醤油と水に小麦粉をぶち込む簡単な料理

作者:久澄零太

「醤油うめぇえええええ!!」
 いや待ってくれ違うんだよ、今回の鳥さんは醤油がぶ飲みしてるわけじゃないんだ。よく見ろよ、ずるずる麺すすってるだろ?
「ラーメンは醤油に限る!」
 というわけでラーメン対決しないといけない雰囲気……あ、やべ。この情報は後半で出すはずだったのに……。
「行くぞ同志達! この町から醤油以外のラーメンを駆逐してやるのだ!!」
『イェスヌードル! ゴーソイソース!!』

「みんな大変だよ!!」
 大神・ユキ(鉄拳制裁のヘリオライダー・en0168)はコロコロと地図を広げて、とある田舎町を示す。
「ここに醤油ラーメンこそ至高ってビルシャナが現れて、信者を増やそうとするの!」
「ラーメン……昨日の夕飯のアレだな? スープに黄色い麺が入ってた……」
 などと、昨夜のことを振り返るブリジット・レースライン(セントールの甲冑騎士・en0312)だが、彼女が食べていたのはバジルコンソメスープのボンゴレパスタである。スープパスタとラーメンが同じ物に見えているあたり、説得『麺』は役立たずなので期待しないでおこう。
「今回は醤油以外の『美味しい』ラーメンを作って食べさせて、ラーメンの多様性をアピールしたら信者が目を覚ましてくれるよ!」
 さて、ユキが何故味の面を強調したか分かるかい?
「番犬のみんなって、こう、ほら、個性的な人が多いから……ね?」
 ユキが遠回しに言っていたからハッキリ伝えておこう。番犬の中に稀によくいる、壮絶な辛党とか、何故か調理結果が新手の神話生物になる連中に釘を刺しておきたかったらしい。
「あ、ビルシャナは町の中を屋台を引いて歩き回ろうとしてるから、まずはここに向かって!」
 ユキが示したのは町外れの河原。周りに民家もないから戦闘に支障はないが、調理には大いに支障がある。野外調理できるラーメンや、キャンプで使える調理法まで考えておく必要があるだろう。
「それじゃみんな、頑張ってね……ラーメン、うぅん」
 話してて食べたくはなったものの、カロリーとの睨めっこになるユキを横目に、ルフ・ソヘイル(嗤う朱兎・e37389)は思う。
「人参ラーメン……いや、厳しいっすかね……?」
 趣味に走るのはほどほどにな!?


参加者
日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)
モモ・ライジング(神薙桃龍・e01721)
セット・サンダークラップ(青天に響く霹靂の竜・e14228)
比良坂・陸也(化け狸・e28489)
風陽射・錆次郎(戦うロボメディックさん・e34376)
ルフ・ソヘイル(嗤う朱兎・e37389)
アンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173)

■リプレイ


「新番組、【太陽機に乗ってみた。】始まるよぉ!」
 風陽射・錆次郎(戦うロボメディックさん・e34376)がなんかおっぱじめた!?
「出撃前の太陽機の様子をお送りしちゃうよぉ」
 ねぇこれ大丈夫?通報されない?今日のメンツって確か……。
「にゃんこガード!」
「ひゃっ!冷たーい!」
 ルクティリア・スナイプシス(氷華・e84715)とユキが抱き合ってむぎゅー……。
「これから戦場に赴くとは思えない光景だよねぇ」
 だろうねぇ!?
「でも本番はここからなんだよぉ……!」
 何を言ってるんだと思ったあなた。今回は奴もいるんですよ。
「貧乳と巨乳が交わりおっぱいに見える……今こそ漢の決戦の時!」
 えぇ、日柳・蒼眞(落ちる男・e00793)です。
「行くぞ!おっぱいダイ……」
「ふぅー……」
 蒼眞が飛び掛かろうとしたその瞬間、ルクティリアが半眼ジト目で息を細長く吐いた。その吐息が空気中の水分と反応して氷壁を生み出すと、跳躍した蒼眞がびたーん!拡張していく氷の空間の中に収容されると。
「セクハラはメッなのです」
 つんっ。指先でつつかれて床を滑り、自動で開いた扉からひゅーん……。
「おっぱいダイバーがスカイダイバーになっちゃったねぇ……それじゃあ現場の映像をお送りするよぉ」
 などと画面(?)が落下中の映像になっているうちに、錆次郎が寄せられたコメントをチェックすると。
「視聴率稼げるとは思ってたけど、予想以上だねぇ……あれ、なんかお着替えを要求されてるんだけど……」
「なんでだろうね……」
 錆次郎が首を傾げると、ユキは大空に浮かぶどや顔ツインピースの大食い魔人の幻覚を眺めていた……。


「この町から醤油以外のラーメンを駆逐し」
 ドゴンッ!
『教祖様ー!?』
 説教してた鳥さんに直撃した氷塊、その表面がスライドして炬燵にインした蒼眞が射出されると、天板が開いてカップ麺(とんこつ味)がオンステージ。
「ラーメンって言ったらカップ麺だろう!?」
「いやその前になんなんだお前は!?」
 一周回って冷静な信者たちの前で、炬燵の中から引っ張り出した魔法瓶。カップ麺にお湯を注ぎ、タイマーを仕掛けた蒼眞が言うことには。
「醤油ラーメンでさえあればよいとは、拘りの無い方々だな……一口に醤油ラーメンといっても、鳥ガラスープのものとか魚介スープのものとか色々とあるだろうに……そんなに醤油味が好みなら麺に醤油をかけて食べてもよいんじゃないか……?」
「お前天才か……!」
 ガッ!信者が蒼眞を引っ掴み。
「そうだ、真の醬油ラーメンとは醤油で食べるラーメンに違いない!行こう同志、この真実を人々に広めなくては!」
「おいバカ放せ!三分で俺の豚骨ラーメンが……!」
 蒼眞のラーメンは犠牲になったのだ……。
「お醤油に浸けただけのラーメン……ひんやりしてるのかなー?」
 新手のつけ麺だろうかー?って首を傾げるルクティリアの前に、ごとり。鳥オバケが作った醬油ラーメンが置かれる。
「まぁまずは食べたまえ。先ほどの様子からして、未だ醤油ラーメン教に染まっていないメンラーなのだろう?」
「私、熱いの苦手なんですよね」
「なん……だと?」
「いや、種族的にってことですけど」
「あぁ、それなら仕方な……」
「個人的にも好みってわけではないですけどね~」
「どっちなんだ!?」
 鳥さんを弄ぶルクティリアはクスクス笑いながら、ざる盛りの麺とライトブラウンなスープを並べて。
「という事で持ってきましたのはつけ麺系!スープは既に用意済み!後は温めるだけ!」
「貴様ァ!鳥が醤油ラーメンの話をしてる最中にどういう……」
「ドラゴンファイヤー!!」
「ぼんじりぃいいい!?」
 話の途中でセット・サンダークラップ(青天に響く霹靂の竜・e14228)は戦場の河原に転がってた手ごろな岩で竈を作ると、竜の吐息で着火。ついでに鳥さんの尾羽にも延焼したが、川に飛び込み鎮火したからセーフ。
「じゃあ焚き木借りちゃいますね~」
「どうぞっす!オレは先にこれを降ろさないといけないっすから……」
 と、セットが自分を示す。彼はコック服に身を包み、背中には寸胴と中華鍋を背負って、右腰には複数の水筒、左腰にはクーラーボックスと、一体どこにキャンプしに行くんだ?ってレベルの重装備。夏休みの小学生でもこうはならんやろ。
「つまり、大人の秋休みっすね!」
 お前は何を言ってるんだ……?
「胡麻を擦り潰した胡麻ダレですよー。ちょっと辛みを入れてピリ辛風味にしてるから、トロリとしてるけど、食べるとスルッといけちゃいますよ」
 セットが不思議な事を言っている間に「不思議ってなんすか!?季節に合わせたのに!!」はいはい。とりあえずスープの加熱を終えたルクティリアが信者に器と麺を配り。
「辛みは次々に口にいれちゃうようにってね。ちょっとだけ辛みがあるとなんでか食が進むでしょ?」
「これは、カレー理論!!」
「……カレー?」
 なんでゴマつけ麺がカレーなのかー?って顔するルクティリアだが、信者はほどほどに辛い物ほど後を引くって事を言いたかったらしい。
「麺はスープに絡みやすい縮れた細麺ですよ~つけなら太い方がいいだろうけど、あえて細麺。こっちの方が食べやすい気がするし。さぁさぁ醤油だけでなく、こっちも召し上がれ~」
 細麺にしたことでスープが多く啜られることになり、ゴマの香りに七味の香りが重なる香ばしいつけ麺に。ただまぁ。
「ずっと食ってると、辛い!!」
「そこはほどほどにねー」
 などと、スープ鍋を(勝手に)借りた鳥オバケの屋台のコンロで温め保温に入ったルクティリアに代わり、寸胴をセットしてスープを温め始めたのはセット。十分に熱を取り戻すまでの間に麺を茹でておき、器に移したらクーラーボックスからゴマとネギをトッピング。
「最後に梅干しペーストで彩りを添えたら、完成っす!」
「え、中華鍋は……?」
「スープ用の寸胴と、麺茹で用の中型鍋しかいらないって事に、ついさっき気づいたんす……」
 具材調理用に持ってきた鍋だったが、セットのラーメンは薬味しか使ってない。
「とにかく塩ラーメンを食らえっす!!醤油だと味が強すぎて梅は合わないっすが、塩味ラーメンならこういうのもできるっすよ!こういう変化球ができるのもラーメンの可能性ならではっすー!」
「ここまでゴマ、塩ときたら次は濃厚枠……豚骨の出番ですね」
 キリッと腕組みしてスタンバイするのはアンヴァル・ニアークティック(バケツがガジェット・e46173)(メイド仕様)。何故ラーメン作るのにメイドで来てしまったのか。
「俺も執事服の方が需要が……?」
 落ち着けセット!コック服のお前は何も間違ってない!!
「あのー」
 と、ここで信者が挙手。
「豚骨ならあと一分でできるけど……」
 すっと、示された豚骨ラーメン(カップ麺)に注目が集まり、言いようのない沈黙が戦場を支配してしまった。
「そうだ!今こそ俺のインスタント豚骨ラーメンが……」
「次麺つゆで行こうぜ、麺つゆ!」
「俺のラーメンがぁああああ!!」
 一瞬帰ってきた蒼眞が引きずられていく……なお、気づいている人も多いとは思うが、信者のいう残り一分は信者がカウントを始めてから二分経ったものであり、実際には既に三分は突破済み。今頃うどんか何かのように伸び切っていることだろう。
「簡単なものほど奥が深いのです。お湯入れて三分でもできるものを、仕事を重ねてこだわって、最後に美味しくなる魔法をかける……それこそが最高のラーメンに至る唯一の道でしょうが!!」
 なんかそれっぽい事を、効果線使いまくって叫んだアンヴァルが取り出したのはゲンコツ。あ、鉄拳のことじゃないで?
「本日はこちらの豚骨をベースにして、香味野菜と鳥ガラのコラボスープです!」
 鍋にゲンコツ、長ネギ、ニンニク、生姜といった薬味と共に、鳥ガラを加えてぐつぐつことこと。脂沸き立つ濃厚なそれに立ち向かうのは細麺。
「どうですかこのオークとビルシャナが交わりデウスエクスに見えるスープ!ここに今日は鶏と豚のチャーシューもつけちゃいます」
 刻み葱が申し訳程度の緑を添えて、茶色の肉々しいラーメンに向かい、アンヴァルは親指と人差し指をスライドして。
「おいしくなーれ、もえもえきゅん☆」
 ……うわぁ。
「なんですかその反応!?メイドさんの出汁が入った一杯とか、裏ルートの闇価格で流通してそうじゃないですか!愛情はそんなキナ臭さを一切感じさせない最高のスパイスなんですよ!?」
 気持ちはわかるが、それ、戦場でやる……?
「まぁ、味には自信ありですよ」
 実際、防具効果もあって味は旨いから質が悪い。
「オークへの恨みを込めて、ゲンコツ割りまくり骨の髄まで搾り取りましたから……次はビルシャナさんの番」
「えっ」
 川から上がってきた鳥さんを出迎えたのは、斧を構えたアンヴァルメイドでした……。


「うわなんかビルシャナとかすっげぇ懐かしい……全くもって嬉しくないけどよ」
 比良坂・陸也(化け狸・e28489)は鳥オバケとアックスメイドの鬼ごっこを眺めつつ、中華鍋で豚バラとキャベツ、白菜、ニラの三種キムチを炒める。その傍らで椎茸と昆布の合わせ出汁を鳥ガラスープと合わせて調整豆乳を加え、ほんの少しの白みそで隠し味。
「こいつは戻ってこれんのかね?せめて信者は戻ってこれりゃあ良いな。戻ってこれなけりゃあ、しょうがあるめぇ……迷い出ねえように送ってやるしかねえわな」
 などと感慨深くつぶやく陸也の視線の先がこちら。
「さぁ、大人しく鳥ガラを差し出すのです!」
「いやぁああ!骨をぶち抜かれるぅうう!!」
 鳥オバケに馬乗りになったアンヴァルが斧を振りかざすという猟奇的シーンだった。
「ははっ、若者は元気だな」
 陸也お前いくつだよ!?
「さて、ここでこいつの出番だぜ」
 狸は六十年の歴史を持つ老舗の麺を取り出した……って、これガチの奴じゃん!?
「やるからには常に本気で挑むもんだろうがよ」
 スープに麺を落とし、具材を乗せたらざく切りの水菜と小葱、白ごまを散らして。
「おら、食えや」
 店売りレベルのキムチラーメンが出てきたんだが……?
「旨い……豆乳をベースにしているが、滑らかな中に味噌の香りと出汁の旨味が引き出され、そのままでは静かに終わる味わいにキムチが刺激を運んでくる……!」
 信者が違う意味で撃沈しやがった……。
「ラーメンはご当地ラーメンを食うのも良いもんだし、その店のおすすめを食うのも良いもんだ。ま、速い話、色々食った方が旨いってこったな」
「知ってるかい?ラーメンとは、純然たる日本食であり、安い物から、高級な物まで、数限りなく多くの可能性を秘めた食べ物なんだよ」
 食べ歩きでもしたのか、思い出に浸る雰囲気の陸也から引き継いだのは錆次郎。その手には既に完成した塩ラーメン……速い!?
「これも、その一つだよ。こってりもいい、あっさりもいい、具材も様々、つまり、君たちはその可能性を捨て去ってるんだよね」
 錆次郎が差し出したのは一見すればキャベツモリモリの塩ラーメン。ここまで色々出てきた中に、ただのラーメンとあってはインパクトの欠片もなさそうだが……。
「なん、だと?」
 一口食べた信者が固まり、震える。
「こざっぱりしておきながら濃厚な旨味……これは、ホタテ……!」
「そうだよう、野菜と貝柱で取ったあっさり出汁なんだぁ……そして麺ももちろん、健康志向の……」
「こんにゃく!?」
 デュフ顔を浮かべる錆次郎は、トドメとばかりに金属の箱を持ち出して。
「そして調理は全て、この緊急用調理キットのみで作ったんだよぉ」
 自衛隊なんかが持ってるあれですね。本来は車両に搭載されており、それ一つで調理が完了できる優れもの。
「塩分はもちろん、糖質、脂質も計算済みでこの味……ちゃんとした設備で作ったら、もっと美味しくなるんだぁ……時代はダイエットと健康だよぉ?」
「くっ……ラーメンからジャンキー要素を奪うなど、許される事では……!」
「でも食べるんだねぇ?」
「うるせー!」
 ずぞー。


「健康とジャンキーの両立……これは味噌ラーメンしかないっす!」
 ルフ・ソヘイル(嗤う朱兎・e37389)は簡易テントの中で震えつつ、鍋をつんつん。
「そもそも屋台の中でも寒い河原の近くでラーメンはぬるくならねぇっすか?温かさが持続出来て更に熱いからこそ美味しくなれるのは、味噌煮込みラーメン以外にねぇっすよ!」
 ルフが用意したのは濃厚な味噌ラーメン。この前に出ていた豆乳、こんにゃくとの反動で凄まじくジャンキーに見えるそれは、味噌で煮込まれた野菜と共に。
「味噌ラーメンは熱を加えると味の深みと濃さが増す飽きない味。しかも野菜との相性抜群だから超ヘルシーなラーメンっすよ!」
「ヘルシー……?」
「知らねぇっすね~?野菜を入れればゼロカロリーっすよ」
 おいバカやめろ、その理論は参考にしてはいけないやつだ。それはさておき、信者はそっと錆次郎のこんにゃくラーメンを示す。
「アッ!駄目っす!さすがにこんにゃくには勝てないっすッ……!」
 ヘルシー視点だと味方内に強力な敵がいたことに気づいてしまったルフが崩れ落ちるが、ふと立ち上がり。
「いや逆に考えるんす!味噌田楽があるのなら、こんにゃく味噌ラーメンだって……!」
 まぁ、今日はやれないけどな。
「そして味噌ラーメンの特権、背徳感と幸せを与えてくれるバターを落として食べた時なんて『これしか勝たん!』そう思うっすよ!俺は思ってるっす!」
 味噌ラーメンをよそい、ずいっと信者に迫るルフだが、なんか赤みが強い丼を前にジト目る信者。
「人参、多くない……?」
「箸休めっすよ~何より根菜は煮込みにいいから味噌に合う!ほら、麺もしっかりあるっすよ!」
 信者とルフが味噌人参ラーメンを挟んで対峙している頃、モモ・ライジング(神薙桃龍・e01721)はブリジットの腰をポン。
「最初に言っておく!ブリジットさん、説得のアイデアありがとう!」
「お、おう……?」
 何のことかさっぱりなブリジットを引き連れて、モモは風除け用に用意した衝立の中で調理開始。
「ブリジットさんには特別に見せてあげる。一種のドッキリよ」
「どっきりか……」
 弩斬、と翻訳されたブリジットの脳内では、モモが手にした固い麺から斬撃が出る様を想像してしまった。そうとは知らずに調理を進めるモモは、乾麺と白い粉末をお湯に加えてやや硬めに茹で上げる。そちらが仕上がるまでの間に刻みニンニクを炒め、香りが立ち始めたら玉ねぎを追加。透き通ってきたら豚バラ、きくらげを投入し、火が通ったら牛乳、生クリーム、鳥ガラスープ、味噌で煮込む。
「菓子でも作っているのか?」
「いいえ、生クリームは口当たりをよくするものなの」
 などと言いつつ、チョコを頬張るモモをブリジットがじー。
「入れないのか?」
「これは隠し味じゃないわよ!?」
 と、ここで麺を加えて煮込み、味が馴染んだらゆで卵を添え、ゴマと青ネギを散らして完成。
「私も味噌ラーメン作ったわよー!」
「おお、やはり味噌はいいっすよね!」
 モモにルフが同調し、信者がずぞー。
「味噌でありながら塩味が持つ刺激が抑えられている……ある意味、甘口味噌ラーメン……?」
 にやり、モモが不敵に笑う。
「さて、問題よ。あなた達が食べてるのは本当にラーメンなのかな?」
 その問いかけに、信者は一斉に錆次郎を見た。
「僕は関係ないよぉ!?」
「嘘つけ!」
「これも実はこんにゃくだな!?」
 その解答に、モモはニタァ。
「ブリジットさん、正解の発表を!」
「なるほど……これは、どっきり麺だッ!!」
 名状しがたい冷たい風が吹き抜けていく……。
「違う、そうじゃない……!」
 頭痛を覚えたモモがこめかみを抑えつつ。
「正解は、これよ!」
 モモが取り出したのは、パスタ。
「スパゲッティに重曹を加えると、ラーメンみたいになるのよね……つまり、あなた達はラーメンとパスタの違いも分からなかったのよ!!」
『そんな、馬鹿なぁ!?』
 衝撃の事実を前に、信者一同が(精神的に)自害してしまった。
「おーし、とっとけーるぞ」
 転がってる信者を毛布で巻いて、荷車に積み込み始める陸也の傍ら。
「ラーメンが……俺のラーメンが……!」
 ようやく帰ってきた蒼眞は伸び切ったカップ麺を前に絶望し、そんな彼にルフが肩ポム。
「人参、食うっすか……?」
「せめてラーメンじゃないのかそこは!?」
「ちゃんと麺もあるっすよ!?」
「じゃあこっち食べる?」
 と、モモが差し出しながら。
「まぁ、それパスタだけど」
「またしてもラーメンじゃねぇ!?」
 崩れ落ちる蒼眞に、錆次郎がそっと塩ラーメン。
「苦労してるんだねぇ」
「まぁな……あれ、これなんか食感が……」
「こんにゃく麺だよぉ」
「ま た か よ !」
 ラーメンにありつけない蒼眞を眺めて、セットとルクティリアは並んで冷やし中華をずぞー。
「説得前にお湯入れたりするからー」
「やっぱり温めないっすか?冷やし中華はさすがに寒いっす……」
「今年最後かもしれないから存分に味わいましょー」
「ふぐぇ……」
 各々が時間を過ごす中、アンヴァルはってーと。
「鳥ガラスープを作りましょう♪オークと一緒に煮込みましょう♪攻性植物隠し味♪」
 なんかやべースープを煮込み、空の彼方から微笑む鳥さんがその姿を見守っていた……。

作者:久澄零太 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年10月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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