紅葉と猫の街

作者:崎田航輝

 涼やかな港町に、秋本番が訪れる。
 木々は紅に色付いて、太陽の光はまろく、柔らかくなって。過ごしやすい季節──そんな中では猫達も伸びやかな声を響かせていた。
 秋色に染まった山と穏やかな海を抱くその町は──都会から距離があって長閑な環境。だからだろうか、野良猫の姿が至る所で見ることが出来る。
 公園のアスレチックで活発に遊ぶ子猫に、落ち葉の絨毯でごろごろと寝転ぶ成猫。
 元気な若猫は丘に海辺に高台に、駆け回って追いかけっ子。秋の優しい日差しに、日向ぼっこをする猫も勿論沢山いて。
 艶めく黒猫に可愛らしい虎猫、斑猫に縞猫にと、見るほどに可愛らしい猫達に、訪れる観光客も多く。今日も人々は猫達と戯れては写真を撮って楽しんでいた。
 けれど。
 のそりのそりと、風景にそぐわぬ巨体が歩んでくる。
「ようやく人間がいたか」
 並木道に入り、人の姿を見つけて喜色を浮かべるそれは──鎧兜の罪人エインヘリアル。
「随分小動物だらけのようだが……ここは今日から俺の狩場だ」
 道を譲れとばかりに猫を追い払い、真っ直ぐに奔り始めた。
 人々は悲鳴と共に逃げ始める。罪人は悠々とそこへ追いついてみせると、文字通りの狩猟を行うかのように──獰猛に刃を振り上げた。

「集まって頂きありがとうございます」
 秋めく日のヘリポート。
 イマジネイター・リコレクション(レプリカントのヘリオライダー・en0255)はケルベロス達へと説明を始めていた。
「本日出現が予知されたのはエインヘリアルです」
 アスガルドで重罪を犯した犯罪者。コギトエルゴスム化の刑罰から解き放たれて送り込まれる、その新たな一人だろう。
「現場は長閑な港町。野良の猫さんが沢山いるということで、観光客も多く訪れているようですが……そこに敵も現れてしまうようですね」
 放っておけば人々が危険だ。
「猫さんの平和のためにも、この敵の撃破をお願いしますね」
 戦場は紅葉の並木が続く道。そこを真っ直ぐに進んでくる敵を、こちらは迎え討つ形となるだろう。
 人々の避難誘導は警察が行ってくれる。こちらが手を貸さずとも、戦闘前には一帯は無人状態となるだろう。
「皆さんは猫さん達を逃してあげつつ、敵を待ち伏せて迎撃してください」
 周囲の環境を傷つけずに倒すこともできるはずだ。
「無事勝利できれば、周囲を散歩したり猫さん達と遊ぶ時間もあるでしょうから。ぜひ撃破を成功させてきてくださいね」
 イマジネイターはそう声音に力を込めた。


参加者
リューデ・ロストワード(鷽憑き・e06168)
妖山・椛(護るものは心の帰るところ・e25364)
宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290)
ウリル・ウルヴェーラ(黒霧・e61399)
リュシエンヌ・ウルヴェーラ(陽だまり・e61400)
花津月・雨依(壊々癒々・e66142)
キャルディム・ヴァレファール(黒猫は自由を求め天意に叛逆す・e84163)
メロゥ・ジョーカー(君の切り札・e86450)

■リプレイ

●猫街
 紅色の葉が風に揺れる並木道。
 季節の彩に染まった眺めに、降り立った妖山・椛(護るものは心の帰るところ・e25364)は視線を巡らせる。
「秋らしい景色になりましたねぇ。風は秋の匂いってより猫さんたちの匂いですが」
 と、見回すと……にゃあにゃあと、そこかしこに猫達の姿があるから。
「とりあえずこの街に変な匂いがついてしまう前に、敵をお掃除してしまいますか」
「そうね。まずはいつも通りに──」
 言いつつ猫の避難にかかるのはキャルディム・ヴァレファール(黒猫は自由を求め天意に叛逆す・e84163)。
 街に来るのも慣れたものなら、デバイスで敵の方角を確認してからしゃがみ込んで。
「猫たち元気? また遊びに来たわよ。でもすぐには遊んでやれないから……ちょっと隠れてなさい」
 なー、と顔を擦り寄せてくる猫を導いて、安全な方へ逃していく。
 椛も怖がらせないよう、そっと誘導。
「少しの間、向こうにいっていてね」
「──ではこちらも始めよう」
 と、近くでマジックハンド型のデバイスを展開するのはメロゥ・ジョーカー(君の切り札・e86450)だ。
 猫じゃらしにするには大き過ぎかと思いつつも……やんちゃな猫達がよじよじと興味深げに登ってくるので、メロゥは撫でてあげつつ。
「よしよし、人馴れた子たちはかわいいね。……ほら、あとであっちで遊ぼう?」
 すぐに僕も向かうからね、と。言い聞かせて並木の外に奔らせていく。
 木々の上の猫も、しっかと見逃さないのはリューデ・ロストワード(鷽憑き・e06168)。
 お猫様の平穏のためとあらば速やかに。
 キャットサイト・デバイス(猫好きの勘)ですぐにその場所を察知して、チェイスキャット・デバイス(猫好きの執念)でもっふりとその手に確保。
「さあ、此方へ──」
 優しく抱きつつ、母猫と子猫が離れぬように一緒にレスキュードローン・デバイス(本物)へ乗せて遠くへ移動させる。
「ヘリオンデバイス……まさに人類の英知だ」
 彼方へ飛んでいくその様子に和みつつ、呟くリューデだった。
 地面でごろごろしている猫には、リュシエンヌ・ウルヴェーラ(陽だまり・e61400)が歩み寄り。翼猫のムスターシュのしっぽに猫じゃらしを付けて──。
「これで、ふりふり誘導大作戦なの!」
 ムスターシュがふよふよ回遊すると、猫達はそれに誘われにゃあにゃあと走り出す。
「ムスターシュ、上手よ!」
「本当だな。誘い方が上手いじゃないか」
 と、微笑ましげなのはウリル・ウルヴェーラ(黒霧・e61399)。餌を見せれば確実だろうかと、カリカリタイプのもので猫を更に惹き付けていた。
 そんな様子も見つつ、リュシエンヌは悩ましげだ。
「うぅ……ルルも早く猫さんたちと遊びたいっ」
 けれど、そのためには敵を倒さなくちゃ、と正面に目を向ける。
 するとその遠方に、鎧兜の罪人──エインヘリアルが現れるのが見えていた。
 宮口・双牙(軍服を着た金狼・e35290)は戦いの姿勢を取りながらも、景色を一瞥する。
「……こうした場所には来てみたかったが、討伐で訪れる事になるとはな」
「そう、ですね。こんな素敵な場所で、罪のない人々を傷つけ猫さんに迷惑をかけようとするなんて……許せませんっ」
 柔らかな声音に力を込めるのは、花津月・雨依(壊々癒々・e66142)。道に踏み込む罪人を真っ直ぐに見据えてみせると。
「綺麗な街も可愛い猫さんも、そしてそれを楽しむ人々も守り抜いてみせましょう!」
「ああ。殺意剥き出しで踏み荒らして良い場所では無いと──きっちりあのデカブツに叩き込んでおこう」
 応える双牙は紙兵を撒いて仲間を守護。獄炎交じりの霊力を戦いの狼煙とした。
 罪人は此方に気付くと、笑んで刃を構える。
「番犬か。良い狩りが出来そうだぜ」
「狩られるべき者は貴様だ」
 と──怯まず返すのはリューデ。
「お猫様の平穏を乱す輩は滅する」
「そういうことです」
 好きにはさせませんよ、と。
 椛は同時に疾駆。大太刀に閃光の如き雷撃を纏わせると、横一閃に放射。巨躯へ眩い衝撃を叩き込んでいた。
「キャルさん」
「ええ」
 頷くキャルディムも高電圧を帯びた浮き輪を飛ばし、打ち据えながら動きを鈍らせた。
 罪人も氷波で抵抗するが──リューデが素早く魔法陣を展開すると、メロゥもマントをばさりとはためかせ。
「鮮やかな幕開けと行こうか」
 戦場彩るカラフルな爆発を閃かせ、色味豊かに皆を回復強化する。
 リュシエンヌも鎖を踊らせ皆の防護を万全としていた。
「うりるさん、回復はルルたちに任せて思いっきりお願いします!」
「では、そうしよう」
 頷くウリルは闇色の魔力を凝集。
 後ろから支えてくれる声に力を貰い。猫と平和を脅かす存在を殲滅する為に、今、自分のやるべき事を。
 何よりも──。
「早く猫と戯れたいと思っている人も居るようだしね」
 云いながら、放つ衝撃で巨躯を後退させる。
 罪人はよろけながらも愉快げだ。
「お前達も、小動物相手よりこっちの戦いの方が愉しいだろ」
「いいや、剣呑なデカブツに遊んで貰っても全く嬉しくないな」
 双牙はあくまで静やかに、躊躇わず肉迫すると──。
「猫達が町から離れてしまわんよう、始末させてもらう。雨依、行くぞ」
「はいっ……!」
 双牙の背より跳んだ雨依が、軽やかに翻って蹴撃。よろけた巨躯へ、双牙が零距離から手刀。刺突の如き一撃で巨躯を深々と穿った。

●決着
 血潮を零しながらも、斃れぬ罪人に──キャルディムは溜息。
「しぶといわね。っていうかここ、何回エインヘリアルくんのよ……」
 幾度目かの戦いに、呆れも一緒に零しつつ。
「送ってくる奴らも無駄っていい加減わかってんでしょうに。犯罪者の処刑場みたいになってない? あたしたちも暇じゃないんだからそっちで勝手にやってなさいよ」
「……ふん、御上の事情なん俺は知らねえさ」
 罪人が刃を構え直すと、キャルディムはそう、と息を吐いて。
「なら──猫の住処を荒らすような奴は全員徹底的にぶち殺してやるから覚悟なさい」
 刹那、撓る茨を奔らせ巨躯を締め上げた。『エリュシオンローズ』──鋭き棘が刃の如く、全身を貫き毒で蝕む。
 藻掻くことも出来ぬ罪人へ、刃に烈風を抱いた椛が迫っていた。
「風も同じくらいに、鋭いですよ」
 言葉に違わず振り抜く斬撃は熾烈。『咬牙爆砕嵐』──膚を裂く風刃が、纏わりついて命を削ぎ続ける。
 唸る罪人は、ふらつきながらも刃を振り回した。
「全部、斬り裂いてやる……!」
「いいえ、させません」
 雨依はそっと、けれど凛然と返して混沌の水を活性化。『混沌解除・センコウ』──リミッターを外して爆発的な瞬発を得て、打突で鎧を砕く。
「紅葉の綺麗さ、猫さんの可愛さ、そういうものが分からない人に酷いことはさせません」
「その通りだ」
 声を継ぐ双牙も『旋刃削岩突』。業炎に燃ゆる両手刀を突き出して、跳躍と共に旋転し──弾丸の如き破壊力で腹部を抉り貫いた。
 血を吐きながらも罪人は刺突を返すが──防御したメロゥが、飛ぶ血液にも美しいハートのスートを模らせて華やかに治癒。
 同時に袖口に仕込んだ御業からの炎を閃かせて反撃した。
「このまま行こう」
「はいっ!」
 応えるリュシエンヌがひらり。
 踊るように廻って蹴りを打てば──その手を取って優しく入れ替わるウリルが『Enfer』。焔の檻で巨躯を閉じ込める。
 そこへリューデが花弁を舞わせていた。
「お猫様の平穏を乱す輩は滅する」
 大事な事なので二度言い聞かせてみせながら……滾るそれは焔の欠片。
「この地を狩場とした事が最も重き罪と知れ」
 罪人を内から焼き尽くす『混沌の赤』は、熱く慈悲無く、その命を灰にした。

●秋猫
 周囲にヒールを施せば、景色は元通り。
 美しい並木の中、猫達も徐々に戻り始め──街には和やかな空気が帰ってきていた。
 そんな中、双牙も道へ踏み出して。
「少し歩いて回るか」
「はい」
 雨依もこくりと頷き、ちょこんと隣に並んで。ヒールが完了しているかと細かい部分も確認しながら共に歩き出していく。
 はらはらと、時折舞い降りてくる紅葉は鮮やかで美しく。
「とっても、綺麗ですね……」
 うっとりする雨依に、ああ、と双牙も柔らかく応えて。眺めていると猫達がにゃあにゃあと闊歩するのが見えた。
「猫さん、好きなんですよね……!」
 雨依は寄ってくる子猫をなでなで。すると更に別の猫が一匹二匹と歩いてきて……ごろごろと懐き始める。
 双牙の足元にも寄ってくるので、雨依は微笑んだ。
「双牙さんも猫さん、お好きでしょうか」
「そうだな……」
 言いつつ、双牙も膝を下ろして茶毛の一匹の喉を撫でていた。
 にゃー、と心地良さげな猫の顔を眺めつつ──双牙は何より、雨依と仲良くしてくれる猫が沢山いることが嬉しくて。
「もう少し、足を伸ばしてみるか」
 ついてくる猫達を連れつつ……街を巡る。
 すると家並みの前では駆け回る猫がいて、共にじゃれ合ったり──神社では日向ぼっこする猫がいて、共に寛いだり。
 秋の優しい風の中、過ごす時間はゆったりとしていて。
「猫さんの日常を、守れて良かったです」
「ああ」
 双牙も、晴れた秋空を見上げて実感に頷く。
 猫達と、そして雨依と共に過ごすひととき。それは確かに緩やかで幸せな時間だった。

 翼で羽ばたき空から舞い降りると、にゃあ、と腕の中で猫が鳴く。
 リューデは遠くへと避難させていた猫達を、元の居場所へと帰していた。そっと優しく地面に下ろすと、礼を言うように猫が額を擦り付けてくれる。
 それに少々夢見心地ながら……リューデは改めて猫達の無事を確認し、並木道で過ごすことにした。
「とても、穏やかだ──」
 戦いの過ぎ去ったそこは、何ともあたたかな時間が流れていて。
 ぱりぱりと、時折猫が寝転ぶ紅葉のベッドが鳴り響く。そんな景色を味わっていると──ふと、ふくよかな猫の姿を見つけた。
 そのお腹の膨らみは、宿る新たな命。
「……そうか」
 気付いたリューデは、柔らかに微笑む。
 そして穏やかな木漏れ日の下で、その幸せを願いながら──自分もまた幸せな気持ちを分けてもらったように。
 リューデは暫く、その景色の中で──秋風に爽やかな心地を感じていた。

「それじゃあ、猫たちに会いに行きましょ」
 キャルディムが道を歩み出せば──はいっ、と頷いて続くのが椛。
 一緒に遊びたいと思って声を掛けただけに、キャルディムはそんな隣を見て表情は変えずとも、少々尻尾をふりふり。
 遠くに猫達を見つけると、すぐに声をかけた。
「猫たち、おいで」
 すると子猫に若猫、沢山の猫達が反応して近づいてくる。わぁ、と笑み顔の椛は色もとりどりの猫達を見回す。
「すごいですね。ここによく来るんでしたっけ?」
「まあ、仕事もあってだけど」
 道理で慣れたものだと、椛は感心の面持ち。
「なら、この中にお友達とかいたりするんです?」
「そうね……あたしのこと覚えてる子いるかしら」
 と、キャルディムが歩み寄ると──数匹の黒猫が駆け寄ってきた。前にも見た猫で、挨拶なのかにゃーにゃーと鳴いてきていた。
 キャルディムが頭や喉を撫でてあげると……黒猫はごろごろと目を細めて心地良さげ。椛はそんな様子に微笑んでいる。
「もう仲良しさんですね」
「そっちも来てるわよ」
 キャルディムが目を向けると、椛の傍にも先刻避難させていた猫達の姿。感謝を示しているのか、鳴きつつ足元をかりかりと掻いていた。
 椛自身、狼だけれど……動物は好き。
 故にそっと抱っこして、もふもふとしてあげる。すると猫も快さそうにしつつ、じゃれるように椛をもふり返していた。
 そのうちに追いかけっこが始まると……キャルディムの傍の猫も何かを求めるようにリュックをつんつん。
 気付いたキャルディムが、小型の攻性植物を取り出すと……猫達はそちらとも追いかけっこを始める。
「キャルちゃんも一緒にどうですか?」
「……じゃあ」
 と、椛が言えばキャルディムも頷いて皆で走って。秋空の下、少々賑やかな時間が始まっていった。

 ムスターシュがぱたぱたと羽ばたいてくると……その後ろから沢山の猫達。
 ウリルとリュシエンヌは戦場から離れていた猫を、丁度元の居場所へと帰し終わったところだった。
「それじゃあ、至福のねこねこたいむなの!」
 そして早速、リュシエンヌが瞳をきらきらとさせて戯れ始めれば──ウリルも勿論一緒にその輪の中へ。
 白猫に黒猫、虎猫と……多彩な猫をもふもふと撫で始める。
 そうするとどの猫も心を許し、ごろにゃあと横たわるから。ウリルは癒やされるように微笑みを零す。
「猫は正義だな」
「うりるさん、この猫さん懐っこいの」
 と、嬉しげなリュシエンヌが懐かれているのは、ちょびっとふくよかな縞猫だ。友愛の印か、肉球でぺたぺたスタンプも押していて……ウリルは感心顔。
「お、ルルに目を付けるとは……」
「おやつ、あげてもいいと思う?」
「……うん、もう開封済みなんだね」
 見れば、リュシエンヌは既に袋をぱりぱりと開けているところだった。
 そんな素早さにウリルが笑いを見せると──リュシエンヌはまた別のものを取り出す。
「うりるさんのもあるのよ」
「俺のおやつ? ──へえ、ホットドッグか」
「お腹空いたでしょ?」
 リュシエンヌが差し出すと、ウリルは嬉しそうに表情をほころばせて。
「ありがとう」
「みんなでおやつたいむしましょ♪」
 リュシエンヌもまたウリルに笑みを返して……猫達におやつをあげた。
 カリカリタイプに半液状、好みに応じて集まる猫はかりかりはぐはぐ。美味しそうににゃ~と鳴くから。
 そんな姿を眺めつつ、ウリルもホットドッグを齧って。
「ん、美味しい」
「ふふ、よかったの」
「紅葉と、猫と、おやつ。秋を満喫しているな」
 穏やかな風が心地良く、のんびりとした時間。ウリルの言葉にリュシエンヌも頷いて……愉しい時間は続いていく。

「お待たせ、いい子にしてたかな?」
 にゃあにゃあと、応えるように合唱する鳴き声。
 メロゥの周りには、避難から戻った猫達が集まっていた。
 先刻の言葉を覚えていたのか、期待するような面持ち。メロゥはそんな猫達へ……微笑んで一礼。
「よーし、それじゃあ君たちのための奇術ショーといこうか!」
 と、手のひらにおやつを取り出す。
「こちらに見えます、猫用のおいしいおやつがー……」
 言って、十分に視線を惹いた所で──。
「はい消えたっ」
 忽然と消失したそれに、猫達は大わらわ。
 にゃあにゃあと脚を伸ばし、鳴き声を響かせている所へ、メロゥは丁良い間を取って。
「どこかな、どこかな? ……ふふ、実はこっちの手の中だ」
 さっと逆の手に出すと──にゃー、と猫達はまたざわめき。
「良い反応のお礼に、これは君たちに配ってあげようね♪」
 猫達が急いで集まって、はむはむとおやつを食べる。それをメロゥは満足げに見つめているのだった。

作者:崎田航輝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年10月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 6/キャラが大事にされていた 0
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