変態さんですね」
 嗜虐的なお嬢様とメイドから責められる、レイファの姿が。
「は、はいぃ……変態なわたしに……お仕置き、してくださひぃ……」
 被虐に悦ぶ彼女が、この部屋を出られたのは、やはり次の日の朝であった。

「あの、お姉様。これは……」
「麗奈ちゃんは、そのままで良いのよ? えっちで可愛くて、私のお願いを何でも聞いてくれる、とってもステキな女の子なんだから……」
 そして、旧校舎の屋外では。
 リード付首輪を付けた、全裸の麗奈がいた。そのリードは、永凛が握っている。
「ううっ、恥ずかしいです……」
 恥じらう麗奈だが、どこか期待の眼差しも向けている。
「じゃあ、異常が無いかどうか旧校舎をお散歩……いえ、見回りに行きましょうか♪」
「……はい♪」
 全裸の二人は、そのまま……校舎内を歩き始めた。

作者:塩田多弾砲 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年11月3日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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