強襲屍隷兵製造拠点~棺に非ず

作者:つじ

●微睡み
 陽光など射さぬ地の底に、それはあった。
 均等に並んだ容器の中に、命尽き果てた死体が、一つずつ仕舞われている、そんな光景。
 墓標とはとても呼べぬその容れ物は、薄く色付いた液体で満たされ、そこに浮かぶ亡骸を晒し物にしているよう。
 穏やかな眠りとは程遠い、そんな時間に倦んだのか、継ぎ接ぎの死体の一つが、水槽の中で『目を覚ました』。

 びくりと身体を痙攣させて、異常に肥大化した腕を、前へ。
 自分の入っていたカプセルを圧し割ったその死体――屍隷兵は、倒れ込むようにしてそこから這い出した。

 すると、目覚めたばかり、まだ立つこともままならぬ屍隷兵を、どこからともなく現れた自走する担架が拾い上げ、またどこかへと走り去っていく。砕け散ったガラスと、半壊したカプセルはまた別の機械たちに片付けられ、数分の後には、また新たな死体を収めたカプセルが、同じ場所に据えられていた。
 ここは墓場などではない。一時の眠りを終えて、屍隷兵達を目覚めさせるための、工場だった。
 
●強襲作戦
「皆さん、どうか聞いてください!」
 拡声器を通した大きな声で、白鳥沢・慧斗(暁のヘリオライダー・en0250)がケルベロス達に呼び掛ける。そうして少年が語るのは、仲間達の成果についてだ。暴食機構グラトニウムの行動範囲などから、シフカ・ヴェルランド(血濡れの白鳥・e11532)、ティーシャ・マグノリア(殲滅の末妹・e05827)、ナターシャ・ツェデルバウム(自称地底皇国軍人・e65923)といった面々が、ジュモー・エレクトリシアンの居場所を探索してのだが、そうして割り出された予測ポイントの中から、宮城県八景島を調査していた、マーク・ナイン(取り残された戦闘マシン・e21176)が、そこにダモクレスの屍隷兵製造拠点がある事を突き止めたのだという。
「惜しいことに、ジュモーやユグドラシルの根なでは確認できませんでしたが、これは大きな成果ですよね!!」
 そこで生産されている屍隷兵についてだが、ユグドラシル・ウォーで見かけた個体である事が確認されており、この屍隷兵製造拠点の地下などに、ジュモーの本拠地がある可能性が高いと想定されている。
「そこで、皆さんにお願いしたいのは、この施設の調査と、破壊になります!」
 八景島までは本土から2kmほど。ヘリオンで島の上空まで移動する事も出来るが、今回は奇襲作戦となるので、宮城県の本土側から八景島へ、目立たないように上陸する必要があるだろう。
 地下にある製造工場への入り口は、八景島の中央部に一つ確認されているが、恐らくは他にも入り口はあるだろう。そして内部には、生産された屍隷兵が多数存在していると思われる。
 生産された屍隷兵の多くは、作戦で使用するまで休眠状態で保存していると思われるので、動き出す前に一掃できれば、手間が少なくなるだろう。

 稼働している屍隷兵の撃破、未稼働の屍隷兵の排除、研究施設の破壊、ジュモーの拠点への手がかりの捜索など、やるべきことは多岐に渡る。それらを効率的に行った後、島から脱出して欲しい、とヘリオライダーはそう告げた。
「屍隷兵の生産は全て自動で行われているようで、屍隷兵以外の護衛戦力などはおかれていないようです。とはいえ、時間がたてば、増援が送り込まれる可能性は高いでしょう」
 そうなる前に、是非無事に帰ってきてほしいと、そう言って、少年はケルベロス達を送り出した。
「何よりも、人の亡骸を材料にするなんてこと、許してはおけませんよね! 皆さんの手で、この施設をぶっつぶしてやってください!!」


参加者
セレナ・アデュラリア(白銀の戦乙女・e01887)
キソラ・ライゼ(空の破片・e02771)
端境・括(鎮守の二挺拳銃・e07288)
シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)
篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558)
名雪・玲衣亜(ナンバーツー・e44394)
イルシヤ・ウィール(酷寒・e44477)
遠野・篠葉(ヒトを呪わば穴二つ・e56796)

■リプレイ

●工場への入口
 宮城県沖の無人島、八景島に、ケルベロス達が上陸する。この強襲作戦を気取られぬよう、船旅からのダイビングを経て、海からのルートを辿った彼等は、島を覆う溢れんばかりの緑を見渡した。
「ただの旅行であれば、素直に楽しめたのですが……」
 水から上がったセレナ・アデュラリア(白銀の戦乙女・e01887)がそう口を開く。
「まあ、このくらいなら戦闘の準備運動として丁度良いですね」
「準備運動以外の成果も欲しかったけどなァ」
 キソラ・ライゼ(空の破片・e02771)が肩を竦める。移動がてら、海底に出入り口がないか探ってはみたのだが、そちらは空振りに終わっていた。
「大型ダモクレスが上陸した形跡はありません。水中から出入りしているのは間違いないと思うのですが……」
「うーん、やっぱり、海底を掘り進んで行ったとか?」
 イルシヤ・ウィール(酷寒・e44477)の言葉に頷いて、遠野・篠葉(ヒトを呪わば穴二つ・e56796)も海底の痕跡を思い返す。海底を掘り返して進んでいたにしても、自分が移動した場所を埋め立てながら移動していたとすると、こちらからは手の出しようがない。ここはやはり頭を切り替え、地上を探索するべきだろう。
「そこでこの、かみさまの目の出番じゃな!」
 そう言って、端境・括(鎮守の二挺拳銃・e07288)は、カメラの付いた銅鏡型の眼帯――ゴッドサイト・デバイスを輝かせた。
 今回の追跡対象、ジュモーは、徹底した合理主義者のように見える。損切りの判断が素早く的確、だからこそ。
「ここで過たず、尻尾を掴みたいところじゃが……」
 力を発揮した神の目は、地中でさえも構わず、敵性存在の位置を見通す。飽くまで大まかな、そして地下か地上かも分からない情報ではあるのだが、工場の位置の検討はつけられた。
「それじゃ、こっち行ってみよー」
 『森の小路』を生み出して、名雪・玲衣亜(ナンバーツー・e44394)を先頭に、彼等は島の探索に踏み出した。
 警戒を怠らぬようにながらも、鬱蒼とした森を掻き分け進む内に、シア・ベクルクス(花虎の尾・e10131)の元へ、マインドウィスパー・デバイスを介した声が届く。
「あ、敵拠点を発見した班があるようです」
 場所はそう遠くない。しかも、内部には地下への入り口があるとか。

●地下へ
「こんなにも大きな拠点が……?」
 地に半ば埋まったようなそれを見て、篠・佐久弥(塵塚怪王・e19558)が訝し気に呟く。緑に覆われているとはいえ、こんなものが今まで見過ごされていたとは信じ難いことだろう。その全体を覆う植物が、カメラやセンサー等機械を介した探知を全て無効化する特別性なのだが、それは今の彼等には知り得ないこと。
「倒れてンのは、監視の屍隷兵?」
「はい、ここを見つけた班が交戦したそうです」
 キソラの問いにシアが頷く。征圧済みのそこを抜けて、一行は地下施設――機械と植物の入り混じった、迷宮状の通路へと足を踏み入れた。思いのほか広いそこを、他班と手分けする形で素早く進む。隠密活動とのバランスが難しいが、どの道どこかの班が破壊活動を始めれば、警戒レベルは跳ね上がるだろう。可能な限り前進しておくに越したことはない。
 そうして入り組んだ通路を駆け抜けた彼等は、迷宮の中の一室、開けた空間に出る。
「陰の気が溜まった場所ね……」
 呪いを扱うにはうってつけではあるけれど。部屋に近付くほど色濃くなるその感じに、篠葉が眉根を寄せて言う。部屋に立ち並ぶカプセル状の物体、それを見れば、原因は明らかだった。
「屍隷兵の製造拠点、っすか」
 話には聞いていたとはいえ、実際に目の前にしてこそ感じられるものは多くある。佐久弥もまた、心の底に沸き立つそれを自覚していた。
「デウスエクス戦で心地よいものの方が珍しいっすけども……」
 これもまた『再利用』、けれど同じ言葉が、ここまで異質に聞こえるとは。まるで、『妄執の雲の塵積った』ような――。
「元々を辿ればさるドラゴンの創り出した技術、でしたか」
 奇妙な液体の中に浮かべられた、継ぎ接ぎの、変容していく骸。イルシヤの目には、それらはどう映った事だろう。
「俺は記録でしか知りませんが、悪趣味な事だ」
「こんなに、多くの方が……」
 その一つ一つを確かめるようにしながら、シアは苦い表情で口を開いた。『工場』は恐らくこの部屋だけではあるまい、ここに見える何倍もの数の遺体に、帰りを待つ家族がいるはずなのだ。
 今すぐ、この全てを持ち帰ることなど出来ようはずもない。だから、せめて。
「意に沿わない扱いを受ける事、あなた方のご家族を害してしまう可能性だけは、此処で止めますわ」
「ああ」
 小さく、短く、いつもよりも硬質な声音で頷いたキソラが、白の槌を一振り。丁度新たなカプセルを運んできた、管理用の機械を打ち倒した。
「こんなトコ、さっさと潰しちまおうぜ」
 そしていずれ、こんな場所を作った連中全てに、報いを受けさせてやる。
 殲滅の意志をその胸に抱き、彼は次の一撃を振るうべく、得物を振り上げた。

●平定
「……悪趣味な。命を弄ぶなど、許される所業ではありません」
「さ、大掃除といこうかネ」
 セレナとキソラが共にオーラの翼を打ち振るい、屍隷兵の製造設備をまとめて薙ぎ払う。寝床を破壊された、原形を留めぬ遺骸達は、まだ完成には至っていなかったのだろう、ほとんどが眠ったままに崩れていった。そんな中でも力尽きず、割れたカプセルの中から這い出してきた屍隷兵を、括の放った氷結輪が切り裂き、永久の眠りへと引き戻す。
「よりにもよって、此のような所業を……」
 皆で無事に帰ることが何よりも優先であるとはいえ、目の前で広がるこの光景は、とても放っておけるものではない。
 とはいえ、打ち倒すべき物の数はこの部屋だけでもまだまだ多い。何か他に効率的な手が無いかと、篠葉は辺りを探り見る。設備を止めるだけならば、電源ケーブルでも引っこ抜ければそれで済むのだが、生憎それらしきものは見当たらない。
「それじゃ、代わりにあれはどうかな?」
 目を付けたのは、各カプセルに培養液を送っている様子のチューブだ。天井を走るそれは、部屋の端で一箇所に固まっている。恐らくは根元であろうそこにレーザーを放ち、篠葉はそれを断裂させた。薄緑色の液体が床に降り注いで、供給を絶たれたカプセルの中が濁り行く――。
 こうして屍隷兵生産工場の一角を破壊した一行は、次に向かう場所を模索しつつ、ジュモーの手掛かりを探しにかかった。
「こう、サーバーみたいなものとかないかな?」
「あったとしても、どう持って帰るよ?」
 部屋の隅の資材やらをひっくり返しつつ言う篠葉に、アイテムポケットを確認しながらキソラが問う。
「情報だけ抜き出せれば、話は早いんですが……」
 こちらも思案に暮れながら、シアが佐久弥とイルシヤの方へと視線を向ける。そこでは、彼ら二人が先程の破壊に巻き込まれたらしき、搬送用のロボットを引き起こしていた。自走する担架のようにも見えるそれだが。
「まだ動くようですね」
「役割を果たしたがってる……みたいっすね」
 倒れたその身を起こして、空回りする車輪を試しに地面につけてやる。
「これに案内させられんかのう?」
 少しだけ迷うように、車輪を動かすそれを見て、括は思い付いたそれを口にした。
「つまり、こーゆーコト?」
 普通ならば出来上がった屍隷兵を運ぶのであろう、担架に、玲衣亜が乗ってみせると、その搬送ロボは迷宮の奥へと向かって走り出す。
「あはは、意外と快適だねー」
「笑っておる場合か……?」
 担架の上の玲衣亜の言葉に、それを追いかけながら、括が首を傾げる。ここが工場であり、製品である屍隷兵が出来上がったのなら、次に向かう場所は……。ヘリオンデバイス越しに見た敵の位置を思い返す。敵影が規則的に並んだ工場以外にも、何か反応がやたらと密集している場所があったような。
 搬送ロボの到着を感知したのか、通路の先で、重い扉が開かれる。徐々に広がるその裂け目からは、白い冷気が漂ってきていた。
「あー……」
 その中に広がる光景を、いち早く覗き込むことになった玲衣亜は、多腕のデバイスを起動させておもむろにその扉を閉じる。
「……中は?」
「えーっと……冷凍倉庫? みたいな?」
 まあ、見なかったことにはできないだろう。短いやり取りで中の様子を察したケルベロス達は、それぞれにまた武器を構える。そして、彼女が再度扉を開けるのに合わせ、中へと飛び込んだ。

 凍り付くような冷気に包まれたそこは、出来たばかりの屍隷兵を一時保管しておくための、いわば中間倉庫なのだろう。もはや異形となった屍隷兵を折り畳むようにして、冷凍保存状態のそれらが所狭しと並んでいる。既に変わり果てた姿であるとはいえ、起動に至らぬ今であれば。
「死体を冒涜するなんて、呪い屋の風上にも置けないわ! その怨恨、しかと受け止めなさい!」
 篠葉の発した叫びと共に、魔力を伴う音圧が広がる。痛まし気に眉根を寄せたシアも、敵を切り裂く雪の結晶をその場に舞わせ、イルシヤのガトリングガンがまた別の方向の屍隷兵を喰らっていく。ある種の奇襲に成功した彼等は、その大部分を難なく起動不能に追い込んでいった。
 が。
「――ッ!」
 動かなくなった遺骸を踏み越えるようにして、屍隷兵の一体がシアへと迫る。黒い鎧を身に纏ったその個体、『マスターピース』の突撃に、佐久弥が割り込んだ。その身を呈し、立ち塞がった彼は、突き込まれた槍を絡め取るようにして受け止める。槍の根元は屍隷兵の腕と一体化しており――いや、腕そのものを槍に置き換えられたと見るべきだろうか。これもまた、継ぎ接ぎの兵器だ。
「あぁ――」
 小さく、佐久弥の口から息が洩れる。まるで、歪んだ鏡を見ているような、そんな気分。
「明らかに、他とは動きが違いますね」
「ここの守護者かのう?」
 援護射撃を放ちならがの括の言葉に、セレナが頷き、一旦距離を取った敵の前へと進み出る。
「ならば、倒して進まねばなりませんね――我が名はセレナ・アデュラリア! 騎士の名にかけて、貴殿を倒します!」
 朗々と名乗りを上げたセレナの剣が、同じく大剣と化した屍隷兵の左腕と噛み合い、火花を散らした。
 屍隷兵の中でも重点的に強化を受けているのだろう、その個体はケルベロス達に囲まれながらも一歩も退かず、抗ってきている。しかし、その動きを、佐久弥がついに捕まえた。
 玲衣亜による気合溜めで重なる負傷を癒しながら、振り下ろされた刃を真っ向から受け止める。
「望まぬ今を得た輩よ、俺が受け止めよう」
 たとえ、もはや言葉が届かぬとしても、彼ははっきりそう口にした。
「抱える妄執、無念を置いていけ。代わりに背負っていこう」
 動きの止まったそこへと、先の範囲攻撃を免れた屍隷兵達が群がり始める。しかしそれを、シアの抜き放った清浄なる刃が打ち払った。
「……もう、おやすみください」
 さらに、イルシヤの操る不可視の鉤爪が、強力な個体を捉える。
 実力で劣る、そう自覚している彼なりの、援護のための一手。せめてこれが、死を穢された誰かの救いに繋がればと、そう願い――。
 応えるように、月が輝く。
「今、その苦しみから解き放ちましょう」
 奥義、銀閃月。その身を一つの刃と成したような鋭い一太刀。音も無く駆け抜けたセレナの後ろで、屍隷兵が崩れ去った。

●崩壊
 継ぎ接ぎの体が崩れてしまえば、それらはもはや誰の物とも知れない骸となる。『死を汚された』、その象徴のような光景に、イルシヤは思わず表情を歪めた。やはり、この企みは暴き、阻止するべきものなのだろう。
「――今の個体は、奥から出てきましたよね」
 そこで、セレナがそう口を開く。敵兵が情報を持ち去るのでは、と危惧していた彼女は、その意味を確りと掴み取った。
「なるほど。他に何か、守らねばならん物があったのかも知れんのう」
 括もそれに同意して、一同は『倉庫』に見えるその場所の奥へと向かう。
「何もなさそうだけどー?」
「隠し部屋でもあるんじゃない? ありがちなのだと、棚の裏とかさ」
 軽い調子で言う篠葉に従って、玲衣亜が最奥の棚に手を添えると。
「……ホントに開いた」
 重い音を立てて、隠し扉が開いた。部屋内の構造から、この区画の管理と、研究室を兼ねた場所だと当たりはつけられるが。
「あーでも何の機械だか全然わかんないね」
 うけるー。とりあえず解析が必要そうなものは全部持って帰ろうと言う彼女の提案に従って、一同は使えそうな物品を集め始めた。
「持ち帰れそうにないものは写真だけ取っておくか」
「情報端末とか使えんかのう?」
「ロックがかかってるね。ああ、でもこれなら……」
 写真を撮り始めたキソラの後ろで、制御盤相手に格闘していた括と篠葉が、傍らに置いてあった持ち運べそうな端末に手を伸ばす。暗号化もされていそうで、相変わらず使い方は分からないが、これなら持ち帰ってじっくり解析することも――。
「ん?」
 拾い上げたそれから、カチリと小さな音が響く。『機密保持プロトコル起動』と、そんな音声は特に流れなかったが。
「う、わ」
 彼女は第六感的なものでそれを察知し、投げ捨てた。
 放り投げられたそれは、地面にぶつかる前に爆ぜ、小規模な爆発を起こす。
「危なかった……」
 なるほど、そんな仕掛けもあるのか、と頷いて。
「……あー……」
 こちらもそれに気付いたようで、玲衣亜はおそるおそる持ち帰ろうとしていた物品の山に目を向けた。せっかく集めたのになー。
 先の爆発に連鎖するように、その内のいくつかから、カチリと音が聞こえる。
「――やっぱり?」

 情報を取られるくらいなら自壊を。そんなセキュリティ形式に疑問を覚えないでもないが、どうやらこの場の主はその辺りは徹底していたらしい。
「皆さん、あの……」
 今回大活躍のマインドウィスパー・デバイス。シアの元に、また別動隊からの通信が入った。その隊は、この工場で研究を続けている者のところまで辿り着いていたようだが。
「この施設、爆発するそうです」
「何じゃと?」
 基地もろとも吹き飛べ、とか何とか、そういう処置がとられたとのこと。
「ええとですね、現在位置がここですから――」
「あー、壁破った方が早えーか?」
 シアのスーパーGPSと、これまでの道のりからそう当たりを付けて、キソラはそちらへ槍を振るう。巻き起こる疾風がそれを穿ち――。
「ジェットパック・デバイスを使います! 皆さんこちらへ!」
 さらにセレナのサイコフォースがその穴を押し広げる。背負ったデバイスから伸びた光が、仲間達を捕まえたのを確認して、キソラとセレナは共にデバイスを駆使して脱出にかかった。

 陽の届かぬ暗闇から、光さす場所へ。大爆発する施設を後にして、一同は飛び出していった。

作者:つじ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2020年10月2日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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