オークは蘇りてジムを襲う

■リプレイ

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「スポーツジムでオークと戦った事がありますが…二回目があるとは」
　慨嘆したのはウェアライダーの若者であった。端正で優しげな顔立ちだが、その目の光は狼のように鋭い。
　彼の名はラインハルト・リッチモンド（紅の餓狼・e00956）。場所はジムの事所室であった。
　同じく事務室に潜り込んだのは日柳・蒼眞（無謀刀士・e00793）である。
「死神の因子を埋め込まれて操られようとオークはオークだな。だからこそ動きが分かり易いし足止めも出来るとも言えるのかもしれないけど。それはそうと」
　蒼眞は入り口のドアに目をむけた。
「田中・瑠々（無気力系・e36314）が囮の連中の様子を録画するつもりのようだが……止めなくていいのかね？」
「それは」
　ラインハルトは声を途切れさせた。もし瑠々がそうするのなら、コピーが欲しいと思ったからだ。

　ジムの中には六人のケルベロスがいた。
　ミスラ・レンブラント（シャヘルの申し子・e03773）、斎藤・斎（修羅・e04127）、シルキー・ギルズランド（ぱんつはかない系無表情座敷童・e04255）、盟神探湯・ふわり（悪夢に彷徨う愛色の・e19466）、ルティア・ノート（剣幻・e28501）、瑠々の六人である。
「くしゅん」
　ジムの隅におかれたベンチで横になっている女がくしゃみした。
　はだけた着物の胸元から豊かな胸を覗かせた艶やかな女。瑠々であった。
「誰か噂してるのかなー」
　瑠々は身を起こした。そして大げさにため息を零した。
「めんどいけど虐殺とか勘弁だしー、仕方ないからお仕事しなきゃよねー。でも寝てるだけで勝手にぶたさん退治に貢献できる、なんて無理だったよ……乗りたかったぜ、デンシャ」
　瑠々が肩を落とした。外出の機会が少なく、彼女は電車をよく知らなかったのだ。
　やや離れたランニングマシンでは二人のケルベロスの姿が見られた。
「死神にけしかけられたとはいえ、オークの所業は許せませんね。叩き潰しましょう」
　たぷんと大きな胸を揺らしながら走るルティアがいった。身なりはドレスのようなアーマーである。
　隣で頷いたのは、おかっぱ頭の華奢な少女であった。人形のように可愛く、人形のように無表情だ。シルキーであった。
　そのシルキーの姿はランニングシャツにショートパンツなのだが、汗でシャツが透けていた。ピンク色の乳首がうっすら浮かび上がっている。

　マシントレーニングを行っているのは斎である。こちらはＴシャツに短パンといういでたちだ。清楚理知的な美貌であるため、その身なりはかえって扇情的であった。
「死神因子の依頼も何度かやってますけれど、先が見えないのがしんどいですね。他のデウスエクスなら、まだ全部殺せば終わりが見えるのですが。まあ、いくらか死神戦力が減少すると思って叩き潰しましょうか」
「そうだな」
　凛然と娘がこたえた。その口調には似合わぬ真面目で可愛らしい顔立ちをしている。ミスラであった。
　そのミスラの格好だが、それも外見とはそぐわぬものであった。フィットネス用のＴバックハイレグレオタードなのである。桃のような尻がほとんど露わとなっていた。
　そして、最後の一人。妖精を思わせる学生服姿の美少女がドアの近くに立っていた。体験として潜入したふわりである。
「瑠々ちゃんがビデオ撮っておくって言うから、ふわりもコピーしたやつ欲しいのー♪」
　ふわりがいった。その時ーー。

●
　ジムの入り口のドアが吹き飛んだ。のそりと姿を見せたのはオークであった。
「でやがったな！」
　事務室から蒼眞とラインハルトが飛び出した。トレーニングルームからはミスラとシルキー、ふわりが姿を見せる。
「頼みましたよ」
　囮役の三人に超えをかけ、ラインハルトがトレーニングルームに駆け込む。後に蒼眞が続いた。
「女だ」
　ニンマリすると、オークは触手を舞わせた。三人のケルベロスを捕らえ、拘束する。
「あっ」
　小さくシルキーが声をもらした。
「ジムにいたはずなのに」
　いつの間にか満員電車の中にいる。囮であったことなどすでにシルキーの念頭にはなかった。

「オークが出たぞ！」
　蒼眞が叫んだ。物音に何事かと佇んでいた女性たちが一斉に目をむける。彼女たちにラインハルトは声をかけた。
「皆さん、落ち着いてください。ケルベロスです、あとは僕達に任せて避難を！」
「はい」
　女性たちが頷く。
「あっちへ！」
　斎が非常口を指し示した。そこにはルティアが立っていた。

●
「どうして」
　シルキーは自身の姿を見下ろした。
　Ｔシャツと短パン。こんな格好で電車などのらないはずなのにーー。
「あっ」
　シルキーの口から再び小さな声がもれた。お尻に感触がある。撫でられているのだ。
　シルキーは振り向いた。素知らぬ顔でサラリーマンらしき中年の男性が手を動かしている。
　と、男性が手をシルキーの胸にのばした。汗で濡れて透けた乳首を指で摘まむ。
「あん」
　シルキーが喘いだ。
「胸までなんて……だめ。声……出さなきゃ。こ、この人、痴ーー」
　後ろからのびた手がシルキーの口をふさいだ。

「これって……痴漢なのー！」
　スカートの中に差し入れらた手で尻を撫でられ、ふわりはさすがに驚いた。すでに満員電車の中にいる違和感はない。
「すごいのー」
　まるで新しい遊びを発見したかのようにふわりは目を輝かせた。すると手が下着の中に滑り込んできた。柔らかな尻の感触を楽しんでから、秘肉に指を潜り込ませる。
「ああん。いきなりそこはだめなのー！」
　ふわりは身悶えた。

「ああ、どうして！？」
　ミスラは愕然とした。
　満員電車の中。あまりにも場違いなレオタード姿で立っている。
「あっ」
　ごつごつした手がミスラの尻を撫でた。別の手がぷっくり膨らんだ恥丘を弄っている。
「私……痴漢されている……のか？」
　ミスラの胸が高鳴った。
　羞恥のためだけではない。期待しているのだった。凛然貞淑な外見上をしているが、ミスラは性的なことに対する興味は旺盛であったのだ。
「恥ずかしいけど……もっとしてほしい」
　瞬間、レオタードが上に引っ張られた。
「いや。そんなことしたら」
　レオタードが食い込んで秘肉が露わとなった。

「こっちです。早く！」
　ルティアが呼んだ。女性たちが駆ける。
「避難はこっちーよそみをするなー、よそ見してると穴空く、ゼ」
　瑠々の声が響いた。が、瑠々の姿はない。声はベンチにおかれたスマートフォンから発せられていた。
　では瑠々はどうしたか。
　彼女はいた。入り口ドア近くに。その手には一眼レフデジタルカメラが握られていた。

●
「や、やめて……あああっ！」
　シルキーの短パンが下着ごといってずりおろされた。現れたのは薄い黒の恥毛に縁取られた秘肉である。
「さっき大きな声を出そうとしただろう。お仕置きしないとな」
　シルキーの耳元で中年の男のものらしい声が囁いた。
「お、お仕置きって……え……あっ！？」
　シルキーの口から悲鳴に似た声がもれた。慌ててシルキーが己の口をふさぐ。
　シルキーの秘唇を割って男の肉棒が突き入れられていた。犯されているのである。このような姿、他の乗客に見られるわけにはいかなかった。
「そ、そんな……あああっ！……んむぅっ！」
　男が動いた。肉棒が膣内をこすりあげ、シルキーの全身を快感が走り抜ける。
　その時、電車がとまった。男がシルキーをドアに押しつける。ドアの外では乗客が立っていた。
「い、いや。人が見てーーああん」
　シルキーの秘肉を貫く肉棒の動きが速まった。ドアの外の乗客たちが驚いたような、あるいはニヤニヤとした顔でシルキーを見つめている。
「は、恥ずかしい。ああん、で、でもーーああ！」
　羞恥心が快感をさらに高め、シルキーはのぼりつめていった。

　ふわりは壁に追い詰められた。
「……ふわりから積極的に受け入れてあげたりしたら、この男性、喜んでくれるかな、なの？」
　手をかけると、するするとふわりは下着を下げた。
「おじさん、ふわりとしたいの、なの？　だったら、していいの、なの」
　背をむけたまま、ふわりいった。すると男が肉棒をふわりの陰唇に押しつけーーヌププと突き入れた。
「ひゃんっ！？」
　ふわりの口から声がもれた。肉棒がいやらしくふわりの膣内を動いている。
「気持ち、良いの、なの？」
「ああ。ふわりちゃんあそこ、すごくいいよ」
「だったら」
　ふわりも柔らかそうな白い尻を動かした。
「ああん。もっと動いてあげるの、なの。だから、射精したくなったら遠慮なくふわりの膣内に」
「いいのかい？」
　男が腰をふわりの尻に打ちつけた。愛おしくてたまらなくなり、ふわりがキスする。
「はあん。来て、なの。来てぇ！」
　瞬間、男がふわりの膣内に白濁液をぶちまけた。

　露わになったミスラの秘肉に男が亀頭をおしつけた。
「だ、だめだ。こんなところで。見られたら」
　ミスラは懇願した。が、期待にぞくぞくしていた。電車の中で犯されたら、どんなに気持ちいいだろうかと。
　ああん。思い切っていれて！
　ミスラの願いをかなえるように、男が陰茎を秘肉に突き入れた。
「くっ、だめぇ……」
　ミスラが喘いだ。膣の襞をこすりあげた肉棒が子宮にまで届いている。
　ああん。すごい。私、電車の中で犯されて、みんなに見られてるぅ。
　今やミスラは全裸といっていい状態であった。突き出た大きな乳房は男に揉みしだかれ、むっちりした尻に男がパンパンと音をたてて腰を打ちつけている。
「いい……気持ち、いい……もっと犯して！　ミスラのこと、めちゃくちゃにしてぇ！」
　ミスラが絶叫した。刹那、男がミスラの子宮に白濁液を注ぎ込んだ。

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　稲妻が疾った。常人の目にはそのように映ったろう。
　それほどの迅速の刺突がオークを襲った。まさに稲妻に撃たれたようにオークが吹き飛ぶ。
「仲間から離れてもらうぜ」
　刺突の姿勢のまま蒼眞が叫んだ。避難を終え、駆けつけてきたのである。
　その瞬間、斎の身を漆黒の炎が取り巻いた。地獄の業火である。
　すべてを焼き尽くすはずの炎であるが、ブレイズキャリバーは、その魔炎を使役することができた。業火を吸収、斎は肉体細胞を賦活化させた。
「ブヒ。邪魔するな！」
　オークの触手が鞭のようにしなった。打たれた蒼眞が後退る。打たれた箇所が刃で切られたように裂けていた。
「ぶたさん、やるねぇ」
　瑠々が抜刀した。どん、と床を砕いて踏み込む。着物の裾が翻り、むっちりとした太股が露わとなった。
　瑠々の一閃は月光の煌めきをおびて。緩やかな斬線を描いて疾った刃は存分にオークを切り裂いていた。
「邪魔するな？　それはこっちの台詞です！　コード・アマノヌボコ！」
　ルティアは鉄塊のごとき無骨巨大な剣ーー煉獄の魔剣を掲げた。すると雷が剣を撃った。
「使用許可受諾。天地創造の力の一端、見せてあげましょう」
　ルティアが煉獄の魔剣で空間を混ぜた。するとオークの動きがとまった。
　それはコード・アマノヌボコの恐るべき力である。ルティアは一時的にではあるが、天地創造の鉾の権能を武器に宿し、標的の空間を固定することができるのだった。
「ブヒ……これは！」
　愕然としてオークは呻いた。その懐にラインハルトは飛び込んだ。
「旋刃脚！」
　ラインハルトの脚が跳ね上がった。その蹴りには文字通り刃の鋭さが秘められている。
　一瞬後のことだ。ラインハルトの脚がオークの肉と骨を切断してのけた。
「おのれ！」
　血肉を噴き散らしながら、オークは触手を舞わせた。さすがに全てはかわしきれない。ラインハルトの身に触手が巻きついた。
「つかまえたぞ。殺してやる！」
　オークが触手に力を込めた。ミシッとラインハルトの首が異音を発する。
　その瞬間だ。触手が切断された。蒼眞が切り裂いたのである。

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　斎の全身から銀光が噴き、仲間の感覚を亜神域にまで押し上げた。皮膚感覚のみだけで周囲の状況すべてを見通すことを可能とした瑠々が手刀を打ち込む。
「なめるな！」
　オークが吠えた。そして触手を唸らせた。
　反射的に狙われた瑠々が跳び退る。が、しなった触手の方が速い。打たれた瑠々が地に転がった。
「やめろ！」
　ラインハルトの指先から気の塊が弾丸のように飛んだ。が、その一撃は金属の相搏つ音を発してオークによってはじかれいる。
　オークはニンマリすると、
「そんなものがきくものかよ」
「ならば」
　ラインハルトがニヤリとした。刹那、オークに凄まじい殺気の風が叩きつけられた。
「なにっ！」
　はじかれたようにオークが振り向いた。その眼前、ルティアがいた。光の翼を暴走、自らを光そのものと化したルティアが空を翔ける。
「これならどうですか！」
　ルティアが突撃した。聖なる光がオークの呪的防護を灼き、その規格外の破壊力がオークの肉体を粉砕する。
「ブヒィ！」
　たまらずオークが倒れた。その傍ら、暴走を解いたルティアが降り立った。
「くそがっ！」
　苦し紛れにオークが触手をルティアに叩きつけた。咄嗟にルティアが煉獄の魔剣を盾として触手を受けた。が、受けきれるものではない。衝撃にルティアがおされた。
　ひゅん！
　触手が槍と化して疾った。ルティアの腹に刺さり、背まで貫く。がーー。
　ルティアが足を踏み出した。槍に貫かれたまま、オークに迫る。オークの顔がゆがんだ。
「ば、馬鹿かーー」
「ぬあっ！」
　ルティアの拳がオークの顔面に突き刺さった。
「ぶたさんもやるが、わたしの仲間はもっとやるねぇ」
　瑠々の日本刀が空に亀裂を刻んだ。オークの触手が切断され、がくりと倒れたルティアを瑠々が抱きとめる。
「頂きます！」
　瑠々の傍らを斎が駆け抜けた。その手の鉄塊剣がごうと燃えている。
　その炎は、彼女の地獄化した心臓であり、家族であった。すべてをかけた斎の一撃を防ぐ力などオークにあり得ようはずない。
「ぎゃあ」
　火の粉と黒血を撒き散らし、オークが仰け反った。
「とどめを刺しますよ」
　瞬間、ラインハルトの身が消失した。自身の魔力を暴走させ、一瞬間だけ無理矢理限界突破させる超機動戦術。ラインハルトは音速を超えた。
「朱雀！」
　ラインハルトがオークの頭を地に叩きつけた。さらに膝を落とす。ぐしゃりとオークの頭が潰れた。
「どけ、ラインハルト！　うにうにっ！」
　蒼眞が叫んだ。はじかれたようにラインハルトが跳び離れる。直後、巨大なプリンのような存在が空間に現出、落下した。
　ぶしゃり。
　圧倒的な重さでオークの肉と骨はミンチのように押しつぶされた。

●
「やっぱり、体術で仕留めると身体が火照るな」
　荒い息をつきつう、ラインハルトは辺りを見回した。すでに斎が修復を行っている。瑠々はカメラを片づけていた。やはり囮となった者たちの痴態を撮っていたのだろう。
　意を決して歩み寄ると、ラインハルトはコピーをもらえないかと頼んだ。
「いいけど。でもだるーい、寝てたーい」
　瑠々の欠伸の音が静寂を取り戻したジム内に響いた。

作者：紫村雪乃	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2020年9月24日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
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