●都内某所
乾燥機が捨てられていたのは、廃墟と化した家電量販店であった。
そこには同じような乾燥機が幾つも捨てられており、まるで墓場のように不気味な雰囲気が漂っていた。
おそらく、この場所ならば、捨てても大丈夫だと思い込んでいるのだろう。
場合によっては、誰かが回収してくれる事を、期待しているのかも知れない。
だが、そこに現れたのは、回収屋では無かく、小型の蜘蛛型ダモクレスであった。
小型の蜘蛛型ダモクレスは、乾燥機に機械的なヒールを掛けた。
「カンソウキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィイ!」
次の瞬間、ダモクレスと化した乾燥機が、耳障りな機械音を響かせ、廃墟と化した家電量販店を飛び出すのであった。
●セリカからの依頼
「アクア・スフィア(ヴァルキュリアのブラックウィザード・e49743)さんが危惧していた通り、都内某所にある廃墟で、ダモクレスの発生が確認されました」
セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が、教室ほどの大きさがある部屋にケルベロス達を集め、今回の依頼を説明し始めた。
ダモクレスが確認されたのは、都内某所にある廃墟。
この場所は以前まで家電量販店であったが、近所にライバル店が出来た事で、廃業に追い込まれてしまったようである。
「ダモクレスと化したのは、乾燥機です。このままダモクレスが暴れ出すような事があれば、被害は甚大。罪のない人々の命が奪われ、沢山のグラビティチェインが奪われる事になるでしょう」
そう言ってセリカがケルベロス達に資料を配っていく。
資料にはダモクレスのイメージイラストと、出現場所に印がつけられた地図も添付されていた。
ダモクレスは沢山の乾燥機が合体して、ロボットになったような姿をしており、耳障りな機械音を響かせながら、ケルベロス達に襲い掛かってくるようである。
「とにかく、罪もない人々を虐殺するデウスエクスは、許せません。何か被害が出てしまう前にダモクレスを倒してください」
そう言ってセリカがケルベロス達に対して、ダモクレス退治を依頼するのであった。
参加者 | |
---|---|
ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471) |
ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣精・e11231) |
七隈・綴(断罪鉄拳・e20400) |
カシス・フィオライト(龍の息吹・e21716) |
花見里・綾奈(閃光の魔法剣士・e29677) |
瀬入・右院(夕照の騎士・e34690) |
アクア・スフィア(ヴァルキュリアのガジェッティア・e49743) |
リサ・フローディア(メリュジーヌのブラックウィザード・e86488) |
●都内某所
「今回ダモクレスと化したのは、乾燥機ですか。私は布団などを天日干しているので、乾燥機はあまり使ったことが無いですね」
アクア・スフィア(ヴァルキュリアのガジェッティア・e49743)は、セリカから配られた資料に目を通し、仲間達と共に廃墟と化した家電量販店にやってきた。
家電量販店は既に廃墟と化しており、窓ガラスが割られ、ブロック塀には落書きがされていた。
「この季節、台風が来て日によっては乾きが悪くなったりして重宝するんだけど、発火が多くてリコール率も高いから、ダモクレスと化してしまうのも、仕方がないのかもね」
瀬入・右院(夕照の騎士・e34690)が、何やら察した様子で答えを返した。
だからと言って、廃墟と化した家電量販店に、乾燥機を捨てて良い理由にはならない。
いくら費用が掛かるからと言って、無許可で捨てる事は許されない事だった。
「俺は乾燥機の使い方、良く分からないからなぁ」
そんな中、カシス・フィオライト(龍の息吹・e21716)が、何処か遠くを見つめた。
そのため、乾燥機に対して、これと言った思いはない。
その分、ダモクレスを倒す事に対して、何の躊躇いもなく攻撃する事が出来そうだ。
「それにしても、酷い有り様だね。それだけ競争率が激しかったのかも知れないけど……。いかに安く売り、更に利益も上げるか、さじ加減が難しそうだわ」
リサ・フローディア(メリュジーヌのブラックウィザード・e86488)が複雑な気持ちになりつつ、廃墟と化した家電量販店を見上げた。
ライバル店に対抗するため、値下げに値下げを繰り返し、最後には廃業に追い込まれてしまったようである。
それでも、まったく客が来なかったわけではない。
だが、客が来たところで、赤字が解消されるほどの売り上げが無かったため、これも仕方がない事なのかも知れない。
「不法投棄とは、このような場所を言うのでしょうかね。沢山捨てられていて、まるで機械の墓場ですね」
ミント・ハーバルガーデン(眠れる薔薇姫・e05471)が、寂しそうな表情を浮かべた。
辺りに漂うのは、不気味な気配。
それが、まるで救いを求めるようにして、ミントの身体に纏わりついてきた。
それは決して心地良いモノではなかったが、機械達の哀しみが伝わってくるような錯覚を覚えた。
「カンソウキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
次の瞬間、ダモクレスと化した乾燥機が、まわりにあった廃棄家電を弾き飛ばし、耳障りな機械音を響かせながら、ケルベロス達の前に降り立った。
ダモクレスは無数の乾燥機が融合したような姿をしており、ケルベロス達を威嚇するようにして、耳障りな咆哮を響かせた。
「まさに合体ロボットですね」
七隈・綴(断罪鉄拳・e20400)がマジマジと、ダモクレスを見上げた。
「カ・ン・ソ・ウ・キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィイ!」
その視線に気づいたダモクレスが、昭和の特撮ロボットの如く、勇ましくポーズを決めた。
「……と言うか、原形を留めていないじゃないか」
すぐさま、ハル・エーヴィヒカイト(閃花の剣精・e11231)が、殺界形成を発動させた。
おそらく、元の形で乾燥機である事を知らなければ、こう言うデザインのロボットと思ってしまう程、乾燥機だった頃の面影が残っていなかった。
「……沢山の個体が合体して、強そうですけど、此方も仲間が多くて心強いですので、負けませんよ……」
そう言って花見里・綾奈(閃光の魔法剣士・e29677)が、ダモクレスの行く手を阻むようにして陣取るのであった。
●ダモクレス
「カンソウキィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
ダモクレスがガシャコン、ガシャコンとポージングを繰り出し、耳障りな機械音を響かせ、超強力なビームを放ってきた。
それは辺りを一瞬にして乾燥させてしまう程、特殊で強力なビーム。
「この世界を巡る属性の力よ、仲間を護る盾となりなさい」
即座にリサがエナジープロテクションを発動させ、自然属性の盾でダモクレスが放ったビームを防いだ。
「カ、カンソウ……キィ……」
それを目の当たりにしたダモクレスが、信じられない様子で身体を震わせた。
「ビームには辛うじて乾燥機だったころの名残があるようだが、それだけだな。……守りは任せた。こちらは全力で断ち切る」
その間にハルが右院と連携を取りつつ、無数の刀剣を内包する領域を展開し、ダモクレスのまわりを囲むようにして間合いを取った。
「さぁ、行きますよ、夢幻。……サポートは、任せます……!」
それに合わせて、綾奈がウイングキャットの夢幻を引き連れ、ダモクレスの逃げ道を塞いだ。
「カ、カンソウキィィィィィィィィィィィィ……」
その事に気づいたダモクレスが、戸惑った様子でオロオロとした。
しかし、何処にも逃げ道はない。
逃げたくても、逃げる事が出来ないため、戦うしかなかった。
「まずはその機動力を、奪ってあげますよ!」
その隙をつくようにして、アクアがスターゲイザーを仕掛け、流星の煌めきと重力を宿した飛び蹴りを放って、ダモクレスの機動力を奪い取った。
「カンソウキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
その事に危機感を覚えたダモクレスが、乾燥器型のアームを振り回した。
それは完全に捨て身であったが、ダモクレスに迷いはなかった。
「いくら腕を振り回したところで、隙だらけである事に変わりはありませんね。それとも、狙って欲しいのですか?」
即座にミントがスターゲイザーを切り出し、ダモクレスの無防備な胸部に、強烈に蹴りを放った。
「カ、カ、カ、カ、カ……」
その一撃を喰らったダモクレスが、耳障りな機械音を響かせ、再び超強力なビームを放ってきた。
そのビームは辺りの水分を完全に奪って、まわりにあったモノをカラカラにさせた。
「こう何度もビームを撃たれると、さすがに厳しいね。肌の乾燥はちょっとぐらいなら平気だけど、男子だからって油断してると深刻なことになるからね……」
それに合わせて、右院が幻花の雫(ゲンカノシズク)を発動させ、 在りし日のアスガルドを溢れんばかりに覆ったといわれるヴァナディースの花の幻影を召喚し、滴る蜜によって仲間の傷を癒した。
「そんなに熱いのが好きなら、この炎で更に乾燥させてあげます!」
次の瞬間、アクアがグラインドファイアを放ち、ローラーダッシュの摩擦を利用し、炎を纏った激しい蹴りでダモクレスの身体を炎に包んだ。
「乾燥なんて生易しいから、この炎で灰にしてあげるよ」
そこに追い打ちをかけるようにして、カシスもダモクレスにグラインドファイアを放った。
「カンソウキィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
そのため、ダモクレスは巨大な炎となって、耳障りな機械音が辺りに響いた。
だが、まったく戦意は衰えておらず、ケルベロス達に対する殺意も、今にも爆発しそうな勢いで、膨らんでいるようだった。
「まさか、炎に包まれながら、戦意が衰えていないとは……。少し驚きましたが、これならどうですか?」
綴が警戒した様子で間合いを取れながら、ダモクレスにサイコフォースを仕掛けて爆破した。
「カ、カンソウキィィィィィィィィィィィィ」
その拍子にダモクレスの装甲が弾け飛び、真っ黒な煙がブスブスと上がり始めた。
「このまま無防備なコア部分を剥き出しにしてあげましょう」
その隙をつくようにして、綾奈がルーンディバイドを発動させ、光り輝く呪力と共に斧を振り下ろし、ダモクレスの装甲を叩き壊した。
「カンソウキィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!」
その途端、ダモクレスが自らの身を守るようにして、乾燥機型のミサイルをぶっ放した。
ダモクレスから放たれたミサイルが、アスファルトの地面に落下すると、次々と爆発していき、大量の破片を飛ばしてきた。
「真に自由なるオーラよ、仲間に癒しの時間を与えなさい!」
すぐさま、綴がジョブレスオーラを発動させ、近くにいた仲間を真に自由なる者のオーラで包み、癒しの時間を提供した。
「カンソウキキキキィィィィィィィィィィィィィ!」
しかし、ダモクレスは、攻撃の手を緩めない。
それどころか、耳障りな機械音を響かせ、再びミサイルをぶっ放した。
それはアスファルトの地面に落下すると、大爆発を起こして、廃墟と化した家電量販店の壁や、ブロック塀、廃材などを容赦なく破壊した。
それは辺りの景色を一変させるほどの破壊力。
「……そう何度も撃たれると面倒ですね。この凍気で、何もかも凍結させてあげますよ」
その間に、ミントが一気に距離を縮め、イガルカストライクを仕掛け、杭(パイル)に雪さえも退く凍気を纏わせ、ダモクレスの身体を突き刺した。
「カ、カ、カ、カ、カ、カ……」
それと同時にダモクレスの身体が凍り付き、思うように体を動かす事が出来なくなった。
「これで終わりだ。永久に眠るがいい」
次の瞬間、ハルが絶技・天翼崩陽刃(テンヨクホウヨウジン)を発動させ、具現化した6本の剣を翼のように展開し、さらにその剣翼で全方位から連続でダモクレスを斬り刻んだ。
「カ、カ、カンソウ……キィ……」
その一撃を喰らったダモクレスが、断末魔にも似た機械音を響かせ、完全に機能を停止させて崩れ落ちた。
「廃墟の中で戦っていたせいか、随分と服が汚れちゃったね。早く服を着替えておきたいな」
カシスが苦笑いを浮かべながら、服についた埃を払った。
ダモクレスとの戦いで、仲間達も全身泥だらけ。
その上、汗でビッショリのため、早くシャワーを浴びたいところである。
「確かに、廃墟だったから、結構汚れたわね。正直、シャワーを浴びたい気分だわ」
リサがゲンナリとした様子で、乾いた笑いを響かせた。
だが、シャワーを浴びる前に、辺りをヒールで修復しておく必要があった。
「ここは既に廃墟と化しているけど、事故が起きないようにヒールしておこうか。すぐ買いたいわけじゃないけど、なんか最新機種とか見に行きたくなったし、近所にあるっていうライバル店でも見に行こうかな?」
右院が何やら察した様子で、辺りを修復し始めた。
そして、ケルベロス達は廃墟と化した家電量販店を修復し、その場を後にするのであった。
作者:ゆうきつかさ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
|
種類:
公開:2020年10月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
|
||
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
|
||
あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
|
||
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。
|